昭和11年の「性能標準」では、艦上戦闘機の用途として
1) 敵攻撃機の阻止撃攘
2) 敵観測機の掃討
とあり、このため零戦を艦隊防空戦闘機のように言う向きがあるが、違う。
対戦闘機格闘性能が最も重視されたのである。
>>215 機銃の変遷を見ると、20mm機銃の改善が優先されています。
・零戦21→32 :20mm機銃の給弾数増大
・零戦22→22甲:20mm機銃の初速増大
・零戦52→52甲:20mm機銃の給弾方式改善
・零戦52甲→52乙:7.7mm→13.2mm機銃に換装
・零戦52乙→52丙:13.2mm機銃増設
99式20mm機銃は、どちらかと言うと対戦闘機よりも対爆撃機に向いた機銃と言われていますし、
対戦闘機向きな13mm機銃への換装や増設は後回しです。
「対戦闘機格闘性能を最も重視」の割には、武装の変遷はその方針と不一致のようですね。
あと「十二試艦上戦闘機計画要求書」は、昭和11年の「性能標準」と同じ要件となっています。
要求項目に重戦的なものがあったからゼロの開発コンセプトが対爆撃機だ、っていうのは違うと思うよ。
むろん戦闘機たるもの、対爆撃機戦闘も考慮するのは当然であって。
20ミリを搭載していたのはドイツのBf109も同様であってね。単に各国の選択の差に過ぎないと思う。
イギリスのように7・7ミリを8丁装備した小口径多銃思想の国もあれば
日本とドイツのように大口径少銃思想の国もあり、アメリカのように万能傑作機銃M2への信頼ゆえに
12・7ミリを戦闘機ばかりか戦車やハーフトラックなどあらゆるものに搭載した国もあり。
要は一撃で相手の骨まで折る中国の大剣か、切れ味鋭く振り回しやすい日本刀か、みたいな差に過ぎない。
ちなみに現在では周知の通りガトリング方式や速射機構の発達により、航空機から艦船にいたるまで
相対的に小口径小門高発射思想が主流に見えるね。
>>217 >要求項目に重戦的なものがあったからゼロの開発コンセプトが対爆撃機だ、っていうのは違うと思うよ。
「十二試艦上戦闘機計画要求書」は、海軍からメーカーに出された要求仕様書です。
要求仕様書がある場合、書かれている要件を無視し、それと正反対のものを造る事は普通行いません。
例としては不適切かもしれませんが、
例えばBTOでデスクトップPCを選択したのに、ノートPCが送られてくるのは在りえないでしょ?
要求仕様に用途は「艦隊防空戦闘機」的なものと明記しているのに、「対戦闘機格闘性能を最も重視」なコンセプトで設計するのは、それに近い行為の筈です。
>>217 99式20mm1号機銃は、初速と発射速度が共に低く、激しい機動を行う「対戦闘機格闘戦」には不適な機銃です。
そして対B-17などで99式20mm1号機銃の威力不足が指摘された際、
先ず弾薬の改善が行われ、その後に貫通力増大のため、より高初速な2号機銃への切り替えが行われています。
ちなみに、これらの改善がB-17等の大型機である事は、航本機密第8421「戦闘機の機銃威力増大に関する件通知」に明記されているようです。
発射速度の増大は、99式2号4型に発射速度増大装置を導入する事から始まり、
本格的な99式2号5型は、結局戦争に間に合っていません。
そりゃ旋回性能は96式で完成の域に達してたからね。改めて書くまでも無い。
それに格闘性能を軽視したのなら、烈風が大型化した理由が説明できないね。
三菱側は高速重視で設計を進めた結果、陸軍からだめだしくらい、旋回性能との両立を
目指した結果、大型になってしまい、重量の増加、速度の低下を招いたわけだから。
(旋回性能を追い求めると機体が大型化するのはF15とF16の関係を見れば容易に理解できるだろう。
ちなみにF15はチタンの採用と双発エンジンで重量増加・大型化のデメリットを打ち消してるが。
烈風も同様に陸軍指定の2000馬力エンジン誉から2200馬力エンジンを提案して解消しようとしたのは周知のとおり。)
それに
>>218 「世界最高のレシプロ機」マスタングはむしろメーカーから逆提案したわけだが。
>>220 >それに格闘性能を軽視したのなら、烈風が大型化した理由が説明できないね。
昭和11年の性能標準で烈風が設計されたんですか。初耳ですね。
220-221は誤解と思い込みによる間違いが多い人らしい。
ま、要求仕様のみをもとにするならそうなるんだろうね。
井沢元彦の本とか読めばオレの言ってる意味が理解してもらえると思うが。
「真の大事なことはあたりまえのこととして認知・同意されているがゆえに逆に文書として残りにくい」
という法則の認識の欠如だね。
文書資料の偏重。
>>225 九六戦は格闘性能や、離着艦性能に対する条件を緩和して高速性能を求めたわけで、
対戦闘機格闘性能を最も重視することが「あたりまえ」のことではないようだが。
>要求仕様に用途は「艦隊防空戦闘機」的なものと明記しているのに、「対戦闘機格闘性能を最も重視」なコンセプトで設計するのは、それに近い行為の筈です。
これね、当時攻撃機で艦船を攻撃するって言うのは一般的じゃなかった
その有効性がはっきり実証されたのはプリンスオブウェールズ撃沈まで待たないと・・・
寧ろ着弾観測とか偵察って感じのつかい方を想定してた
この場合の防空戦闘は対戦闘機戦闘になると予想されます
当時艦載航空機の運用はアメリカ日本どちらも手探りだったから
米軍は戦争後期、戦闘機と他の機種との割合を変えてきましたよね
日本も書類上は変えたが定数配備される事は無かったようです
>>227 急降下爆撃による飛行甲板の破壊は有効と考えられていなかったか?
