>>237のBについて
陰謀論の有無は別問題として、戦争特需でアメリカの景気が大幅に拡大したのは事実。
儲かったというより戦時の経済政策が成功して富が増えたというのが正確。
ケインズの理論を元にしたルーズベルトのニューディール政策は、大規模な財政出動の
継続に対して産業界から反対があり、違憲訴訟も度々なされ、途中で財政再建路線に
転換したため失敗する。
この時、ケインズは『ニュー・リパブリック』誌で「私の説の正しさを証明できるに
十分なほどの財政支出は、戦争でもない限り不可能だ」と書いている。
パールハーバーで大義名分を得たことにより、ルーズベルトはヒトラーが実行した
全体主義的経済に近い強権的な経済政策を実行でき、それが成功したといえる。
アメリカの1938年の経済成長率は-3.8% 失業率15.9%
それが戦時体制、統制経済への移行によって1942年には失業率が4%未満に下がり、ほぼ完全雇用を達成。
また経済成長率は1941〜1945年平均11%で、実質GDPは5年で70%増大。
戦争費用は膨大で年平均でGDPの30%を超え、トータルでおよそ3300億$と推計。
1933〜1940年のニューディール期における公共事業や救済事業などの支出が300億$強だったことと
比較すれば戦争がいかに巨大な公共事業であるかわかる。
その巨額の戦費をアメリカは主に国債発行と増税で賄った。
20万$を超す所得には94%の所得税が課せられる。
財務省はFRBに要請し、国債を発行利率2%台の低金利に抑え、利払い負担を軽減。
並行して主要消費財の価格固定及び、消費財の購入クーポン割当制によって民間消費を
抑制し、かつ標準的な労働者の税率を23%に留めて、国債購入インセンティブを与える。
またキャピタルゲイン課税を25%に留めたことにより、企業は高率の所得税を避け、
配当を抑えて内部留保を増やし、富裕層もまた株や債権などで資産を維持した。
以上のような戦時下の経済政策でアメリカでは富裕層も一般労働者も大幅に貯蓄が増えた。
その巨大な貯蓄が戦後、統制経済の終了と生産体制の民需への移行によって50年代の高度消費社会へと繋がる。
戦時に発行した長期債も50年代に約70%が償還された。
アメリカのいわゆる”黄金の50年代”は戦時の資本蓄積をベースにして生まれた。