アンパンマンスレ2

このエントリーをはてなブックマークに追加
1名無し三等兵
前スレ
http://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/army/1071379048/

バイキンマンがアンパンマン側の補給を断つ話とか
2名無し三等兵:04/12/05 13:33:17 ID:???
>>1
乙。

早速、前スレ998の続きをキボンしてみる。
3ゲログロ太夫 ◆lLxLI7HFKk :04/12/05 13:56:34 ID:???
>>1
スレタイは前スレのを踏襲した方がよかった。
4名無し三等兵:04/12/05 14:04:08 ID:???
>>3
漏れもそうしたかったんだが、タイトルが長過ぎたみたいで。。。
シンプルにしてみます他。
54:04/12/05 14:05:07 ID:???
>>4=>>1で。
6名無し三等兵:04/12/05 18:05:33 ID:???
――5月11日 午前7時14分
ベンジャミンとバタ子は、かれこれ二時間ほど一枚の紙切れを眺めてうなっていた。
「……ああーっ、もうわからん!」
「もうこの書類から何らかの情報を得るのは諦めた方がいいんじゃないですか…?」
二人がそう口にするのも無理は無かった。なぜなら件の紙切れには、
何かの暗号としか取れないような意味不明な内容しか書かれていなかったからである。
文面はこうだ。
『実験@:物質]の飽和水溶液をしみ込ませたスポンジ:48時間32分42秒
@備考:軽微な振動で溶液がしみ出す為実用性低。
実験A:@溶液で満たしたタンク:56時間11分08秒
A備考:重量に問題有り。実用性低。

動力源に革新をもたらしたこの試作機が
よもやこのような幼稚な問題にぶつかるとは皮肉なものだな
(汚い字で走り書きされている。以下切れていて解読不能。)』

「…一旦切り上げて朝食にしませんか? ほら、もうこんな時間ですよ。」
バタ子は提案した。ベンジャミンはそう言われて初めて、
自分の胃が空腹を訴えている事、それに今朝はパンを焼いていない事に気が付いた。
「おお!そうだな!急いでパンを焼かないと開店に間に合わん。」
ベンジャミンとバタ子は隠し部屋を後にした。

…1時間後。
いつもより大分遅めの朝食を摂りながら、バタ子は思い出したように呟いた。
「…あ。そういえば博士。
紙切れの他にスライドがあったでしょう。あれを見れば何かわかるんじゃないですか?」
口一杯のクロワッサンをほおばりながらベンジャミンが答える。
彼はもう、バタ子が自分の事を「博士」と呼んでも注意しなかった。
「んむ、私もそう思っていた。あの部屋に写映機が、あればいいんだが、んむ。」
「ぷっ。ちょっと、口に物を入れて喋っちゃダメですよ。」
笑いながらバタ子はベンジャミンをたしなめる。
いつの間にか母親のように小煩くなったバタ子を見て、ベンジャミンは笑いながら肩をすくめるのだった。
7名無し三等兵:04/12/05 19:06:06 ID:???
――午前11時。
今日も村唯一のパン屋は、開店と同時に主婦達で一杯になった。
「お二人ともおはようございます。今日は食パンを三斤いただけますか。」
「はいはいはい。にしても今日はたくさんですね。何かあるんですか?」
「ええ、今日はご近所の人達と昼食会を開きますの。」
ジャム伯父さんはにこやかに主婦達と談笑している。それとは対照的に、バタ子は謎のロボットの事で頭が一杯で、客との会話などうわの空だった。
(物質]って何の事だろう…。動力に革新って書いてあったけど、
まさか核で動くなんて事は無いわよね…テレビアニメじゃあるまいし…。)
そんなバタ子には構わず、ジャム伯父さんは主婦達との会話を続けた。
「…そういえば奥さんがた。あの森の向こうはどうなっているのかご存じで?」
ふいにジャム伯父さんは切り出した。昨日バタ子が見たという謎の施設の事を、村の住民なら何か知っているのではないかと思ったのだ。
その質問に主婦の一人が答える。
「いえ…私たちは村の外には出ないようにしてるんです。
この村以外の場所は治安がどうなってるのかまるで分かりませんし、危険な所も多いと思うので…」
「そうですか。あぁいえ、気にしないでください。
…はいどうぞ!熱いから気を付けて下さい!焼きたてですからね。ありがとうございましたー。」
ジャム伯父さんの質問に首をかしげる主婦達を少し強引に店から見送った後、彼はバタ子に向き直った。
「こらバタ子。ぼーっとして、どうせ下のロボで頭がいっぱいなんだろう。
主婦達は昨日君が見た施設の事は何も知らないそうだ。ちゃんと聞いていたか?」
バタ子はジャム伯父さんの言葉で我にかえった。
「え!?わ、はい!……すみません。」
間抜けな返事を返すバタ子を見て、ジャム伯父さんは肩をすくめて、
「やれやれ。仕方の無いヤツだな。罰として昼までの店番を命ずる。
その間私は下で写映機を探すからな。いいな!」
と言い放ち、ニヤリと笑みを浮かべた。
「そ、それはずるいですよ!確かに私はボーっとしてましたけど…って!
聞いてんですか博士ー!!」
ベンジャミンはバタ子の反論を完全に無視し、さっさと階段を駆け下りてしまった。
かくして、バタ子はベンジャミンに店番を押しつけられてしまったのだった。

つづく
8名無し三等兵:04/12/05 19:08:47 ID:???
>>6-7
9名無し三等兵:04/12/05 20:22:33 ID:???
バタ子に店番を押しつける事に成功したベンジャミンは、一人隠し部屋でガラクタを漁っていた。
「…くそ、出てくるのは壊れた機械やら部品ばかりだ。何に使うかわからんから捨てるわけにもいかん…。」
目当ての品が見つからない苛立ちの為か、
ベンジャミンは、先の紙切れと同様に、スライドにも大した物は写っていないのではないかと不安に駆られたが、慌ててその考えを打ち消す。

…三十分程経っただろうか。遂にベンジャミンは壊れた機械の山から、
他の機器の間にできたわずかな空間に収まっている一台のプロジェクターを発見した。
「あった……。」
ある種の達成感に身を震わせるベンジャミン。しかし問題なのはスライドの中身の方だ。ソレから何かを掴まなければ意味は無い。
ベンジャミンはそっとプロジェクターを持ち上げ、外傷の無い事を確認すると、それを持って地上のバタ子の元へと駆け上がった。
「おい喜べっっ!! あったぞっっ!!」