オレの言ってることが理解できないのかな?
「真の重要なこと、あるいは当たり前のことは文書にはのこりにくい」
たとえば井沢が例にあげてるのは「古代・中世・近世問わず、もっともわかりにくいのは
地味な一般庶民の生活だ。たとえば排泄はどういうふうに行っていたのか、具体的には
なにでおしりをふいていたのか、みたいな部分。なぜならそれは当時の人にとっては
『常識で、改めて書くようなことではないから』」とね。
ましてやキミの論拠は当時の「公式文書」のみでしょ。
では現在の政府もしくは自民党の「公式発表」が世間の常識、政界全体の状況の「最大公約数」を
表しているか?
しかもましてや70年近く前の文書だぜ?
>>228 要求書の作成された時点では想定されていないと思われます
計画要求書中の目的にある「敵攻撃機の阻止撃攘」の攻撃機とは
陸上基地からの高速爆撃機?
これが最も脅威視されたということか
>>229 6:一見関係ありそうで関係ない話を始める
15:新しい概念が全て正しいのだとミスリードする
233 :
ゆうか ◆9a1boPv5wk :2005/07/09(土) 14:49:33 ID:5gvDpmKQ
日本が急降下爆撃の研究をはじめたのは昭和4年で、このときは戦闘機を使用した基礎実験を行っています。
以後5年、6年にも実艦的を用いた実験を行い、急降下爆撃の有効性を確認。
昭和7年にはブルドック艦戦改造機を用い、25番爆弾による爆撃を実験しています。
昭和9年以降は艦戦による降爆は中止され、偵察機改造機による実験部隊も編成、龍驤がまず8機を搭載しました。
また同年8月、初めての艦爆(94式艦爆)による急降下爆撃も成功。
改型(96式艦爆)も採用され、艦爆部隊が充実していきます。
昭和11年には艦爆への要求として「敵艦艇(特に空母)の撃破」がはっきりとうたわれており、
艦爆の第一の任務が敵空母の撃破(撃沈にあらず)であることが明確化されています。
234 :
ゆうか ◆9a1boPv5wk :2005/07/09(土) 15:01:31 ID:5gvDpmKQ
>>229 せめて「零戦」くらいは読んだ上で書いていただきたく。
「攻撃機で艦船を攻撃するって言うのは一般的じゃなかった」ってんなら
各国海軍は何を考えて艦攻・艦爆を整備してたのか?って話になるよな。
でたな怪物(誉め言葉)コテ
>>235 新兵器なんてそんなもんだろう?
使えるかもしらん ってレベルの差があるだろうけど
その中で当時の状況的には大鑑巨砲全盛の時期(日本ではね)ですよ
要求書にはその辺が色濃く出さざる得ない
大和の建造はいつからでしたっけ?
海軍全体の方向として空母、艦載機は補助兵器以上のものではなかったんですよ
もちろん兵器としての有効性はある程度認めてたからこそ研究開発してましたが
当時建造(設計)された空母、戦艦の装備を見ればその重要度(優先度)がどの程度だったかが判るのでは?
>>237 昭和4年から研究が始まってるんだから、昭和12年ともなれば十分に兵器体系が確立してるだろ。
>>238 運用形態が確立されてないって事です
攻撃が有効だとしてもどう攻撃するか?
またどう迎撃するか?
