第二次大戦末期、フィリピン・ミンダナオ島で、負傷兵の治療などに当たっていた元上等衛生兵曹の
牧野明さん(84)=大阪府枚方市=が、仕えていた軍医とともに現地住民を生きたまま解剖したことが
あると証言、その体験を基に、近く語り部活動を始める。解剖は軍医が衛生兵の医療実習として個人
裁量で行ったとみられる。戦時中の生体解剖は旧満州(現中国東北部)の生物戦部隊「関東軍731部
隊」が中国人に行った例が知られているが、専門家によるとフィリピンに関する証言は初めてという。
牧野さんは海軍第33警備隊の医務隊に所属。1944年8月から同島西部のサンボアンガ航空基地
で負傷兵の治療などに当たった。医務隊は30代の軍医(大尉)を筆頭に、補佐役の牧野さんら三十数
人がいた。