つぎの弾を弾倉から薬室(筒)へボルトで作動させると同時に、天地が
崩れるかと思うような「ウォー!」という野太い声が上がった。
やはり致命傷を外れていて、ライオンは頭を左右に振り、たてがみを
激しく振り乱しながら起き上がってきた。
素早くライフルを構えたが、ライオンは左へクルっと向きを変えて前半身木の影へ隠れてしまった。
俺はすぐその木の左側を走り、行方を見るとまたもとの方に向きを変え戻ろうとして
首まで立ち木の陰になった。
俺はすかさず見えてるからだの右肩に二の矢を叩き込んだ。
ドスンと腹をついたので、これでよし!前足が使えなければ襲ってこれない。
だが、そのとたん、また「ウォー!」と吼え、後ろ足を突っ張って尻を持ち上げて
立ち上がった。
前足をきかなくするために撃ったのに、立ち上がれるとはやはりライオンは
得体の知れない強さを持っているもんだと不気味な感慨が脳裏をよぎった。