その辺は煮詰まったのはそれこそ開戦意識し始めた頃になったと思われます
240 :
ゆうか ◆9a1boPv5wk :2005/07/09(土) 15:35:50 ID:5gvDpmKQ
>>237 重要度とおっしゃるなら、昭和12年の国防所要兵力改定みればおわかりでしょう。
戦艦12隻に対して空母は10隻。
そして全艦種中唯一、対米「量的均衡」を謳っているのが空母です。
この頃にはすでに、空母は戦艦と同等程度(取りようによってはそれ以上)の戦略価値を与えられています。
ついでに言うと、昭和16年に策定された昭和22年度戦時編成案では、基地航空隊の大増強が図られ、
実に4個航空艦隊の編成を考えています。
241 :
ゆうか ◆9a1boPv5wk :2005/07/09(土) 15:38:15 ID:5gvDpmKQ
>>239 昭和14年頃にはじまった戦略方針の大改定では、母艦航空隊が最重視される傾向がはっきりと見て取れます。
この頃までには大体の運用構想は固まっていたと考えるのが自然でしょう。
(支那事変の戦訓が本格的に取り入れられた時期でもあります)
>>239 戦艦の前例を出せば
ジェットランド前に作られた戦艦群は長く研究されていたにもかかわらず
たった一回の実戦で大きく設計を変えないといけなくなりました
水平防御の不足が露呈したんですが
遠距離から砲撃された砲弾が当る場所について考察が無かったわけです
日本でも2隻ほど完成前に旧型戦艦になった艦がありましたねw
実戦を経る前の兵器は後から見るとそんなの考えてて当然だろ?
っていうものについても考慮されて無い場合が多々あるようです
>>240 空母が安かったからですよ
貧乏国の日本は安い兵器を数そろえておきたかったって事です
もちろん軽視されてたわけじゃないですがね
244 :
ゆうか ◆9a1boPv5wk :2005/07/09(土) 15:48:24 ID:5gvDpmKQ
>>243 ・・・大和と翔鶴のお値段、比較してみてください。
空母が安いなんて台詞、簡単には吐けませんよ。
念のために付け加えますが、この「10隻」は、正規空母です。
瑞鳳以下の特空母は勘定に入っていません。
247 :
ゆうか ◆9a1boPv5wk :2005/07/09(土) 15:52:23 ID:5gvDpmKQ
ご自分でどうぞ。資料は探せば容易に見つかります。
ネットを漁るなり、図書館に足を運ぶなりしてください。
搭載機のお値段まで勘定するとさらによろしいでしょう。
>>247 ひょっとして
予算書の計上金額で比較してない?
まぁいいけど
>248
「開発費まで込みで『大和』」というやつか?
同じことは空母にも言えるんだが。
特に空母の場合、一生の間に更新される搭載機のことを考えたらとんでもない額になるぞ。
簡単に捨てるコテなら付けなきゃイイのに
251 :
名無し三等兵:2005/07/09(土) 16:01:58 ID:Vq3CRyT+
>>243>>244 空母が安いか高いかというのは難しい問題だ。飛行機も含めた、コストパフォーマンスで見ると、戦艦より安くみえるかもしれない。
しかし、実際には飛行機とパイロットの大消耗戦になったから、単価としては安くても、補充するには絶対額が大きくなりすぎたということではないかな。
>>249 いあ 予算書って機密のためにいろいろ誤魔化して文書になってるから
例えば某戦艦の建造費はダミーの空母2隻分入れて低く計上してたとかさ
253 :
名無し三等兵:2005/07/09(土) 16:04:34 ID:Vq3CRyT+
>>249 おっしゃるとおり。補充すべき飛行機の量が、イザ蓋を開けると、予想よりも膨大だったということだね。
>某戦艦の建造費はダミーの空母2隻分入れて低く計上してた
そんな戦艦ねぇよw
艦齢26年として、艦載機の世代交代は3〜4年ごとに行われるから
5〜7回は搭載機が全とっかえされることになる。
その開発・製造費やパイロットの養成費は一体いくらになるんだろう?
重ねて言えば
その計画で実際建造され始めたのは大和型戦艦4隻と翔鶴級空母2隻だけだよね
ダミーの「空母」って何だ、空母ってw
空母を作るって予算取っといて戦艦に廻したんだよ
戦艦の予算から性能を推測されないように
260 :
瑞鶴 ◆zuNON3aWGs :2005/07/09(土) 16:16:24 ID:uZQ601vQ
>>234 オレはマイメモリーだけで勝負
それが勇者クオリティ
オレの脳=全知全能だから。
問題ない問題ない。
ごっつぁんです
なるほど、電波を演じて、自我が傷つけられるのを防ぐ訳か
おまい、ゆうか氏のアドバイスくらい素直にきいとけ、な。
>>263 今後スルーして下さい、って泣いて頼んでるんだからそっとしといてやれよ
265 :
名無し三等兵:2005/07/09(土) 16:30:35 ID:m8/vcjPd
零戦より酸素魚雷の方が高かったて聞いた様な気がする?