丁度その時、地上一階に位置する店内ではパンを買いに来た客がバタ子と談笑していた。
自分達の知っている普段のジャム伯父さんからは想像もできない程の彼の大声を聞いた客達は皆、目をぱちくりさせてベンジャミンを見る。
ベンジャミンは一瞬 しまったというような顔をしてから頭を掻きつつ言った。
「い、いらっしゃいませ…。」

つづく
10名無し三等兵:04/12/05 20:30:31 ID:???
(俺の駄文の為にわざわざスレを立てて下さった方、読者の方に感謝します。
アップするのが遅いのは誠に申し訳ないのですが、御了解頂けたら幸いです。)
11名無し三等兵:04/12/05 21:07:58 ID:???
――午後2時13分
昼時の客もほとんど居なくなるこの時間、ベンジャミンは一旦店を閉めた。
無論、例のスライドを見る為である。
「さて…じゃあいくぞ…。」
店内をできる限り暗くし、部屋の中で一番広い壁の前にスライドをセットしたプロジェクターを置く。
「…壁にちゃんと写るかどうかわからんが…。」
「博士、前置きはいいから早く見ましょうよー。」
急かすバタ子に促され、ベンジャミンはプロジェクターのスイッチを入れた。


クリーム色の壁に写ったスライドはぼやけてはいたが、それでもベンジャミンとバタ子は、例のロボットに「首」が付いた物がしっかりと自分の脚で立っている様子が確認できた。
『……………』
二人は食い入るようにスライドの写る壁を凝視した。やがてバタ子がぽつりと呟く。
「…この頭についてるのもしかして、紙切れにも書いてあった『スポンジ』じゃないですか?」
見るからに精巧に作られた胴体の上に、少々大きめのスポンジが乗っている。
それは想像しただけでひどく滑稽な構図ではあったが、なるほど見れば見るほど、首に乗っている物はスポンジにしか見えなかった。
「一体どういう事なんでしょうね…。」
バタ子は訳が分からないといった感じで溜め息をついたが、ベンジャミンはひどく真剣な面持ちで、なおロボットの上部を見つめている。
やがて彼は立ち上がり、静かな口調でこう言った。
「調べたい事がある。ちょっと来てくれんか。」

つづく
12名無し三等兵:04/12/05 21:40:34 ID:???
ベンジャミンがバタ子を連れてきたのは、彼女の想像通り地下の隠し部屋であった。
梯子を下り、ロボットの前に立つベンジャミン。しばらく躊躇していたが、遂に彼はロボットの胴体を調べ始めた。
「何をするつもりなんですか?」
ベンジャミンはバタ子の質問には答えず、代わりに工具箱からドライバーを持ってくるようバタ子に指示した。

バタ子からドライバーを手渡されると、胴体部分のあらゆるネジを外し始めるベンジャミン。
ネジはまるで溶接されているかのように固く締められていたが、苦労の末、やがてネジは全て外された。
(大丈夫なのかな………。)
横でハラハラしながら一部始終を見守るバタ子。そんなバタ子を気にも留めずに、ベンジャミンは開胸されたロボットの内部を更に念入りに調べていく。

しばらくするとベンジャミンは顔を上げ、呟く。
「…やはり私の考えに間違いなさそうだ…。」
「ちょいと博士。」
「ん?」
ベンジャミンはまるで 居たの?というような表情でバタ子を見る。
「なーにが『わたしのかんがえにまちがいなさそうだ』ですかー!見てるコッチは全然分かりませんよ!
一人で納得しないで下さい!っとにもう…。」
バタ子がスネている事に気付き、ベンジャミンは慌てて彼女に謝った。
「ああ、すまんすまん。ちゃんと説明するから。とりあえずこの内部を見てくれ…」

つづく
13名無し三等兵:04/12/05 22:12:48 ID:???
「…どうだ。何か分かるか。」
「わかるか?って言われても…。とりあえず、配線が沢山見えます。」
ベンジャミンはバタ子にロボットの内部を覗かせていた。
「そうだな。他には?」
「…勿体ぶらずに教えてください。何か分かったんでしょう?」
そう言われると、ベンジャミンは待ってましたとばかりに咳払いをひとつし、雄弁と語り始める。
「うむ。実はな、私がロボットを調べていたのは、動力源があるかどうか確認する為だったのだ。
しかし見ての通り、中にはバッテリーらしき物も、エンジンも原子炉も見当たらない。」
「原子炉があってたまるもんですか。」
バタ子が横から茶々を入れる。
「こら茶化すな。…内部を調べる前にロボットの外骼も調べたが、プラグ挿入の穴の類も無かった。」
「!!…なるほど。つまり、この『付いていない首』が動力源だという事ですか?」
バタ子の台詞を聞き、ベンジャミンはニヤリとする。
「そう見てほぼ間違いないだろう。その証拠にほら、ロボットの首を覗いてみてごらん。」
そう言われるとバタ子は手近な壊れた機械の上にあがり、ロボットの首を覗き込む。
…真っ暗なロボットの内部に、よく見ると二本のナイフのような金属が突き出ているのがわかった。
「これは……電…極?」
「私もそう思う。おそらく、例の物質]とやらをその二本の針に浸すと稼働するのだろう。あとはそれが何なのか…」
二人の会話は続く。
14名無し三等兵:04/12/05 22:38:37 ID:???
「わかった!」
突然バタ子が叫んだ。
「ほう。言ってみたまえ。」
ベンジャミンは何故か意味深な表情をする。
「お酒ですよ!アルコールです!間違いありません!」
バタ子は自身たっぷりに言ったが、ベンジャミンは苦笑した。
「それは多分違うな。」
「なっ、何でですか。」
一体自分の意見のどこがおかしいのかと、バタ子は抗議するような目でベンジャミンを見る。そんな彼女に彼は諭すような口調で言った。
「いいかね、アルコールのような液状の物を動力源にするなら、初めから首に付けるようなデザインはしない筈だ。
それに蒸留酒なんかを電池として利用する技術は数十年前からある。革新とは言えんな。」
さすがにこうもまくしたてられては、バタ子も自分の意見を引っ込める他無かった。
「…じゃあ、何なんでしょうか…。」
「ううむ。おそらくは日本が、まあこれが日本製だとしてだが、
ウォッカのようにありふれていてウォッカ以上のパワーを生み出せる何かをエネルギーとして利用できる技術を開発したって事だろう。
それが何なのか………。」
ベンジャミンは顎をしゃくり部屋を歩き回る。それは、かつて兵器開発の過程で問題に突き当たった時、決まってベンジャミン=オコーナー主任がとる行動であった。
そして彼は決まってその後、見事に問題を解決していた。
「水に溶ける……ありふれた……エネルギー源……。」
彼の頭の中で、全ての要素が一つに集まり、ある何かが形作られようとしていた。

