百獣の王と呼ばれるライオンのイメージをはっきりつかんでおいてもらうために、
人間が被害に合った有名な話だけを記しておく。
歴史に残るライオン事件では、ウガンダの鉄道工事中2頭のライオンに人夫が狙われ、
80人が食い殺された事が有る。
人間も必死でこのライオンを仕留めようとしたが、いつも裏をかかれて殺された。
工事現場で夜寝ていても度々聞こえてくる悲鳴にすっかり怯え、人夫らは悪魔の
仕業と逃亡した。
この2頭を抹殺する為に9ヶ月もかかった。
一方、サンガ地方ではたった1頭のライオンに84人もの人が食い殺されている。
もう1頭は44人のところで人間の罪を受けた。
俺が撃ったライオンを解体して頭蓋骨を見ると、脳の部分は握り拳ほどもないくらいだが、
その気になれば人間の知恵を持ってしても、何ヶ月にもわたって仕留められないような
奸智を発揮できる動物でもある。
体力、獰猛さ、狡猾と揃われたのでは、幾ら武道や格闘技ができたところで
人間などは一たまりもない。
有名人では、イギリスの外務大臣、エドワードグレー卿の兄がいる。
彼は何発か撃ったが、逆襲されて命を落とした。
フランス人のマルセルヴィンセントというハンターは、ライオン狩りの
映画を引き受けて撮影を開始した。
そして撮影中、逆襲を食らって、カメラマンや監督、スタッフの目の前で
無残にも惨殺された。