Q「蒼空の盾」続編はいつ? 他の新刊は?
A
・現時点では「蒼空の盾」続編企画の話は出ておりません。
もともと他社から移籍する際に一旦出版予定から外れた作品、かつフォーマットが
「想像の余地を残した一話完結物」である事から、続編企画が持ち上がるかは不明です。
ただ、まだ判断の際根拠となる数字が全て出揃っていない為、読者の皆様から頂いた御感想と
売れ行き他の推移次第では続編の話もあるかもしれませんね。
・なお他の新刊についてですが、私は詳細な刊行予定を知る立場にはありません。
また申し訳ありませんが、私が担当させて頂いているものに関しては、出版社サイド他から
出版予定が公表されていない物もありますので、タイトルや価格、出版時期等に付いては
まだ御話出来ません。
(学習研究社様・銀河出版様・宝島社様・有楽出版社様向けの企画用サンプルを作成し
既に一部納入を終えています、という所までが御話出来る限度となります)
ただ現時点で御話できるものの中では、予定通りであるならば
歴史群像新書から中岡潤一郎様の「蒼穹の烈風空戦録2 レイテ編(仮)」
次いでGノベルズから内田弘樹様の「戦艦大和欧州激闘録2(仮)」の進捗が早そうな感じですね。
これら以外のものにつきましては近日中にアナウンスがある物と思いますので、そちらを参照して頂ければと。
Q つるぎのスペック表のSM-3は広島と長崎分?
あと内田さんはスペックの残弾見て書いたんですか?
A
・順を追って解説します。
・当初「つるぎ」は「こんごう」型類似の艦でした。
作図が打診された際既に初稿が完成していた為編集の方とも相談、起用決定前に表紙の参考としてラフ図版と「あたご」型資料写真を送付。
図版起用の正式決定後、原稿の著者校正と加筆修正にあわせ設定改正案を提示し、本文および解説の一部を差し替えて頂きました。
・「蒼空の盾」つるぎは、「あたご」型をもとに沿海域対応型とBMD対応型の両方の能力を付与された特別仕様イージスとなります。
(かなりの丼勘定ですが、仮に実際に建造された場合、装備等から見て予算規模はおそらく1,500億円を超えるものと思われます)
実際の「あたご」型からの主な変更点は
編集部サイドからの要請により、ティルトローター機運用能力が必須
1. タイムスリップ後の自己完結性を求められた為、無人掃海具、TACTASS搭載への対応と
V-22・EH-101・SH-60K運用に要するE-RAST(着艦拘束装置)軌条の設置の為格納庫及び飛行甲板、船体拡大。
2. 女性自衛官向け施設、衛生区画の増設。
3. LRS&T(Long Range Surveillance and Track)改修とALI(Aegis LEAP Intercept)システム追加を想定。
4. 天頂方向(艦の真上)含む弾道弾他への警戒監視に伴う個艦・戦域防御向けレーダーリソースの消耗を避ける為MFR(多機能レーダー)を追加。
事実上AEGIS System BaseLine7.2・Aegis BMD3.6準拠に。
5. 予備電源追加、主発電機・LM-2500ガスタービンエンジンの能力向上型(各メーカーが提示中のもの。未採用)への変更。
6. Mk.41 VLSをすべてmod3に変更、SM-3とESSM他に対応。
他の追加装備は「あたご」型、16DDH向けのものに加えUSS Pinckney, DDG-91、USS Shiloh, CG-67の2006/4/1時点と同系列の物の発展型となります。
ただし作図時USC-42 / STADIL-Jが完全供与されるか不透明でしたので、印刷開始前に図版のみ差し替えて訂正しています。
あと御質問にありました艦橋上・後部構造物上に追加したMFR、APAR CEA AUSPERは実在するレーダーです。
他のイージス艦ですとUSS Lake Erie, CG-70が以前酒田港に寄港した際試験モデルの追加搭載が確認されています。
(現在AEGIS Systemとの適合性他の評価試験が行われている模様です)
これらは上部構造物側面に二面追加のみでも僚艦及び艦の運動次第で充分死角をカバーできると思いましたが、