つづく
15名無し三等兵:04/12/06 00:03:32 ID:???
餡麺麭(めんぽう)男
16名無し三等兵:04/12/06 00:15:26 ID:???
突然、ベンジャミンは足をとめる。そしてあっけにとられたような顔をしてバタ子を見た。
「……日本って、すげえな。いや、すげえけど、マヌケかな。」
「…は?」
ベンジャミンが突如おかしな事を言うので、バタ子は戸惑った。
「…いや、だってな。あんなモノを動力源にできる知恵があるのに、あんな簡単な問題に息詰まってたんだろ?」
バタ子はますます戸惑った。
「…や、仰ってることがよく分かりませんが。ってか口調が変わってます、博士。」
「ああ、すまんすまん。…多分、物質]の正体が分かった。」
「本当ですか!?一体何なんです!?」
バタ子はベンジャミンに詰め寄った。ベンジャミンは言葉を続ける。
「うむ。それに加え、製作者達がぶち当たっていた例の『幼稚な問題』も一瞬で解決したぞ。
まあ最上の解決策では無いかもしれんが、これは私がパン屋をしていたからこその……」
またしてもすぐに質問に答えてくれないベンジャミンにバタ子は少しイライラした。こういう時に勿体ぶるのは彼の悪い癖であったかもしれない。
「…んもーーっ、何ですぐ教えてくれないんですかっ。」
またしてもヘソを曲げてしまったバタ子。ベンジャミンは慌てて彼女をなだめた。
「ああ、悪かった。でもやっぱり少しは勿体ぶりたいじゃあないか。上でゆっくり説明するよ。パンを焼きながらな。」
「パン?何でこんな時にパンなんか……」
「いや、こんな時だからこそ、だ。さぁ、上に行こう。」
ベンジャミンはそう言って、さっさと梯子を上り始める。バタ子は諦めたようにそれにならった。

つづく
17名無し三等兵:04/12/06 00:53:01 ID:???
地上一階の薄暗い店内に戻ると、陳列されている菓子パンを手に取りしげしげと見つめた。
「…やはりこれでは小さすぎる。よし、パンを焼くぞ!」
バタ子には先程からのベンジャミンの言動が理解できなかったが、仕方が無いので素直にパン作りの準備を手伝う事にした。
小麦粉に卵と水を入れて混ぜ、よくこねる。そうして出来上がった生地を薄くのばし、ジャム伯父さん、いやベンジャミンは、その上に大量の『あん』をのせた。
「作るのはあんパンなんですか?にしては随分と…」
「いや、このくらいのサイズじゃないとダメなんだ。」
ベンジャミンはバタ子の言葉に耳を傾けつつも、手際よくあんパンとなる元を作った。そしてそれをオーブンに持っていこうとしたが、
思い直したようにそれを中止し、干しブドウとチョコシロップ等を使いあんパンに顔を描き、あらためてオーブンに入れた。

焼き上がる間、ベンジャミンはやっとバタ子に全てを明かし始めた。
「…もう分かってるかもしれんが、あれの動力源はおそらく、砂糖だ。」
「砂糖!!」
あまりの驚きに、バタ子は意味もなく叫んだ。
「…つまり、あの大きなあんパンは、ロボットの頭にするための…」
「うむ。馬鹿馬鹿しいと思う程滑稽だが、あれ以上に『頭』に最適な物を私は思いつかん。」
「……………そう言われればそうかも知れません。液漏れもしないし重量も比較的軽い…。スポンジよりはよっぽどマッチするわ。
…でも、本当に砂糖で合ってるんでしょうか。」
そう言われても、ベンジャミンの自信は少しも揺るがなかった。
「『塩』よりは自然な推測だと思うがね。…ま、万が一違っていたらまた別の物を試すだけさ。」
ベンジャミンは、焦らずとも時間ならたっぷりある、というようにゆったりと構えていた。無理はない。
だが実際は、彼等に残された平和な時間は、あと僅かしか残されていないのである。

つづく
18名無し三等兵:04/12/06 01:14:22 ID:???
(つづきはまた明日。話が随分長編になってしまいました。
まあよろしければ今後も暇つぶしに読んでやってください。)
19名無し三等兵:04/12/06 01:42:41 ID:???
>>18
乙です!
20名無し三等兵:04/12/06 10:41:22 ID:???
がんばれ!ジャムおじさん!
たたかえ!作者!
21名無し三等兵:04/12/06 20:32:05 ID:???
>>20
作者が戦ってどうするよ(藁)
22名無し三等兵:04/12/06 23:28:23 ID:???
23名無し三等兵:04/12/06 23:46:39 ID:???
>>22
うわっっ!
24名無し三等兵:04/12/07 01:12:00 ID:???
――5月11日 午後3時41分
普通のサイズより遥かに大きなあんパンが焼き上がるまでには、二人の予想を上回る時間が必要だった。
手持ち無沙汰なベンジャミンとバタ子は、例のロボットが果たしてどれ程の性能を持っているのかと、アレコレ意見を出し合っていた。
「やはり何らかの武器が内蔵されているんじゃないでしょうか。例えば…、日本らしく、カタナとか。」
「オイオイまるでサムライだな。そんな物を内蔵するくらいなら、初めから腕に刃をつければいいじゃないか。」
「それじゃロマンがありません!てか博士、さっきからアタシの想像を笑ってばかりですけど、博士はどう思ってるんですか。」
バタ子の質問にベンジャミンはちょっと考え、口を開いた。
「…そうだな、兵装はともかく、運動性能は高いかもしれん。試作機とはいえ兵器前提だからな。いくらボディが頑丈でも、戦場でノロノロ動いていたんでは的にしかならん。
もしかすると人間のようなナチュラルな動きをするかもしれんぞ。」
ベンジャミンの意見を聞いたバタ子は、少し物足りなさそうな顔をした。
「…まあ、それは凄い事なんでしょうけど。もう一声何か欲しいですよね…。」
「待て。『凄い事』どこの話じゃないぞ。何も分かってないな。いいか、二足ロボットってのはな…」
「…まあ博士も私も、ロボットは専門外なんですけどね。」
必死に抗議しようとするベンジャミンを、バタ子はピシャリと封じた。
「……まあな。」
これにはベンジャミンも、ただただ苦笑を返す他なかったのだった。

