その日の出来事を酒場で語り合う人間とモンスター。
モ「仕事終わったぜ」
人「おう、お疲れさん、はいよ」
「お、すまねえな。…………ぷはーっ生き返るぜ」
「ずいぶんとまあ、傷だらけじゃねえか。負けたのか?」
「バーロウ、勝ったよ!」
「機嫌悪そうだな? どうした?」
「今日この町に来た奴らいたろ?」
「ああ、勇者とか言ってた連中か」
「そうそいつら。何なんだよアレ」
「ん?」
「まあ、人によりけりだぞ?
一人じゃ勝てないから徒党を組むのは分かる。それぞれの特技を活かして効率良く戦うのも分かる」
「……全員魔法使いで遠距離から不意打ちでもくらったのか?」
「いんや。 四人とも毒針装備」
「……」
「しかも麻痺攻撃かけて、前後左右から」
「うわ……」
「運良く麻痺にかからなかったから良かったけどよ……、あいつらと違って俺ら生き返れないから」
「ああ、そういえば勇者たちってそんな特権あったな。……で、彼らは?」
「ムカついたんで殺した。それでも満足できなくてよ。
ほら、しばらく前にこっちに来た鬼強な奴ら、ジエータイって言ってたか? 道に迷ってたんで教えてやった代わりに、四人をズタズタにしてもらったわけだ。
サトウって奴、気前が良くてな、センシャとかいう鉄の化け物で踏み潰してもらってよ、その化け物の手綱をとってたナカム…何だっけ?
そいつが四人の真上でグルグル回してくれてよ、地面と区別できなくなっちまったぜw
サトウが『やりすぎだ』ってナカムを殴ったんだけど俺は感謝したよ」
「……へ、へえ、彼ら、この辺に来たのかい? 何か商売になりそうなネタ、持ってなかったか?」
「臭くて黒い水が湧き出てる場所がないか知りたがってたな」
「うーん? 心当たり無いなあ……」
「まあ、あいつらも可哀そうだよな……」
「どっちが」
「勇者とか言う方。偉い国の王におだてられてなったそうじゃん。俺に殺られるくらいじゃまだまだだね」
「魔王を倒すまで死ねないんだっけ? 仕事放棄すると狂い死ぬほどの激痛がくるとか……」
「俺らの間じゃ『生贄勇者』なんて呼んでるぜ」
「はっはっはっ、良いネタ聞かせてくれた礼だ」
「うぉっ樽かよ、良いのかい? 俺だけじゃ悪いから仲間呼んでくる」
「いってらっしゃい」
投下終了。