1 :
GF長官:
2
3 :
GF長官:2008/12/08(月) 20:54:33 ID:???
初めての方へ
ここは、真珠湾奇襲成功の良き日に南雲長官の功績を称えるスレです。
本編(発言者:GF長官)の構成は、
(改)スレの
>>1〜 真珠湾攻撃編
>>478〜 インド洋作戦編
(伊)スレの
>>109〜 コロンボ攻撃の章
>>497〜 兵装転換の章
(呂)スレの
>>90〜 仮想戦記の章
>>528〜 ツリンコマリ攻撃の章
>>780〜 艦隊防空の章
(波)スレの
>>358〜 人事考察の章
>>588〜 珊瑚海海戦編
本編以外の話題は各個進行で。
お気軽にどうぞ。
4 :
GF長官:2008/12/08(月) 20:56:15 ID:???
[ミッドウェー作戦の作戦目的]
「機密聨合艦隊命令作第一二号」の作戦要領
「機動部隊ヲ以ツテ上陸前ミッドウェー島ヲ空襲、兵力ト防禦施設ヲ壊滅サセ
攻略部隊ヲ以テ一挙ニ攻略スルトトモニ、出撃シ来ル敵艦隊ヲ捕捉撃滅スル」
第一機動部隊の任務は「ミッドウェー島航空兵力の無力化」と「米空母部隊の捕捉撃滅」です。
5 :
GF長官:2008/12/08(月) 20:58:19 ID:???
[ミッドウェー作戦の作戦日程]
6月4日(N−3日)第二機動部隊、ダッチハーバー空襲
ミッドウェー島攻略部隊、敵哨戒圏(600浬)内に突入
6月5日(N−2日)第一機動部隊、ミッドウェー島空襲
6月6日(N−1日)第一機動部隊、情勢に変化なければ敵艦隊出撃に備えつつ、ミッドウェー島攻撃を続行
6月7日(N日) ミッドウェー島攻略部隊上陸
第一機動部隊、上陸支援
(註)第一機動部隊のミッドウェー島空襲は、当初N−3日の予定だったが、出撃が一日遅れたためN−2日となった。
6 :
GF長官:2008/12/08(月) 21:01:20 ID:???
[ミッドウェー海戦戦闘経過(6月5日三空母被弾まで)日本時間]
0130 第一次攻撃隊発艦(指揮:友永大尉)零戦36・艦爆36・艦攻36(計108機)
上空警戒機・索敵機も発進(利根四号機は遅延し、0200発進)
0220「敵情特ニ変化ナケレバ第二次攻撃隊ハ第四編成(指揮官加賀飛行隊長)ヲ以テ本日実施ノ予定」
(南雲長官・第二次攻撃隊のミッドウェー再空襲を予令)
0334 第一次攻撃隊、ミッドウェー島攻撃開始
0400 「第二次攻撃ノ要アリ」(友永隊長、再攻撃要請)
0405 ミッドウェー島基地からの敵機第一波来襲(TBF6機・B−26 4機) 0415に終了
0415「第二次攻撃隊本日実施、待機攻撃機爆装ニ換ヘ」(南雲長官・雷装から爆装への兵装転換を下令)
0440「敵ラシキモノ一○隻見ユ」(利根四号機から0428時の報告・敵艦隊発見)
0445「敵艦隊攻撃準備、攻撃機雷装其ノ儘(ソノママ)」(南雲長官・兵装転換中止を命令)
0453 ミッドウェー基地からの敵機第二波来襲 (SBD16機・B−17 15機・SB2U11機)0540に終了
0509「敵ノ兵力ハ巡洋艦五隻・駆逐艦五隻ナリ」(利根機・続報)
0510 第一次攻撃隊帰投開始(対空戦闘中のため上空待機)
0520「敵ハソノ後方ニ空母ラシキモノ一隻ヲ伴ウ」(利根機・空母発見)
7 :
GF長官:2008/12/08(月) 21:03:19 ID:???
0530 南雲長官、再兵装転換を下令(爆装から雷装に復旧)
「直チニ発進ノ要アリト認ム」(山口少将・即時発進の意見具申)
0537 第一次攻撃隊収容開始(0617終了)
0555「収容終ワラバ一旦北ニ向ヒ、敵機動部隊ヲ捕捉撃滅セントス」
(南雲長官、第二次攻撃隊をもって敵空母を攻撃することを明示)
0618 敵空母から敵機来襲(ホーネット第8雷撃中隊 TBD15機)0637終了
0640 同(エンタープライズ第6雷撃中隊 TBD14機)0700終了
0713 同(ヨークタウン第3雷撃中隊 TBD12機)
0722 同(エンタープライズ第6爆撃中隊 SBD31機)
0723 加賀被弾
0724 赤城被弾
0725 同(ヨークタウン第3爆撃中隊 SBD15機)
蒼龍被弾
8 :
GF長官:2008/12/08(月) 21:05:10 ID:???
Q1.0415時、南雲長官が兵装転換を命じたのは何故か(その1)
A1.0400時、友永大尉より「第二次攻撃ノ要アリ」と要請があった。第一次攻撃隊長が「効果不十分」
と判断したのだから、再攻撃が必要なのは当然である。
Q2.0415時、南雲長官が兵装転換を命じたのは何故か(その2)
A2.0405時から、南雲機動部隊はミッドウェー基地航空隊の攻撃を受けている。同島航空兵力は未だ
健在であり、速やかにこれを壊滅させなければならない。
Q3.0415時、南雲長官が兵装転換を命じたのは何故か(その3)
A3.味方攻略部隊は、すでに前日からミッドウェー島の敵哨戒圏(600浬)内を進撃中である。
輸送船団に損害が生じては作戦全体に大きな支障をきたす。敵基地制圧が急務である。
Q4.0415時、南雲長官が兵装転換を命じたのは何故か(その4)
A4.0130時から発進した索敵機(巡航速度120節・進出距離300浬)は、2時間半あれば索敵線先端に到達する
(最も遅い利根四号機でも0430頃)
0415の時点で報告がないということは、南雲機動部隊の半径300浬内に敵艦隊は存在しない可能性が高い。
よって、ミッドウェー島再空襲を優先すべきである。
9 :
GF長官:2008/12/08(月) 21:08:07 ID:???
Q5.0530時、南雲長官が山口少将の意見具申を採用しなかったのは何故か(その1)
A5.0530頃B−17が二航戦を撮影した写真がある。それによれば甲板上には一機も飛行機は並んでいない。
この状態から発艦準備を完了させるには40分は必要。現実的に即時発進は不可能である。
(註1)写真については、『歴史群像ミッドウェー』(学研)p64、p136
『写真太平洋戦争第3巻』(光人社NF文庫)p190を参照のこと。
(註2)よく見ると、蒼龍飛行甲板艦尾付近に1機だけ確認できる。おそらく直衛の零戦と思われる。
Q6.0530時、南雲長官が山口少将の意見具申を採用しなかったのは何故か(その2)
A6.第二次攻撃隊の制空隊(零戦)のほとんどは、母艦直衛に上がって対空戦闘中である。
護衛なしの艦爆隊で敵空母を攻撃しても、戦果は期待できない。
10 :
GF長官:2008/12/08(月) 21:13:01 ID:???
Q7.A5だとすると、山口少将は、二航戦の艦爆隊が発艦準備完了していないのを知りながら、即時発進の具申をしたことになる。
これでは矛盾しないか。
A7.山口少将の具申は二航戦(艦爆隊)ではなく、一航戦(艦攻隊)宛のものだったと考えられる。
0415時の兵装転換命令は一航戦に対してのもので、山口少将は知らず、第二次攻撃隊の制空隊(零戦)のほとんどが
上空直衛に上がっていることも知らなかった。(二航戦の零戦隊に関しては把握していただろう)
つまり、山口少将は0530の時点で「一航戦は雷装で甲板待機している」という認識だった。だから、二航戦の発艦準備完了を待つことなく、
先に一航戦(艦攻隊)を発進させるべき(零戦の護衛付きで)だと具申したのだと思われる。
11 :
GF長官:2008/12/08(月) 21:14:27 ID:???
[補足]第二次攻撃隊の兵装状態(推定)作業はすべて格納庫内
一航戦(艦攻隊) 二航戦(艦爆隊) 備考
0130 雷装 空装 第一次攻撃隊発進
0415 転換作業開始 空装 兵装転換命令(雷装から爆装へ)一航戦宛
0445 転換作業中止 空装 兵装転換中止命令(一航戦宛)
0530 復旧作業開始 爆装作業開始 雷装復旧命令(一航戦宛)
対艦装備命令(二航戦宛)
0723 復旧作業途中 爆装作業途中 三空母被弾
(1)「空装」とは、魚雷も爆弾も装備していない状態。
(2)一航戦が雷装待機なのは、事前のGFの指示によるもの。
(3)二航戦が空装なのは、インド洋作戦時の戦訓によるもの。
(兵装転換命令に柔軟に対応するため)『歴史群像ミッドウェー』より
(4)山口少将の意見具申について。
一航戦が雷装待機なのは、事前の打合せで知っていた。
第一次攻撃隊発進から0530時まで、兵装転換に関する命令は受領しなかった。(艦爆隊は空装状態で格納庫待機中)
0520時に敵空母発見報告を、0530時に対艦装備命令を受けた。
今から作業開始しても、発進準備完了までは約2時間は必要(推定)
「一航戦は事前の打合せ通り、雷装で甲板待機しているだろうから、二航戦の発進準備完了を待つことなく、直ちに発進すべきである」
と意見具申した。
(5)南雲長官の意見具申無視について。
0530時、山口少将の意見具申を聞いた時、一航戦は、雷装復旧作業の途中であり、制空隊のほとんどは直衛に上がって対空戦闘中。
しかも、第一次攻撃隊は上空待機中で速やかに収容しなければならない。
二航戦は、先程爆装作業開始を命じたばかり。
よって、即時発進は不可能。検討にも値しないと無視した。
つまり、双方の認識が異なることにより生じた事態だと思われる。
12 :
GF長官:2008/12/08(月) 21:16:27 ID:???
Q8.第一次攻撃隊収容より、第二次攻撃隊発進を優先させるべきだったのでは(その1)
A8.第一次攻撃隊は、0500過ぎから帰投を始めていたが、母艦が対空戦闘中であったため、上空待機を強いられていた。
速やかに収容しなければ、燃料切れで不時着する機体が生じる恐れがあった。
Q9.第一次攻撃隊収容より、第二次攻撃隊発進を優先させるべきだったのでは(その2)
A9.第一機動部隊の任務は「ミッドウェー島航空兵力の無力化」である。
この後のミッドウェー島再空襲、及び攻略部隊の上陸支援のためにも、母艦兵力を減少させるわけにはいかない。
Q10.第一次攻撃隊収容より、第二次攻撃隊発進を優先させるべきだったのでは(その3)
A10.第一機動部隊の任務は「米空母部隊の捕捉撃滅」である。
0530時点で、発見した敵空母は一隻のみ。新たな空母が別の場所で発見された場合、第三次攻撃隊を編成する上でも、
母艦兵力を少しでも確保しておきたい。
13 :
GF長官:2008/12/08(月) 21:19:15 ID:???
Q11.南雲長官は米空母が付近に居る可能性を考えていなかったのか。油断し過ぎではないか。
A11.考えてはいたが、A3の理由から、敵空母所在の「確証」がない限り動けない事情があった。
敵空母所在の「兆候」のみでは、ミッドウェー島再空襲の方を優先したいという考えだった。
「このとき南雲長官は大した逡巡もなく(ミッドウェー島再空襲の)決断を下している。
が、ここで読者諸氏は疑問を浮かべられるであろう。米空母部隊の所在に、ここまできても気を遣わなかったのか
という当然の疑問である。
敵機動部隊に対する配慮は、当たり前のことながらあった。ただ何度も書くように『味方の輸送船団は休むことなく
前進を続け、ミッドウェー島に近づいているであろう』という焦慮が、絶えず南雲長官以下各幕僚の頭から離れず、
思考の弾力を奪っていた。 草鹿参謀長の言う『二兎を追うわずらわしさ』である。
もし、それなりの処置をとって敵空母部隊に出合えばよい。が、遭遇することなく無駄な時間と兵力を費やし、
空からの援護なしに味方輸送船団を裸でミッドウェー島に近づけ、作戦を根底から崩してしまうようなことが
あってはならない。
そういう思いが片時も離れない。責任の重圧から来るその感情は、恐怖にさえ似ていた」
(『ミッドウェー戦記』亀井宏/著)
14 :
GF長官:2008/12/08(月) 21:22:08 ID:???
Q12.山本GF長官は敵空母撃滅優先を指示していたはずだが、南雲長官に伝わってなかったのか。
A12.南雲長官は、GFの作戦方針を正しく理解していたと思われる。
現に、0520時の敵空母発見の報告を受けて、直ちに0530時雷装復旧を下令し、0555時には
「敵機動部隊ヲ捕捉撃滅セントス」と敵空母撃滅を優先すると明示している。
Q13.『機動部隊戦闘詳報・経過概要』の前文では、0428時発信の利根機敵艦隊発見電は0500時受信となっているが、
戦闘経過では0440時受信としているのは何故か。
A13.0445時の換装中止命令と矛盾するから。
0500時受信の場合、情勢に何の変化もないのに、いきなり換装中止命令を出したことになる。
兵装転換の中止を命ずる限りは、その前に何らかの敵情の変化が入ったはず。
0445時の発令自体が虚偽とする説もあるが、0447時の無電を米側が傍受した記録が残されている。(『歴史群像ミッドウェー』より)
(註1)『戦闘詳報』の出典は、『記録ミッドウェー海戦』(澤地久枝/著)
(註2)0447時の無電とは、「発:機動部隊指揮官」「宛:利根四号機」「本文:タナ一、艦種確メ触接セヨ」
つまり、南雲長官が利根四号機に「艦種を確認せよ」と命ずる以上、0447時以前に利根機からの敵艦隊情報を赤城が受信していた
ことになる。
Q14.『戦史叢書』では雷装復旧は0445時となっているが、0530時としているのは何故か。
A14.A10で示した通り、南雲長官が「敵ラシキモノ」という曖昧な情報で、ミッドウェー島再空襲を後回しにするとは思えない。
0520時の敵空母発見情報こそが、南雲長官に「敵空母撃滅」を決断させたと考えるから。
0445時は転換作業中止命令であって、雷装復旧命令ではない。
15 :
GF長官:2008/12/08(月) 21:23:31 ID:???
以降は珊瑚海海戦編テンプレ
[珊瑚海海戦要図]
□■ラバウル
□□□
□□□□□□□ □□ ソロモン諸島
□□ □□
□□□□ □□ □□
□□■ラエ □□ □□ □□
□□□□□ □□ ■ツラギ
□□□□□□□ ジョマード水道 □□□ガダルカナル島
□□□■□□□□ ↓ ルイジアード諸島
ポート □□□□■ □ □■ □ ■ロッセル島 □
モレスビー サマライ デボイネ
□
□□ 珊 瑚 海
□□
□□■クックタウン
豪□□
州□□ ニューカレドニア
□□□■タウンスビル □□
□□□□ □■ヌーメア
□□□□□□
16 :
GF長官:2008/12/08(月) 21:24:09 ID:???
[MO作戦日本側編成]
<南洋部隊>第四艦隊司令長官・井上成美中将
(1)MO機動部隊(第五戦隊司令官・高木武雄中将)
[主隊](高木中将直率)
第五戦隊 重巡「妙高」「羽黒」
第七駆逐隊 駆逐艦「曙」「潮」
[航空部隊](第五航空戦隊司令官・原忠一少将)
第五航空戦隊 空母「瑞鶴」「翔鶴」
第二十七駆逐隊 駆逐艦「有明」「夕暮」「白露」「時雨」
[補給隊] 給油艦「東邦丸」
17 :
GF長官:2008/12/08(月) 21:24:34 ID:???
(2)MO攻略部隊(第六戦隊・五藤存知少将)
[MO主隊](五藤少将直率)
第六戦隊 重巡「青葉」「衣笠」「加古」「古鷹」
空母「祥鳳」
駆逐艦「漣」
[ポートモレスビー攻略部隊](第六水雷戦隊司令官・梶岡定道少将)
第六水雷戦隊 軽巡「夕張」
駆逐艦「追風」「朝風」「睦月」「望月」「弥生」「卯月」
敷設艦「津軽」
掃海艇「第二○号」
輸送船12隻
[掩護部隊](第十八戦隊司令官・丸茂邦則少将)
第十八戦隊 軽巡「天龍」「龍田」
水上機母艦「神川丸」「聖川丸」
特設砲艦「日海丸」「京城丸」「勝泳丸」
特設掃海艇2隻
(3)ツラギ攻略部隊(第十九戦隊司令官・志摩清英少将)
第十九戦隊 敷設艦「沖島」
駆逐艦「菊月」「夕月」
特設掃海艇2隻
特設特務艇2隻
特設駆潜艇2隻
輸送船2隻
18 :
GF長官:2008/12/08(月) 21:28:10 ID:???
テンプレ終わり。
またしても前スレが容量超過で書き込み出来ず。
まだ700レスなのにどういうことなんだろう。さっぱり分からん。
とはいえ、開戦記念日に新スレを立てられたことも何かの縁でしょう。
引き続き宜しくお願いします。
Q7と補足を追加しました。現時点では仮説に過ぎませんが。
ただ、「0530時の山口少将の意見具申」と「B−17の写真」が真実ならば、これ以外は考えられないですね。
戦闘経過、Q5、Q13一部修正しました。
19 :
GF長官:2008/12/08(月) 21:29:17 ID:???
遅ればせながら訂正を。
前スレ
>>659にて、
>ちなみに、ミッドウェー作戦では攻略部隊に空母の護衛はついてないですね
と発言しましたが、正しくは「瑞鳳」が随伴していますね。すみません。
前スレ
>>700でロード氏が述べているように、ミッドウェーでの日本空母は8隻。
その内訳は、
第一機動部隊:赤城・加賀・蒼龍・飛龍(4)
第二機動部隊:龍驤・隼鷹(2)
攻略部隊:瑞鳳(1)
主力部隊:鳳翔(1)
このうち7隻(鳳翔は要らないや)を第一機動部隊に集中すれば・・・
とは、誰しもが考えることですね。
前スレ
>>704 昨日見てきました。真珠湾特集でしたね。
南雲長官の記述がなかった(戦略・政略面が中心)ので斜め読み。
ありきたりの内容だったような・・・
それよりも、1/144赤城精密模型の広告が気になった。
全長180cm、25万円か・・・うーむ。
20 :
GF長官:2008/12/08(月) 21:51:16 ID:???
(チャイム♪)
臨時ニュースを申し上げます。臨時ニュースを申し上げます。
大本営陸海軍部十二月八日午前六時発表。
「帝国陸海軍ハ今八日未明、西太平洋ニ於テ、アメリカ・イギリス軍ト戦闘状態ニ入レリ」
繰り返します・・・
なお、今日はラジオを切らないで下さい。
日本近代史上、この日ほど新聞の朝刊が意味を為さなかった日はないでしょう。
テレビがなかった時代ならではの光景ですね。
「臨時ニュースを申し上げます。臨時ニュースを申し上げます。
帝国海軍は、ハワイ方面のアメリカ艦隊並びに航空兵力に対し、決死の大空襲を敢行し、
シンガポールその他をも大爆撃しました。
大本営海軍部今日午後一時発表。
(一)帝国海軍ハ今八日未明、布哇方面ノアメリカ艦隊並ニ航空兵力ニ対シ、決死ノ大空襲ヲ敢行セリ
(ニ)帝国海軍ハ今八日未明、上海方面ニ於テ、イギリス砲艦『ペテルブルグ号』ヲ撃沈セリ
アメリカ砲艦『ウェーク号』ハ同時刻ワレニ降伏セリ
(三)帝国海軍ハ今八日未明、シンガポールを大爆撃シテ、大ナル戦果ヲ収メタリ
(四)帝国海軍ハ今八日未明、ダバオ・ウェーク・グアムノ敵軍事施設ヲ爆撃セリ
(軍艦マーチ♪)」
21 :
GF長官:2008/12/08(月) 21:52:12 ID:???
22 :
名無し三等兵:2008/12/09(火) 07:13:45 ID:n/lHmOMF
み…南雲!
23 :
名無し三等兵:2008/12/09(火) 13:35:33 ID:???
>>19 > 全長180cm、25万円か・・・うーむ。
ケースだけ買うのか?www
24 :
GF長官:2008/12/09(火) 21:50:11 ID:???
昨日の全国紙社説で真珠湾攻撃を取り上げたところはなかったようですね。
(毎日の余録はサルの話なので却下)
降る雪や 昭和は遠く なりにけり
前スレ
>>712の続き
この時期に話題になるのは、「真珠湾陰謀説」でしょうか。
その中で要点となるのが、日本外交暗号の解読です。
当時害務省・・・もとい外務省と主要国大使館との通信は「九七式印字機」を用いられていた。
「二冊制のアルファベット順暗号書で、例えば『日本』という単語が『KXLL』に変わるという
ような暗号文を作成し、これをこの『印字機』にかけると、差した電子素子の配列によって、
その都度機械的に、全くアトランダムな破壊された(二重に暗号化)されたローマ字の羅列が
あらわれて来る」 (『山本五十六』)
仕組みはよく分かりませんが、「反覆出現の確率は約ニ億分の一」とありますから、相当
解読は困難と想像できます。
25 :
GF長官:2008/12/09(火) 21:52:33 ID:???
>>24の続き
しかし、米側はこれを解読してしまった。
いったいどうやって?
デーヴィット・カーン氏の『暗号解読者たち』によれば、
米陸軍暗号解読班(SIS)のウイリアム・フリードマン氏が中心となり、日本外交暗号
(パープル)の解読に従事し、「約一年半の血のにじむような苦闘」の末に成功。
(1940年8月)。解読情報は「マジック」と呼ばれた。
阿川氏は、この解読の「方法」について、一つの仮説を述べています。
「カーン氏の著書によれば、SISは全くの『正攻法』でパープル暗号を解いてしまった
ようである。そして事実その通りであったかもしれないのだが、我々としてはやはり、
其処に多少の疑問を感じずにはいられない。
実は他国の暗号を読む一番の早道は、それを盗むことなのである。
盗むといっても現物を取ってきたのでは、盗まれたことが分かって、相手がすぐ暗号
を変えてしまうから、悟られないように機械なり暗号書なりのコピーをとるのだ」
つまり、何者かによって「盗まれた」のではないかと。
具体的には、暗号書の配布時(船便)か、あるいは機械のコピーが持ち出されたか。
等々の可能性を指摘しています。
映画『陸軍中野学校』を思い出しますね。
市川雷蔵氏演ずる主人公が、中野学校を卒業する時に課題として与えられたのが、
「英国大使館の暗号書を盗んで来い」
さてどうやったのかは、見てのお楽しみということで。
26 :
GF長官:2008/12/09(火) 21:54:21 ID:???
>>25の続き
同じく、淵田氏も「防諜の杜撰さ」を指摘しています。
「東京の海軍省ー
正門で守衛は外来者を型のごとく調査するが、単に住所氏名を記録するにすぎない。
もし士官の軍服でも着ていれば、守衛は少しも怪しまない。
電話で相手の在否を確かめる配慮などまるでない。
玄関の階段を上がる。二階は海軍省で、三階は軍令部。
ところどころに番兵がいるが、ここでも士官の軍服がものを言い、敬礼して見送る
ばかりである。
軍令部一部第一課のドアを押す。ここは大本営海軍部作戦課である。
当然最も厚い秘密のベールに覆われていなければならない場所である。
ところが部屋に入ると、目の前で参謀達が機密書類をめくりながら忙しくやっている。
応接室がないので、机のかたわらで用件が済まされる。
外来者は部屋の中を眺めたり、隣の机をのぞいたりすることも出来る。
まことにルーズである」 (『ミッドウェー』淵田・奥宮/共著)
同氏は、
「機密保持が必要ならば、なぜ守衛と番兵に身分証明書を確認させないのか。
なぜ事務室の構造を模様替えしないのか。
なぜ機密書類、機密図書を入念に扱わないのか。
なぜ電話交換手やタイピストを簡単に信用するのか。
なぜ応接室を作らないのか・・・」
と鋭くついています。
ちょうど『陸軍中野学校』の中でも似た場面が登場します。
参謀本部に面会に来た女性が、作戦室の中で用件を話しているという、なんとも
のんきな光景です。
外務省も同じだったのかもしれません。
27 :
名無し三等兵:2008/12/10(水) 00:05:18 ID:???
28 :
GF長官:2008/12/10(水) 21:10:45 ID:???
>>27 お手数をおかけしました。
日曜日は定休日ということで、スレも開かないので遅くなってしまいました。
とりあえず自己解決しました。つまり、
スレが過疎化→一行レスが少なくなる→本編の割合が多くなる→
本編は一発言で改行制限ギリギリの分量→スレ容量が足らなくなる
こういうことですね。
この(仁)スレも700まで行くかどうか。
29 :
GF長官:2008/12/10(水) 21:52:13 ID:???
「見ろ、大和に大将旗が翻っている。長官は在艦だぞ」
>>26の続き
>>27の通り、何もかもだだ漏れの様相ですが、肝心の海軍暗号はどうだったのか。
当時、日本海軍が使用していた暗号は「海軍暗号書D」(D暗号)
収録語数は四万五千語。必要な字句を五桁の乱数にかえ、更にそれぞれ五万個の
乱数を加えて強度を高めた二部制暗号で、発信用と受信用の二冊に分かれていた。
米側の呼称は「JN−25b」(JN=Japanese Navy)
昭和15年12月から使用開始。
昭和16年12月に乱数のみ変更。
昭和17年5月1日変更。
一年半もの間変更しなかった理由は、
「戦線が拡大しすぎたために暗号書配布に大変な手間と時間が必要だったのと、
戦勝による気分の緩みのため」と言われている。
確かに、全部隊に行き渡らないことには使用開始できないですしね。
米軍はハワイのジョセフ・ロシュフォート中佐が中心となり
(1)OP−20−G(ワシントン米海軍作戦部通信保全課)
(2)CAST(コレヒドール情報班)
(3)CIU(ハワイ戦闘情報班)
の三者が協力しつつ「JN−25b」解読に取り組んだ。
(註)CASTはコレヒドール陥落後メルボルンに移動
30 :
GF長官:2008/12/10(水) 21:53:44 ID:???
>>29の続き
その結果『暗号戦争』(デーヴィット・カーン/著)によれば、
「1942年5月までに、JN−25bの暗号書の約三分の一を解明し、常用されていた
暗号の約90%を読めるようになっていた」
やはり、だだ漏れか・・・
前述の通り「反覆」が暗号解読の突破口となるのですが、例えば、
定時報告の書式は、「○○発△△宛」のような定型文になり、また本文が短い場合
それが「異常ナシ」であることが予想できる。
もちろん暗号化されているので、そのまま「反覆」が現れることはないのですが、
それでも解読のヒントにはなったようです。
ただし、暗号解読に完璧ということはない。なぜなら、
(1)暗号書の解読には100%ということは有り得ない。従って、解読した暗号の
内容は常に不明の個所があると考えるべきである。
(2)発信されたすべての電報を傍受することは不可能に近い。
(3)軍で使用される暗号の種別は複雑多岐であって、一種類の暗号の解読だけ
では十分に敵情を知りえない。 (『暗号ー原理とその世界』長田順行/著)
これは何事にも言えることですね。
31 :
GF長官:2008/12/10(水) 21:54:52 ID:???
>>30の続き
また日本側関係者には、昭和17年1月20日豪州ポートダーウィン沖で撃沈された
伊124潜から引揚げた暗号関係資料を活用して解読に成功した、と推測する人も
あるようです。
参考までに緒戦で沈んだ潜水艦は、
昭和16年12月10日 伊170 パールハーバー沖(米空母機)
12月17日 呂66 ウェーク島西方(衝突)
12月29日 呂60 クェゼリン(座礁)
昭和17年1月17日 伊160 スンダ海峡(英駆逐艦)
1月20日 伊124 ポートダーウィン沖(豪艦艇)
1月27日 伊173 ハワイ方面(米潜水艦)
2月26日 伊23 ハワイ方面(潜水艦)
(『伊58潜帰投せり』橋本以行/著)
機密書類は鉛?含有の表紙を使っており、万一の時は海に沈めることが出来るように
なっているそうですが、潜水艦だとそうはいかないだろうし、ここから洩れた恐れも十分
に考えられますね。
32 :
名無し三等兵:2008/12/11(木) 08:00:39 ID:???
>>31 いや、暗号(暗号表、乱数表、その他)にも階層があって
下位組織や缶には配布されなかった文書、乃至一部を割愛した物もあったそうな。
母艦の横を走っていた駆逐艦ですら、持っていた暗号・乱数表では
上位の回線の電報は読めなかったそうな。(と言うお話もあるそうな)
だから、潜水艦で分かったのは、その辺の暗号と乱数表でしょうね。
>ポートダーウィン沖(豪艦艇)
は、漏れてます。
暗号は何れ解かれるというのはこう言う事ですよ。日本はそれが分からなかった。
例としてDという架空の暗号使用の流れを見てみましょう。
D(配布使用開始)――――→改訂――――(廃止)――(一部使用)→(D2完全以降)
↑ ↑ D2―(使用開始)――――――――→
(少し解読) (かなり解読) (ほぼDは解読)
つまり、確かに海軍の人が言うように暗号改訂の初期の頃は漏れては居なかったと思うが
使っているウチにどんどん人力やコンピュータ等で解読されていき、
次の暗号を配布して、それを全海軍で更新している最中に旧来の暗号を使用して
漏れちゃったと言う事ではないかと。 MIの頃も5月末で暗号表を改訂した途端、
米軍は今まで難無く解読していた暗号を解読出来なくなってますし、
甲事件は新旧暗号が併存して飛び交っていた時に起こっています。
>「1942年5月までに、JN−25bの暗号書の約三分の一を解明し、常用されていた
>暗号の約90%を読めるようになっていた」
ところが、改訂した途端、米軍は読めなくなりました。それが傍証かと。
42/05/28 この日から、ミッドウェイに関する日本側の情報は全く取れなくなった。
理由は、 長い間利用されていた日本側の暗号、及び乱数表の変更を
行った為である。
33 :
GF長官:2008/12/11(木) 21:17:35 ID:???
>>32 有難うございます。これは分かり易いですね。
>いや、暗号(暗号表、乱数表、その他)にも階層があって
>下位組織や缶には配布されなかった文書、乃至一部を割愛した物もあったそうな
「ニイタカヤマノボレ一二○八」にしても、受信者が「GF」になっているので、一航艦
だけではなく、太平洋上の全艦艇が対象となりますが、駆逐艦クラスが受信して
翻訳できたとしても、それが何を意味するのかは、司令長官・司令官クラスでない
と分からないのだと思います。
>暗号は何れ解かれるというのはこう言う事ですよ。日本はそれが分からなかった
短い周期で更新していくことが一番ということかな。
山本長官自身が、「日本の暗号が解かれているなんてあるもんか」と言っており、
ドイツもエニグマに絶対の自信を持っていたと聞きます。
米英側は暗号の更新は行っていたんですかねぇ。
34 :
GF長官:2008/12/11(木) 21:41:38 ID:???
>>31の続き
具体的な暗号解読の経過については、1942年3月頃、
「日本軍は東インド諸島を確保し、インド洋から脅威となる兵力を駆逐したのち、
次の作戦はニューギニア地域で実施されるであろう」
と、ロシュフォート中佐が報告している。
印度洋作戦の後、日本軍の矛先は東ニューギニアか、ソロモン諸島か。
解読のヒントになったのは、
(1)四艦隊旗艦「鹿島」がトラックに入港(通信解析による)
(2)四艦隊長官(井上中将)がラバウル進出(同)
(3)この時期の暗号の中に「デボイネ」「ミシマ」等ルイジアード諸島の地名が
「片仮名のまま」登場
(4)4月12日の電報解読成功
(5)日本軍基地航空隊によるポートモレスビー攻撃強化
35 :
GF長官:2008/12/11(木) 21:44:47 ID:???
>>34の続き
(3)に関しては、前スレ
>>698でも紹介したとおり、MO作戦関連の地名略号
(ラバウル=RZ等)を用意していなかったため、暗号化せずに使用したと
言われています。
(4)の電報とは、「第二段作戦第一期兵力部署」について。
前スレ
>>647の『聯合艦隊機密第六九四番電』の加賀を五航戦に変更した
内容を伝達したもの。
これらに基づき、以下の総合判断を下します。
「日本海軍部隊がトラックに集結中、もしくは南下中である」
「これらの部隊は3隻の空母から成る」
「空母は瑞鶴・翔鶴・龍鶴」
「それ以外に重巡妙高・羽黒・五航戦の駆逐艦4隻を含む」
「ラバウルにある諸部隊は、4月28日ころから海上輸送によってポートモレスビー
もしくは、ソロモン諸島南部攻略を行うと思われる」
(註)龍鶴は祥鳳を誤ったもの。
(『珊瑚海海戦・戦略と戦術の分析』米海軍大学校)
これだけ正確な情報が得られれば、楽勝とまではいかなくとも、有利に戦いを
進められることは間違いないですね。
36 :
GF長官:2008/12/11(木) 22:01:59 ID:???
>>35の続き
余談ながら、前スレ
>>708のスティル氏によれば、
「祥鳳」は英語で、Happy Phoenix(幸運を呼ぶ不死鳥)
確かに、輸送船団の陸軍兵にとってみればそうだったのかもしれません。
そのうち、海自艦艇名に採用されてよみがえるというわけですね。
その他には、
「鳳翔」Fiying Phoenix
「龍驤」Heavenly Dragon(天に昇る龍)
「蒼龍」Deep Blue Dragon
「飛龍」Fiying Dragon
「翔鶴」Flying Crane
「飛鷹」Flying Falcon
瑞鶴はありませんでしたが、たぶん「Happy Crane」かな。
米兵A「HEY!JAPの空母はみんな空を飛ぶのかい?HAHAHA」
米兵B「俺たちも名前を変えた方がいいんじゃないか」
米兵C「そうだな。ドラゴン退治できるような名前にな」
かくして、第17任務部隊のニ空母は「ドラゴンソード」「エクスカリバー」と生まれ変わった。
フレッチャー「こ、これで勝てるかな・・・かな?」
フィッチ「ダメだこいつら、早くなんとかしないと・・・」
米機動部隊の迷走も続く・・・
37 :
名無し三等兵:2008/12/11(木) 22:46:05 ID:???
38 :
名無し三等兵:2008/12/11(木) 22:48:01 ID:???
39 :
GF長官:2008/12/12(金) 21:31:52 ID:???
>>38 本人さえ忘れていたことを・・・
まぁ、一般の欧米人にとっては、日本も中国も一緒でしょう。
帝国海軍も暗号解読でやられっぱなしってわけじゃなかったのよ、ということで
偽電作戦の話を紹介。
『山本五十六』によれば、ガ島撤退時に
ラバウルの第一聯合通信隊が、カタリナになりすまし、
「Sighted.2ac,2b,10d,lat・・・,long・・・,courseSEE」と平文で打電。
意味は、「敵艦見ユ、空母二・戦艦ニ・駆逐艦十、位置南緯○度・東経△度、敵針東南東」
これは、米軍が緊急の場合平文通信を許可していたことを利用したもの。
米軍は見事にひっかかり、ホノルルから全艦隊に通達。
索敵機が当該海域に向かい、ヘンダーソン飛行場の爆撃機は「全機即時待機」
彼らが騙されたと気づいた時には、日本軍の撤退は終わっていたという。
痛快ですなぁ。
ところが、この偽電作戦を実施した伊藤春樹通信参謀は、上の方から叱責を受けたとか。
なんでも「こちらの手の内を見透かされるような余計な真似はするな」と。
それにしても、『山本五十六』を読み返していると、GF長官のやることって、
毎日うまいメシを食って、渡辺戦務参謀と将棋を指して、愛しの千代子どのに恋文をしたためて・・・
結構なホテル暮らしですなぁ・・・おや、こんな夜中に誰か来たようだ。
40 :
GF長官:2008/12/12(金) 22:09:34 ID:???
>>36の続き
では、米海軍の編成を確認しておきましょう。
第17任務部隊(フランク・フレッチャー少将)
[第2群]攻撃隊(トーマス・キンケード少将)
重巡「ミネアポリス」「ニューオリンズ」「アストリア」「チェスター」「ポートランド」
駆逐艦「フェルプス」「デューイ」「ファラガット」「エールウィン」「モナガン」
[第3群]支援隊(英クレース少将)
重巡「オーストラリア」(豪)「シカゴ」
軽巡「ホバート」
駆逐艦「パーキンス」「ウォーク」
[第5群]航空部隊(オーブレイ・フィッチ少将)
空母「ヨークタウン」「レキシントン」
駆逐艦「モリス」「アンダーソン」「ハマン」「ラッセル」
[第6群]補給隊(ジョン・フィリップス大佐)
油槽船「ネオショー」「ティッペカヌー」
駆逐艦「シムス」「ウォーデン」
[第9群]索敵隊(ジョージ・デーボン中佐)
水上機母艦「タンジール」(PBY12機)
(註)フレッチャー少将はヨークタウン坐乗、フィッチ少将はレキシントン坐乗
この他に、ポートモレスビー及び豪州の陸軍航空隊が加わる。
41 :
GF長官:2008/12/12(金) 22:12:23 ID:???
>>40の続き
この中で主役はもちろん、「レディ・レックス」「ファイティング・レディ」のニ空母ですが、
助演女優賞?は「ネオショー」かな。
あと「マハン」はミッドウェーでも出てきますので。
前スレ
>>642の通り、日本側の編成は「兵力分散」と非難されますが、米側も後に支援隊を
分離し、フレッチャー少将は同じ誹りを受けることになります。
ただし、この分離の結果、日本側の索敵を混乱させることになったので、戦場というのは
何が戦況を左右するか分からないものですね。
日本側の米空母に関する情勢判断は、
ラングレー(CV−1)昭和17年2月27日陸攻隊の攻撃を受け大破、自沈処分
レキシントン(CV−2)昭和17年1月27日撃沈。もしくは西海岸で修理中
サラトガ(CV−3)太平洋にて行動中
レンジャー(CV−4)大西洋にて行動中
ヨークタウン(CV−5)所在不明
エンタープライズ(CV−6)太平洋にて行動中
ワスプ(CV−7)所在不明
ホーネット(CV−8)太平洋にて行動中
(註)レキシントンは誤報(1月12日に伊6潜がサラトガを大破させているが、それ見誤ったもの)
サラトガも誤報(修理中)
エンタープライズとホーネットは東京空襲後、真珠湾に帰投
四艦隊は「米機動部隊ハ其ノ後消息ヲ得ザル」
五航戦は「出動可能空母はサラトガ一隻のみ」という判断でした。
さて両陣営とも出揃ったところで、MO作戦発動です。
42 :
GF長官:2008/12/12(金) 22:16:25 ID:???
明日は忘年会のためお休み。
ボーナスも出たし、呑むぞー
今回は何を歌おうかな。『討匪行』にするか。
「どこまで続くぬかるみぞ
三日二夜も食もなく
雨降りしぶく鉄兜〜♪」
冒頭から兵站が破綻している・・・
これが「反戦歌」ではなく「軍歌」だなんて、敵さんには分かんねーだろうなぁ。
それでは、また来週。
43 :
名無し三等兵:2008/12/12(金) 22:38:07 ID:???
どぶろく啜り〜草を噛み〜♪
44 :
牟田口廉也:2008/12/13(土) 21:28:09 ID:???
銘酒を啜り〜乳を揉み〜♪
45 :
GF長官:2008/12/15(月) 21:30:07 ID:???
>>43 『討匪行』はやめて、『愛馬進軍歌』と『月月火水木金金』にしました。
軍歌は転調のない単純なメロディーなので、誰でも簡単に覚えられるのが良いですね。
最後の一節「海の男だ艦隊勤務 月月火水木金金」の「きんきん♪」で皆の声が揃うのは
ちょっと感動します。
しかしいつも思うのは、映像と歌が全く合っていない。
前者はのどかな高原の風景で、馬さえ出てこないし、
後者はなぜか女学生の竹槍教練。
ニコニコに良作PVがたくさんあるのになぁ。
長官「きんきん♪」
一同(拍手)
宇垣「お見事でした。長官」
長官「うむ」
宇垣「これを東京ローズの合い間に流せば、米兵の士気喪失は間違いありません」
長官「そうかね?はっはっは
次は黒島君、君の番だ」
黒島「いえ、私は生来の音痴でして」
長官「なに、長官の命に従えぬと言うのか」
黒島「それでは、お耳よごしに『蘇州夜曲』でも」(うわぁ、今日は酒癖悪いな)
宇垣「なかなか渋い選曲じゃないか」
黒島「それでは。君がみ胸に 抱かれて聞くは〜♪」
軍楽隊員「俺たち、こんなことをするために海軍に入ったんじゃないのに・・・」
GF司令部の迷走も続く・・・
46 :
名無し三等兵:2008/12/15(月) 21:35:07 ID:???
発 レイテ沖海戦ターン厨スレ 宛南雲スレ
本文
冬厨が2ch軍島海域に大挙出現の公算大なり、警戒されたし 1223
47 :
GF長官:2008/12/15(月) 21:35:38 ID:???
>>44 せっかくですが閣下、任地へお戻り下さい。
あちらに陸攻が用意してあります。従兵!ご案内しろ
前スレ
>>689 今更ですが過去スレにありました。
(改)スレ
>>729より全文引用。
「ややスレチだが暗号と言えば、米英は自分達がいかにして敵の暗号を
見破ったか 、敵の暗号の仕組みはどうなってたかについて、かなり自由
に書いている。 翻訳者もそのことに目を奪われてる。
Wikiのパープル暗号を執筆した方もそうだな。
しかし、戦勝国は今に至るまで、自分達が使っていた暗号の話を殆どして
いない。
我々が知ることが出来る情報は出身国によっても非対称だが、戦史につい
ては かなり相互の事情が分かるようになってきた。しかし、暗号技術は全然
そうではない。
枢軸の暗号技術が徹底的に晒されたのは二度と使いものにならなくするため、
戦勝国の暗号技術の詳細が殆ど分からないのは国家体制が生き残ったからだ。
動機の部分は書き下すと当たり前の事だけど、自分はあまり気にしてこなかった。
そういう目線でも物を見ていきたいと思うわ」
なるほどと思います。
やはり暗号は謎だらけすね。
48 :
GF長官:2008/12/15(月) 22:03:45 ID:???
>>46 そうか、もう冬休みか。年賀状書かないとな。
>>41の続き
MO作戦は、5月1日前後から各部隊がラバウル・トラックを出撃し、作戦発動と
なりますが、その前に4月中旬から第五空襲部隊による攻略準備航空戦が実施
されます。
前スレ
>>676で少し紹介しました「第五空襲部隊」についてふれておきます。
これは、第十一航空艦隊(塚原二四三中将)の第二十五航空戦隊(台南空・
四空・横濱空)に元山空(第二十二航空戦隊)を加えた部隊です。
[第五空襲部隊]指揮官:山田定義少将(第二十五航空戦隊司令官)
第一部隊(台南空)零戦45
第二部隊(四空)一式陸攻36
第三部隊(元山空)九六陸攻45
第四部隊(横濱空)九七大艇12
49 :
GF長官:2008/12/15(月) 22:05:36 ID:???
>>48の続き
中でも台南空は、笹井醇一中尉や坂井三郎一飛曹等、綺羅星の如きエースたち
を揃えた、誉れも高き「ラバウル航空隊」です(実際はラエ配備でしたが)
連日、オーエン・スタンレー山脈を越えて、300kmを隔てたポートモレスビー空襲に
出撃。詳細は『大空のサムライ』他をどうぞ。
坂井氏が、西沢広義一飛曹・太田敏夫二飛曹と共に、セブンマイルズ飛行場上空
にて「編隊宙返り」を披露したのも、この頃の話。
元山空はマレー沖海戦の殊勲部隊、
濱空はツラギに進出予定の大艇部隊です。
およそ2週間に渡る攻撃の結果、敵機102機を撃墜破するも、我が方の被害も多く、
また、B−26によるラバウル・ラエ空襲もあって、十分な戦果とは言えなかった。
MO作戦発動後は、攻略部隊の前路哨戒等も行う予定。
この間4月25日には、珊瑚礁を米機動部隊と誤認することも起きている。
とはいえ、基地航空隊の支援を受けられるというのは、心強いですね。
軍令部がMI作戦に反対し、MO作戦→FS作戦→米豪分断→豪州屈伏
と考えたのも、基地航空隊の傘下で着実に占領地を延伸するという、
まことに理にかなったものだと分かります(補給云々は別にして)
50 :
名無し三等兵:2008/12/15(月) 22:14:31 ID:???
>連日、オーエン・スタンレー山脈を越えて、300kmを隔てたポートモレスビー空襲に
大体、片道150海里 往復300海里前後か……山脈は高度の関係で辛そうだが、
滞空時間がたっぷりあって存分に働けたんだろうな。
51 :
GF長官:2008/12/16(火) 21:42:02 ID:???
>>46 すでに艦隊防空については十分検討しましたからね。備えは万全!
電探員「対空用電探に感」
長官「では艦長、あとの指揮は任せた」
艦長「はっ、総員戦闘配置 直衛零戦隊発進せよ」
見張「敵機視認、数約50、両舷より来襲」
艦長「対空戦闘開始、うち方始め!」
>>50 ま、ガ島に比べればね。片道1時間ですから。
『大空のサムライ』によれば、ラエの日の出は4時頃。
5時に基地を離れ、高度6千mでスタンレー山脈を越え、6時前にはもう敵地上空。
対空時間に余裕があるので、帰るふりをしてまた戻ってきたり、付近を捜索する等
「坂井の落穂拾い戦法」なんかも出てきます。
敵機の主力はP−39。
後のグラマン家の猫一族に比べれば、所詮はカツオブシですから。
37mmのモーターカノンは脅威ですが、当たらなければどうということはない。
見張をしっかりやっていれば大丈夫かな。
零戦最強!
銀翼連ねて 南の前線
揺るがぬ護りの 海鷲達が
肉弾砕く 敵の主力
栄えある我等ラバウル航空隊〜♪ (ラバウル海軍航空隊)
52 :
名無し三等兵:2008/12/16(火) 22:03:10 ID:???
>>51 >対空時間に余裕があるので、帰るふりをしてまた戻ってきたり、付近を捜索する等
>「坂井の落穂拾い戦法」なんかも出てきます。
当に理想的な距離ですね。これで後餓島に…
>ラバウル
当時居た軍人さんはラボールと呼んでいたそうです。
ラバウルという発音は出来無いハズだとのこと。
ので、歌に合わせて発音を変えたとか。
出典:プレジデント1990年3月「戦訓」ラバウル海軍航空隊
当時のプレジデントは優秀だった、編集長が替わってからただの経団連大本営発表本に。。。
53 :
GF長官:2008/12/16(火) 22:22:25 ID:???
>>49の続き
それでは、MO作戦発動。
まずは、5月3日ツラギ攻略から。
参考までに、日出は0437、日没は1614(日本時間)
現地時間は+2時間。以下珊瑚海海戦編終了まで共通。
前スレ
>>677の通り、4月30日にツラギ攻略部隊はラバウル出撃。
(ツラギ攻略部隊については、
>>17参照)
第五空襲部隊の対空対潜警戒の下、ソロモン海を南下。
(ラバウルとツラギの位置関係は、
>>15参照)
5月2日2200 ツラギ港外に集結
5月3日0100 呉第三特別陸戦隊、ツラギ島・ガブツ島に上陸(月齢17)
0500 ツラギ島・ガブツ島・タナンボゴ島掃討完了
哨戒部隊、水路掃海
0700 主隊・特務隊、入泊
基地設営作業開始
1400 横濱空九七大艇3機進出
1745 基地設営完了
(註)ガブツ島・タナンボゴ島は、ツラギ島の隣にある小島
結果的には、無血上陸となりました。
ツラギ配備の豪軍守備隊は、日本側の攻略企図を知り、事前に脱出。
一部の兵員が沿岸監視員(コーストウォッチャー)として島に潜伏。
基地設営と即日大艇進出により、翌朝から早速哨戒が開始され、珊瑚海
東半分は、日本軍哨戒圏に入りました。
攻略成功により、南洋部隊指揮官井上中将は、翌日1200をもってツラギ
攻略部隊の編成を解き、同隊はナウル・オーシャン攻略部隊として再編成。
54 :
GF長官:2008/12/16(火) 22:25:01 ID:???
>>53の続き
この連合国側の対応は、少し不注意な気がしますねぇ。
事前の偵察では居たはずの豪軍守備隊が一人もいなかった(しかも施設は
破壊されずにそのままの状態)となると、日本側に「敵は我が企図を察知した
のでは?もしかしたら暗号が解読されているんじゃ・・・」等の不審を抱かせる
結果になりかねない。
前スレ
>>691で、ウルトラ情報保持のためコベントリー空襲を黙認したチャーチル
の対応と比較すると、もう少し配慮が必要だったのでは。
幸い?日本側は全く気にせず、
「大君の御稜威に恐れをなしたか」
「皇軍無敵!」
くらいにしか思っていなかったのでしょうか。
さてこのツラギ島ですが、3ヵ月後に米軍の攻撃を受け玉砕。
濱空司令宮崎大佐は自決。
なにせ、米海兵隊四個大隊8000名に対し、我が方は第八四警備隊400名
だけですから。鎌やスコップで応戦したといいます。生存者わずか3名。
初めての「玉砕」と報じられるアッツ島よりも9ヶ月前の話です。
55 :
GF長官:2008/12/17(水) 21:09:30 ID:???
>>52 そうですね。Rabaulですから、英語読みだと「ラボール」かな。
あと「対空時間」じゃなくて「滞空時間」でした。すみません。
スレ立て以来PCが「軍板仕様」と化してしまっているので、漢字に変換する場合
まず、軍事用語が出てくる。
仕事の資料を自宅PCで作成する時、思わず苦笑してしまうことがありますね。
「新入社員紹介」のはずが、「侵入社員哨戒」って、何の任務だよ。
56 :
名無し三等兵:2008/12/17(水) 21:13:14 ID:???
>>55 >侵入社員哨戒
一時期、まあ、これは30年程前ですか、他社の命を受けてライバル社に新卒で入社。
入社後数年在籍し内部情報を送り続けた後、退社。
後は命を受けた本社の子会社の子会社の部長クラスのポストが用意されているってのがありました。
57 :
GF長官:2008/12/17(水) 22:15:23 ID:???
>>54の続き
幸先の良い出だしに思えたツラギ攻略ですが、思わぬ反撃を受けることになります。
攻略翌日(5月4日)の早朝、米機動部隊によりツラギが奇襲された。
0500 九七大艇3機発進、哨戒任務に就く(MO機動部隊の前程哨戒)
0530 駆逐艦「菊月」「夕月」、補給作業開始
0620 北方より敵機第一波来襲(SBD28機・TBD12機)
魚雷のうち1発が菊月に命中(ガブツ島対岸に擱坐、後沈没)
0742 井上長官、各部隊に命令
(MO機動部隊宛)米機動部隊を捕捉撃滅せよ
(基地航空隊宛)米機動部隊を索敵攻撃せよ
(ツラギ攻略部隊宛)北方に避退せよ
0930 敵機第二波来襲(SBD18機・TBD11機)
特設掃海艇2隻沈没・特設特務艇1隻擱坐(後に沈没)
水偵2機(九五水偵・零観)が応戦
1300 敵機第三波来襲(SBD21機)
駆逐艦夕月小破(ラバウルへ避退)
この三波にわたる空襲の被害は、
沈没4隻(菊月・特設掃海艇2隻・特設特務艇1隻)
小破2隻(沖島・夕月)
58 :
GF長官:2008/12/17(水) 22:17:38 ID:???
>>57の続き
第一波来襲時、駆逐艦2隻は補給中。輸送船2隻は桟橋にて揚陸作業中だったので、
全くの奇襲となってしまいました。
現地時間では朝8時過ぎですから、朝食を終えてそろそろ作業にかかろうかという時分。
沖島坐乗の志摩清英少将が緊急出港を命じた時には、すでに魚雷が投下され、水柱が
周囲を覆っていたという、なすすべもない状態。
米攻撃隊はヨークタウン機でしたが、28機のSBDが投下した500ポンド爆弾は全て
外れています。
後の祥鳳攻撃でも、第一波(ヨークタウンSBD28機)は全弾外した。
なんで、ミッドウェーではあれ程見事に命中させたのか。全く分からない・・・
しかしながらMO機動部隊の進出により、避退中の沖島は反転。翌5日1510にツラギ帰着。
なんとかツラギの基地の確保には成功。
いったい米機動部隊はどこに居たのか。
また、「敵水上部隊出現に備えながら攻略支援」するはずのMO機動部隊は何をやっていたのか。
59 :
名無し三等兵:2008/12/17(水) 22:29:27 ID:???
ツラギ 停泊目標
ミッドウェイ 発艦体勢の空母…一応動いてはいるが。
謎ですね。
60 :
名無し三等兵:2008/12/18(木) 09:13:42 ID:???
珊瑚海海戦の戦訓により
飛行甲板にラッキーストライクが描かれた
からね……
61 :
GF長官:2008/12/18(木) 21:42:38 ID:???
>>56 ほぉ・・・「侵入社員哨戒」は、あながちネタではなかったわけか。
>>59 まぁ、目標の大きさもあるでしょうが。巨大な飛行甲板は格好の的。
>>60 しまったな。マルボロにしておけば手元が狂ったかも。
62 :
GF長官:2008/12/18(木) 22:41:24 ID:???
>>58の続き
前述の通り米海軍にとって、日本軍の攻略部隊がソロモン方面に進出して
くることは、想定済みでした。
これに備えるため、5月1日早朝、エスピリッサント島西南西250浬地点で
ヨークタウン・レキシントン・重巡部隊が合同。フレッチャー少将の指揮下に。
(註)エスピリッサント島は
>>15のガ島とヌーメアの中間付近の島
両空母は一旦分離し、洋上給油を済ませた後、5月4日に再び合同予定だった。
給油の際分離するのは、敵の攻撃に備えてということかな。
5月3日、日本軍のツラギ攻撃の報を受け、フレッチャー少将は以下を命令。
(1)油槽船ネオショーに駆逐艦シムスをつけて分離
(2)両艦はレキシントンと合同
(3)レキシントンは5月5日払暁ガ島南300浬でヨークタウンと合同
その後ヨークタウンは北上し、5月4日0500ガ島南西100浬地点に達し、
0530第一波攻撃隊を発進。
以降は、
>>57の通りです。
63 :
GF長官:2008/12/18(木) 22:44:09 ID:???
>>62の続き
一方のレキシントンが(3)の命令を受け取った時、ヨークタウンとの距離は250浬も
あったため、ツラギ空襲には参加できなかった。
250浬というのは、少し離れ過ぎのような気もしますが、『戦史叢書』によれば、
「両隊は行動を秘匿するため、厳重な電波管制を実施中で、分離以来必要な通信
さえも実施していなかったのである」
つまり、(3)の命令は無電ではなく、レキシントンがネオショーと合同した時に、
ネオショーから直接受け取ったというわけです。
これでレキシントンの対応が遅れた理由も分かりますね。
真珠湾やミッドウェーで、さんざん南雲長官を悩ませた「無線封止」ですが、
米側も事情は同じだったようだ。
参考までに、南太平洋海戦では、
「一方南雲中将は、その東方100浬を同じく南下しながら、東南方に対する
警戒を厳重にし、近藤部隊の間接掩護を行っていた。両艦隊は電波を出せば
その位置を暴露するので、相互に飛行機を派遣してはその位置を確認し、
関係位置を正しく保つことに苦心していた」 (『機動部隊』淵田・奥宮/共著)
「相互に飛行機を派遣」するなんて、まさに中世の伝書鳩じゃないか。
ずいぶん手間のかかる作業ですが、確実な方法といえばそうかもしれません。
これもミッドウェーの戦訓なのだろうか。
64 :
GF長官:2008/12/18(木) 22:46:06 ID:???
>>63の続き
>>57にあるように、フレッチャー少将のヨークタウンは三波の攻撃隊を出しますが、
0530 第一波発進
0620 ツラギ空襲
0730 第一波帰投
0830 第二波発進
0930 ツラギ空襲
1030 第二波帰投
1200 第三波発進
1300 ツラギ空襲
まるでシャトルバスのようだ・・・
100浬という至近距離だからこその為せる業と言えるでしょう。
攻撃隊帰投から1時間で次の発進準備が整うというのはさすがですね。
ウェーク島救援失敗によほど懲りたのか、徹底した反覆攻撃を行っている。
ここで注目すべきは、攻撃隊に戦闘機(F4F)の護衛がついていないこと。
その理由については、
「これらの雷爆撃機には戦闘機の護衛がつけられていない。ヨークタウンの搭載
戦闘機はグラマンF4F18機にしかすぎなかったので、戦闘機は日本軍の反撃
に備えて母艦上空に配備しなければならなかった」 (『暁の珊瑚海』)
65 :
GF長官:2008/12/18(木) 22:48:08 ID:???
>>64の続き
米空母の搭載機は、
ヨークタウン F4F18機 SBD35機 TBD10機
レキシントン F4F18機 SBD36機 TBD12機
日本側は、
瑞鶴 零戦20機 九九艦爆21機 九七艦攻19機
翔鶴 零戦17機 九九艦爆21機 九七艦攻16機
ここに、母艦戦闘機に関する日米双方の思想の違いがハッキリと現れています。
(日)制空隊(攻撃隊の護衛)を確保してから、残りを母艦直衛にまわす。
(米)母艦直衛を確保してから、余裕があれば攻撃隊につける。
全く正反対ですね。どちらが有効かは状況によると思いますが。
史実では間に合いませんでしたが、もしMO機動部隊が予定通りに南下していれば、
ツラギ上空には「最強の零戦隊」が待ち構えていたかもしれません。
更に、ガ島南方100浬という距離ならば、日本側索敵機に発見され、攻撃を受けて
いたかもしれない。
戦場というのは、本当に紙一重ですねぇ。
ヨークタウンは第三派攻撃隊を収容した後、レキシントンとの合同地点に向かうため南下。
さて、問題のMO機動部隊。絶好の会敵機会を逃してしまったわけですが、いったい何を
していたのでしょうか。
66 :
GF長官:2008/12/18(木) 22:49:54 ID:???
スバルのWRC撤退発表。
実に残念だ。
しばらくは、帝政ローブ時代が続くのか・・・
明日は忘年会のため、またお休み。
今回は社長臨席らしいので、おとなしくしていよう。
67 :
名無し三等兵:2008/12/19(金) 05:06:09 ID:???
>>63 無線封止でお互いの位置がわからないはずなのにネオショーとシムスはレキシントンとよく合流できたな。
68 :
名無し三等兵:2008/12/20(土) 14:23:53 ID:???
>>60 > 飛行甲板にラッキーストライク
急降下爆撃の照準には格好な目標だったらしい。
しかし誰も危険性は感じなかったのかね。
69 :
名無し三等兵:2008/12/20(土) 17:33:39 ID:???
70 :
GF長官:2008/12/20(土) 18:38:37 ID:???