その時、店のシャッターを少々乱暴に叩く音が店内に響いた。
その音で二人は、いまだ店を閉めっぱなしにしていた事に気が付く。
「まずったな。店、閉めっぱなしだった。」
「……お客さんかな。でもちょっと乱暴じゃないですか?コッチはタダ同然の値段でパン売ってるってのに…。」
バタ子は何やらぶつくさ言いながらシャッターを上げる。

バタ子の予想に反して、店の前に立っていたのはいつもパンを買いに来る人ではなく、村の村長だった。
彼の顔からは血の気が引いており、とてもパンを買いに来ただけの客には見えなかった。
村長は息も切れ切れに、絞りだすように言った。
「…大変な事になった。ここは危険だ。早く、早く逃げてくれ!」

つづく
25名無し三等兵:04/12/07 02:03:52 ID:???
バタ子とベンジャミンの所へ村長がやって来た時より、話は半世紀ほど遡る。

――西暦2XXX年 初夏。
とある研究所の地下五階では、徹夜明けの腫れぼったい目蓋をこすりながら、一人の若い男がキーボードを叩いていた。
彼の名は梅村欽治。この研究所の所員である。
「……ああ、完全に行き詰まった…。」
キーを叩く手をとめ、大袈裟に椅子にもたれかかる。
彼がその時開発しようとしていた物とは、ひとことで言えばいわゆる「人工知能」であった。それは『知能』とは名ばかりの従来のお粗末な代物ではなく、
自分で考え、学習し、常に状態毎の適切と思われる判断が下せるレベルの物 という条件が求められた。
この研究は当時の政府が主導となり、その時には既に、国家プロジェクトの名の元に莫大な金が注ぎ込まれていた。
政府とその周りにどんな思惑があったかは今となっては推測の域を出ない。しかし、研究者の一人である欽治は、
仮にこれが最高の形で完成すれば、日本はあらゆる意味で世界に一歩先んじた特別な国になれるだろうと強く感じていた。

しかし実際は、研究は遅々として進まず、完成するのがいつになるか全く分からない状態であった。
26名無し三等兵:04/12/07 02:31:13 ID:???
「所詮、無理な話だったのか…?」
欽治は呟く。
「何が無理だって?」
欽治は声がした方へ首を向ける。そこには、彼と同じプロジェクトに携わっている一人の研究員が立っていた。
「早いな。…ああ、何も無い所から人間の脳みそを作るみたいな事はできないんじゃないかって言ったんだよ。」
それを聞いた研究員は苦笑いを浮かべ、
「おいおい、君がそんなんでどうするんだ。この研究は君にかかってるようなモンなんだから、しっかりしてくれ。」
と欽治を励ました。
「…ああ…。」
欽治はそれに気の無い返事で答える。彼はこの同僚が、というより、ここの所員のほとんどを好いていなかった。
(くそ、なんでも俺様に頼りやがって。ちっとはてめぇでいいアイディア出せってんだ…。全くどいつもこいつも…。)
朝から不快な気分になった欽治は、それ以上同僚に何も言わず、仮眠をとる為部屋を後にした。

…しばしの眠りから覚めた後も、欽治は仮眠室のベッドの中でまどろんでいた。
(……くそぉ、いったいどうすりゃいいんだ……。人工知能なんて脳みそを材料にでもしねぇと作れる、わけねぇよ……)
それは何気なく頭の中でぼやいた事だったが、意識がはっきりしてくるにつれ、欽治はその言葉が天啓の如き閃きではないかと思い直す。
「…脳みそ…。そうだ、脳を使えばあるいは……!!」
欽治は布団をはねのけ慌てたようにズボンを履き、乱暴に白衣を引っ掴むと研究室へ走った。
27名無し三等兵:04/12/07 03:04:08 ID:???
それからというもの、欽治は一人狂ったように実験を繰り返した。
羊に始まり、最後は猿を丸々一匹寄越すように職員に手配させ、望みのモノが届いた次の日には、それらの生き物の、頭のパックリ割れた無残な死骸がもれなく廃棄物として出された。
その事を知る所員達は皆、彼が独自に研究を進めているらしい事に憤るよりも、マッドサイエンティストとしか言いようのない彼の様子を不気味がった。

そんな日々が3ヵ月程続いただろうか。ある日、このプロジェクトにかかる費用を負担している人物の一人が、状況を聞くために研究所にやってきた。
「…では、これの開発の為には『生物の脳』が不可欠だと、そういう事か。」
「はい。それもなるべく知能の高い生き物の脳みそがベターですね。」
あからさまに難色を示すパトロンを前に、臆面もなく欽治は語ってみせる。そのやりとりを傍から見ている研究所の責任者は終始ハラハラしている様子だった。
しばらく何かを考えていたパトロンが口を開く。
「まあいい。こっちも倫理がどうのと言ってもいられない事情が出来てしまったからね。できる限り協力しよう。資金の他に何か必要な物はあるかね。」
ここで欽治がまたとんでもない事を口走る。
「できることなら、なるべく新鮮な、人間の脳が欲しいです。それさえあれば、一ヵ月以内にお望みの物をお作りしますよ。」
28名無し三等兵:04/12/07 03:45:46 ID:???
――西暦2XXX年 初秋。
パトロンから人間の脳の提供を約束された欽治は大層機嫌が良かった。彼は『約束の品』が届くまでの暇な時間に、
人間の脳からどのように「人工知能」として利用可能な装置をつくるかを事細かに文章におこし、他の研究員に見せた。
無論、それは「同僚にも開発を手伝ってほしい」とかそういう事ではなく、
単に自分の頭脳がいかに優れているかを見せつけ、自分がこの方法を思いついた過程を自慢したいだけであったのだが…。
しかし彼の予想に反して、同僚の反応は冷えきったものだった。
不愉快な気持ちになった彼は、『脳』が届かない事には研究所に居ても仕方がないと思い、休暇を取った。

