【s氏】
あの装甲の存在が意味するのは主に二つ。一つ目は能動装甲を開発しようとして
生まれた副産物というかモジュール、二つ目は車体への複合装甲の実装が最悪の
状態であること、という辺りかな。前者はかなり好意的に見ているコメントだけどw
っていうかね、フライングプレート型の反応装甲というのは必要とする技術的な
水準が低いのよ。とあるグレイン形状をもつ爆薬粒(これで着火モードをある程度
制御できます)をシート状に整形する技術。(薄手のテフロンもしくはポリエチレン
シートの貼付けあるいは高分子系接着剤・塗料等が塗布された)シートで化学的な
絶縁処置がされた(爆薬への鉄イオン導入を防ぎ、感度の著しい増加を防ぐ)金属板を
作る技術。こんだけですから。
誤動作上等で良いならば、必要とされる技術水準はもっと下がります。キャストで
作ったシートの両面に板っ切れ貼り付けるだけで事足りちゃうワケで。重量大幅増
上等ならばデカくて分厚いフライングプレートを作っちゃえば良いだけだけで。
よするに反応装甲って作るだけならひっじょーに簡単なんです。
ただし、歩兵直協作戦には投入しずらいし、動作しちゃったらあちこち燃えちゃったり
するのでFLIRもしばしの間まず使用不能になっちゃうんだけど(少なくともkm以上絵が
非常に見づらくなる)。
中つ国のアレに関しては、以上の基本的な反応装甲に関する製造的特性を鑑みて、
フライングプレート型ではないジオメトリをもつ反応装甲を「作らなければならない事情」
というのを考えてみる必要が出てくるんです。つまり、重いのは嫌とか動作時ブラストや
炎が出ちゃうのが嫌とか車内に破片飛び回せるのが嫌とかね。
そのような視点で考えてみれば、興味深い点が多数存在します。そしてその興味深い点を
見つける事ができれば、↓の分析結果を容易に導き出す事ができます。
そゆことで今回の例をもって観察眼の訓練してみるのも一興です♪
【s氏】
1)投稿を読んで、2)当該ビデオを入手し、
3)それから抜いたフレームから画像処理を施し終わるまで大凡10分でのおへんぢ。
1.ATMが面白い
発射筒が発射時後退するというか、発射機から抜けるのが面白いです。アンビコネクタでも
使ってるのかしらん。どっちにしてもロケットモータからの噴煙を面白い方法で処理してる
感じがあります。多分、ロシアお得意のTBI(t-hrough the b-ore i-gnition)点火の
初段黒色火薬、後段コンポジットな燃焼形式っぽい。ディレイは非常に短いっぽい。
2.穴空いてるです。
この場合は、初心者にも概念が理解しやすいウィナーフィルタ(空間応答周波数特性の
分析より削られたもしくは劣化した部分の信号を(この場合)線形復号を行う)で比較的簡単に
修復可能です。プログラムさえ作っておけばが前提にありますがw。
#まぁ、画像の2次元FFTを取るのはなので、VBでも出来るシロモノです。理屈自体は
#非常に簡単なのでPaint.net用プラグインとしてスクリプトに仕込めると思い升。
ま、それはそれとして敢えて解析後の画像については図示しませんが、砲塔左部正面装甲
(よーするにカメラ側の砲塔正面装甲)、左端から1/3、上下ほぼ中央に数センチの侵徹孔が
ありますので、ちゃんとATMもしくは整形炸薬のジェットが当たっています
(だから、左のスカートから白い煙が抜けてる)。状況としては貫徹してるっぽい。
PIV風味な画像処理(例えば絵の重ね合わせ)結果から見る限り、ケムがハッチから出とります。
ま、小破(状況によっては継戦可能な状態)ってところですか。
ちなみに例の筒っぽは確認できる範囲では砲塔上部から落ちてきており、形状は円筒構造、
外に補強用の輪っかが2つついてる感じ。重量的に13kg±25%(σ)前後。個人的に樹脂製を
推したいところだけど、音の周波数ピークを見る限り鉄薄板の成型品っぽい。
具体的に何?と問われてもちょと困る。
ざっくりとこんなところじゃないかな。確実に分かるのは。
【s氏】
あくまでも可能性の範囲として。あれ。もしかしたら無線マイク入りの筒っぽかも。
なんていうか、爆発音の割りにはあの筒っぽの衝突音だけ異様に良く聞こえすぎ。
仮に210dBSPLの音圧に耐えると仮定して以下話を進めていくと、
普通のダイナミックマイクだと80dB程度のダイナミックレンジ。
つまり130dBSPL以下の音はよう聞こえんって事になります。
140dBの音って結構尋常じゃない音圧です。しかも、あの筒っぽが落っこちて
車台に当たった音は爆発音よりレベルがおっきいです。
これから考えると、、音系かなあ。って感じが微妙にあります。ま、どっちにしても
「試験結果そのものには影響を与えないであろう」機材であることは確か。
【質問した香具師】
この紅箭9ATMですが誘導弾本体重量37kg、直径152mm、タンデム弾頭、
セミ・アクティブレーザー誘導方式、1999年頃から公開されるようになった新型ATMでして
ご推察のようにロシアの技術を取り入れて開発された可能性が高いようですね。
(中略)
砲塔のハッチから煙が出ているという意見は某巨大掲示板でもありましたが
砲塔主装甲左側中央に数センチの侵徹痕は誰も気づきませんでした(泣
サイドスカートから煙が出ているというご指摘ですが車体側の側面又は底部まで
メタルジェットにより貫通されてしまっているという事なのでしょうか?(^ω^;)
M1A1HAの場合、砲塔前面の複合装甲は対HEATでRHA1300mm相当以上という説がありますが
氏のご指摘によるとM1A1HAと類似した装甲方式であるC国98式戦車は紅箭9ATM(RHA侵徹長1200mm?)で
貫通されていることになりますのでやはりC国98式・99式戦車の複合装甲の性能は西側より高くは無いようですね。
96式・98式・99式などでERAを追加した型が出現した理由(複合装甲性能に満足していない)も頷けます。
しかし湾岸戦争で砲塔が吹き飛ぶどころか中には車体原型を留めないほど誘爆した
59式や69式戦車と比べると近年のC国戦車は安全性もかなり向上したように思えます。
C国の戦車開発技術も将来侮れないものとなるかもしれないと思う次第です。
【s氏】
正直、本当に被弾に対して問題ないのかが分かりません。というのは、
あの車台に弾が本当に入っているかどうかが確証できる映像が無いからです。
小破というのは弾が入っていたと仮定した場合の話になります(要するに推測の最大値です)。
ま、本当にどうだったのかについては被弾後2〜3分程度見ないと駄目でしょうね。
で、スカート部からの煙は被弾時に放出された弾殻によって損傷を受けたことを示します。
ま。どっちにしても彼の国が反応装甲を重視せざるを得ない状況の
一端があのビデオに現れていることは確かです。