極東の名無し三等兵 in 「軍事板常見問題 mixi支隊」
軍事研究で好評連載中の「連載:戦車7000両の激突!湾岸戦争大戦車戦」でありますが,今月号の
「第18空挺軍団の『西方の壁作戦』 フランコ・アメリカン機動隊の結成/敵領一五〇q史上最大のヘリボーン侵攻作戦」
に大変興味深い話があります.
<ユーフラテス河畔で発生した無敵M1A1タンクバトル> p144
トム・クランシーの「Armored Cav」でも報告されているエピソードらしい
第24歩兵師団所属のとあるM1A1がユーフラテス河畔を進撃中だったが,運が悪いのことに泥穴にはまり込み,戦車回収車を待つことになった.
部隊はそのまま進撃.
まぁ,敵なんか来ることはないだろうと楽観視していた所に,
T-72神がやってきた しかも3輌同時に!!
M1A1は泥穴にはまり動けない,戦力差1対3!という絶望的な状況に.
最初に砲撃したのはT-72.
距離1000メートルからHEAT弾を射撃!
見事砲塔に命中・・・・
しかしM1A1は生きていた!!
その後M1戦車の反撃により,返り討ちに遭う.
もう1輌のT-72も,距離1000メートルからHEAT弾を射撃し命中弾を浴びせたが,熱エネルギーが足りなかったのか,これまた貫通に至らず.
恐れをなしたT-72は逃亡しようとしたが,これを見逃さずにM1戦車は砲撃.
エンジンルームに命中弾を浴びたT-72は爆発炎上.
続けて2輌失ったイラク軍戦車隊・・・残るは1輌!
しかしこのT-72は猛突進を掛けた!
そして憎きM1戦車との距離を400メートルまで接近させ,125mm滑腔砲から放たれた高速徹甲弾を砲塔正面に命中させた!!
こうして偉大なるT-72神は,見事に憎き邪神を打ち砕いたのである・・・Объект
-完-
……というのは嘘で,実際には400メートルという距離で放たれた砲弾は確かに,砲塔正面に命中しましたが,
装甲にちょっとした窪みを付けただけで弾き返されましたとさ.
\(^o^)/
高価なダングステン弾芯ではなく,安価な鋼鉄製弾芯を使ったのが勝敗の分かれ目とされる.
だがこのT-72の戦車長は切れ者で,迷うことなく傍にあった小砂丘の背後に隠れた.
迂闊に逃走すれば砲撃の餌食になると判断し,操縦手の腕もあってすぐに隠れる事が出来た.
それは大変見事な操縦捌きであったが,しかし運命の女神は彼らに微笑まなかった.
小砂丘という地形とM1A1のテクノロジーが,彼らの運命を定めたのであった.
M1の砲手は高感度の熱映像装置(TIS)に目を凝らして,小砂丘の上に異様な熱の陽炎が湧き上がっているのを探知.
これはT-72のエンジンから吐き出された高温の排気ガスに違いなかった.
これを見逃さなかったM1砲手は,砂丘のT-72が潜んでいる当たりに狙いをつけ砲撃.
そして3発目の砲弾は,小砂丘を貫通し潜んでいたT-72に命中.
優秀な乗員を乗せたT-72は爆発炎上した・・・
3輌のT-72が1輌のM1A1(しかも動けない)に敗れ去ったのだ.
たった1輌に・・・そうたった1輌に,