……休暇をとってから三日目の夕方、欽治は大学時代に知り合ったイギリス人の友人とドライブを楽しんでいた。
友人の名はドロシー=キンバリー。欽治は彼女に、憧れにも似た恋心を抱いていた。
彼女はそれは美しい女性であった。性格も穏やかで、学生時代にも彼女の周りには彼女を慕う沢山の友人が輪を作っていたものだった。
「聞いてくれドロシー。俺はとうとう科学者として歴史に名を残せるかもしれない。」
欽治は言った。ドロシーは興味津々な様子で話題にのってくる。
「凄いじゃない!ねぇ、どんな内容なの?何かお祝いしなきゃね。」
これに気を良くした欽治は雄弁と語りだす。ただ、さすがにまずいと思ったのか、「脳みその話」は省いていた。
…やがて欽治は熱弁を奮う事に夢中になるうちに、然るべき地点での車の減速を怠った。
二人を乗せた車は、山の斜面の急なカーブに差し掛かる。ドロシーが、自分達の車のスピードがやけに速い事に気が付き慌てて欽治に注意した時には全てが遅かった。

つづく
29名無し三等兵:04/12/07 04:07:33 ID:???
その日、研究所の所長の所に一本の電話が入った。
電話の主は以前ここを視察したパトロンであった。
「やあ、私だ。…すまないんだが、約束した物はどうやら用意できそうにない。」
「ああ、いえ!謝らないでください…。むしろ謝らなければならないのはこちらの方です…。あんな無茶な事をお願いしてすみませんでした。
ウチの馬鹿が勝手に言ったことなので今回は大目にみて………ええ、ええ、はい。
わかりました、そう伝えておきます。はい!それはもう必ず完成させます!ええ。……では失礼致します…。」
受話器を置く所長。その額には脂汗が浮いていた。
その時、ふいに所長室のドアがノックされる。
「どうぞー。…君か、あぁそうだ。すまんが梅村を……何!!梅村が事故で死んだだと!?」
所長は愕然とした。ヤツがいなければ人工知能は完成しない。ついさっき一ヵ月以内で完成させると言ってしまったばかりだというのに…。
その時、秘書につづけて数人の研究員が所長室のドアを叩いた。
「所長。すこしお話があります。」

つづく
30名無し三等兵:04/12/07 04:12:05 ID:???
(げ、もう四時っすね。なんかすっげえ中途半端でアレですが今夜はこの辺で切り上げます。おやすみなさい。
PS 何かこのスレ、俺の駄文投下専用スレになってますが、いいんですかね…。)
31名無し三等兵:04/12/07 11:15:32 ID:???
>>30

イイです!がんがって続きをお願いします!!
32名無し三等兵:04/12/07 16:46:13 ID:???
33名無し三等兵:04/12/07 22:28:04 ID:???
(励ましの言葉を頂いたので調子に乗って今夜も書きます。携帯電話で。
パソコンさえ壊れてなければもう少し早く書けるんだが…)
34名無し三等兵:04/12/07 22:29:37 ID:???
「何だねこんな時に!こっちは今大変なんだ!!何か要望でもあるんなら、そこの秘書にでも伝えておきなさい!」
一連の予期せぬ事態のせいで完全なパニックに陥っていた所長は、ずかずかと部屋に踏み込んできた所員達を怒鳴り散らした。
しかし彼等は怯む様子もなく、更に言葉を続けようとする。
「聞いてください所長。プロジェクトの件で緊急の用件が…」
「ああもう黙れ!!このプロジェクトはおしまいだ! お前等はまだ知らんかもしれんが、梅村が死んだんだ!その上必要な脳ミソも用意できん!分かったならさっさと……」
『人工知能を完成させる手ならまだあります!!』
所員の一人が、所長の怒鳴り声よりも更に大きな声を張り上げた。所長が怯んだ隙に、その男は一気にまくしたてる。
「梅村が交通事故で死んだ事は既に我々も知っています。所長はこれでプロジェクトはご破算になったと考えておられる様ですが、
実は、彼は人工知能の開発方法をデータとして事細かに残していたのです。」
「…………なに?」
それを聞いてしばし唖然としていた所長は、さっきまでとは対照的な小さな声で呟く。
「…じゃあ、作れるんだな…?」
安堵の表情を浮かべる所長に対し、所員は依然として厳しい表情のまま言葉を続けた。
「ここからが本題なんです。…何でも、脳が手配できなくなったそうですね。そこで我々は提案します、梅村欽治の遺体を回収してください。」
それを聞いて、所長は狼狽した。
「…まさか、ヤツの脳を使う気か。」
「何か問題でも?全く関係の無い一般人の脳を利用するよりずっといい考えだと思いますが。
ただ朽ちるより、彼もその方がうかばれるでしょう。」
そんな事をしれっと答える所員に恐ろしさすら覚えつつも、不思議と彼の言っている事ももっともな気がした。
何より既に所長自身にも、人工知能を何としても完成させねばならぬ事情ができていたのだ。
彼はしばらくのあいだ何やら苦悩した風を見せていたが結局は、各方面に手を回して欽治の遺体を研究所に運び込ませた。

早速、欽治の脳を摘出する準備を始める所員達。それを何やら複雑な面持ちで見る所長。
そこには、梅村欽治という一人の人間の死を悼む者は誰一人として居なかった。
つづく
35名無し三等兵:04/12/07 23:24:03 ID:???
研究所の地下四階にある一室では、既に準備を完了した所員達が欽治の遺体の到着を待っていた。
ふいに所員の一人が呟く。
「にしても梅村が死んじまうとはな。まさか俺のせいじゃねぇだろうな…」
「は?お前何かしたの?」
もう一人の所員の問いに、彼は薄ら笑いを浮かべながら答えた。
「いや〜?ただ死ねばいいな〜ってけっこう思ってたからさ。」
それを聞いた他の所員も口々に欽治の悪口を並べ始める。
「ああ俺も俺も。なんかさー、アイツ調子乗ってるよな?いや、今じゃ『調子乗ってた』かな?ぎゃはははははは!」

