幻の日本陸海軍航空隊VSソ連空軍

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272暫編第一軍
 どちらかの肩を持つわけではありませんが、幾つか参考になる内容があります。

 航空問題

 まずソ連航空基地についてですが、確かに多数の飛行場を整備して分散しつつあり、また航空部隊を奥地の基地に退避させていることを日本側でも掴んでいます。
 合わせて関特演以降、作戦当直飛行部隊が三段階の警戒態勢に入ったことも確認済みで、偵察機や哨戒機の警戒が厳重になってきたことも観測しています。
 多数機を地上撃破して開戦するのは難しいと考えられます。
 どちらかと言えば日ソが対峙するなかで、日本側がソ連遠爆部隊による本土空襲を心配していた面が強いようです。

 次に機数についての認識です。
 日本側はソ連の航空機数について東ソに2,600機、バイカル湖西方シベリア軍管区に400機と推計していました。
 ところが兵力が少なからず西送された後の1942年7月の段階でも尚極東ソ連軍は3,178機を展開しており1941年の関特演時にはこれより数百程度多かったと考えてよいと思われます。
 関東軍の見積もりはその他にも敵を数的に過小評価してしまうことが多々見られます。
  
 戦闘機の機種については確たる資料がありませんが、他氏の推定のように新鋭機は当初対独正面に優先されていると考えられますから主力はI16系となるでしょう。
 このI16系が意外に強敵で、ノモンハン後半戦で手こずらされたのみならず、入手した亡命機の調査でむしろ九七戦より優れていると見る向きがあった機体です。
 もちろん九七戦を推す者もいるのですが総じて九七戦と互角以上の相手ではあるわけで、それよりやや落ちる九六艦戦にとっては正に強敵です。
 零戦であれば多くの点で優位に戦える筈ですが、残念ながら太平洋戦争開戦時でさえ計400機程度でしかありません。
 当時主力の二一型は2月から開始されていますが、8月に予想される関特演からの対ソ戦ではこれよりかなり少ない機数しか投入できないことがわかります。
 キルレシオで言えば日本側に軍配が挙がると信じるものですが、明確に圧倒できるかと問われれば返答に窮してしまいます。