>>107の続き
やはり「被発見を避けた」という方が本音でしょうか。
本職なりに原少将の心境を察すると、以下の2点が挙げられます。
(1)中途で終わった補給作業
>>89の通り、MO機動部隊は補給作業を中断して南下したために、
五航戦+駆逐艦2隻(有明・夕暮):補給完了
五戦隊(妙高・羽黒) :補給完了前に中断
駆逐艦4隻(曙・潮・白露・時雨) :補給中 (
>>90参照)
以上のようにバラバラになってしまった。
「奇襲成功の公算大」とはいえ、当然米空母の反撃も考慮に入れなければならない。
しかし、五航戦や補給完了後の駆逐艦4隻と合同できるかは微妙な状況。
ならば、瑞鶴・翔鶴に駆逐艦2隻だけで対応しなければならなくなる。
確かに、これでは甚だこころもとない。
5月4日のツラギ被空襲の時もそうでしたが、ここでも「補給作業」が足かせになっている。
作戦行動における「補給作業」の占める割合が意外に大きいことに気が付きます。
>>108の続き
何より言えることは、「補給作業には時間がかかる」
これは油槽船が1隻なのに対し、補給を受ける艦が複数ある場合、全艦一斉には実施
できないからです。早くても半日、時には終日要することもある。
その間部隊の行動は停止。
ここで敵機の触接を受けようものなら、直ちに作業は中断し、警戒態勢をとらねばならない。
補給済みの艦と未補給の艦に分かれるため、その後の作戦行動にも支障をきたす。
特に駆逐艦は搭載量そのものが少ないため、深刻であり、
「作戦時の機動部隊はタンカーの随伴が困難であるため、航続力のない駆逐艦などには
大型艦より燃料の補給する必要があった。ちなみに不知火の属する陽炎型駆逐艦では、
全速(36ノット)で航海すると満載の燃料がわずか30時間で無くなってしまうため、燃料
の残量は常に機関長の頭痛の種だった」 (『写真太平洋戦争第2巻』)
真珠湾の時みたいに、ドラム缶を並べるわけにもいかないし、指揮官にとっては頭の痛い
問題だったと思われます。
「高速機動部隊」と聞けば勇ましいですが、実際はそんな「高速」でもなかったのかもしれ
ませんね。