>>278の続き
この「撃滅」という東郷長官の強い決意を具現化したのが、「作戦の神様」
秋山真之参謀の「七段構えの戦法」です。
「真之は敵を一艦のこらず沈めるとすれば、原則としてこれ以上にないと
考えている。つまり、済州島からウラジオストック沖までの海面を七段に
区分するのである。その区分ごとに戦法が変わる」 (『坂の上の雲』)
具体的には、
[第一段]日本近海に現れた露艦隊を、駆逐隊等の快速小艦艇をもって襲撃し
混乱せしめる。
[第二段]翌日、聯合艦隊主力をもって正攻撃をかける。艦隊決戦。
[第三段]日没後、水雷艇による夜襲で奇襲をしかける。
[第四段]翌日、[第二段]と同じ。
[第五段]日没後、[第三段]と同じ。
[第六段]翌日、聯合艦隊主力大部をもって、残存露国艦艇をウラジオストック
港外の機雷敷設区域に追い込む。
[第七段]機雷により爆沈させる。
「第一段から第七段まで相互に関連しつつ、しかも各段が十分に重なり合って
いて隙間がない。その精密さと周到さにおいては、古今東西のどの海戦史も
このようではない」
艦隊防空においても、その思想は共通しており、「一発の爆弾さえ命中させない」
すなわち「一機の味方上空への侵入さえ許さない」ためには、多段構えの防禦
しかない。
「七段構えの戦法」と同じく、艦隊上空をいくつかの区域に分割し、各区域ごとに
戦法を変えて、敵機を漸減していくという方法になります。