南方で行われたいわゆる万歳突撃ではない、玉砕を招くような半ば自棄気味な銃剣突撃は、新聞社などが伝える、
シナ事変で、あたかも銃剣突撃だけで中国兵が恐れおののいて自陣地を捨てて逃げ出したかのような脚色された武勇伝話、
いわば真実の一部を欠いた銃剣突撃神話を妄信した内地の将兵によって引き起こされた悲劇である。
真実は、事前の砲兵、航空部隊、歩兵部隊、戦車部隊が連携して行った戦闘の中の一部の戦法なのである。
そして、戦後においては、南方での万歳突撃や玉砕のイメージから今度は正反対の銃剣突撃神話が生まれた。
それは、つまり銃剣突撃=玉砕、無意味、自殺行為といったイメージがまとわりつくものである。