>>67 詳しい記述はありませんが、予め行動予定は決められており、おおよその
位置は分かっていたのではないかと。
ただ無電が使えないので、「予定変更」になった場合伝える手段がない。
『暁の珊瑚海』には、
「『5月4日、南緯15度・東経157度の地点で合同すべし』
フレッチャー少将は、レキシントンあての緊急信を発したあと、残った駆逐艦群
への洋上補給を行いながら、ゆっくりと西進を開始した」とあります。
「緊急信」というからには、無電ですよねぇ。
それとも、ネオショーに伝達を命じたという意味なのか。
『戦史叢書』と矛盾しますが、どっちが本当なんだろう。
>>68 そういう話は聞かないですが・・・
確かにあれだけ目立つと、敵側にとっては有利ですよね。
>>69 「SAMBAR」の由来は、インド産の鹿らしい。
最近は土曜出勤が少なくなったので、天気も良いし洗車三昧。
年末までにワックスがけを終わらせたい。
71 :
GF長官:2008/12/20(土) 19:47:57 ID:???
>>65の続き
前スレ
>>677の通り、MO機動部隊は5月1日にトラックを出撃し、南下。
途中2日にラバウルに零戦を空輸する予定だったが、天候不良のため実施
できなかった。
これが、米機動部隊のツラギ空襲に間に合わなかった理由です。
5月1日 トラック出撃
1630 天候悪化(発着艦不能)
前路警戒機・対潜水直衛機は母艦に収容できず、トラックへ帰投
(瑞鶴の艦爆1・艦攻1、翔鶴の艦攻1)
5月2日 早朝の位置、ラバウルの北東240浬
1015 零戦9・艦攻4、ラバウルへ向けて発進
(零戦は台南空補充用の機体、艦攻は空輸用搭乗員を乗せて帰るため)
しかし天候不良のため、途中で反転帰投、空輸中止
5月3日 同じく天候不良(雨のため視界1km以下)
1000 零戦9・艦攻4、ラバウルへ向けて発進
(やはり天候不良のため反転)
1235 母艦に帰投(豪雨の中着艦したため、零戦1機が海中に転落)
歴戦の機動部隊もお天道様にはかなわない。
72 :
GF長官:2008/12/20(土) 19:50:17 ID:???
>>71の続き
『戦史叢書』の「付図第二」(ツラギ攻略作戦各部隊行動図)によれば、
5月2日の零戦・艦攻の発進後、MO機動部隊は収容に備えて周回運動を
しており、丸一日南下していない。
まだこれは当初の計画通りなのですが、この日の空輸に失敗し、第五空襲
部隊指揮官の強い要望により、翌3日再度空輸を実施することになった。
これには、当時第五空襲部隊第一部隊(台南空)の稼動零戦がわずか10機
で、新たな9機の空輸がなんとしても必要だったという事情がありました。
しかし、3日も悪天候に阻まれて、またもや空輸失敗。
前スレ
>>677にあるように、4日は第一次補給が予定されていたので、5日に
再々度空輸を実施する予定だった。
その補給の最中に、「ツラギ奇襲さる」の報告を受けます。
全く、米側は狙ってやっているんだろうか・・・
直ちにMO機動部隊は南下し、ツラギ方面へ向かったため、結局ラバウル
空輸は行われなかった。
台南空が受領予定だった9機の零戦は、その後どうなったのかな。
ミッドウェーでの六空零戦みたいに母艦直衛に上がったのかもしれません。
73 :
GF長官:2008/12/20(土) 19:53:25 ID:???
>>72の続き
5月4日 早朝の位置、南緯4度・東経158度
0500 給油艦東邦丸と会同
洋上給油開始
0640 ツラギ被空襲の報が入る
0655「巡洋艦ノ補給ヲ取止ム、補給艦ノ警戒ハ次期受給艦之ニ任ズ」
(妙高発各艦宛、高木中将・妙高の給油中止を命令)
「本日、不時会敵警戒待機ヲナセ」
(瑞鶴発翔鶴宛、原少将・警戒態勢発令)
「駆逐艦ノ補給ヲ行ヒ、敵機動部隊出現ノ方向ニ向ハントス」
(妙高発各艦宛、高木中将・駆逐艦は補給完了次第本隊を追うように命令)
洋上補給を始めた直後に報告が入るなんて、なんとも間の悪い。
MO機動部隊は給油を中断し、直ちに米機動部隊捕捉に向けて動き出す。
>>16のうち、五戦隊・五航戦・駆逐艦3隻(有明・夕暮・白露)が南下を開始。
残りの駆逐艦3隻(曙・潮・時雨)は給油完了後、本隊を追求するように命令。
そして、0800時索敵機発進。
瑞鶴艦攻6機、3線(130度〜150度各線2機)進出距離250浬、側程20浬。
とはいえ、ツラギまでは340浬、米機動部隊は更にその南100浬ですから、
発見はほぼ不可能といっても良いでしょう。
索敵機は敵情を得ず、1150に全機帰投。
74 :
GF長官:2008/12/20(土) 19:55:06 ID:???
>>73の続き
「空輸作業が順調に行われておれば、同隊(MO機動部隊)は、5月4日早朝
ツラギまで220浬の距離にあり、ツラギに上空直衛機の派出が可能であった
ばかりでなく、状況によっては米機動部隊を捕捉攻撃し得る機会も十分にあっ
たわけである。しかし現状は、ツラギの北西約340浬にあって掩護戦闘機の
派遣は困難であった」 (『戦史叢書』)
この間、ツラギの敷設艦沖島からは次々と被害状況が入電されてくる。
原少将としては、なんともやり切れない気持ちだったでしょう。
「MO機動部隊はひたすら南下を続けるが、戦闘機空輸のために費やした、
丸一日間の空白は埋めることが出来ない。ラバウルの四艦隊司令部からは、
『MO機動部隊ハ為シ得レバ、速ニ「ツラギ」ノ掩護機ヲ出スベシ』と矢の催促。
そんなことは分かっている!と瑞鶴艦橋にいた幕僚の一人がいらだつように
言った。このまま高速で南下しても、ツラギ南方海面に進出できるのは翌日
以降なのだ。
五戦隊旗艦妙高からラバウル宛て、そっけない返電が打たれる。
『ツラギ上空掩護機ノ派遣不可能』」 (『暁の珊瑚海』)
綿密に組み上げられた作戦計画が、少しずつほころび始めたようです。
75 :
名無し三等兵:2008/12/20(土) 20:52:11 ID:???
>>71 スレの初期の頃に機動部隊の前路・対潜哨戒や空母による基地航空隊への輸送状況が話題になって頭を悩ましてたのが嘘のようにサラリと書かれてるな。
76 :
名無し三等兵:2008/12/21(日) 02:11:41 ID:???
、、、、を入れる演習ですね。 \|
‖ □__?_| <>75着艦よろし
/| _|___|_
____、_____、__、___、_____/_||_| |/___________
(第一制動索) 2 3 4 |_|_|_
_________________________________/
77 :
GF長官:2008/12/22(月) 21:12:05 ID:???
78 :
GF長官:2008/12/22(月) 22:06:01 ID:???
>>74の続き
前スレ
>>677の通り、5月4日、ポートモレスビー攻略部隊はラバウルを出撃。
第五空襲部隊が対空警戒・対潜哨戒にあたる。
5月4日はツラギが空襲を受けた日でもありますが、これにより出撃延期等の
措置がとられることはなかった。その理由について、
「敵機動部隊は、わがMO機動部隊の進出によって避退するか、または捕捉
撃滅されるかのいずれかであり、計画の変更を認めないと判断したためである。
当時わが海軍においては、わが空母部隊は世界最強であると考えられていた」
(『戦史叢書』)
まぁ、「世界最強」には異論はありませんがねぇ・・・
確か、ミッドウェーの時も同じことがあったような。
「いよいよ明日は出陣なり。聯合艦隊出動の出陣なり。今は唯よき敵に逢はしめ
給へと神に祈るのみ。敵は豪州近海に兵力を集中せる疑いあり。かくて大決戦は
出来ず。我はこれをおそれる」 (『三和日誌』5月28日)
79 :
GF長官:2008/12/22(月) 22:07:43 ID:???
>>78の続き
今日の我々からすると「慢心にも程があるぞ」と苦言の一つも呈したくはなりますが、
よく考えてみると、これまでの米機動部隊の活動と言えば、
2月1日 マーシャル・ギルバート諸島空襲
2月10日 ラバウル空襲
2月24日 ウェーク島空襲
3月4日 南鳥島空襲
4月10日 ラエ・サラモア空襲
4月18日 東京空襲
いずれもいずれも、「ヒット・アンド・アウェイ」の一撃離脱攻撃ばかりであり、
こちらの隙をついて「嫌がらせ」をしては姿をくらますという逃げ腰な作戦しか
していない。
まさか歴戦の(南雲じゃないけど)機動部隊に、正面きって戦いを挑んでくる
とは思わなかったというのも、慢心の一言では片付けられないですね。
「五航戦では、むしろわが航空部隊の進出により、敵空母が恐れて避退して
捕捉できなくなるのではないかと心配したほどであった、という日本側の満々
たる自信は、当時の機動部隊全体に流れていた昂揚した空気を伝えていよう。
米空母は、すでに遠く南に避退してしまったのではないか。珊瑚海に日本空母
が進出すれば、果たして彼らは正面から戦いを挑んでくるであろうか」
(『暁の珊瑚海』)
80 :
GF長官:2008/12/22(月) 22:10:22 ID:???
>>79の続き
明けて5月5日。
[MO機動部隊]
引き続き、ツラギへ向けて南下。
0400時から索敵を実施するも、敵情を得ず。
午後になって、珊瑚海に進出。
[MO攻略部隊]
主隊は補給作業。
0700時に祥鳳と漣を分離し、ポートモレスビー攻略部隊と合流させ。上空警戒にあたる。
[掩護部隊]
1300時ショートランド出撃。翌6日にデボイネに水上機基地を設置予定。
祥鳳と漣(さざなみ)は輸送船団と合同し、前スレ
>>665で紹介した陸軍南海支隊の
大歓迎を受けることになります。
それにしても、8節ですからねぇ。鈍足の輸送船に合わせる祥鳳も大変だったと思い
ますよ。
ちょうど、F1のレース中にセイフティカーが入った時のようなもので(メルセデスの
SLKか?)たぶん100km/h以上は出しているんでしょうが、後続するF1マシンが
右に左に蛇行しながら、せっついてますよね。
8節だと「半速」くらいですから、原速(12節)以下。こんな低速で二日間も航行して
いたら、機関がいかれるんじゃなかろうか。
81 :
GF長官:2008/12/22(月) 22:11:56 ID:???
>>80の続き
一方の米側はというと、
ヨークタウンはツラギ空襲後直ちに離脱、南下して、予定通り5日1730時に
レキシントンと合同。補給作業に入った。
ちなみに0830時頃(祥鳳が主隊から分離し、輸送船団と合流する前)
ブーゲンビル島南方にて、祥鳳は豪州基地のB−25に発見されている。
(註)ブーゲンビル島は、ラバウルの南東約100浬にある島。
ショートランド島は、ブーゲンビル島南端にある。
ところが、この情報は米陸海軍の連携がうまくいっていなかったためか、
フレッチャー少将には伝わらなかったようです。
マッカーサーとニミッツの仲が悪かったからかな。
陸海(空)軍の相克は万国共通か。
82 :
GF長官:2008/12/22(月) 22:13:25 ID:???
>>81の続き
ただ、以下の側面もありましたので。
「このように豪州北部からの長距離索敵が、ソロモン諸島からラバウルにかけて
行われていたが、あまり効果はなかった。
天候不良と、陸軍の搭乗員の目標識別に慣れていなかったためである。
輸送船や駆逐艦が、空母や戦艦と報告され、また報告位置も不正確であったので
その報告にはあまり信用がおけなかった」 (『戦史叢書』)
ま、陸軍兵に「正確な艦種識別・洋上航法」を求めるというのも、無理な話か。
本職も、零戦の各型の識別なら容易ですが、戦車や自走砲となるとさっぱり。
ティーガーやチハくらいなら分かりますが。
この点では、「陸攻」を有す我が方が有利かな。
嵐の前の静けさか、5月5日は、日米双方とも主だった動きはなく暮れていきます。
井上長官にしても、ツラギの被害は少なからずあったが、MO機動部隊が珊瑚海
に進出したからには、とりあえずは一安心といったところでは。
無理言って、五航戦を派遣してもらって良かったよ。
83 :
GF長官:2008/12/23(火) 21:53:51 ID:???
>>82の続き
「五月六日ー本来ならば、この日に珊瑚海海戦が生起しているはずであったろう。
日米両軍の索敵機は互いに相手部隊を視認しながら好機を逸した。それには、
さまざまな理由があげられる。珊瑚海の南に張り出してきた寒冷前線、正確な
情報の不足、あるいはこの日まで度々繰り返されてきた協力体制の欠如、司令部
の判断ミス、不決断・・・」 (『暁の珊瑚海』)
森史朗氏が指摘する通り、この日、日米機動部隊の「ニアミス」が現出する。
そして本日の主役は、ツラギの横濱空九七大艇(山口清三飛曹長機)
0430 ツラギの九七大艇5機・哨戒に発進
0810「敵ラシキモノ見ユ、大部隊、基地ヨリノ方位192度・420浬」(大艇・敵艦隊発見)
0830「敵ラシキ空母1・戦艦1・重巡1・駆逐艦5見ユ、針路190度・速力20節」(続報)
0835「付近天候晴、視界50粁、雲量4〜5、雲高1000米」(続報)
0910「直チニ雷撃準備ヲナシ、好機敵空母ヲ攻撃セヨ」
(第五空襲部隊指揮官発・横濱空司令宛・米機動部隊攻撃を下令)
1200「敵ノ航行序列、重巡・戦艦・空母、駆逐艦5ハ、ソノ前方3粁ニ捜索列ヲ張ル
各艦ノ距離500米、空母ノ甲板ニ飛行機30機アリ」(続報)
1200 ツラギより大艇1機発進(触接交代用)
1220「我触接ヲ失フ、帰途ニツク、付近天候曇リ、視界10粁、雲高300米」
(大艇・燃料不足のため帰投を報告)
1700 触接交代の大艇・推定敵位置に到達するも発見できず
84 :
GF長官:2008/12/23(火) 21:56:52 ID:???
>>83の続き
後の5月8日菅野兵曹長機を彷彿とさせる、正確で十分な索敵報告です。
まず驚くのは、九七大艇の長大な航続距離。
ツラギから420浬の敵艦隊を発見し、更に4時間に渡って触接を継続とは。
2500浬を超える航続距離は陸攻に匹敵し、120節の巡航速度ならば20時間
もの飛行が可能。
後継の二式大艇は3月5日の「K作戦」で実戦投入されていますが、昭和17年
中に生産されたのがわずか13機(涙)という状況ですから、とても作戦には使用
できないですね。
敵艦隊発見の報告を受けて、第五空襲部隊司令官山田定義少将は、大艇に
よる雷撃を下令しますが、準備が間に合わず実施されなかった。
「施設や機材の整備されていない生地の臨時水上基地において、800キロの
魚雷を大艇に装備することは、極めて困難な作業であった」 (『戦史叢書』)
こりゃ、兵装転換どころの騒ぎじゃないな。
ちなみに、九七大艇には九一式航空魚雷を2本搭載できます。
85 :
GF長官:2008/12/23(火) 21:57:59 ID:???
>>84の続き
本職も、この点をあれこれ批評する気にはなれませんね。
低速の大艇を向かわせたところで、投下前に撃墜されるのが関の山でしょう。
「最大時速でも340キロ、鈍足の飛行艇が米軍戦闘機の待ち受けるなかに
魚雷を抱いて突入して行けば、どういう事態が起こるかは明白であろう。
結果的には、横浜空はツラギに進出したばかりで機材の準備が間に合わず
出撃できなかったが、もし頑迷な指揮官がいて発進を強行していれば、何の
効果も挙げ得ないまま全機未帰還となったはずである」 (『暁の珊瑚海』)
米空母の攻撃は、やはりMO機動部隊の仕事です。
さぁ原先生、出番ですよ!
86 :
名無し三等兵:2008/12/24(水) 18:01:04 ID:???
>>83 珊瑚海でも「敵らしきもの」で報告してたんだな。
しかしいくら滞空時間が長いとは言え交代機の出発が遅すぎる。
17年5月現在の外地飛行艇隊は21航戦の東港空と24航戦の14空と25航戦の浜空に各16機の大艇か。
哨戒メインだから定数が少ないのか(水偵隊の定数も各12機程度)生産性の問題なのか。陸攻は36〜48機が定数で各地に多数配備されてるのを見ると寂しい数字だ。
しかし水上部隊や輸送船相手ならともかく機動部隊を大艇で攻撃とはな。
ラバウル空襲時に陸攻で米機動部隊迎撃して大損害出してるのに反省してないな。
これが索敵軽視・攻撃偏重の海軍精神なんだろうか。
87 :
GF長官:2008/12/24(水) 21:01:05 ID:???
>>86 そうですね。
>しかしいくら滞空時間が長いとは言え交代機の出発が遅すぎる。
同感ですね。『戦史叢書』に理由は記されていませんが、おそらく整備が
間に合わなかったというところでしょうか。
>しかし水上部隊や輸送船相手ならともかく機動部隊を大艇で攻撃とはな。
山田定義少将は、この後新生第三艦隊参謀長として、小沢長官の下に
ついてますね。
この時の判断は無謀と言われても仕方ないですが。
88 :
GF長官:2008/12/24(水) 21:16:19 ID:???
今TBSで「あの戦争は何だったのか、日米戦争と東条英機」が放映中。
まぁ、TBSなので期待はしていませんでしたが、予想を裏切らない内容だったので、
感想をだらだらと。
「なぜ無謀な戦争に突入したのか。今検証しないと過ちは繰り返されるでしょう」
ということらしいですが、この過ちとは何だ。
「真珠湾で空母や重油タンクを見逃した」
「海上護衛を軽視した」
「ガ島に戦力を逐次投入した」
まさかね・・・
統帥権と暗号解読とアリゾナ記念館と徳富蘇峰を取り上げて、当時の国際情勢に
一切触れることなく、開戦経緯の何が分かるというのだろう。
前スレ
>>706でもあった『歴史群像太平洋戦争』を脚本にすれば良い番組が出来る
と思うのだが。
徳富蘇峰が文筆により、国民を戦争へと駆り立てたと言いたいらしいが、彼にその
原稿を書かせたのは、どこの新聞社なんだ?
真珠湾攻撃で「リメンバー・パールハーバー」と「外交暗号解読」を紹介しながら、
「最後通牒遅延」をスルーとは・・・
まだまだ、挙げればキリがありませんが、結論ー
良かったのは、松嶋奈々子のナレーションのみ。
今は後半のドラマパートですが、
(伊)スレ
>>134で南雲長官役にビートたけしはどうか、と発言しましたが、
撤回させて頂きます。
12月8日前後でなく、なぜこの時期に放送するのか。
ひょっとしたら、昨日75歳の誕生日を迎えられた今上陛下を更に煩わせる
意図か、とさえ思ってしまう。
89 :
GF長官:2008/12/24(水) 21:39:21 ID:???
>>85の続き
前スレ
>>677の予定では、「MO機動部隊の第二次補給作業」は5月8日の
予定でした。しかし、4日の第一次補給はツラギ被空襲の影響で中途半端に
なってしまった。
そこで、この6日に補給作業を実施することになった。その矢先またもや、
「敵艦隊発見」の報が入ります。
なんとも間の悪いことだ。
0500 MO機動部隊・給油艦「東邦丸」と合同
補給作業開始
0850 大艇の米機動部隊発見報告を受信(
>>83の0810電)
1000 五航戦と駆逐艦2隻(有明・夕暮)南下開始(針路180度・20節)
1030 五戦隊・南下開始(五航戦に続行)
1430 五戦隊・反転北上
1650 五戦隊・東邦丸と合同(補給再開)
1800 五航戦・反転北上
0850時大艇の報告を受信した時、MO機動部隊はツラギ西方180浬地点
(南緯10度10分・東経157度55分)で補給作業中。
米機動部隊の報告位置との距離は360浬であり、攻撃隊を出すには少し遠い。
そこで、距離を詰めるため南下を開始します。
『第五戦隊機密第八五三番電』によれば、
「航空部隊(補給終レル駆逐艦二隻ヲ附ス)針路180度・速力26〜30節」
「第五戦隊ハ補給ヲ見合ワセ南下、駆逐艦四ハ補給済次第追求セシム」
「東邦丸ハ駆逐艦ノ補給終ラバ続行セシム」 (『戦史叢書』)
90 :
GF長官:2008/12/24(水) 21:45:31 ID:???
>>89の続き
図示するとこんな感じ。
■ツラギ
●東邦丸+駆逐艦4隻(曙・潮・白露・時雨)補給作業中
▼五戦隊(妙高・羽黒)南下
↓
▼五航戦+駆逐艦2隻(有明・夕暮)南下
↓
甲点 ←▽米TF17(針路290度で西進中)
91 :
GF長官:2008/12/24(水) 22:01:14 ID:???
>>90の続き
『戦史叢書』の付図第四「珊瑚海海戦MO機動部隊行動図」を見ると、
MO機動部隊は南下、米機動部隊は西進し、ちょうど甲点(南緯14度・東経158度付近)
で合同するかのように、接近していきます。
次回詳述しますが、両機動部隊は90浬まで接近するも、双方とも気づかず。
確かマレー沖海戦でも、小沢艦隊と英艦隊が9kmまで接近したということもありましたが。
この時点で、MO機動部隊は米側には一切発見されておらず、当然ながらフレッチャー
少将も知らない。
これは、MO機動部隊がソロモン諸島を東回りで迂回しながら珊瑚海に進出したため、
豪州基地米陸軍機の哨戒圏外を航行していたからだと考えられます。
しかも、TF17は補給作業中であり、4時間にわたる大艇の触接にも気づいていなかった。
当時のニ空母にはレーダーが装備されていたが、まだ不十分だったという事情もあった。
つまり、奇襲成功の公算大だったというわけです。
92 :
GF長官:2008/12/24(水) 22:06:44 ID:???
>>91の続き
「遺恨なり十年 一剣を磨く 流星光底 長蛇を逸す」(頼山陽)
真珠湾で逃して以来、遺恨五ヶ月。
ついに発見した米機動部隊だというのに・・・
千載の痛恨事と言えるでしょう。
>>89の通り、五戦隊・五航戦ともに米空母発見前に反転北上している。
さらに不可解なことには、瑞鶴・翔鶴は南下中に索敵を実施していない。
高木中将、原少将、両人はいったいどういう意図だったのでしょうか。
93 :
名無し三等兵:2008/12/24(水) 22:16:20 ID:???
>>88 > 良かったのは、松嶋奈々子のナレーション
声劣化してるじゃん
聞くに耐えん
94 :
名無し三等兵:2008/12/25(木) 00:37:00 ID:???
>>88 ああ、見る以前にそう言う放送があることも知らなかった。
ビデオ見てましたよ、最後の三十分程度見ましたが、
保坂がぽんと出た居たのでまあ、気にすることも無かろうと…って保坂の本のドラマ化?
陛下に対し奉り、散々政府を引っかき回した陸式が今更何をほざくか。
こちこちのナチに傾倒して、世界情勢を見誤り、右翼を操り、憲兵は陸軍のスパイ。
国家総動員法では、アホな論旨で議会をかき回した割に、実情はまったく総動員になっておらず
陸軍横流し法みたいなもんだ。
>あの戦争は何だったのか、日米戦争と東条英機
こんなの放送するよりかは、激動の昭和史 東京裁判 を放映すればよい。
最初にTV放送されたのは1984年8月 前後二回に分けて放映(後編は日航機が墜落した日に被った)
>当時の国際情勢に一切触れることなく、開戦経緯の何が分かるというのだろう。
同意。 阿川の山本五十六をドラマ化した方がいい。
海外情勢まで詳細に描写しているからいいんじゃないかと思うぜ。
中国の暗号が漏れているというか解かれていたのは、戦前でもなく戦中も漏れまくり
お陰で米国は「貴国の暗号は漏れているので重要な情報や覚書を送れない」とか返信して居るぐらいだ。
ポツダムでトルーマンが中華民国の了承を得なかったのも暗号が漏れていたから。
>なぜ無謀な戦争に突入したのか。今検証しないと過ちは繰り返されるでしょう
海軍関係者やそれ系の文人はハッキリ40年前から言っている「満州事変」が致命的だった。
その検証は、東京裁判でしっかりやっているんだけどなあ。
あの映画は黒歴史か? 詰まらないアホ史観で色眼鏡でこの映画を貶めるから田母神の様なのが出るのさ。
95 :
名無し三等兵:2008/12/25(木) 00:37:43 ID:???
>国民を戦争へと駆り立てたと言いたいらしいが、彼にその
>原稿を書かせたのは、どこの新聞社なんだ?
朝日新聞以下、日本の全ての新聞社132社じゃね?
この翼賛新聞132社+日本言論界(ジャーナリズム)が日本言論機関の名で満州国独立支持の声明とかしているし。。。
>誰の責任
政治家を完璧にスルーには呆れかえった。
軍人と官僚、そして大衆迎合政治家、大陸に利権持つ政治家があの戦争へのフラグを立てまくった。
奥宮も著書「真実の太平洋戦争」で、日本の政治システムはそんなに単純なものではない。
軍人だけが暴走して国家全体が戦争に流れる程、日本の政治システムは単純ではなかった。と、
その理由を、かなりのページを割いて記述しています。 やはり本は大切。
>今上陛下を更に煩わせる
そんな意図はないでしょう、ただ、この番組で更に勘違いする人が出ることを恐れますな。
96 :
名無し三等兵:2008/12/25(木) 00:40:17 ID:???
>>92 >瑞鶴・翔鶴は南下中に索敵を実施していない。
不思議ですね、
97 :
名無し三等兵:2008/12/25(木) 14:45:29 ID:???
98 :
GF長官:2008/12/25(木) 21:19:02 ID:???
>>94 ありゃ、本職は大河ドラマの「まつにお任せ下さりませ」がお気に入りだったのですが・・・
後半のドラマパート「大本営・政府連絡会議」は、映画『軍閥』を思い出しながら楽しめましたね。
陸軍「ここはソ連を牽制して、友邦ドイツの側方支援をだな・・・」
企画院総裁「北進しても、石油は手に入りませんぞ」
首相「海軍はどうなんだ。米英と戦って勝てる見込みはあるのか」
海軍「やれと言われれば、一年や一年半は存分に暴れてご覧にいれますが・・・」
首相「その後はどうするつもりだ」
海軍「・・・」
企画院「そうですよ、長期戦にならない保証はどこにもない」
海軍「とにかくだ。海軍としては石油がないことには戦争は出来ぬ。
まず南方資源地帯を確保して、長期持久態勢を構築しなければならん」
首相「お上は武力ではなく、外交で打開せよという御意思である」
外相「ぜひ対米乙案でやらせて頂きたい。これは外務省の総意です」
陸軍「仏印からの撤兵など、陸軍には到底承服できん」
海軍「海軍としても、これ以上延びると石油備蓄量が不足して作戦行動が不可能となる」
外相「そこをなんとか・・・」
連絡会議の迷走も続く・・・
これで「共同謀議」とは笑わせる。
99 :
GF長官:2008/12/25(木) 21:20:26 ID:???
>>94 全く同意
>こんなの放送するよりかは、激動の昭和史 東京裁判 を放映すればよい
最近映画『明日への遺言』(岡田資陸軍中将のB級戦犯裁判の話)を見ましたが、
『東京裁判』を思い出しました。ナレーションの構成がよく似ている。
>>95 そうですね。
>>今上陛下を更に煩わせる
>そんな意図はないでしょう、ただ、この番組で更に勘違いする人が出ることを恐れますな
これについては、番組冒頭で「12月24日が東条元首相の葬儀の日」と紹介されて
いましたので、それが理由なのでしょうが、A級戦犯絞首刑執行が12月23日に実施
されたのは、GHQが今上陛下の天長節に合わせたからと言われていますので、
少し気になった次第です。
>>96 それは今日の本編にて。
>>97 演技力云々ではなく、単に想像していたのと違ったという理由です。
やはり黄門様が一番かなぁ・・・
100 :
GF長官:2008/12/25(木) 22:06:47 ID:???
>>92の続き
>>89にあるように、五航戦に続いて南下していた五戦隊(高木中将指揮)は、
1430時に反転北上。再び東邦丸と合同して補給を再開している。
この行動の根拠は、1300時の「情勢判断」によります。
全文引用は長いので、要約すると、
(1)敵情
「敵機動部隊はツラギ空襲後南下避退、我が索敵圏外を機宜行動」
「我が攻略部隊の進攻点を確認の上、再空襲を企図している」
「MO機動部隊は、まだ発見していない」
「敵機動部隊は、明7日早朝、ルイジアード諸島方面に来攻する算大」
「敵は我が攻略部隊の進攻点が東ニューギニア方面であることは予測している
であろうが、ポートモレスビーであることまではつかんでいない」
「よって、ルイジアード諸島南方の珊瑚海上で、我が攻略部隊が進出して来るのを
待ち受ける行動をとると思われる」
(註)ルイジアード諸島については、
>>15参照
(2)味方情勢
「本日(6日)0900時以後、友軍航空機は触接を失し敵の動静は不詳」
「我が五航戦も南下進撃中だが、これを捕捉する公算は少ない」
101 :
GF長官:2008/12/25(木) 22:08:46 ID:???
>>100の続き
(3)判決
「我(MO機動部隊)は未だ発見されず。
明7日早朝敵を発見すれば先制攻撃の好機である」
「敵が本日出現位置(ツラギ南方420浬)の南方を行動をする場合、或いは
ルイジアード諸島南方で我が攻略部隊を待ち構えている場合、いずれに
おいても敵を確保するため、前者は当部隊で、後者はデボイネ及び攻略
部隊の水偵をもって、明7日早朝より一斉索敵を実施する」
「当部隊は明7日早朝の索敵は、本日敵所在位置方向に実施。敵を捕捉し、
これを撃滅するを要する」
「このため本日中に補給を実施する」 (『戦史叢書』)
高木中将の(1)(3)の情勢判断は、フレッチャー少将の思惑と全く一致します。
まさか「みらい」の資料室をのぞいてきたんじゃ・・・と思うくらい。
102 :
GF長官:2008/12/25(木) 22:11:26 ID:???
>>101の続き
>>83のように、ツラギの大艇に発見された時(0830時点)での敵針は190度
つまり南下しています。その後、
>>90に図示したように290度に変針。
これは、珊瑚海を北西に進み、明7日早朝にはルイジアード諸島南方海域に
到達し、南下してくる(であろう)日本軍攻略部隊の攻撃を企図したもの。
作戦計画では、ポートモレスビー攻略部隊がジョマード水道を抜け、珊瑚海に
進出するのは、7日夕刻の予定だった。
米機動部隊は、まさにそれを待ち構えるつもりだったのです。
そのフレッチャー少将の意図を、高木中将は正確に見抜いていました。
しかし万が一の場合も考えて、翌7日早朝の索敵はMO機動部隊が珊瑚海の東半分を、
6日にデボイネに水上機基地が進出しているので、それとMO攻略部隊の水偵をもって
珊瑚海西半分を索敵する。
米機動部隊が珊瑚海のどの場所で行動していようとも、確実に我が方の索敵の網に
ひっかかるはず。発見すれば直ちに攻撃隊を発進させ、これを撃滅する。
完璧じゃないか!
これで我が方の勝利は間違いなし。
そう確信しても決して驕慢とは言えないでしょう。
史実でそうならなかったのは、「偶然という女神の悪戯」であって、戦闘前の情勢判断
としては、これ以上のものは望めません。
103 :
GF長官:2008/12/25(木) 22:12:38 ID:???
>>102の続き
しかし、問題は(2)の
「「本日(6日)0900時以後、友軍航空機は触接を失し敵の動静は不詳」の一文。
>>89の通り、0850時にツラギ大艇の敵艦隊発見電を受信していますが、同大艇の
報告はこれで終わりではありません。
>>83にもありますが、1200時に
「敵ノ航行序列、重巡・戦艦・空母、駆逐艦5ハ、ソノ前方3粁ニ捜索列ヲ張ル
各艦ノ距離500米、空母ノ甲板ニ飛行機30機アリ」と続報している。
しかもMO機動部隊は、これを受信している(戦闘詳報にも記載)
『暁の珊瑚海』では、この点について「補給を実施し、明7日の決戦に備える
ために、故意に握りつぶしたというのであろうか」と指摘しています。
確かに不可解ですね。
一方の原少将の判断はどうだったのか。
次に見ていきます。
>>98 >これで「共同謀議」とは笑わせる。
それ、東京裁判の中でナレーションされてますよ。
米英蘭蘇に対する戦争準備の策定の罪とは(苦笑)
あの頃は軍部は突っ走ると言い、政府は困ると言って
北(ソ連)だ南(南部仏印)だと国内はガタガタで
ろくに準備も出来ず戦争になってしまった。
それを、政府が綿密に侵略計画をを立てて
それを軍が実行して戦争をする計画。と言われては
かえってお恥ずかしいぐらいである(苦笑)
105 :
GF長官:2008/12/26(金) 20:56:36 ID:???
>>104 そうでしたか。
被告の一人の言葉だと何かで読んだ記憶があったので使いました。
年末にもう一度見直すかな。
106 :
GF長官:2008/12/26(金) 22:09:57 ID:???
>>103の続き
前述の通り、高木中将の反転北上の決断はまだ納得できますが、五航戦が索敵を
実施しなかったことは、やはり不可解。
原少将の意図については、1730時の「五航戦電令作第四号」が参考になるでしょう。
「本日(6日)0900以後敵情ヲ得ズ
当隊明7日0400A点ニ達シ、明朝MO攻略部隊攻撃ノ算大ナル敵機動部隊ヲ捕捉
撃滅セントス
索敵範囲、A点ノ170度ヨリ270度間、250浬以内」 (『戦史叢書』)
(註)A点とは、南緯13度20分・東経158度)
この1時間後、1830時、五航戦もまた反転北上します。
この「五航戦電令作第四号」は、
>>100の高木中将の敵情判断を根拠としたもの
かもしれませんが、当時無線封止を実施していたかは不明。
ここでも「本日(6日)0900以後敵情ヲ得ズ」としているのは、高木中将と同じ。
107 :
GF長官:2008/12/26(金) 22:12:01 ID:???
>>106の続き
さて、「なぜ南下中に索敵を実施しなかったのか」
当の原少将が、戦後回想したところによると、
「被発見を避けたのと、基地航空部隊の索敵を信頼していたため」
まず、後者の「基地航空部隊の索敵を信頼していたため」は少し言い訳がましい
気がします。
「だが事実が物語る限りでは、ツラギをのぞいてこの日、米機動部隊の発見地点
まで索敵し得る飛行機を持った基地航空部隊はどこにも存在しない。
しかも、当海域を哨戒圏内に有するツラギの横浜航空隊では、山口機の発見報告
後、触接を持続させるために派出できた九七大艇は機材不足のためわずか一機
である。
米機動部隊との対決を控えて情報収集を基地航空部隊の九七大艇乗員9名だけ
の視線に頼るという処置は適切ではない。
この点からいえば『基地航空部隊の索敵を信頼した』という原少将の説明には無理
がある」 (『暁の珊瑚海』)
本職も同意です。
船乗りにとって信頼できるのは、「自分の目と耳と勘だけであります!」
他人に頼っちゃいけませんよねぇ。
108 :
GF長官:2008/12/26(金) 22:14:42 ID:???
>>107の続き
やはり「被発見を避けた」という方が本音でしょうか。
本職なりに原少将の心境を察すると、以下の2点が挙げられます。
(1)中途で終わった補給作業
>>89の通り、MO機動部隊は補給作業を中断して南下したために、
五航戦+駆逐艦2隻(有明・夕暮):補給完了
五戦隊(妙高・羽黒) :補給完了前に中断
駆逐艦4隻(曙・潮・白露・時雨) :補給中 (
>>90参照)
以上のようにバラバラになってしまった。
「奇襲成功の公算大」とはいえ、当然米空母の反撃も考慮に入れなければならない。
しかし、五航戦や補給完了後の駆逐艦4隻と合同できるかは微妙な状況。
ならば、瑞鶴・翔鶴に駆逐艦2隻だけで対応しなければならなくなる。
確かに、これでは甚だこころもとない。
5月4日のツラギ被空襲の時もそうでしたが、ここでも「補給作業」が足かせになっている。
作戦行動における「補給作業」の占める割合が意外に大きいことに気が付きます。
109 :
GF長官:2008/12/26(金) 22:17:27 ID:???
>>108の続き
何より言えることは、「補給作業には時間がかかる」
これは油槽船が1隻なのに対し、補給を受ける艦が複数ある場合、全艦一斉には実施
できないからです。早くても半日、時には終日要することもある。
その間部隊の行動は停止。
ここで敵機の触接を受けようものなら、直ちに作業は中断し、警戒態勢をとらねばならない。
補給済みの艦と未補給の艦に分かれるため、その後の作戦行動にも支障をきたす。
特に駆逐艦は搭載量そのものが少ないため、深刻であり、
「作戦時の機動部隊はタンカーの随伴が困難であるため、航続力のない駆逐艦などには
大型艦より燃料の補給する必要があった。ちなみに不知火の属する陽炎型駆逐艦では、
全速(36ノット)で航海すると満載の燃料がわずか30時間で無くなってしまうため、燃料
の残量は常に機関長の頭痛の種だった」 (『写真太平洋戦争第2巻』)
真珠湾の時みたいに、ドラム缶を並べるわけにもいかないし、指揮官にとっては頭の痛い
問題だったと思われます。
「高速機動部隊」と聞けば勇ましいですが、実際はそんな「高速」でもなかったのかもしれ
ませんね。
110 :
GF長官:2008/12/26(金) 22:20:47 ID:???
>>109の続き
(2)迫る日没
当海域の日没は1614時。
参考までに、翌7日には「薄暮攻撃・夜間帰投」を実施することになりますが、その際の
攻撃隊発進時間は1415時です。
>>83のように、ツラギ大艇の報告によれば「敵針190度・敵速20節」
たとえ、五航戦が30節の高速で南下したとしても、相対速度は10節ですから1時間に
10浬ずつしか縮まらない。
発見時の彼我の距離は360浬。索敵機を出すにしてもあと50浬は接近したいところ。
南下を開始したのは1000時ですから、索敵機発進が早くても1500頃になる。
これでは、索敵機が「夜間帰投」になってしまう。攻撃隊は「薄暮発進・夜間攻撃」
にもなりかねないので、攻撃を躊躇するのも分かります。
もしかしたら、南下を開始した時点で(1300時の高木中将の情勢判断より前)
原少将は、本日(6日)中の攻撃隊発進を「断念」していたのかもしれません。
これならば、索敵機を出さなかった理由も説明できますし。
111 :
GF長官:2008/12/26(金) 22:22:17 ID:???
>>110の続き
>>102で紹介しましたが、米機動部隊はその後北西に変針します。
もし、この「変針」を原少将が知ったならば、判断もまた異なったかもしれない。
7日の「夜間攻撃隊」も、一旦は断念するも、索敵機の「敵ハ反転セリ」の報告
を聞いて「再決意」したという経緯がありました。
さてTF17は何時変針したのか。
>>91の行動図によると、0930頃。
『暁の珊瑚海』によると、1600頃となっている。
「変針」のような重大な敵情変化があれば、触接中の大艇も報告するでしょうから、
後者の方が正しいと考えられます。
これを原少将が知ることは、現実的に難しいですね。
ひょっとすると翌日の夜間攻撃も、前日に索敵攻撃を実施しなかった「後ろめたさ」
が決断を促したのかとも思います。
MO作戦は、兵装転換の心配もなく、敵空母撃滅に専念すれば良いのだから
単純でいいじゃないかと思っていましたが、なかなかそうはいかないものですね。
112 :
GF長官:2008/12/26(金) 22:23:39 ID:???
明日は忘年会のため、またまたまたお休み。
もう年の瀬ですので、次回で御用納めと考えています。
また来週・・・寒い。
>>107 > 船乗りにとって信頼できるのは、「自分の目と耳と勘だけであります!」
長官はそのフレーズが好きだねえ。
言いたい事はわかるが、一戦闘部隊で情報収集、敵情判断、索敵、戦闘は
負担が大きいし、戦機を失することもある。
ミッドウェーもそうだろ。
戦争は独力で簡単にやれるもんじゃない。
各方面の協力があってこそ成功が見えてくる。
各方面の協力なんて言葉が無敵皇軍にあったとは思えません
>>109 >ちなみに不知火の属する陽炎型駆逐艦では、
>全速(36ノット)で航海すると満載の燃料がわずか30時間で無くなってしまうため、
特型駆逐艦じゃなかったっけ? でも、全速で走ったらほぼ同じだとは思う。
二つのフネの純粋にフネとしての差は、航続力と艦内の電気だったかな、朝潮型から直流から交流だったっけ。
>>114 そんなことはないだろう
真珠湾しかりガ島砲撃、キスカ撤収など
成功した作戦をみろよ。
第一段作戦とかは陸海軍の共同作戦の一つの理想型だと言うのに。
神州丸とか
輸送船団の捌き方とか。
海軍の指揮下に入った陸軍の雷撃部隊とか
四式重爆の提供とか
基本的に仲が悪かったのは、上層部の一部だけだったんじゃないかなっと愚考。
軍令部勤務時代の南雲長官は
参謀本部にいた東條英機と
情報交換していたらしいね。
『東條がアメリカを知らぬはずはないのだが・・・』
と南雲長官は漏らしたらしい。
>>107 > 船乗りにとって信頼できるのは、「自分の目と耳と勘だけであります!」
> 他人に頼っちゃいけませんよねぇ。
それが金科玉条なら『GF長官』のHNは
ふさわしくないな
せいぜい日露戦争までか
まあ漫画の読みすぎか
>>123 海軍総隊長官と言う訳か!よし、司令部も陸に上がってもらおう。
いやいや、やはり南雲長官は海の上が似合う。
>>124 震洋の隊員とかw
目標発見、攻撃、運が良けりゃ
戦果確認まで自分でできるw
でもまあ近代戦は最高指揮官が最前線にでて
指揮をとるわけにはいかないよねぇ
特攻はいやだなあ。 通常攻撃で行かせてください。
127 :
GF長官:2008/12/29(月) 20:08:23 ID:???
>>113 ま、好きなんですよね、『沈黙の艦隊』と『ジパング』が。
>長官はそのフレーズが好きだねえ
このフレーズは、前スレ
>>384でも出しましたが、このように考えたのは以下から。
「こうして比べてみると、このミッドウェー作戦の時期には日本が、兵力上も兵員の
練度上も米側に勝っていたのであり、決戦の好機であった。聯合艦隊が全力をあ
げて作戦をしていれば、米太平洋艦隊を撃滅するのも夢ではなかった。
これは暗号を解読され、作戦計画が米側に分かっていたとしてもである。現実の
ミッドウェー作戦でも戦闘場面では、日米ともに索敵機が情報の主役になっていた
のであり、通信情報は脇役にさえなれなかった」 (『歴史群像ミッドウェー海戦』)
ただし、ミッドウェーでのスプルーアンス少将も、「基地航空隊の索敵情報のみ」に
頼っていたので、
>>107の「基地航空部隊の索敵を信頼していたため」 という原少将
の回想も、一概には否定は出来ませんが。
>戦争は独力で簡単にやれるもんじゃない。
>各方面の協力があってこそ成功が見えてくる
全く同意です。
>>114 詳しくは年明けになってしまいますが、5月7日早朝の索敵は「各方面の協力」
により、「完璧な」索敵網が形成されます。
しかし「索敵情報が多い=味方に有利」とならないところが、戦場の難しさか。
128 :
GF長官:2008/12/29(月) 20:10:25 ID:???
>>115 言われてみればそうですね。
>特型駆逐艦じゃなかったっけ?
不知火は、陽炎型駆逐艦の二番艦。陽炎型はいわゆる無条約時代に入ってから
設計された艦隊型駆逐艦で、当初の要求は特型とほぼ等しい、
「全速36節以上。航続距離は18節で5千浬」
ところが船体が大きくなりすぎるために、全速は35節に減じて、航続距離は維持
という方針に変更という経緯がありました。
全速35節で30時間だと、わずか1050浬でほぼ5分の1。
零戦でも空戦中はスロットル全開にするため、燃料を通常の4倍消費すると言われて
いますので、こんなものなのかもしれません。
>航続力と艦内の電気だったかな、朝潮型から直流から交流だったっけ
『駆逐艦入門』には、こうありました。
「朝潮型はまた、艦内に交流発電機(110V)2基を積んだ。これまで日本も諸外国も
直流だったが、交流のおかげで電機重量が25%節約でき、接岸時の電力供給も容易
になった」
勉強になります。有難うございました。
>>117 MO作戦での「各方面の協力」は海軍内に限りますからね。
陸軍機に船団護衛を依頼することは出来たのかな。
航続距離や洋上航法の関係で難しいかも。
129 :
GF長官:2008/12/29(月) 20:11:38 ID:???
>>122 これは初耳でした。感謝します。
東條元首相というと、『山本五十六』の挿話を思い出しますね。
「高木惣吉の本には、次官時代の山本が、同じく陸軍次官をしていた東條英機を
揶揄した話が書いてある。
東條はその当時から能弁で、何にでも一家言を立てたい方であったらしく、ある日
の次官会議で談たまたま航空の事に及ぶと、滔滔と陸軍新鋭機の性能を並べ立
てて列席の一同を煙にまいた。
東條の話を一段落すむまで黙って聞いていた山本は、何を思ったか不意に、
『ホホウ、えらいね。君のとこの飛行機も飛んだか。それはえらい』
とにこりともせずに言った。
笑わないのは山本と東條だけで、各省次官連は爆笑したそうである」
この場には居合わせてみたい気がする。
陸軍機も好きですがね。
>>123 お、冬休みですか?せっかくですが、明日から帰省するのでお相手は
出来ませんが。何にせよ、久々にスレがにぎやかになって嬉しい限りだ。
130 :
GF長官:2008/12/29(月) 20:19:24 ID:???
今週の立ち読み情報。
NF文庫の新刊『これだけは読んでおきたい戦争の本』(北影雄幸/著)
戦史関連も多く紹介されており、その中に『波まくらいくたびぞ』(豊田穣/著)
もありました。
その紹介文ー
「海軍中将南雲忠一ほど、不当な評価を受けた提督もあるまい。
第一航空艦隊司令長官として、世界の海戦史上にも稀な大戦果をあげた
真珠湾攻撃は、山本聯合艦隊司令長官の功績に帰し、ミッドウェー敗戦の
責任はすべて南雲の肩に負わされ、山本の名声はいささかもゆるがなかった」
「ミッドウェー敗戦の責任はすべて南雲にある」には同意ですが、真珠湾の
功績は、もっと評価されるべき、ですね。
131 :
GF長官:2008/12/29(月) 21:23:55 ID:???
延々と深夜3時まで、女にフラれた話を聞かされるとは・・・
悪酔いにはご注意を。
>>111の続き
5月6日、MO機動部隊以外の動きを確認しておきます(
>>15,17参照)
[MO主隊]
0630 ショートランド出撃
0830 B−17が3機来襲爆撃(被害なし)祥鳳の零戦が発進、これを撃退
夕刻 輸送船団と合同。護衛任務に就く。
祥鳳は燃料補給が十分でなく、翌7日1500時デボイネにて補給の予定でしたが・・・
[ポートモレスビー攻略部隊]
ソロモン諸島西方海域を南下。
0650 施設艦津軽が漂流中の豪空軍飛行艇の搭乗員9名を発見、捕虜とする
1100 敵哨戒機が触接(一時欺瞞針路をとる)
1430 変針、当初の航路に戻る
ジョマード水道通過は、7日夕刻の予定
[掩護部隊]
1030 デボイネ到着。水上機基地を設置
付近の島々を掃討
1300 触接中の敵機を発見、神川丸の零観3機を発進(敵飛行艇1機を撃墜)
夕刻 水上機基地完成(神川丸隊8機・聖川丸隊7機)
「この間連合軍哨戒機は広範囲の哨戒を実施しており、0830から1600時まで
の間に、MO主隊・攻略船団・掩護部隊はすべて発見された」 (『戦史叢書』)
132 :
GF長官:2008/12/29(月) 21:26:09 ID:???
>>131の続き
以上の情勢に基づき、第四艦隊司令部は1130時、
「敵機動部隊は、明日ルイジアード諸島方面に来攻する算大」と判断。
これは、
>>100の高木中将の「情勢判断」と一致する。
この時点でも、井上長官が輸送船団に針路変更や一時避退等を命じなかったのは、
「南洋部隊指揮官は、敵機動部隊はMO機動部隊及び基地航空部隊によって撃滅
されるか、または豪州方面に避退するであろうと判断したものと思われる」
『第六戦隊機密第一ニ八番電』には、
「明朝敵機動部隊ハ、ルイジアード南方ヨリ攻撃ヲ企図、途上当部隊ニ来襲ノ算アリ
斯ル場合ハ、味方機動部隊及ビ基地航空部隊ヲ以テ、敵ヲ捕捉撃滅スルヲ信ジ、
当部隊ハ全力ヲ以テ対空警戒ヲ厳ニシ、予定ノ作戦ヲ続行セントス」
上空警戒は、祥鳳の十数機の零戦のみが頼りという状況では、「味方機動部隊ヲ以テ、
敵ヲ捕捉撃滅スルヲ信ジ」るしかないでしょう。
>>91の通り、MO機動部隊のみは未だ発見されていませんから。
133 :
GF長官:2008/12/29(月) 21:28:10 ID:???
>>132の続き
とはいえ、陸軍南海支隊の将兵にとってみれば、終日敵機の触接を受けるというのは、
あまり気持ちの良いものではないですね。
「松江丸上の南海支隊参謀長堀井富太郎少将は、出発前の不安が現実のものとなった
ことを知った。『やはり見つかりましたね』田中豊成参謀が声をかけた。
『味方の機動部隊が南にいる』と、堀井少将は自らを叱咤するように力強い声で言った。
『明日にはきっとこれを捕捉し、撃滅してくれるに違いない』
だが声を励ましたところで、海上を散歩でもするかのように遅々として進まない輸送船の
船脚は、拭い去ることのできない不安を将兵の胸に残している。わずか8節で、もし味方
機動部隊が米空母を逸するようなことがあったらどうなるか」 (『暁の珊瑚海』)
134 :
GF長官:2008/12/29(月) 21:30:23 ID:???
>>133の続き
一方の米側はというと、珊瑚海を北西に航行し、翌7日未明にはルイジアード諸島の南
115浬に達する予定。これは日本側の判断と一致する。
そして、MO機動部隊の存在には未だ気づいていない。
「この日の夕刻、フレッチャー少将はひとつの重要な決定を下した。艦隊に随伴していた
油槽船ネオショーとシムスを、次の給油点にむけて南下させることである。彼自身にとっては
何気ない決定であったが、この大型タンカーの分離は日本側にとっては目標を混乱させる
重大な処置となった」
戦闘に入れば、タンカーは足手まといなだけですから、補給が終われば次の合同点を指定
して分離するのが常道。これは日米双方に共通することで、フレッチャー提督の決定も何ら
珍しいことではない。
しかし、翌7日の戦闘に重大な影響を及ぼすことになるのは、6日夜のうちに米機動部隊が
MO機動部隊の索敵圏外に脱してしまい、明朝圏内に残っていたのは、このネオショーと
シムスだけだったからです。
135 :
GF長官:2008/12/29(月) 21:31:15 ID:???
>>134の続き
5月6日、ウエンライト将軍が降伏し、コレヒドール陥落。
「戦争全期を通じ、アメリカ軍の士気が最低点に達したときである。しかし、その翌日は輝か
しい夜明けと共に訪れた。コレヒドールからコーラルシーへの移行は驚愕すべきものであり、
ドラマチックですらある」 (『モリソン戦史』)
さぁ、役者は揃った。
逡巡と決意、不安と期待ー
それぞれの思いを胸に、明けて5月7日珊瑚海海戦の開幕です。
136 :
GF長官:2008/12/29(月) 21:52:17 ID:???
キリが良いので、これにて御用納め。
新年は1月5日より御用始めとさせて頂きます。
それでは皆様、よいお年を。
さて、大晦日は長官私室のコタツで蜜柑を食べながら、紅白歌合戦を聴くか。
今年の出場者は・・・
白組 紅組
道は六百八十里(伊藤久男) 男なら(美空ひばり)
元寇(森繁久彌) 婦人従軍歌(織井茂子)
歩兵の本領(三鷹淳) 兵隊さん(平真由美)
日本海海戦(岡本敦郎) 日本よい国(わかばちどり)
艦船勤務(霧島昇) 皇国の母(島倉千代子)
上海だより(村田英雄) 満州むすめ(都はるみ)
麦と兵隊(東海林太郎) 何日君再来(胡美芳)
燃ゆる大空(藤山一郎) 愛馬花嫁(こまどり姉妹)
荒鷲の歌(舟木一夫) 南の花嫁さん(高峰三枝子)
なになに・・・「海軍軍楽隊による特別公演」だって?
最近見ないと思ったら、いつの間に内地に戻っていたのか。
お、李香蘭たん☆が出るじゃないか!
こりゃあ録音準備して、全裸で・・・もとい全力即時待機だな。
そういえば、幼稚園(仏教系私立)のときこんなのを踊ったぜ
白地に赤く日の丸揚げて〜ああ美しい日本の旗は〜♪
昭和49年頃だったが、日の丸の旗と日章旗の小旗を対でもって踊った。
今にして見りゃ、よくもまあ出来たなあと思う。
>GF長官
お疲れさまです。 なんだかオッサン臭いスレになってますな。
真珠湾やミッドウェーでは無線封止に泣かされ一航艦は無線なしでも空母や航空隊の統一指揮ができるように集合隊型だったが第三艦隊になってから前衛を分離派遣するようになった。
マリアナ沖では第二艦隊も併せて第一機動艦隊になり更に第三艦隊の空母も甲乙丙と三群に分けて陣型を組んでいる。
目視できない距離でどのように三群及び前衛を併せて統一指揮運用をしていたのか。
恐らく互いに連絡機を飛ばして航空隊発進のタイミング等意思の疎通をしていたのだろうがそれぞれの部隊の正確な位置がわからないとそもそも連絡機も飛ばせない。
それともマリアナでは艦隊司令部での統一指揮ではなく各航空戦隊の裁量にある程度任せていたのだろうか。
第三艦隊では無線封止に苦しめられたりしなかったんだろうか。
>目視できない距離でどのように三群及び前衛を併せて統一指揮運用
いや、もう二次ソロモン海戦時でも、前衛、側面 本隊の間で、連絡機を飛ばしてましたよ。
命令の中途変更とかは母艦からサックに命令書を詰めて当該艦に投げる。
正月早々お年玉?
サックて衛生サック?
141 :
122:2009/01/05(月) 11:40:56 ID:???
>>129 実業之日本社の
「連合艦隊知れば知るほど」
平間洋一監修
に載ってた
興味があったら読んでみてくれ
142 :
GF長官:2009/01/05(月) 21:13:37 ID:???
>>137 ま、お互いさまですな。
>お疲れさまです。 なんだかオッサン臭いスレになってますな
とはいえ、実際の大晦日はと言うと・・・
「ポニョ」までは紅白を見て、あとはNHK−FMのアニソン三昧を聴いてましたけれど。
最近の歌はよく分からん。
>>138.139 そうですね。『機動部隊』にも出てきます(
>>63)
>命令の中途変更とかは母艦からサックに命令書を詰めて当該艦に投げる
「機上から報告球を飛行甲板に投げ落とす」と戦記等に出てくるので、そのことかな。
>>140 突撃一番ですね、わかります。
>>141 有難うございます。早速注文しました。週末くらいにご報告できるでしょう。
143 :
GF長官:2009/01/05(月) 21:20:12 ID:???
☆慶☆ 皇紀二千六百六十九年 ☆祝☆
宮城遥拝 万歳三唱
謹賀新年
旧年中は大変お世話になりました。
本年も宜しくお願い申し上げます。
今年の抱負は「スレ完結」かな。
別に期限は決めていませんけれど。
あと秋からNHKスペシャル大河『坂の上の雲』が始まりますね。
妙な反戦ドラマになりそうで不安ですが・・・期待せずに待つとしよう。
144 :
GF長官:2009/01/05(月) 21:43:46 ID:???
年末年始の立ち読み情報は『勇者の海』から。
『暁の珊瑚海』の著者・森史朗氏の新作で、副題にある通り空母瑞鶴の生涯という内容。
ざっと目を通しただけでしたが、「インド洋作戦編」の復習と「珊瑚海海戦編」の予習になって
良かったですね。
インド洋作戦については、
「江草艦爆隊に陸用爆弾を混入した件」(呂)スレ
>>66参照。
艦船攻撃に陸用爆弾を用いて、敵対空砲火を沈黙させるという方法は、やはり4月5日の
重巡攻撃から行われたようです。
「南雲長官の命令ではなく、山口少将の独断ではないか」と記述されていますので、支那
戦線での経験から出たものではないかと思われます。
もう一つは、
「4月5日夕刻にソードフィッシュに発見され、付近に英空母が居ることが明らかになった
のにも関わらず、積極的な索敵を行わなかった件」(呂)スレ
>>374参照。
こちらは、PHP文庫の新刊『日本海軍失敗の本質』(千早正隆/著)にも同様の指摘が
見られます。
145 :
GF長官:2009/01/05(月) 21:46:24 ID:???
>>144の続き
ソマービル艦隊の捜索を行わずに、南東方に避退したのが「消極的」と見られたようですが・・・
「敵に発見され、こちらは敵の位置が分からない」
ならば、速やかに離脱して距離を置くのが常道と思いますがねぇ。
ミッドウェーでは「基地航空隊の攻撃を受けた時点で、一時避退すべきだった」と言われ、
「米空母の攻撃隊は燃料ギリギリだったのに、わざわざ変針して距離を縮めた南雲は無能」
と叩かれるのに・・・
森氏の方は、英艦隊撃滅ではなく、基地攻撃(ツリンコマリ)に固執したという内容なので
よく理解できますが、千早氏の方は「(ソードフィッシュに発見されたことを)南雲司令部は
漫然と見過ごした」って、発見されたからこその避退では?
それとも薄暮から全周索敵を実施しろとでも言うのでしょうか。
どうも関係ない行動までミッドウェーの敗因に結び付けて、南雲長官に烙印を押そうという
意図みたいなのを感じるんですがねぇ・・・
そういえば、
「ハリケーンは出発せしや、ハリケーンは出発せしや!」
この名台詞を本編に入れるのを忘れていたな。
また何かのネタで使うとしよう。
146 :
GF長官:2009/01/05(月) 22:05:24 ID:???
では、視線を再び珊瑚海に戻しましょう。
休みの間、徒然に調べてみたことですが、珊瑚海海戦に対する注目度は
思った以上に低い。
冒頭(波スレ
>>588)でも引用した通り、ミッドウェーの影に隠れてしまった
感は否めない。
なにせ「珊瑚海海戦編」に入る前、手元にあった資料は、
『戦史叢書(49)南東方面海軍作戦(1)』
『写真太平洋戦争第3巻』
だけだったので、もう一冊くらい手頃な資料が欲しいなと思って、アマゾンで
「珊瑚海海戦」と検索してみたら、11件しかなかった。
その中で最近のものといえば『暁の珊瑚海』しかなかったという惨状です。
『歴史群像』にすらなかったというのは驚きでしたね。
「大捷マレー沖海戦」「勇進インド洋作戦」はあるというのに、珊瑚海海戦に
ついては「ミッドウェー海戦」の中の一章だけ。
147 :
GF長官:2009/01/05(月) 22:07:09 ID:???
