雄ライオンは平均体重240kg前後で尾を入れると全長3m弱くらいになる。
堂々として威厳に満ちた風格と射るような鋭い眼差しに、大抵の人間は圧倒される。
広大なアフリカ大陸でもわざわざライオンに立ち向かう愚か者はいない。
銃に自信があって糞度胸の持ち主だけがライオンとの勝負を挑むことを考える。
俺も今まで修練を積んできた射技と、永年のイノシシや熊、アジアの猛獣を相手に
経験してきた猟技とで、檻も境もないライオンと1対1の勝負がしてみたいという血が騒いだ。
ガイドはハンターに怪我をさせると、その資格を政府から剥奪される。
だから普通は危険な事は一切やらせない。
倒した動物に近づいて完全に死んでいることを確認しない前に、
撃ったハンターを接近させること絶対にしない。
それで大勢やられてるからだが、バッファローの時などおかしいくらいに用心深く
念を入れる。
俺はガイドのゴードンと親しくなると同時に、撃つと決めた動物を前にして
合図を送って狙いながら撃ち、1発で全部倒してきた。
俺が他のハンターに比べて猛獣に接近する為、みんな150〜200m先に
逃げてしまい、走ってる者もいた。
この実績を数十頭上げた頃に、俺は遠慮しながら、ゴードンにライオンとの
一騎打ちの希望を話してみたら、彼はちょっと考えてから「あんたならいいだろう」
と案外簡単に承知してくれた。