俺は全身を引き締めた。
これは硬くなるのではなく、こういった緊迫した状況は少年時代から
何十回、何百回と体験してきた。
それおかげで冷静さだけはそなわっている。
俺はライオンの急所さえ見えれば、必殺弾を送るつもりでライフルの銃身を左斜め上に
向け、銃を保持し肉迫していった。
ライオンは細い木と草の陰に身を伏せ、大きな顔だけを上げてこちらを見ていた。
まだ、木や草が邪魔だったので更に近づいた。
近づけば近づくほどにライオンの顔がはっきり見えてきた。
良く見るとただこちらを見てるだけじゃなく、凄い顔をして睨んでいた。
広大なアフリカ大陸にあって、自らライオンに向かっていくという愚か者はにないが
俺がそれを行ってるわけだ。
ライオンは自分に向かってくる奴がいるが、一体何だという警戒心と
これ以上近寄らせないという脅しをかけてきた。