>>146の続き
映像作品を見ると、通史ともいえる映画『連合艦隊』では、一行の台詞のみ
で済まされたし、ハリウッドの方にも・・・ないでしょうね。
もし製作するとなれば、VB−2隊長ディクソン少佐が主人公かな。
「Scratch one flat top!」これでエンドロールだったら笑える。
その時歴史が・・・(ryにリクエストメールでも送ってみるか。
その中で、唯一?とも言えるのが『アニメンタリー決断』
第8話「珊瑚海海戦」では、まるまる30分MO作戦です。
冒頭5月4日のツラギ被空襲から始まり、ほぼ史実通りの内容。
妙高坐乗のはずの高木中将が、瑞鶴の艦橋で原少将と一緒に居るのは、
まぁご愛嬌でしょう。
軍板でもMOスレはありますが、単品スレはなさそうですし・・・ということで、
当スレは、今一番熱く、珊瑚海海戦を語れるスレ! なんてな。
つスレタイ
南雲「あの・・・わしの出番は?」
井上・原「南雲は黙ってて!」
南雲「うう・・・ひどい」
一致団結〜♪
149 :
GF長官:2009/01/06(火) 21:04:47 ID:???
150 :
GF長官:2009/01/06(火) 21:24:34 ID:???
>>135の続き
5月7日、珊瑚海海戦一日目。
「この海戦での行動は喜劇的・悲劇的な失策に満ち満ちており、推測や仮定の誤り、
艦船の誤爆、絶好の機会の見落とし、小さな機会の偶然的な把握に彩られている」
(『モリソン戦史』)
「錯誤の戦い」と評される珊瑚海海戦。
双方とも最初のつまずきは索敵から生じている。
特に日本側はついに日が暮れるまで、その遅れを取り戻すことは出来なかった。
本人たちは必死なんですけどね。
>>132の情勢判断に基づき、未明より綿密な索敵網が築かれます。(
>>15参照)
所属 基点 方位 進出距離 機種(機数)
第五空襲部隊 ラバウル 160度〜180度(3線) 700浬 一式陸攻(3機)
第五空襲部隊 ツラギ 175度〜225度(4線) 650浬 九七大艇(4機)
MO主隊 ロッセル島 90度〜210度(4線) 150浬 水偵(4機)
掩護部隊 デボイネ 160度〜230度(不詳) 250浬 水偵(不詳)
MO機動部隊 A点 170度〜270度(6線) 250浬 九七艦攻(12機)
(註)A点は
>>106参照
151 :
GF長官:2009/01/06(火) 21:26:44 ID:???
>>150の続き
『戦史叢書』の付図第三「珊瑚海海戦五月七日朝の各隊索敵計画図」を見れば一目瞭然、
珊瑚海のほぼ全域を覆い、米機動部隊の航路上からも確実に捉えている。
これで見つけられない方がおかしいという感じ。
実際は、「見つかりすぎて」困ってしまうのですが・・・
心配していたMO機動部隊の補給も前日に完了し、後顧の憂いはなし。
この時点でも、井上・高木両中将の判断は間違ってはいません。
152 :
GF長官:2009/01/06(火) 21:35:17 ID:???
>>151の続き [5月7日早朝の各部隊の位置]
□■ラバウル
□□□
□□□□□□□ □□ ソロモン諸島
□□ □□
□□□□ □□ □□
□□■ラエ □□ □□ □□
□□□□□ ▼MO攻略部隊(南下) □□ ■ツラギ
□□□□□□□ ↓ □□□ガダルカナル島
□□□■□□□□ ルイジアード諸島
ポート □□□□■ □ □■ □ ■ロッセル島 □
モレスビー サマライ デボイネ
←▽米機動部隊(北西進)
□ ▼MO機動部隊(南下)
□□ ↓
□□
□□■クックタウン
豪□□
州□□ ↑
□□□■タウンスビル △ネオショー(北上)
□□□□
□□□□□□
153 :
GF長官:2009/01/06(火) 21:44:15 ID:???
>>152の続き
フレッチャー少将の判断は、依然として
「MO機動部隊は、MO攻略部隊と共に、ソロモン海西域を南下中」
背後の気配には全く気づいていない。
あとは索敵機が第17任務部隊を発見すれば、MO機動部隊の精鋭攻撃隊が
後背より米空母に襲いかかる・・・必勝の態勢!
暗号を解読されていようが、我が方の優勢は揺るがない。
しかしまぁ、戦史を振り返るというのは、推理小説を後ろから読んでいくようなもので、
両陣営の指揮官が、錯誤に気づかずに右往左往しているのを、天から眺める神にでも
なった気分ですね。
さてこの日、気まぐれな勝利の女神はどちらに微笑むのか。
154 :
名無し三等兵:2009/01/07(水) 00:42:45 ID:/zNsEYug
ワレ キカンセリ
GFチョウカンノ シキヲコウ
前スレが落ちて難民となっていました。
さらに年末年始でバタバタしてたためスレの捜索を忘れてました。
この罪、全力でのネタレスでお詫びいたします。
>>144 インド洋で2重巡攻撃したのは赤城17機飛龍18機蒼龍18機計53機の艦爆で全53発のうち37発が通常爆弾で16発が陸用爆弾だが陸用爆弾機は全部2航戦の機体だっけか?
ハーミスの時は全85発のうち通常79発・陸用6発だけど。
2重巡の時は随分陸用爆弾の割合が多い。
156 :
GF長官:2009/01/07(水) 21:46:31 ID:???
>>154 おつかれー まずは十分な休養を。七草がゆでも召し上がれ〜
>>155 そうですね。(呂)スレ
>>66の通りです。
「大巡・空母攻撃ニ際シ、各中隊ノ先頭ヨリ三機ハ、陸用爆弾ヲ使用セルニ・・・」
とあるので、最初の3発程度で十分効果があることが確認されたため、
ハーミスの時は減らされたのではないかと。
157 :
GF長官:2009/01/07(水) 22:22:32 ID:???
>>153の続き
では、ここからは本編の主役・原少将の出番です。
お手並み拝見といきましょう。
必勝を期すMO機動部隊の索敵計画は、0400時発進で、
方位 所属(機種) 進出距離 側程
180度 翔鶴(艦攻2) 250浬 左40浬
200度 翔鶴(艦攻2) 250浬 左40浬
220度 翔鶴(艦攻2) 250浬 左40浬
235度 瑞鶴(艦攻2) 250浬 左30浬
250度 瑞鶴(艦攻2) 250浬 左30浬
265度 瑞鶴(艦攻2) 250浬 左30浬
以上のように艦攻12機から成っています。
MO機動部隊には重巡妙高・羽黒が随伴しているので、それぞれの水偵も
使えたと思いますが、使用しなかったのは何故でしょうか。
収容の手間を考えてかな。
158 :
GF長官:2009/01/07(水) 22:24:32 ID:???
>>157の続き
「翌七日の索敵については、五航戦参謀(三重野少佐)は西方索敵の案を
出したが、司令官(原少将)としては南半分の索敵を命じたのである。
従って、七日朝の索敵で南方に敵航空部隊を発見したとの報があったとき
は、しめたと思った次第である」 (『戦史叢書』)
原少将の回想によれば、航空参謀の西方重視案を退けて、南方に重点を
置いた索敵を命じている。
その理由は、
(1)西に向いている間に、南方から横槍を入れられる恐れがある。
(2)米機動部隊が正面から決戦を挑んでくることはあるまい。南方海面に
一時避退して、我々の隙をうかがっているに違いない。西方を重視して
は、米空母を逸す危険が大きい。
(3)珊瑚海西方海面は、ラバウル・ツラギ・デボイネ各基地からの哨戒圏
に入っており、五航戦側の索敵機は、むしろその空隙を埋める南方海面
に限定すべきである。
159 :
GF長官:2009/01/07(水) 22:26:32 ID:???
>>158の続き
(1)(2)を見ると、井上・高木両中将が
「米機動部隊はルイジアード諸島南方海面で、MO攻略部隊を待ち構えている」
と判断したのに対し、原少将は、
「米空母は、我々に恐れをなして南方に避退しているはずだ」
という自信の程がうかがえます。
>>79の通り、これまでの活動を考えれば、自信過剰とも言えないでしょう。
(3)についても、
>>150の索敵計画によれば、珊瑚海西半分は10機以上
確保されているのに対し、東半分はツラギ発の大艇が3機程度。
まずは妥当な判断かと。
160 :
GF長官:2009/01/07(水) 22:28:15 ID:???
>>159の続き
「だが、原少将の判断はあまりにも基地航空兵力の索敵能力に依存しすぎた
ようである。手持ちの攻撃兵力を減少させないために、偵察機の派出を極端
にまで少なくする、いつもながらの日本軍の攻撃偏重主義である」
(『暁の珊瑚海』)
森氏の指摘は手厳しいですが、本職としては許容範囲ですね。ましてや
「日本の指揮官は、誰もいない海面を熱心に捜索しようとした」というモリソン
博士の皮肉は、結果論以外の何ものでもない。
161 :
GF長官:2009/01/07(水) 22:29:53 ID:???
>>160の続き
それに、三重野少佐の「西方索敵重視案」を採用したからといって、米空母
を発見できたかどうかは未知数といえます。何故なら、
「米空母部隊上空は厚い雲に覆われていた。日本艦隊に迫っていた寒冷
前線がそのまま北西にのびて、二隻の米空母をすっぽり包み込んでいる。
午前中は雲量五であったものが、午後になると空一面は厚い雲で鎖された」
この日の天候は、明らかに米側に味方していた。
但し、西方索敵となると、ネオショーの航路が索敵圏外になってしまうので、
史実にような混乱は生じなかったと言えるでしょう。
何にせよ、この朝の原少将は勝利の確信を満ちていたものと思われます。
>>160 あまりにも基地航空兵力の索敵能力に依存しすぎとか攻撃兵力を減少させない攻撃偏重主義とかの批判はおかしいな。
基地航空隊と索敵範囲を分担して隙をつくらないよう配慮してるし空母2隻の少ない手持ちで空母4隻あったミッドウェーの南雲もやらなかった二段索敵をしている。
艦攻12機投入して少ないとか言われてもね。5戦隊の水偵は利根筑摩と違って数が少ないから対潜哨戒にでも専念してるんじゃなかろうか。
>>162 モリソンは米海軍もまた索敵が不得手である事をスルーしている事で有名。
164 :
GF長官:2009/01/08(木) 21:19:03 ID:???
>>141 今日届きました。『連合艦隊知れば知るほど』
このテの本(図解○○や面白いほどよく分かるシリーズ等)は、どうせ通説
しか書かれてないだろう・・・とあまり読む機会がなかったのですが、よくまと
まっていますね。冒頭の「監修のことば」は新鮮でした。
>>122の通り、南雲長官と東條首相は縁があったようですね。
南雲中将が終戦への道を模索していたとは知りませんでした。
そして、一番驚いたのがこれ。原忠一少将のふりがなが「はら ただかず」
になっている・・・wikiでは「はら ちゅういち」だが、どっちが本当なんだろう。
まさか、南雲忠一中将の方は、「ちゅういち」で間違ってないよな?
>>162 有難うございます。
>5戦隊の水偵は利根筑摩と違って数が少ないから対潜哨戒にでも専念してるんじゃなかろうか。
手元の資料によると、妙高型の搭載機は零式水偵1・零観2の計3機となっています。
対潜哨戒ということも十分考えられますね。
>>163 そうだったのか。まぁ、正確な索敵というのは難しいですよね。
165 :
GF長官:2009/01/08(木) 21:43:21 ID:???
>>161の続き
MO機動部隊の索敵計画(
>>157)をみて、少し気になるのが、「艦攻2」の部分。
最初本職も
>>162の通り、二段索敵のことかと思いましたが、そうではなく、
各線二機編隊で飛行する一段索敵という意味です。
その理由については、
「報告の正確さを期すため」
「帰途の安全を確保するため」とあります。
ミッドウェーでの二式艦偵(蒼龍)のように、無線機故障で通信不能という事態も
想定しての「予備機」の役割もあるかもしれません。
ミッドウェーにおける一段索敵を「索敵軽視」とする批評は数多ありますが、各線
一機の索敵について言及しているものはあまり見ませんね。
ミッドウェー以降でも、「各線二機索敵」を実施したという話は聞かないですし、
もしかしたら、五航戦独自の案なのかも。
参考までに、翌8日早朝の索敵は「各線一機で7線」を実施しています。
形から言えば、ミッドウェーと全く同じですね。ただ、前日の夜間攻撃で艦攻が
多く失われたことに関係していると思われます。
166 :
GF長官:2009/01/08(木) 21:46:09 ID:???
>>165の続き
一方の米側の索敵は、
珊瑚海海戦「各線一機で10線」(5月7日)
ミッドウェー海戦「基地航空隊に依存」ですが、
第二次ソロモン海戦、南太平洋海戦では「各線二機索敵」を採用している。
例えば、第二次ソロモン海戦では、290度から90度まで北半分の索敵を
実施していますが、
0度から90度の東半分は、各線一機で9線。
(日本艦隊が居ると予想される)290度から0度の西半分は、各線二機で7線。
と変則的な(柔軟性に富んだ)計画です。
計23機か・・・米空母の搭載機数は多いですからねぇ。
とはいえ、日本側も同海戦では、0度から190度まで各線一機の19線で実施。
計19機も出したのは、ミッドウェーの戦訓によるものでしょう。
原少将が、この「各線二機の6線」計12機の索敵案を採用したのも、攻撃兵力
が減少するのには目をつぶって、なんとかして米空母を見つけようという強い
意思によるものではないでしょうか。
167 :
GF長官:2009/01/08(木) 21:52:24 ID:???
>>166の続き
海戦に入る前にもう一つ。
フレッチャー少将は、この朝重大な決定を下している。
0425時、クレース少将の重巡部隊を分離西進させ、自らは空母部隊を率いて北上。
図示すると、以下の通り。
□□□□□ ▼MO攻略部隊(南下)
□□□□□□□ ↓
□□□■□□□□ ルイジアード諸島
ポート □□□□■ □ □■ □ ■ロッセル島
モレスビー サマライ デボイネ
↑
△フレッチャー本隊(北上)
←△
クレース重巡部隊(西進)
168 :
GF長官:2009/01/08(木) 22:06:38 ID:???
>>167の続き
クレース重巡部隊の編成は、
>>40の「支援隊」に、「攻撃隊」の駆逐艦「ファラガット」
を加えた計6隻。
この決定に関し、モリソン博士は、
「フレッチャーは、彼の空母部隊を勇敢にも弱体化させ、MO攻略部隊の発見と
攻撃を命じたのである」と批評しています。
”勇敢にも弱体化”とは、皮肉たっぷりですなぁ。
確かに「支援隊」なんだから、これを分離してしまうと、
(1)兵力の分散(第17任務部隊全体の対空防禦が弱くなる)
(2)航空掩護のない重巡部隊は、日本側基地航空隊の好餌となる。
このうち(2)は現実化してしまいますね。
169 :
GF長官:2009/01/08(木) 22:08:38 ID:???
>>168の続き
フレッチャー少将自身の回想では、
「米空母群は日本機動部隊との対決のみに備える」
「万一空母が沈められた場合、重巡部隊がMO攻略部隊を阻止する」
いわば、二重の備え立てをして会敵の日を迎えたと言えます。
もしかしたら、ミッドウェー敗戦以後、日本側が採用した「前衛部隊」の役割
があったかもしれません。
つまり、MO機動部隊の攻撃をクレース部隊が吸収し、その隙をついて空母
航空隊が、側方から日本空母に攻撃をしかけるというわけです。
結果的には、フレッチャー提督の思惑は外れてしまいましたが、日本側の
索敵を更に混乱させるという、別の形で効果を発揮することになります。
いやぁ戦史って、本当におもしろいですねぇ。
170 :
122:2009/01/09(金) 09:47:57 ID:???
>>164 お役に立てたかな?
自分が注目したのは南雲長官が調査した
米国の造船能力についての報告。
南雲忠一、山本五十六、山口多聞はみな
米国の生産力は知っているが戦略は対象的。
どんどん打って出る山本、山口に対し
南雲長官は自らの損害を極力抑えようとし、
戦略上有利な内南洋での海戦を考えていた。
巨大な生産力を持つ相手に対する考え方の違い
が面白い。
171 :
122:2009/01/09(金) 09:49:47 ID:???
あと南雲正著の
『父南雲忠一の言葉』を
是非とも読んでみたい。
南雲はMIには乗り気ではなかったようだね。待ち伏せされ指揮官にやる気が無い!負けて当然かな
『丸』で連載中の森史朗の『勇者の海』の
南雲、草鹿評は辛辣だな。
まるで両者に個人的恨みでもあるのかと
勘ぐりたくなるほどに酷いね。
読み物自体は良いのに残念だ。
>>171 国会図書館に南雲の家族宛て書簡・葉書・講義ノート・欧米駐在時の日記等300点以上が保管されとるよ。
175 :
171:2009/01/09(金) 17:00:25 ID:???
>>174 それは知らなかった。
一般人でも閲覧できるの?
>>175 直接見た訳ではないから詳細は不明。
91年寄贈93年追加寄贈96年寄託、憲政資料室にて所蔵。数量355点
『南雲忠一関係文書』詳しい内訳は目録を見ればわかるけど
書簡:明治38年〜家族宛179通(ほぼ月1で書いてる)上杉勝憲・本庄繁・高橋三吉・嶋田繁太郎等からのもの18通
海兵〜呉鎮長官時代までの写真110枚写真帳1冊
海大時代等の講義ノート
1925・26・36・37・39・40年の日記
奏上覚書
42年4月15日感状
その他まあ興味あるなら問い合わせてみたら?
177 :
GF長官:2009/01/09(金) 21:22:53 ID:???
>>170 立ちました。ただ終戦工作に関しては、
「昭和19年二月に軍令部付になったが、この持ち場で南雲は、陛下におすがりして、
戦争収拾の道を切り開きたいと考えていた節が、前後の言葉からうかがえる」
とあるので、具体的に何かやったわけではなさそうです。
この時期の南雲中将としては、「もう一度前線に出て、よき死に場所を得たい」という
のが、本職の考えですね。
>>171 同意。「南雲忠一」の頁の参考文献で初めて知りました。
(波)スレ
>>23の通り、南雲正氏は南雲長官の次男ですね。
うちの近所の図書館にはない。やはり国会図書館に行くかな。
>>172 ミッドウェー作戦にノリノリだったのは、山本長官と黒島参謀くらいでは?
>>173 そうなのか・・・
森氏は、『暁の珊瑚海』で初めて知ったので良い印象でしたが、残念。
>>174〜 有難うございます。
>書簡、海大時代等の講義ノート
これは見てみたい!
本職は、母が書道教室を開いている関係で書道作品を見るのが好きなのですが、
南雲長官がどういう字を書くのか興味ありますねぇ。
178 :
GF長官:2009/01/09(金) 21:28:38 ID:???
179 :
GF長官:2009/01/09(金) 22:03:46 ID:???
>>169の続き
「何が戦いの帰趨を決めるかは明確でない。圧倒的な軍事力と豊富な経験が、
必ずしも常に勝利に結びつくとは限らない。兵力を誇った大部隊が一人の天才
のすぐれた軍事的才能によって破られた例も多い。古くはマラトンの戦いがそう
であり、カンネーやアルマダの戦闘、桶狭間の戦闘がその好例であった。
しかしながら、近代戦では勝敗の要因はそれだけではない。
戦史のなかでは、何気ない偶然がのちに思わぬ傷となって全戦局を左右する
ことがある。それは作戦のミス、指揮官の采配、兵士たちの闘志の差をこえて、
ただ運命の悪戯としか言いようがない」 (『暁の珊瑚海』)
日本側の「絶対優勢」を根底から覆したのが、索敵機の誤報。
それは、
>>157の180度線を担当した翔鶴艦攻2機によるものだった。
森氏の言う「運命の悪戯」とは。同書によると、
インド洋作戦の帰途、五航戦は馬公(台湾)に寄港
→食料、野菜他を補給
→その中にパイナップル缶があった
→翔鶴の古参搭乗員がパイナップル缶を食べ過ぎて腹痛
→5月7日朝の索敵は、新人搭乗員に交代
180 :
GF長官:2009/01/09(金) 22:05:27 ID:???
>>179の続き
それが、180度線の艦攻だったというわけです。
確か、ミッドウェーの時の山本長官も腹痛で苦しんでいたとか。
「頭寒足熱 腹八分」が長生きの秘訣ですね。
しかしそれにしても、艦攻には3人が搭乗するんだし、「報告の正確さを期す」
ための「二機編隊飛行」なんだから、意味がないじゃないか!
しかも、後に二機とも機位を失し、燃料不足で不時着するというオチまで・・・
「その伎倆の程がうかがえよう」とは『戦史叢書』の言。
これも偶然の悪戯なのか、ミッドウェーでの利根四号機の甘利洋司機長も、
水上機母艦から転属してきたばかりで、偵察任務には不慣れだったらしい。
このあたりが、「気まぐれ」と言われる所以ですよね。
181 :
GF長官:2009/01/09(金) 22:07:30 ID:???
>>180の続き
索敵機発進より1時間20分、件の索敵機から、原少将待望の報告が届きます。
0522「敵航空部隊見ユ、南緯15度55分・東経175度5分、針路15度・速力20節」
0545「敵航空部隊ハ空母巡洋艦各一隻ヲ基幹トシ、駆逐艦三隻ヲ伴フ、針路0度・速力16節」
>.158の回想にある通り、原少将は「これで勝った」と拳を握りしめたに違いない。
そして、これが彼にとって、長く苦しい一日の始まりとなる。
「空母指揮官は不確かな戦術上の情報をもとに、敵に決定的な打撃を与える機会をうかがい、
反撃を受ける危険を最小にすることを強いられた。不十分だったり相反したりする情報をもとに
重大な決断を迫られたときにも、素早く対応しなければならなかったのだ。
攻撃隊を出撃させた目標が誤っているか、あるいはまるで交戦に及べなかったことが、海戦の
結果を左右し得た。戦争の厳しい重圧と、部下の命のかかった状況での指揮官の秒刻みの
決断が、太平洋での多くの戦闘を決したのである」
『オスプレイ対決シリーズ 日本海軍空母VS米海軍空母』(マークスティル/著・待兼音二郎/訳)
ここからは、ミッドウェーの南雲長官を思い出しつつ、原少将の心境に迫っていければと思います。
くそう、半年前からニコの映像が表示されないバグにハマっている漏れ。
plug-inを何度入れ直しても同じ。 対策はだいたい試したが、うまくいかんね。
>181
GF長官
>素早く対応しなければならなかったのだ。
空母機動戦が一発勝負の博打と言われる所以ですよ。
空母戦は、自軍の空母に爆弾が命中する前に敵空母に爆弾を命中させて撃破せねばならない。
空母を排除すれば、その海域は自軍の制空権下に陥ち、後は熟した柿の実のように友軍に帰す。
しかし、基地航空部隊の戦いはそうではない、たとえ送りオオカミになってもいいから、
敵機を一機でも多く搭乗員ごと撃墜(殺害)しなければならない、
飛行場は何分「地球」なので爆撃して破壊したにせよ、それはすぐに復旧され勝利に結びつかない。
その飛行場に存在する航空機(航空部隊)をたたく事が目的である。
だから、味方基地に敵機が来襲しても航空機は避退だけを行い、
爆弾が落ちるまで、敵機の攻撃が終わるまで待つ事もありであり、
その後の処置と作戦が基地航空戦の神髄である。
また、空母戦の時に被害が一番大きいのは艦爆と艦攻であるが、
基地航空戦では、戦闘機の比重が大きい(陸攻の損害も大きいが)。
この辺りも、基地航空戦と空母戦の違いを顕著に示したものである。
基地航空戦と空母航空戦の違いは、昭和17年10月以降急速に変化し、
さらに後方の司令部の視点、GF司令部、さらには軍令部の視点が後ろに置いていかれ
前線基地航空部隊の視点との剥離が甚だしくなった事も考慮に入れるべきかもしれない。
角田を基地航空部隊に、小澤を空母機動部隊の司令官にした事が、
結局の所、大きなミスであったのはこの辺の事情による。
補足。
つまり、空母戦では母艦機を全部すりつぶしてでも敵空母を撃破ないし
撃沈すれば目的が達成されたと言ってよい、空母戦はほぼ一日で勝敗が決する事がその理由である。
しかし、基地航空部隊の戦いはそうではない、飛行場を叩こうが、基地施設を叩こうが、
それが為に、基地航空部隊が消滅するようでは負けなのである。 継続して作戦を行え(補充の問題もあるけど)
常に基地周辺の制空権を維持する為の作戦、敵航空軍基地への攻撃、周辺海域の友軍艦隊への索敵支援、等々、
実に基地航空部隊の戦いとは、難しいものなのである。
>>182 そうかい?マリアナ沖海戦のスプルーアンスの
戦術はどう評価するんだ?
マンシュタインのいう
『後の先』じゃん。
>>184 >スプルーアンスの戦術
スプルアンスは任務を忠実に守ったと考えている。
>後の先
そこが難しいところだ、あの時代は急速に航空戦の進化した時代。まさにドッグイヤー。
ほんの半年前の先述が通用しなくなりまた過去のロジック時なるという時代。
その辺を考慮に入れるべきでしょう。
×先述
○戦術
188 :
GF長官:2009/01/10(土) 20:34:35 ID:???
>>182 それは残念。
>くそう、半年前からニコの映像が表示されないバグにハマっている漏れ。
ニコニコの醍醐味は、他の人のコメントを見ながら楽しめるところですね。
不思議なことに、南雲長官に対する非難は一つもない。
というか、南太平洋海戦そのものがあまり知られていないようです。
>その飛行場に存在する航空機(航空部隊)をたたく事が目的である
なるほど。ということは、ミッドウェーで第一次攻撃隊をどのような編成に
しようとも、基地が空である限り「第二次攻撃ノ要アリ」は避けられないのか。
>>183 そうですね。
>つまり、空母戦では母艦機を全部すりつぶしてでも敵空母を撃破ないし
>撃沈すれば目的が達成されたと言ってよい
原少将は翌8日、味方の被害が大きいことから、第二次攻撃を断念しますが、
無理してでも編成して出していれば、ヨークタウンも撃沈できたかもしれない。
その結果、母艦兵力が壊滅しても、ミッドウェーに参加できないのは史実と同じ。
米空母が、エンタープライズとホーネットの2隻なら、また変わっていたかも
しれませんね。
>>184 上陸支援を優先し、小沢機動部隊攻撃を後回しにしたことかな。
「後の先」と聞くと、まず宮本武蔵が思い浮かんでしまう・・・
>>188 >ニコニコの醍醐味は、他の人のコメントを見ながら楽しめる
私もそっちの方が面白いですね、いろんな意味で「むう」と唸らせるコメントも流れるので。
>南雲長官に対する非難は一つもない。
南雲長官に対する理解が進んできたのでは?南雲中将の明らかな失点はミッドウェイのみですし。
>南太平洋海戦そのものがあまり知られていないようです。
認知度は低いですよね。 それと南太平洋海戦はソロモン方面の戦いとセットで論じられるべき物ですし。
戦術的勝利を得た物の、やはり肝心の餓島方面は大失敗では……そしてその後の母艦機投入。。。
>基地が空である限り「第二次攻撃ノ要アリ」は避けられないのか。
いろいろ記述された書籍はありますが、いわゆる「一回軽く攻撃してまた戻る的」戦術は燃料の問題で無理かと。
事実、帰還してきた攻撃隊各機が抱えていた燃料問題で、発進か着艦優先かの判断が割れた訳ですし。
基地がからである以前に、ミッドウェイ航空基地の無力化がきわめて曖昧だったかと。
仮に一次攻撃で滑走路を破壊したにせよ、所在の設営部隊の力から考えて、数時間で復旧が可能かと。
ウェークの滑走路修繕に捕虜にした米将校に人数割りとその計画を見せたところ
「滑走路の修理?そんなに人は要らない重機は残っていますね、その使用許可をくれ」と言う訳で
短時間で修理を完了した事実を忘れてはいけないかと。
特にミッドウェイの場合は、ウェーク以上に「備えて」ますので……一次攻撃で破壊したにせよ、
数時間おけば、穴を塞いで小型機の発着は可能にまで復旧する事は十分にあり得ます。
だから南雲は焦ったのではないかと考えます。
また友永も同じ事を中国戦線で経験しているからこそ(修理はすぐに終わり送りオオカミがやってくる)
第二次攻撃の要ありと打電したかもしれません。
>>188 >無理してでも編成して出していれば、ヨークタウンも撃沈できたかもしれない。
夕方まで浮いていたレキシントンを再度攻撃してしまい、
米軍の撃沈処分を肩代わりしちゃう可能性に1カノッサ
そもそも第二次攻撃隊を出しても米艦隊を見つけられるかが微妙だけど
>無理してでも編成して出していれば、ヨークタウンも撃沈できたかもしれない。
>その結果、母艦兵力が壊滅しても、ミッドウェーに参加できないのは史実と同じ。
>米空母が、エンタープライズとホーネットの2隻なら、また変わっていたかもしれませんね。
可能性とIf'sな問題ですが、完全に失った場合、再編成にかなり時間が掛かった事が予想されます。
そして、エンタープライズとホーネットを失ったにせよ、片方が要修理に陥ったにせよ、
米側にはまだ、ワスプ、サラトガが存在していますからね、油断は出来無いでしょう。
>>188 違う。まず小澤機動艦隊の攻撃隊を要撃、
航空戦力を無力化して艦隊の攻撃に向かった事。
中途半端にはなったが。
>>192 >中途半端にはなったが。
しょうがないさ、ハルゼーすら擁護している。
この問題を言ったのは歴史学者のモリソンさ。
194 :
GF長官:2009/01/10(土) 21:24:09 ID:???
>>181の続き
索敵報告を受け、直ちに原少将は攻撃隊発進を命じます。
0522「敵航空部隊見ユ、南緯15度55分・東経175度5分、針路15度・速力20節」
「味方ヨリノ方位182度・163浬」(翔鶴艦攻・敵艦隊発見)
0545「敵航空部隊ハ空母巡洋艦各一隻ヲ基幹トシ、駆逐艦三隻ヲ伴フ、針路0度・速力16節」
「付近の天候晴、風向130度、風速10米、雲高800米、視界20浬」(同・続報)
0600 攻撃隊発進(指揮官:高橋赫一少佐)零戦18・艦爆36・艦攻24(計78機)
0610「更ニ油槽船一・重巡一隻見ユ」(同・続報)(敵空母部隊の南東25浬の位置)
>>152の通り、翔鶴索敵機が発見したのは「敵航空部隊」ではなく、
油槽船「ネオショー」と駆逐艦「シムス」の二隻。
なぜ、こうも間違ってしまったのか。その理由を『戦史叢書』では、
(1)出発時から既に空母以外には念頭にないので、油槽船の比較的平板な船型を
見て、直ちに空母と判断、報告したのであろう。
(2)索敵機が敵を発見した場合には、途中の雲を利用したり、視界内外に出入りして
触接を続けるのが一般的であるが、このような行動を繰り返すうちに、誤って同じ
目標を別個のものと判断したものと思われる。
195 :
GF長官:2009/01/10(土) 21:26:40 ID:???
>>194の続き
確かに、「激闘!南太平洋海戦」(
>>178)の中にも、「索敵機からの視点」が何度か
登場します。上空から見れば、豆粒のような艦が幾筋かの航跡をひいているが見える
だけで、艦種識別が困難なことは容易に想像つきます。
それにしても、油槽船と駆逐艦の2隻しかいないはずなのに、
「空母巡洋艦各一隻ヲ基幹トシ、駆逐艦三隻」だと計5隻になってしまう・・・
イルカの群れでも見たのか?
0610時の報告に「油槽船一・重巡一隻」とあるので、おそらくネオショーとシムス
のことですね。駆逐艦を重巡と間違えるのはよくあることだと思います。
(2)によれば、一度「敵航空部隊」を発見した後、雲に入り、また出てきたところ、
別の部隊を発見したが、実は先程発見したのと同じ部隊だったということになります。
これも戦場では仕方のないことなのかもしれません。
196 :
GF長官:2009/01/10(土) 21:29:18 ID:???
>>195の続き
その報告を受け、原少将は会心の笑みを浮かべ(たはず)、攻撃隊発進を下令。
攻撃隊はおそらく甲板待機だったと思われます。『戦史叢書』の索敵計画には、
「索敵隊発艦後、第一編成飛行機隊(制空隊各艦九)第三待機」とあります。
「第三待機」については、
「試運転後、直衛機発艦ニ差シ支ヘナキ程度ニ、一部庫内待機トナスコトヲ得」
つまり、試運転が完了した状態で飛行甲板に並べるが、先頭には上空直衛機が
入るために、一部を格納庫待機にするということになります。
全力出撃なので、攻撃隊全機を並べてしまうと、直衛機発艦用の滑走距離が
確保できなくなるのでしょう。
0522時の報告から、0600の発進まで約40分。
攻撃隊の一部を格納庫から上げることを考えれば、迅速な発進作業と言えます。
ミッドウェーもこういけばなぁ・・・
搭乗員たちもまた意気軒昂。
「ようやく俺たちに主役の座がまわってきた」
「真珠湾以来、追い続けて来た米空母撃沈の手柄は我々のものだ」
「もう、一・二航戦の奴らに”妾腹”とは呼ばせるものか!」
それを見送る原少将の頭の中には、インド洋作戦でのハーミス攻撃時のことが
思い浮かんでいたかもしれません。
「あとは、高橋君のト連送を待つだけだ」
>イルカの群れでも見たのか?
それと、南方海域特有と言われる海上に見える黒い斑点とか。
いろいろありますな。
198 :
GF長官:2009/01/10(土) 21:43:38 ID:???
>>189 そうですね。
>南雲長官に対する理解が進んできたのでは?
とぃうより、南雲長官がミッドウェーでやらかしたことを知らないのでは・・・
つまり、「南雲忠一って誰?」
コメントを見ていると、こんな情景が思い浮かんできました。
恐るべし、ゆとり世代。
>基地がからである以前に、ミッドウェイ航空基地の無力化がきわめて曖昧だったかと
これは難しいところですね。攻略作戦である限り、無力化は避けられないですし。
>>190,191 本職もそう思います。「願望」がかなりまじってしまいました。
「テンプレ」の内容が頭にあっても、尚ミッドウェーは未練なんですよねぇ。
調べれば調べるほど、四隻の空母を同時に失ったことが信じられなくなる。
悪い夢のようにしか思えない。
>>192 有難うございます。マリアナはもっと勉強しないとな。
実は、川崎まなぶ氏の『マリアナ沖海戦ー母艦搭乗員達の激闘の記録』を
本屋で立ち読みしていたのですが、途中で店頭から消えてしまった。
巻末には、攻撃隊の詳細な編成表(搭乗員の氏名まで明記)があり、はしがきに
「アウトレンジの何が悪いんだ」とあったので、興味深かったのですが。
>>198 >つまり、「南雲忠一って誰?」
ぎゃーー。
>恐るべきゆとり世代
いやいや、そうではあるまい。
むしろ過去の因縁を引きずっていると、ちょっとした事で国家間の間に不信感が生まれるとも言える。
それなら、過去の因果は世界史的に軽く流すのもまた……
あーそういえば世界史未履修問題があったなあ(投げやり
>途中で店頭から消えてしまった。
是非買うべきだったのにw ああいう本は再販が難しいので。
それと、南太平洋開戦後、基地航空部隊に飛ばされた母艦航空隊を順に追って行って
ボーゲンビル航空戦と来て、マリアナ沖へと言う流れを、きちんと搭乗員の回想や
記録を元に記述している点でいい本ですよ。
>アウトレンジの何が悪いんだ
およそ、戦争とは結果によって判断されるから。 クライゼビッツか君主論のマキャベリだったっけ
マキャベリは「結果で判断されると記しているだけだったような」
>>127 >>166 >“ミッドウェー海戦時の米側索敵は基地航空隊に依存”
長官、米機動部隊も自ら索敵を行っていますよ。
TF17のヨークタウンが二次に渡る索敵を行い、
黎明の第一次(SBD 10機)は空振りですが、
第二次(同SBD 10機)は残存していた飛龍を発見します。
これにより飛龍はTF16の第二次攻撃を受け撃沈されました。
>>198 いや、ゆとりでなくとも普通に生活した場合、南雲忠一を覚えることはないと思うぞ。
同じ山形出身だったら、石原莞爾を知らないことのが問題ってくらいで。
>>201 まあ山形でも米沢と鶴岡はまた別だからな。
俺の父親は鶴岡出身だが同郷の加藤紘一の
ヘタレぶりに・・・・
203 :
202:2009/01/12(月) 18:52:23 ID:???
>>201 あと石原莞爾が広く知られるようになったのは
わりかし最近の事だと思う。
仮想戦記や漫画に登場するようになったからだろう。
一般的には南雲忠一のほうが知られてると思うが。
204 :
GF長官:2009/01/12(月) 21:15:00 ID:???
>>197 そうですね。平時の我々の感覚では計れないものがあると思います。
>>199 さすがにこれは冗談ですが。>つまり、「南雲忠一って誰?」
お馴染みのコメ職人さんや、知ったか君、酷士様に加えて、「これって赤城だよね?」
のようなコメントを見ると、「ネタだと言ってくれー」と脱力した次第です。
何かと評判の悪い「ゆとり」ですが、実際は、今の世代の方が知識は豊富でしょうね。
昔はネットも2chもなかったわけですし。
以前N○Kニュースで、中学校の歴史の授業で「侵略戦争」と教える教師に対して、
ハルノートをもとに「自衛戦争」だと主張する生徒の話が出てきました。
先生や母親の説得に対する少年の反論が、いちいち筋が通っていてたのもしい。
>>201の通りで、授業で習う前に一航艦の編成くらいは頭に入っていたし、
だいたい授業で出てこないですよね。
205 :
GF長官:2009/01/12(月) 21:16:19 ID:???
>>200 有難うございます。
>>166は、最初に南雲機動部隊を発見するまでの話なので、飛龍捜索時は
含みません。(もう奇襲が成功した後だから、自軍空母の所在秘匿する必要
はない)
また、第一次索敵(ヨークタウンSBD10機)に関しては、
「この(ヨークタウンSBD10機)索敵は、日本機動部隊を直接発見しようという
目的を持っていなかった。このとき米軍は、自分達の存在をまだ日本軍に悟ら
れていまいという確信を持っていた。
が、万が一ということもある。十機の索敵機には、敵空母部隊そのものではなく、
そこから発進してきた攻撃隊を発見するという任務が与えられていた。
直接敵を発見するということは、とりもなおさずこちらの存在を明かすことである。
万一敵攻撃機を発見しても、なるべく隠密裡にという命令を受けていた。
艦載機であることを知られてはまずい。
最初に定めた、『あくまで奇襲で』という鉄則を守りきる。奇襲でなければまず、
勝ち目はないであろうという、米軍の決意は固かった」 (『ミッドウェー戦記』)
なので、ミッドウェーでの索敵は「基地航空隊に依存」という考えです。
206 :
GF長官:2009/01/12(月) 21:27:12 ID:???
>>196の続き
高橋攻撃隊の編成を確認しておきます。
[母艦兵力]
零戦 艦爆 艦攻
瑞鶴 20 21 19
翔鶴 17 21 16
計 37 42 36(114機)
攻撃隊の編成は、
零戦 艦爆 艦攻
翔鶴 9 19 13
瑞鶴 9 17 11
計 18 36 24(78機)
207 :
GF長官:2009/01/12(月) 21:31:24 ID:???
>>206の続き
索敵に艦攻12機(各艦6機)を出しているので、残存兵力は、
零戦19・艦爆6・艦攻0
補用機や台南空零戦を加えれば多少は変動するでしょうが、残りは直衛の
零戦のみという「全力出撃」であることが分かります。
(波)スレ
>>518と重複しますが、
全力出撃というのは「戦力の集中」という観点からは満点の判断なのですが、
もし「空振り」に終わった場合、大変なことになる。(というか、なってしまった)
ミッドウェーのスプルーアンス少将の決断と比較すると面白いですね。
208 :
GF長官:2009/01/12(月) 21:55:55 ID:???
>>207の続き
もう一つ。
空母戦においては、攻撃隊発艦前、司令官は予め母艦の行動予定を攻撃隊指揮官に
伝えておく。指揮官はそれに基づき、帰投予定時刻の母艦位置を計算し、そこへ攻撃隊
を率いて連れて帰る。
ミッドウェーでも、南雲長官は、
「攻撃隊発進後、(第一機動)部隊ハ、針路135度・速力24節ノ予定」
と友永隊長に伝えている。
母艦が変針したら、その度に無電に伝えれば良いじゃないかとも思いますが、
確実を期してのことでしょう。
通常攻撃終了後、定められた地点で空中集合し、まとまって母艦へ帰投しますが、
実戦では、どうしてもはぐれる機体が出てくる。
無電で伝えても、受信に失敗する機体があるかもしれない(特に単座戦闘機)
混乱を避けるためにも、発艦前に母艦の行動予定を全員に伝えておき、最悪の場合、
単機ででも帰還できるように、との意図だと思われます。
209 :
GF長官:2009/01/12(月) 21:57:30 ID:???
>>208の続き
この日原少将は、母艦の行動予定を、高橋少佐に次のように伝達。
「針路90度・速力20節」
>>194にあるように、MO機動部隊と「敵航空部隊」(ネオショー)との距離は163浬。
しかも、MO機動部隊は南下、敵航空部隊は北上していますから、このままでは
接近し過ぎてしまう。
敵攻撃隊の反撃も予想されるので、適度な間合いと取ることが必要。
ならば、東進か西進の二つになりますが、原少将は東進(針路90度)を選択した。
210 :
GF長官:2009/01/12(月) 21:59:13 ID:???
>>209の続き
MO機動部隊指揮官・高木中将によれば、敵機動部隊の予測位置は、ルイジアード
諸島南方海域(
>>100参照)
だとすると、西進した方が良いように思いますが、なぜ原司令官は東進を選んだの
でしょうか。
理由は記述されていませんが、おそらく、
「敵航空部隊は、我が方の攻撃を受ければ、根拠地であるヌーメアを目指して、
東南方に避退するであろう。(
>>15参照)
だから、我々は予め東方に位置し、敵艦隊が避退したら、直ちに南下を開始
して追撃、これを撃滅する」
といったところではないでしょうか。
まだ原少将は、西方のフレッチャー本隊の存在を知りませんから。
単に、発艦時に風上に立って、その針路を維持しただけかもしれませんが。
>>205 その索敵機10機の話は映画ミッドウェイでも出てきますね。
フレッチャー 「主力か?」
ガース大佐「上陸を前提でやって来たんですよ、今日にもミッドウェイを攻撃するつもりです」
参謀長「しかし、どこからだ?どこから攻撃してくる」(南雲部隊の全容はまだ判明していない2隻だけ確認)
参謀「いきなりやってこられても困るな」
「発見されるとマズイですよ」
ガース「こちらからも索敵を出したらどうでしょう?10機も出せば十分でしょう」
参謀長「よしいい手だ」
参謀「120km以上は行かせるな、いざというときにはすぐに呼び戻せるようにな」
記憶で打っているんで細部は違うでしょうが、こんな感じですね。
明らかに発見されることを恐れての周囲の哨戒任務の感じです。
あの映画は良く作戦の経過を追っていますよ。
212 :
GF長官:2009/01/13(火) 21:07:14 ID:???
>>27 向こうはにぎやかだな・・・orz
せっかくですが、無理に統一する必要はないと考えています。
「南雲スレ」がたくさん立つのは結構なことですしね。
手前みそではありますが、当スレは一見さんには敷居が高いのではないかと。
連載形式なので、最初から読んでいかないと分からないし、
初代の頃に比べて、「テンプレ輪型陣」も強固になってきたので、通説に毛が生えた
程度なら、「テンプレ嫁」で鎧袖一触!わざわざ直衛機を出すまでも・・・(ry
だいたい、今は「南雲スレ」じゃないし。
そこで、こちらは、まったり戦史検証スレ。
向こうは、気軽に雑談スレ。
という両路線で続けていけば良いのではないでしょうか。
要は、今まで同一スレ内でやっていたことを、別々のスレで進めることになります。
213 :
GF長官:2009/01/13(火) 21:08:44 ID:???
>>212の続き
ただ、スレタイが同じだとややこしくなるので、次スレからは変更してくれると有難い。
「南雲中将を語るスレ」あたりでどうかな。
というか、すでに本職も「名無しの三等兵」で参戦しています。
スレ主として名前を明かして、発言する時は色々気を遣いますが、名無しさんなら
気軽に書き込めるので息抜きにもなる。
これでいいですよね、南雲大将?
それでは、
発:GF長官
宛:
>>27 本文:本日付ヲ以テ、南雲スレ指揮権ノ一部ヲ
>>27ニ移譲スルモノトスル
貴艦ノ航海ノ無事ヲ祈ル
214 :
GF長官:2009/01/13(火) 21:12:18 ID:???
>>211 お、お馴染みの『ミッドウェイ』ですね、有難うございます。
>あの映画は良く作戦の経過を追っていますよ
「使い回しが多い」等の理由で評価は低いですが、仰る点は同意ですね。
初見の時、「K作戦のことまで出てくるのか」と驚いたものです。
215 :
GF長官:2009/01/13(火) 21:21:55 ID:???
>>210の続き
高橋攻撃隊発進後、別の索敵報告が入ります。
0620「敵機動部隊ラシキ艦影ヲ認ム、デボイネノ152度・150浬」(古鷹水偵・敵艦隊発見)
0630「敵見ユ、空母1・戦艦1・巡洋艦2・駆逐艦7、ロッセル島ノ170度・82浬、針路30度・速力20節」
(衣笠水偵・敵艦隊発見)
両者は、
>>150のMO主隊(ロッセル島基点)の索敵線によるもの。
この時点(0630時)で、敵部隊は四隊に分かれていることが明らかになりました。
216 :
GF長官:2009/01/13(火) 21:27:23 ID:???
>>215の続き
□□□■□□□□ ルイジアード諸島
ポート □□□□■ □ □■ □ ■ロッセル島
モレスビー サマライ デボイネ
↑
△D(北上)
△C MO機動部隊(東進)
▲→
▼高橋攻撃隊(南下)
↓
↑
△A(北上)
△B
217 :
GF長官:2009/01/13(火) 21:32:40 ID:???
(A)空母1・巡洋艦1・駆逐艦3(0545時)
(B)重巡1・油槽船1(0610時)
(C)敵機動部隊ラシキ艦影(0620時)
(D)空母1・戦艦1・巡洋艦2・駆逐艦7(0630時)
実際は、どうだったと言うと、(
>>152、
>>167参照)
(A)は誤報
(B)はネオショーとシムス
(C)はクレース重巡部隊
(D)はフレッチャー本隊
218 :
GF長官:2009/01/13(火) 21:44:50 ID:???
>>217の続き
ここで原少将は、(A)と(B)、(C)と(D)は距離が近いことから同一部隊と判断。
(A−B間は25浬、C−D間は40浬)
「敵機動部隊は二隊に分かれ、MO機動部隊の南と西に位置する」
□□□■□□□□ ルイジアード諸島
ポート □□□□■ □ □■ □ ■ロッセル島
モレスビー サマライ デボイネ
↑
△乙
MO機動部隊(東進)
▲→
▼高橋攻撃隊(南下)
↓
↑
△甲(北上)
兵力 位置 針路 速力
(甲)空母1・巡洋艦2・駆逐艦3・油槽船1 MO機動部隊の182度・163浬 0度 16節
(乙)空母1・戦艦1・巡洋艦1・駆逐艦7 MO機動部隊の280度・250浬 30度 20節
徐々に敵兵力の全貌が浮かび上がってきました。
しかし、攻撃隊は(甲)部隊を目指して南下中。母艦には直衛零戦のみ。
さて、原少将の判断は。
戦爆連合での攻撃航空隊では戦闘機が前に出ると思うが単座機では航法に不安がある。
マリアナでは艦攻に艦戦を先導させたりミッドウェーでは索敵機からの長波幅射があったが初期の技量高い時期は艦戦に先導させても不安はなかったんだろうか。
でも真珠湾では淵田が先導してたような。
帰路に迷子も出る位だしやはり先導機を必要としたのかな。
その他の艦攻は艦戦の後ろに隠れるとしても。
真珠湾後の第二次ウェーク攻略戦で2航戦と米2空母が会敵してたらどうなったか気になる。
史実ではパイ中将の優柔不断で実現しなかったが12/16に機動部隊から分離して急いで打合せして3日間事前空襲後12/23に上陸。
航空戦力は他に24航戦の陸攻隊もいるから地上支援を任せて空母戦に専念できそうだが真珠湾で間に合わせの浅深度魚雷の半分を消費し上陸前事前空襲で爆弾の在庫も少なかったのではないか。
2航戦は空母戦をやれるだけの在庫があったのか。
米2空母と遭遇してたらどうなっていたか気になるところだ。
当時日本は米空母の所在を掴んでないし下手すりゃ奇襲食らって2航戦は全滅しかねない。
そうでなくても双方珊瑚海並の手傷を負って以後の作戦に影響しただろう。
221 :
GF長官:2009/01/14(水) 21:17:31 ID:???
>>219 そうですね。単座戦闘機に航法は任せられないと思いますが・・・
>>220 言われてみれば。
ウェーク基地攻撃の際に索敵機は出していたのかな。
222 :
GF長官:2009/01/14(水) 21:51:25 ID:???
>>218の続き
二隊に分かれた米機動部隊にどう対処するのか。
「西方にある敵(乙)は、既にわが友軍(MO攻略部隊)に対して攻撃を開始した
ことが判明したが、我(MO機動部隊)もまた南方近距離にある敵航空部隊(甲)
に対して、全力攻撃を指向しているので、まず南方の敵を撃破したのち、西方の
敵に向かう」 (『戦史叢書』)
高橋攻撃隊を出した後ですので、まずこれ以外にはないでしょう。
「まず一刀で米空母一隻を血祭りにし、返す刀で今度は西の空母を叩きつぶすか」
と勇ましい。
223 :
GF長官:2009/01/14(水) 21:53:09 ID:???
>>222の続き
0656時の「タナ十六電」などは、
(発:五航戦主席参謀大橋恭三中佐、宛:五戦隊主席参謀長澤浩中佐)
「敵空母撃沈ノ報ヲ得バ(0730〜0800の間)南下進撃ヲ可ト認ム
尚附近ニ敵戦艦、巡洋艦存在ノ疑イアルニ付、第一次索敵機帰リ次第、
索敵セントス、索敵計画案後ヨリ通知ス」
もう敵空母(甲)は撃沈されることが前提になっていますね・・・
さすがに、五戦隊司令部もこれには驚いたのか、
「其ノ後『デボイネ』ノ150度・150浬に敵機動部隊(乙)出現ノ報アルニ付、
再検討ヲ要ス」
とクギを刺しています。
それにしても、わずかな時間差なんですよね。
0610時の報告電があと15分も早ければ、まだ攻撃隊発進前なので、一旦
延期にして様子を見るという余地があったかもしれない。
距離の関係から言っても(
>>218)、南方の敵空母を優先することには変わり
ないとは思いますが・・・
224 :
GF長官:2009/01/14(水) 21:54:28 ID:???
>>223の続き
ミッドウェーでも、(
>>6参照)
0428 敵艦隊発見
0445 兵装転換中止
0530 雷装復旧開始
0445時の「敵艦隊攻撃準備、攻撃機雷装其ノ儘」命令を「雷装復旧」ではなく、
「転換作業中止」と見なす理由については、テンプレ(
>>14)でも示しましたが、
南雲長官としては、珊瑚海海戦一日目のことが頭にあり、敵兵力が明らかに
なるまでは様子を見ようという心境ではなかったでしょうか。
0428時の「敵ラシキモノ」が油槽船や駆逐艦なら無視して、ミッドウェー島再空襲
を優先した方が良いですからね。
翔鶴型(1941年)爆弾搭載定数は搭載機定数艦戦18艦爆27艦攻27に対して魚雷45・80番60・50番60・25番528・6番328・3番48
大鳳(1944)爆弾搭載定数は搭載機定数艦戦27艦爆27艦攻18艦偵3に対して魚雷45・80番90・25番468・6番468・3番48
あんまり何回も連続で出撃すると魚雷がなくなるで。
>>225 我、誤爆セリ! ですか。 こうなればスレ甲板上に日の丸を!
227 :
GF長官:2009/01/15(木) 21:00:33 ID:???
>>226 やはり同じスレタイだとややこしいかな。しばらくの間は仕方あるまい。
北極海下のシーウルフを思い出しますなぁ。
海江田艦長に冷や汗をかかせるとは・・・さすがは次期大統領候補!
228 :
GF長官:2009/01/15(木) 21:59:55 ID:???
>>224の続き
進撃中の高橋攻撃隊は、ついに敵艦隊を発見! だが・・・様子がおかしいぞ?
0710「敵見ユ」(敵艦隊発見)
0712「トツレ」(突撃準備隊形作レ)
0730「攻撃待テ」(高橋少佐・攻撃中止を命令)
「敵空母ノ位置、敵油槽船ヨリノ方位、距離知ラセ」(瑞鶴宛・敵空母位置確認要請)
「米空母ノ位置ハ、発見ノ油槽船ノ330度・25浬」(瑞鶴発・返電)
0745「攻撃隊ヲ収容セバ、北西ノ敵ニ向フ予定、直チニ第二次攻撃ノ整備ヲ行ハレタシ」
(瑞鶴発・翔鶴宛・第二次攻撃準備下令)
0800 攻撃隊は二隊に分かれ、付近海面を捜索
0842「反転、デボイネ南方ノ敵ニ向フ」(原少将・MO機動部隊の反転西進を下令)
0845「第四艦隊機密第三六八番電」(井上長官・各部隊にデボイネ南方の米空母を攻撃するよう命令)
0851「ワガ触接セルハ、油槽船ノ誤リ、ワレ今ヨリ帰途ニツク」
(翔鶴索敵機・0545時の報告は誤報だと報告)
0900「攻撃隊ハ直チニ帰投セヨ」(原少将・攻撃隊帰投を命令)
0915 艦攻隊・帰途に就く
0926 艦爆隊・攻撃開始(ネオショー大破・シムス沈没・艦爆1機自爆)
1030 艦攻隊帰投
1110 艦爆隊帰投(収容完了は1315)
(註)第四艦隊機密第三六八番電とは、
「○七一五、敵機動部隊ノ大部ハ、デボイネヨリ145度・165浬ニアリ、
各隊ハコノ敵ヲ攻撃セヨ」
229 :
GF長官:2009/01/15(木) 22:01:35 ID:???
>>228の続き
遠方から敵艦隊を発見した段階で、艦種まで識別するのは不可能。
高橋隊長は、敵発見と共に「トツレ」を下令。
敵見ユ→トツレ→展開完了→ト連送→攻撃開始
これは、日本側にとって既定の手順ですね。
ちょうど『激闘!南太平洋海戦』(
>>178)にも登場するので、確認しておきましょう。
[11:37]敵艦隊発見
[11:51]トツレ(突撃隊形作れ)
[12:46]ト連送(全軍突撃せよ)
「トツレ」で信号弾[11:56]も利用するのは、確実を期してのことかな。
230 :
GF長官:2009/01/15(木) 22:04:25 ID:???
>>229の続き
耳をすませば、トツレのモールス音が入っているのが分かります。
参考までに、日本語モールスの覚え方。
http://www.b-b.ne.jp/kaigun/m.html 「ト」(・・−・・)特等席
「ツ」(・−−・)都合どうか
「レ」(−−−)礼装用
これと、トラ連送「特等席でラムネ」くらいは覚えておきたいところです。
映画『連合艦隊司令長官山本五十六』などにも入っていますし。
何よりト連送を聞くと、気持ちが昂ぶるのを抑えきれない。
231 :
GF長官:2009/01/15(木) 22:05:34 ID:???
>>230の続き
日本海軍空母航空隊の場合、一つの集団となって進撃し、「トツレ」を合図に散開します。
「突撃準備隊形」とはどのようなものか。
制空隊(零戦)が前方に進出し、敵戦闘機と交戦、制空権を確保
艦爆隊は高度5千mくらいまで上昇。
艦攻隊は高度1千mくらいまで下降。
制空隊の一部が、艦爆・艦攻の直掩につく。
隊形が整ったのを確認し、指揮官は「ト連送」を下令、全軍突撃セヨとなる。
動画でも、村田少佐の細かい指示がよく描かれていますね。
232 :
GF長官:2009/01/15(木) 22:06:24 ID:???
>>231の続き
高橋少佐は艦爆乗りですので、高度を上げ、敵艦隊直上に達した時、様子が
おかしいことに気が付く。
「あれは空母の艦影ではない。タンカーじゃないか」
「全部で5隻のはずなのに、残り3隻は何処へ行った?」
少しずつ、日本側の歯車が狂い始めて来たようです。
それでは、
「−・・−」「−・」「−−・−−」「−−・−・」「−・」
正解は、明日のこの時間で。
・・・しまった!平文で発信してしまった。
許して、原提督!
233 :
GF長官:2009/01/16(金) 21:15:37 ID:???
>>232の続き
正解は「また明日」でした。
正解者全員に素敵なプレゼント。以下の三つの中から一つをお選び下さい。
(A)九一式航空魚雷
(B)八十番徹甲爆弾
(C)二十五番通常爆弾
ご自宅まで速やかにお届けします♪
モールスの覚え方については、映画『ハワイ・マレー沖海戦』で予科練の授業風景が
出てきます。
本職も、ゆっくりで良いなら送信は出来そうですが、受信は無理ですね。
電鍵の叩き方には癖があり、熟練の通信員が聞けば、どの艦のものか分かるらしい。
そこで真珠湾攻撃の際には、南雲機動部隊の無線士たちは本土に残され、各艦が
内地で訓練中であるかのように偽電工作を行ったと言われています。
234 :
GF長官:2009/01/16(金) 21:39:42 ID:???
>>233の続き
敵艦隊が「航空部隊」ではないことに気づいた高橋隊長は攻撃中止を決断。
直ちに、旗艦宛に敵艦隊位置を問い合わせている。
その返電が「「米空母ノ位置ハ、発見ノ油槽船ノ330度・25浬」
五航戦司令部としては、攻撃隊が発見したのは
>>216の(B)であり、その
北西(330度)に「敵航空部隊」(A)が存在するはずという判断でしょう。
そこで高橋少佐はニ隊に分かれて、付近海面の捜索を開始。
高橋赫一少佐(翔鶴隊)→北西海面
嶋崎重和少佐(瑞鶴隊)→南方海面
司令部情報の北西だけではなく、南方にも捜索隊を出している。
これは、「敵航空部隊」が変針した場合も考慮に入れてのことだと思われます。
不測の事態に対しても、冷静な対応がうかがえる。
235 :
GF長官:2009/01/16(金) 21:41:09 ID:???
>>234の続き
実はインド洋作戦の時(4月9日ハーミス攻撃)も、攻撃隊長は高橋少佐だった。
(呂スレ
>>673参照)
『勇者の海』によれば、榛名水偵の報告では「ハーミスは南下中」だった。
よって、彼はハーミスは南下を続けたものとして、予測位置に攻撃隊を導くも姿は見えず。
何故ならば、ハーミスは途中で反転北上したから。それを高橋隊長は知らない。
少佐は更に南下して、捜索を続行するも発見できず。
「ハーミスが全速で南下したとしても、これ以上南には居ないはず」と反転北上を決断。
そして見事発見→ト連送→「ハリケーンは出発せしや!」となったわけです。
ネオショー発見時の沈着な対応も、これらの経験を基にしたものでしょう。
236 :
GF長官:2009/01/16(金) 21:42:41 ID:???
