有坂が採用した6.5mm弾は、馬の骨を破砕できる、世界で最も低コストの弾薬でした。
それは高速でしたから低伸し、腰をかがめて近付いてくる敵歩兵に対する命中期待率も
良好でした。7.62mmのロシアの小銃は、もちろん馬の骨を破砕できますが、
高速にできず、低伸しなかった。
ところが、それはお互いに「蛋形弾」(先は丸まっており、ケツは金太郎飴を包丁で
断ち切っただけの、かなり細長な棒状の、空気抵抗が大である物体)を
発射している間のお話だったんであります。
フランス人とドイツ人は、日露戦争直後に、「尖鋭&ボートテイル」弾を完成してしまいました。
寸詰まりなので軽く、したがって高速に加速されます。
そして、空気抵抗による減速がなかなか生じない。
これは腔綫に食い込む部分が短いため、当初は「首振り飛行」をしがちで、
狙撃精度の点で具合がよくなかったんですが、それが解決されさえしたら、
低伸性は俄然、良かったわけです。