…そんなやりとりが微かな音量でモニター室に響いてくる。所長は彼等の幼稚さ、底意地の悪さに吐き気がした。
『…おい、私語も程々にしろ。特にそういう死者を冒涜するような事はな。』
「はいー…。」
気のない返事が返ってくる。
その後、かわって所員達は小声で所長の悪口を言いだした。
「…全く嫌になるぜ。そんな事言うぐらいなら、アイツの脳なんか使わせるなっての。
あのデブだってどうせ自分の手柄の為にこんな事を許可したんだろうが…。」
「全くだな…。偽善者め。」

その時、部屋の自動ドアが開いた。遺体が到着したのである。
「おっ来たな。さて…ん?」
運び込まれた亡骸は二つあった。一方は欽治のもの。そしてもう一方は…彼の車に同乗していたドロシー=キンバリーのものであった。
所員達はどよめいた。
「おい、二体あるぜ。しかもありゃ外人の女だ。両方使えって事なのか?」
「…所長、聞こえますか。どうすればいいんでしょう。」
動揺していたのは所長とて同じだった。彼はしばらく考えていたが、運んできた人間に話を聞いた末、決断した。
『二つとも使え。今からそちらの女性だけを現場に戻してくるワケにもいかんからな。』

こうして、脳の摘出手術は始まったのである。
36名無し三等兵:04/12/07 23:46:39 ID:???
ho
37名無し三等兵:04/12/08 00:35:06 ID:???
遺体の頭を固定し、電動カッターで慎重に頭蓋骨を開いていく。やがて、薄い膜で覆われたほのかに紅い灰色の物質が姿をあらわした。
「よし…。じゃあ脳幹を取り除くからな。そっち、適当なトコで切っちゃって。ああ、その辺で。」
摘出手術は滞りなく進んでいった。

…やがて手術は終了し、二つの大脳はすぐに特殊な処理を施される。
「ふう…。さて、次はどうするんだ。」
「ええと、次はな……。」


一ヵ月後。
生前の欽治が、自分の知能の高さを誇示する為にこしらえたレポートのお陰で、彼の宣言通りの期間内に、人類初の人工知能は出来上がった。
「やったぞ…。遂に俺達はやったんだ!!」
所員達は完成した品を前に歓喜の声を上げた。そこへ所長がやってくる。
「…あー、諸君。諸君らは本当に素晴らしい成果を上げた。本日の最終チェックには資金を負担してくれていた方々がお見えになるから、
くれぐれも無様な所を見せぬようにな。では期待しているぞ。」

――同日 午後3時。
研究所の前に、三台の豪華な黒塗りの車と一台のトラックが停まった。
車から下りてきた人々を終始笑顔でもてなす所長ならびに所員達。
その笑みにはもしかすると、今回の成果により期待できる『より良い人生』を想像してこぼれてしまった笑いも含まれていたのかも知れない。

つづく
38名無し三等兵:04/12/08 08:05:06 ID:???
乙。
39名無し三等兵:04/12/08 14:58:35 ID:???
次の展開が楽しみです。
40名無し三等兵:04/12/09 02:58:24 ID:???
黒塗りの車から降りてきた人間は六人。驚くべき事に、そのうち四人は大胆にも軍服に身を包んでいた。
そんな事はあえて気にせず、所長は彼らににこやかに呼び掛ける。
「ようこそおいで下さいました。ささ、とりあえず中へどうぞお入りください。」
トラックの積み荷を運ぶのを手伝わせるため2、3人の所員を残し、所長は「客」達を研究所の中へと案内する。

研究所の入口前に残った所員達は、何やら言葉を交わしながらトラックへと近づく。
「とうとう噂のロボットとご対面だな。」
「ああ。元々俺らが作ってたAIはそれの為に必要だったって話だからな。きっと見るからに凄そうなヤツに違いないぞ。」
所員達は一週間ほど前に、作った人工知能は別の機関で既に開発されたロボットに搭載される、という事実を通達されていた。
それ以降、所内はそのロボットの話題で持ちきりになった事は言うまでもない。

所員達がトラックの後方へ回り込むと、そこでは青い作業服を着た二人の人間が慎重に積み荷を下ろしていた。
作業服を着た人物の一人が近づいてきた所員に気付き、挨拶をしてきた。なんと彼は、これらのロボットを開発した機関の『主任』だという。
彼は「作ったロボットが起動する瞬間をどうしても見たくて自らついてきた」と笑った。
所員達も慌てて挨拶を返す。やがて積み荷はトラックから全て下ろされ、彼等の手によって研究所の地下五階へと運ばれた。
41名無し三等兵:04/12/09 03:56:05 ID:???
地下五階、一番奥の部屋に彼らは到着した。
「手伝ってくれてありがとう。後は私達に任せてください。」
作業服の男にそう言われると、所員達は部屋の隅に立ち、作業を見守るかまえをとった。
部屋の中央に置かれた「積み荷」の包装を丁寧に取り外しだす男達。やがて二重、三重にも施されていた包みは剥がされ、『それ』の全貌が露わになった。

…その瞬間、所員達は目を大きく見開き、硬直した。
「…すげえ……………。」
彼等のうちの一人が溜め息のような感嘆の声を洩らす。
黒真珠のような輝きを放つ全身は滑らかな曲線を描きつつも、屈強な兵士の体のように逞しかった。
細部に目を凝らせば凝らすほど、その精巧さが見て取れる。
それは所員達が一言「ロボット」と聞いて想像した、何やら角張った金属の塊とはおよそかけ離れており、美しかった。
「どうです、凄いでしょう。」
先程「主任」と名乗った作業服の男は、自分達の生み出したものを見て目を丸くしている所員達に誇るように言った。
「もうすぐこれに命が宿るかと思うともう、たまりませんよね。もういい歳なのに、ガキっぽいかな?
……人工知能、楽しみにしてますよ。」
そう言われた所員達は我に返り、そのうちの一人は自信ありげな表情で主任の男に言葉を返す。
「任せてください。きっと今日は我々にとって、記念すべき日になりますよ。」
ちょうどその時、所長がパトロンの男達とともに、厚手のガラス一枚で隔たれた隣の部屋に入ってきた。
同時に他の所員達が「人工知能」を荷台にのせて、ロボットの置いてある部屋に入ってくる。今度はそれを見た作業服の男達が目を丸くする番であった。
しかし彼等が感想を洩らす前に、隣のモニター室から所長の野太い声が響いた。
『これより起動テストを開始する。準備にかかってくれ。』