>>235の続き
空母航空戦というのは、お互いを視界の内に捉えながら戦闘するわけではないので、
索敵情報に基づいて、頭の中で「敵の予測位置」を思い描きながら戦わねばならない。
どうしても、このような混乱が生じてしまう。
>>181でスティル氏が述べている通り、
「不十分だったり相反したりする情報をもとに 重大な決断を迫られたときにも、素早く対応
しなければならない」
「戦争の厳しい重圧と、部下の命のかかった状況での指揮官の秒刻みの 決断が、太平洋
での多くの戦闘を決したのである」
これは、司令官だけではなく、攻撃隊指揮官にも当てはまると言えそうです。
ところで、南雲機動部隊において、攻撃隊を出しながら敵艦隊を発見できなかったということは
あまり聞かないですね。第二次ソロモン海戦くらいか?
対する米海軍は、この珊瑚海でもミッドウェーでも発見できずに空しく帰投した部隊があった。
日本側の索敵・航法・指揮官の伎倆の優秀さを物語るものだと思いますが・・・
>>236 日本軍が偵察機や接触機が攻撃隊を可能な限り誘導してるからってのもありませんかね?
珊瑚海で帰投を諦めた偵察機自らが攻撃隊を誘導してるみたいに
>>58 >急降下爆撃命中率の差異
ミッドウェー海戦時のヨークタウン(CV-5)搭載飛行隊が、
修理中のサラトガ(CV-3)の飛行隊とほぼ入れ代わったのも理由の一つですかね?
両航空団(CAG-5とCAG-3)の練度に違いがあったかは不明ですが…
(ヨークタウンは開戦から沈没まで、ぶっ通しで洋上行動でしたけど)
珊瑚海→ミッドウェーのヨークタウン搭載飛行隊の変遷
VF-42→VF-3(半数以上が旧VF-42の搭乗員)
VS-5→新VS-5(旧VB-5が名称変更)
VB-5→VB-3
VT-5→VT-3
(旧VS-5とVT-5は陸揚げ)
※なおVF-42は本来はレンジャー(CV-4)の搭載飛行隊だが、
ヨークタウンの急速太平洋回航にあたり搭載されたもの。
ミッドウェーで急降下爆撃を行ったのは、元はサラトガ搭載のVB-3です。
珊瑚海で急降下爆撃を行った旧VB-5は新VS-5として主に索敵任務に従事、旧VS-5は陸揚げ中でした。
>>238に参考補足
『空母ヨークタウン』の記述では、
ツラギ攻撃を初めとした珊瑚海海戦でのSBDの急降下爆撃命中率の不調は、
同機が高々度からダイブする間に水蒸気の凝結で
「爆撃照準器と風防ガラスの曇り」
の傾向があり、これは天候状態でも大きく左右されたとのことです。
これは珊瑚海海戦前のラエ・サラモア攻撃も同様だったようで、
その時には他にも電動爆弾投下装置や無線通信器の多くが動作不良で
「艦上機の装備が大々的な改良を要する」
というのが現場の声だったとのこと。
これらが他の米空母でも発生していたかどうか、
ミッドウェーでの急降下爆撃では問題は無かったのか
(もしくは何らかの対策を施したのか)
等の記述が無いため、同書を全面的に参考と出来ない部分がありますが…
追伸
GF長官及び当スレ参加将兵宛て
『空母ヨークタウン』の資料的妥当性はどの程度なものでしょうか?
同書は訳注も含めて明確な事実の誤りが幾つかあります。
ただ、GF長官が列挙している資料を基にした珊瑚海海戦の推移ですが、
同書では微妙な違いや参考・補足となるかもしれない記述も幾つかあります。
特に相違点については、それに関わった具体的な米側パイロット名等が列挙されているため、
単純な誤り・事実誤認とも言い切れない部分があり、判断に苦慮しています。
>>239 >ミッドウェーでの急降下爆撃では問題は無かったのか
ドーントレスの爆弾投下装置が不調。
マクラスキー隊の各機は一部爆弾を誤投弾した話が残っているが。
空母爆撃の際は、爆弾抱いている各機は手動レバーで投下。
242 :
GF長官:2009/01/17(土) 18:33:10 ID:???
>>237 そうですね。ミッドウェーの筑摩五号機も誘導電波を出して、確実に
飛龍小林隊を導いていますしね。
>>238 有難うございます。
サラトガ隊の方が伎倆優秀だったということかな。
>>239 これは『暁の珊瑚海』でも記述されていますね。
>「爆撃照準器と風防ガラスの曇り」
VS-5バーチ少佐によれば、
「降下中、8000ft付近から照準器が曇りだし、ひどい状態となった。そのために、
少なくとも爆撃精度は75%程度に減少したと思われる」
その結果、バーチ隊7機は1000ポンド爆弾を全て外している。
ミッドウェーでは、電熱線でも入れたのか?
243 :
GF長官:2009/01/17(土) 18:34:47 ID:???
>>240 早速注文しました。>『空母ヨークタウン』
本編は、『戦史叢書』『写真太平洋戦争』『暁の珊瑚海』を資料としているので、
米側の視点も必要だと思っていましたし。
一応
>>181の『オスプレイ』も参考にはしていますが。
>>241 『歴史群像』によれば、
「ヨークタウン攻撃隊第一波は、全機が発艦を完了してから5分も経たないうちに思わぬ
アクシデントに見舞われた。
レスリー少佐は第三爆撃機隊全機に対して、爆弾投下装置の確認を命じ、自らも確認
作業を行ったところ、いきなり機体が浮き上がるのを感じた。
新型の爆弾投下装置の電気系統に接続ミスがあり、作動確認をしただけで爆弾が投棄
されてしまったのだ」
少佐は手動式への切り替えを命じたが、これにより4機が誤って投棄してしまい、戦闘前
から攻撃兵力が13機に減じてしまったらしい。
少佐機は分かるとして、残りの3機に帰還を命じなかったのは、「直掩任務」をさせるつもり
だったのだろうか。
244 :
GF長官:2009/01/17(土) 19:17:07 ID:???
『激闘!南太平洋海戦』は消された模様。
まぁ、仕方ないな。
>>236の続き
「零戦虎徹」こと岩本徹三一飛曹(瑞鶴)も制空隊の一員として、この「敵航空部隊」
攻撃に参加。
「しかし到着予定時刻になっても、敵らしい影を発見できない。付近の天候は雲を増し、
視界はわるくなってきた。私たち制空隊としても、もし敵がいるとすれば、当然敵戦闘機
の出現を予期せねばならない。
攻撃隊本隊は、さらに扇形の索敵を続行した。その間、私たち戦闘機隊は、見張り警戒
にあたるのだが、それは戦闘以上にエネルギーを消耗する。当然あらわれなければ
ならぬはずの敵があらわれないので、精神的に疲れるのである」 (『零戦撃墜王』)
これは、よく分かりますね。
仕事が忙しい時よりも、無駄な待ち時間の方が精神的に疲れるというのは、よくあること。
245 :
GF長官:2009/01/17(土) 19:19:55 ID:???
>>244の続き
索敵の結果敵部隊は発見できず、やがて誤報だと発覚するのですが、この間、当の翔鶴索敵機は
いったい何をしていたのか。
「この朝、『敵航空部隊見ユ』と打電した翔鶴索敵機は、まだ戦場付近の上空にとどまっていた。
奇妙なことに、彼らはその後『敵油槽船見ユ』と打電してきただけで、米空母部隊の状況について
詳細な第二電を打ってきていない。
戦闘詳報の電報綴を見るかぎりでも、はるか雲のかなたから『敵航空部隊』と『敵油槽船』を一度
ずつ垣間見ただけですぐ同海域をはなれ、雲のなかで攻撃隊の到着するのを待っている。
『ワレ誘導電波ヲ出ス』
進撃中の攻撃隊あてに打電した暗号電報の内容も、どこか誇らしげである」 (『暁の珊瑚海』)
どうも、この行動は不可解ですね。
>>83のように、ツラギの九七大艇の報告電を参考にすると、
「敵見ユ」「敵位置」「敵針・敵速」「敵兵力」「付近天候」
最低限これくらいは必要なことが分かります。
246 :
GF長官:2009/01/17(土) 19:21:44 ID:???
>>245の続き
翔鶴索敵機は上記を報告済み(
>>194参照)だったので、「自分の役目は終わった」と
安心して、雲の中で「待機」していたのか?
誘導電波を出すくらいなら、攻撃隊が当該海域に到達出来たかどうかも確認すると
思いますが。
何より、高橋隊長と瑞鶴とのやりとり(
>>234参照)を「聞いていた」はずなのに・・・
「高橋隊が二手に分かれて『敵航空部隊』を必死に捜索し続けているあいだ、
二機の索敵機は雲の中にじっと身をひそめているのみである。
約二時間ー高橋少佐が空しい捜索のあげく誤認に気づくまで、ベテラン偵察員
を欠いた二機の索敵機は任務を終えた安心感で、ゆっくりと雲の中を飛んでいる」
247 :
GF長官:2009/01/17(土) 19:22:52 ID:???
>>246の続き
翌日の菅野機と比べると、お粗末と言わざるを得ない。
結局、自ら誤報に気づいた翔鶴機は、
0851「ワガ触接セルハ、油槽船ノ誤リ、ワレ今ヨリ帰途ニツク」
と打電し帰途に就くも、機位を失し、インデスペンサブル礁に不時着。
後に駆逐艦有明により救出・・・
でも、どうやって「誤報」だと気づいたんでしょうかねぇ。
高橋少佐の通信を聞いていて、心配になってきたのか。
でも、確認手段はないだろうし。
誤報だと確定した時の、攻撃隊員の言葉ー
「何だ、索敵機のやつらは!」
「あいつらは、本当にたるんでるよ!」
これじゃ、「海軍さんは、この頃たるんじょる」と言われても仕方ない。
248 :
GF長官:2009/01/17(土) 19:24:37 ID:???
>>247の続き
0710時に到着してから、0915時帰途に就くまで、約2時間。
この無駄な時間の浪費が決定的だったと言えましょう。
「兵装転換の章」(伊スレ
>>413)でも述べましたが、
「一分一秒の決断の遅れが命取りとなる戦場において、この2時間という
数字は、致命的を通り越して、絶望的ですらある」
原少将は、この2時間の重さを、やがて思い知ることになります。
「湿度の高い熱い空気の中を急降下して行くと照準器が曇りがちになる」欠点は
文林堂の「世界の傑作機No110」でも指摘されていますね
同書によるとこの問題が全面的に解決を見たのは風防にヒーターを取り付け
光像式照準器を装備したSBD−5(1942年9月初飛行)からなので
ミッドウエイはニューギニアや珊瑚海ほど高温多湿ではなかったのでしょう
>>240 資料的にはあんまり…、日本側の戦記レベルに近いからなあ
各海戦が米側視点から書かれてる事と、開戦後から沈没までのヨークタウンの行動が追えるのは結構重要だけどさ
>>243 米側視点という意味でなら『空母ヨークタウン』もいいけど、
素直にモリソンの海軍作戦史(日本語版は3巻に珊瑚海海戦を収録)や
レックスやヨーキィのActionReportを読む事をお勧めしますよ
251 :
240:2009/01/19(月) 20:49:29 ID:???
>>250 レスどうもです。
やっぱり資料的には微妙ですか。
基本的にヨークタウンの乗組員、搭乗員の証言を中心とした回想録的な感じですしね。
フレッチャーの幕僚なんかはあまり登場しませんし。あと、時刻を明示してない箇所もあるんで、時系列が不明瞭な点とか。
>>243 うはっ、迅速な決断ですGF長官。
『空母ヨークタウン』の日本側描写はほとんど憶測なんで、その点に留意願います(汗)
252 :
GF長官:2009/01/19(月) 21:17:13 ID:???
>>249 有難うございます。
曇り止めにヒーターを使うというのは昔からあったんですな。
>>250 そうですね。
ただ前にも書きましたが、戦記モノは「雰囲気を味わう」ものなので。
真珠湾攻撃で米海軍の士気は下がったが、その中で空母搭乗員の士気は高かった
と聞いたことがあります。
例えば、『滄海よ眠れ』には、ミッドウェー海戦直前の米海兵隊通達がありますが、
「今回我々は、向こうからやって来る敵(日本軍)に対して、防衛任務を遂行する
だけでなく、敵に大損害を与えるという、海兵隊と我々の生涯を輝かせる栄光への
機会を得るのである!」
空母航空隊の方はどうだったのか。搭乗員の証言等からうかがえるのではと
期待しています。
>>251 宜候。近日中ノ報告ヲ待テ
253 :
GF長官:2009/01/19(月) 21:28:10 ID:???
今朝のN○Kニュースより、「若い女性の間で、戦国武将ブーム」
人気は、真田幸村・石田三成・伊達政宗・片倉小十郎・直江兼続あたり。
何でも主従の深い絆がカッコイイのだそうだ。
となると、次は軍人ブーム? ・・・はないか。
ただ、彼女たちが知ったきっかけはゲーム(戦国無双?)らしいので、
こちらも「皇国無双」でも作ればいけるか?
南雲長官は25番や80番を投げつけて闘うのだろうか。
魚雷は「Long Lance」と言われるくらいだから槍だな。
しかし、美形の南雲とハルゼーが殴りあう光景は・・・見たくないなぁ
つストパン
・・・いえ、何でもないです。
254 :
GF長官:2009/01/19(月) 21:55:10 ID:???
>>248の続き
「敵航空部隊」が幻であったことが判明し、原少将は攻撃隊帰還を命令。
それを受けて高橋少佐は、艦攻隊の帰投を命じ、艦爆隊のみでの攻撃を決意。
まあ、油槽船と駆逐艦に魚雷を使うのはもったいないですからね。
制空隊は二手に分かれたのだろうと思います。
岩本小隊は、艦爆隊の護衛に残ったようで、
「いつでも攻撃開始可能の態勢で旋回しながら注視すると、二隻はけなげにも
高角砲を撃ち上げてきた。
艦爆隊はすでに急降下を開始すると、指揮官機に続いて次々と突入し、投弾を
終わった機は、海面すれすれに引き起こして低空飛行で離脱する」
(『零戦撃墜王』)
さながら、「九九艦爆の急降下爆撃ショー」を見学ですな。
255 :
GF長官:2009/01/19(月) 21:56:48 ID:???
>>254の続き
まず翔鶴隊19機から、続いて瑞鶴機17機。
駆逐艦シムスは、最初の命中弾で轟沈(乗員250名中、生存者15名)
油槽船ネオショーは、大破(命中弾7発・至近弾8発)
結局沈めることは出来ず、ネオショーは漂流の末、友軍駆逐艦ヘンレーにより
自沈処分(乗員288名中、生存者110名)
これだけ命中したのに沈没しなかったのは、遅発信管が禍して艦底を突き抜けて
しまったんだろうか。サマール沖のガンビアベイのように。
この中で、瑞鶴隊の一機(石塚重男二飛曹機)が被弾、炎に包まれながら自爆。
(ネオショーに突入)
これは、他の搭乗員に大きな衝撃を与えたらしく、
「このように壮烈きわまる光景を目撃したのは、これが最初であり、最後であった」
「それは、私の初めて見た自爆であり、その壮烈さに強い感動を受けた」
「わが艦爆自爆機の凄烈な最期に、強い感動を受けたのであった」
等の証言が残されています。
『激闘!南太平洋海戦』でも、坂本明大尉の九九艦爆がホーネットに突入する
場面が出てきますが、涙なしには見られないです。
256 :
GF長官:2009/01/19(月) 21:58:04 ID:???
>>255の続き
余談ながら、ネオショーですが、
真珠湾攻撃の時に、戦艦メリーランド・オクラホマのすぐ前方に停泊していた。
せっかく被雷を免れたというのに・・・まぁ、村田雷撃隊が外すわけはないか。
戦艦アリゾナの隣に居た工作艦ベスタルは、「外れた」80番を二発受けたが、
なんとか浅瀬に乗り上げて、沈没は免れています。
ネオショーも被弾していれば修理に時間を要し、マリアナやレイテで活躍して
いただろうに、艦艇にも運の良し悪しがあるかもしれませんね。
>>253 それは戦国武将の実像というより腐女子の妄想で…。
でも三国志や新撰組は女子にも昔から人気あったような。
>>254 魚雷がもったいないて魚雷抱いたまま着艦は無理なんでない?
着艦前に投棄すると思うけど。
爆弾でさえジャングルに投棄して帰還するエピソードとか見るけど。
増槽はつけたまま戦闘して持って帰る話も聞くがどうなんだろ。
258 :
GF長官:2009/01/20(火) 21:22:21 ID:???
>>251 今日届きました。>『空母ヨークタウン』
まだ目次しか読んでないのですが、始めにフレッチャー少将の言葉があります。
「私(フレッチャー)がヨークタウンに将旗を掲げた時、太平洋方面での我が方の
情勢は悲惨そのものであった。
我が空母群は二つの任務を達成しなければならなかった。
我々がまだ保持しているものを防衛することと、
日本艦隊を広域に分散させてバランスを崩し、その保持地域を奇襲することである。
代替と増強の軍艦が建造されるまで、合衆国の生産力が自力を発揮するまで、
我々はこの任務を続けなければならなかったのだ。
もし日本艦隊が我々に対してなお兵力を集中するならば、
我々よりも数において勝るならば・・・神よ、救い給え」
珊瑚海海戦時の彼の心境がよく表れていますね。
フレッチャー少将も、もっと評価されるべき・・・でしょうか。
>>257 そうなのか。
>でも三国志や新撰組は女子にも昔から人気あったような。
魚雷については、今日の本編にて。
259 :
GF長官:2009/01/20(火) 21:52:43 ID:???
>>256の続き
インド洋作戦では、重巡二隻に対して無傷だった江草艦爆隊(伊スレ
>>684)
油槽船相手に自爆機を出したということは、米艦艇の対空砲火は侮れないと
言えそうです。
シムスの兵装は、5インチ高角砲4門・20ミリ機銃4挺
ネオショーの対空兵装は不明ですが、たぶん機銃だけでしょう。
「戦場付近の天候は晴れ上がり、九九艦爆が一機ずつ突入するのを、残る全機が
見守るという演習さながらの光景である。だが、爆撃演習と違っていたのは、米軍
対空砲火の正確さと破壊力である」 (『暁の珊瑚海』)
参考までに、当時のレキシントンの兵装は、
5インチ単装両用砲12門
28ミリ四連装機関砲12基
20ミリ単装機関砲32基
12.7ミリ単装機銃28基
脅威のボフォース40ミリは、まだ配備されていなかったようですね。
やれやれ・・・それでも、あの大損害とは。
260 :
GF長官:2009/01/20(火) 21:54:10 ID:???
>>259の続き
さて、一足先に戻った艦攻隊は、1030時より母艦に帰還しますが、
どうやら魚雷を抱いたまま(!)着艦したようです(瑞鶴隊)
翔鶴隊の艦攻には、「魚雷ヲ投棄セヨ」の信号が出され、
「着艦コースに入った九七艦攻各機はその命令をみて、一機ずつ魚雷を海面に
投じていく。荒い波に小さな飛沫が立つ。そのたびに魚雷員から大きなため息が
洩れた。
戦闘機整備班の秋山勘一三整曹は、掌水雷長の稲葉兵曹が涙を流していること
に気づいた。魚雷整備は非常に困難な仕事で、精魂込めて徹夜で調定したところ
でいつも充分とはいえない。だからこそ、わが子を失うようなつらさなのだろうと、
彼は思った」
兵装転換が大変な作業である理由が分かりますね。
261 :
GF長官:2009/01/20(火) 21:54:51 ID:???
>>260の続き
それでも、一部の機は「命令を無視して」魚雷を投棄せずに着艦。
「市原機は艦尾からゆるゆると接近をはじめた。艦橋の誰もが身体をこわばらせて
機の行方を見つめた。
だが、その着艦はまるで”トンボが菜の花に止まるよう”な見事さであった。
運用長福地少佐の目撃談ー
『まさに神技というほかない見事な伎倆で、見守る全員は安堵と感嘆のどよめきを
発した』」
魚雷を抱いたままということは、いつもより800kgも重い機体を操らなければなら
ない。それでいて、この見事さ。
もう誰にも「妾腹」とは言わせまい。
空母の整備員というのは常用機1機につき1人とかの割合でつくもんなんだろうか。
いや1人じゃ兵装転換できないな。
数人がかりで1機ずつ作業するのかそれとも全機一度に作業できるだけの整備がいたんだろうか。
整備の数が多ければ作業も迅速にできそうだけど。
確か空母で一度に調定できる魚雷本数は9本までだった気がする。
263 :
GF長官:2009/01/21(水) 21:23:44 ID:???
>>262 どうでしょうか・・・ミリクラVol.8「翔鶴・瑞鶴特集」によると、
母艦で「整備」を担当するのはニ部署あり、
(1)整備科:機体・発動機の整備
(整備長)整備分隊(艦戦・艦爆・艦攻の三分隊)
(2)飛行科:搭載兵器の整備
(飛行長)飛行機員(飛行前の点検・試運転、計器の整備)
兵器員(魚雷・爆弾の整備、投下器の取付)
なので、担当の機体があるわけではない。
魚雷を装備する場合、掌水雷長(魚雷専門の特務士官)が管理・指揮し、
兵器員が調整室で調整した後、搭乗員も手伝って8人くらいで搭載する。
その後、飛行機員に渡され試運転が始められるという流れです。
出撃前は徹夜作業と言えそうですね。
264 :
GF長官:2009/01/21(水) 21:51:10 ID:???
>>261の続き
この間、原少将の心境はどう変化していったのか。
攻撃隊を放った後、0700時には、
「敵ハ航空母艦・巡洋艦各1、駆逐艦3、地点南緯15度55分・東経157度55分
航空機ノ全力ヲ以テ攻撃中」 (『第五戦隊機密第八五七番電』)
高木中将より、全部隊に宛てて、南方の「甲部隊」(
>>218)を攻撃中であることを通達。
同時に原少将は、敵空母を沈めた後、周辺海域に存在するであろう護衛艦艇(戦艦・巡洋艦等)
を追撃するつもりだったが、五戦隊より「西に出現した敵空母部隊(乙)のことも考慮に入れるように」
とたしなめられ、西進することを決意(
>>223参照)
265 :
GF長官:2009/01/21(水) 21:52:43 ID:???
>>264の続き
そして高橋少佐より、敵空母が見つからないとの報が入る(
>>228参照)
攻撃隊が「幻の敵航空部隊」を捜し求めている間、0745時翔鶴に西進する旨を伝え、0842時反転。
>>208の通り、攻撃隊収容までは変針しないのが理想ですが、もうそんな余裕をかましている場合では
なくなったのでしょう。
五航戦幕僚の面々にも焦燥の色が浮かび始めたようです。
そこへ追い打ちをかけるように、0845時井上長官からの催促電が入る。
(
>>228の「第四艦隊機密第三六八番電」)
「そんなことは分かってるよ!」という声が聞こえてきそうだ。
266 :
GF長官:2009/01/21(水) 21:53:55 ID:???
>>266の続き
更に0851時、問題の翔鶴索敵機より、「敵航空部隊」が誤報であったと告げられる。
「原少将は色を失った。いま五航戦司令部にとって成し得ることは、ただ一つであった。
総飛行機隊を急いで呼び戻し、出来る限り早く再攻撃に進発することである。
同司令部から緊急信が打電された。『攻撃隊ハ直チニ帰投セヨ』」 (『暁の珊瑚海』)
つい2時間ほど前までは、絶対優勢だったはずなのに・・・
これが戦場の恐ろしさですね。しかも、ゲームと違って実戦では「やり直し」はきかない。
あせる原少将の手元に、0935時〜まだ艦攻隊が帰投する1時間も前〜決定的な報告が
入りますー
祥鳳沈没!
267 :
GF長官:2009/01/22(木) 21:18:51 ID:???
>>181関連で、「あとがき」に面白い記述を発見。
「攻撃面に関しては、日本の空母機動部隊は圧倒的であった。
歴戦の搭乗員が操る九九式艦上爆撃機の攻撃は正確無比だった。
だが、日本の飛行隊が最大の威力を誇ったのは艦上攻撃機による雷撃である。
近代的な九七式艦上攻撃機と優れた九一式航空魚雷の組み合わせは、効果的な
兵器システムとなり艦船を撃沈するのに威力を発揮した。
1942年のすべての海戦で、ひとたび雷撃の命中を受けた米空母が、最終的には
沈められていることは特筆すべきである」 (『日本海軍空母VS米海軍空母』)
航空魚雷が命中した米空母は、
レキシントン(珊瑚海)→撃沈(ガソリン引火)
ヨークタウン(ミッドウェー)→撃沈(伊168)
ホーネット(南太平洋)→撃沈(駆逐艦)
対して、魚雷から免れた場合、
ヨークタウン(珊瑚海)→中破
エンタープライズ(第二次ソロモン)→中破
エンタープライズ(南太平洋)→中破
いずれも生き残っている。
エンタープライズに魚雷が命中していれば、不死身のビッグEといえども・・・
268 :
GF長官:2009/01/22(木) 21:25:25 ID:???
>>267 一応エセックス級のイントレピッドが航空雷撃喰らってますな
使用魚雷は九一式の何型かは知りませんけど
270 :
GF長官:2009/01/22(木) 21:59:10 ID:???
>>266の続き
ここで時計の針を夜明け前に戻して、米側の視点からみていきます。
0425時、フレッチャー少将麾下の第17任務部隊の位置は、ロッセル島の南115浬。
南緯13度20分・東経154度21分(
>>167参照)
同時刻、クレース重巡部隊を分離西進させ、また、MO機動部隊の索敵圏外に出た
のも、この頃です。
0430 索敵機発進
0615「敵見ユ、空母2・重巡2、南緯10度10分・東経152度27分」(索敵機・日本艦隊発見)
0630「敵見ユ、空母1・その他の軍艦16・輸送船10、南緯10度35分・東経152度36分
(タウンスビル基地のB−17・日本艦隊発見)
0725 攻撃隊発進(レキシントン)
0743 攻撃隊発進(ヨークタウン)艦戦18・艦爆53・雷撃22(計93機)
もっと喰らってなかっけ?と思って米軍のDamageReport見直したらやっぱりいた
43年11月20日にインディペンデインスがギルバート諸島で、
43年12月4日にレキシントンがマーシャル諸島で、
それぞれ「Air.Trop-1」と記録上はなってますな
272 :
GF長官:2009/01/22(木) 22:01:10 ID:???
>>270の続き
>>134の通り、フレッチャー少将は、未だ東方のMO機動部隊には気づいていない。
日本空母3隻は、MO攻略部隊と共に、ソロモン海西域を南下中という判断。
当然ながら、自隊の北半分を重点に索敵機を出します。
方位:325度(北西)〜85度(真東)
機数:各線1機の10線(SBD)
進出距離:250浬
325度線は、
>>167のデボイネの方向。
そして67度線が、ちょうどMO機動部隊の方向に当たる。
273 :
GF長官:2009/01/22(木) 22:03:02 ID:???
>>272の続き
この67度線索敵機は、天候不良を理由に165浬地点で引き返すのですが、
その先220浬地点には、翔鶴・瑞鶴が居た(!)
「米軍搭乗員があえて悪天候を突破して任務通り250浬を飛んでいれば、
日本の空母部隊は発見され、のちの珊瑚海海戦の様相は一変していたと
思われる」 (『暁の珊瑚海』)
一般的に5月7日の天候は米側に味方したと言われますが、この点に限って
言うならば、そうではないですね。
274 :
GF長官:2009/01/22(木) 22:03:44 ID:???
>>273の続き
もちろん上空警戒機を飛ばしてはいますが、五航戦は南方の「敵航空部隊」に
集中していますから、隙が生じる可能性は十分ある。米側の奇襲が成功する
かもしれない。
こうなると、原少将が攻撃隊を放った後「東進」した決断(
>>210)は正解だったと
言えますね。もし西進していれば、67度線のSBDが引き返す前に見つかって
いたかもしれないし。
戦場というのは、一つ一つの決断が複雑に影響し合うのがよく分かります。
275 :
GF長官:2009/01/22(木) 22:06:15 ID:???
>>269,271 ありがとうございます。
一応「1942年のすべての海戦」とあるので、対象は、
珊瑚海海戦・ミッドウェー海戦・第二次ソロモン海戦・南太平洋海戦
に限られます。
エセックス級にも命中させていたとは知らなかった・・・やるじゃないか!
>>273 >米軍搭乗員があえて悪天候を突破して
行方不明になるのがオチですよ。 当時の航空機の能力は自然と闘うにも不足な部分が多い。
現在でさえ、雷雲と雨に弱いというのに。
277 :
GF長官:2009/01/23(金) 21:44:52 ID:???
>>275 その通りですね。同書にも、
「当時機上にレーダーもなく、進歩した帰投装置もないから、その処置(引き返したこと)
はやむをえない」とあります。
278 :
GF長官:2009/01/23(金) 21:57:04 ID:???
>>267 もう一つ、スティル氏より。
「一般に、日本軍のミッドウェーでの惨敗ばかり記憶されがちだが、日本の空母艦隊
司令部は高度に臨機応変さを発揮していた。たしかに驕慢と自信過剰がミッドウェー
での敗北の一因となったが、日本はその戦訓から即座に学んだのである。
この年(1942年)の後半二度の空母戦(第二次ソロモン・南太平洋海戦)において、
前進部隊を運用して警戒の発令と攻撃の吸収をさせたことは革新的で、この戦争で
後に駆逐艦を前哨艦として用いる米海軍の運用を先取りしていた。
ミッドウェー海戦後、日本軍は索敵手法を改良し、二度とミッドウェーのときのような
不意打ちを食らうことはなかった。米海軍は逆に1942年の間じゅう不備のある
ドクトリンを使い続けた」 (『日本海軍空母VS米海軍空母』)
日本側の「通説」とは、だいぶ趣きが違うようですねぇ。
南雲大将!「 革新的」だそうですよ。喜んで下さい。
「アドミラル・ナグモ」に対する海外の評価は、これくらいが標準なのでしょうか。
279 :
GF長官:2009/01/23(金) 22:22:36 ID:???
HUA打ち上げ成功!
「伊吹」と言えば未完のまま終戦を迎えた空母だったか。
「いぶき」の方はCO2排出量を測定する衛星らしいですが、ニュースで排出量取り決めの
国際会議の映像を見ると、ワシントン・ロンドンの軍縮会議を思い出すんですよね。
日本「わが国の削減目標値は対米7割としたい」
米国「世界第二位の中国が除外された案など、到底受け入れ難い」
英国「アメリカよ、どうせ守る気ないんだろ・・・」
「排出量取引」は、戦時になったら空母に改装するつもりの客船といったところか。
280 :
GF長官:2009/01/23(金) 22:23:09 ID:???
>>274の続き
「米空母は各艦交互に日施哨戒を行い、他の母艦機は発見目標に対する攻撃に
待機するのが例となっていた。七日の索敵はヨークタウンの受け持ちだった」
(『戦史叢書』)
>>157のように、日本側の索敵は瑞鶴と翔鶴が各6機と半分ずつですが、米側は
一つの空母に集中していたようです。
統一指揮という点では有利ですが、母艦に何か問題があった場合(通信不良等)
不利になる。これには一長一短がありますね。
>>106,
>>194と比べると分かりますが、索敵機発進は30分、敵発見は1時間、
攻撃隊発進は1時間半も、いずれも日本側が早い。
先手先手と戦いを有利に進めていたはずなのに・・・
281 :
GF長官:2009/01/23(金) 22:48:11 ID:???
>>280の続き
またまた、スティル氏より。
「日本の空母飛行隊が発揮した優れたチームワークと臨機応変の能力であろう。
通例的に、異なる空母の飛行隊を組み合わせて大規模な攻撃隊が編成された。
サンタクルーズ諸島海戦(南太平洋海戦)のときのように、最盛期には急降下爆撃
と雷撃を組み合わせることで、当時のいかなる上空防禦をも圧倒することができた。
米軍は、ミッドウェー海戦の偶然をのぞいて、日本の正規空母に対して同じことを
することはできなかった。飛行隊が少数の小分けになってしまうことが、絶えず発生
した通信不良とあわせ、1942年の間じゅう米海軍を悩ませた」
(『日本海軍空母VS米海軍空母』)
282 :
GF長官:2009/01/23(金) 22:50:46 ID:???
>>281の続き
攻撃隊を「少数の小分けにする」すなわち「分散進撃させる」というのが、米空母の
特徴ですね。
日本側が発艦後、空中集合して編隊を組んでから進撃開始するのに対し、米側は
各艦バラバラに発艦し、飛行隊ごとに進撃する。
ですから、米攻撃隊には「総指揮官」がいない。この日の高橋少佐や、ミッドウェー
の友永大尉のような「まとめ役」がおらず、それぞれの飛行隊長が指揮官となる。
(VS−2隊長オールト少佐・VB−2隊長ハミルトン少佐・VT−2隊長ブレッド少佐等)
つまりレキシントン飛行隊だけで、戦闘機隊・爆撃隊・哨戒隊・雷撃隊の4部隊に分かれ、
4人の隊長がそれぞれ指揮をとることになる。
283 :
GF長官:2009/01/23(金) 22:52:02 ID:???
>>282の続き
このため、協同攻撃が難しくなり、同時に発艦しながら敵を発見できずに帰投する飛行隊
が出てくることにもなる。各個撃破のおそれもある。
事実、翌日のMO機動部隊攻撃では、天候不良等が原因で、レキシントン攻撃隊の一部
が爆弾を投棄して帰投。ミッドウェーでもホーネット攻撃隊が南雲機動部隊を発見できず、
ミッドウェー基地に帰投。「同じ失敗」を繰り返しています。
>>236のように、日本側にこのような失態はほとんど見られない。
米海軍は珊瑚海で何を学んだのでしょうか。
なぜ「分散進撃」にこだわるのか。
284 :
GF長官:2009/01/24(土) 18:43:36 ID:???
今週の立ち読み情報は、「モデルグラフィックス」(『トラ・トラ・トラ』特集)
あの映画の中で、「右舷艦橋」の赤城が登場するのは、実物の空母(エセックス級)
を使ったからですが、その名は「レキシントン」(CV−16)
これは2代目ということか。知らんかった。
パールハーバーの模型写真もありましたが、ネオショー発見(
>>256参照)
意外だったのが、その大きさ。後方の戦艦群と大して変わらない。
「Fat Lady」(肥った貴婦人)という愛称もうなずける。
遠目に見れば確かに空母だわ。
285 :
GF長官:2009/01/24(土) 19:16:18 ID:???
>>283の続き
米空母攻撃隊の「分散進撃」については、
「わが海軍の進撃要領は、上から艦戦・艦爆・艦攻の順序に約500m程度
差をつけて、視認距離や航法の難易を考え中高度を一団となって進撃し、
敵発見後所要の高度(突撃隊形)につくのが常道であった。
米空母機は隊内電話が良かったためか、急降下爆撃機と雷撃機は進撃中
も攻撃開始時付近の高度をとり、戦闘機はいずれをも支援できるよう、その
中間高度をとっていたようである。
そのような進撃隊形の欠点と思われるものは、雲の状況によっては互いを
見失うことがあるので、攻撃時期が食い違うことがあり、また各隊がおのおの
航法を行うので、航法誤差のため僚機が離れてしまうことがある。
これらに対し米海軍は、なんらかの対策をとっていたと思われるが、本攻撃
(ミッドウェー海戦時の南雲機動部隊攻撃)の状況はバラバラ攻撃となっている」
(『戦史叢書ミッドウェー海戦』)
286 :
GF長官:2009/01/24(土) 19:20:19 ID:???
>>285の続き
日本海軍の「編隊進撃」は、南雲機動部隊誕生以前からの伝統であり、そもそも
一航艦新設時に「空母が分散していると発艦後の空中集合に時間を要する」という
理由が挙げられたことからも分かります。(波スレ
>>426)
米海軍が分散進撃を採用した理由は、「隊内無線が良かったから」だそうですが、
一晩考えてみても、分散進撃に何ら長所が見出せない・・・
公刊戦史の指摘の通り、
「協同攻撃が困難」
「航法誤差により、脱落する部隊が生じる」
「天候の影響を受け易い」(無線不良)
「各個撃破のおそれがある」等々
バラバラに進撃すれば、当然のことながら日本空母上空に到達する時間に
差が生じる。協同攻撃をするためには、先に到着した部隊は無線電話を活用
しつつ、後から来る部隊を待っていなければならない。
その間、日本側の上空警戒機に発見・攻撃されることも十分考え得る。
何も良いこと無いように思いますが・・・
もしかしたら、何らかの事情(伎倆が未熟なため、速やかな突撃隊形構築
が困難等)があったのかも。
287 :
GF長官:2009/01/24(土) 19:22:05 ID:???
>>286の続き
確かにミッドウェー海戦では、TBDが零戦隊を引きつけて、ガラ空きになった
上空からSBDが奇襲成功!となりましたが、計算されて生じた結果ではない。
あくまでも「偶然」の産物。
スティル氏が批評するように(
>>281)、1942年の間は効果的な改善策は採られ
なかったようです。ダメコンや艦隊防空等、米海軍の戦術には素晴らしいものが
多々見られますが、この「分散進撃」に関しては赤点と言えるかな。
日本側にしてみれば、わざわざ攻撃隊を「兵力分散・逐次投入」する必要はないし、
だいたい、機上無線が使いものにならないから(呂スレ
>>892)やりようがない。
人間万事塞翁が馬ー
優れた装備が必ずしも、優れた戦術・勝利に結びつくものではないと言えそうです。
288 :
GF長官:2009/01/26(月) 21:41:24 ID:???
>>287の続き
索敵機が発見した日本艦隊の位置(
>>270)は、フレッチャー本隊の北西225浬。
ルイジアード諸島を挟んで反対(北)側にあたる(
>>167参照)
距離からいっても問題ない。直ちに二空母より攻撃隊発進。
攻撃隊の編成を日本側と比較してみましょう。
[母艦兵力]
(米)
F4F SBD TBD 計
ヨークタウン 17 35 10 62
レキシントン 18 36 12 66
計 35 71 22 128機
(日)
零戦 艦爆 艦攻 計
瑞鶴 20 21 19 60
翔鶴 17 21 16 54
計 37 42 36 114機
289 :
GF長官:2009/01/26(月) 21:42:46 ID:???
>>288の続き
米空母というと搭載機数の多さには定評がありますが、これを見るとそれ程でもない。
参考までに、ミッドウェー海戦でのヨークタウンの兵力は、
F4F SBD TBD 計
ヨークタウン 27 37 12 76機
戦闘機の数が増えていますね(5割増)
理由は珊瑚海海戦の戦訓によるものと、主翼折り畳み機構を備えたF4F−4に
機種変更したため(『世界の傑作機(68)グラマンF4Fワイルドキャット』)
この機種変更に関しては、機銃が4挺から6挺に増えたものの全弾数は減少
(1800発→1440発)したため搭乗員の評判は悪かったらしい。
更に折り畳み機構や防弾強化の影響で重量増加し、運動性・航続性能が低下
したことも加えられる。
290 :
GF長官:2009/01/26(月) 21:44:00 ID:???
>>289の続き
次に、攻撃隊の編成は、
(米)
F4F SBD TBD 計
ヨークタウン 8 25 8 43
レキシントン 10 28 10 50
計 18 53 18 93機
(日)
零戦 艦爆 艦攻 計
翔鶴 9 19 13 41
瑞鶴 9 17 11 37
計 18 36 24 78機
これは米側の方が兵力大。特に艦爆の機数が全く違う。
291 :
GF長官:2009/01/26(月) 21:44:41 ID:???
>>290の続き
残存兵力を見ると、
(米)F4F 19・SBD8・TBD4
(日)零戦 19・艦爆6・艦攻0
米側も「全力出撃」であることが分かりますね。
>>207の繰り返しになりますが、全力出撃は索敵情報が誤っていた場合、
取り返しのつかないことになる。
事実、日本側はその通りになったのですが、米側もまた索敵報告に誤りが
あった。
さて、フレッチャー少将の決断は。
292 :
GF長官:2009/01/26(月) 21:47:37 ID:???
>>291 訂正
(米)F4F 17・SBD8・TBD4 でした。
293 :
GF長官:2009/01/26(月) 21:50:16 ID:???
>>292 捕捉
ヨークタウンのSBD10機は索敵に出ているため、残存兵力より除いています。
>>290 その数字だと米軍の攻撃隊の編成の合計数93機にはならないような…
米軍の記録を見るとこんな感じですな
(機種別ではなく航空隊別の編成数)
■レキシントン
VB15 VS10 VT12 VF10 +飛行隊指揮官直属のVS3
計50機
■ヨークタウン
VB8 VS17 VT10 VF8
計43機
合計93機
>>286-287 分散進撃の理由はともかく、珊瑚海海戦時に協同攻撃を実施しなかったことについてモリソン先生曰く
「各飛行中隊は、この当時の航空母艦戦闘の最も初期時代に於ける海軍航空理論に基づいて、攻撃目標に各個に攻撃を加えた」そうで
理由としては母艦航空隊指揮官、珊瑚海海戦時のヨークタウンだとオスカー・ペーダーソン少佐、が攻撃隊に参加していなかったから、だと
米軍は学ぶ軍隊だからな。
機動部隊戦術も、徐々に改良して行った感はあるな。
開戦時は、各空母が各任務群に一隻ずつ付いている感じの編成だったが、
ハワイ攻撃後は、空母一隻乃至二隻に巡洋艦と駆逐艦群を引っ付けてタスクグループを編成している。
攻撃の方法も、最初は>295のような方式だったが、徐々に編隊を組んでいくようになったような。
レイテ海戦のシブヤン海での、ハルゼーの攻撃隊編成を見ると結構面白いことが分かる。
あげ
間違えた。さげ
日本のレーダーや防空体勢は劣っているから
分散型のほうがやっかいかもしれぬ
>>299 だろうね、大編隊で纏まってくるなら対策もやり易いかも。
ただ、それが日本艦隊手前50マイルぐらいで各隊に分散し、F4Fが先行して日本直援隊と交戦、
その隙に雷爆同時攻撃とかやられたらかなりヤバそう。
日本艦隊の直援機は数が少ないし無線が聞き難いしな。
>>296 日本軍も機動部隊については同様だけどね
インド洋機動作戦時点での戦訓だと索敵関連だけで
「尚索敵機の航法偵察の精度向上は海上航空戦の成否を左右する重大要素なるを以って極力訓練の要ありと認む」
「(略)敵を発見接触せる索敵機に艦型誤認頻発し為に作戦を停滞し戦果の拡充を減殺せること別記経緯の如し」
「機動部隊には少なくとも各艦に6乃至9機程度の高性能偵察機(十三試艦爆)を保有する要あり」
と後々表面化してくる問題点には一通り気付いてる
他にも珊瑚海海戦時にも出される電探装備の要望や対空監視・対空装備の不足など、列挙されてるんだわな
MOやMIでこれらの戦訓が生かしきれなかったのは、連戦に継ぐ連戦で対策を講じる時間がなかったからの一点に尽きるわけで
二式艦偵や長距離偵察用に増槽装備の九七艦攻の配備、専従護衛部隊の第十戦隊の編成なんかはMIに間に合った部類だよね
電探は第三戦隊の何れかに装備を想定していたけど、設置工事を実施する暇がなくてMI時点では伊勢と日向に装備されてるけど、
第二次ソロモンまでには空母に配備されてるし、MIの戦訓から第三艦隊の編成や戦闘機増備、前衛の前方配備も間に合わせてる
日米双方とも海戦毎の戦訓を元に随時戦術や装備のアップデートを試みてはいるのよ
ただ42年度中はほぼ2ヶ月に一回のペースで空母決戦が発生しちゃってるんで、
両軍ともに母艦や航空機の補充に追われて、時間のかかるような対策や検討は実施しそこなってると
1942年は両軍共に苦しい時期だったんだな。
>対空装備
艦首と艦尾に対空機銃座を設置ってのも目立つ要素だね。MIには間に合わなかったけど
五航戦の瑞鶴翔鶴は間に合った……蒼龍飛龍は最初から艦首に装備してたけど。
あれって戦訓からだったよね、艦首と艦尾にも対空機銃による防御が必要ってのは。
確か同じ物だと記憶するが。
何もかもが手探りで、戦艦が時代遅れだったから、空母に負けたんじゃなく、航空防御
が未完成なだけだったって見方もあるからね(足の遅さもあるが)。
大和の機銃配置と、日向の機銃配置が何を生んだかとか。
>>302 インド洋機動作戦時点で、全周に対して巡洋艦以上は機銃4群(9乃至12銃)、高角砲2群(6乃至12門)以上射撃可能なるを要す、とは言ってる
具体的に艦首尾線方向の火器増備を言っているのは珊瑚海海戦後の戦訓かな?
「翔鶴型母艦は、艦首尾線方向 特に艦首より来襲する敵機に対する防空砲火皆無なるを一大弱点とす」
ってやつ
>>280 米航空隊の航法で単機索敵させるのは何か危なっかしいな。
ちゃんと返ってこれるか心配だ。
>>286 分散進撃て各空母の航空隊が分散て事?それとも戦爆雷が分散て事?
自分でほぼ答え出してる気がするけど。
航空隊以前に各空母が別の任務部隊に分散して別の指揮系統にあるので空中集合に時間を要するてか別海面にいるのに集合自体難しいし航空隊に総隊長がいないから統一指揮できないとか。
そもそも1航艦として同一艦隊指揮下にある日本と本来空母1隻ずつで運用されてて母艦航空隊の統一運用や訓練経験のないアメリカなんだからさ。
開戦前は空母を集中した敵艦隊と戦闘する事なんて想定してないし編成や戦術がまだ実戦に追い付いてなかったんでしょ。
>>288 225浬て随分遠くない?ミッドウェーでは150浬でも躊躇してたのに。
しかし珊瑚海後3日間程度しかハワイにいなかったのによく珊瑚海での消耗補充や機種変更や戦闘機増強ができたなってヌーメアでやったんかな。
エンタやホーネも東京空襲から戻ったばかりだろうに。
>>289 機銃が増えたのは故障対策。
称賛されるM2だけどGがかかるとベルトが切れたり給弾不良が多く6挺のうち2挺しか撃てないとか全部弾が出ない事もあった。
まあ変更前のF4F-3でも性能で劣る事は変わらないし数が増えた事で性能低下は補えると思うけどね。
零戦の20oが各銃60発なのに各銃240発で弾数減ったから不満てのは贅沢な不満だ。
中には6挺のうち2挺を保険としてスイッチ切って4挺で戦って弾を温存したパイロットもいたけど。
20oが切れしたら7.7o2挺のみの零戦に対し米は継戦能力が高いのは変わらない。
FM2になってまた4挺に減らして機体も護衛空母で使えるよう軽量化したけどね。
>>301 珊瑚海の戦訓では
偵察能力の不足は大東亜戦争開始以来認めらるる所にして艦型誤認の例多く作戦に重大なる影響を及ぼせる事一再ならず。
とあるが誤認の原因は偵察機の性能が低く距離をとって触接せざるを得ないのと偵察員の艦型識別の重要性に対する認識不足。
艦隊決戦では敵が空母を含むかどうかなんて大して重要じゃなかったし偵察機は後に2式艦偵が採用されるけどこれは索敵機の更新てか触接持続用の特殊用途機でしょ。
上級幹部の偵察に関する認識を更に深めるを要す。現状における指導的立場にある幹部のは偵察に関して極めて関心薄く華々しき攻撃に眩惑せられ偵察の重要性を攻撃に対すると同様の熱意を払う要あり。
と攻撃以前に敵発見しなきゃ攻撃力も発揮できないでしょと言ってるけど日本軍の訓練て戦闘時の技量向上には熱心だけどそれ以外がおろそかなのよね。
>>306 それは索敵機が発見した時点での距離
詳しい経緯は長官が書いてくれると思うけど、その後にフレッチャーは任務部隊を前進させてるので
攻撃隊を発進させた時点では200浬にまで縮まってるよ
その後もMO攻略部隊に向けて接近してて攻撃隊の収容に努めてるんだわ
搭載機の補充はこのスレにも書いてあるけど、実施したのはハワイで
311 :
GF長官:2009/01/27(火) 21:55:51 ID:???
>>294 TBDの数が間違っていましたね。すみません。
ご指摘の通り、
F4F SBD TBD 計
ヨークタウン 8 25 10 43
レキシントン 10 28 12 50
計 18 53 22 93機
>>295 有難うございます。一応「総指揮官」にあたる士官は居るのですね。
>理由としては母艦航空隊指揮官、珊瑚海海戦時のヨークタウンだとオスカー・ペーダーソン少佐、
>が攻撃隊に参加していなかったから、だと
>>296 kwsk
>レイテ海戦のシブヤン海での、ハルゼーの攻撃隊編成を見ると結構面白いことが分かる。
>>299,300 それは言えますね。
目視のみだと、どの部隊を優先すべきか迷うと思います。まして、無線が通じないなら尚更。
たぶん、小隊毎に目の前の敵を攻撃するという形になるだろうな。
ただ敵空母までたどり着けないというのはマズイですよねぇ。燃料と爆弾の無駄だ。
>>308 MI作戦時の二式艦偵は司令部の要望による索敵・偵察用途での導入だよん
ただし、索敵計画の変更で増槽付き九七式艦攻が攻撃隊に転用されたように、
二式艦偵も海戦当日の一段索敵には使用されず、接触機として使用されてるけどね
MI以降はMIの戦訓で艦攻隊を主として索敵に充てる事になったせいで、
二式艦偵は主に接触機として使われるようになってくるんだけど
>と攻撃以前に敵発見しなきゃ攻撃力も発揮できないでしょと言ってるけど日本軍の訓練て戦闘時の技量向上には熱心だけどそれ以外がおろそかなのよね。
これも基本的な理由は時間不足
海戦間のインターバルが短いせいで、航空機の定数を揃えるのはなんとか出来てるんだけど、
搭乗員については戦闘時の技量向上に手一杯で、それすらも満足には実施できず編隊訓練を未実施で出撃したりしてる状態なので、
艦攻の兼業となる偵察・索敵の技量向上にまで十分な時間を避けていないというのが実情
まあ索敵に対する姿勢はともかくとして、索敵結果を見てると米軍もあまり日本軍のこと笑えないしさ
313 :
GF長官:2009/01/27(火) 21:57:24 ID:???
>>301 そうですね。
「インド洋作戦編」(波スレ
>>307他)でも採り上げましたが、戦訓を採用・全部隊に
徹底・訓練する時間がなかったというのが実情でしょうか。
>>302 確かに。
>五航戦の瑞鶴翔鶴は間に合った……蒼龍飛龍は最初から艦首に装備してたけど
艦首飛行甲板下部のスポンソンに25ミリ連装機銃が2機設置されていますね。
今まで気が付かなかった。
>>303,304 サマール沖での大和の戦訓には、
「艦首尾方向の機銃は射界制限もあって不十分。増備の必要あり」
これは単装機銃の火力不足が原因とみられ、後に三連装に換装されたようです。
空母も同じだったのかな。
314 :
GF長官:2009/01/27(火) 21:58:47 ID:???
>>305 航法さえしっかりしていれば、単機でも大丈夫ですよ。
>米航空隊の航法で単機索敵させるのは何か危なっかしいな。
>ちゃんと返ってこれるか心配だ。
なにせ問題の翔鶴索敵機は2機とも迷子になって不時着してますからね。
>分散進撃て各空母の航空隊が分散て事?それとも戦爆雷が分散て事?
両方の意味です。
仰る通り、統一運用の経験不足が原因だったのかな。
>>306 言われてみれば・・・
>225浬て随分遠くない?ミッドウェーでは150浬でも躊躇してたのに
この距離だとTBDの行動半径外(188浬)だ・・・むむ
一応、付図で「実測」したところ約180浬。本文の記述が誤りかも。
315 :
GF長官:2009/01/27(火) 21:59:46 ID:???
>>307 全く。
>零戦の20oが各銃60発なのに各銃240発で弾数減ったから不満てのは贅沢な不満だ。
うらやましい限り。日本側は「一発入魂」ですからね。
>中には6挺のうち2挺を保険としてスイッチ切って4挺で戦って弾を温存したパイロットもいたけど
これは『世傑』にも出ていました。制空隊が弾切れでは話にならないし。
>>308 感謝します。索敵の錯誤については珊瑚海一日目の主題でありますので、色々な
面から見ていきたいと考えています。
>>309 うぬ、見張は何をやっとるんだ!
ここは戦史検証スレだ。対空警戒を厳にせよ!
316 :
GF長官:2009/01/27(火) 22:07:09 ID:???
>>310 有難うございます。ご指摘の通りでした。
225浬は、0615時の索敵機報告位置。
攻撃隊発進は0730頃ですので、25節で北上すれば200浬以内に近づけそうです。
>>312 そうだったのか。
>MI作戦時の二式艦偵は司令部の要望による索敵・偵察用途での導入だよん
本職も
>>308のように二式艦偵は「触接継続用」だと思っていました。
本来は一段索敵に使用される予定だったのですね。
>>311 そう、総指揮官というか日本側の飛行隊長にあたるのかね?
レキシントンだとウィリアム・B・オールト中佐がその任についていて、
ヨークタウンのペーダーソン少佐とは違い、レキシントン攻撃隊の指揮官として5/7、5/8の両日に出撃してるね
もっとも総指揮官がいても分散進撃したり協同攻撃に成功してるわけじゃないけどさ
ペーターソン少佐が出撃しなかったのは、母艦の戦闘機指揮官の任務の為だって
>>316 攻撃隊収容時の正確な距離は不明だけど、160浬付近までは接近してるんで、
200浬で発進させて160浬付近で収容ならTBDでもなんとかなる距離ではあるよね
補足すると0926(米側時間ね)に200浬で攻撃隊を発進させてるのはレキシントンで、
ヨークタウンはさらにその半時間後に攻撃隊を発進させて、全機の発進が終わったのは10:30だから、
距離的にはさらに詰まってる感じかな
収容が終わったのは13:38なんで、攻撃隊は発進から概ね3〜4時間程度飛行してる計算になり、
戦闘中の消費を考えてもTBDでギリギリ間に合う距離だったんでしょう
318 :
GF長官:2009/01/27(火) 22:49:01 ID:???
>>291の続き
「攻撃隊の編成から、急降下爆撃に重点をおく米軍と、雷撃機にも主力をおく
日本軍との攻撃思想の違いがはっきりうかがえよう」 (『暁の珊瑚海』)
編成内訳の比率を見ると、
(米)
F4F SBD TBD 計
計 18 53 22 93機
(%) 19% 57% 24% 100%
(日)
零戦 艦爆 艦攻 計
計 18 36 24 78機
(%) 23% 46% 31% 100%
よく分かりますね。
319 :
GF長官:2009/01/27(火) 22:51:32 ID:???
>>318の続き
また、双方の機体性能や兵装も影響していると思います。
インド洋作戦編でも紹介しました(伊スレ
>>796)が、SBDは九九艦爆と比べて
爆弾搭載量が倍というのが魅力的ですよねぇ。
本職は、米軍機にはあまり萌えない(外見的な意味で)のですが、SBDは好き
ですね(あとP−51とB−17)
栃林氏の動画の定番なのですが、ダイブブレーキを上下に開いて急降下する
場面で、フラップの赤色が空や海の青色によく映える。
ただどうしても、「ミッドウェーの悲劇」を想起させますからね、この機体は。
九九艦爆も「駄っ作機」ではないですし、搭乗員の伎倆も一流だったのは間違い
ないですが、やはり雷撃隊の方に力が入っていたのではないでしょうか。
320 :
GF長官:2009/01/27(火) 22:53:19 ID:???
>>319の続き
九三式酸素魚雷は、日本のみが実用化に成功した必殺兵器だし、
水雷戦隊の夜戦は世界最強の練度を誇っていたし(レーダーはおいといて・・・)
航空魚雷は酸素魚雷ではありませんが、低性能で不発の多かった初期の米軍
魚雷と比べれば、格段の差がありますね。
珊瑚海海戦二日目、初めて日本軍雷撃隊を目撃した米軍の驚きの声ー
「直衛のSBDを指揮するウッドハル大尉は、彼らの頭上を180ノットの高速で
飛び越して行く雷撃機を見て茫然となっていた。米軍雷撃機は低空からノロノロ
と100ノット程度の速力で常に魚雷を発射していたからである。
『魚雷をぶら下げたまま、こんなに速く飛べるとは果たしてどんな機種だろうか。
こんな高度から発射しても壊れず、水平になって正しい深度と針路で航走する
とは、彼らはいったいどんな魚雷を運んでいるのだろう!?』」(『暁の珊瑚海』)
321 :
GF長官:2009/01/27(火) 23:06:24 ID:???
>>320の続き
参考までに、諸元比較。
九七式三号艦攻 TBD−1
全幅 15.51m 15.25m
全長 10.30m 10.68m
自重 2279kg 2542kg
発動機 栄11型(1000hp) P&W−R1830(900hp)
最大速度 204kt(378km/h) 180kt(333km/h)
航続距離 2280km 1126km
武装 7.7mm×1(後席旋回) 12.7mm機銃×1(機首)
7.6mm×1(後席旋回)
爆装 九一航空魚雷800kg×1 Mk13航空魚雷×1
(『世界の傑作機(32)九七式艦上攻撃機』)
米海軍の航空魚雷に関する資料が見つかりませんでしたが、800kgくらいか?
スティル氏によると、「高度37m未満から、速度100kt未満で投下する必要があった」
機体そのものの性能より、高速で投下すると壊れてしまう魚雷の方に問題があった
ようです。
322 :
GF長官:2009/01/27(火) 23:07:05 ID:???
>>321の続き
ちなみに、
SBD Dauntless=勇敢な
TBD Devastator=破壊者
勇ましい名前ですね。
日本機は昭和18年以降、固有名称が用いられましたが、命名基準は、
甲戦 =風 (烈風・強風)
乙戦 =雷・電(雷電・紫電改)
丙戦 =光 (月光・極光)
偵察機=雲 (彩雲・景雲)
攻撃機=山 (天山・連山)
爆撃機=星 (彗星・流星・銀河)
哨戒機=海 (東海・大洋)
輸送機=空 (晴空・蒼空)
練習機=草木(白菊・紅葉)
特攻機=花 (桜花・橘花)
明示節(波スレ
>>424)で艦艇の命名基準を紹介しましたが、
我が国はやはり、花鳥風月の国と言えそうです。
323 :
GF長官:2009/01/27(火) 23:09:03 ID:???
>>317 有難うございます。
>そう、総指揮官というか日本側の飛行隊長にあたるのかね?
「攻撃隊の総指揮官」という意味ですので、真珠湾の淵田中佐・ミッドウェーの友永大尉
にあたる士官のことです。
艦上機と水偵では収容の手間に差があるけど97艦攻とフロート付きの零式三座水偵で速度に差がないのが悲しい。
航続力でも水偵のが勝っている。
米では艦爆を索敵に使い日本は艦攻。艦爆のが速度でるし航続力も変わらないから97艦攻より99艦爆のが向いてそうだけどなあ。
搭載数が限られるのは水偵も同じで索敵用途に使う為三座水偵と観測機の2種類を開発し両方搭載せざるを得ないが普通水偵なんて観測用途1種で済ませるもの。
当初攻撃力たる艦上機を索敵に割かれるのは不利と感じながら索敵が重要と思えば彩雲みたいな専用機も開発する。
うーん何が正解なんだろうか。
>>324 日本にとっては水偵も決戦の一翼を担う重要な戦力だったからね
(でなけりゃ十二試水爆→瑞雲なんて開発しない)
あと艦偵は97艦攻と並行開発→結局艦攻と一本化という流れもあったけど
艦隊決戦時の制空権奪取のため敵艦隊(敵空母)を早期に捜索、先制攻撃を行うこととなり
高速大航続力の二式艦偵→彩雲という高速艦偵を開発することになったわけで。
Mk13は直径57.2センチ、重量1,004キログラム
雷速33.5ノットで射程5,800メートルですね。
あと炸薬量は272キログラムで航空機と魚雷艇に搭載されました。
>>321 Mk13なら形式にもよるけど2216ポンド(1005キロ)前後みたい
おっと、確認しなかったらレスが被ったね
失敬失敬!
