やがてゴードンは「これからこの足跡を付けて行き、ある程度つけたら
車を置いて歩いてつける。今のところ一匹狼だからそれさえ上手く倒せば
危険はないと思うが、油断だけはするな。」と、緊張し声を低めて説明した。
俺は素直にうなずき、彼の指示に従いトラッカー2人を残して車に乗り込んだ。
ゴードンは足跡をつけているトラッカーの跡をゆっくり運転しながら、
「最大級の雄ライオンだが、向かっていって撃つという気持ちは変わらないか?」
と俺に聞いたので「変わらない」と答えた。
気性はともかく、体ならライオンより大きいヒグマを1人で何十頭も倒してきたし、
アジアでの野牛や、アフリカに来てからも、サイをはじめバッファロー2頭、
アフリカ一大きい角の持ち主クデューなど全て1発で倒してきた。
俺はライオンとの対決に募る興味のほうが強く、何ら躊躇する気持ちは出てこなかった。