おい!何をしてる!しっかりせんか!もう一人の叱りつける自分に
俺は我に返った。
と、それまではなかったライオンへの憎しみにも似た敵対心が爆発した。
幾らでも睨め!睨もうが、脅しの唸りをあげようがテメーなんぞ怖くねー!
270グレインを脳天にぶち込んで1発でかたをつけてやる!
悔しかったら伏せてねーで突っ込んで来い!目を引ん剥いて鋭く叫んだ!
えらいもので相手はそれが聞こえたかのごとく、咳き込むような声と共に
尾の先の房をピンと立ててどっと立ち上がった。
今だ!待ちに待った発射のチャンスが来た!
銃は吸われる様に素早く俺の方と頬と目線に引き寄せられ、即座に
眉間に向けて轟音を発した。
270グレインの弾丸をぶっ飛ばした突然の炸裂音が堪えに堪えたバランスを破り、
アフリカの大地にこだました。
引き金の落ちがやや硬く第一弾はとっさのことで、眉間の中心からやや右下へ逸れた。
こういったときに、自分の使い慣れた銃でないことは致命的だ。
だが、幸いな事に、ライオンは地面にストンと落ち込んだ。