「一発やっかぁ」
人民服を脱ぎ捨てると、旧式でよれよれの原子炉整えた。制御盤の前に立ち股を開く。
既にNPT脱退し、俺の豊渓里(プンゲリ)は俺の合図を待つ。
身体を横にして鏡に映すと、前垂れを持ち上げて、テポドンがそこにあった。
「俺の外交カード一枚の核だぜ」声に出していう。
「小国はやっぱ核防衛」
やおら前袋の脇から、ズルムケ状態のプルトニウムを取り出す、手にTNT炸薬をたっぷり取り、
逆手でコバルトをこね回す、
「ヌリュッ、ヌチョッ」音が世界の政府首脳を更に刺激する。
「核実験たまんねぇ」扱きに合わせて、身体を上下させる。
「北の核実験にゃあこれだよ」アヘンを吸い込む。
「スッ、スッ、スッ、スッ」坑道が熱くなり、やがて山の斜面が崩れる。
「ウラン、ウラン」「朝鮮の核武装」
頃合いをみて朝鮮中央通信で発表。俺は自分のアナウンサー好きだ。
死の灰が平壌に降り、孤立した労働党のバックにいたはずの、ロシア・中国にも見捨てられ、腰を振り、
左手で金正男引っ張り、右手でヌルヌルと発射キーを扱く。
核実験場の中の俺は、旧共産圏一の伊達男になっていた。
「ちきしょうブッシュに見せてやりテェよ」発表時間が近付くと、いつもそう思った。
アヘンをもう一度効かせ、実験を追加すると、崩壊へ向かってまっしぐらだ。
「核保有国になってやる」「核戦略一本のほんまもんの男」
「うりゃ、そりゃ」「ズリュッ、ブチュッ」しぶきを飛ばしながら、クライマックスをめざす。
「たまんねぇよ」世界各国から、激しい非難が起こった。やがて制裁となり、俺を悩ます。
-開放- -もっと主体思想-相反する気持ちがせめぎあい、俺は崖っ淵に立つ。
「きたっ」俺は膝を直角に曲げ、戦争に備える。轟音は堰を切ろうとしていた。
「男一匹 ! 」「ぶちっ」
風に乗って、放射能が検出される。
真っ白い時間が過ぎ、目の前が現実に戻る。