ハンドガン総合スレ32

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クマの熱い息は生臭く、彼の荒い呼吸の中に無理矢理入って来た。
右半分を咬んだ熊は、顔をガクッと振った。
その瞬間、Sさんのギャーという悲鳴とともに
右耳、右目、頬は、顎の下まで剥けてしまった。
暗闇となった彼の意識は、銃がクマと自分の間で
押され、動かせない事を感じた。

次に咬み付いてくる大きな口を、右手で遮ろうとして、
何か柔らかいものが手に触れ、それはヒグマの下だと直感した。
彼はそれを必死でつかんで横に引っ張った。
父の一大事を感じた息子は、脱兎の如く木を降り、現場に
駆け下りていった。
「撃て!早く撃て!」と息子が近寄った事を感じた彼は
大声で怒鳴った。

聞くまでもなく息子はヒグマしか見えないそのどてっぱらに
何発も撃ち込んだが、なかなかクマは参らなかった。
しばらくたって、やっとぐったりと倒れ掛かった
ヒグマの重さに、Sさんは耐え切れない声で、
「クマを下に落としてどかしてくれ」と息子に頼んだ。
>>68
よくサイト見てみろよ。
457とか大口径の弾を使ってる。
5.5mmじゃプリジャージでもシカの目から入って脳まで達しないことも多い。
5.5mmじゃ頑張って精々ウリ坊だろ。
クマの下から見えてきた父親の姿は、見るも無残なものだった。
体を抱きかかえて起こした父の顔は、右半分が
骸骨となり、耳と頬の肉と一緒に、丸い目の玉が
筋でぶら下がり、ぶらぶらと揺れていた。
頭も額も首も血の海だった。
気丈なSさんは、息子に手伝わせてこれらの肉を
元に戻し、タオルで巻いた。

その間に彼は息子に「クマはどうした?このクマの毛は良いぞ」
といったが、こんな場合、それどころではない。
それはへまをやったことの、息子への照れ隠しであり、
父親としての、俺はこんな怪我ではくじけない、という
見栄から来る平常心の装いだったのだろう。
親子は下山し、あとの二人は別方向へ行かされてたので
この事件には気付かず、時間を見計らって下山した。
Sさんは入院し、医者のお陰で肉の部分はほとんど
元に戻り、縫合する事ができた。
しかし、右目だけは元には戻らず、ガラスの義眼となった。
二ヶ月で退院した彼は、左目で撃つ練習をし、
「俺は片目を閉じる必要がなくなったので、その分
みんなより速く撃てる」と負け惜しみを言って笑わせたが、
あまり猟には出なくなった。

「ふだんから、あれほどクマには下から近寄るなと
自分で言っておきながら、どうしてどうして下から
クマのところへ上がって行ったんですか?」という
質問に対して、Sさんは「それよ、どうしても俺自身、それがわかんねえのよ。
鉄砲持ったばかりの息子が、上手く仕留めたとも思わなかったし、
犬の吼え声からも、クマは生きてる事はわかってた。
それなのに何で俺はあんなバカな攻め方をしたのか、
いくら考えてもわかんねんだ」と悔やんだ。
俺は大変気の毒だが、これはSさんの陥った「魔の一瞬」だと思っている。
>>57の上のリンクは関係ないよ。
それはプリチャージやってる友達に送ろうと思っのを間違えてそのまま貼った。