>>323 基本的に日本軍は攻撃隊の総指揮官に各母艦の飛行隊長クラスを充ててるでそういう役職的な意味で、
真珠湾の淵田中佐やミッドウェイの友永大尉に当たるかと言えば多分イエス
特にレキシントンのオールト中佐は、ラエ・サラモア攻撃、ツラギ攻撃、祥鳳攻撃、MO機動部隊攻撃の何れにも参加してて、
攻撃隊に参加した士官の中では最選任で、ラエ・サラモエ攻撃時は全攻撃隊の誘導を実施してたりもする
ただ、オールト中佐やペターゼン少佐を飛行長としてる資料もあることにはあるので少し微妙
しかし、日本軍みたいに母艦に拘らず攻撃隊単位で一人の総指揮官が指揮を取ってる形跡はないので役割的意味ではほぼノー
オールト中佐もレキシントン攻撃隊に参加してるけど、具体的な指揮をとってないっぽいんだけど
オールト中佐もペターゼン少佐も乗機がF4Fなので、攻撃隊の指揮を取ってないのはそのせいもあるのかもしんない
329 :
GF長官:2009/01/28(水) 21:28:05 ID:???
>>317 よく調べてみたら、『戦史叢書』にありました。
「レキシントンは0726時攻撃隊の発進を開始したが、丁度その時に発見された
日本軍部隊の南東約200浬の地点に達していた」
収容時に160浬まで接近ならば、TBDの航続距離でもなんとかなりそう。
昨晩は久々にレスが多かったせいか、発言にアラが目立つな。気をつけよう。
>>324,325 有難うございます。
敵戦闘機の追撃を避けつつ偵察任務を続行できる高速性能が要求されたので、
専用機の開発が必要だったのではないかと。
>>326,327 情報感謝します。1トンもあるのか。動きが鈍りそうですな。
>>328 確かにそうですね。
せっかく無線が使えるのに、各隊バラバラに攻撃開始とは勿体無い気がします。
330 :
GF長官:2009/01/28(水) 21:53:21 ID:???
>>322の続き
攻撃隊を放った後、索敵機が順次帰還してきますが、そこで錯誤が発覚した。
「錯誤が錯誤を生んでいるー
翔鶴索敵機の誤認報告は、原少将に致命的な失敗を犯させたが、フレッチャー
少将もまたヨークタウン機の誤った索敵報告により重大な窮地に立たされていた。
そのことに最初に気づいたのは、ヨークタウン飛行長オスカー・ペダーソン中佐である。
午前11時(日本時間9時)になって、この朝、日本機動部隊捜索のために飛び立った
SBD哨戒機全機が帰還してきた。このうちの一機に、日本軍の「空母2・重巡2」を発見
した殊勲機もまじっていた。
『よくやった、おめでとう。勲章モノだよ』と、ペダーソン中佐が肩を叩くと、彼らは怪訝な
表情をした。『空母を?どうして』
二人が発見したのは「重巡2・駆逐艦2」であって、その中に空母なんかはまじって
いないのだ!」 (『暁の珊瑚海』)
331 :
GF長官:2009/01/28(水) 21:54:59 ID:???
>>330の続き
実は、米索敵機が発見したのは、空母ではなく掩護部隊(
>>17)だった。
(軽巡2「天龍」「龍田」・特設砲艦2「日海丸」「京城丸」)
これを「重巡2・駆逐艦2」と間違えたのは、まぁ仕方あるまい。
問題は、報告時に暗号作成を誤り「空母2・重巡2」と打電してしまったこと。
これらの事実が、索敵機帰還後に明らかになったのです。
事態は深刻。
史実ではうまくいったから良かったようなものの、もし原少将の思惑通りにいけば、
米攻撃隊が”幻の空母”に向かっている間に、日本軍大編隊がTF17に殺到。
空振りに終わった攻撃隊が帰還して目にしたものは、傷ついた母艦たち・・・
最悪沈没も有り得た。
意気消沈の攻撃隊に襲い掛かる日本軍第二次攻撃隊・・・
このようなシナリオも十分可能性があったわけです。
332 :
GF長官:2009/01/28(水) 21:56:15 ID:???
>>331の続き
ここで採るべき手段は、攻撃隊を直ちに呼び戻し、新たに索敵機を出す。
これ以外にはないでしょう。
>>228の通り、日本側が索敵誤報に気づいたのは、報告位置に到着して付近海面
を捜索した後だったので、攻撃隊を呼び戻すのに、発艦から実に7時間も要した。
対する米側は、まだ発艦して1時間程度。挽回は容易なはず。
しかし、米空母はそれをしなかった。
この時指揮権は、ヨークタウン坐乗のフレッチャー少将から、レキシントン坐乗の
フィッチ少将に移っている。
日本側も同じで、MO機動部隊指揮官は高木中将だが、実際の航空作戦の指揮
は原少将が執っていた。(波スレ
>>651)
では、フィッチ少将が攻撃隊を呼び戻さなかった理由は。
気になったので調べなおし
珊瑚海海戦時のヨークタウン航空隊の編成表を見てると
ペターゼン少佐は「Air Group Commander, Lt.Comdr. Oscar Pederson, USN. 」、つまりCAGになってるねえ
「ミッドウェイの奇跡」でもペターゼン少佐と別にアーノルド中佐がヨークタウンの飛行長とされてるし、
やっぱり彼は飛行長じゃない感じ?
×丸も
○丸と
いかん60時間寝てないから寝る。
なお、
>>334のスキャン部分(16頁)に関し、警告乃至削除命令(要請)が来た場合は直ちに抹消します。
つうか、丸編集部も過去の既刊分を全部遡って*.pdf形式で有料配布すりゃいいんだ。
そりゃ過去に遡っていけば掲載著作者に連絡が取れないとか有ろうけどさ(写真とかは軍関係か)
過去数十年、丸とかそれ系の雑誌の薫陶を受けて、その知識の積み重ねがある人はもう少数なんだから
今の若い人たちにはせめて出来うる範囲で「*.pdf」形式での配布行って知識の平準化を推進すべきだと思う。
何?丸の主読者層は*.pdfを理解出来ないだと!
何?復刻版書籍の商売のおじゃ魔だと!
大丈夫、買わないヤツは最初から絶対に買わない。
本当に手元に置いて史料として考える香具師は、古書店走り回っても買うさ。
ただ、古書店の場合は書籍の著作者にカネが回らない訳だが。貸与権弄って解決したような。
貸与権の問題は2003年頃だったなあ。 再販制度がすべての元凶かねえ
>>322 補足 重要なことですが、そのような固有名称の表記になったのは
敵軍(主に米)に機種が何かを判別させない為です。
ですので、たとえば文書では彗星とのみ記述しました(例外もあるが)
彗星艦爆とか月光夜戦とか、天山艦攻とか、紫電戦闘機とか書いたら、
青い目の水兵さんは、その文字と、前線から送られてくる写真照合とパイロットの報告で
容易に命名基準を割り出してしまうでしょう。
日「桜花を持って攻撃す」
米「オウカ?なんだ花名を使う日本軍機って何だ?」
>>338 セイロン島じゃない、たしかにそれが正論でホントの事なんだけどね。
>英語を読めるんなら
これが若手には結構な壁かな、軍事系の言い回しとか有るし、辞書も結構その辺扱い軽いしねえ。
>軍事用語を理解した人が訳した日本語で読めるという点では助かりますがね
ですね、しかも図入りと来ているから、たいしたもんですよ。
マジで寝よう、ヤバイ。
>>284 長官、トラトラトラの赤城役は「ヨークタウン」(CVS-10)ですぜ。
発艦シーンで艦番号の「10」が確認出来るシーンがあったはず。
(「ミッドウェー」で使った映像化かも知れない)。
因みにエンタープライズは「タイコンデロガ」(CVA-14)がやっています。
レキシントンが赤城役をやったのは「パールハーバー」ですね。
この時は逆向きで取ったんで艦橋位置が左になりました(w。
341 :
GF長官:2009/01/29(木) 21:35:06 ID:???
>>333 有難うございます。
一応『暁の珊瑚海』や『空母ヨークタウン』ではペダーソン中佐が飛行長になってますね。
「Lt.Comdr」だと少佐か。よく分からんなぁ。
>>334 おお!中身までとは。じっくり読ませて頂きます。
>>335 60時間?栗田長官のようにならないうちにお休み下さいませ。
>>336 そうなんですよね。
>本当に手元に置いて史料として考える香具師は、古書店走り回っても買うさ。
『モリソン戦史』が4巻までは図書館にあるんだが、それ以降はどうしようかな・・・
342 :
GF長官:2009/01/29(木) 21:36:12 ID:???
>>337 そうですね。一応出典は『日本陸海軍航空機ハンドブック』(PHP文庫)
そこにも「機種名の秘匿のため」とあります。
陸軍機(隼や疾風)の方は愛称ですね。
戦後60年も経ったんだから、「飛燕」や「富岳」という名前の車を出してもいいものだが。
『音速雷撃隊』では、桜花のことを「チェリーブロッサム」と言っていましたが、実際は
どうだったんだろう。ただの松本節かな。
>>338 これが難題だな。
>英語を読めるんなら、調べ物はかなり楽できますし
>>340 おや?そうだったのか。
『トラトラトラ』では確認できませんでした。すみません・・・
『ミッドウェイ』の方も調べてみよう。
>レキシントンが赤城役をやったのは「パールハーバー」ですね。
>この時は逆向きで取ったんで艦橋位置が左になりました(w。
有難うございます。赤城は確か艦首からの着艦も想定していたとか。
343 :
GF長官:2009/01/29(木) 22:16:51 ID:???
>>332の続き
索敵機の誤報が判明したことを受け、ヨークタウンの”ブラックジャック”フレッチャーより
レキシントンの”ジェーキー”フィッチへ、催促の信号が送られる。
「すぐに攻撃隊を引揚げさせるべきでは?」
日本風に言えば、
「直チニ攻撃隊帰還命令ノ要アリト認ム」といったところか。
フレッチャー少将の催促には理由があった。それは、
「すでに我が空母部隊は、日本側に発見されたかもしれない」
0844時、ヨークタウンのレーダーは未確認機を捕捉、上空警戒機が迎撃に
向かっている途中。
この「未確認機」とは、ツラギ発の九七大艇(坂本勇大尉機)であり(
>>150)
同機は、0914時に米戦闘機により撃墜されている。
344 :
GF長官:2009/01/29(木) 22:18:54 ID:???
>>343の続き
当時のヨークタウンは、CXAM対空捜索レーダーを搭載。更には、
「ヨークタウンの一番高いヤードに秘密兵器を取り付けた。
これはIFF(敵味方識別装置)と呼ぶもので、ヨークタウンの飛行機から
自動的に応答が返ってくるような特殊な電波信号を発射するものだった。
これを使うと、飛行機が任務を終わって帰艦してきた時、自分の母艦から
味方撃ちされずにすむ」 (『空母ヨークタウン』Pフランク/著・谷浦英男/訳)
「敵味方識別装置」とは、二次監視レーダーのことです。
(註)一次レーダー:放射電波の反射波を受信し、目標の位置を測定。
二次レーダー:放射電波を受信した目標が電波を再放射し、その電波
を受信して、目標の位置を測定。
345 :
GF長官:2009/01/29(木) 22:20:23 ID:???
>>344の続き
母艦より「質問信号」を航空機に向けて放射する。
航空機側ではこれを受信して、自動的に特定の応答信号を放射する。
この応答信号を母艦で受信してレーダー指示器に表示させる。
目標が母艦機以外の場合、応答信号が返ってこないので、「未確認機」
すなわち「敵機」と判定できるわけです。
これは現在でも、航空交通管制用トランスポンダとして世界中に空港で使用
されています。昭和17年初めの段階ですでに実用化していたとは・・・
日本側の索敵機に発見されたのならば、次にやってくるのは攻撃隊。
この時(9時前後)、高橋攻撃隊がネオショー上空で右往左往している時ですね。
この情報がフレッチャー少将に伝わっていたかは不明ですが、いずれにせよ、
付近に日本空母が居ることは間違いない。
ぐずぐずしている猶予はないのです。
346 :
GF長官:2009/01/29(木) 22:21:25 ID:???
>>345の続き
しかし、フィッチ少将はその催促を拒否。その理由については、
「確かに我々は窮地に立たされている。道は二つしかない。全機を呼び戻すか、
目前の敵を叩くか、だ。
確実に存在すると思われる日本空母は3隻。
我々が発見したのは、そのうちの1隻に過ぎない。
他の2隻の所在は未だに分からない。すでに彼らは我々を目指して急行
しているかもしれない。
しかしながら、先に発進させた飛行機隊は、まもなく日本艦隊上空に到達
する頃だ。彼らを空しく帰投させるより・・・とにかく吉報を待とうじゃないか。
それ以外に良い方法があるだろうか」 (『暁の珊瑚海』)
347 :
GF長官:2009/01/29(木) 22:23:29 ID:???
>>346の続き
確かに、たとえ攻撃隊を帰投させたとしても、爆弾燃料満載で飛行甲板上
や格納庫内で待機させるのは危険です。
仮に「重巡2・駆逐艦2」であっとしても、これを沈めれば、日本側の作戦に
何らかの影響を与えることが出来るはず。
もう一つは、0630時のB−17の報告(
>>270参照)
おそらく、この報告を受けた時点では、0615時のSBDの報告位置と至近
であることから「同一部隊」と判断したでしょうが、SBDの誤報が判明した今、
付近に別の空母部隊が居るかもしれない。
これらのことが彼の脳裏に浮かんだことでしょう。
348 :
GF長官:2009/01/29(木) 22:24:29 ID:???
>>347の続き
結果的に、このフィッチ少将の判断は正解だった。
「フィッチ少将の決定は、きわどいところで米軍側に最初の勝利をもたらした。
空母祥鳳の発見とその撃沈ー太平洋海域での初めての輝かしい戦果である」
5月7日朝の原少将とフィッチ少将。
置かれた状況は非常に似ている(索敵機の誤報)のに、結果は正反対と
なってしまった。
本職としては、二人の指揮にそれほどの差がないように感じますが、直ちに
明確な結果として現出するのが戦場ですね。
>>342 >戦後60年も経ったんだから、「飛燕」や「富岳」という名前の車を出してもいいものだが。
富嶽か?
そうは言っても出てもどうせ買わないんだろ?
その気があるならマスタング、メッサーシュミット、
ハインケル、スピットファイアなんかがあるぞ。
バイクなら隼がある。
有機ELTV 紫電
薬用 紫電改
ブリヂストンサイクル ベルトロ
353 :
GF長官:2009/01/30(金) 21:20:27 ID:???
>>349 あ・・・間違えた。買う買わないは・・・ね。
>>350 なんだ、この流れは。本職も何か言っとくか。
「月刊明星」
「東北新幹線はやて」
「最強力士雷電爲右エ門」
・・・もういいや。
354 :
GF長官:2009/01/30(金) 21:24:49 ID:???
>>340 『ミッドウェイ』もざっと見てみましたが、見つからない・・・
じっくり見直してみます。
その代わり、
>>243の場面が出てきた。
「ヘレン1よりヘレンメンバーへ、爆撃準備だ」
パチ、ヒューン・・・ドドーン!
「畜生!指が爆撃投下スイッチに!」
「マニュアルスイッチを使え」
「遅い、俺はもう投下しちまった」
「俺もだ」
「こんな電気スイッチを発明したのは誰だ?」
「ヤマモト以外にいるか!」
ホント『ミッドウェイ』は再限度高いよなぁ。
355 :
GF長官:2009/01/30(金) 21:32:37 ID:???
>>348の続き
米攻撃隊は索敵機報告位置に向かう途中、偶然に(!)MO主隊の祥鳳を
発見することになるのですが、ここで5月7日黎明時に、三度時計の針を戻し、
MO攻略部隊の視点から見ていきましょう。
[5月7日0600時の位置](
>>17参照)
▼MO主隊(南東進)
↓
□□□□□ ▼ポートモレスビー攻略部隊・掩護部隊(南下)
□□□□□□□ ↓
□□□■□□□□ ルイジアード諸島
ポート □□□□■ □ □■ □ ■ロッセル島
モレスビー サマライ デボイネ
↑ジョマード水道
↑
△フレッチャー本隊(北上)
←△
クレース重巡部隊(西進)
356 :
GF長官:2009/01/30(金) 21:55:41 ID:???
>>355の続き
(1)ポートモレスビー攻略部隊(デボイネ北方25浬)ジョマード水道へ向けて南下中
(2)MO主隊 (部隊(1)の北北東25浬)南東へ
(3)掩護部隊(第十八戦隊と神川丸)デボイネ北方海面において水偵をもって船団護衛
(飛行機隊) デボイネ基地基点に索敵実施
(その他の艦艇) ウッドラーク島北西へ避退
(註)ウッドラーク島とは、デボイネ北方130浬の島
天候:半晴
南東の風・8米
海上平穏・視界良好
早朝より各部隊の索敵機が飛び立っている(
>>150)
0400 衣笠・古鷹水偵(各2・計4機)ロッセル島北西海面
0430 掩護部隊水偵(機数不詳)デボイネ基地
予定通り索敵開始
357 :
GF長官:2009/01/30(金) 21:56:42 ID:???
>>356の続き
>>132の通り、MO攻略部隊の各隊は前日に米・豪機により発見されており、
この7日に敵の攻撃を受けることは必至。
それでも計画通り航行したのは、
「米空母部隊はMO機動部隊が撃破してくれるはず」
この一点に希望を託していたわけです。
その期待に応えられなかった原少将。
果たして、輸送船団の命運やいかに。
>>354 日本語訳ではこういうバージョンも
ヘレンリーダー「ヘレンリーダーより各機へ、爆撃準備の時間だ!準備せよ」
カチカチ「あっ!ちっ!落ちた!」(指使いのカットの上に乗せて)
ヘレンリーダー「ヘレンリーダーより各機へ、電気スイッチには手を触れるな、
手動スイッチを使え、繰り返す手動スイッチを使うんだ」
A「ダメです!隊長落ちました」
B「私の機もです」
(空しく落ちた爆弾が水柱をあげた後、爆発する海面シーン)
C「畜生、こんな電気スイッチ誰が発明したんだ?」
A「ヤマモトさー!そうに決まってる、敵艦にはいったい何を落とせばいいんですか?」
ヘレンリーダー「もういい分かった!静まれ!」
「残った機は手動スイッチを使うんだ、ヘレンリーダー以上」
今のDVD等の字幕は字数制限があるんで訳者さんも相当苦労していられるそうですよ。
ワンカット何文字と言う制限がありますので。 今は知らないけど。
それと訳とかは意訳とか日本語での表現とかで結構大変だそうで。
359 :
GF長官:2009/01/31(土) 17:18:09 ID:???
>>358 有難うございます。
実は過去スレで紹介されてから何度か見直しているんですが、見る度に
新たな発見があり非常に面白い。
本職の中では評価が急上昇中!
それにしても字幕の誤字は相変わらずひどい・・・
「蒼龍」が「曽柳」って、本当に校正やったのか?
360 :
GF長官:2009/01/31(土) 17:33:50 ID:???
今週の図書館情報。『朝日新聞縮刷版昭和16年12月』
当時の世相が分かり実に面白い。
朝刊4面、夕刊2面、一部6銭
「女中求ム 廿五歳迄・・・」
「南洋庁巡査募集・・・」等の求人広告や、
「陸海軍受験生」(陸士・海兵受験生用の専門雑誌か?)等
時代を感じさせる。
ただ、碁・将棋・連載小説・健康相談・料理講座などは現在と同じですね。
4コマ漫画もある(『フクチャン実践』横山隆一)
361 :
GF長官:2009/01/31(土) 17:36:06 ID:???
>>360の続き
12月1日からの一面トップは、日米交渉(野村ーハル第○次会談)ばかり。
他には「陸鷲 南支を猛爆」「独軍 赤都包囲進展」
「赤都」はモスクワか、今なら北京だな。
12月3日には、「プリンス・オブ・ウェールズ シンガポール入港」と
同艦とフィリップス提督の写真入りで紹介。
シンガポール港は「星港」と略されるらしい。漢字表記では「新嘉坡」だが、
「新港」とすると「ニュージーランド」と混乱するのがその理由(wiki)
そして、12月8日の夕刊。「帝國 米英に宣戦を布告す」
では、朝日新聞の有難い社説を聞かせて頂きましょうー
「いまや皇国の隆替を決するの秋、一億國民が一切を国家の難に捧ぐべき
日は来たのである」
「正しい歴史認識」やら「過去の反省」を言う前に、まず自らを省みるべきでは?
362 :
GF長官:2009/01/31(土) 18:20:09 ID:???
>>357の続き
7日の早朝より輸送船団は敵機の触接を受けます。
0550 ポートモレスビー攻略部隊・敵機の触接を受く
0600「敵機動部隊発見」(翔鶴索敵機・敵艦隊発見電)
「味方飛行機・敵航空母艦攻撃ニ向フ」(高橋攻撃隊発進を受信)
0610 掩護部隊・敵機の触接を受く
0620「敵機動部隊ラシキ艦影ヲ認ム、デボイネノ152度・150浬」(古鷹水偵・敵艦隊発見)
0630「敵見ユ、、ロッセル島ノ170度・82浬、針路30度・速力20節」 (衣笠水偵・敵艦隊発見)
0640「敵兵力ハ、空母ラシキモノ1・戦艦1・巡洋艦2・駆逐艦7」(同・続報)
0700「輸送船団ハ一時北西ニ避退セヨ」
(MO攻略部隊指揮官・ポートモレスビー攻略部隊に北西避退を下令)
「敵ハ航空母艦・巡洋艦各1、駆逐艦3、地点南緯15度55分・東経157度55分
航空機ノ全力ヲ以テ攻撃中」(『第五戦隊機密第八五七番電』)
0730「敵機動部隊ハ二隊アリ、当隊飛行機触接確保中、敵機動部隊○七一五の位置、デボイネノ
145度・165浬」(第六戦隊発・敵機動部隊情報)
0743「敵戦艦ヲ見ズ」(衣笠水偵・続報)
0745「敵針1度」(同・続報)
0808「敵空母ハ飛行機ヲ発艦ノ如シ」(同・続報)
0830「敵空母ハサラトガ型1・艦型不詳1、計母艦2」(同・続報)
0845「「○七一五、敵機動部隊ノ大部ハ、デボイネヨリ145度・165浬ニアリ、 各隊ハコノ敵ヲ攻撃セヨ」
(『第四艦隊機密第三六八番電』)
363 :
GF長官:2009/01/31(土) 18:29:42 ID:???
>>362の続き
0550時の敵機触接は、タウンスビル基地のB−17によるもの。
同機は0547時、ポートモレスビー攻略部隊は発見し、
「敵艦隊発見、空母1・艦艇16・輸送船10、南緯10度35分・東経152度36分」と報告。
この情報は0622時、米南西太平洋方面司令部から転電。
0630時にフレッチャー少将は受信した(
>>270)
更に、B−17は攻略船団に投弾するも、命中弾なし。
続いて、掩護部隊はSBDの触接を受ける。
これが「軽巡2・特設砲艦2」を「重巡2・駆逐艦2」と間違え、更に「空母2・重巡2」
と打電してしまう例の機体です(
>>331参照)
もう敵空母の攻撃は確実な状況となってきた。
友軍空母部隊は大丈夫か?ちゃんと奴らを撃滅してくれるのか?
>>363 どうでもいいツッコミを一つ
戦史叢書が誤記と正解の2種類を記載してるせいか、日本側の書籍だと米機の打電内容を「空母2重巡2」としてるのが結構あるけど、
米側資料だと基本的に「空母2重巡4」で受信した内容見ても"2 carriers, 4 cruisers,"になってるよん
>>360 25歳までの女中求むって、明らかに妾募集ですなw
366 :
GF長官:2009/02/02(月) 21:07:02 ID:???
>>364 なるほど、そういうことか。
>米側資料だと基本的に「空母2重巡4」で受信した内容見ても"2 carriers, 4 cruisers,"になってるよん
確かに『モリソン戦史』や『空母ヨークタウン』ではそうなってますね。
謎が解けました。有難うございます。
一応、叢書説を採用したのは、当スレは公刊戦史を基礎資料としているのと、
もう一つは、当時デボイネ北方海面に居た掩護部隊は軽巡2と神川丸の計3隻(
>>356)
3隻を6隻(空母2・重巡4)と間違えるのは・・・?と思ったわけです。
ただこの記述も
>>331と矛盾しますし、よく分からないまま、お茶を濁した感じ
ですね(汗)。まぁ日本側も、2隻を5隻と間違えたし(
>>195)、戦場における
極度の緊張感は、存在しない艦影まで見せてしまうものなのでしょう。
>>365 委細面談
確か大正時代からメイド服はあったような・・・
367 :
GF長官:2009/02/02(月) 21:40:06 ID:???
>>363の続き
0600時の「敵機動部隊発見」(
>>362)は、翔鶴索敵機の0522・0545時の
報告(
>>194)を直接受信したものですね。
B−17からの投弾を浴びて冷や汗をかいた南海支隊の兵たちも一安心と
いったところでしょうか。
「この朝、翔鶴索敵機からの『敵航空部隊見ユ』の第一電が伝えられると、
堀井富太郎少将(南海支隊長)の乗船する松江丸では歓喜の声に沸き立った。
これで、攻略部隊を脅かしていた米機動部隊は味方に捕捉され、真珠湾以来の
航空部隊によって彼らは珊瑚海の藻屑と消え去るであろう。
『吉報が待たれますな』出撃前のトラック基地での打合せ以来、海路進攻に強い
不安を訴えていた田中参謀が顔をほころばせて言った。
『これでもう大丈夫だ』。普段はめったに感情を表すことのない穏やかな堀井少将
の表情も喜びの色でくずれた」 (『暁の珊瑚海』)
ミッドウェーでも、利根四号機の敵艦隊発見電は、後方の攻略部隊でも受信できた
ようです。前日夜にPBYの「夜襲」を受けただけに、こちらも安心したでしょうね。
368 :
GF長官:2009/02/02(月) 21:44:44 ID:???
>>367の続き
更に高橋攻撃隊発進の報告も入ります。
「『味方飛行機、敵航空母艦攻撃に向かう』
各船のスピーカーから伝えられる情報は、この朝視界内に味方の空母祥鳳を
とらえることの出来ない将兵たちを歓喜の渦に巻き込んだ。
これで、残る二日の洋上航行を何の不安もなく過ごすことができよう」
例えば戦闘中、機関員などは状況が分からないため、艦内放送にて伝えられる
ようです。シブヤン海での戦艦武蔵では、
「敵爆弾、左舷中部四番高角砲付近に命中、第二機械室被災」
「こちら機関長、ただ今より第一機械室において指揮をとる。本艦被災軽微。
上甲板では勇戦して敵機を撃退中。各員安心して持ち場を守れ!」等々
機関室は他の部署と比較すると、隔離されているため、退艦時も取り残される
ことが多い。これらの処置により一体感が生まれるものと思います。
映画『日本海大海戦』でも、戦況を機関長を通して伝える場面が出てきますね。
「スワロフ大破、ボロジノも炎上したぞー!」
「やった、やったー!」
機関長役のガッツ石松がガッツポーズ・・・
確か戦後に出来たんじゃなかったっけ >ガッツポーズ
369 :
GF長官:2009/02/02(月) 21:45:29 ID:???
>>368の続き
その後、古鷹・衣笠水偵から発見電が入るのは、MO機動部隊と同じです。
「攻略船団の後方を行くMO主隊の旗艦青葉では、五藤存知少将が翔鶴索敵機
からの第一報で、すでに五航戦が米空母に攻撃隊を放ち攻撃にかかっているで
あろうことを確信していた。
続いて古鷹機・衣笠機からの第二電・第三電が到着しても、その確信に揺るぎが
ない」
どうやら六戦隊司令部は、米空母部隊が二隊存在することにまだ気づいていない
ようです。
五藤存知最初の不覚であった。
今さら南雲を再評価する意味ってある?
趣味でやってるから……
敢えて言うと戦犯探しをしがちな日本人の国民性を問い直す意味がある。
同意。 趣味だしな。
しかし、敢えてその理由を言うならば、過去の戦訓に学び、それを今日に生かすことかな。
まあ、空母運用術は戦前のと今の空母とでは、既に連続性がないが、
いろいろな失敗、過失、その原因は何か、とかを学ぶにはこういう再評価(再点検)は必要だと思う。
375 :
GF長官:2009/02/03(火) 21:16:01 ID:???
376 :
GF長官:2009/02/03(火) 21:18:41 ID:???
>>372 ある!と確信しております。
>>373,374のようなご意見も勿論ではありますが、
「賢者は歴史に学び、愚者は体験に学ぶ」(ビスマルク)
中でも本職が、とりわけ戦史に強い関心を懐くのは、戦場における決断の正誤は直ちに
明白な結果となって現れるため、極めて分かり易い。
これが安易な評価につながる原因でもあるのですが、決断の場においては指揮官の
持つあらゆる素質(人格・知恵・才能・経験・勇気・統率力・信念・使命感・器量など)
が試される。
後世の我々が同じ立場になって考えてみると、それは気の毒なほどに切迫している。
極限状態における人間性の激突と言えるのではないでしょうか。
そこから学べることは、決して少なくないはず。
我が国において最大の、そして最も身近な戦史といえば、先の大戦をおいて他にない。
しかも、相手はあの超大国・アメリカ合衆国。
勝ち目のない戦さであることは百も承知。
しかし、命令とあらば任務遂行に全力を尽くすのが軍人の務めです。
いやむしろ、米海軍と正面から戦えるのは、武人の誉れと言うべきか。
377 :
GF長官:2009/02/03(火) 21:21:57 ID:???
>>376の続き
太平洋戦争の前半戦において、その最前線に立ったのが南雲忠一中将です。
麾下兵力は、未だ発展途上の機動部隊。
指針も教科書も何もないまま、南雲長官以下将兵たちは、とまどい苦しみながら
少しずつ学んでいった。
ミッドウェーの敗北は、確かに南雲提督の責任に間違いありませんが、
「勝敗は兵家の常」
その一点をもって、全人格を否定するかのような論調には到底賛同できません。
本職は、南雲長官から学べることはもっともっとたくさんあるという点では疑いない。
ミッドウェーの一件をもって「無能指揮官」と切り捨てるのは、あまりにも勿体無い。
何より一番は、南雲忠一という海軍提督が好きだからですね。
これで回答になっていれば幸いですが。
>「賢者は歴史に学び、愚者は体験に学ぶ」(ビスマルク)
全くスレの内容とは関係なくて申し訳ありませんが、このビスマルクの言葉の原文をご存じの
方はおいででしょうか?いらっしゃいましたら教えてください。
380 :
GF長官:2009/02/03(火) 22:15:59 ID:???
いやぁ、久々に一人で熱くなってしまったな。
まぁ趣味だからと言ってしまえばそれまでなのですが。
戦場での指揮官の胸中は、現在の我々にはとても想像の及ぶものではないでしょう。
当スレを通して、そこに少しでも近づいていければと考えています。
>>369の続き
六戦隊司令部は、この朝「敵艦隊情報」を3件受信している。
その位置を確認すると、
「南緯15度55分・東経175度5分」(0522時・翔鶴索敵機)
「デボイネノ152度・150浬」(0620時・古鷹水偵)
「ロッセル島ノ170度・82浬」(0630時・衣笠水偵)
図示すると、順に(A)(C)(D)の位置(
>>216参照)
(C)と(D)はまだしも、(A)とは明らかに別の部隊。
海図上に作図すれば一目瞭然なのに、なぜ気づくのが遅れたのか。
その理由について、『暁の珊瑚海』には、
「第六戦隊司令部が翔鶴索敵機からの第一電を傍受して海図に位置を記入し、
古鷹・衣笠両機からの報告電により発見位置を求めれば、容易に判断されるもの
だが、発見電報が相次いだために、その処理が遅れた」そうだ。
381 :
GF長官:2009/02/03(火) 22:17:34 ID:???
>>380の続き
確か、ミッドウェーの利根四号機に関しても、似たようなことがありましたね。
「この(利根四号機)報告の敵艦位は、大きく同機の担任索敵線から外れている。
従って受信者は、その艦位に疑問を持つべきであった。
当時部隊は防空戦闘中で艦橋は混乱していた。
そのためか、一航艦・八戦隊両司令部、利根の幹部もこの点に全く気づかなかった。
その後阿部司令官は、利根四号機を収容しその図版は点検しているが、なおその
誤りを発見できなかった」 (『戦史叢書ミッドウェー海戦』)
この「大きく北に偏位した報告位置」が、南雲司令部を誤らせることになるのですが、
六戦隊の場合、「防空戦闘中」であったわけではないのに、何をやっていたんだろうか。
だいたい「防空戦闘中」であったとしても、理由にはならないですよね。
何しろ、その作図情報によって事後の作戦が左右されるのですから、慎重にも慎重を
重ねて実施してもらいたいところです。
382 :
GF長官:2009/02/03(火) 22:19:16 ID:???
>>381の続き
では、この「海図に作図」とは、誰が、どこで、どのように行うものなのか。
「私はディバイダーを握り、海図と首っぴきで思案していた」
(註)ディバイダーとは、コンパス形の製図器具 (『機動部隊』淵田・奥宮/共著)
これはマリアナ沖海戦前日、空母隼鷹における二航戦航空参謀奥宮正武少佐
の描写です。
おそらく、艦橋内の作戦室において航空参謀が索敵情報に基づき作図していく
のだろうと想像できる。
確かに航空参謀は戦闘中は忙しいでしょうから、混乱することも考えられる。
専門の「作図要員」を配したりしてはいなかったのだろうか。
こう似たようなことが続くと、帝国海軍の機構そのものに何か問題があったのでは
(戦闘中は航空参謀に任務が集中し過ぎる等)と疑問が出てきますねぇ。
作図担当者は、周りがバタバタしていようとも、淡々と任務をこなして欲しいものです。
383 :
GF長官:2009/02/03(火) 22:20:19 ID:???
>>382の続き
参考までに、翔鶴型の艦橋構造ですが、
| 防空指揮所 |
−−−−−−−
| 羅針艦橋 |(発着艦指揮所)
−−−−−−−
| 上部艦橋 |(操舵室)
−−−−−−−
| 下部艦橋 |(作戦室・海図室・電信室)
−−−−−−−
| 長官・艦長室 | 飛行甲板
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ご覧の通り、羅針艦橋と作戦室は離れていることが分かります。
艦内電話でやりとりしていたんだろうか。
ちなみに映画『ミッドウェイ』では、南雲長官自らが作戦室まで降りてきて
索敵状況を確認する場面が出てきます。重要な情報に関しては直接伝え
るのかもしれません。
両室の往復は大変だろうなぁ、息が切れそう・・・
384 :
GF長官:2009/02/03(火) 22:23:33 ID:???
385 :
嘘を嘘と:2009/02/03(火) 22:27:54 ID:xFLpKoUI
なぜ南雲提督を再評価するのか?
それは、このスレの住人が「2ちゃんを正しく利用するため」だw
切羽詰まった状況の中、最善の判断を下さなければならない者の思考過程に興味があります。
己のミスが即死につながる状況の中で、判断を下さねばならない立場に立った者とは?とか。
後の者が、その下した判断についてとやかく言う事には興味がありません。
>>379 >>384 ありがとうございました。原文のだいたいの意味はわかりました。
「賢者は〜」って相当意訳が入っている感じでした。
>>372 マジレスすると“再評価“なんで、
「更に低い評価」となる可能性も多々あると俺は考えている。
俺自身の当スレ参加理由は、
太平洋戦争関連の書籍は読めば読むほど、
・素朴な疑問
・曖昧な記述
・相互に矛盾する記述
・解釈、判定の妥当性
・裏付けが乏しいと思われる推測(に基づく通説)
等に多々ぶつかり、これらを少しでも解決したいから。
よく南雲擁護厨がいい訳に使うけど、初めての空母対空母の戦いだから仕方ないみたいな理屈を押しつけくるが、米国も条件は同じだよな
で、それがどうしたの?
MIの評価はだれがどこでどんな判断をしても相手もだれがどこでどんな判断をするか
わかったものではないので、あらゆる結果が待ち受けている、だな。
392 :
名無し三等兵:2009/02/04(水) 14:42:52 ID:06KBZJbZ
それにしても兵装転換は痛いよな!せめて索敵機が折り返してからでも良かったのでは?しかも敵艦隊の発見で待ち伏せに気付いて欲しかったよなぁ
>>389 米軍も結構失敗してるやん。
ミッドウェーで雷撃隊は壊滅、3空母撃破した時の2個艦爆隊の同時攻撃は偶然だし南雲艦隊を発見できなかったか直衛機に各個撃破されてた可能性だってある。
まあアメリカのが与えられた任務がよりシンプルだから失敗も少なくて済み戦力を集中しやすかった結果としてアメリカが勝ったという事だな。
>>386 >最善の判断を下さなければならない者の思考過程
最善とかではなく、次悪ですよ、大の虫を生かす(作戦目的)為に
小の虫を殺す(どのくらいの損害を覚悟するか・許容するか)
>判断を下さねばならない立場に立った者とは?
常に苦悩の中にある孤独な人だよ。 誰もその判断の責任を取らない。
成功すればよし、失敗すればこてんこてんだ。
「帰ろう、帰ればまた来れるからな」 木村昌福
第一水戦健在なりや?健在なりや? 中央
がっくり キスカ
もう重油のストック無いぞ 再出撃しろ 5艦隊司令部
結果的に成功したからいいが、そういうもんと理解したらどうか。
マキャベリも おおむね政治家や軍人は、その資質では判断されない、結果がすべてである。
395 :
GF長官:2009/02/04(水) 21:26:15 ID:???
>>385 つまり、ここは先人の智恵に学ばんとする賢者たちが集うスレですね!
そろそろ軍板も、趣味カテゴリーから卒業する時が来たようだな。
>>386 そうですね。今日の我々は100年後の日本人からどう評価されるのか。
>>388 確かに。でも、これ以上下がるとなると、牟田口級か?
>>389 その通りですが、何か不満でも?
日米双方ともに「初めて」ならではの錯誤を生じていますね。
>>391 そうなんですよねぇ。決断に伴うリスクを考慮するのを忘れがちですから。
>>392 全く!兵装転換は一度やってしまうと、取り戻すのに半端ない時間を要し
ますので。せめて南雲長官があと30分逡巡していれば・・・
でもまた、「決断が遅い」と叩かれるんだろうなぁ。
>>394 戦闘の結果は、誰の目にも明らかな形で現れますからね。
>マキャベリも おおむね政治家や軍人は、その資質では判断されない、結果がすべてである
すべての結果に責任を負うのが指揮官の任務だと思います。
何れにせよ、南雲はそれなりの戦果を挙げた。
錯誤も多かったが、それは評価出来る。
そして、誤解が多いが、彼は一前線司令官であり、すべてを統括して指揮出来る立場ではなかった。
二艦隊は、最古参のシーマン近藤。 指示はムリだった。 餓島方面は11航艦、陸軍、更に陸戦隊、
何れも南雲の指揮下ではない。 南雲が指揮した作戦を総覧すると、
意外と彼の指揮出来る部隊の数が少ないことが見える。
ハワイでは、1航艦麾下部隊のみ 実質的には三個空母戦隊。
二隻の戦艦と二隻の重巡の二艦隊からの借り物、駆逐艦は秋雲だけがとんぼ釣りで五航戦付属
水雷戦隊も借り物だ。 この傾向はインドになっても変わらない、そしてそれがミッドウェイまで来てしまった。
第一機動部隊は紙の上では南雲の指揮下となった感じだが、組織的に動かせたかというとそうでもない。
北方の角田第二機動部隊は、全く別の指揮下、他の艦隊は同じ身分の司令長官が指揮。
1艦隊は山本、そして高須、…南雲の思考が上陸日に拘ってしまっていたという考え方は意外と的を射ている。
そして、敗北後その反省から、借り物ではイケナイ、急ごしらえの独立愚連隊でもいけない、
ちゃんと建制して立場を明確にすべきという観点から、三艦隊が出来た。
だが、その性質は従来の艦隊と同じで、指揮権は他艦隊に及ばず……
だから次の編成では三艦隊司令長官が二艦隊司令長官を統べる事になったが不徹底だった。
何というか組織を根本的に作り直すんではなく、今まである物に継ぎ足していくやり方を取った。
ある意味、組織弄りで「出来ました」と中央は報告したい、でもその問題点はすべて前線に覆い被せるという
今にまで連なる、弊害が見える訳で。
397 :
GF長官:2009/02/04(水) 21:56:21 ID:???
>>383の続き
六戦隊司令部が「錯誤」に気づくのは、0700時の
「敵ハ航空母艦・巡洋艦各1、駆逐艦3、地点南緯15度55分・東経175度5分
航空機ノ全力ヲ以テ攻撃中」 (『第五戦隊機密第八五七番電』)
内容は翔鶴索敵機の報告と同じ(
>>380)なのですが、改めて海図上で確認して
気づいたのでしょうか。
「青葉艦橋に衝撃の色が走った。
原少将麾下の飛行機隊が攻撃に向かっているのは、ツラギの南450浬の地点
であり、珊瑚海北西海面と推定した米空母部隊とは別働隊である。
『困ったことになった』(六戦隊通信参謀・関野英夫少佐)
『敵機動部隊は二隊ある、ということだな』(同水雷参謀・南祝少佐)
『五航戦の攻撃隊が向かっている敵はツラギの南方だ。とすれば、我々に最も
近い珊瑚海北西の敵空母部隊には、どこの隊も向かっていない』
(同首席参謀・貴島掬徳中佐)」 (『暁の珊瑚海』)
事態は極めて重大。
五藤少将に決断が迫られる。
398 :
GF長官:2009/02/04(水) 21:58:38 ID:???
>>397の続き
ここで、MO攻略部隊指揮官・五藤存知少将の立場を確認しておきます。
>>16,
>>17の通り、MO作戦は3つの部隊から構成されているが、その中で
MO機動部隊は敵艦隊出現に備えての遊撃部隊であり、輸送船団を有する
MO攻略部隊が本隊となる。
仮に原少将の卓越した指揮で米空母を撃滅できたとしても、ポートモレスビー
攻略が中止(例えば船団が集団座礁w)になれば、MO作戦は「失敗」になる
からです。
399 :
GF長官:2009/02/04(水) 21:59:53 ID:???
>>398の続き
これをMI作戦と比較すると、よく似ている。
[MO作戦]
指揮官 指揮部隊 任務
井上成美中将 (ラバウル四艦隊) 作戦の総指揮
五藤存知少将 (MO攻略部隊) ポートモレスビー攻略
高木武雄中将 (MO機動部隊) 敵艦隊撃滅
[MI作戦]
指揮官 指揮部隊 任務
山本五十六大将 (主力部隊) 作戦の総指揮
近藤信竹中将 (攻略部隊) ミッドウェー島攻略
南雲忠一中将 (第一機動部隊) ミッドウェー島基地制圧と敵艦隊撃滅
ナチドイツの東部戦線でのマンシュタインと南雲は違うって事だな。
マンシュタインはヒトラーに命令に対し柔軟性を求めることも出来たし、激論も交わせた。
日本でこの位置と言えば山本が近い。
南雲の位置は日本陸軍で言うなら師団長クラスだよ。その上の軍司令部にまでには楯突けない。
角田の二航戦に至っては、大隊長レベルだな。 あくまでも指揮系統や命令、自由度においてだがね。
新編、第一機動艦隊司令長官小澤だってその弊害をもろに受けたかもしれない。
この第一機動艦隊って組織が良く分らない、基本的には三艦隊と何ら変わらない。
本当に麾下の艦隊を柔軟に動かすのなら、三艦隊を別の人間に任せ、小澤が最高指揮を執るべきだった。
何度も言っているけど、日本は組織が多すぎで指揮系統も複雑だった。
あ号作戦ですらこの有様だ。
同じ物
海軍軍令部→連合艦隊→(第一機動艦隊→第三艦隊)→麾下戦隊
|
協力ぐらいしか求められない
↓
→第一航空艦隊→各航空戦隊
→六艦隊(小澤の指揮は受けません連合艦隊経由で→潜水部隊
→四艦隊(うち内南洋が守備範囲です)→各根拠地隊(航空隊含む)
何かもう、S18以降は日本海軍は近代の組織戦をやる資格すら失っていた感じはするな。
401 :
GF長官:2009/02/04(水) 22:01:30 ID:???
>>399の続き
以上で明らかですが、「機動部隊」はその派手な行動から「主役」と思われがちですが、
作戦全体から見れば、実は「露払い」に過ぎない。
作戦上中心となる「攻略部隊」の指揮官にとって、常に気にかかるのは輸送船団の存在。
この船団を、期日までに、上陸開始予定地点へ、無事に護衛することが最も肝要になる。
五藤少将とすれば、
「味方に最も近い敵空母部隊の自由行動を制約するものは何もない」
という非常に切迫した状況で、輸送船団をいかに無傷な状態で切り抜けるか。
これをまず第一に考えなければならない。
さて、彼の決断はー
>>399 うわ、シンクロニフティーw
MI作戦時
海軍軍令部→連合艦隊→直卒第一艦隊(山本)→高須(分遣隊)
|
指揮指導(無線封止でどうやって?)
↓
第一機動部隊(南雲)→麾下戦隊
|
以下協力すら求められない
↓
→第二艦隊→各戦隊
→第五艦隊(細萱 いやー僕らは北ですし)
→第二機動部隊(角田、MIに行きたい行きたいけど、北方作戦航空支援があるし
→六艦隊(南雲の指揮?知りません、連合艦隊経由で)→潜水部隊
→四艦隊(うち内南洋が守備範囲ですが補給を)→各根拠地隊(航空隊含む)
何かもう、当時の前線指揮官は大変だったとしか。
ミッドウェーでの南雲の立場はマリアナでのミッチャーの立場でマリアナのスプルーアンスとミッドウェーの山本が同じような立場だと思うんだが。
太平洋戦争での連合艦隊司令部の立場というのが前線指揮部隊なのか後方で各艦隊の調整指揮するものなのか実に曖昧ではっきりしない。
各艦隊は諸兵種連合ではなく戦艦・空母・巡洋艦・輸送船と分かれているのでこれらを戦車兵・砲兵・騎兵・輜重兵の各連隊として連合艦隊は元々師団だったはずなんだが。
いつの間にか総軍規模になってしまったのに前線に出てくるからおかしくなる。
空母は年を追う事に騎兵(偵察・後方撹乱)→歩兵砲(直協支援)→野砲(間接支援)→重砲(対砲兵任務)へとその性格を変えている。
戦艦は重戦車、巡洋艦は軽戦車、駆逐艦は駆逐戦車だとして陸戦の主役は歩兵である。
よって海戦でも真の主役は上陸部隊を積んだ輸送船である。
凄いこじつけだな!まあいいけど、それにしても南雲の兵装転換癖はどうにかならなかったのかな?わざわざ第二次攻撃隊を雷装待機させてた意味わかってたのかなぁ?せめて索敵機が折り返してからでもよかったのかもね!
>>405 おまい兵装転換しなきゃ勝ってたとでも思ってるのか?
>>405 それにしても南雲の兵装転換叩き厨はどうにかならないかな?わざわざ第一次攻撃隊に飛行場攻撃させてた意味わかってるのかなぁ?せめてGFが「島やるな」と厳命してたらよかったのかもね!
>>405 そのネタ聞き飽きたから他のネタ仕入れて出直してこい。
定説電波厨を相手にしない
電波といえば大和の艦橋では米艦載機と空母の交信を受信して
およその位置がわっかっていたのに、なぜ赤城に封鎖解除して
伝えなかったかが疑問だな?
412 :
GF長官:2009/02/05(木) 21:45:52 ID:???
>>396 そうなんですよねぇ。
>そして、誤解が多いが、彼は一前線司令官であり、すべてを統括して指揮出来る立場ではなかった
南雲長官の場合、権限と責任の割合がかなり偏っている気がします。
>>402 もう何が何やら・・・
>>403,404 面白い解釈ですね。陸軍さんはよく分からん。
>>405 お帰りはあちら→
>>409 >>411 全部変人参謀のせいです。
>>411-412 その敵信はよりにもよって飛龍が受信していた、という話しがあるそうで。
内部処理のミス(どんなミスだ?)で、加来艦長や二航戦司令部には伝わらなかったという。
414 :
GF長官:2009/02/05(木) 22:29:15 ID:???
熱闘!珊瑚海海戦(一日目)
>>401の続き
五藤少将は、輸送船団の一時避退を下令。
「輸送船団ハ一時北西ニ避退セヨ」(
>>362)
当然の対応ですね。
祥鳳一隻で、米攻撃隊から船団を守りきれるわけがない。
しかしまぁ、あっさりと決断しましたよねぇ。
もちろん、攻略部隊指揮官の裁量の範囲内ではありますが、8節という船団の
鈍足を考えれば、上陸予定日の遅延にもなり兼ねない処置です。
彼に勝算はあったのか?
415 :
GF長官:2009/02/05(木) 22:32:59 ID:???
>>414の続き
例えば、ミッドウェーでの近藤中将と比較すると、(波スレ
>>479参照)
0725 三空母被弾
0920 「AF攻略部隊ハ一部ヲシテ輸送船団ヲ 一時北西方ニ避退セシムベシ」
(GF発・2F宛・輸送船団の避退を命令)
0927 近藤中将は船団部隊の避退を下令。
あくまでも上級司令部の命令に従って、避退させている。
これに対し五藤少将は、井上長官には事後承諾の形で、米攻撃隊の来襲前に
独断で避退を決定している。
ミッドウェーの場合、南雲機動部隊が基地航空隊の攻撃を受けた時点で、一旦
攻略部隊を避退させていれば、もっと柔軟な対応ができたのでは・・・という意見
さえありますが、(それが可能かどうかは別として)GF・2F・1KdB いずれの
司令部も、その考えはなかったようです。
416 :
GF長官:2009/02/05(木) 22:35:31 ID:???
>>415の続き
[MI]
南雲機動部隊は、ミッドウェー基地を攻撃中
攻略部隊は、攻撃を受けていない
(敵基地兵力は南雲艦隊攻撃に集中しているので、輸送船団が被害を受ける
危険性は少ない)
[MO]
敵空母部隊はMO攻略部隊の近距離(200浬以内)に所在
我が方の位置は、すでに敵の索敵機に発見されている
MO機動部隊は(一番近い)敵空母部隊に対して攻撃を行っていない
このあたりが両者の違いでしょうが、一・二航戦の実力に対する信頼の証かも。
すなわち、彼らなら基地制圧も敵艦隊撃滅も、すぐに完了してくれるだろうと。
五藤少将にとっては、五航戦は頼りない存在だったのかもしれませんね。
417 :
GF長官:2009/02/05(木) 22:38:41 ID:???
>>416の続き
結果的には、この判断は正しかったことになります。
米空母攻撃隊93機はすべて祥鳳一隻に集中し、同艦の沈没と引き換えに輸送船団の
無事は確保できた。
もし、米攻撃隊が視界内に輸送船団を捉えていたならば、反覆攻撃を受けるおそれも
あった。
祥鳳沈没は決して小さくはない被害ですが、逆に言えば、祥鳳1隻で済んだと言えなく
もない。
船団が無事である限り作戦続行は可能であり、予定通りMO機動部隊が敵空母を撃滅
してくれれば、ポートモレスビー攻略に支障はないからです。
史実と異なり、もしMO作戦が成功していたならば、この時の五藤少将の決断は高く評価
されたことでしょう。原少将と共に中将昇進も間近だったのでは。
418 :
GF長官:2009/02/05(木) 22:40:13 ID:???
>>413 これは初耳。それにしても、
>内部処理のミス(どんなミスだ?)で、加来艦長や二航戦司令部には伝わらなかったという
栗ターン以上の謎だな。
419 :
名無し三等兵:2009/02/05(木) 22:41:12 ID:2HqEuaU8
》413 距離的には機動部隊の方が近いので受信していた可能性も大きいですね!それがもし事実だと山口の即時攻撃隊を発艦させると言う具申も理にかなっている
420 :
GF長官:2009/02/05(木) 22:55:11 ID:???
明日は同僚の送別会のため、お休みとさせて頂きます。
それでは明後日、「北方領土の日」にお会いしましょう。
>>418 単純な話、傍受してもその内容が戦隊レベルの通信能力(主に人員面)では判断できなかったんでしょ
この時大和で傍受されたと言われているのは「敵空母らしき通信符号」なので、
これまでに傍受していた蓄積情報から傍受した内容を「敵空母らしき通信符号」と判断したわけで
GF司令部よりも優秀と言われた敵信班を有していた赤城が傍受していたのなら、
GF司令部と同じ判断を下した可能性もあるけど、赤城並みの敵信班を有していない飛龍では、
傍受できても内容が判断できなかったと
>>419 全然理に適ってないよ
事前に情報を把握してたのなら、即時攻撃隊発進を具申する前に南雲長官にその旨を伝えなきゃ
それをしてない所からして飛龍が敵信を傍受していたとしても、2航戦司令部には伝わっていたとは思えないね
>>418 資料の又聞きで私自身は直接確認していませんが、
徳間文庫『山口多聞』著生出寿
にその記述があるそうです。
>>419 当該敵信傍受は海戦日以前の事なんで、そんなシチュエーションにはなりませんよ。
仮に第一機動部隊が上記の情報入手に成功した場合、
敵機動部隊の存在を厳に警戒しながら作戦行動を進める可能性が生まれる。
必要ならば後方のGF司令部に作戦修正の是非を問うこともできる。
何れにしても、史実よりは優位な体制で作戦を遂行出来きたと推測します。
…ふむ、長官は酔いくたばっておるようだな。
本日ただ今をもって、当スレは私の指揮下に入る!
前任のGF長官の身柄を拘束せよ!
総員は現配置のまま待機!
昭和天皇 「朕自ら、連合艦隊を指揮し賊を討滅せん」
「マストに天皇旗を掲げよ」
先任衛兵伍長!不穏な言動を行ってる
>>423>>424を捕縛して営倉に放り込んでおけ
処分は長官が戻ったら任せるとして、戦時日誌から6戦隊の動きを見てみますか
「敵KdB発見(位置欠)」(0550時・翔鶴機)→0600受信
「攻撃機隊発進」(0610時・5sf)→0630受信
これで
>>367のレスのように第6戦隊司令部の意気軒昂となったようですが、
0550に衣笠が、0630迄にはMO主隊の各艦が敵機を目視で発見しとります
これの来襲方向から敵の襲来が近いと判断、祥鳳に敵KdB攻撃準備が下令
「デボイネノ152度・150浬」(0620時・古鷹水偵)→0638受信
「ロッセル島ノ170度・82浬」(0630時・衣笠水偵)→0640受信
この二つについては
>>380にもある通り同一部隊と判断
この判断をした後に0600?に受信した位置欠だった受信文が
「5sf機の接触位置はツラギノ195度・450海里」と判明したようで
これを受けて
「0730 明らかに敵KdBは東西に2隊あり」と判断を修正して、
この判断をMO機動部隊や4艦隊に発信
その後、時系列的に少し巻き戻るんだけど戦時日誌にはここで
「0700 輸送船団ハ一時北西ニ避退セヨ」
と輸送船団への退避命令を出した事が書かれてますな
426 :
GF長官:2009/02/07(土) 22:12:51 ID:???
>>419 それはあやしいような・・・
そこまで確実なら、利根四号機の初電(敵ラシキモノ一○隻見ユ)の時点で
即時発進を具申するんじゃないか?
>>421,422 そうですね。
榛名でも受信したけど、微弱だったために判別できなかったとも言われますし。
>>423 う〜む、よくこのスレは乗っ取られるなぁ。本職の不徳の致すところか・・・orz
>>424 畏くも先帝の御名を語るとは僭越不遜!
ちなみに、昭和天皇とフレッチャー少将の誕生日は同じ(4月29日)
>>425 処分はどうするか・・・
(1)シベリアで木の数を数える(2)タンクデサント(3)シュトルモビクの後部銃座
寛大すぎたかな。
>この判断をした後に0600?に受信した位置欠だった受信文が
>「5sf機の接触位置はツラギノ195度・450海里」と判明したようで
なるほど、六戦隊が気づくのに遅れた理由は、最初の翔鶴電が「位置欠」だったためか。
有難うございます。
427 :
GF長官:2009/02/07(土) 22:26:58 ID:???
今日は北方領土の日。
「単冠湾」という地名は、まだ残っているのだろうか。
麻生総理の手腕に期待しよう。
現在、『空母ヨークタウン』を読み進めていますが、『暁の珊瑚海』の元ネタを
発見したりで、なかなか面白い。
原題は『RENDEZVOUS AT MIDWAY』(ミッドウェーでの会合)なので、
『空母ヨークタウン』という邦題は合わないような?
428 :
GF長官:2009/02/07(土) 22:27:54 ID:???
>>427の続き
著者の「兵装転換評」を紹介しておきましょう。
「多くの著述家が、これ(兵装転換)を取り返しのつかない大失策であり、
おそらく日本に敗戦をもたらした大錯誤だったと強調している。
そういうことにつながるとしても、その時点においては、これは妥当な決断
だったと言える。
ミッドウェーを再攻撃しなければならないのは明白だった。現にたった今、
ミッドウェーからやってきた飛行機隊が、南雲自身の乗艦を攻撃したばかり
である。一方、索敵機が付近の海域に敵水上艦隊を発見したという徴候は
全くない。
南雲長官は、正当な決断である、と判断した。
ミッドウェーに第二次攻撃をかけることは決して賭けではない。
第一波は間もなく帰投して、発進して行く飛行機と交替する。
第一波は着艦するやいなや爆弾と魚雷を搭載して、索敵機が敵の艦隊を
発見したなら、いつでも発進できるように待機するだろう。
客観的に見れば、これは論理的な決断だったと言える」
うむ、筋の通った分析だ。
429 :
GF長官:2009/02/07(土) 23:11:10 ID:???
>>417の続き
輸送船団の避退を命じた後、0730時、五藤少将は敵情を各部隊に通達(
>>362)
「敵機動部隊ハ二隊アリ、当隊飛行機触接確保中、敵機動部隊○七一五の位置、
デボイネノ 145度・165浬」
つまり米空母は、ツラギ南方とデボイネ南方の二隊に分かれている。
ツラギ南方の部隊へは、高橋攻撃隊が向かっており、デボイネ南方の部隊には
衣笠水偵が触接を継続しているので、「当隊飛行機触接確保中」としている。
430 :
GF長官:2009/02/07(土) 23:12:31 ID:???
>>429の続き
ただ、この文章は簡略的過ぎる感は否めず、デボイネ南方の部隊が二隊に
分かれているという解釈も成り立ちますね。
すなわち、フレッチャー空母部隊(
>>216の(D)衣笠水偵触接中)とクレース重巡
部隊(
>>216の(C)古鷹水偵触接中)の二隊。
>>215の通り、
(C)0620時「敵機動部隊ラシキ艦影ヲ認ム」(古鷹水偵)
(D)0630時「敵見ユ、空母1・戦艦1・巡洋艦2・駆逐艦7」(衣笠水偵)
なので、両方とも「敵機動部隊」と判断できます。
そして両部隊とも、「当隊飛行機触接確保中」というわけです。
『暁の珊瑚海』では、後者の説をとっていますが、本職はどちらとも判断が
つかねますね。
431 :
GF長官:2009/02/07(土) 23:13:39 ID:???