つづく
42名無し三等兵:04/12/09 05:01:47 ID:???
目の前には白衣を着た男と、青い作業服の男が立っていた。この人達は一体何者だろうか。
辺りを見回し、自分の居る場所を確認した。無機質な壁に覆われた部屋。左の壁は透明で、その奥では更に沢山の人達がこちらの様子をうかがっている。
ここは一体どこなのだろうか…。
「やあ。…私が見えるかい?」
不意に目の前に立っていた作業服の人が話し掛けてくる。小さめの声で答えた。
「はい、見えます。…あなたは一体……。」
その瞬間、そこに居た人達は一斉にどよめいた。自分は何か変な事を口走ってしまったのだろうか…?
そう不安になっていると、目の前の人が答えてくれた。
「ああ、驚かせてすまない。私は君を作った…、いや、君の生みの親の一人だ。初めまして。」
「…え!?…あ、あの…」
「ああ、困惑させてしまったかな?…大丈夫、何も心配する事はないよ。時間はたっぷりある。すぐに全てを把握しようとしなくてもいいんだ…。」
男の人は優しい口調でそう言った。…自分はここの人達に作られた…。そういえば、自分には過去の記憶が全くない。自分が何という名前なのかさえ知らない。
なおもあれこれ考えていると、今度は他の男の人が話し掛けてくる。
「まあなんだ…えぇと、そだ!体の具合はどうだ?ちょっと歩いてみてくれよ。」
言われるままに体を動かしてみる。初めは少しふらついたが、すぐに普通に歩く事ができた。するとそこに居た人達はまたもや騒めきだす。
もはや訳が分からなかった。

その後もしばらく、走ったりジャンプしたり、腕を回したりと、言われるままに動いていたが、やがてガラスの向こうの人は満足そうに
『もういいぞ。これにて本日の実験を終了する。ご苦労だった。』
と言った。その言葉は自分にかけられたのかも知れないが、目の前の人達にのみかけられた言葉にも思えた。
43名無し三等兵:04/12/09 05:07:51 ID:???
(とんでもなく中途半端ですが、寝ます…。ごごごごめんなさい。では。)
44名無し三等兵:04/12/09 07:48:26 ID:???
乙!
45名無し三等兵:04/12/09 11:38:48 ID:???
>>42で、急に3人称から1人称に変わったのでちょっと面食らいましたが、
先の読めない展開(でも結末はわかってるw)がとてもイイです。
46名無し三等兵:04/12/09 19:53:50 ID:???
それから毎日、色々な事をさせられた。100メートルの速さを計ったりプールで泳いだり、ここのすぐ裏にある山を登ったり…。
ただ、研究所の人達のほとんどが、優しく自分に接してくれた。お陰で段々そんな日々にも慣れ始め、楽しむ余裕すらでてくる…。

ある日、いつもの作業服を着た人は、何やら大きな荷物とともに部屋に入ってきた。
「よう!今日は君のガールフレンドを連れてきたぞ。」
「ガールフレンド…?」
「そうだ。かなりのべっぴんさんだから、見て驚くなよ、……っと。」
男の人は話しながら他の人達と荷物の包みを剥がしていく。

「……!?」
そこには鮮やかなオレンジ色のボディをもつ、美しい女性が目を瞑り、立っていた。
しかしそんな事より驚くべき事があった。自分はこの人の事を知っている。…でも何故?この人を見たのは今日が初めての筈だ。…わからない、一体どういう………
「う〜〜〜っ、お、もう届いたか〜っ。」
作業服の男の人と入れ代わるように部屋へと入ってきた男の言葉で思考を遮られた。
皆が優しいこの研究所で自分が唯一、あまり好きになれない人物。
その白衣を着た男は、いつも自分を機械扱いし、事ある毎に厳しい事を言うのだ。
「よ〜。やっぱこれってあの二台目使ってるんだろ?」
その男はこちらの事を無視するかのように他の職員さんに話し掛ける。
「ああそうだよ。…こうも立派だと、そろそろ名前を決めなくちゃなあ…。」
その職員さんの呟きに、男はゲラゲラと笑い始め、こう言った。
「だからよー、普通に『欽治』と『ドロシー』でいいじゃねえかって言ってるだろ。あ、欽治の方は『バイキン』ってのでもいいかもな!」
………欽治…?それにドロシー……。
どこかで聞いた事がある。いつだ、一体いつ……
「ひゃははははっ!バカ、アイツのアダ名なんて持ち出すなよ!もう梅村欽治なんて居ね〜〜の!!」

…………………!!
47名無し三等兵:04/12/09 23:22:22 ID:???
乙。
あんまり無理せずに。
48名無し三等兵:04/12/10 00:11:44 ID:???
………全て思い出したぞ。
俺は梅村欽治だ!!こいつら、俺様の脳ミソを使いやがったな!?
待て……、ってことは、俺様はあの日に事故で死んだのか?いくらコイツ等でもヒトが昏睡してる間に脳ミソを取り出したりはしないだろうからな…。
くそ、頭が混乱する。落ち着け……。
今わかってるのは、俺の脳ミソが人工知能としてロボットに移植されたって事だ。コイツ等は俺様が自我を取り戻したって事に気付いちゃいねえ。
にしても助かった。俺様の理論が完璧だったら、一生ロボットとしてこの薄汚い野郎共にこき使われるトコだったぜ。
くそ……許せねえ……俺様だけじゃなくドロシーにまでこんな事しやがって!!
ブッ殺してやる………!テメェ等全員、生かしちゃおかねぇぞ!!



「…おい?どうした、恐い顔して。気に入らねえか?『バイキン』。」
気が付くと、かつての同僚がニヤニヤしながらロボット…いや、欽治の方を見上げていた。
欽治は体の底から沸き上がる憎悪の念を必死に抑えながら、その男に平坦な口調で言った。
「…あぁいえ、それでいいですよ…。」

つづく
49名無し三等兵:04/12/10 00:13:40 ID:???
8 名前: 名無し三等兵 [sage] 投稿日: 03/12/14 14:38 ID:???

