363 :マンセー名無しさん [↓] :2008/07/22(火) 14:34:54 ID:arD6qawG
竹島めぐる「政治的」な領有権争い テリトリーより友好関係こそ国益
2008年7月22日 AERA
かつて飼っていた虎模様のオス猫は毎夜どこかへ出かけた。一度ついて行くと、近所のマンションの
駐車場が領地らしく、巡回して領有権を示し、ほかの猫が侵入すると威嚇したり、襲い掛かったりして
追い払う。駐車場を守っても獲物はなさそうだし、そもそもマグロの赤身を常食とするグルメ猫が
領地争いをするのは非合理では、と苦笑した。生物学者に聞くと、“経済的権益”よりは、
領地がないとメスにモテないなど“政治的理由”によるらしい。
日本の中学校の学習指導要領解説書が竹島に言及することに韓国が怒り、日本の駐韓大使を呼びつけて
抗議したり、駐日大使を帰国させたりする騒ぎぶりに、昔の猫を思い出した。韓国は竹島に警備隊を
置いて実効支配しており、日本は事実上黙認しているのだから、日本が建前上「日本領だ」と言っても
実害はない。日本との関係をこじらせるより、黙って実効支配を続ける方が合理的と思える。
だが他人のことを笑えない。日本は中国(台湾を含む)が領有権を主張する尖閣諸島を実効支配し、
竹島とは逆の形になっているが、中国が1992年に領海法を定め、その中に建前通り尖閣を含めた際には、
「中国が奪取しようとしている」と騒ぐ人が日本で少なくなかった。政府の指導者同士は、小島の領有権で
対立するよりは日中、日韓の友好関係の方がより大きな国益だとわかっていても、公言すると、“愛国者”が
「領土こそ国益の最たるもの」と弱腰を非難するし、国民一般にも動物の本能としてのテリトリー意識が
残るため、政治的理由から強硬姿勢を示さざるを得ない。
狩猟や農業が経済の主体だった時代にはテリトリーが決定的な重要性を持った。しかし先進国では
農漁業の国内総生産(GDP)に占める比率は数パーセントだ。商工業・金融の時代には、
領土よりは資本、技術、情報の方が国力の主要な要素で、海外商権、すなわち友好関係、も不可欠だ。
どの国でもそれを教える方が国益伸長に有効なのでは、と考える。(軍事ジャーナリスト 田岡俊次)
http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20080728-01-0101.html