>>430の続き
続いて、フレッチャー本隊に触接中の衣笠水偵より報告が入ります(
>>362)
0743「敵戦艦ヲ見ズ」(衣笠水偵・続報)
0745「敵針1度」(同・続報)
0808「敵空母ハ飛行機ヲ発艦ノ如シ」(同・続報)
0830「敵空母ハサラトガ型1・艦型不詳1、計母艦2」(同・続報)
いずれも、米側の動きと一致します(
>>270)
「飛行機発艦中」とあるくらいですから、翔鶴索敵機のような誤報でないのは
明らかですし、「サラトガ型」はレキシントン、「艦型不詳」はヨークタウン。
正確な報告です。
432 :
GF長官:2009/02/07(土) 23:15:36 ID:???
>>431の続き
この時の衣笠水偵は、「九四式水上偵察機」。
『世界の傑作機(47)日本海軍水上偵察機』によれば、「水上機の川西」が
製作、「本機ノ出現ハ航空作戦ニ寄与スルコト大ナリ」と絶賛され、今日でも、
「複葉三座水偵の最高傑作」の評価は揺るぎない。
それは、戦前ドイツが本機のライセンス生産を打診してきたことからも明らか
でしょう。
とはいえ、最高速度130節というのは、零式三座水偵より70節も遅く、敵空母
直衛のF4Fに見つかっては、ひとたまりもない・・・はずですが、この衣笠機は、
「ヨークタウンのレーダーは、近くをうろついている敵の偵察機をとらえた。
ワイルドキャット数機が迎撃に送り出されたが、日本機のパイロットは巧みに
雲から雲へ転々として追跡を振り切った」 (『空母ヨークタウン』)
素晴らしいですね!
『戦史叢書』によれば、
「この間、衣笠一・二号機、古鷹一・二号機は敵戦闘機と空戦を交えながら、
触接を確保して、刻々と敵情報告を続け、その後第六戦隊第一小隊の青葉・
加古の水偵と交替して、デボイネに帰投した」
空母決戦は、索敵情報が命なのですが、搭乗員の伎倆でこうも違うものか
と驚かされるばかりです。
低速すぎてF4Fも足出さないと失速するのではないかなあ
それと水偵も考えてて、見つかったら雲の中、更に追いつめられたら
海面ギリチョンを蛇行飛行し射撃しにくくする、そして目指すはスコール
434 :
GF長官:2009/02/09(月) 21:03:36 ID:???
>>433 そうですね。
ソードフィッシュの活躍ぶり(?)を見ると、「鈍足=役立たず」とは言えないかも。
>>434 ソードフィッシュは電子装備を積んで近代的な哨戒機に。
ロイヤルネイビーのジョンブル精神はこう言うところで発揮される。
>432の続きどうぞ
436 :
GF長官:2009/02/09(月) 21:42:51 ID:???
>>432の続き
そして、四艦隊からの「催促電」となるわけですが、
この「第四艦隊機密第三六八番電」(
>>362)
「○七一五、敵機動部隊ノ大部ハ、デボイネヨリ145度・165浬ニアリ、又一部ハ、ツノウ45ニアリ、
各隊ハ、デボイネの145度・165浬ニ在ル敵ヲ攻撃セヨ」
(註)ツノウ45は、翔鶴索敵機の敵航空部隊発見位置
これは0800時に送信されたものですが、五航戦が受信したのは0845時となっている。
(六戦隊がいつ受信したかは不明)
45分というのは少し時間がかかり過ぎのような・・・
437 :
GF長官:2009/02/09(月) 21:44:40 ID:???
>>436の続き
送信と受信の時間差というのは、戦争全期を通じて見られることですが、その理由を考えて
みますと、暗号電報の送受信とは極めて手間のかかる作業であることが挙げられます。
以下は、『新高山登レ一二○八〜日本海軍の暗号』(宮内寒彌/著)による。
暗号送信の手順とは、
(1)呼出符号(青葉)を送る(3回)
(2)相手(青葉)から応答がある
(3)自己符号(四艦隊)を送る(3回)
(4)相手が応答
(5)「冒頭」送信
(6)通信文(本文)送信
438 :
GF長官:2009/02/09(月) 21:46:45 ID:???
>>437の続き
「冒頭」の各語については、
送信艦所(四艦隊)・発信艦所(ラバウル)・指定(緊急信)・タナ(通信番号)
着信者(MO作戦全部隊)・発信者(四艦隊長官)・平文or暗号文・暗号種類(D暗号)
有線or無線・電波の種類(4175KC短波)・総字数・発信日(5月7日)
電番号(三六八)・乱数開始符(乱数表の使用頁)・指示符(通信文の開始語)
(註)「指示符」とは、暗号解読防止のため、通常語順を入れ替えて送信する。
その開始位置を示したもの。
この際重要なのが「総字数」であり、受信側は、この総字数と実際に受信した通信文
の合計字数が一致するまで、何度も「サラ」(再送要求)を行わねばならない。
439 :
GF長官:2009/02/09(月) 21:48:20 ID:???
>>438の続き
受信が完了すると、暗号を平文に戻す「翻訳」作業に入る。
受信時に、誤送・脱字・混信等は避けられないので、翻訳不可能箇所はとりあえず
残しておき、「概訳文」だけを通信長に届け、その後、誤字検出や再送要求をして
完成させた文章を、訳文浄書係が浄書し提出する。
なんとも面倒な作業だ。
該当司令部に届くまで時間がかかったり、
>>425の「位置欠」のように不完全な内容と
なったりするのも無理ないですね。
「暗号電報は必ず正確に送受信されるものである、とは断定できない。
いくら『善行章』三本のベテラン通信員でも、一語について数字五字ずつ発信しなければ
ならないので、一つくらいの打ち違いがないとは言い切れない。
もし正確に送信されたとしても、受信側の電信員が受聴機に聞こえる『トン・ツー』音を
一つくらい聞き違えをしないとも言い切れない。
これに、電波事情・妨害電波・機械の故障なども加わるから、電信から暗号へ回されて
来た暗号電報には、誤字なきにしも非ずということになる」
ただし、新高山上れは、その形式(呼び出し)を採らず送信しっぱなし(東京からの三種類の電波)で発信され赤城で受信された。
441 :
GF長官:2009/02/09(月) 21:51:25 ID:???
>>439の続き
開戦時の「新高山登レ一二○八」にしても、送信日時は「12月2日1500時」ですが、
発令は「同日1730時」となっている。
2時間半の余裕は、上記の事情を考慮した上で確実を期してのことでしょう。
まして戦闘中となったら、なおさら混乱は避けられない。
上級司令部・各部隊・随伴艦艇・索敵機・敵信が乱れ飛ぶ通信室・・・
史実を知る我々からすれば、疑問が生じる指揮官の行動も、こうしてみると
不完全な情報を基に決断を下さねばならない指揮官の立場が察せられる
ではありませんか。
442 :
GF長官:2009/02/09(月) 22:00:12 ID:???
>>440 そうですね。
「新高山登レ・・・」は、東京通信隊船橋送信所の東京第一放送。
いわゆる「放送通信」で常時流し放しなので、洋上の各部隊は、ちょうど
ラジオ電波に周波数を合わせる要領で受信するので、呼出のやりとりは
不要ですね。
>>436 細かい事をいうけど、0845に受信記録があるのはMO機動部隊/5戦隊じゃないかい?
5航戦が0845に受信したという明確な記録はちょっと目にした覚えがないなあ
MO機動部隊の戦闘詳報の頭に「本詳報は5Sに関する事項を主に記載し5sf他については各艦の詳報を参照」ってあるんで、
MO機動部隊(実際に受信してるのは妙高)の受信日時=5航戦の受信日時にはならないと思うのよ
6戦隊の戦時日誌には「第三六八番電」の受信記録はないね(1010に発信した「第三七一番電」は1130に受信記録あり)
参考までにその他の部隊の受信記録
・津軽には「第三八六番電」と誤記された上で08XX?に受信記録あり
・6水戦には「第三六八番電」が0836に受信
・神川丸には擁護部隊指揮官から0855に「第三六八番電」の内容を信号で通達の記録
・擁護部隊/18戦隊には「第三六八番電」の受信の記録はなし(第三七〇番電の受信記録はあり)
ただし0845に神川丸に「第三六八番電」の内容を信号で通達している記録はあり
・瑞鶴には「第三六八番電」の受信記録は見当たらず
受信出来ている艦には0836から0845に届いている感じかなあ?
ただしチェックした中では「第三六八番電」を受信してる艦が以外に少ないね
それより後の「第三七〇番電」や「第三七一番電」は割とどの艦も受信してるんだけど
すまん瑞鶴には「第三六八番電」の受信記録あった
何番電の記載がなかったので見落としてたけど0840に受信してる
445 :
GF長官:2009/02/10(火) 21:12:45 ID:???
>>443,444 有難うございます。0840時なら五戦隊とほぼ同時ですね。
参考までに『戦史叢書』の記述は、
「これ(
>>223の「タナ十六電」)に対し第五戦隊首席参謀は、0710次の通り返信した。
(
>>223の「其ノ後・・・」電)
この意見の交換により五航戦司令部においても西行することに決し、0745同司令官は
翔鶴に対し、攻撃隊収容後西方の敵に向かう予定につき、直ちに第二次攻撃隊準備を
行うよう指示した。
そして、0842反転して針路280度としてデボイネ南東の敵に向かった。
反転して間もない0845南洋部隊指揮官(井上長官)から、デボイネ南東の敵を攻撃する
よう次の電令(
>>436)に接したが、攻撃隊は既に南方の敵を攻撃中であり、これに応ずる
ことは出来なかった」
う〜ん、これだと、
「0845南洋部隊指揮官から、デボイネ南東の敵を攻撃するよう次の電令に接した」
の主語が、五航戦なのか、五戦隊なのか、ハッキリしませんねぇ。
五戦隊と五航戦というのはややこしいなぁ。
>参考までにその他の部隊の受信記録
これは有難い。どの部隊も受信に40分以上かかっているようですね。
446 :
GF長官:2009/02/10(火) 21:49:06 ID:???
>>441の続き
さて、MO作戦の総指揮官でありながら、いまひとつ存在感の薄い井上成美中将
の登場です。
「艦内が緊張した悲壮な気分に充たされているにも拘わらず、ラバウル空襲に来る
アメリカ機は、練習艦鹿島の存在を無視した。入港以来ずっとそうであった。
泊地偵察のみで爆撃をせず帰って行く敵機を見上げて、『この中将旗が眼につかないか、
鹿島も軍艦だぞ』と悔しがったことを、これも井上が『海戦概要』に書いている」
(『井上成美』阿川弘之/著)
敵機からもスルーされる旗艦って・・・(涙)
自ら「戦さ下手」を認識し、ウェーク島攻略での失敗もあるだけに、「汚名返上」の強い
決意の下、本作戦に臨んだことは間違いない。
447 :
GF長官:2009/02/10(火) 21:50:48 ID:???
>>446の続き
而してその実態は・・・
「ラバウルにある井上成美中将は、各索敵機からの電報で米軍兵力の全貌をつかむのに
苦労していた。
だが、古鷹・衣笠の水偵隊の報告で、少なくとも米空母は二隊に分かれていると判断した。
これは重大な情報であった。日本側が頼みとする機動部隊が一方の米空母グループに
向かっている間、もう片方の米空母部隊は完全に自由行動を約束される。
井上中将は早朝から司令室に駆けつけ、海図に記入されて行く索敵機からの報告位置を
熱心に見つめていた」 (『暁の珊瑚海』)
状況把握に苦労していた様子が伺えます。
とはいえ、「4F電」(
>>436)は、以下の点で「正確な敵情判断」であり、
(1)米空母部隊は二隊に分かれている
(2)デボイネ南東の部隊が主力である
(3)各部隊は(2)を攻撃せよ
混乱した状況の中で下した決断としては、評価されるべきだと思います。
448 :
GF長官:2009/02/10(火) 22:00:10 ID:???
>>447の続き
どのみち、古鷹・衣笠の「敵発見電」が入るのは、高橋攻撃隊が発進した後ですから
どうしようもない。この時点では最善ではないが、やむを得ない命令でしょう。
「井上司令部では、当初米海上グループを二隊と見ていた。そのため攻撃目標の変更
を命じたのだが、五航戦の飛行機隊が発艦してから10分後のことで、諾否の判断は
原少将の裁量にある。
あえて目標変更を強制させるには”真珠湾帰り”の原少将に遠慮がある」
五航戦は「妾腹」とはいえ、歴戦常勝・「最強の南雲機動部隊」の一員ですからねぇ。
ウェーク島で二航戦に助けてもらった引け目のある井上長官としては、上級指揮官
と雖も強くは言えない事情があったのでは。
こう見ると、この5月7日、日本側の混乱の原因は、やはり翔鶴索敵機の誤報。
これに尽きると言えますね。
>>446 >泊地偵察のみで爆撃をせず帰って行く敵機を見上げて、
>『この中将旗が眼につかないか、鹿島も軍艦だぞ』
中将旗と聞くと、雪風に移乗した11戦隊司令官の少将旗が有名か。
雪風は比叡の周りで警戒戦闘を続行していたが、マストに掲げた将旗が
戦艦に掲げる少将旗でデカイ、それを駿足の雪風がはためかせているもんだから
敵機は「あのデストロイヤーに司令官が居る」と言う感じで集中攻撃。
雪風艦長は、このままではかわしきれなくなると判断して少将に
「メンツもありましょうが将旗を降ろさせて貰います」と了解を求め少将はこれを了解。
雪風はその後も比叡の周りをぐるぐる回ったが、敵機は前よりかは襲ってこず
比叡に集中………
450 :
GF長官:2009/02/11(水) 21:11:54 ID:???
>>449 十一戦隊司令というと阿部弘毅少将かな。
>敵機は「あのデストロイヤーに司令官が居る」と言う感じで集中攻撃。
やはり「将旗」は目標にされるんですね。なぜ鹿島は・・・?
451 :
GF長官:2009/02/11(水) 21:28:59 ID:???
今日は紀元節。
今上陛下の御即位20年を、臣民の皆さまと共にお祝い申し上げたいと思います。
本職の場合、零戦の「零」の由来を知ったことが軍ヲタ少年の第一歩でしたね。
そして級友相手に、「だから、”ゼロセン”じゃなくて”レイセン”だよ。全く分かっちゃ
いないな!」と得意気に語っていました。いやはや懐かしい・・・
とはいえ、十二試艦戦が昭和15年に制式採用されたことは、運命的なものを感じ
ますね。なにせ100年に一度のことですし。
それでは、昭和15年10月11日横浜沖で挙行された「紀元二千六百年特別観艦式」
の映像をどうぞ。
栄光の日本海軍
http://www.nicovideo.jp/watch/sm4207187
452 :
GF長官:2009/02/11(水) 21:30:36 ID:???
>>451の続き
お召艦は比叡、先導艦は高雄、供奉艦は加古・古鷹。
総指揮官は山本五十六聯合艦隊司令長官であります。
当時海軍嘱託だった吉川英治氏は、これを「武装した芸術」と評したとか。
陸奥・伊勢・山城の単縦陣([2:32]あたり)に、もう号泣です。
歌は、電脳愛國婦人会より初音ミク嬢で「観艦式」−
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1921555 天皇陛下万歳!
大日本帝國万歳!!
大日本帝國海軍万歳!!!
453 :
GF長官:2009/02/11(水) 21:59:56 ID:???
TYPE ZERO CARRIER FIGHTER
なんとカッコイイ響きでしょうか!
>>448の続き
ここで少し話がそれますが、ラバウルで指揮を執った井上長官を通して、
海上司令部と陸上司令部との違いを考えてみたいと思います。
よく山本五十六・チェスターニミッツ両大将を比較する時、話題になること
ですが、「日本海軍が日露戦争以来の海上指揮だったのに対し、米海軍
は真珠湾の陸上基地から指揮を執っていた」という例の話です。
sage
>>453の続き
「しかし、日露戦争時代とは比較にならぬほどの多数の艦船が広大な太平
洋に遠く散らばって作戦している。そんな近代戦では、これを指揮するには
どうしても無線電信・電話を使わねばならない。
458 :
GF長官:2009/02/11(水) 22:27:37 ID:???
急に書き込めなくなってしまった・・・
「連投規制」に引っかかったかな?
とりあえず、一日様子を見ることにします。すみません。
459 :
GF長官:2009/02/11(水) 22:28:41 ID:???
>>453の続き
「しかし、日露戦争時代とは比較にならぬほどの多数の艦船が広大な太平
洋に遠く散らばって作戦している。そんな近代戦では、これを指揮するには
どうしても無線電信・電話を使わねばならない。
それを嫌って無線を使わなければ、指揮がとれない。ニミッツの司令部は
いつも真珠湾からたくさんの電報を打ち、全軍を滞りなく指揮していた」
(『歴史群像(3)勇進インド洋作戦』)
だから、日本海軍は旧態依然としていたと言いたいのでしょうが、
司令部が陸上にあるか海上にあるかが問題なのではなく、通信設備を
含めた総合力の差のように思うのですが・・・
460 :
GF長官:2009/02/11(水) 22:29:09 ID:???
どうやら復旧したようなので、続けます。
461 :
GF長官:2009/02/11(水) 22:30:35 ID:???
>>459の続き
「考えてみると、大和のような軍艦に乗って檣頭に大将旗をはためかすの
でなく、真珠湾のような陸上に司令部を置いて勤務するーそのスタイルを
戦争の始めからとった米海軍は、太平洋戦争の勝利を第一日で決したと
いって良かった」
太平洋戦争の勝利を第一日で決したって、おいおい、そりゃ論理に飛躍が
あり過ぎるのでは?
だいたい海上司令部の弊害(無線封止中は指揮がとれない)が問題とされた
のは、戦争全期を通じてミッドウェー作戦時だけではないかな。
その大部分において、GF司令部は「柱島艦隊」か、トラックの「大和ホテル」
や「武蔵旅館」なんだから、陸上司令部と一緒じゃないか。
462 :
GF長官:2009/02/11(水) 22:31:48 ID:???
>>461の続き
そのくせ、陸上に上がれば上がったで、大和特攻時のように、
「東郷元帥を見よ、ネルソンを見よ、国運を賭する一戦には陣頭に立ち、艦隊
を指揮したではないか。GF司令部は日吉台の奥に引きこもって何をやって
いるんだ!」と叩かれるだろうな。
井上長官が鹿島で出撃しても、どうせスルーされるんだし・・・
ということは、ミッドウェーの赤城に井上長官が乗っていれば、VB−6も
素通りしたかも・・・って、それはないか。
さて皆さま、今日の「その時」がやってまいりました。
井上・原両提督を失意の底に叩き落とす、祥鳳の最期です。
・引きこもった時期が既に遅すぎたのが一つ。
→作戦指導が既に作戦ではなかったことが一つ、豊田が日吉に入ったときは既に
太平洋戦争にけりは付いていた=>マリアナ沖海戦の敗北
・大和じゃなくても旗艦設備を施した大淀でも指揮が可能であったことが一つ。
→大和じゃなくても通信に問題はなかったんじゃない?という疑念+ホテル旅館問題が混同
・大和のMIでの失策が過大に評価されたことが一つ。
→一回だけじゃないか。
・山本自身が前線に出て撃墜され司令部が消滅したことが一度ならず二度あったことが一つ
→作戦の最高司令部が二度も全滅するというのは近代に入ってはマレ
対して米軍は
・一応旗艦はペンシルバニアだったが、ドッグ内で小破、キンメルは更迭
・ニミッツ着任時、太平洋全域を指揮出来うる旗艦設備の整った艦船は
太平洋艦隊所属の艦にはなかった→就任式は潜水艦上で行ったのはニミッツが潜水艦乗り出身
・当初予想した以上に戦線が拡大(日本が拡大したと言っていい)必然的に地球の半球以上をの地域を
作戦指導する必要が出た、主に太平洋艦隊司令部が。
・ワシントンがニミッツの独走を著しく嫌った、キングが嫌ったと言うべきか。
・ニミッツは前線部隊(ソロモン方面)を指揮すると同時に、米海軍部長やホワイトハウスとも戦わねばならなかった。
・開戦後、ローズベルトの動きもあり、太平洋艦隊司令部は既に艦隊の司令部ではなく「太平洋戦域司令部」の性質を持っていた
・よって、日本の連合艦隊司令部とはその性質が著しく異なってしまった。
・だが連合艦隊司令部もまた、開戦時同じように半球の戦域を指揮していた事実がある。
・マレー方面 比島 太平洋中部・ハワイ・他 第一段作戦は連合艦隊司令部が実質指揮した
(作戦自体数字ではうまく行かない)
・上の事実から「既に第一段作戦で長門と東京との連絡を密にし、指揮指導をしていた事実があるので
その後、長門や大和で指揮する事に疑問符が付いた。
・しかし、当時、連合艦隊司令部要員を全部入れ、指揮通信等の設備が整ったところが
地上にあっただろうか? 連続且つ継続している作戦指導中に地上設備に引っ越しが可能か。
特に設備が。 それを考えると大和の通信設備は優秀であり、機密も守られると考えられる。
・米軍に戻るが、同じように米司令部の設備を包容出来る基地が太平洋にあったかと言われると無い。
せいぜい一戦域担当だろう。 既にハワイで整った設備や人員、後方からの新機材や人員補給等を考えると
わざわざ動くこと自体が非効率的。
・よって、米海軍太平洋艦隊司令部は、真珠湾攻撃と言うより、対日戦に入った米国の政治的思惑に依るもの
(英米連合軍の組織図を見よ)に沿ったものと見た方が妥当
・対して連合艦隊は全太平洋戦域を指揮する必要性に迫られながらも
その連合艦隊自体、近代化改装に適さなくなっていた。 明治以来と言うより、
連合艦隊は戦術指揮か戦略指揮何れかを選び、どちらかを違う組織に委譲しなければならなかった。
また、トラック、またはラボールにしても、司令部施設は貧弱すぎた。
大和に積載された、それら旗艦を維持出来る設備を内地以外の陸上には置けない。
仮に置けたにせよ設営能力の不足の為難しい。 やはり内地しかない。
終戦直前、海軍総隊は…述べるまでもないか。
>ミッドウェーの赤城に井上長官が乗っていれば、
第一段作戦の成功は、柱島に座って全般指揮をやって中央とも連絡を密にした(せざる得なかった)事による。
よって、第二段作戦開始前、むしろMIよりもMO時前に、連合艦隊司令部は、更に中央との連絡等を密にする為に
海軍省に移り、MO作戦を4艦隊に丸投げするのではなく、しっかり後方から支援してやるべきだったし
ミッドウェイでは、南雲に開いた大和に乗せて、旗艦にしてやり、空母群は山口に任せれば…
つう、組織論もありますけどね。 まあ、無理でしょう、そんなん出来る風通しのいい組織だったら…
>>464 柱島にいる限り大和、長門、大淀の通信能力に
大差はない。
停泊中の艦から海底ケーブルで地上のアンテナと
繋いでいたからほぼ陸上施設と
考えてもいいと思う。
大和にGF司令部を置いたことで
大和が戦力として使えなくなったことが問題。
467 :
GF長官:2009/02/12(木) 21:05:03 ID:???
>>463 有難うございます。
>引きこもった時期が既に遅すぎたのが一つ
確かに、あの時期では海上に司令部をおいても、あまり意味がありませんね。
>>464 日米比較は、よく理解できました。
>しかし、当時、連合艦隊司令部要員を全部入れ、指揮通信等の設備が整ったところが
>地上にあっただろうか?
機密保持という点では、艦上は有利かな。
>>465 結局、柱島に居ても前線に出張ってきても、叩かれるんですね・・・やれやれ。
468 :
GF長官:2009/02/12(木) 21:31:40 ID:???
>>462の続き
おそらくこの祥鳳沈没がなければ、原少将が後に「夜間攻撃」を決断することは
なかったであろうと推察します。
それほど日本海軍指揮官にとって、開戦以来初の「軍艦喪失」は一大事だった
のでしょう。
ただ祥鳳が健在だったとしても、「輸送船団壊滅」となったならば、作戦自体が
中止になってしまうので、「一命を賭して任務を果たした」と言えるかのもしれ
ませんね。
469 :
GF長官:2009/02/12(木) 21:33:01 ID:???
>>468の続き
0900 米攻撃隊・MO主隊を発見
0910 第一波(SBD28機)命中弾なし
0917 祥鳳・零戦3機を発進
0920 第二波(SBD17機・TBD12機)爆弾7発・魚雷3本命中
0925 第三波(SBD7機・TBD10機)爆弾6発・魚雷4本命中
0931 祥鳳艦長・総員退去を命令
0935 祥鳳沈没
「実に93機の飛行機が、1隻の軽航空母艦を目掛けて殺到したのであった!
いかなる軍艦でも、このような集中攻撃には生き残ることは出来なかったで
あろう」 (『モリソン戦史』)
御意。
これを避けるには、ワープか真田工場長にお出で願うしかないでしょう。
470 :
GF長官:2009/02/12(木) 21:33:54 ID:???
>>469の続き
>>331の通り、米索敵機が発見したのは掩護部隊でしたが、
「わが掩護部隊の所在地点に向かって進撃していたレキシントンの攻撃隊は、
0900頃タグラ島を通過したが、その直後、右の方向25〜30浬の地点に、
空母1隻・重巡2〜3隻・駆逐艦1〜2隻から成る我がMO主隊を発見した」
(『戦史叢書』)
(註)タグラ島とは、ロッセル島の西隣の島(
>>355)
すでに2時間前に、輸送船団(ポートモレスビー攻略部隊)は避退して当該
海域には居ない(
>>414)
MO主隊は、その北北東25浬の位置に居ました(
>>356)から、「右の方向
25〜30浬の地点に、MO主隊を発見した」という記述と一致しますね。
これは全く偶然の産物。
気まぐれな女神様は、米海軍に微笑んだようです。
>>466 意図するところは分かります。
確かに戦力外になってしまったのは痛い。
>柱島に居ても前線に出張ってきても、叩かれるんですね
出てくれば、所在司令長官麾下の部隊は作戦がしにくいし、
いきなり頭越しに命令(希望)が飛んだり……
引っ込んでれば前線将士のフラストレーションのぶつけ先。
連合艦隊司令部の要員になるのは地獄だぜえ。
長官になれば針のむしろだぜ。
472 :
GF長官:2009/02/12(木) 21:35:52 ID:???
>>466 なるほど。
>大和にGF司令部を置いたことで
>大和が戦力として使えなくなったことが問題
ソロモン戦役で、なぜ大和を使わなかったのか。
今までは燃料の問題かと思っていましたが、こういう点もあったのですね。
トラックに陸奥は来てましたね、2F旗艦として。 意外と動いてもいるし出撃もしてます。
旗艦施設の点から言えば、そう変わるものでも無さそうな。
陸奥の影の薄さは異常ですよね。
出し惜しみせず戦艦を活用していれば…と思います。
>>468 帝国海軍の「軍艦」喪失第一号、は水上機母艦瑞穂です。
珊瑚海海戦直前の5月2日に米潜ドラムによって撃沈されてますから、
この事実をMO作戦各部隊が承知していたかは不明ですが…
>>473-474 この時の2F旗艦は愛宕のままです。
そして陸奥は1F2S。
陸奥は2F基幹の前進部隊に編入されて第二次ソロモン海戦に参加してますから、
帝国海軍は二番目に有力な戦艦をいきなり最前線に投入した、とも言えるかと。
帝国海軍が戦艦を有効利用出来たかは疑問ですが、
よく通説で言われる「戦艦を出し惜しみした」は
単純にそうとは言えないのでは?と個人的には考えます。
陸奥は速力不足で艦隊の南下についていけず
結局後退してるね
>>475 >473-474
>この時の2F旗艦は愛宕のままです。
>そして陸奥は1F2S。
ありゃ、そうだったか、スマン勘違い。
>単純にそうとは言えないのでは?と個人的には考えます
ですね。>474氏もレスしてますが、この影の薄さはどうしてなんでしょうね。
>476で答えが出ているようですが…後年、長門が第一機動艦隊の本隊二航戦に付いていったのが
どうも解せない、S17当時の2Fの用兵と、S19の用兵が違っていたからかもしれないけど。
478 :
GF長官:2009/02/13(金) 22:00:24 ID:???
>>471 上に立つ人というのは、何をやっても叩かれるんですよねぇ。
やれ漢字が読めないだの、ホテルのバーは贅沢だの・・・
>>473 陸奥ですか。
確かに
>>474の通り影が薄いですよね。
ガ島砲撃や第三次ソロモン海戦に参加していれば、こんなことには・・・
と思ったら、第二次ソロモン海戦に参戦していたのか(
>>475)
>>475 ご指摘有難うございました。気が付きませんでした。
wikiにも「瑞穂は太平洋戦争で初めて戦没した軍艦となった」とありますね。
初代艦長(艤装員長)は青木泰二郎大佐。ミッドウェーでの赤城艦長です。
これも何かの因縁か。
>>476 そうですね。『戦史叢書』には、
「前進部隊が南下し機動している間、同隊の陸奥は前進部隊の行動に随動
し得ず、第二駆逐隊護衛の下に後方に残った。空母を中心に機動する作戦
においては、低速戦艦は既に作戦上の要求に適合しなくなっていた」
低速戦艦ですか。「ビックセブン」の一翼を担ったのになぁ。
米新鋭戦艦は別にして、それまでの戦艦の中では優速な方何だけどねえ。
米戦艦の速力を見ると21ノットとか平気であるし、英国戦艦も似た様なもの。
むしろ、空母戦術と共に、近代海戦の形式に追いつけなくなったって事ですな。
最低16ノット、18ノット、最大戦速で24ノット、戦闘中は全速、 確かにキツいと思う。
飛鷹は次々変わる速力変更で機械が故障する始末だし。
480 :
GF長官:2009/02/13(金) 22:33:43 ID:???
>>470の続き
米攻撃隊の進撃途中、例の索敵機の誤報(
>>331)が発覚したため、母艦より
訂正電が送られてきました。
「先の報告は誤り。日本空母の位置は、南緯10度35分・東経152度36分」
B−17が発見した方の位置(
>>270)を指示している。
ヨークタウンの索敵機報告位置は「南緯10度10分・東経152度27分」です
から、わずかに南東よりか。
レキシントン所属のウイリアム・オールト中佐が、この訂正信を受け取ったのが
0900頃。ほぼ同時刻、MO主隊を発見しています。
どうやら、この連絡は不要だったようですね。
481 :
GF長官:2009/02/13(金) 22:35:42 ID:???
>>480の続き
「彼(オールト中佐)は、日本軍部隊を認めた。
『空母か重巡か、よく分からないな』
『あれは龍鶴タイプに間違いありません!』
後部座席の偵察員が興奮した口調で叫び返す」(『暁の珊瑚海』)
>>35のように、事前の情報で米側は、祥鳳を龍鶴と誤っていた。
そういえば、大相撲に「鶴竜」という力士がいたな。
かつて「把瑠都(ばると)」が登場した時、
「これで『三笠山』という日本人力士と対戦すれば、日本海海戦の再現じゃないか!」
と一人で盛り上がっていたものです。
時津風(駆逐艦じゃない方)部屋では、「精神注入ビール瓶」が健在のようだし。
482 :
GF長官:2009/02/13(金) 22:37:14 ID:???
>>481の続き
さて
>>470の通り、米攻撃隊の視認では「空母1隻・重巡2〜3隻・駆逐艦1〜2隻」
ですが、実際のMO主隊は、
空母1(祥鳳)・重巡4(青葉・衣笠・加古・古鷹) ・駆逐艦1(漣)さざなみ
の計6隻でした(
>>17)
当時の陣形は、
C=>
C=>
/
(1500m)
/
D=> 祥鳳=>
\
(1500m)
\
C=>
C=>
483 :
GF長官:2009/02/13(金) 22:37:59 ID:???
>>482の続き
『暁の珊瑚海』によれば、
青葉(祥鳳の30度方向)・加古(130度)・漣(180度)・古鷹(230度)・衣笠(330度)
一応、輪型陣を形成しています。
たとえ沈められるのが定めだったとしても、一矢報いてから、一機でも多く敵を道連れ
にして・・・浪の下にも都の候ぞと、千尋の底へぞ入り給ふ
いざ、対空戦闘用ー意!うちー方始め!
484 :
GF長官:2009/02/13(金) 22:56:06 ID:???
>>479 全く。『戦艦入門』(佐藤和正/著)によれば、
昭和6年(改装前)の長門の最大戦速は26.5節。
当時にビックセブンと比較すると、
米(メリーランド級)が21節、英(ネルソン級)が23節と
ズバ抜けた「高速戦艦」だったことが分かります。
これは軍機密とされ、公表速度は23節とされていた。
ただ専門家が艦型を見れば、それが嘘だと分かるらしく、『ジェーン海軍年鑑』
には、「26節は出るはず」という記事もあったとか。
関東大震災の時(大正12年)、帝都へ急行する長門の後ろを追跡した英東洋
艦隊旗艦・巡洋艦プリマスが実測し、バレてしまったという挿話がありましたね。
>>477 単純な話、長門型では第二艦隊に追随しきれないから、速力が同等の二航戦の護衛に回されてるのよ
なんでマリアナ沖海戦の終盤、6月20日に第二艦隊を主力に米艦隊へ夜戦を挑むべく遊撃部隊が編成されるんだけど、
一航戦の護衛に付いていた五戦隊と十戦隊、二航戦の護衛に付いていた最上はそこに合同命令が出されたものの、
最上と一緒に二航戦の護衛に付いていた長門にはここでもお呼びはかからず仕舞い
>>485 なるほど。 しかし空母を戦艦で守るってのをもっと徹底して欲しかったな
同行出来なくても後続していれば発艦作業中の空母に追いつけるかもね。
同じ海面に戦艦がいれば空母の避雷針ぐらいにはなる。
長門陸奥の対空砲火には期待できないけどw
そこで、対空戦艦という方法を。
ただ、復元力や射撃管制の面で難しそう。
>>487 その海域の風量・風向き次第だけど発艦作業してる空母には引き離される場合の方が多いと思うがなあ
あと、日米両軍とも戦艦は空母に同行させるよりも、敵空襲の吸収と航空戦終了後の敵部隊補足撃滅を兼ねて距離を取って前衛に出してるケースが多いけどね
490 :
GF長官:2009/02/14(土) 19:36:55 ID:???
>>483の続き
祥鳳の搭載機数は、零戦10・九六艦戦4・九七艦攻6の計20機(波スレ
>>657)
少ない機数でどう対処するか、艦長伊沢石之助大佐の腕の見せ所です。
491 :
GF長官:2009/02/14(土) 19:38:20 ID:???
>>490の続き
この朝の祥鳳の動きを振り返っておくと、
0515 戦闘準備完整
0520 艦戦4・艦攻1発進(船団の上空警戒)
0630 青葉より敵機動部隊発見情報を受信(
>>362)
艦攻雷撃準備開始
0700 輸送船団反転
492 :
GF長官:2009/02/14(土) 20:05:56 ID:???
てすと
493 :
GF長官:2009/02/14(土) 20:07:52 ID:???
「やはりあなたは投稿し過ぎです」と警告されてしまいました・・・orz
しばらく様子を見ることにします。
>>493 バイバイさるさんデスね。
間に誰か入ればいいんですよねレスが。
GF前衛支隊に全力入れてましたのでGF本隊に合流します。
>>487 >長門陸奥の対空砲火
長門は20日の対空戦闘で隼鷹に貸しを作ってます。
主砲で隼鷹にジャストミートな射点に位置しようとしていた雷撃機を撃破。
同じく主砲により隼鷹に続いて急降下爆撃を開始しようとしていたSB2Cを数機撃破。
長門の乗員は、海戦後隼鷹の乗員から感謝されてます。
実は二弾目は煙突を吹っ飛ばした次の隊。
496 :
名無し三等兵:2009/02/15(日) 01:56:22 ID:rw5JBRNp
どうにもマグレにしか思えないな。
高角砲4基8門で、それだけの戦果は期待値として求めにくいだろう。
戦を決めるのは天佑だろうけど、作戦は緻密な計算で立てるべきだろう。
ゆえに戦艦は囮にはなり得ても空母の護衛としては使えるとは言えない。
燃料や人員等の運用コストを別にするなら、
対空火力で戦艦以上の能力を持つ艦艇は、
日本海軍にはさして存在しないんだが。
>燃料や人員等の運用コストを別にするなら
使えるかどうかの話なら、運用コストを考慮しないっていうのはいかんやろ?
>>497 コストは考慮して当然だろ。
無視してよいなら全戦艦で空母をぐるりと囲ってしまえばいいからな。
>>498-499 コストと言っても戦局や運用思想における相対的なものだと思いますよ。
逆質問になりますが、では日本戦艦は空母機動部隊には不用、という考えも有りですか?
コスト云々となると金剛型(ある意味中途半端な存在)も大差無いかと。
それとも日本戦艦には、より適する用途があるでしょうか?
個人的には、戦艦は完全解役して船体は放置、人員、器材を他に回すのも
一つの選択肢かなとは考えますが。
>より適する用途があるでしょうか?
横レスだが、用途を考える柔軟な思考が欠落していたのではないか。
戦艦は主兵ではなかったが、決して無用ではなかった。
問題は、どう運用するかの研究。 砲戦が成立しないのなら、
機動部隊に随伴させる場合の戦艦の艤装や装備や運用(役務)の
研究が行われるべきだったが、それは殆ど考慮されては居ない。
ただ、艦隊決戦、空母で一撃を加え、戦艦で叩く。
開戦から敗戦まで、この線から一歩も外れなかったのが日本海軍。
空母の横で頑張って弾幕を張るだけでも相当な効果があると思う。
エンガノ岬沖海戦では、既に通常の機動部隊戦ではなかったし、
航空戦艦の伊勢日向もおのおの自艦を守ることを優先したかも知れないが
その対空防御戦術は卓越していた。
そこまでの柔軟な運用が可能であった日本戦艦である以上(対空兵装強化仕様ではあるが)、
もっと早くそういう風な位置に占位出来るよう、研究を進めるべきだったと考える。
>>501 >機動部隊に随伴させる場合の戦艦の艤装や装備や運用(役務)の
>研究が行われるべきだったが、それは殆ど考慮されては居ない
第三艦隊編制時にされてますが?
>ただ、艦隊決戦、空母で一撃を加え、戦艦で叩く
>開戦から敗戦まで、この線から一歩も外れなかったのが日本海軍。
それになにか問題でも?
米国海軍も対戦中盤以降に同じ手法を採用しているんだけど
>>502 空母至近においての直接護衛と前衛に出しての敵攻撃吸収を期待しての間接護衛の得失を考慮した上で
ミッドウェー以降の日本海軍は戦策として機動部隊において空母の直援を重視しなかったわけで
(ただし戦艦に限った話ではないけど)
第二次ソロモン海戦や南太平洋海戦の結果を見ても、この戦策が強ち間違っていたとも思えないけどね
イフの話で、さらに武装や運用までイフを広げると収拾つかなくなるよ。
もとは「陸奥は影が薄い」だしねw
南太平洋海域での作戦で、当時のままの戦艦が活躍するには
やはり「砲台」としてしかないだろうね。
機動部隊が健在なうちに、エアカバーのもと積極的にガ島へ殴り込めばよかったのに。
陸軍1個師団の砲力は、重巡にも及ばない。
ドイツ海軍の重巡がソ連軍に艦砲射撃をして後退を助けた事例は賞賛されていいと思う。
>>504 10月13日に第3戦隊が、10月12日と14日に第11戦隊がしてるじゃない
それ以外のタイミングでは機動部隊が戦力消耗してしまっているか、後方で補充中か、敵機動部隊と対峙してる状況なので
機動部隊がガ島への挺身攻撃隊に十全のエアカバーを掛けるのはちょっと無理だね
だから、機動部隊どうしが対峙している場面でガ島に乗り込めばいいんだよ。
米空母が陸奥(他)を叩けば日空母はノーマークになる。
>>507 ヘンダーソンからの空襲で叩かれてお終いになるだけですな
509 :
GF長官:2009/02/16(月) 21:24:04 ID:???
>>494 有難うございます。
発言の原稿も出来上がって、あとは「書き込む」をクリックするだけという状態で
「規制」がかかると、不完全燃焼でイライラしてしまいます。
真珠湾出撃前の作戦会議での南雲長官を思い出す。
山本「日米交渉妥結すれば、機動部隊は即時に引き揚げよ」
草鹿「攻撃隊が発進した後だったら、どうしますか」
山本「同じだ。攻撃途中であっても帰って来てもらう」
南雲「長官、それはち無理ですぞ。発艦した搭乗員に魚雷を海に捨てて
戻って来いとは、指揮官としては口が裂けても言えません。士気に
かかわることですからな」
草鹿「それに、艦攻や艦爆なら電信員がいるので受領できるでしょうが、
単座の戦闘機は無理でしょうな」
南雲「出しかけた小便は、やめられませんぞ」
山本「いいか、南雲も草鹿もよく聞け。百年兵を養うは、一日の用に当てる為だ。
GF長官の命令に従えぬという者は、即刻辞表を出せ!」
南雲長官の絶妙な(?)喩え話に、同席した塚原二四三中将は、くすりと笑った
とか。あまり品は良くないですがね。
510 :
GF長官:2009/02/16(月) 21:34:36 ID:???
分派スレから「異常な雰囲気」と言われてしまった本スレであります。
このように特化したスレがあっても良いですよね!
とりあえずは、同スレタイが2つある現状を打開したい。また燃料を投下するかな。
またしても規制にかかったようなので即時待機。すみません。
麾下将兵の書き込みを待つ。
>>509 > 南雲「出しかけた小便は、やめられませんぞ」
その台詞は南雲が言ったわけではない。
GF南雲部隊 支隊前衛部隊は本隊の全路索敵の本務を遂行するものなり。
>508
ところがどこい、南太平洋海戦以後も続いた小規模な餓島砲撃や輸送
ニューギニア北岸への上陸作戦(ウェワク)では二航戦の角田中将(進級)が
空母隼鷹と二航戦艦載機(再編)を用いて支援している。
>507
実は金剛榛名の餓島砲撃は2Fと角田部隊(隼鷹)がぎりぎりまで護衛し
南雲部隊本隊は全般支援、ラボールの11航艦は連続餓島空襲を行っている。
その流れで南太平洋海戦が生起しているんだ、詳しくは奥宮の機動部隊で。
>509
>「規制」がかかると、
ばいばいさるさんはどうにもなりませんw
基本的にシステムはレス時のスレの人口が少ない(ツッコミレス)と簡単に発動します。
大昔は、エラい緩かったつうか無かったのですが(某板では過去(2003年)8連投まで可能で
10分沈黙8連投可能)まーしょうがないかと。
>>511 むしろ、トラトラトラか連合艦隊司令長官山本五十六何れかの映画ですな。
>>503 >第三艦隊編制時にされてますが?
理解してますけど、陣形としては効果的ではなかったと理解しております。
その後も陣形についても同じと思います。マリアナ沖開戦時の陣形は
MI作戦時の本隊と機動部隊を逆にしただけと言う感じもしないでもない。
勿論私論ですが。
>それになにか問題でも?
根幹の所であった、米国は機動部隊の艦載機の完全なる制空権下での戦艦の利用を考えて
戦艦の砲力を存分に使用出来るよう編成が組まれて、その運用術も進化していたが
日本海軍は、機動部隊の艦載機での完全なる制空権奪取を指向したものの
機材の不足、搭乗員練度の低下、対潜能力、いずれも不安があり
その計画の大きさにもかかわらず、実態はお寒い限りであったと言う点で、
問題があったんじゃないかなあと思ってます。
>米国海軍も対戦中盤以降に同じ手法を採用しているんだけど
です、しかし、米軍は正規空母部隊と共に、戦艦部隊(砲戦部隊)に護衛空母をしっかり付ける
配慮をしています、物量の差でしょうが、日本海軍も低速空母をシーレーン用の護衛空母にするか
戦艦部隊を腐らせず(油が無いのは解りますが)護衛空母部隊
(航空戦隊を編成するまでに至っていない)+戦艦という編成まで
踏み込むべきだったかもと思っております。
>>512 その二航戦の航空支援下でガ島向けの輸送がまともに成功してたっけ?
11月頭くらいまでの駆逐艦を主力にした軽快艦艇を用いた夜間輸送は成功したものの輸送量は微々たるもので、
第3次ソロモン海戦以降になると輸送船団だけでなく輸送に従事する艦艇も航空攻撃によって多くの被害を受けてるようになり、
12月頭にはGFがガ島向けの駆逐艦輸送を打ち切られてる訳で
そんな状況下のガ島近海に陸奥を送り込んで無事で済むとはとても思えないんだけどなあ
もちろん攻撃を吸収する囮として使用するというなら有効かもしれないけど
>>515 餓島の輸送作戦については成功したものも有れば失敗したものもあるので一概に言えないが
餓島の米軍飛行場が活発に活動を始めた頃から被害が累増している。
また、輸送自体夜間だったしな。 昼間の強行輸送になると11航艦の上空直衛が付いたりしている
10月以降になると、ヘンダーソン飛行場も更に強化され、危なくていけなくなったのは事実。
だから時期による。 早い段階で投入しておればそんなに損害が出るとは思われない。
むしろソロモン方面の海図の不備から(新しいのでも1900年頃のしかない)、
いきなり座礁という危険が高いと思う。 実際そういう事故は潜水艦では結構起こっていたような。
しかし、餓島撤退後の輸送作戦では大体成功している。
ウエワク攻略で二航戦は敵制空権下で作戦したけど、護衛の任を無事果たして
兵員、重量物すべての楊陸を完了している。 ただし、ウェワクは距離的にラバウルに近いし
一概に言えないのが辛いところかな。
>>516 >だから時期による。 早い段階で投入しておればそんなに損害が出るとは思われない。
夜間に突入して戻ってこられるだけの高速を出せる船ならね
基本的に輸送作戦が成功しているのは夜間に到着して揚陸を実施できた場合ばかり
それが出来なくて昼間航行・揚陸を強いられた場合は、かなりの損害が出てるよ
だからこそ、兵員輸送が早々に夜間の駆逐艦輸送に切り替えられているわけで
●昼間航行で損害をうけた例
8月24日:第二次ソロモン海戦と平行して実施された一木支隊の第二梯団→空襲で損害を出し輸送中止・反転
8月28日:ガ島向け第一次増援船団→空襲で損害を出し輸送中止・反転
9月上旬:川口支隊の舟艇機動隊→部隊の2/3を喪失
9月21〜24日:第19、第24駆逐隊の輸送作戦→夜間ながら月明で敵空襲を受けて物資の一部揚陸で輸送中止・反転
10月12日:輸送隊(日進、千歳)の擁護作戦→空襲により駆逐艦2沈没
10月15日:ガ島向け第一次高速輸送船団→船団壊滅
>しかし、餓島撤退後の輸送作戦では大体成功している。
ソロモン方面向けの輸送作戦の成功率は褒められたものじゃあないと思うけどなあ
ニューギニア方面でも11月9日のブナ輸送、11月24日のラエ・サラモエ輸送、
11月29日以降に実施の混成第2旅団の第一次、第二次輸送、43年1月1日以降のラエ向け18号作戦と、
こちらも失敗例の方が多いと思うんだけど
ダンピールの悲劇か。
>>517 >10月15日:ガ島向け第一次高速輸送船団→船団壊滅
これを成功させる為に、金剛榛名の挺身隊がいったんだが、実に残念な結果に。
戦闘機隊も居たものの力及ばずと言う事で。
>518
大体じゃなかったな、大体失敗しているだな。
だが空母と強力な飛行隊が護衛にはいると、敵の制空権下且つそれなりの攻撃を受けても
輸送は可能だと言う事は忘れてはいけない。
ただし、いろんな面で技術と周到な計画があって初めて成立する話だけど。
ダンピールは18号作戦の後、3月に実施された第81号作戦の方
うい、流石に多いな。ソロモン・ニューギニア方面だけで十分人生潰せる量だ。
>>520 だからさ、その空母とその母艦航空隊が揃ってフリーハンドを得られる時期がガ島戦が始まって以降の42年中にそう何度もあったっけ?
それこそ、その少ない機会があった時には、ちゃんと第3戦隊や第11戦隊がガ島攻撃を実施してるわけで
話しが噛み合わないと思ったら、一般論と餓島の一時期が混在してたんだ。
>523
>その空母とその母艦航空隊が揃ってフリーハンドを得られる時期が
>ガ島戦が始まって以降の42年中にそう何度もあったっけ?
ほとんど無かったと言っていい。 だが私が言っているのはそれらの闘いから得られた戦訓だ。
>その少ない機会があった時には、
>ちゃんと第3戦隊や第11戦隊がガ島攻撃を実施してるわけで
>520にも書いたが、三戦隊の餓島挺身攻撃は、餓島守備隊への輸送強化の為
派出される輸送隊の間接支援であり、それに基づいて三戦隊戦艦二隻の砲力で、
餓島の所在の飛行場を一時的に使用不能とし、同時に飛行機もろとも潰すというものだったと理解している。
だが、挺身隊が突入したときには、既に第二飛行場が出来ており、翌日から活動を再開した。
問題は所在部隊が第二飛行場の完成を知らなかった為であり、別段三戦隊のせいではない。
しかし、私が述べているのはそれらから得られた戦訓から導き出された話だ。
南雲忠一への再評価も似た様なものではないかなあと思っている。
当時の状況から考えて、いろいろ面倒くさい縛りの中、彼は限られた兵力で
困難な任務をやり遂げた部分は評価されてもいいと思う。
当時の南雲の心中を察するのは難しいと思う。
空母を失ってはいけない、でも敵空母を叩け、でも同時に餓島海域の航空支援もよろしく。
南雲の第三艦隊に重荷を背負わせすぎた感じはある。
少しだけ陸奥の影が濃くなったと思ったが、たちまち消し去られたようにもあるw
一般論を話す流れだっけ?
話の大本は
>>504-508だと俺は理解してたんだけどな
だから有意な行動として母艦航空隊の支援の下でガ島へ戦艦(陸奥)を送り込めるか否か?
と言う問いに対してNOと言っていたわけで
しかし大型戦艦というのは停泊してても油を食うワケだろ?
だったら打って出るほうが得策じゃないか?
トラックあたりで雪隠詰めになるよりは。
>>527 >母艦航空隊の支援の下でガ島へ戦艦(陸奥)を送り込めるか否か?
Yesだ。
角田が海戦後意見具申している。
金剛榛名を使用するまで考え方や思い切りが良くなったが、
惜しいかな、戦果を拡充するには至っていない。
それは戦艦が夜の間だけ砲撃してさっと離脱するからである。
せっかくここまできたのだから、いっそうのこと翌朝もそのまま餓島沖にとどまり
砲撃を加えてはどうか。 もし敵機が飛んできても少数であろうし、
そのときの攻撃目標は痛い目の戦艦であろう。
そうすれば輸送船が楊陸作業する時間の余裕も出来よう
またやるのならば、今度は金剛榛名ではなく、もっと砲力のある長門陸奥を使ったらどうか。
そして我は母艦を率い戦艦の横にくっついて、餓島沖を遊弋し、戦艦の上空直衛と弾着観測
そして航空機による飛行場の反復攻撃をやる。
に対して、連合艦隊の意見
「お説ごもっとも、しかし他にも似た様な意見を言ってくる人も多い
だが、その者達の大半は航空屋さんであり、理想論の域を出ていない。
戦艦は海上戦力の主兵であるから、戦艦はここぞと言うときに使用するよう努力する。」
報告を受けた角田司令官は怒髪天をつき「ワシが直に長官に言って実現させる」と言うと
連合艦隊の某主計参謀が「実は…燃料が足りないのです。」
結局
>>528の問題に戻る訳で。
積極性を尊び、見敵必戦の権化、角田は自他共に敵制空権下の海上で
作戦出来る度胸も技術も作戦能力もあった人だからな。
勿論、陸奥と隼鷹と母艦航空隊潰して、餓島飛行場を占領のバーターになるけどな。
どちらが良かったかは、もはやifsの世界。
タバコが切れた、我待避す。
>>531 金剛榛名の挺身攻撃すら、生還の見込み無しと言われましたが。
六戦隊青葉がが闇夜、突然攻撃を受け初弾が艦橋に命中。
五藤存知以下幕僚が戦死。
これがあったから。
>>531 >成算の見込みのない作戦を行うのは無謀以外の何物でもない
小澤のアウトレンジ攻撃ですね分かります。
>>509 > 草鹿「それに、艦攻や艦爆なら電信員がいるので受領できるでしょうが
無線機の性能云々の発言は南雲長官では?
>>534 > 小澤のアウトレンジ攻撃
ほとんどの人間が成功を確信していたじゃん
それを言うとほとんどの人間が戦争での勝利を確信していたな。
>>535 隊長機が受領すれば後は発光信号でおk
まあ、一波艦爆隊の隊長は見落として、強襲と誤認したんだが。
渕田曰く「高橋はちょっとおつむが弱いねん」
539 :
GF長官:2009/02/17(火) 21:28:26 ID:???
>>511 そうでしたか、すみません。
一応出典は、『波まくらいくたびぞ』です。
『山本五十六』にも同じ場面が出てきますが、誰の台詞かは書かれていませんね。
>>512 支援感謝します。本日より戦線復帰。
>>513 調べてみましたが、『トラトラトラ』では南雲長官は無言のままでした。
『山本五十六』の方かもしれません。
>>535 『波まくらいくたびぞ』では草鹿参謀長の台詞となっていますね。
>>538の通り、「単座の戦闘機は艦攻や艦爆と同行しているときなら、手信号でも
引揚げられますが、問題は天候不良などの原因で分散したときです。そのまま
敵地の上空に到って、空戦を行ったり、地上を銃撃したりという可能性はあると
みなければなりません」とあります。
540 :
GF長官:2009/02/17(火) 21:31:44 ID:???
541 :
GF長官:2009/02/17(火) 21:32:57 ID:???
>>483の続き
祥鳳の搭載機数は、零戦10・九六艦戦4・九七艦攻6の計20機(波スレ
>>657)
少ない機数でどう対処するか、艦長伊沢石之助大佐の腕の見せ所です。
この朝の祥鳳の動きを振り返っておくと、
0515 戦闘準備完整
0520 艦戦4・艦攻1発進(船団の上空警戒)
0630 青葉より敵機動部隊発見情報を受信(
>>362)
艦攻雷撃準備開始
0700 輸送船団反転
0808「敵空母ハ飛行機ヲ発艦ノ如シ」(衣笠水偵・続報)
艦戦発進準備を進めるも、急速発進の見込み立たず
0830 艦戦3機発進
0850 敵機15機以上発見
この後
>>469に続きます。
542 :
GF長官:2009/02/17(火) 21:33:51 ID:???
>>541の続き
「敵機動部隊発見の報に接して、直ちに艦攻の雷撃準備を開始したが、まだ
その準備が終わらないころに、衣笠機からの敵空母飛行機発艦の報(0808)
に接した。
祥鳳は全飛行機の発進に努めたが、上空警戒機の収容補給と重なって急速
発進の見込みが立たず、0830頃ようやく艦戦3機を発進させたに過ぎなかった」
(『戦史叢書』)
艦攻の雷装を命令したということは、艦攻隊をもって米空母を攻撃する意思は
あったということですね。
しかし、6機でどれだけの戦果が期待できることやら。
それに、護衛の零戦は最大でも10機。
母艦や船団の直衛のためにも残しておかないといけないし。
こうなると、最初から艦戦のみの搭載にして「直衛専用艦」にしておけばという考え
も出てきますが、九六艦戦が混載されるような状況では、それも望み薄だな。
543 :
GF長官:2009/02/17(火) 21:35:35 ID:???
>>542の続き
それにしても、雷撃準備完了までにずいぶん時間がかかっているように思います。
最初から、雷装格納庫待機ではなかったのか。
対潜哨戒・前程警戒機の交替用に雷装はしていなかったのかな。
これには、祥鳳がまだ竣工して5ヶ月程しか経っておらず、しかもこの間の任務と
言えば、飛行機輸送のため、トラックやラバウルと内地を往復するくらいしかして
いなかったことを考慮に入れなければならないでしょう。
実戦は無論、まともに戦闘訓練をする余裕もなかったのでは。
祥鳳が五航戦と行動を共にしなかった理由に関しては、(波)スレ
>>657で紹介し
ましたが、仮に実現したとしても、ほぼ「素人同然」の軽空母と、歴戦の五航戦とが
合同訓練を一度も行わずに、実戦で通用するかは心配ですね。
直衛任務のみだったとしても、母艦との通信等で色々混乱が起こりそう・・・
思うに任せず、結局93機の米攻撃隊に対するのは、九六艦戦(!)3機という、
まさに「多勢に無勢」。
六戦隊の対空砲火を集中し、回避運動に徹するしかなさそうだ。
とりあえず長官、「いよいよ、今日の“その時”がやって参りました」禁止ね。
>>539 >『トラトラトラ』では南雲長官は無言のままでした。
私感ですが、トラトラトラは、そのシーンで終わっても良い出来でした。
全てが終わって全てが始まったって感じでしょうか。
>540
了解 次スレは ”南雲中将を評価するスレ 雑談第一支隊”とでもして見ましょうか。
支隊スレの方で聞いてみます。
ばいばいさる回避
当時の搭乗員(特に操縦手)は緊縛プレイ状態。
当時の搭乗員が飛行任務に就く際は、「通常の服装」の上に「飛行服を着て」
その上から「救命胴衣」を胸の周りに付け、更にその上から「落下傘を付けた」後に
操縦室の座席に座り、座席に付いているバンドを全身に括り付けねばならなかった。
特にバンドは縛り付けるという表現が適当で、とにかく操縦室から吹っ飛ばされないようにしていた。
単座戦闘機の場合は、以上のような状態で発進し、操縦を行い、敵と出会えばその状態で戦闘を行う。
艦爆や艦攻などの場合は三座二座であるが、その場合も操縦士の固定状況はほぼ変わらないが
昼間席や後席にいる者はある程度楽な姿勢を取ることが出来た。
何れにせよ、搭乗員は、言った母艦から飛び立てば、再び母艦に帰投するまで
その様な窮屈な姿勢でおらねばならなかった。
源田が言った有名な話で「母艦搭乗員が実力を発揮する為、
敵に到達するまでの有効な飛行時間は1時間から1時間半である」という元はここに由来する。
つまり、搭乗員は相当加負荷の掛かった姿勢で操縦を行うので、
どうしても長時間飛行になると、その姿勢のみならず、バンドの固定、装備した服装装備が
負担になってくるのである。
アウトレンジ攻撃の場合は三時間以上その様な姿勢を保ったまま
航法、索敵、警戒、そして戦闘、その後の離脱、帰投(三時間)を行う為
技量以前に、体が付いていかないのである(人間工学的に)
単に長距離飛行の出来る機材があったにせよアウトレンジ攻撃が強行出来にくい理由がここにあった。
これからみなさんが思うことはおそらく「エコノミー症候群」であろう。
更に、シートベルトもあろう、しかし、少なくともその両方とも、
当時搭乗員が強いられた座席への固定という負荷には及ばない。
当時の搭乗員がどういうに飛行機に乗って、その負荷がどのくらいであったか?
これについて述べた本は実にまれである。
×昼間席
○中間席
×言った母艦から飛び立てば
○一端母艦から飛び立てば
×どういうに飛行機に乗って
○どういう風な姿勢で飛行機に乗って
流石に誤字だらけスマヌ。
源田参謀の「艦載機に限らず陸上航空隊搭乗員達が必要とする、
適度なウォーミングアップの時間は、1時間から〜」の意味はこれって事。
勿論一式陸攻等大型機の場合は多少違います。
単座になると、その窮屈な姿勢で航空図版に位置書き込んだり、飯食ったりw
見張りしたりするわけです。 あの珊瑚海海戦のムービーで、某パイロットが
首を忙しく動かしていたのはその為です。足と手と首以外は、ほぼ固定されて動かない訳ですから。
また、この固定がなければ戦闘機の場合は急速な機動が出来ません(風防突き破って外に放り出される)
それと、被弾した時脱出が遅くなる原因にもなりました。 零戦は特に被弾即火災の場合が多かった為
何も出来ずに機と運命を共にした例も多々あったと予想されます。
戦争末期になると、あまり固定をせず攻撃に向かった為、特攻時機体から振り落とされて
機体が先に海上に激突した後、搭乗員(生死不明)がその少し後同じ地点の海上に墜ちると言うこともありました。
548 :
GF長官:2009/02/18(水) 21:14:36 ID:???
