次期F-Xについて考えるスレ 24機目

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738名無し三等兵
1998年4月、「非防大卒の物理屋」という異色の経歴を持つエンジニアが次世代の国産戦闘機開発に向け、
最前線に立とうとしていた。

「防衛庁技術研究本部・第三開発室長(航空機開発付)」戦闘機開発全般の現場責任者を意味する肩書きを
得た若森弘二は「ミサイル(開発)がやりたい」という動機で防衛庁に就職。
だが、入庁後に博士号を取得すると「いきなりジェット戦闘機をやれ」と言われ、
次期支援戦闘機(FSX)の機体開発を担当。以来一貫して航空機畑を歩み続けていた。

それまでにも「ATD-X」の話は耳にはしていた。ところが、90年を過ぎた頃に描かれていた「絵」は
ぷっつりと姿を見せなくなっていた。それから八年余。
晴れて航空機開発の責任者となった若森は日の目を見なくなって久しかった実証機に再びスポットライトを当てることを決意した。

若森が最初に着手したのはステルス性能のコンセプト設計。
一般に「敵レーダーに捕捉されにくい」と表現されることが多いステルス性能だが、
求められる要素は対レーダー(電波)だけではない。
ステルス性を向上させるには電波に加え、音、光、可視光線も考慮しなければならない。

ある米国出張の際、若森はそれを実感した。「あの方角からステルス爆撃機B2が飛んできます」
米国防総省担当者の説明を受け、目を凝らして見ているとカラスの群れの中からいきなり一つだけが大きな黒い塊、
すなわちB2となって現れた。その時、耳にしたのはジェット戦闘機に付きものの爆音とは無縁の「
ヒュルン、ヒュルン」という乾いた高音だけだった。