銀河英雄伝説を軍事的に絞殺するスレ 7【柏原芳恵】
時事ネタというか亀井=ブラウンシュヴァイク公ネタ
郵政民営化に徹底して反対した亀井派は、小泉首相が絶妙のタイミングで切った「衆院解散カード」で大打撃を受けて完全に孤立し、今や小泉率いる主流派の完全な包囲の中にある。
その中の人々は信じられぬ思いだった。
つい半月前、この派閥には多くの郵政民営化反対派議員と支援団体が結集し、こちらが自民党執行部であったかのような活気が溢れていたではないか。
それが現在、相次ぐ自派議員の反抗、支援団体の離反、マスコミを駆使した宣伝戦での敗北によって、それは造反議員たちの巨大な棺と化そうとしている。
「なぜこうなったのだ?」
造反議員たちは呆然とせざるを得ない。
「これからどうなる? 亀井会長はどうお考えなのか?」
「なにもおっしゃらぬ。 そもそも考えがおありかどうか。」
派閥代表の亀井静香と綿貫民輔の、権威と人望の失墜ははなはだしいものがあった。
それまでは見えなかった、あるいは見えても無視するにたりた欠点の数々が、今では拡大されて人々の目に映っている。
判断のまずさ、洞察の乏しさ、統率力の不足。 いずれも非難の対象として充分すぎるほどだった。
もっとも、亀井と綿貫をあまりに貶めると、その彼に派閥代表の座を与え、その主導下に倒閣運動に突入した自分達をも、同時に貶める事になる。
結局、造反議員たちは亀井を責めるのを止め、自分達の選択を呪い、残り少ない選択肢の中から最小の不幸を探り出す他はなかった。
秘書「ご無念お察しします、先生。」
亀井「うむ、まさかこうなるとは思わなかったが、こうなってはやむをえん。 小泉らと和解するしかあるまい。」
秘書「和解とおっしゃいますと?」
秘書はまばたきをした。
亀井「奴に有利な条件を出すのだ。」
秘書「どんな条件を?」
亀井「郵政民営化を条件付で認める。 小泉が民営化法案の大幅な修正にさえ応じれば、わしをはじめとする亀井派と他派の民営化反対議員は奴を全面的に支持する。 これは悪くない条件だろう。」
秘書「・・・・先生」
亀井「そ、そうだ! その上で改めて修正郵政民営化法案を衆院と参院に提出すれば、自民党と公明党による全党一致の採決で修正民営化法案は確実に通る!。
そうすればあえて不利な選挙などせずに済むし、今まで通り郵政団体の支持も受けられる!。 選挙の為に自民党を割ったという汚名を着るよりもその方が奴にとっても良かろう!。」
秘書の重い吐息がそれに答えた。
秘書「無益です、先生。 今更小泉首相がそんな条件を容れるはずがありません。
参院での郵政民営化採決前ならいざ知らず、現在ではあなたの派閥のご支持など彼は必要とはしません。
彼は実力をもって堂々と総選挙を勝ち、民主党もそれを阻む事はできないでしょう。」
秘書の目には、亀井のあがきを哀れむ色があった。
亀井は身震いし、玉の汗を額に浮かべてうめいた。
亀井「わしは郵政族のボスで亀井派会長の亀井静香だぞ! 保守本流中の本流だ!
それを小泉の奴はわしを落選させるというのか!?」
秘書「ああ、まだおわかりになりませんか、先生・・・。
まさにそれだからこそ、小泉首相は先生を落選させなければならないという事を・・」
亀井の血管には、重い流動物が詰め込まれたように見えた。
いたるところで血行が止まり、不規則に流れ出すかのように、一瞬ごとに皮膚の色が変わった。
秘書は容赦なく付け加えた。
秘書「それに永岡先生の件です。」
亀井「なに・・・・・?!」
秘書「執行部の圧力でやむをえず郵政民営化法案に賛成票を投じた永岡先生を自殺に追いやった件です。
まさかお忘れではございますまい?」
全身の力をふるって亀井は咆えた。
亀井「ばかな! 派閥の方針に逆らった奴を罰する事が罪になるというのか!。
わしは郵政民営化反対派の代表として、派閥の長として、当然の行動をしただけではないか?」
秘書「自民党の主流派はそう思いません。 世論も小泉の巧みな手腕によって彼らに与するでしょう。
今までの自民党は、先生をはじめとする経世会の論理で動きましたが、これからは異なる論理が自民党を支配するようになります。
それを知らせる為にも、小泉首相は先生を何が何でも落選させるでしょう。
でなければ、彼のよって立つ「郵政民営化」と「財政再建」という大義名分が成り立ちません。」
長い長い吐息が亀井の体外へ流れ出た。
亀井「わかった。 わしも覚悟を決めた。
だが、小泉の奴がこれからも自民党と日本を支配し続けるのは耐えられん。
奴はわしと共に失脚するべきなのだ。」
秘書「・・・・・・・・・」
亀井「最後の頼みだ、なんとか小泉の奴が当選する事だけは阻止してくれ。
それを誓ってくれれば、わしは自分一人の地位を惜しみはせん。 奴を落としてくれ!」