266 :
名無し三等兵:2005/07/09(土) 16:33:07 ID:m//nzma1
ニセコ零戦は「寄せ集め」 主翼以外は別機種、飛行不能(北海道新聞)
第2次大戦中、後志管内のニセコアンヌプリ山頂で着氷研究に使われ、
昨年夏に右翼が回収された「ニセコの零戦」が、胴体部分に九六艦船など
他機種を組み合わせた「寄せ集め」だったことが当時の写真から分かった。
海軍の協力態勢など実験の実情を推測する手がかりになりそうだ。
267 :
名無し三等兵:2005/07/09(土) 17:36:24 ID:B1j44Oeh
攻撃機って事は雷撃するのか?
ワロスw
>>231 日本海軍は、九試で96式中攻を造っているからね。
仮想敵が類似機種を持ち出してくるのに供え、それを始末する機体を用意するのは、ある意味当然の行為かと。
>>220 >それに格闘性能を軽視したのなら、烈風が大型化した理由が説明できないね。
17試艦戦が格闘性能重視なのは、速度重視の17試陸戦と差別化を図るためです。
この頃は戦訓を取り入れ、艦戦/局戦とかの様に複数の機種で補完しあう兵器体系に移行しています。
一方零戦は、戦訓を取り入れる前の旧兵器体系で開発されています。
開発の時点で、自身の未来の戦訓を取り込めないのは、ある意味当然の事ですよね。
>>225 零戦に関しては、技術会議において要求仕様を審議した際の議事録が、学研「零戦2」に掲載されています。
>その目的は攻撃機の阻止撃攘を主とし、なお観測機の掃討に適する艦上戦闘機を得るにあり。
>この双方を得ることはなかなか難しきことなり。
>攻撃機撃攘を主とし、次に観測機の撃攘を副とす。
と言った感じで、当時としては「あたりまえの事」を確認している事もメモとして残っています。
妄想するのも楽しいですが、市販の書籍を当たり、どのようにコンセプトが形成されていったかを読むのも一興ですよ。
この時期の海軍において艦上戦闘機の用兵思想というものはどンなものであッたか?
まず空母の用兵構想をスケッチする必要がある それはッ!
まず優勢な米侵攻艦隊に対して「飛龍」「蒼龍」を中核とした機動航空部隊が
敵空母と差し違えて敵航空戦力を撃破する
「赤城」「加賀」を中核とした決戦夜戦部隊が敵戦艦戦力を減殺し
主力艦戦隊の戦いを対等の条件に持ち込み
その後「鳳翔」「龍驤」による直衛部隊が敵観測機を排撃して
味方の一方的な空中観測を実現して主力艦戦隊の砲戦を実施するというというのが
聯合艦隊の邀撃戦術の基本手順だッた
このように日本の航空母艦は漫然と存在するのではなく
各クラスともその戦術の各段階に組み込まれその任務を担ッている
艦上戦闘機の役割もこれに従って規定される
敵高速爆撃機が射点につくまえに第一撃にて撃墜破し
弾着観測機を排除する
ゆえに「 用途 1) 敵攻撃機の阻止撃攘 2) 敵観測機の掃討 」なのであるッ!!
( ´_ゝ`)ムーン
同じ学研本をネタにしていても
>>271はえらく胡散臭いなw
>>261-264 やれやれ。これだから消防は。
きちんと書いてこう。
自分の思い通りの展開にならないと煽るんじゃなくてさ。
>>270 妄想かい(笑)
まあ、オレがあまりにも先の展開を読みすぎたレスするんで、
オレが荒唐無稽なことを言い捨ててるイメージがあるんだろうけどな。
瑞鶴とは、自分の無知を宣伝するためのコテハンなんだろうな。
基本的な知識がないと、議論するための土俵にも立てないっていう当たり前のことを知らないんだろうな。
>>274 >妄想かい(笑)
>215の発言時点では、半世紀程前、設計者らを起点に生み出された都市伝説に縛られている、と見えましたけどね。
>まあ、オレがあまりにも先の展開を読みすぎたレスするんで、
「先の展開を読む」という言葉は、この場合不適切だと思われます。
将来に起こる事を推測したのではなく、過去に起こった事について、単に時間軸抜きでアバウトに眺めているに過ぎません。
しかも、勉強不足、基本的な知識がないと再三指摘されているのに一向に改めないので、他の方々からも叩かれるのです(多分ね)。