>>436の続き
送信と受信の時間差というのは、戦争全期を通じて見られることですが、その理由を考えて
みますと、暗号電報の送受信とは極めて手間のかかる作業であることが挙げられます。
以下は、『新高山登レ一二○八〜日本海軍の暗号』(宮内寒彌/著)による。
暗号送信の手順とは、
(1)呼出符号(青葉)を送る(3回)
(2)相手(青葉)から応答がある
(3)自己符号(四艦隊)を送る(3回)
(4)相手が応答
(5)「冒頭」送信
(6)通信文(本文)送信
>>437の続き
「冒頭」の各語については、
送信艦所(四艦隊)・発信艦所(ラバウル)・指定(緊急信)・タナ(通信番号)
着信者(MO作戦全部隊)・発信者(四艦隊長官)・平文or暗号文・暗号種類(D暗号)
有線or無線・電波の種類(4175KC短波)・総字数・発信日(5月7日)
電番号(三六八)・乱数開始符(乱数表の使用頁)・指示符(通信文の開始語)
(註)「指示符」とは、暗号解読防止のため、通常語順を入れ替えて送信する。
その開始位置を示したもの。
この際重要なのが「総字数」であり、受信側は、この総字数と実際に受信した通信文
の合計字数が一致するまで、何度も「サラ」(再送要求)を行わねばならない。