絵的な要求もあり出来るだけ他の装備と干渉しない位置への四面静止配置になっています。
個人的にはMFRよりVFR(広域捜索レーダー)追加の方が空中目標の遠距離捜索が可能となる為面白いとも思ったのですが、
重量と設置位置の問題で取り止めました。
また画面が煩くなり過ぎるのと活躍の場のなさからオミットしましたが、最近の護衛艦を見る感じでは
艦橋上に加えマスト基部か艦橋後部に更に光学系の監視装置が増設されてもおかしくないと思います。
なお実際の「あたご」の公試開始は入稿一ヵ月後でした。新造艦の艦名他フォロー出来なかったのは残念なところです。
・「つるぎ」の艦番がDDG-180である理由は、実在しない「つるぎ」を建艦計画に割り込ませ2009年3月に完成・就役させる為、
63DDG(こんごう型)の導入時期の変更及び護衛艦建造数の調整を行った為です。
(史実ではオイルショックに伴う予算削減で建造中断された艦のうち一部を建造された事に改変。
建造数と各造船所における護衛艦建造線表、船渠の使用時期を調整し辻褄を合わせています)
この為「つるぎ」が建造された「蒼空の盾」改変2010年世界の日本では、「こんごう」型(全艦BaseLine5)「あたご」型は
イージス艦八隻体制を目指し各四隻が建造されるものと思われます。
・「つるぎ」VLSの搭載弾数は当初の原稿時点での使用弾数から逆算。LRS&T対応イージス艦向けと「こんごう」型の定数予想をもとに決定。
うちESSM二セル分をSM-3に入れ替え、他はSM-2とVLAに配分しています。
半ばジョークですが、SM-3とESSMの搭載弾数は史実通りならば(メル欄)としています。一種の数合わせの遊びですね(笑)
なお内田様は途中でこれら搭載数の根拠に気付き、改稿時に反映。後ページ数の制約から描写調整しそのまま通されています。
・なお、「つるぎ」搭載のスタンダード・ミサイルは現用最新のRIM-66K/L SM-2 Block III Bでは「ありません」
作中描写にあわせ、MD用のSM-2 Block IV B(RIM-156A)とSM-2 Block IV A(RIM-156B)
(2001年に一時開発が中断した為SM-2 Block IV間の型番が逆転)のブースターを流用、
Block IVをもとに斉射時の速度を向上した日本製の改善型との設定となります。
これは本編におけるストーリーとの関わりが薄いこともあり、解説をカットしたため裏設定となりました。
(類似する物は現在開発中で実在しません。
図版では射程137km以上としていますが、実際に開発されている同種のものは弾道弾低層防御及び
経空脅威双方への対処を主眼に据え、射程240km・射高33,000m以上を狙っている模様です。
また、全てが実現する見込みは薄いのではないかとも思えますが、MDとの関連からパトリオットPAC-3以外に
SM-2、3の派生型も含むライセンス生産やメーカーへの助成金交付の案も一部で出ているとの報道も
ありましたので、続報があるかチェックしているところです)。
またVLAも本来とは異なり97式魚雷対応に切り替えています。
発射弾数分もったいないオバケが涌きそうですね(笑)
・「蒼空の盾」飛燕は3295号機、4424号機から作図。
作中と同時期、飛行第二四四戦隊指揮官の小林照彦少佐は実際に3295号機、4424号機に搭乗しています。
(作図の際参考とした写真のなかには、機付整備兵に混じり小林少佐本人が写っているものも。
ただ、4424号機のテキストに関しては一部入れ替わっています)
史実1945(昭和20)年1月27日の迎撃戦時に空対空特攻(敵機への体当たり)で喪失した機は3295号機なので
結果的にここでも歴史が変わってしまっているのかも(苦笑)
・余談。
・講談社某コミックを読んでいた関係者が私(神奈備)のみだった為、一時意思疎通の面がちぐはぐに。
・「蒼空の盾」編集の方「この仕事が終わったら結婚します」
御結婚おめでとうございます。ただジャンル的に締め切り前にその台詞は危ないのではないかと(笑)