誇り高きナチスドイツ

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136だつお
搾取と略奪
ヨーロッパ征服によってドイツの経済は豊かになった。労働力と食料と資金
がドイツに流れ込み、ドイツの戦争への熱意を煽った。 ・・・中略・・・  
経済的な搾取の手段は地域ごとに異なり、また時とともに変わった。
1930年代の終わりに奪った地域では、工業と農業がドイツの経済に
密接に結びついた。4ヵ年計画は、産業を組織的に奪取することと、
ドイツが何を必要とするかを明確に示すことに大きな役割をはたした。
奪取した産業は国有の帝国工場「ヘルマン=ゲーリング」が運営した。
帝国工場はオーストリア、チェコスロバキア、ポーランド、のちにベルギー
と東部フランスで、鉄、鉄鋼、石炭、機械などの企業を吸収して、世界有数
の大企業となり、 その資産は1944年には43億7500ライヒスマルクに
値した。獲得したなかで最も重要なのは、 有名なチェコのシュコダ兵器
工場で、帝国工場は1940年末にはその株の63%を買収していた。 
占領したヨーロッパの他の地域からの搾取で、主に占領軍の必要をまか
なったり、ドイツの軍事行動の資金にあてたりした。戦後の計算では、
占領地域は、750億マルクほどの貢献をし、占領コストは530億だったとさ
れている。衛星国を含めドイツが支配したヨーロッパの全体が、ドイツ
に1200億マルクの貢献をした。つまり、戦争に費やされた資金の約20%
である。・・・・・中略・・・・・・・・・1944年のピーク時には、
ドイツには760万人の外国人労働者がいた。うち570万人が一般人で、
190万人が捕虜だった。・・・・中略・・・・・・・・1944年の8月までに、
ドイツの労働人口46%は外国人労働者と捕虜で構成され、採鉱労働者は
3分の1がそうだった。

ヒトラーと第三帝国 / リチャード・オウヴァリー/著
永井清彦/監訳 秀岡尚子/訳 牧人舎/訳