池内氏が『Foresight』に連載中のコラム「中東 危機の震源を読む」で、
アラブ・ムスリムのアメリカ憎悪の一因をムスリム男性の性的コンプレックス(?)
に求めていたけど、これはどうよ?
サイイド・クトゥブは『私が見たアメリカ』でアメリカ人の性的な乱れを描いて
憤慨しているが、実際には彼が滞在したグリーリーは保守的な町で、実際には
クトゥブが書いているようないかがわしい性的放縦などなかったと指摘されている。
「クトゥブは生涯独身を通し、女性関係に乏しかったとされている。プラトニックな
失恋の経験を綴った独白的小説『棘』では、極端な女性崇拝とその裏返しの失望と
嫌悪の感情が激白され、極めてナイーブで内向的なムスリム男性の姿が浮かび
上がってくる」
「それと同時に、アメリカを強烈な性的魅惑とみなして惹きつけられつつ、
疎外感や欲求不満と反発を感じ取るのは、イスラーム教の規範に従って育った
男性にとって稀なことではない。イスラーム教は性的禁欲を要求する宗教ではない。
しかし性的に自由でもない」