あやまれ!三八式歩兵銃殿にあやまれ!

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42名無し三等兵
196 名前:名無し三等兵 投稿日:2006/04/05(水) 22:50:22 ID:yn7Las7o
死んだ爺ちゃんから聞いた話だが、
昔招集を受けて兵隊となり、小銃射撃訓練をやったんだと。
訓練が終わって小銃の整備をやってる時に、突然ゴリッて音がして
小銃が真ん中近くで真っ二つに折れちまった。
その当時銃というものは天皇陛下から下賜された命より貴重なものと
教わっており、また、備品一つでも紛失損壊させようものなら古参兵の
往復ビンタや尻バットが飛んでくるような状況だったものだから、もうすっかり
青ざめたそうだ。
同期の兵も連帯責任で制裁をくらうもんで、もう皆でワァワァと泣いていたら
先任下士が騒ぎを聞きつけてやってきた。
爺ちゃんはもうオシマイだ!思いながら、観念して折れた小銃を差し出して
謝ったら、先任下士は意外なことに怒りもせず、「これはラッカさん(字句不詳)の
小銃だからなぁ」
と悲しそうに笑って別の小銃を渡してくれたそうだ。
爺ちゃん曰く、ラッカさんという人は南方で飛行機から飛び降りて戦って死んだらしく、
死後ずっと銃を「錦寺」というところに預けていたそうだが、物資不足でまた寺から
調達したのをたまたま爺ちゃんが受領したとのこと。
部隊ではそれ故その銃を「にしきてら銃」と呼んでいたそうだ。
爺ちゃんは「ラッカさんの魂は自分の銃がまた戦争に使われることを望んで
なかったんだろうなぁ・・・」
と寂しそうに俺にそんな話をしてくれた。