>>544 禁止されてしまった・・・>「いよいよ、今日の“その時”がやって参りました」
あの名台詞は、一度は使ってみたいと考えていました。
当初はミッドウェーでの三空母被弾時の予定でしたが、番組自体が来月で終わる
らしいので、急遽前倒し
>>462 >>546、547 詳細な情報感謝します。
ガ島への往復は、想像以上の重労働のようですね。
549 :
GF長官:2009/02/18(水) 21:17:29 ID:???
>>545 宜候。
[聯合艦隊機密第二番電]
発:GF長官
宛:GF
本文:今後本隊内ニ於テハ、雑談スレヲ「支隊スレ」ト呼称ス
早速、支隊スレにてスレタイ募集が始まったようです。皆様ふるってご参加を。
550 :
GF長官:2009/02/18(水) 21:27:09 ID:???
>>549の続き
ちなみに「南雲忠一中将を再評価するスレ」というスレタイを決める際、参考に
したのが、「今あえて大艦巨砲主義を再評価するスレ」(少し古いですが)
「南雲忠一中将」と「再評価」という語句を入れることは決定済みでしたので、
すんなり決まりました。
帝国海軍や諸外国の艦艇を擬人化して、寸劇を生み出す名作スレでしたね。
例えば、こんな感じ・・・
[沖縄水上特攻作戦にて、魚雷攻撃を受けて沈没寸前の駆逐艦朝霜]
朝霜「大和さん。ぼ、僕もう沈みそうです」
大和「で、何か?」
朝霜「その三連装46糎主砲塔を一基捨てて、僕を積んで助けて!」
大和「いや、これは私の主力兵装だから・・・」
朝霜「主力って、大して役に立ってないじゃないっすか」
大和「えーい、わがまま言う奴はこうしてやる!」(15.5糎副砲斉射)
朝霜「ぐがっ、やっぱ46糎砲って要らないじゃん・・・」(絶命)
そういや、あずまんがネタがよく出てきてたな。
551 :
GF長官:2009/02/18(水) 21:46:03 ID:???
>>543の続き
>>282の通り、米攻撃隊は「分散進撃」ですから、「祥鳳発見」にも時間差がある。
最初に現場海域に到達したのは、VS−2のSBD10機(ウイリアム・オールト中佐指揮)
ほぼ同時に、VB−2のSBD18機(ウェルドン・ハミルトン少佐指揮)も発見。
この計28機のSBDが第一波となり、0910時より攻撃開始。
まずは、母艦直衛の九六艦戦3機が邀撃に向かう。
その中の一機、石川四郎二飛曹の手記によれば、
「私の目の前を逆おとしに母艦めがけて急降下して行く敵機がいた。攻撃開始
である。私は夢中でその急降下爆撃機を追った。しかし零戦ならまだしも、一
時代古い九六艦戦では追いつかず、ついに逃げられた」
これは、まぁ仕方ないでしょう。
552 :
GF長官:2009/02/18(水) 21:47:21 ID:???
>>551の続き
それでも彼らの奮戦により、なんとか一機を撃墜成功。
続いて、対空砲火射撃開始。これでもう一機撃墜。
残り26機が祥鳳目掛けて投弾します。
当時祥鳳に配属されていた、宮村文雄報道班員の目撃談ー
「水柱がいくつも祥鳳のまわりに立つ。敵弾はいずれも舷側に落ちている。
艦の高角砲・機関銃が一斉に火を吐いて、耳にビンビン痛いほど響く。敵機は
祥鳳を襲ったついでに青葉をかすめ、機銃掃射をかけては去って行く。
各艦の撃ち出す砲弾は空一杯の弾幕となって、悲壮な修羅場と化した」
「鉄の雨」とはよく使われる比喩ですが、艦砲射撃とは異なって、弾道が目視
できるだけに、恐怖感倍増でしょうね。
553 :
GF長官:2009/02/18(水) 21:48:27 ID:???
>>552の続き
しかし、これらの500ポンド爆弾は全て外れてしまいます(伊スレ
>>976)
「なぜレキシントン隊が軽空母一隻の攻撃にてこずったのか。その原因に
ついて、『米海軍大学校研究』は手厳しい診断を下している。指揮官とは、
もちろんオールト中佐を指す。
『攻撃にあたって、最初に指揮官自身が突入したことは賢明な行動とは
いいがたい。彼の役割とは、何も率先して攻撃に加わることではなくて、
目標の選定、協同攻撃のための戦術的指揮をとることにある』」
(『暁の珊瑚海』)
本職としては、伊沢大佐の操艦伎倆に拍手を送りたい。
続いて、艦長は驚くべき決断を下します。
「風上に立て!」
風に立て〜
風立ちぬ〜
556 :
GF長官:2009/02/19(木) 22:00:36 ID:???
今は秋〜♪
>>553の続き
米第一波攻撃終了直後、伊沢艦長は飛行甲板上の零戦に発進を命令。
「誰もが決断を促すように、伊沢艦長の口元を見つめた。
小休止の合い間をぬって艦上に待機中の直衛零戦3機を発艦させるべきでは
ないか。危険は大きいが、このままでは空母祥鳳の命は危うい。だが、第二波
攻撃直前に、艦を風上に直進させるのは無謀といえた。全機を発艦させるまで
に艦は左右に身動きすらできない。
『風上に立て!』
伊沢大佐がはっきりとした口調で命じた。米軍機の空襲を前にして、その危険な
賭けに挑もうというのである」 (『暁の珊瑚海』)
557 :
GF長官:2009/02/19(木) 22:02:43 ID:???
>>556の続き
本日一番の名場面に勝手に認定。
「仮想戦記の章」(呂スレ
>>90)では、ミッドウェー海戦で0700時から13分間で
第二次攻撃隊63機を発進可能かと考察しましたが、まさか本当に実行した艦長
が居たとは・・・
もう消されてしまいましたが、『激闘!珊瑚海海戦』や『激闘!南太平洋海戦』
にも、零戦の発艦場面が登場します。
それによると、チョークを外してから離艦まで5,6秒といったところ。
零戦(増槽なし)3機の緊急発進なら1分とかからないかな。
このあたりは、分秒を争う空母戦ならでは。
切迫した状況で、有無を言わせず決断を迫られる指揮官の苦悩がしのばれます。
あとほんの数分、米攻撃隊第二波の到着が早ければ発進作業途中に被弾し、
「敵攻撃隊を目の前にしての発艦作業など、無謀の一言に尽きる」と酷評されるん
でしょうからね。
558 :
GF長官:2009/02/19(木) 22:05:37 ID:???
>>557の続き
艦上機の発進手順を確認しておきますと、母艦を風上に立てるのは、発艦に必要な
合成風力を得るためです。
通常は、約14m/sと言われています。
14m/s=50km/h=27ktですから、無風状態ならば27節を出さないと発進は
不可能。祥鳳の最大戦速は28節だから、ギリギリですね。
機動部隊が30節以上の高速艦で構成される理由がよく分かります。
海上で無風ということはまずないでしょうから、通常はだいたい25節くらいでしょうか。
14m/sという風力は、かなり強い風ですね。
台風の定義が「最大風速17.2m/s以上の熱帯低気圧」ですから。
甲板上の作業員を保護するため、前部昇降機の前方には「遮風柵」が立てられ、
準備作業を容易にする。
では、どうやって「風上」を知るのか。
実は、防空指揮所に風見鶏があって・・・というわけではなく、飛行甲板前端に
風向表示蒸気孔があり、そこから出る蒸気が艦首尾線に重なるように舵を切る。
記録映像などでお馴染みの場面ですね。
そして遮風柵を倒し、母艦の速力が25節を超えたら、「発進始め」
身軽な零戦ならば、滑走距離は100mもあれば十分でしょう。
ほぼ10秒間隔で先頭機から加速していく。
559 :
GF長官:2009/02/19(木) 22:07:57 ID:???
>>558の続き
自機の順番が来るまで、整備員はチョークをおさえていなければならない。
艦攻・艦爆の場合は、発進の合図を確認して、信管の安全装置を解除する。
すぐ近くでプロペラが回っているわけですから、危険極まりない。
「従って空母が飛行機を発艦させる時は、その終了まで艦隊の作戦針路から
外れても風上に向けて直進しなければならない。着艦作業時も同様である。
これは時として作戦目標とは反対の方向に走らねばならぬこともあり、また、
敵潜水艦に絶好の攻撃の機会を与えることにもなりかねない」
(『ミリタリークラシックス』(8)翔鶴・瑞鶴特集)
この「時として作戦目標とは反対の方向に走らねばならぬこともあり」は、
この後、五航戦が高橋攻撃隊収容時に体験することになります。
560 :
GF長官:2009/02/19(木) 22:09:06 ID:???
>>559の続き
空母の脆弱性は色々と指摘されますが、その中でも「発艦作業中」は最も
無防備な状態です。しかも、敵の攻撃を受けている最中にそれをやろうと
いうのですから、この伊沢艦長の決断は、称賛に値しますね。
伊沢大佐は、この「危険な賭け」に勝利します。
零戦3機発進完了直後、見張員より報告が入るー「左舷前方に敵雷撃機!」
間に合った!続いて、米攻撃隊第二波来襲です。
GF長官!
いつも楽しみに読ませてもらってます☆
敬礼!!!
瑞鶴翔鶴は主機を使わず補機だけで26ノットを出せる。
…そして、今日の「その時」です。
564 :
GF長官:2009/02/20(金) 21:32:34 ID:???
>>561 有難うございます。
当スレは支援艦隊の協力により成立しておりますので。
不審な点はなんなりと。
>>562 そうですね。『ミリクラ』にも、
「すなわち、無風状態での発艦には26ノットが必要であり、これを巡航タービン
使用の最大速力として、5万6000馬力とした」とあります。
さすがは、16万馬力!
>>563 松平禁止令発令中
565 :
GF長官:2009/02/20(金) 22:01:53 ID:???
>>560の続き
ここで米海軍航空隊についても、確認しておきましょう。
米空母は「CV−○○」で呼称される(○○は通し番号)
C=Carrier(空母)、V=Vessel(艦艇)
レキシントンはCV-2、ヨークタウンはCV-5です。
>>282の通り、一隻の空母に四部隊が配属されています。
(1)戦闘機隊(VF:Vessel Fighter)F4F
(2)爆撃機隊(VB:Vessel Bomber)SBD(1000ポンド爆弾搭載 航続距離1160浬)
(3)哨戒機隊(VS:Vessel Scout) SBD(500ポンド爆弾搭載 航続距離1370浬)
(4)雷撃機隊(VT:Vessel Torpedo)TBD(Mk13魚雷搭載)
(註)1000ポンド=454kg、500ポンド227kg
爆弾搭載量は決まったものではなく、両翼下に100ポンド(45kg)を1個ずつ搭載することもある。
Mk13魚雷については、
>>326参照のこと。
つまり、
>>551の「VS−2」は、レキシントンの哨戒機中隊。
「VB−2」は、レキシントンの爆撃機中隊となるわけですね。
ただし、航空隊の数字と母艦の数字が必ずしも一致するわけではなく、例えば、
ヨークタウンは珊瑚海海戦での損害が大きく、ミッドウェーではサラトガ(CV-3)の
航空隊を搭載して出撃しています。
だから、母艦がCV-5(ヨークタウン)にも関わらず、航空隊はVB-3やVT-3となる。
詳しくは
>>238へ。
566 :
GF長官:2009/02/20(金) 22:25:10 ID:???
>>565の続き
見張員が発見したのは、米攻撃隊第二波。
VT−2のTBD12機(ジェームズ・ブレットJr少佐指揮)と、
VB−5のSBD17機(ビル・バーチ少佐指揮)
偶然にも、これが雷爆同時攻撃となります。
分散進撃も侮れないですねぇ。
>>560のように、TBD(雷撃隊)は左舷前方より接近してきたので、祥鳳は「取舵一杯」
すなわち左に舵を切った。
魚雷攻撃に関しては、魚雷の航走方向と並行になるように艦を持っていくことが回避
の基本ですね。これは、被雷面積をできるだけ小さくするため。
真横から魚雷を受けることは、絶対に避けなければならない。
この場合、敵雷撃機の方向に向首することにより、魚雷攻撃をかわそうとした。
567 :
GF長官:2009/02/20(金) 22:26:44 ID:???
>>566の続き
ところが、ブレット隊は祥鳳の左舷前方から右舷前方へと横切り、右舷側から
魚雷を投下した。
祥鳳は左に舵を切り続けている最中ですから、ちょうど右腹をさらす格好になる。
最悪の状況です。
そこで、今度は「面舵一杯」。右に舵を切って魚雷をかわそうとした。
しかしながら、船の場合、特に1万トンを超えるような巨艦では、舵を切っても
すぐには反応しない。
左方向に進んでいた船体が少しずつ右方向に回頭し始める。
その間、一瞬だけ艦が直進状態になる瞬間がある。
ちょうどその時、バーチ隊のSBDが「降って来た!」
568 :
GF長官:2009/02/20(金) 22:27:40 ID:???
>>567の続き
こうなると、もう避けきれませんね。
0920時ついに、1000ポンド爆弾が祥鳳の後部昇降機前方に命中。
後続のSBDが投弾した爆弾も次々と命中する。
さらには、魚雷が右舷後部に命中し、操舵不能。
万事休すー
直衛機増派には成功したが、それをもって完全阻止とはなりませんでした。
569 :
GF長官:2009/02/20(金) 22:38:32 ID:???
>>568の続き
もしも、戦時中に「その時・・・(ry」(N○Kラヂオ)があったら・・・
松平アナ(先代)「今日の解説は、航空魚雷回避の世界的権威、南雲忠一海軍中将です。
提督、今日は宜しくお願い致します」
南雲「うむ。よろしく」
松平「早速ですが、提督はこの伊沢艦長の操艦について、どう思われますか」
南雲「伊沢君はよくやったと思いますよ。ただ・・・もし本職が祥鳳の艦長だったら、このまま
取舵のままでかわしますね。これを『後落させる』と言います」
松平「なるほど。さすがですね〜」
(聴衆の声)
山本「南雲の奴、口から出まかせばかりを・・・」
宇垣「後落って、そんな意味だったっけ?」
黒島「急降下爆撃は回避できないくせに、何が世界的権威だ!」
草鹿「長官、また収録前に酒を飲んだのでは。ろれつが回ってないぞ」
南雲仙子「お父さん、頑張って!」
松平「さて皆さん、いよいよ今日の・・・」
おっと、これは禁止令が出ていたな。自重自重っと。
570 :
名無し三等兵:2009/02/20(金) 23:56:46 ID:ZJgbigP7
>>567>>569 合わせて「今日のその時」となりました。ギルティー!
まあ長官ならやると思ってましたがw
>>565 CVのVは 所謂、地図で表記される Y(飛行場) ←が変化したものと言う説もあるよ。
つか、V=Vessel(艦艇)は初耳です。
CVのV、自分は「翼を広げた鳥のイメージ」だと聞きました。
けっこうアバウトなアメリカなら有り得るかなー、と。
W つうか、ウイングですね。
当時の戦域地図を読むと、基地飛行場を表す、その表記記号は(Y)←実際はVに近い形ですからね。
つまり、海上を航行する飛行場って訳で Career(運送) V(飛行場)でCVとか。
謎がまた増えた。
574 :
名無し三等兵:2009/02/21(土) 03:46:25 ID:LxdI3hvS
長官!
後部から魚雷数本に挟まれた場合(船の左右に魚雷、船と魚雷の進路方向は同じ)
どお回避すればいいですか?
減速したり後進かければいいじゃない
>>574 レイテ沖の大和みたく魚雷とチキンレースしなさい
>>541 祥鳳て雷装の九七艦攻運用できるんだ。
爆装時や索敵任務にしか使えないのかと思ってた。
零戦は開発時の要求から合成風速12m/sで70mの距離あれば発艦できるはずだけどこの条件は正規状態で過荷重だと違うのかな。
艦攻・艦爆だと100mだっけか?
28ktで小型の祥鳳と26ktで中型の隼鷹だとどっちが運用難しいんだろ。
信濃だとボイラーが未完成で20ktしかでなくても紫電改の発艦に問題なかったみたいだけど。
合成風速の問題から母艦機運用に必要な最低速度は24kt位だと思ってたが21ktの大鷹型とかではどれ位まで運用できたんだろ。
578 :
南雲:2009/02/21(土) 16:19:17 ID:???
579 :
南雲:2009/02/21(土) 16:24:23 ID:???
>>569 急降下爆撃を回避できなかったのはワシが操艦していない時だったからな。
ワシなら全弾回避しておる。
相手に合わせて受け身になって回避しようとするから手遅れになるのであって、投弾時にこちらからフェイントをかけて相手の逆をつくのだよ。
艦を横滑り(ドリフト)させて進行方向を錯覚させるとかな。
コンポラ提督www
581 :
GF長官:2009/02/21(土) 17:55:52 ID:???
>>570 こりゃ失敬。
番組終了までに、これだけはぜひやっておきたかったので。
新番組(歴史秘話ヒストリア)では、明治以降は扱わないそうなので、つまらんなぁ。
>>571〜 有難うございます。
出典は『空母ヨークタウン』です。>つか、V=Vessel(艦艇)は初耳です。
アメリカ人が書いたものなんで、信頼できると思っていたのですが・・・
>>577 そうなんですよねぇ。
正規空母でさえ、魚雷搭載の艦攻は、離艦直後、艦橋から見えなくなるくらい
沈み込んで、その後やっとやっとで浮き上がってくるという話はよく聞きますしね。
>>579 なるほど。
坂井三郎氏がよくやっていた、フットペダルを思い切り踏み込んで機体をすべらせる
という方法ですね。
横転しないか心配だな。
582 :
GF長官:2009/02/21(土) 18:03:33 ID:???
>>575 南雲先生、出番ですよ〜
どうやら、先生は酔いつぶれたようですので、代理でお答えしましょう。
>>576の通り、サマール沖での大和と似た状況ですね。(魚雷の燃料が尽きるまで並走)
>>575のように減速してやりすごすのが、一番手っ取り早いように思えますが、
大和がそうしなかったのは、機関の増速・減速には非常に労力を要するからだと
聞いたことがあります。
機関の出力を下げても、高速で航行中の巨艦は行き足(慣性力)がついているので
なかなか減速してくれない。たとえ減速出来たとしても、そこからまた速度を上げる際
にも時間がかかる。
戦闘中に無闇に減速することは、出来るだけ避けたいところです。
「機関最大戦速即時待機」のような命令が出されるのも、そのためですね。
予め機関室で準備しておかないと、いきなり「機関最大戦速!」と艦橋から命令されても
対応できないらしい。
ということで、正解はこちらです。
両舷の高角砲を俯角一杯にして、目視射撃!
583 :
GF長官:2009/02/21(土) 18:36:32 ID:???
>>568の続き
もちろん、直衛の零戦3機・九六艦戦3機とて、手をこまねいて眺めていた
わけではないが、自ずと限界があるというものです。
>>560の通り、ぎりぎり発艦に成功した零戦3機(納富健次郎大尉指揮)は
必死で防戦に努めるも、我が方の劣勢は明らかですし、当然のことながら、
米攻撃隊には直掩のF4Fが付いています。
肝心な時に行方不明になりがちな米戦闘機隊ですが、この時はしっかりと
任務を果たしたようですね。
ヨークタウン所属のF4F搭乗のフラットレー少佐の報告によれば、
「日本機4機と交戦するも、戦闘は2分間で終了し、3機を破壊した」
584 :
GF長官:2009/02/21(土) 18:37:59 ID:???
>>583の続き
日本側の記録によれば、
「また祥鳳の戦闘機6機は多数の敵機と交戦して、5機の撃墜(うち不確実1機)
を報じ、戦闘終結後3機がデボイネに不時着した。しかし他の3機は行方不明と
なった」 (『戦史叢書』)
米側の記録では、喪失機はSBDが3機・F4Fが2機となっています。
これでも、よくやったという部類では。
>>551の石川二飛曹(九六艦戦)の手記より。
「周りには、いたるところに敵がいた。私は機銃を撃ちまくっていたが、すぐに
撃ち尽くしてしまった」
この状況で、祥鳳に着艦して補給を受けることは到底望めない。
弾切れになれば、あとは母艦がのたうちまわる様を指をくわえて見ているだけ。
切歯扼腕とは、このことでしょうか。
585 :
GF長官:2009/02/21(土) 18:39:07 ID:???
>>584の続き
また、貧弱と言われがちな日本海軍の対空砲火ですが、米パイロットにとって
みれば、そうでもないようですね。
「艦隊防空の章」(波スレ
>>98)でも紹介した、「九六式25粍機銃」についても、
米海軍の報告書では、その威力は高く評価されているらしい。
ただこの祥鳳攻撃の際は、正真正銘「貧弱」だったようです。
「日本の空母は、防禦砲火が極めて貧弱であった。雷撃機は右舷前方から
艦首まで容易に接近することができた。なぜなら、これを阻むことが出来る
効果的な対空砲火は二門しかなかったからである。
このように至近距離から発射された魚雷は、回避することがほとんど不可能
であった」 (ヨークタウン戦闘報告)
艦の首尾線方向は死角なのかもしれませんね。
続いては、第三派来襲です。
う〜む、毎回「いよいよ今日のその時が・・・」と言っている気がするが、
なかなか沈みませんなぁ。
シブヤン海の武蔵の検証したら2〜3スレかかるかもねw
587 :
GF長官:2009/02/23(月) 20:47:33 ID:???
>>586 それは、レイテスレに任せよう。
ちなみに
>>582の「俯角一杯射撃」の元ネタは、『ジパング』でした。
単行本21巻をどうぞー ”対潜の鬼”立石少佐カコイイ
588 :
GF長官:2009/02/23(月) 21:11:20 ID:???
>>585の続き
続いては、とどめの米攻撃隊第三派。
>>469の第二波と第三波は明確に分かれるものではなく、連続した攻撃なのですが、
説明の都合上区別しました。
被弾から操舵不能までが第二波、それ以降が第三波です。
その編成は、
VS−5のSBD7機(ウォーレス・ショート大尉指揮)と、
VT−5のTBD10機(ジョー・テイラー少佐指揮)
589 :
GF長官:2009/02/23(月) 21:12:27 ID:???
>>588の続き
すでに操舵不能に陥っていた祥鳳は、「演習の標的」にしかならなかったでしょう。
第二波・第三波合わせて、魚雷7本・爆弾13発が命中。
「魚雷が命中して、動力及び電源が破損し、操舵装置も動かなくなった。人力操舵に
切り換えようとしたが、あいついで命中した爆弾及び魚雷の爆発によって、人力操舵も
不可能となった。
当時既に他の船体機関も被害が頻発、速力も漸次減少すると共に、乗員の必死の防火
防水作業にもかかわらず、火災と浸水は激しくなっていた。
ついに船体は火炎に包まれ、浸水は上甲板に達して、全くの運動の自由を失ってしまった」
(『戦史叢書』)
もはや沈没は時間の問題。伊沢艦長に決断の時が迫ります。
590 :
GF長官:2009/02/23(月) 21:13:55 ID:???
>>589の続き
ところが、(波)スレ
>>565の通り、総員退艦を命令するまでには暫時の逡巡があった。
「爆弾13発・魚雷7本の命中を受け、杉山飛行長より、『もう艦は助からんでしょう。
そろそろ総員退艦を命じられたらどうですか』と催促されてもなお、伊沢石之介艦長は
容易には頷かなかった。 伊沢艦長の表情にはためらいの色が消えて いない。
この大戦がはじまってから、まだ一度も艦首に菊の紋章を飾った軍艦が 沈んだことは
ないのだ。その最初の不名誉を、海軍軍人としては何としてでも 避けたかったのであろう」
(『暁の珊瑚海』)
>>475の指摘でもありましたが、祥鳳は「軍艦喪失第一号」ではありませんが、
「空母喪失第一号」であることは間違いない。
591 :
GF長官:2009/02/23(月) 21:14:56 ID:???
>>591の続き
海軍軍人にとって、艦長は一国一城の主であり、憧れの目標でもある。
「司令長官に就いた時よりも、戦艦の艦長になった時の方が嬉しかった」とは、
よく聞く話です。
その軍艦を沈めることになった時の艦長の気持ち、
「総員最上甲板」を命じなければならない艦長の胸の内は、
いかばかりでありましょうか。
592 :
GF長官:2009/02/23(月) 21:17:21 ID:???
>>591の続き
高校時代に瑞鶴の最期を読んだ時、図書館で涙をこらえるのに必死だったことを
よく覚えています。
貝塚武男艦長の最後の訓示ー
「艦の余命、あとわずかである。皆よく戦ってくれた。
本艦は既に撃つ弾は撃ち尽くし一発もない。思い残すことはない。
皆は最後の最後まで生き残り、祖国の為戦ってくれ・・・
総員退艦せよ!」
この時の写真(軍艦旗降シ方の整列)がwikiにもありますが、乗員たちの
魂の叫びが伝わってくるようです。
これだけ一度に命中弾を浴びた祥鳳は、その余裕すらなかったでしょうが、
0931時、伊沢艦長はついに「総員退去」を下令。
このスレってほとんど病気だね
少なくともおまいよりは役に立つ病気だ
>>591 >「司令長官に就いた時よりも、戦艦の艦長になった時の方が嬉しかった」とは、
> よく聞く話です。
聞いたことないな
例えば誰?
飲食店経営会社の本部で部長職をしてますが、
本部に上がる前の店舗で店長やってた頃のほうが居心地よかったです。マジで。
マックの店長?
598 :
GF長官:2009/02/24(火) 21:14:03 ID:???
>>593 本職のような人間にとっては、むしろ誉め言葉と言えるかも。
>このスレってほとんど病気だね
いわゆる「希少価値・ステータス」ですよ。
>>595 すみません。昨晩探してみたのですが、結局見つかりませんでした。
誰かの言葉ではなく、一般論として書かれていたように記憶しております。
>>596 そういうものなのか。店長も「一国一城の主」ですからね。
アラビアのロレンスであったな……
「彼は列強の士官かもしれない。だが、私は部族の王だ」
600 :
GF長官:2009/02/24(火) 21:30:47 ID:???
とりあえずは、
>>593のようなレスも大歓迎。
本職のやる気だけでは、「連投規制」にひっかかることが最近分かりましたので。
ただ世間受けが悪いほど満足感が得られるというのは、確かに病気かもしれませんね。
スレ立て当初は、毎日のレス数に一喜一憂でしたが、今はもう「悟りの境地」かな?
「ふっふっふ、選ばれた者にしか、このスレの価値は分かるまい!」
>>592の続き
初弾命中(0920時)から沈没(0935時)まで、わずか15分。
総員退艦命令が出されたとはいえ、脱出できた乗員はどれだけ居たのか。
インド洋作戦での二重巡やハーミスを思い出します。
伊沢艦長は、祥鳳と運命を共にする覚悟だったようです。
艦橋での別れの場面は、戦争映画でもお馴染みですね。
601 :
GF長官:2009/02/24(火) 21:32:08 ID:???
>>600の続き
「伊沢艦長は狭い艦橋に閉じこもったままであった。艦と運命をともにする
覚悟であったのだろう。
『艦長、お別れの時が来ました』 万感迫る思いで杉山飛行長が口を開いた。
『何かお伝えすることがございますか』
『いや、何もないよ』 伊沢艦長はあっさりと手を振って言った。
『私はここに残るから、君は早く出た方がいい』」 (『暁の珊瑚海』)
「感動の場面」を期待しがちですが、意外に淡白なものですね。
責任の重さから、事後のことを考慮する余裕はなかったのでしょうか。
602 :
GF長官:2009/02/24(火) 21:32:47 ID:???
>>601の続き
しかし実際はと言うと、伊沢大佐は沈没の衝撃で艦外に放り出され、救助
されています。
内地に帰還後、軍令部より出頭を命じられ詰問を受けるも、杉山飛行長の
証言もあり、予備役編入とはなりませんでした。
0935時、祥鳳沈没。
乗員839名中、生存者203名。
敬礼
603 :
GF長官:2009/02/24(火) 21:35:43 ID:???
>>599 アラビアのロレンスですか・・・あまり知らないなぁ。
今度映画を借りてみよう。
つうか、世界史を総覧すればわかるけど、出てくる人物は皆変人ばかりだよな。
太平洋戦争では、変人が縦横無尽に作戦をしっちゃかめっちゃかしたことか。
名も無き一般的な兵士下士官士官がいるからこそ、そういう変人が活躍できる訳だが。
残念なことに、つじーんをはじめ、その変人達はまったく理解しなかった。
>>600 長官、このスレの住人は隙あらば突っ込み、支援射撃を嬉々として窺っている公算大かとw
私自身は引越しで資料関係が散逸、武装解除状態ですがorz
ところで本スレは何処まで頑張れば“ゴール”ですかね?w
個人的にはサイパン陥落までお願いしたいところです。
叢書「マリアナ沖海戦」なんかですと、
中部太平洋方面艦隊司令長官としてのは判断はかなり妥当だと思いますんで。
関連する発電綴りを全て見てみたいです。
個人的には、方面艦隊の役割を更に拡大して、
現在の米軍のように該当管区内に存在する全部隊の指揮を
南雲長官が一元して執れば色々面白いかも、と思ったり。
あとそれまでの経歴(最後の第一艦隊司令長官とか)も興味あります。
このスレは本職のライフワークなので
死んでもやめません。あしからず。
607 :
GF長官:2009/02/25(水) 21:21:41 ID:???
>>604 これは思い切った総括ですなぁ。
>つうか、世界史を総覧すればわかるけど、出てくる人物は皆変人ばかりだよな
少なくとも軍人は「非常時」が仕事場ですから、一般常識からは計れないでしょうね。
>>605 こっそり公開しますが・・・
「サイパン玉砕編」の後、番外編として「真珠湾攻撃編再び」をやって終了と
考えています。
(改)スレの「真珠湾攻撃編」では、スレ趣旨(改スレ
>>89)を早く理解して頂く
ために駆け足で済ませたので、じっくりと振り返ってみたい。
太平洋戦争海戦史の前半を網羅できればいいですね。
>個人的には、方面艦隊の役割を更に拡大して、
そこまでの余力はないと思いますが・・・
まあ、成り行き次第でしょう。
>>606 お、久々の登場ですね。息災で何よりです。
半年も続けていると、もう日常生活の一部となっていますね。
あまり先のことばかり考えていると、足元をすくわれてしまいそうなので、
日々精進を心がけていく所存です。
今後ともご支援を賜りたく、お願い申し上げます。
608 :
GF長官:2009/02/25(水) 21:55:53 ID:???
>>602の続き
祥鳳の沈没が、日本側各指揮官に与えた衝撃は計り知れない。
まずは、MO作戦総指揮官・井上成美中将から。
「午前9時20分、まず『祥鳳大火災』の電報が第四艦隊司令部に入った。
飯田通信参謀から順々に回覧されていくが、衝撃のために一語も発する者がない。
最後に井上長官の手に渡った。『悲痛なり』
ついで同45分『祥鳳沈没』の報が来た。
此の時の四艦隊司令部作戦室の情況は、実に悲壮なるものにして、余は作戦室の
一隅アームチェアーにて煙草を吹かし、何気なしをよそわんとするも凡人の悲しさ、
笑い顔は出来ず。
斯様なる時、東郷大将は如何なされしやと想い出し、努めて平静をよそおうも、煙草
は少しもうまくなし」 (『珊瑚海海戦(経過概要)』)
609 :
GF長官:2009/02/25(水) 21:58:16 ID:???
>>608の続き
この中で、「斯様なる時、東郷大将は如何なされしや」とは日露戦争時の事故を
指します。
旅順港封鎖作戦実施中(明治37年5月15日)、戦艦初瀬・八島を触雷事故により
失ってしまった。
「聯合艦隊はその決戦兵力の33%を一日で失ったのである。艦隊の全員がこれで
もう勝てなくなると思った。これが東郷に報告されたとき、報告者たちは号泣した。
が、東郷は顔色ひとつ変えず、うなずき、報告者たちに卓上の菓子をすすめたという」
(『坂の上の雲』)
井上長官の脳裏には、この時の東郷長官と自分が重なったのでしょう。
610 :
GF長官:2009/02/25(水) 21:59:26 ID:???
>>609の続き
「当時戦艦朝日に、観戦武官としてペケナム英大佐が乗っており、この事故の直後
東郷に悼みの言葉を述べたところ、東郷はおだやかに微笑しながら、ありがとうと
言った。
後に、ペケナムは秋山真之に語っている。
『あのときほど人間の偉大さというものを感じたことがない』と。
東郷はその胸中の悲嘆を押し殺すことによって、全艦隊に敗北心理が起こること
から見事に救い出したのである」
本職としては、「東郷ターン」よりも、こちらの話の方が印象的ですね。
611 :
GF長官:2009/02/25(水) 22:13:32 ID:???
>>610の続き
主力艦である戦艦6隻(三笠・朝日・敷島・富士・初瀬・八島)のうち2隻を失った
ことが、どれだけ重大な意味を持つのか。日本の運命を左右する大惨事と言っ
ても過言ではない。
戦艦と言えば、菊花紋章をいただく軍艦であり、大元帥陛下よりお預かりした
大切な艦でもあります。
特に明治海軍は「貧乏海軍」であったため、艦隊整備には苦労しており、
「明治19年、1700万円の海軍公債を起こし、新たに艦艇54隻を建造する
ことになった。第一期軍備拡張である。
しかし、艦船の運用・維持に欠かせない軍港・造修施設等の整備は極めて
遅れていた。
言うまでもなく、原因は財政不如意にあった。
これを聞かれた天皇は20年3月14日勅語を下し、次いで7月1日に海防費
補助として内帑金より30万円を下賜したのであった。
感激した全国の華族や富豪は、こぞって献金を申し出た。その総額は実に
203万円の巨額に達し、軍費に充てられたのだ」
(註)内帑金(ないどきん)とは、皇室の保有する財産
(『連合艦隊知れば知るほど』)
これらの経緯を知れば知るほど、事態の深刻さが理解できるというものです。
禿げ
613 :
GF長官:2009/02/26(木) 21:15:09 ID:???
>>595 余談ながら・・・
毎日の発言の原稿は頭の中で組み上がっているので、「裏を取る」のが主な
作業になるのですが、これが意外に厄介。
「確か、あの本に書いてあったはずだが・・・」と調べても、大抵は間違っている。
人間の記憶が、いかに曖昧なものかが分かります。
索敵の誤認や戦果の過大報告が起こるのもうなずける。
「俺がこの目で確かめたんだから間違いない」
というのが、実は一番あやしかったりする。
614 :
GF長官:2009/02/26(木) 21:44:19 ID:???
長髪にマフラーなんて軽薄な格好が許されるのは、飛行気乗りだけです。
水雷屋は、黙って坊主。
今夜も、くわえ煙草がほろ苦い。
>>611の続き
もちろん献金に参加したのは、富裕層だけではない。
一般国民や企業も同様です。
飛行機では「報告号献納機」というのがありました。
(陸軍は愛国号」)
615 :
GF長官:2009/02/26(木) 21:45:35 ID:???
>>614の続き
映画『日本海大海戦』の中で、信濃丸からの「敵艦隊見ユ」の報を受け、鎮海湾
を出撃する場面で、三笠艦長伊地知彦次郎大佐の訓示があります。
「国民が高い税金を払って我々を信頼してきてくれたのも、今日ちゅう日があるが
ためである。もしこの戦いに負けるようなことになったら、どげな面目あってか、
祖国に帰れるというのか。
とにかく、最後の一兵まで頑張っちくれ。これより万歳を三唱するー」
別の場面では、内地からの手紙を読む東郷長官も出てきます。中には小学生
からのものもある。
これだけの国民の期待を背負いながら、戦わずして主力艦の3分の1を失って
しまった。その責任の重さは、想像も及びませんね。
616 :
GF長官:2009/02/26(木) 21:47:12 ID:???
>>615の続き
この時の東郷長官が評価されるのは、司馬氏が指摘する通り、
「東郷はその胸中の悲嘆を押し殺すことによって、全艦隊に敗北心理が起こること
から見事に救い出したのである」
押せ押せの時は部下に任せておいても、あまり問題はないが、逆境に陥った時、
指揮官の真価が試される。
以前、自衛隊のOB(志方さんだったかな?)がテレビで言っていたことですが、
「敵の弾がとんできた時、兵はまず指揮官の顔を見る。指揮官が動揺していると、
兵たちもまた浮き足立つ」
東郷長官とて人間ですから、二戦艦喪失の報を受けて、泣きたい気持ちだった
でしょうが、それを自らの胸の内に収めることにより、麾下将兵に動揺が広がる
のを防いだ。
戦闘指揮官が並の器量では務まらないことが、よく分かります。
617 :
GF長官:2009/02/26(木) 21:48:21 ID:???
>>616の続き
太平洋戦争中ならば、ちょうどミッドウェー海戦がそれに当たるでしょうが、
「『ほう、またやられたか』と、つぶやくような山本の低い声。
6月5日朝、赤城・加賀と悲報が続けざまに入ってくる大和艦橋の作戦室。
山本は動ずる色もなく、駒を持ち、戦務参謀の渡辺中佐と将棋を指している。
渡辺は苦しそうな表情。傍にいる従兵長の近江上等兵曹も、いたたまれぬ
思いだった」 (『連合艦隊知れば知るほど』)
山本長官が、東郷長官の「故事」を意識していたことは間違いない。
その点井上長官は、
「何気なしをよそわんとするも凡人の悲しさ、 笑い顔は出来ず」
「努めて平静をよそおうも、煙草は少しもうまくなし」
正直に心情を吐露しているところに、好感を持てますが。
618 :
GF長官:2009/02/26(木) 21:49:27 ID:???
>>617の続き
南雲長官にいたっては、
「草鹿君、えらいことを引き受けてしまったな。あの時きっぱり断るべきだった・・・」
「淵田君、敵潜の追尾を受けているような気がするんだが・・・」
やはり東郷元帥は偉大であり、南雲長官には”ドーゴー”にはなれなかったと
言えます。まぁ、ならなくて良いと思いますけど。
今さら「東郷元帥を再評価するスレ」なんて、3行で終わりそうだし。
619 :
GF長官:2009/02/26(木) 21:51:11 ID:???
>>618の続き
今の自衛官にも、生まれる時代を間違ってしまったような「武人」が居るんで
しょうな、きっと。
つ たもさん(前空幕長)
甲「あの人は、むしろ職業選択を間違えたのでは?」
乙「そうだな。確かに彼の話は面白い。
”私には慎重さが足りなかったんじゃない、身長が足りなかったんです”
の発言とかな」
丙「そこいらの芸人より、お笑いのセンスあると思うぞ」
指揮官には、冗談のセンスも必要かなと思う、今日この頃。
620 :
GF長官:2009/02/26(木) 22:05:56 ID:???
>>614 ひとつ訂正を
「報告号献納機」→「報国号献納機」
過疎っているね!
>>621 年度末を控えて忙しいのですよ。
>618
>「草鹿君、えらいことを引き受けてしまったな。あの時きっぱり断るべきだった・・・」
その後には「しかし、一度引き受けた以上、全力を尽くすつもりだ」とか付いてたりして。
それにしても、民主党の小沢発言は田母神を越えました、あらゆる面で。
第七艦隊がどういう編成なのか理解してないですよあの人。。。
筑摩三号機より本隊へ、敵艦影を認めず……っと
東郷はなにもしてない。ボケーッとしてただけ。
625 :
名無し三等兵:2009/02/27(金) 13:33:22 ID:oJ7PhU8P
>>614 長官!
何故飛行機乗りは長髪が許されるのでしょう?
同じ艦に乗る訳ですから衛生面からみて坊主が必須であります。
私達は油まみれで風呂にも入れません
機関三水より
>>626 女の子に聞くとわかるよ。「髪の毛は防寒具」
>>442 南支方面はテイコクバンザイで宜しいか?
629 :
GF長官:2009/02/27(金) 22:11:31 ID:???
>>621 有難うございます!たまにで良いので一行レス大歓迎。
>>622 そうですね。
今朝のTBS(みの・・・ry)で、コメンテーターの擁護っぷりに笑えた。
「小沢さんは、沖縄に米軍基地が多すぎると言いたいんですよ・・・」
民放各社は、再度放送法を勉強し直すべきですな。
>>623 宜候。警戒ヲ厳ニシテ、任務ヲ続行セヨ
>>624,625 そう!「なにもしない」というのが、実は大変だったりする。
指揮官には「凡庸さ」が求められますからね。
630 :
GF長官:2009/02/27(金) 22:14:31 ID:???
>>626 機関科の皆さんには、本当に頭が下がります。
>何故飛行機乗りは長髪が許されるのでしょう?
初期の航空隊は「荒武者の集団」のような雰囲気だったらしく、山本五十六中将が
GF長官に着任した時、赤城飛行隊長だった淵田少佐などは、
「山本五十六いうのは、妙に英米が好きで弱いらしいぜ。腰抜けとちゃうか」と公言
していたという話が、『山本五十六』に紹介されているので、型にはまらない人間が
多かったのでしょう。
また、黎明期などは、
「お前たちは、飛行機、飛行機と言うけれど、雨が降れば飛べない。波が高いと
出られない。昨日は呉で墜ちた、今日は追浜で墜ちたという風で、これじゃ戦争
の役に立たんじゃないか」
と艦政本部からバカにされていたそうなので、反骨精神みたいなものもあった
のだと思います。
ま、もともと「サムライ」は長髪ですからね。
でないと、髷が結えない。
>>628 支那戦線は詳しく知りません。すみません。
陸軍の方の開戦暗号は、「ヒノデハヤマガタ」ですね。
631 :
GF長官:2009/02/27(金) 22:29:16 ID:???
>>619の続き
昨日の発言では、あまりにも南雲長官が気の毒なので、お口直しを。
真珠湾攻撃にて、
「このうねりでは、雷撃機の発進は難しいな」と言う草鹿参謀長。
そこへ押しかける艦攻搭乗員たち。
「このくらいのピッチングでやめたら、今まで何のために猛訓練して来たんですか!」
騒然とする赤城艦橋・・・
「その時、ズシリと腹にひびく声で『待て!』と号令がかかった。
海軍ではこの号令がかかったら、いついかなる状態であろうと、動作を止めねばならない。
しかも声の主は、最高指揮官である南雲司令長官であった。
一瞬、艦橋は針の落ちた音もわかるほどの静寂さに満ちた。
632 :
GF長官:2009/02/27(金) 22:30:29 ID:???
南雲長官は、雷撃隊員たちを見まわしながら、静かな声で、
『お前たち、このローリングで魚雷をかかえたまま、みごと発艦できるか』
と訊いた。
声はやさしく、口辺には微笑さえあった。だが目は厳しく、搭乗員の一人
一人の顔にそそがれていた。
「やれます!」「やれます!」
たちまちハネ返るような返事が返ってきた。
長官はそれを聞くと、深く大きくうなずいた。「よし、わかった」
今度は草鹿参謀長の方を向き、「参謀長、いいではないか。出してやろう」
雷撃隊員は涙をはらはらと落としながら、嬉しそうに長官に敬礼し、艦橋を
降りていった」 (『悲劇の南雲中将』松嶋慶三/著)
いやあ、南雲長官こそ指揮官にふさわしいですね!
この器量の大きさ!さすがです。どこまでもお供しますよ!
誰ですか、「早くも、もうろくしたのではないか」とか言っている不届き者は?
633 :
GF長官:2009/02/27(金) 22:59:16 ID:???
>>632の続き
とはいえ、この時の東郷長官が評価されるのは、最終的に日本海海戦にて
大勝利したという面があることも見逃せない。
>>617の山本長官の「将棋エピソード」も、日本が太平洋戦争に勝っていれば、
美談として人口に膾炙していたことでしょう。
634 :
GF長官:2009/02/27(金) 23:00:22 ID:???
>>633の続き
「I shall return.」の名言を残して、比島を去ったマッカーサー大将も同様。
実現したから良かったものの、そうでなければ「負け犬の遠吠え」です。
確か、何回か撮り直したんだっけ? >レイテ上陸場面
栗ターンがなければ、今頃は・・・(ry
当時の豪州兵の間では、この言葉が流行ったらしく、映画『マッカッサー』でも、
「ちょっとトイレに行ってくる。アイシャルリターン」
という台詞が出てきます。
コレヒドールの将兵を置き去りにし、自分の家族と幕僚だけで逃げてきた
司令官に対する皮肉でしょうか。
635 :
GF長官:2009/02/27(金) 23:01:55 ID:???
>>634の続き
「自分が戦が下手だと人に言はるる位のことは私事なるも、大事な陛下の御艦、
しかも大事な空母を最初に沈めたのが自分だと思ふと、実に自責の念に耐へず。
切腹してすむなら易いことなるも、切腹したって沈んだ艦を如何せん。如何にして
も申し訳なし、残念だ」 (『珊瑚海海戦概要』)
思えば、5月4日のツラギ被空襲以来、日本側の対応は後手後手に回っていますね。
井上長官の不満と苛立ちが伝わってくるようです。
五航戦の二空母は、いずれ南雲長官に「返却」しなければなりませんが、
祥鳳は、四艦隊にとっては軽空母といえど、「自前の航空兵力」でした。
今後の作戦遂行を考えると、言葉が見つからない。
636 :
GF長官:2009/02/27(金) 23:02:48 ID:???
>>635の続き
しかし、嘆いても、腹を切っても、沈んだ空母が浮かんでくるはずはなく、
「南洋部隊指揮官」としては、善後策を示さねばならない。
1010時、各部隊宛に下令。
(1)第六戦隊・六水戦ハ、MO攻略部隊指揮官ノ定ムル所ニ依リ、敵機動部隊ニ対シ、
今夜夜戦ヲ決行スル如ク行動スベシ
(2)MO機動部隊ハ、速ニ敵機動部隊ニ近接シツツ、航空攻撃ヲ反覆スベシ
(3)ポートモレスビー攻略部隊ハ、MO攻略部隊指揮官ノ定ムル所ニ依リ、適宜ノ警戒
兵力ヲ附シ、一旦北方ニ避退スベシ (『第四艦隊機密第三七一番電』)
頼みの綱は、MO機動部隊の反撃と、夜戦による追撃ですね。
果たしてうまくいくでしょうか。
単純に海軍の搭乗員に長髪が多かったのは、頭を打ったときの為。
とにかく体を固定してないと、着艦時に前方の計器類に頭ぶつけてあの世行きだったりと
今のパイロットのヘルメットという概念がまだ無かった時代だしな。
それと、長髪については山本五十六がこういっている。
長髪?別にいいんじゃないか、海軍の航空兵は皆長髪だし。
なんだか余裕を失っている世の中で長髪やパーマネントが英米的であり堕落的だという意見もあるが
だらしない奴は、丸坊主にしても同じだよ。私が坊主になっているのは面倒だからだ。
ところで、記者の諸君、髪の毛が長いと何か不都合でもあるのかね?
>>618 > 南雲長官にいたっては
あのね。触雷で艦を失った報告を聞いたり、
後方で戦況を聞くのと、実際の戦場で艦を失うのを目の当たりにするのでは
衝撃、リアリティが違うの。比較にならん。
それでも南雲は長良で夜戦を企図するなど
闘志をみせたが。
事件事故でもそう。ニュースでみるのと
実際の現場で目の当たりにするのとは違うの。
爆弾の衝撃はものすごく、ミッドウエィの赤城と第二次ソロモンの翔鶴で
艦橋配置時に至近弾を経験した(つまり南雲長官と同じ目にあった)人は
"実に恐ろしい" (何度経験しても)"威力を知れば知るほど恐怖心が増す"
と言っている。
翔鶴のときは、一人の水兵が恐怖のあまり持ち場を離れ、長官たちの前で
グレーチング床上を這い回るという醜態を晒したそうだ。
640 :
GF長官:2009/02/28(土) 18:11:52 ID:???
>>637 なるほど。有難うございます。
飛行帽も「防寒」の面が大きいですね。
飛行眼鏡は、ガラスとガラスの間にゼラチンを入れ、割れても飛散しない
構造になっていたようです。
>>638 そうですね。
>後方で戦況を聞くのと、実際の戦場で艦を失うのを目の当たりにするのでは
>衝撃、リアリティが違うの。比較にならん。
今日紹介する五藤少将がそれに当たると思います。
>>639 これは知りませんでした。
確かに後方で報告を受けているだけでは、恐怖感は伝わってきませんからね。
641 :
GF長官:2009/02/28(土) 18:14:37 ID:???
今日の新刊情報は、
3DCGシリーズ(43)『奇跡の駆逐艦雪風』
今回のCG動画は、第三次ソロモン海戦での雪風の活躍のようだ。
とっちーさんじゃないので、とりあえずは購入見送り。
ニコニコに上がるのを待つとするか。
>>641 遂に来たか、雪風…雪風は沈まず!
逝風…艦をヴァルハラ…靖国へ誘う海の女神…ぼそ
643 :
GF長官:2009/02/28(土) 18:56:20 ID:???
>>636の続き
続いては、MO攻略部隊指揮官・五藤存知少将です。
青葉艦橋から直接祥鳳沈没を目撃した、彼の胸の内やいかに。
>>638の通り、ミッドウェーでの南雲長官の心境を推察する場合、一番近いのが
この五藤少将ではないかと考えます。
「旗艦青葉では、祥鳳への初弾命中から沈没にいたるまでの15分間が、わずか
一瞬の出来事のように思われた。
『司令官!』
久宗米次郎艦長が五藤少将を見ると、この水雷屋提督の頬に涙が流れていた。
若い信号員たちも肩をふるわせて泣き、その泣き声を叱る者はなかった。
誰もが信じられぬ思いで、祥鳳の姿を消した海面を茫然と眺めるばかりである」
(『暁の珊瑚海』)
やはり、前線と後方では衝撃の度合いがまるで違うと言えそうです。
644 :
GF長官:2009/02/28(土) 18:59:43 ID:???
>>643の続き
五藤少将は、”夜戦の神様”と言われていたらしい。
後に、サボ島沖夜戦で戦死することになりますが、「敵!」という見張員の
報告にも拘らず、攻撃に躊躇していたのは、味方艦の誤認を怖れたのと、
「夜戦では、吊光弾や探照灯をつけてから砲撃を開始する」という認識が
頭にあったからではと考えられます。
夜戦の権威ならではの、この落ち着きが仇となるわけですが。
生粋の水雷屋である彼も、航空戦の展開の速さにとまどっていたのかもしれない。
「祥鳳沈没後、MO主隊は敵の第二次空襲を一時避けるため、北方に避退すると共に
MO攻略部隊指揮官は、攻略部隊全体に対して急速北方に避退するように下令した」
(『戦史叢書』)
重油にまみれた生存者たちを残して、現場海域を去るのはしのびないですが、この際
仕方ないでしょう。
645 :
GF長官:2009/02/28(土) 19:01:55 ID:???
>>644の続き
その後の動きですが、
0930「六水戦ハ六戦隊ト速ニ合同ノ上、友軍航空部隊ノ攻撃ニ策応シテ、戦果拡充ノ要アリ」
(ポートモレスビー攻略部隊指揮官からの意見具申)
0935 祥鳳沈没
MO主隊・一時避退
1010 第四艦隊機密第三七一番電(
>>636)
1020「MO主隊ハ、味方航空部隊ノ攻撃ニ呼応、決戦セントス
一二○○ノ位置、デボイネノ51度・115浬
爾後ノ諸部隊ハ、極力北方ニ避退セシム」
(五藤少将・0930時の意見具申を採用)
1030 北上中の輸送船団がB−17(2機)の爆撃を受ける(至近弾のみ・被害無し)
1050 六水戦・輸送船団と分離し反転南下
1200 五藤少将・触接情報から彼我の距離を約360浬と判断
駆逐艦「漣」を分離、祥鳳生存者救助に派遣
1225「ポートモレスビー攻略部隊(六水戦欠)ハ、特令アル迄ラバウル方面ニ向ケ避退」
(五藤少将・輸送船団にラバウル撤退を下令)
1300「六戦隊・六水戦ハ、敵機動部隊ノ反転ヲ扼シ、今夜夜戦ヲ決行セントス」
(五藤少将・夜戦企図)
「六水戦ハ、夜戦決行ノタメ、八日○○○○、ロッセル島ノ0度・20浬ニ於テ合同セヨ」
(五藤少将・六水戦に対し、合同時刻・地点を命令)
646 :
GF長官:2009/02/28(土) 19:02:24 ID:???
>>645の続き
夜戦となれば、五藤少将の土俵ですね。
MO機動部隊の攻撃と協力すれば、敵艦隊撃滅も決して絵空事ではない。
さて、どうなるか。
ここでCMです。 ここまでの提供は……
旧日本帝国海軍 大本営海軍軍令部
零戦で機動部隊の防空を担うミツ菱飛行機
敵空母にトドメの一撃を見舞う艦攻 中島
ルーデル閣下もオススメ!99棺桶…艦爆の愛知
空母建造なら任せてくれ!でも軽質湯の工事は勘弁な!の川崎重工
キングコングは米国某映画会社の著作権だよの原忠一司令
トラックの香取 線香こと井上成美 でお送りしました。
648 :
GF長官:2009/02/28(土) 19:19:09 ID:???
>>642 雪風は、史実でも、仮想戦記でも、未来戦記でも大活躍!
沖田「我々の艦隊は、あと何隻残っているか」
参謀「本艦の他に、宇宙駆逐艦『ゆきかぜ』が一隻だけであります」
沖田「誰の艦だ」
参謀「護衛隊長・古代の艦であります」
沖田「そうか、もうこれまでだな。撤退しよう」
古代「僕は嫌です。ここで撤退したら、死んでいった者に顔向けできません」
沖田「いいか古代。ここで全滅したら、地球を守るために戦う者がいなくなってしまう。
明日のために、今日の屈辱に耐えるのだ。それが男だ」
古代「沖田さん。男だったら、戦って戦って戦い抜いて、一つでも多くの敵をやっつけて
死ぬべきじゃないんですか」
参謀「艦長、古代の艦がついてきません」
古代「僕はどうしても逃げる気になれません。お元気で。地球のことをお願いします」
沖田「死ぬなよ、古代」
沖田艦長と古代兄の生き方。
軍人にとっては、どちらがふさわしいのだろうか。
古代守の若さ故の過ちといえるけど、事実上冥王星沖の海戦(一応こっちで)で敗北
事実上、地球防衛連合艦隊は壊滅、沖田の戦艦のみが残存では……無理からぬ事かと。
ちなみに、大和特攻では、雪風か他の駆逐艦だったが大和爆沈後救助者を収容中に
「ワレ、これより沖縄に突入するを是とすると思う」との発光信号に
雪風艦長か他の艦長(どっちかが言ったので)が「バカヤロウ!救助者の収容を急げ 以上」という
美談が残っているそうな。
>>618 > やはり東郷元帥は偉大であり
それは同意だが日本海海戦と真珠湾攻撃での
戦略性、条件は全くちがう。
日本海海戦の懸念はバルチック艦隊がどの航路を
とるかくらいで、連合艦隊は艦艇、練度、士気も最高状態。
しかも日本近海で戦えるという好条件。
緊張状態とはいえ平時に長距離を航海し、
敵の本拠地に奇襲攻撃をかける真珠湾攻撃
とはちがいすぎる。もちろん士気などは高かったが。
全くちがう条件で戦った南雲と東郷
を簡単には比較できないと思うが。
東郷元帥が後の帝国海軍に与えた影響はかなり大きい様に思う。
その影響をあまり受けてないのか、航空機乗り達には水雷屋みたいな肩肘張った印象はないけど。
飛行機乗りの言う「水雷屋」は
貶している表現では?
>>650 それ以前に、東郷はその海戦以降のことを考える必要がなかった。これ決定打。
山本五十六はそうはいかなかった、南雲も次の作戦が待っていた。
単純に比べられないのはここにあるし、両者の差はどこにあったかも。
>>651 東郷の影響
機関科士官の抑圧の決定打を打った。カマ炊きの機関学校出身士官が
兵学校出身士官と同じに扱われるのは戦争も末期になってから。
はっきりいって、東郷も評価が二つに割れている。
バルチックの時の指揮と、その後だ。 東郷さんは長く生きすぎた。
ワシントン条約では、訓練に制限はないとか言う始末で……
やはりエラくなりすぎるとダメになるんだな。
>>651 >航空機乗り達
人の頭の上を飛んでいるので、何かと頭を下げるのが嫌い。
肩肘は陸軍だろう。
南遣艦隊は龍驤のみのエアカバーでインド沿岸を荒らしまくったわけだが、中2病が強大だと思い込んでる在インド英空軍に何ができたかな。
更に言うと、昭和17年のビルマ戦線でも英航空戦力が日本陸軍の航空隊を蹴散らし圧倒するほど強力だったという話は聞いたことが無い。
五航戦のために実際には遅れるが、4月1日南雲部隊到来を知っていて可能な限りの準備していたセイロンの英基地空軍力はどうだったか。
インドの英航空戦力は、水無島に配備予定だった六空が仮にセイロンに進出したら、周辺はハリケーンとスピットファイアの墓場になるだけ。
南遣艦隊の通商破壊を昭和18年末の第十六戦隊の様な意図を持って継続した場合には日本の水上部隊によるインド洋への脅威は尋常ではない。
戦艦はそこに存在するだけでとインド洋におけるR級戦艦の脅威を金科玉条のように唱える輩が居たようだが、長門や伊勢級の敵ではない。
戦艦が出せずとも、R級は所詮債務であり、重巡主力の南遣艦隊に龍驤や祥鳳と瑞鳳、6月になれば隼鷹が居るだけで対抗し得る体制である。
ソロモン方面で米軍がウォッチタワー作戦が発動しなければ、
新編第三艦隊はインド洋方面に出撃するつもりだったしなあ
>>654 中でも戦艦乗りの自負心が強いのは、東郷元帥の影響なんだろうか?
戦艦乗りは三水までもが巡洋艦や駆逐艦乗りは格下と思っていた様だし。
これがなければ、航空機や潜水艦を使った幅広い戦闘が出来てたのかな。
横レスだけど、ミッドウェー空襲の編制が
もし淵田中佐が健康なら
1航戦艦攻45機
2航戦艦爆36機
だよね。
で、3空母被爆の後、飛龍の反撃のときは
友永大尉の艦攻17機(1機は偵察に出てる)
でやるはず。
もしそうなら、史実の小林大尉の艦爆18機のときより
被害が小さかったではなかろうか?
当時の米空母のレーダーは、敵機の高度が分かんないから、
低空で進撃する友永隊を捕捉できず、CAPの餌食になる機も
少なかったと思う。
チラ裏でスマソ。
>>660 >これがなければ、航空機や潜水艦を使った幅広い戦闘が出来てたのかな。
その辺は用兵術の管轄だからな。 多分同じ。 潜水艦は通称破壊には使われず、
駆逐艦は輸送艦として消耗。
663 :
GF長官:2009/03/02(月) 21:00:35 ID:???
