ソマリア海賊:海自派遣 新法より早期行動 活動限定的、あつれきも
ttp://mainichi.jp/select/seiji/news/20081225ddm002010092000c.html 海賊による事件が多発するアフリカ・ソマリア周辺海域への海上自衛隊派遣にあたり、
政府が新法ではなく、海上警備行動を発令する方針を固めたのは、早期派遣のために現実的と判断したためだ。
ただ、武器の使用などで他国の軍隊に比べ自衛隊に可能な活動は限定的。
現地で関係国とあつれきが生じる可能性もはらんでいる。
24日の閣僚懇談会。ソマリア沖の海賊対策が話題になった。
金子一義国土交通相が「早急に対応する必要がある」と指摘。
河村建夫官房長官も「早急に検討し、万全を期す必要がある」と語った。
閣僚懇談会でのやりとりは伏せられるのが通例だが、河村氏は記者会見で「海賊対策を早期に検討」と自ら発言したことを公表。
各国が海賊対策に本腰を入れるなか、日本が参加しなければ「ただ乗り」批判を浴びかねないという懸念もあり、
政府の焦りを象徴する河村氏の異例の発言公表だった。
ねじれ国会の下、憲法論議にも発展しかねない新法制定は極めて困難。
そのため選択された海上警備行動の発令だが、これに基づき自衛艦が護衛できるのは、
日本船籍か、他国船籍でも日本人が乗船している場合などに限られる。
また、逃走する不審船が自衛艦の付近を航行しても、武器を使って強制的に停船させることは困難だ。
仮に海賊を捕まえた場合に日本で裁判にかけるかなども問題となりそうだ。【古本陽荘】
ソマリア海賊:ソマリア沖、海自派遣へ 海賊対策、警備行動適用−−政府検討
ttp://mainichi.jp/select/world/news/20081225ddm001010003000c.html 政府は24日、アフリカ・ソマリア周辺海域の海賊対策のため、自衛隊法に基づく海上警備行動を発令し、
海上自衛隊の護衛艦を現地に派遣する方針を固めた。
周辺海域を通航する日本人の乗り込む民間船舶などを護衛することで、海賊行為を抑止する。
活動内容の最終調整を進めており、麻生太郎首相が年内に表明することも検討している。
ソマリア沖で海賊による誘拐事件などが多発していることを受け、政府・与党は、自衛隊の派遣を検討してきた。
海賊対策のための新法制定も検討しているが、ねじれ国会で早期に法案を成立させるのは事実上、困難。
各国が軍艦派遣を決めて海賊対策に乗り出すなか、日本も海上警備行動で実施可能な対策を先行させる必要があると判断した。
派遣される自衛隊の護衛艦は、海賊事件が多発するソマリア沿岸のアデン湾などを航行する日本人の乗り込むタンカーなどを護衛する。
早期に活動を始めるため、新テロ対策特別措置法により派遣されている護衛艦や補給艦に海上警備行動を発令することも検討している。
ただ、海上警備行動では、国内法が適用できない外国船籍の護衛は困難。
武器の使用権限も限られており、逃走する海賊船に向け発砲し、強制的に停船させることも不可能だ。
海自のP3C哨戒機による空からの警戒活動にもニーズがあるが、
陸上の基地を使用するための地位協定の締結が受け入れ国との間に必要となる。
関係国との調整が付けば、派遣を別途、検討する。
国際海事局によると周辺海域での08年の海賊被害は11月19日現在で94件。
同月14日には、日本人船員を含む24人が乗った中国のマグロ漁船が乗っ取られるなど日本人が巻き込まれる事件も発生している。
【古本陽荘】