俺の銃に弾はもうなかったので右のポケットから出してそっとこめた。
ライオンの断末魔に吐く息でなる声帯のが「ドロドロドロ・・・・」と耳を揺さぶった。
大型獣はよくこの状態で死んでいく。
俺はもう大丈夫とおもったが、せれでも少しライオンのサイドに廻って近づこうとした。
後ろから「まて、このこの林は足場が悪いので林から出てライオンの後ろから近寄ろう」
とゴードンが小声で呼びかけた。
俺はゴードンの事などすっかり忘れてたが、一緒に左に進み林を出た。
「完全に殺せたと思うがどうだろうか?」と彼に聞いたらゴードンは「」自分もそう思う。
良いファイトだった。最初ライオンは襲撃しようと尾の房を上げ下ろしして立ち上がったが、
その瞬間に撃ったから良かった。あれがちょっとでも遅れたら危なかった。久々に本物の
ファイトを見た。あれでもう立ち上がってくることはないだろうが、ライオンは最も強く
危険な猛獣だから用心するに越した事はない。」といいゆっくりと後方に廻った。
いつもそうだが慎重すぎるくらい慎重だ。
やがてライオンの後方についた。
2人のトラッカーも車から降りてきて一緒になった。
ゴードンはトラッカーに木切れをライオンに投げてみろといった。
トラッカーの1人が1mほどの木を投げると、うまくゴツンと当たったが
ライオンは何の反応も示さなかった。
それでもゴードンはライフルの引き金に指を掛けたまま前に伸ばして進み
そっと近寄ってライオンの胸を2度突いた。
百獣の王もグニャグニャと揺れただけだった。
それまでひきつってたゴードンの赤ら顔がにっこり緩んで俺のほうへ握手の手を
差し出してきた。
俺もそれまでライフルを握り締めてた手を放し、彼と熱い握手を交わした。
トラッカーも現地語で何やらいいながら握手で祝福してくれた。