>>642 確かセイレーンだったかな?”美しい歌声で船乗りを惑わし、難破させる”
「護衛が雪風なんて、でっかいお断りです!」(黄昏の姫君)
>>647 ”香取線香”とは言い当て妙だな。
敵機さえ寄り付かない(寄せ付けない、ではない)
それでは、CMです(海上自衛官募集)
http://www.nicovideo.jp/watch/sm821 ここからは、
ご存知、ないのですか!? 液冷発動機のご用命は愛知時計電機(キラッ☆)
捏造は戦前からの社風です 朝日新聞社
海兵受験生の心強い味方 南雲海軍塾
ご覧の各社の提供でお送りします。
引き続き、「南雲忠一中将を再評価するスレ〜珊瑚海海戦編〜」をお楽しみ下さい。
664 :
GF長官:2009/03/02(月) 21:16:05 ID:???
>>649 有難うございます。
『列伝太平洋戦争』(半藤一利/著)には、少し異なる挿話が紹介されていますね。
「(大和沈没後)冬月坐乗の駆逐隊司令に指揮権がゆだねられた。
ただちに寺内中佐(雪風駆逐艦長)は信号を送った。
『速ニ行動ヲ起サレタシ』
これの意味することは、大和が沈もうと一艦でも残っている限り沖縄突撃の命令を
果たそうという催促であった。
艦長は沖縄への直行前進を下令した。ひとり艦首を南に向けた雪風檣頭の戦闘旗
が風を切ってひるがえった。
後に、聯合艦隊の作戦中止命令を受け取った雪風は、敗残の海に慌しく戻ってきて
救助活動が始まった。
敵潜水艦の近接をレーダーがしきりに告げていたが、なお雪風は動かない。
救助された大和の参謀が艦橋に駆け上がってきて、
『雷撃の危険あり、早く艦を動かせ』と催促する。
しつこく迫る参謀に、ついに艦長は爆発した。
『うるさい、余計なことを言うな。この艦の指揮官は俺なんだ!』」
半藤氏の創作かな?
665 :
GF長官:2009/03/02(月) 21:26:40 ID:???
>>650 そうですね。
今「東郷元帥を再評価するスレ」を立てると、”弊害”の面が強調されるかも
しれません。
>>654 wikiにもありますね。
>明治以来の懸案であった兵科と機関科の処遇格差の是正についても東郷は
>改革案に反対した。
なんで反対したんだろうか。
>>658 インド打通して、ロンメル将軍と握手ですね!
これで英国の屈伏は時間の問題だ。
666 :
GF長官:2009/03/02(月) 21:52:53 ID:???
>>646の続き
>>414の通り、ポートモレスビー攻略部隊は0700時に反転して以降、北上を
続けています。
0930の時点で、祥鳳の状況を詳しくは知らないはず。
輸送船団の護衛には、六水戦(軽巡夕張+駆逐艦6隻)がついています(
>>17)
そこで、ポートモレスビー攻略部隊指揮官・梶岡定道少将(六水戦司令官)は、
船団の護衛を、ひとまず敷設艦・津軽と掃海艇に任せて、自らは六水戦を率いて
反転南下、MO主隊と合同して、共に敵艦隊撃滅に当たった方が良いのではない
かと考え、0930時の意見具申を行います。
667 :
GF長官:2009/03/02(月) 21:57:42 ID:???
>>666の続き
これを受け取った五藤少将は、祥鳳沈没の前後ですので、それどころでは
なかったと思われますが、祥鳳を失った後、1010時井上長官からの命令
(
>>636)に接し、夜戦の検討に入り、梶岡少将の具申を採用することに決定。
これが、1020時の命令です(
>>645)
この命令を受けて、1050時、梶岡少将は輸送船団と分離して南下を開始、指定
された合同地点へ向かいます。
水雷戦隊と言えば、「花のニ水戦」。
田中頼三少将のルンガ夜戦での活躍が有名ですが、六水戦の伎倆はどれほど
だったのだろうか。
668 :
GF長官:2009/03/02(月) 21:59:09 ID:???
>>667の続き
この間1030時、船団はB−17の爆撃を受けていますね。
高高度水平爆撃なんて、めったに当たるもんじゃないし、それほど心配しなくても
良い気はしますが、なにせ、
「およそガダルカナル争奪戦を、わが方の敗勢に導く原因のすべては、B−17が
落ちないところから糸をひいている」 (GF航空参謀・樋端 久利雄中佐)
と言われるくらいですからねぇ。
母艦の零戦隊でさえ、有効な邀撃手段とならないことは、次のミッドウェー海戦
でも明らかです。
ましてや、航空兵力を持たない輸送船団にとっては厄介な存在。
「空の要塞」の称号は、伊達じゃないですなぁ。
669 :
GF長官:2009/03/02(月) 22:23:51 ID:???
>>661 そうですねぇ。
参考までに、この後五航戦による「夜間攻撃」が実施されますが、
戦闘機の護衛なしで、被害は、艦爆1機に対し、艦攻は9機。
史実通り、零戦6機が護衛についたとしても、どうだろうか。
確かに奇襲が成功すれば、戦果は期待できそうですが。
>>668 長官、ガ島戦以降はB-17による航行中の輸送船、駆逐艦への命中、撃沈事例が出始めます。
以下は個人的な推察ですが、
ニューヘブリデス諸島のB-17を封殺出来ない限り、ガ島奪還は困難と判断します。
この辺、当スレがソロモン戦に以降してからやりたいと思います。
>>667 六水戦は第一次ウェーク攻略戦で、
疾風が敵5インチ砲台に
如月が残存F4Fに
よって撃沈され、攻略を断念していますね。
駆逐艦は特型以前(それでも他国に比べて極端に見劣りするわけではありませんが)、
他の参加艦艇も旧式艦で、そもそも4F自体が最低限の戦力しか与えられていませんでしたが・・・
>>663 ワロタw
>液冷発動機のご用命は愛知時計電機(キラッ☆)
彗星の運用は難しかったが、液冷エンジンが悪い悪いと言われるだけで
他にこれと言った悪評を聞かないのは何故だろう。
>664
>しつこく迫る参謀に、ついに艦長は爆発した。
>半藤氏の創作かな?
マズその参謀というのが分からないし、仮に2Fの司令部の生き残りにしても
雪風自体の指揮権は雪風艦長にある訳だし、2F残存部隊に対する作戦継承したのは
冬月座乗の61駆逐隊だったか?手元に本無いからその辺端折るけど、その参謀が仮にモノホンにせよ、
機関参謀か、通信参謀か、雑務の参謀か、何の参謀かは知らんけど、一切指揮権はないしな。
創作臭いね。
>665
>なんで反対したんだろうか。
彼にとってカマ炊き(当時は石炭だろうが)の乗員なんて、
カマに石炭放り込む程度の兵としか思ってなかったフシもある。
カマ炊き風情が何ほざくかという鶴の一声だったらしいと、阿川の海軍こぼれ話では
機関科の士官の証言を交えて語っている。
>ロンメル
ちょび髭の命令はリビアにいるイタリー軍を守れであって、
アレキサンドリアを征服しろとは一言も言っていない、命令もない。
イラク辺りの英VS叛乱+ドイツ軍小部隊+ソ連軍+ペルシャ(イラン)との戦闘で
中近東の形勢はほぼ決まっていたから、ロンメルが仮にアレキサンドリアを陥としても
補給線が長すぎて無理っぽい。 東地中海の上は英国、更に東の中東には守り固めたイラク・英軍が居るし。
>B-17
欧州戦線では、護衛がなければフォッケや夜間戦闘機にぼろぼろ墜され、
その傾向は戦時中あまり変わらなかったんだが、戦域が変わると無敵になる法則は健在か。
……斜め銃…ぼそ
>>672 >戦域が変わると〜
無敵になるかはともかく、兵器の運用情勢が変わればその評価も変化するのは極普通のことかと。
43年以降、B-17どころかB-24の夜間爆撃によって内南洋の基地航空隊が軒並み大打撃を受けたのは事実ですし。
674 :
GF長官:2009/03/03(火) 21:28:53 ID:???
>>670 有難うございます。
反跳爆撃ならともかく、水平爆撃でも当てるとは侮れんな。
>この辺、当スレがソロモン戦に以降してからやりたいと思います
ソロモンか・・・(遠い目)
「ソロモン編」最初のレスは、「ソロモンよ、私は帰ってきた!」にしようかな。
>>671 そうですね。
ウェーク島攻略(第一次)に参加したのは、六水戦・十八戦隊・二十七潜戦。
開戦以来初めての水上艦艇喪失であり、緒戦快進撃の日本海軍にとって
唯一の汚点となってしまったわけですから、梶岡少将としても井上長官と
同じく、汚名返上の決意に燃えていたことでしょう。
675 :
GF長官:2009/03/03(火) 21:30:26 ID:???
>>672 自分でネタ解説をするのは、こそばゆいですが・・・
「星間飛行」と「艦爆の愛知」で星つながり。
>カマ炊き風情が何ほざくかという鶴の一声だったらしいと、阿川の海軍こぼれ話では
>機関科の士官の証言を交えて語っている
本職も探していたのですが、『海軍こぼれ話』でしたか。感謝します。
兵科と機関科の格差是正に熱心だったのは、井上長官らしいですね。
艦長ニモナレズ
司令官ニモナレズ
皆ニ罐焚キトヨバレ
ホメラレモセズ
モンダイニモサレズ
そういうものに私は、なりたくないよなぁ・・・
676 :
GF長官:2009/03/03(火) 21:57:01 ID:???
民主党ブーメランの法則は健在でしたな。
それにしても、「陰謀」やら「国策操作」やら、言い訳が隣国と一緒ですよ〜
>>668の続き
1200時、彼我の距離から、敵空母の第二次攻撃の危険は少ないと判断し、
五藤少将は、漣を祥鳳生存者救助に向かわせます(
>>645)
この判断の根拠となるのが、索敵機の触接情報。
>>432の通り、この時点でもなお、触接を維持しています。
ミッドウェー作戦時の重巡部隊も、八戦隊でなく六戦隊の方がよかったかも。
「安心と信頼の六戦隊索敵隊」
677 :
GF長官:2009/03/03(火) 21:58:42 ID:???
>>676の続き
この日(5月7日)、0630時の衣笠機から、1715時ツラギ発の九七大艇が
触接を失うまで、(断続的ではあるが)実に11時間(!)もの間、米空母に対
する触接を維持し続けた。
これは素晴らしいですね。
もちろん、この中には誤報も少なくなく、各指揮官の作戦指導を混乱させる
原因にもなるのですが、それでも、「敵空母が居るのか、居ないのか」という
段階で逡巡していた南雲機動部隊と比べれば、うらやましい限り。
索敵における、基地航空兵力の有用性がよく分かります。
MO作戦の冒頭、5月3日にツラギを攻略した意味は大きかった。
678 :
GF長官:2009/03/03(火) 21:59:31 ID:???
>>677の続き
それと同時に、索敵機の「数」の重要性も知らされる。
本職としては、波スレ
>>295でも少しふれましたが、ミッドウェーの索敵に
関しては、一段か二段かということよりも、むしろ7機という数の少なさが
気になるところです。
この日早朝からの索敵機数は20機以上(
>>150)
仮にミッドウェーで二段索敵を実施するとなれば、総機数は14機。
これを一段目に全機投入しても十分有効だという考えです。
679 :
GF長官:2009/03/03(火) 22:00:33 ID:???
>>678の続き
一つの敵部隊に対して、複数の索敵機が触接を継続するという形が望ましい
ですね。
例えば、利根四号機の「敵ラシキモノ・・・」電が入った時点(0440時)ですぐに
蒼龍の二式艦偵を発進させていれば、利根機の「誤報」にももっと早く気づいて
いたかもしれない・・・と妄想してみる。(実際の発進は0530時)
まぁ、防空戦闘の最中だし、空母かどうかも判明していない段階では難しいとは
思いますが。
「戦いは数だよ」
この真理は、攻撃や防禦のみならず、索敵にも適用されると言えそうです。
>>676 >それにしても、「陰謀」やら「国策操作」やら
第一声のコメントの中身がそれですからね。
そりゃ、ナチはヒトラーが首相になった瞬間いきなり解散、
権力を総動員して共産党を徹底弾圧したけど、それとは違うような。
>「戦いは数だよ」
セラムーンの有る一人は、仲間にこう言いました、戦いは数だよ。
681 :
GF長官:2009/03/04(水) 21:09:03 ID:???
>>681 「我が国では政変の起こる時、雪が降ると言うが・・・」(『沈黙の艦隊』より)
昨日も帝都は雪でしたな。
ちなみに3月3日は桜田門外の変。あの時も季節はずれの大雪だったそうな。
しかし、あんなこと言うと、検察を怒らせてあとがこわいぞ〜
今気づいたけれど、「国策操作」は「国策捜査」の誤りでした。
まぁ、なんでもいいですけれど。
682 :
GF長官:2009/03/04(水) 21:40:49 ID:???
>>679の続き
1225時、五藤少将は輸送船団に対し、ラバウル撤退を命令(
>>645)
これにより、「X日」(5月10日)にポートモレスビーを攻略することは、ほぼ
不可能となった。
続いて、1300時、六戦隊は六水戦と合同の上、夜戦決行を決意。
合同地点を、5月8日0時ちょうど、ロッセル島北20浬に設定(
>>355)
両部隊は、合同地点へ向けて南下を続行しますが、
>>677の通り、1715の
時点で敵空母に対する触接を失ってしまいます。(註)日没は1614時。
「第四艦隊司令部は、これらの索敵機の状況から、彼我の距離は約300浬
あり、かつその後の敵情をつかみ得ないので、今夜の夜戦決行は不可能と
判断した」 (『戦史叢書』)
683 :
GF長官:2009/03/04(水) 21:41:16 ID:???
>>682の続き
1840時、以下を下令。
(1)今夜ノ夜戦決行ヲ取止ム
(2)各隊ハ、予定ノ計画ニ基キ、ポートモレスビー攻略作戦ヲ続行スベシ
但シ、ポートモレスビー攻略日ヲ「X+2日」ニ改メ、第六戦隊第二小隊ヲ
MO機動部隊ニ加フ
(3)MO機動部隊ハ機宜行動、明八日黎明、敵空母ヲ捕捉撃滅スベシ
今夜敵情ヲ得ザレバ、明八日黎明、概ネ南緯13度・東経155度附近ニ達シ、
所要ノ索敵ヲ実施、敵機動部隊来攻ニ備フベシ(『第四艦隊機密第378番電』)
(註)「X+2日」は、5月12日
「第六戦隊第二小隊」は衣笠・古鷹
684 :
GF長官:2009/03/04(水) 21:41:47 ID:???
>>683の続き
(2)に関してですが、
輸送船団はラバウルへ向け撤退、翌5月8日は敵空母撃滅に専念するので、
「輸送船団の護衛」が任務であるMO主隊の兵力のうち、六戦隊二小隊の重巡
二隻をMO機動部隊に派遣して、防空兵力を強化しようという考えです。
(3)については、のちほど触れたいと思います。
この命令に基づき、南下中の第六戦隊第一小隊(青葉・加古)は、2127時に反転北上。
同時に第二小隊(衣笠・古鷹)は分離南下し、MO機動部隊合同へ向かいます。
六水戦も、六戦隊一小隊に行動すべく、反転北上を開始。
航路図によれば、米機動部隊は攻撃隊収容後、南東方向へ避退している。
たとえ夜戦中止命令がなくとも、会敵は難しかったと言えますね。
夜戦の可能性が消えた以上、残るはMO機動部隊の第二次攻撃に期待するしかない。
再び、原少将の出番です。
>>680 名将ドズルさんの言葉じゃないのか?
ドズルさんは南雲長官と山口司令を足して割らずに年齢を20台にした化けものだぞ。
>>684 『空母ヨークタウン』には、米側でもフレッチャー提督とバックマスター艦長が夜戦を検討していた、
との当直将校の証言がありますね。
この時期の米軍は夜戦を避けていたと思いますし、航空戦の推移からも夜戦の必要性は低いような。
クレース隊の運用検討だったのかもしれませんが、実際はどうだったんでしょうね?
>>685 しかし、「これしきのことで、国中の笑いものになるは!」
とグラナダへの援軍要請を躊躇したのは如何なものかと。
国家指導部層の政治的駆け引きが背景にありましたが。
>>687 しかし、検討しつつも、任務群は東へ待避中。
>>687 それ以前に防衛戦略そのものに問題があっただろ。
ソロモン本体を厳重に防備するあまり、周辺宙域の警戒が疎かだった。
これがためにワッケイン第三艦隊をティアンム主力と誤認したり
ティアンムによるソーラーシステムの展開を自在にさせてしまった。
せめて連邦進攻正面となるサイド2宙域に遊撃部隊を配置しておけば
索敵や効果的な側面攻撃などが可能になったのだが。
結論:ドズル中将が(ビグザムの)兵装転換を命じたのが悪い。
690 :
GF長官:2009/03/05(木) 21:08:56 ID:???
>>685 きっと士官学校では、戦史についても学んだのでしょう。
>>686 有難うございます。
戦闘詳報なんかも見れますね。こりゃ探すのが大変だわ。
>>687 そうですね。
米海軍の夜戦の練度はどれほどだったんでしょうかねぇ。
>>689 ・・・また、脱線しそうな予感・・・
691 :
名無し三等兵:2009/03/05(木) 21:20:39 ID:BiyhnziO
脱線しちゃえw
692 :
GF長官:2009/03/05(木) 21:22:17 ID:???
>>684の続き
さて、祥鳳沈没(0930頃)の前後、MO機動部隊はどこで何をしていたのか。
>>228に戻りまして、珊瑚海を西進中。高橋攻撃隊の帰投を待っていた。
原少将の苦衷と焦燥は察するに余りありますが、攻撃隊が空振りに終わった
だけなら、まだ取り返しがつくけれど、祥鳳沈没は決定的であり致命的。
この状況で茶でもすする余裕があれば、「ポスト東郷伝説」の最有力候補に
なれるでしょうが・・・
693 :
GF長官:2009/03/05(木) 21:22:52 ID:???
>>692の続き
「MO機動部隊指揮官は、0900、飛行機隊収容後ロッセル島西方の敵に向かう
旨を各部に電報した。
しかし、一度出た飛行機はなかなか戻ってこなかった。南洋部隊指揮官からは
繰り返し、敵機動部隊に対するMO機動部隊の近接攻撃の命令を受けた。
もとより心は弥猛にはやっても、いかんともすることが出来なかった」(『戦史叢書』)
(註)弥猛に(やたけに)勇みに勇んで
さらに、
>>559で指摘したことが現実化する。
「更に悪いことに、当時東南東13mの風が吹いており、飛行機収容のため、
一時後戻りしなければならなかった。南東貿易風帯に入っていたのである。
最後の飛行機収容が終わったのは、1315であった」
694 :
GF長官:2009/03/05(木) 21:31:01 ID:???
[航路図]
■ロッセル島
▽TF17(南下)
↓
(攻撃隊収容)
→→→
↑ ↓
←←←←←←←←▲MO機動部隊
↓ (西進)
←←←←←←←
↑
▲
高橋攻撃隊(帰投中)
695 :
GF長官:2009/03/05(木) 21:37:53 ID:???
>>694の続き
上記のように、分秒を惜しんで西進している最中に、ぐるっと一回り。
う〜む、なんとももどかしい。
しかも、攻撃隊は艦爆隊と艦攻隊が分かれて、三々五々帰投しますから(
>>228)
最後の一機を収容するまで逆行(東進)を続けねばならない。
奇しくも、日米両機動部隊は近接しつつあった。
前日(6日)に引き続き(
>>91)、7日もまた二度目のニアミスであり、この後思わぬ
形で会敵が実現することになります。
696 :
GF長官:2009/03/05(木) 21:46:36 ID:???
>>695の続き
1315時、ようやく攻撃隊を収容完了。
すぐさま、第二次攻撃隊発進といきたいところですが、ここでまた問題が生じる。
それが「迫る日没」です(日没は1614時)
>>110でも取り上げましたが、「高速機動部隊」と聞くと、広い洋上を縦横無尽に
疾駆する印象が強いですが、実は「夜間は作戦行動が取れない」。
この点、夜戦を本領としていた水雷戦隊などとは、大きく異なる。
697 :
GF長官:2009/03/05(木) 21:47:39 ID:???
>>696の続き
特に真珠湾攻撃のように、「全力出撃」で「第二次攻撃隊を出す」場合、
収容時刻と日没時刻との戦いになることは、心に留めておきたいですね。
波スレ
>>648の通り、
「飛行機隊は夜間の発着艦及び夜間攻撃の訓練はしていなかった」からこそ、
「実戦の経験を積ませる」ために、MO作戦に加えられたのが五航戦。
第二次攻撃隊を出すとなれば、当然収容は夜間となります。
原少将の決断はいかに。
698 :
GF長官:2009/03/06(金) 21:15:06 ID:???
ようやく二次補正関連法案が通ったこともあり、最近の会社での話題は、
専ら「定額給付金を何に使うか」でもちきり。
つい先週までは、
「ばらまきだ」「もっと有効な使い方があるはず」等
野党と似たようなことを言ってたのに。
ま、金を貰って嫌な顔する人はいませんからね。
心なしか同僚の顔がほころんで見える。
本職は何に使おうかな。
景気回復に少しでも貢献したいが・・・
『モリソン戦史』全集を大人買いするか?
しかし、このままいくと来月の自動車税に消えてしまいそうな予感。
それにしても、ちゃんとのし袋で渡すところが微笑ましい。
699 :
GF長官:2009/03/06(金) 21:29:10 ID:???
<空母赤城>
草鹿「長官、例の給付金は何に使われる予定ですか」
南雲「うむ、孫に何か買ってやろうと思ってな(ニコニコ) 君は?」
草鹿「私も妻に贈り物などをと考えておりまして・・・」(ニヤニヤ)
淵田「よっしゃ、次の上陸日には皆で飲みにいくでー」
一同「おー!」
源田「貯金貯金っと♪」
酒保『艦内宴会受付中 松阪牛すきやきコース お一人様1万2千円より』
700 :
GF長官:2009/03/06(金) 21:30:15 ID:???
>>699の続き
<重巡青葉>
主計長「なになに・・・!」
[聯合艦隊機密第三番電]
発:GF長官
宛:GF
本文:給付金ノ支給順序ハ、戦功ノ大ナル部隊ヨリ実施ス
「おい、五藤少将へ具申、急げ!」
『直チニポートモレスビー攻略ノ要アリト認ム』
<ラバウル>
井上「我々への支給は一番最後になりそうだな」
梶岡「そうですなぁ・・・orz」
701 :
GF長官:2009/03/06(金) 21:32:06 ID:???
>>700の続き
<ハワイ>
幕僚A「長官、日本艦隊の動きが急に活発になりました」
ニミッツ「なにっ、新たな作戦か?」
幕僚B「暗号解読班より報告です。
今回の日本海軍の作戦は、QF作戦と呼称されているようです」
ニミッツ「QFとは何処のことだ?」
幕僚B「そこまではまだ。例の手を試してみますか?」
『QF is out of water.』『QF is out of water.』・・・
幕僚B「ダメです。何の反応もありません」
幕僚C「どうやら日本艦隊は、最寄の連合軍基地に殺到しているように見えますな」
幕僚D「QFとは、ある特定地点を表す符合ではないのでは?」
ニミッツ「QFとはいったい・・・」
日米双方の迷走は続く・・・
702 :
GF長官:2009/03/06(金) 21:59:19 ID:???
おっと、こっちが本編だった。
>>697の続き
原少将にしてみれば(
>>228)
0851時に索敵機の誤報が明らかとなり、0900時急いで攻撃隊帰投を命じ、
ようやく事態の重大さを認識し始めた矢先、0935時祥鳳沈没(受信は0945時くらいか?)
四艦隊やMO主隊を始め、
「友軍攻略部隊が危機に瀕しているというのに、機動部隊は何をやっとるんだ!
昼寝でもしているのか!」
声なき声が届いていたことでしょう。
703 :
GF長官:2009/03/06(金) 22:00:38 ID:???
>>702の続き
これより先、1000時、原少将は以下の「作戦予定」を各部隊に通知。
「一二○○ 攻撃隊発進、デボイネ南東方ノ敵機動部隊ヲ攻撃ノ予定、
極力敵空母ノ所在行動予定通報ヲ得タシ」
つまり1000の時点では、1200時に第二次攻撃を発進するつもりだった。
もう「全力出撃」なんて言ってる余裕はありませんから、1200の時点で準備が
間に合った機体のみをもって、第二次攻撃隊を編成する意図だったのでしょう。
とりあえず、何らかの行動予定を通知しなければ、他の部隊に示しがつかない
ですからね。ミッドウェーの山口少将の意見具申時も、こんな心境だったので
しょうか。
704 :
GF長官:2009/03/06(金) 22:01:34 ID:???
>>703の続き
そして、各部隊宛に敵機動部隊情報を要請している。
それに応じ、各索敵機より次々と敵情が入ってきた。
1000の時点での触接機は、青葉・加古機、神川丸機、第五空襲部隊の一式陸攻。
>>677の通り、実に充実した触接ぶりです。
1020「デボイネヨリノ方位170度・85浬。敵針300度・速力16節」
1030「敵ノ兵力ハ、戦艦1・巡洋艦2・駆逐艦3ナリ、速力18節」
1040「デボイネヨリノ方位175度、針路310度・速力20節」
1115「敵空母ノ位置、デボイネノ205度・115浬」
705 :
GF長官:2009/03/06(金) 22:02:34 ID:???
>>704の続き
よーく見て下さい。
これらの触接情報は、実は敵機動部隊(フレッチャー空母部隊)ではなく、
分派されたクレース重巡部隊のものであることが分かります。
まず、敵兵力に空母が含まれていませんし、
発見位置がデボイネ南方(米空母はロッセル島南方)
針路が西(米空母は南下)(
>>167参照)
>>169のように、フレッチャー少将の思惑とは全く別の形で、日本側を混乱
させることになりましたね。
>>701 定額給付金=国民への真水。
地方へ金=真水
ふるさと創生1億円(みんな忘れている)も真水
確かに、QF is out of waterは的を射ているなw
707 :
GF長官:2009/03/07(土) 18:34:15 ID:???
>>706 「支給第一号」は確定済なので、余裕の南雲司令部。
708 :
GF長官:2009/03/07(土) 18:41:31 ID:???
今週の図書館情報は、朝日新聞縮刷版(昭和17年4月インド洋作戦編)
といっても、大本営発表そのままなので、あまり面白みがなかった。
4月10日朝刊で「英甲巡二隻を一挙撃沈」
4月11日朝刊で「英航空母艦ハーミス撃沈」の見出し。
やはりと言うか、作戦の詳細は記されていない。
「帝国海軍航空部隊」だけで、具体的な艦名は出てこないし、当然ながら、
南雲中将の名前も見当たらない。
ひとつ気づいたのは、戦争初期においては、航空母艦を「航母」と略する。
これが後半になると「空母」に変わっている。不思議だ。
南雲長官が登場するのは、昭和19年7月19日付朝刊「サイパン玉砕」
「サイパン島最高指揮官」として、写真付きで紹介されていますね。
709 :
GF長官:2009/03/07(土) 18:53:29 ID:???
>>574関連で、艦首正面からの魚雷攻撃にどう対処するかも紹介しておきます。
昭和20年7月18日マレー沖にて、米潜ホークビルと交戦した駆逐艦神風。
「そのとき突然、前方の海面にボコッと大きな水泡が上がった。魚雷発射の圧縮
空気の気泡だ。続いて3本の魚雷が神風に向かってくる。敵の正面攻撃だ。
艦橋から見ると、右と左の2本は明らかに外れているが、真ん中の1本がまっすぐ
向かってくる。これを避けようと変針すれば左右どちらかの魚雷に接触する。
絶体絶命の瞬間だった。
駆逐艦長・春日均少佐は、無表情で突進してくる魚雷を見つめていた。もう
観念するしかないように思われたとき、真ん中の魚雷の頭が波にたたかれて、
少し左に向きを変えた。すかさず、
『3度面舵のところ』と艦長は令した。
フッと艦首が右に振れたとき、魚雷は左舷3mのところをすれすれに通過して
いった」 (『軍艦物語』佐藤和正/著)
もしソマリア沖で海賊の魚雷攻撃を受けた時は、「面舵3度」でかわしましょう。
710 :
GF長官:2009/03/07(土) 19:22:24 ID:???
>>705の続き
しかし予想の反して、高橋攻撃隊の収容は遅れ、完了したのは1315時。
更に触接情報によれば、敵機動部隊は西進、我が方も西進でなかなか距離が
縮まらない。
「MO機動部隊においては、これらの情報から1200頃の同隊と敵空母部隊との
距離は430浬と推定した。しかも、敵は20節の速力で西寄りに向かっていた。
この距離は、攻撃隊を発進させるには余りにも離れ過ぎており、日没(1614)
まで航空攻撃できる見込みはなかった」 (『戦史叢書』)
711 :
GF長官:2009/03/07(土) 19:23:34 ID:???
>>710の続き
430浬は確かに離れすぎですね。
前日(6日)にツラギ大艇が発見した敵空母との距離が360浬でした(
>>89)
から、それより更に遠い。
参考までに、ミッドウェー海戦における友永攻撃隊の進撃速度は125節なので、
1200時に発進できたとしても、約4時間を要し、ぎりぎり薄暮攻撃に間に合うか
どうかという距離です。
通常は、目標の約200浬手前で攻撃隊を発艦させるのが常道ですね。
(真珠湾は230浬。ミッドウェーは210浬)
その倍近い距離からの発進は、躊躇するのも無理は無い。
712 :
GF長官:2009/03/07(土) 19:24:43 ID:???
>>711の続き
しかし、
>>705の通り、これらの情報はクレース重巡部隊のものであり、
フレッチャー空母部隊はもっと近くに居た!
その距離は1330の時点で200浬。十分攻撃圏内だったのです。
残念ながら、原少将がこの事実を知る術はない。
ついに1300時、原少将の具申に基づき、高木中将は以下を通知。
「距離ノ関係上、本日五航戦ノ飛行機ヲ以テスル攻撃ハ、遺憾ナガラ見込ナシ
当部隊一二○○、南緯13度45分・東経158度13分」
(『第五戦隊機密第八五九番電』)
713 :
GF長官:2009/03/07(土) 19:25:30 ID:???
>>712の続き
これを受け取った各部隊の反応は・・・
「間の抜けたこの一通の飛電は、五航戦による米空母攻撃を切望していた
各部隊を憤激させた。とくに空母祥鳳の沈没を目前にした第六戦隊司令部
では、絶望的な怒りがうずまいた。
『何をやってるんだ!あいつらは』
『距離の関係上、とは何事だ!』
横殴りの殲滅的攻撃を加えてくれるものと期待した五航戦が、錯誤のため、
『本日攻撃ノ見込ナシ』と電報したときの悲憤やる方なさは、今でもはっきり
覚えていると、通信参謀関野少佐は記している」 (『暁の珊瑚海』)
714 :
GF長官:2009/03/07(土) 19:26:12 ID:???
>>713の続き
そりゃそうですよね。
砲戦距離の10倍以上の距離を攻撃可能とするからこその「高速機動部隊」
なのに、「距離の関係上、攻撃の見込なし」とは・・・
このように五航戦側の攻撃中止電は、全軍に失望と怒りの種を撒き散らした
のですが、そのことを誰よりも一番よく理解していたのは、他ならぬ原少将
自身であったでしょう。
>>708 戦前の本では二つが混在してますな >空母と航母
てか海軍内部でも空母に呼称一本化したのが大戦後期だったかと
716 :
GF長官:2009/03/09(月) 20:35:20 ID:???
>>715 そうでしたか。有難うございます。
それにしても一面トップに「甲巡」やら「航母」と書いて受け入れられる当時の
環境がうらまやましい。
御婦人方や女学生たちも理解できていたのか?
717 :
GF長官:2009/03/09(月) 20:53:04 ID:???
MO作戦の「原JAPAN」は苦戦続きですが、平成の「原JAPAN]は絶好調。
まさかのコールド勝ちとは。実に酒のうまい週末だった。
さて今日は・・・
>>714の続き
さて、「夜間攻撃の章」に入る前に、祥鳳沈没の報に沸くレキシントン艦橋
より中継でお送りしましょう。
「この現場(祥鳳沈没地点)より南東約160浬の海上にあった、空母ヨーク
タウン及びレキシントンの無電室では、いずれも気をもんだ多数の聴衆で
満員の盛況であった。
なぜならば、これこそ実にアメリカ空母母艦機の敵空母に対する最初の
攻撃だったからである。
718 :
GF長官:2009/03/09(月) 20:54:37 ID:???
>>717の続き
無電の受信状況は不良で、無電で伝えられる各操縦士の会話の多くは、
聞き取れなかった。
すると突然、ガーガー鳴っていた雑音が止んで、有声無電より空母レキシ
ントン所属のSBD隊次席指揮官ロバート・ディクソン少佐の鋭い力強い声
が響いて来た。
Scrub one flattop!(空母一隻抹殺す!)
ディクソンより母艦へ、繰り返す、空母一隻抹殺す」 (『モリソン戦史』)
719 :
GF長官:2009/03/09(月) 20:58:00 ID:???
>>718の続き
『モリソン戦史』(第3巻)を読むと、
米海軍にとって、この祥鳳沈没がいかに快挙であったか。そして、
「レディレックス」が、いかに米国民に愛されていたか。
がよく伝わってきますね。
ドゥーリットル空襲やヒットエンドラン作戦のような「奇策」ではなく、日本海軍
と正面から戦って初めて挙げた戦果ですから。
おそらく、この「Scrub one flattop!」は、米国民にとっては戦史に興味の
ないような人でも知っている有名な台詞だと思われる。
日本なら「トラトラトラ」に当たるかな。
720 :
GF長官:2009/03/09(月) 20:58:49 ID:???
>>719の続き
『太平洋航空戦』というビデオでは、同じ場面のナレーションで、
「ロバート・ディクソン少佐がレキシントンに宛てて”Scratch one flattop!”
(空母一隻をやった!)という有名な電文を打ったのは、このときである」
となっている。
Scrub:ごしごしこする、Scratch:ひっかく
なので、どちらでも合っているのかな。
攻撃隊からの報告によらねば、戦況が分からないという点は、最後まで
お互いの姿を視認せずに終わった、史上初の空母決戦ならではの光景。
721 :
GF長官:2009/03/10(火) 21:09:40 ID:???
>>686 せっかく紹介して頂いたので、
今『MO機動部隊戦闘詳報』と読み進めています。
正真正銘の一次資料が、こんな簡単に読めるものとは。
良い時代になったもんですな。
722 :
GF長官:2009/03/10(火) 21:26:34 ID:???
>>720の続き
第17任務部隊は、1145時までに攻撃隊収容を完了。
未帰還機5機(SBD3・F4F2)
わずか58分(!)で第二次攻撃隊の準備を整えた。
日本側と比べると、段違いに速いですね。何か秘訣があるのか?
しかし、フレッチャー・フィッチ両少将は、第二次攻撃を実行には移さなかった。
『戦史叢書』によれば、その理由は、
723 :
GF長官:2009/03/10(火) 21:27:48 ID:???
>>722の続き
(1)午前中にネオショーが攻撃されたことにより、附近に日本軍大型空母が
存在することは確実であったが、その位置が確認されていない。
(2)レーダーの捕捉状況、日本軍触接機の無電傍受によって、自隊の位置
が日本軍に知られていることは明瞭である。
(3)日本艦隊捜索を実施する必要があったが、両空母間の信号交換に手間
取り時機を失した。
(4)たとえ索敵機が日本空母を発見したとしても、攻撃隊収容が日没後になる
おそれがあった。
妥当な判断と言えるのでは。
真珠湾攻撃での南雲長官と同じく、居場所の分からない敵空母ほど不気味な
存在はないですからね。
また、
>>696の通り、午後からの攻撃隊発進が日没との戦いになることは、
日本側と事情は同じ。
724 :
GF長官:2009/03/10(火) 21:29:09 ID:???
>>723の続き
一方の『モリソン戦史』では、これに加えて、
「日本空母航空隊の攻撃に備えて、十分な直衛戦闘機を残しておきたかった」
「祥鳳の護衛艦艇は、あまり価値がないと判断した」
モリソン博士は、この「第二次攻撃中止」を「賢明」と評価していますが、
五藤少将涙目・・・いや、ひと安心といったところか。
725 :
GF長官:2009/03/10(火) 21:30:30 ID:???
>>724の続き
結局、第二次攻撃隊の発艦は行われず、フレッチャー少将は艦隊を南下させた。
この間、MO機動部隊は西進を続けており(
>>694)、両者は接近しつつあったが、
双方とも、まだ気づいていない。
いやあ、珊瑚海海戦がこれほど面白いとは!
試行錯誤の空母決戦へ、手探り状態が続きます。
もっと注目されるべき、ですね。
726 :
GF長官:2009/03/11(水) 21:09:04 ID:???
>>725の続き
ここで四度時計の針を、5月7日黎明時に戻して、基地航空隊の戦闘を
見ていきたいと思います。
異なる戦場で同時に進行するのがMO作戦の複雑なところですが、確認
のためにも、簡単におさらい。
(1)MO機動部隊(
>>157〜)
索敵→米空母発見→攻撃隊発進→誤認発覚→ネオショー攻撃→攻撃隊帰投
→第二次攻撃隊準備中
(2)米機動部隊(
>>270〜)
索敵→日本艦隊発見→攻撃隊発進→祥鳳発見・攻撃→攻撃隊収容
→第二次攻撃は実施せず→南下中
(3)MO攻略部隊(
>>355〜)
米索敵機に発見させる→輸送船団避退→米攻撃隊来襲→祥鳳沈没
→夜戦企図→夜戦断念→北上中
そして、(4)基地航空隊の登場となります。
727 :
GF長官:2009/03/11(水) 21:23:18 ID:???
>>726の続き
基地航空隊(第五空襲部隊)の兵力は、
>>48の通り。
MO作戦がMI作戦と異なるのは、基地航空隊を利用できるところ。
しかも索敵だけでなく、攻撃兵力としても使える。
使用機は、「渡洋爆撃」で世界を驚かした九六陸攻と、
マレー沖海戦の殊勲機である一式陸攻です。
(一応、ツラギの九七大艇も)
728 :
GF長官:2009/03/11(水) 21:25:39 ID:???
>>727の続き
特に元山空は、マレー沖海戦にてプリンス・オブ・ウェールズ撃沈に貢献。
「このうち艦尾よりに命中した1本の魚雷が、実はプリンス・オブ・ウェールズ
の致命傷となったのである。
この魚雷は元山航空隊の石原中隊が命中させたもので、魚雷はちょうど左舷
外側軸のブラケット附近に命中、炸裂した。
この爆発により推進軸が大きく曲げられたため、隔壁がすべて破壊され破口
より浸水が始まった。
729 :
GF長官:2009/03/11(水) 21:27:04 ID:???
>>728の続き
最大の被害は、浸水により戦闘動力室と予備発電機室の8基のうち5基が停止
してしまったことである。このため排水ポンプは動かず、電話は不通となり照明
も止まってしまった。
更に、高角砲と舵機の電力が断たれて、事実上の防空力を失ってしまった」
(『写真太平洋戦争第1巻』)
これは期待して良いですよね!
それにしても、『世傑』(一式陸攻)の野原茂氏の記事はひどいな。
これじゃ「世界の傑作機」じゃなくて、「世界の駄っ作機」じゃないか。
730 :
GF長官:2009/03/12(木) 19:44:22 ID:???
>>729の続き
まず、早朝より行われた索敵のうち、第五空襲部隊の担当は、
ラバウル発 一式陸攻 3機
ツラギ発 九七大艇 4機(
>>150)
0620「敵機動部隊ラシキ艦影ヲ認ム、デボイネノ152度・150浬」(古鷹水偵・敵艦隊発見)
0630「敵見ユ、、ロッセル島ノ170度・82浬、針路30度・速力20節」 (衣笠水偵・敵艦隊発見)
第五空襲部隊指揮官・ツラギ発の九七大艇に触接命令
0715 四空ラバウル出撃(一式陸攻・雷装12機)指揮官:小林国治大尉
0725「敵見ユ、戦艦2・巡洋艦2・駆逐艦2、速力20節・北上中」(170度線の一式陸攻・敵艦隊発見)
第五空襲部隊指揮官・180度線の陸攻にも触接命令
0745 台南空ラバウル出撃(零戦12機)指揮官:中島正少佐
一式陸攻が誘導・四空の護衛につく
0840「ラバウルヨリ165度・151浬、附近密雲アリ、東方隙間アリ、進出可能」
(四空指揮官・小林大尉より報告)
0900 元山空ラバウル出撃(九六陸攻・爆装20機)指揮官:石原薫大尉
(うち一機は故障のため、途中で引き返す)
0914 触接中の九七大艇撃墜される(ヨークタウンF4Fによる)
0930 触接中の一式陸攻(0725時)、燃料不足のため触接断念・帰投
731 :
GF長官:2009/03/12(木) 19:51:31 ID:???
>>730の続き
□■ラバウル
□□□
□□□□□□□ ソロモン諸島
▼元山空(南下) □□
□□□□ ↓
□□■ラエ □□ □□
□□□□□ ▼四空+台南空(南下) □□ ■ツラギ
□□□□□□□ ↓ □□□ガダルカナル島
□□□■□□□□ ルイジアード諸島
ポート □□□□■ □ □■ □ ■ロッセル島 □
モレスビー サマライ デボイネ
↑
△フレッチャー空母部隊(北上)
←△
クレース重巡部隊(西進)
732 :
GF長官:2009/03/12(木) 19:59:47 ID:???
>>731の続き
第五空襲部隊指揮官・山田少将としては、0630時の衣笠水偵の索敵情報に
基づき、フレッチャー空母部隊への攻撃を企図していたようですが、報告位置
と実際の位置のズレからか、クレース重巡部隊と会敵することになります。
0725時の一式陸攻の報告によれば、0630時発見の空母部隊とは別に、
戦艦部隊が所在することになります。
この戦艦部隊の位置は、ちょうど進撃途上にあたるので、両部隊を一挙撃破
と考えていたのでしょう。
山田少将の日記に、
「丁度我ガ四空雷撃隊ノ進撃針路上ニ在リ、大イニ喜ビ成功ヲ祈ル」
とあることからも、その胸中がうかがえますね。
733 :
GF長官:2009/03/12(木) 20:00:43 ID:???
明日は所用のため、お休みとさせて頂きます。
続きは土曜日に。
734 :
不穏分子:2009/03/13(金) 00:35:05 ID:???
…聞いての通りだ諸君。
このスレを「牟田口閣下を称賛するスレ」にする日が来たようだ。
同志諸君には、打ち合わせ通りの行動に期待する。
長官は本日休暇で、テニスを楽しんでおられます。
引き続き明日の
雷撃隊出撃セヨ!
三菱一式陸上攻撃機 をお楽しみ下さい。
追伸、ラバウルにて水木しげる二等兵も奮闘中!!
>>735 >水木しげる二等兵
とりあえず、名誉除隊させて、同日付けで司令部付き従軍画家に再任させよ。
彼の腕は惜しい!
737 :
GF長官:2009/03/14(土) 17:20:44 ID:???
>>734 絶☆対☆阻☆止 >牟田口閣下を称賛するスレ
陸軍さんのことはあまり知らないので保留。
遊就館には、「インパール作戦とインドの独立」という冊子があり、評価する
向きもあるようですが。
>>735 どうして分かったんだろう・・・>テニスを楽しんでおられます
静子「おじさーん、コート貸してねー」
南雲「わしも仲間に入れてくれよ」
静子「へぇ、おじさんもテニスできるの?」
(南雲中将、テニスに初挑戦)
静子「ぜんぜんダメじゃん」
南雲「面目ない」
静子「おじさんは閣下なんだってね。これから閣下と呼ぼうかな」
南雲「閣下はちょっと具合悪いな。今まで通りおじさんでいいよ」
静子「じゃあ、おじさんでいいや」
南雲「君のことも、しぃちゃんって呼んでいいかな」
南雲忠一、人生初めての青春であった。
738 :
GF長官:2009/03/14(土) 17:32:31 ID:???
昨日は有休を使って、「聖地巡礼の旅第9章」(帝都編)ということで、東京へ
行って参りました。
今回の目的地は、東郷神社→乃木神社→国会図書館。
東郷神社
潜水艦碑と特年兵碑がありましたね。14才で志願とは・・・
社廊の壁に元帥一代の絵が飾ってあったのが印象的。
乃木神社
乃木邸に厩(うまや)が再現されており、旅順陥落後ステッセル中将から
贈られた馬は、壽号(すごう)と呼ばれ、乃木将軍の乗馬として戦後も愛
されていたらしい。
「両将昼食(ひるげ)共にして なおもつきせぬ物語
我に愛する良馬あり 今日の記念に献ずべし」
(『水師営の会見』文部省唱歌)
また、会見場のあった棗(なつめ)の木の孫(?)もあり、軍歌好きとしては
満足のいくものでした。
「庭に一本棗(なつめ)の木 弾丸あとも いちじるく
くずれ残れる民屋に 今ぞ相(あい)見る二将軍」(同)
739 :
GF長官:2009/03/14(土) 17:40:34 ID:???
>>738の続き
今回の主目的は国会図書館。
初めてでしたが、『父南雲忠一の言葉』(
>>171)等の資料を見たいと思っていました。
ところが、受付で聞いてみると、書簡等の個人資料は置いてないとのこと。
予定外でしたが、目黒の防衛省防衛研究所に行くことに。
なにせ、公刊戦史の発行元ですからねぇ。
壁一面に並んだ『戦史叢書』は圧巻!
MO作戦関連の資料をあさってきました。
最後は恒例の靖国神社へ。
スレ立て以来初めて遊就館見学。
南雲中将は、サイパン玉砕のコーナーで軍服と共に紹介されていました。
1/100(?)翔鶴の模型は何度見ても見ごたえがありますね。
国会図書館の受付の方へ、
「南雲」を「みなみぐも」と読んだり、「中将」を「ちゅうしょう」と言ったり・・・
これが現代の標準なのでしょうか。
740 :
GF長官:2009/03/14(土) 17:47:42 ID:???
>>739の続き
珊瑚海海戦関連でいくつか。
5月7日の祥鳳沈没ですが、高木中将・原少将がどのように知ったかが
はっきりしない。
「MO機動部隊」「軍艦瑞鶴」両戦闘詳報には、それらしき記載がないので
不思議だ。
戦闘詳報・戦時日誌等は、「アジ歴」(
>>686)で閲覧できるのですが、原本
に触れられたのは貴重な体験でした。
「え、手袋とかしなくて良いの?」と思うくらい、あっさりと貸してくれるので驚き。
表紙の「軍極秘」等の赤印を見ると、戦場の雰囲気が伝わってくるようです。
741 :
GF長官:2009/03/14(土) 18:00:22 ID:???
>>740の続き
『軍艦祥鳳戦闘詳報』より、祥鳳の最期を(総員退去命令以降の描写)
「然レドモ、乗員尚退去スル者ナク、砲員イヅレモ残砲ヲ以テ、身水中ニ没スル迄
上空ニ残存スル敵機ノ砲撃ヲ継続シ、又其ノ他ノ配置ニアリテモ、身浸水スルニ
至ル迄配置ヲ去ラズ、奮戦力闘、残力ヲ尽シテ尚已マズ為ニ、上甲板以下ノ配置員ハ、
概ネ退去ノ暇ナク、戦闘配置ニ就キタルママ沈ミ行ク
艦ト其ノ運命ヲ共ニ、壮烈無比ノ戦死ヲ遂ゲタリ、時ニ午前九時三十五分ナリー」
なんと、格調高い文章でしょうか。
「全艦浸水・火災ヲ生起スルノ苦境ニ在リテ、毫モ屈セズ、奉艦死闘ヲ最後ノ一秒迄
止メズ、艦没スル迄、旺盛無比ノ攻撃精神ヲ如実ニ顕現セリ」
海ゆかば水漬く屍そのままの散華・・・黙祷
742 :
GF長官:2009/03/14(土) 18:24:47 ID:???
>>732の続き
先発したのは、四空雷撃隊(
>>730)
昭和16年4月に制式採用された一式陸攻を、高雄空や鹿屋空等に引き続いて
配備された部隊が第四海軍航空隊。
(高雄空や鹿屋空の陸攻は、開戦初日に台湾高雄基地から出撃、比島米陸軍
航空戦力を壊滅させた)
四空もそれに続けとばかりに、ソロモン・ニューギニア戦線に進出するも、その
初陣は惨憺たるものだった。
それが、昭和17年2月20日のニューギニア沖海戦です。
743 :
GF長官:2009/03/14(土) 18:25:47 ID:???
>>742の続き
真珠湾攻撃から凱旋した南雲機動部隊(なんだか久しぶりに聞いたな)は、正月
休みもそこそこに、ビスマルク諸島攻略支援のため出撃。
1月20日より始まった、一・五航戦の攻撃の下、1月23日ラバウル占領。
同時に四空もラバウルへ進出。
これに対し米海軍は、ウィルソン・ブラウン中将麾下の第11任務部隊にラバウル
空襲を命じます。いわゆる「ヒットエンドラン」作戦ですね。
(同隊はレキシントンを基幹とした機動部隊)
このブラウン中将は、あまり聞いたことがない名前ですね。
機動部隊を率いるということは、それなりの経歴があったのかな。
744 :
GF長官:2009/03/14(土) 18:27:04 ID:???
>>743の続き
2月13日、通信諜報により、米艦隊がハワイを出撃したと判断した南洋部隊は
警戒態勢に入り、2月20日、早朝にラバウルを発進した九七大艇(横濱空)が
敵艦隊を発見した。
0830「敵大部隊見ユ、ラバウルノ75度・460浬、針路315度」
この後、同機は消息を絶った(米機により撃墜)
急報を受けた山田定義少将(第二十四航空戦隊司令官)は攻撃を決意。
四空陸攻に出撃を下令。
念願の米空母発見に意気上がる四空隊員、勇躍ラバウルを飛び立ちます。
マレー沖海戦の快挙の後だけに、「今度は俺たちの番だ」と思っていたこと
でしょう。
果たして戦果は。
おい長官!はよ戦果を報告せんか!
現在長官は潜水行動中で、連絡が取れません。
深く静かに潜行せよ。 ブクブクブク カーン
748 :
GF長官:2009/03/16(月) 21:03:53 ID:???
時流に乗じて(?)ETCを装備。
助成金は有難いな。
三菱重工製にしたので、本職の愛車は機体と発動機が中島製、電装無線関係が
三菱製というわけだ。
本土上空ノ防備ハ万全ナリー
749 :
GF長官:2009/03/16(月) 21:35:59 ID:???
浮上ー! お待たせしました。
>>744の続き
2月10日に開隊した第四海軍航空隊。
念願の初陣の時がやって参りました。
1200 九七大艇・ラバウル出撃(触接継続用)
1220 一式陸攻17機・ラバウル発進(指揮官:四空飛行隊長・伊藤琢蔵少佐)
1435 第二中隊・敵主力部隊発見、攻撃開始
1500 第一中隊・同上
1615「一五三○爆撃終了、防禦砲火熾烈、数機自爆ス、一隻撃沈、一六○○」
(隊長機より報告・その後消息を絶つ)
夕刻 陸攻4機帰還(うち2機は不時着)
750 :
GF長官:2009/03/16(月) 21:37:43 ID:???
>>749の続き
ここで注目すべきは、戦闘機の護衛がついていないことです。
当時、台南空はまだラバウルに進出していない(進出は4月中旬)
しかし、四空には戦闘機隊もあった。
なのに、なぜ護衛をつけなかったのか。
『戦史叢書』によれば、
(1)九六艦戦の作戦行動範囲は250浬で護衛は不可能。
(2)零戦ならば随伴は可能だが、増槽が到着していなかった。
(註)敵機動部隊までの距離は460浬(
>>744)
更に航空魚雷も到着していなかったため、爆撃のみとなった。
751 :
GF長官:2009/03/16(月) 21:39:27 ID:???
>>750の続き
その結果、どうなったのか。米側の資料によれば、
第二中隊(9機)爆撃前に2機撃墜。7機が投弾するも命中弾なし。投弾後全機撃墜。
第一中隊(8機)爆撃前に3機撃墜。5機が投弾するも至近弾のみ。投弾後1機撃墜。
実に、17機中13機が撃墜されるという大損害。
結局米機動部隊は、企図が発覚したためラバウル空襲を断念し避退。
一方南雲機動部隊は、一・二航戦がポートダーウィン空襲。五航戦が内地帰投中で
対応できず。
>>729の野原氏によれば、
「空母をともなった艦隊に対する陸攻隊の”裸”の攻撃が、いかに悲惨な結果を招くか、
このとき思い知らされたはずである。だが、海軍の陸攻運用術に具体的な変化はみら
れなかった」と手厳しい。
752 :
GF長官:2009/03/16(月) 21:41:01 ID:???
>>751の続き
しかし、当事者である山田少将と四空の搭乗員にとってみれば、今回のMO作戦での
敵艦隊攻撃は雪辱戦であり、零戦の護衛をつけていることからも、戦訓を活かそうと
している努力は見られると思うのですが・・・
「一式陸攻は昭和16年4月、制式機になったばかりの新鋭機で、大いに期待されて
いたが、九六陸攻に比べて被害が多く、特に四空は激しい消耗のために搭乗員の間
には、”四空は死空(しくう)だ”とささやかれるほどであった」
(『写真太平洋戦争第4巻』)
確か零戦も、32型の次が52型となったのは、42型だと「死に」型になるので縁起が
悪いという理由だったと記憶します。
今回は、零戦の護衛もついているし、相手は空母部隊ではないし(本人たちはまだ
知らないけど)、きっと大丈夫ですよ!・・・たぶん
753 :
GF長官:2009/03/16(月) 21:53:11 ID:???
>>750の捕捉
『四空飛行機隊戦闘行動調書』によれば、一式陸攻の装備は、25番×2
17機なので、計34発ですね。
またラバウル帰着は、1810時となっています。
「被害」欄の「自爆」の多さに圧倒されてしまう。
にもかかわらず、翌日早朝から一式陸攻10機が索敵任務に就いている。
戦友の死を悼む時間さえ許されないのが、戦場の実態か。
空襲警報が出て、避難壕への退避を命じられても、敢えて部署から離れない兵や下士官も居た。
彼等はもう疲れ切っていたので、私も敢えて強くは言わずそのままにした。
戦場の常として、死はむしろ、先が見えきった戦場よりも楽だと、私ですら思っていたからである。
(ラバウル海軍航空隊 ブイン基地 奥宮正武)
むしろ、名誉の戦死になるので、軍法的に合法な自殺もOKと。
>>753 悼む暇もなく攻撃に出られる状況はまだいい方ですな、地獄はこれからですよ。
755 :
GF長官:2009/03/17(火) 21:10:56 ID:???
>>754 そうですね。本職の中で印象的なのは、
「帰って来た搭乗員たちを迎えてすぐ私が気がついたのは、その顔つきだ。
内地では見られない、いやここラバウルでなければ見られない目つきである。
目ばかりがギョロッと光って、その奥に底知れぬ何かがある。顔は笑っても
目だけは笑わない。
連日、敵機と命のやりとりをし、戦友が次々と消えてゆく中を生き残り、明日は
我が身かもしれない、そういう状況にあるもののつら魂である。敵機は俺たちが
落とすのだという自負と気迫のつら魂である」 (『零戦撃墜王』岩本徹三/著)
756 :
GF長官:2009/03/17(火) 21:11:40 ID:???
>>755の続き
敗色が濃厚になってくると、洋の東西を問わないようで、ルーデル閣下も
「あと二日でクリスマス。まさにその通りである。
だが、離陸ー出撃ー着陸ー離陸ー出撃ー私たちのリズムはこれ以外にはない。
明けても暮れても、ここ数年間続いたリズム。寒さも暑さも、夏も冬も、日曜日も。
一日が過ぎて一日が来る。今日の呼吸は昨日の呼吸と全く同じである。
”出撃””どこへ””どの部隊に””対空砲火”このようにして永久に続いていくのが
私たちの人生であろうか」 (『急降下爆撃』)
「戦友の死を悼む」云々が気になるのは、まだ余裕のある状態なのかもしれない。
757 :
GF長官:2009/03/17(火) 21:32:28 ID:???
>>754の続き
ニューギニア沖海戦の戦訓を鑑み、今回は台南空の零戦隊が護衛につく(
>>730)
米空母相手に12機とは、少し心もとない気がしますが、当時の台南空としては
精一杯だったのではないかと。
『MO機動部隊戦闘詳報』によれば、
「5月1日付の二十五航戦・戦闘機使用可能数は、九六艦戦4機・零戦18機」
5月2日の五航戦による零戦空輸要請(
>>72)もうなずけます。
758 :
GF長官:2009/03/17(火) 21:33:38 ID:???
>>757の続き
『暁の珊瑚海』によれば、0745時ラバウル発進となっており、
>>730もそれに
ならいましたが、『台南空飛行機隊戦闘行動調書』によれば、ラエ発進となって
いる。
>>49の通り、台南空はラエまで進出していたので、こちらが正解か?
四空雷撃隊の発進より30分遅いのは、巡航速度が零戦の方が速いからだと
いう理由で、ラバウルより飛来した一式陸攻の誘導により出撃します。
759 :
GF長官:2009/03/17(火) 21:34:51 ID:???
>>758の続き
さていつもポートモレスビー空襲ならば、片道160浬・約1時間の近距離ですが、
今回は、ルイジアード諸島(
>>731)を越えて珊瑚海まで進出。
片道500浬という、後のガ島攻撃に匹敵する長距離攻撃です。
その上敵機との空戦も予想される状況ですから、残りの燃料が不安になるのも
無理はない。中島少佐の出撃前の訓示にも、
「我々が今まで交戦してきたのは陸軍の戦闘機ばかりだったが、今日始めて米
海軍機と対戦する。相当に手強い相手だと聞いている。皆も本望だろう。しっかり
頼む。全員不時着の覚悟で行け。不時着可能箇所は三ヶ所。ここから味方艦船
が救助に向かってくれる」 (『暁の珊瑚海』)
760 :
GF長官:2009/03/17(火) 21:35:36 ID:???
>>759の続き
実際、帰路全機ガスマタに不時着している。
(註)ガスマタはスルミのこと。ニューブリテン島(ラバウルのある島)の南岸。
しかし、ラエよりスルミに帰る方が遠いのに、「不時着」とは不思議だ。
やはりラバウル発進だったのかな。
ちなみに、この中に坂井三郎一飛曹は含まれていません。
『行動調書』によれば、「ラエ上空哨戒」となっている。
搭乗員氏名欄に「坂井三郎」や「西澤広義」を見つけるとワクワクしますね。
> 全員不時着の覚悟で行け。不時着可能箇所は三ヶ所。ここから味方艦船
> が救助に向かってくれる」
何と心強い訓辞。 これが徹底されていれば、多くの優秀な搭乗員がリターンマッチよろしく
何度も何度も蘇り、空きの戦闘機や攻撃機で再出撃が可能だったろうに。
浜田の疑問は直ぐ氷解した。
墜ちたB17のアーマーに向かって20mm機関砲を撃ってみたのである
兵士 準備よろし
指揮官 よしやれ
どどどっどどどおどどどどど カンキンカンキンカンカン!!
アーマーに近寄る司令と隊長と搭乗員と整備兵たち
隊長「うーん、これじゃ墜ちんな」
整備員「傷程度ですね、跳ね返してますよ、搭乗員の椅子の後ろですらこれでは」
搭乗員A「アメさん、搭乗員をえらい大切にしてくれますな」
搭乗員C「零戦1機戻ってきたぞ!」
搭乗員B「アイツやられてるぞ」ブロンボロロロン 着陸後皆が駆け寄るが、搭乗員は機上戦死。
B17の装甲板に比べれば、零戦の外板なんてぺらぺらの紙みたいな物だった。
この搭乗員に関する考え方の違いが、日米の明暗を分けることになる。(零戦燃ゆ 映画板)