アンパンマン「酷い話だ。戦争狂いに指揮されたパン屋の助手が
        アンパンの俺をパン工場で脅してバイキンと戦わせるんだ。
バタコ「黙れ!」

9 名前: 名無し三等兵 [sage] 投稿日: 03/12/14 14:49 ID:???
バタコ、顔もってこい! バタコーーーーー!!!
50名無し三等兵:04/12/10 00:26:51 ID:???
(皆さんいい人ばかりですね。励まされます。
では明日早いんで、今日はここまでにしときます。
おやすみなさい。

PS 一人称にしたのは、『「彼」がブチ切れる様を書いてみたかった』という、ひどく自分本位な考えからです。
仮に雑誌の編集さんなんかに見せたら間違いなく
「ココ!ダメね。読者の事考えろよ〜〜〜」
と赤ペンで真っ赤に(略)
2ちゃんではやりたい放題ですね。イエーイ

…オレガワルカッタ)
511:04/12/10 01:22:45 ID:???
スレを立てた>>1です。
>>50さん、乙です!いつもありがとうございます。
まさかこんな話の展開になるとは・・・
梅村欽治ってそういう深い意味だったのですね。恥ずかしながら初めは気づきませんでした。
明日からも素晴らしい文章をよろしくお願いします。
52コスタリカ文化振興局:04/12/10 01:24:45 ID:???
>>50
姫君がお待ちかねであるが、ごゆるりと文才を発揮されたし。
53名無し三等兵:04/12/11 00:59:39 ID:???
研究所の一室。そこに先程までの従順なロボットはもはや存在しない。そこに立っているのは、以前の彼とは似ても似つかぬ姿をしてはいるものの、間違いなく「梅村欽治」であった。
しかし、それに気付いた者は誰一人としていなかった。
欽治は、依然としてちょっかいを出してくる「かつての同僚」を適当にあしらいながら、頭の中でこれからどうするかを必死に考えていた。
(俺様が『梅村欽治の人格』を取り戻したと知ったら、コイツ等はどんな行動に出るだろうか…。
とりあえず今まで通りというわけにはいかないだろう。最悪、処分されてしまうかもしれない…。)
その時、部屋を離れていた作業服の男――すなわちロボットの開発者が、今度は所長と一緒に再び部屋へと戻ってきた。
「よし、全員居るな。これより試作機二号の起動テストを行なう。各員速やかに準備につけ。」
部屋に入ってくるなりの所長の声を聞くと、所員達は各々の持ち場につき始める。
やがて準備が完了すると、開発者の男は辺りを見回し、オレンジ色のロボットに繋がれた装置に手を伸ばす…。

(ああ…ドロシー……。もし君が記憶を失っていなかったなら、君はこんな現実に耐えられるのか……。)
欽治は泣きたくなるような気持ちで、今まさに目覚めようとしている彼女を見つめていた。

開発者の男が装置のレバーを引くと、やがてそのロボットの目が少しずつ開いていく………。
54名無し三等兵:04/12/11 03:07:54 ID:???
彼女が初めて口にした言葉に、その場に居た全員が硬直した。
『…何よアンタら。みんなしてアタシの事ジロジロ見て。…一体何なわけ?』
彼女は目が覚めるやいなや、高飛車な態度で周囲を威圧したのだ。
顔を見合わせる所員達。それを作ったはずの開発者自身でさえ、動揺を隠せずに目をぱちくりさせていた。
しかし開発者の男は気を取り直し、穏やかな口調で彼女に挨拶する。
「少々混乱しているようだね。まあ無理はない。…僕は君を作った人間の一人だ。以後よろしくな。」
しかし男の予想に反し、彼女はなおも反抗的な態度をとり続けた。
『はあ?何カッコつけてんのよ。アタシをつくったとか、…バカみたい。』
こうもバカにされたのでは、いくら柔和な性格の彼でも頭にくる。開発者の男は苦虫を噛み潰したような顔をして、小さく呟いた。
「……人格に問題がある。実験は中止してください。」
それを聞いた所長が慌てて所員達に指示を出しなおした。
「実験は中止だ!!あれをとめろ!」
…しかしその命令に慌てたのは所員達だけではなかった。
(まずい!!彼女を助けなくては!!)
とっさに体が動いた。二号機の人格はたしかに歪んでいて、それは欽治が知っているドロシー=キンバリーともかけ離れていた。
しかし彼には、まがりなりにもドロシーの脳を持つ彼女を見捨てることがどうしてもできなかったのである。

つづく
55名無し三等兵:04/12/11 03:57:28 ID:???
突然、眼前に飛び出し二号機をかばうロボットに所員達は驚いた。
「おい何だ!そこをどけ!」
「嫌です!」
勢いよく飛び出してはみたが、欽治はこれからどうするかなど全く考えていなかった。何とか連中を説得しようとしてみる。
しかし、欽治が説得を試みる前に所長が怒鳴った。
「あれにも欠陥がある!まとめて停止させろ!!」
その発言を聞き、欽治は説得など不可能である事、そして今や自分の身にすら危険が迫っている事を悟った。
もしここで動きをとめられてしまったら、もう彼自身の人格が残る保証は無い。欽治にとって、それは死に等しかった。
「くそっ、ここまでか!仕方ねえ、逃げるぞ!」
そう言って欽治は二号機の腕を掴み、出口へ走った。「ちょ、アンタは何なのよ!」
「いいから走って!このままじゃ殺されちまう!」

長い廊下を二号機の手を引いて走っていると、所内のスピーカーからサイレンとアナウンスが流れてきた。
『緊急事態発生!人工知能を搭載したロボット二機が制御不能に陥り、現在施設内を逃走中!発見した者は可能なら捕獲せよ!なお、実弾の使用を許可する!!
繰り返す!……』

欽治達は研究所の最下層の一番奥の部屋へ辿り着いた。室内の機材を使ってドアを塞ぐ。しかし、そんなものは一時しのぎにすらならない事は分かっていた。
「くそ、どうする……!?」
必死に考える欽治の横で、騒動の発端である筈の二号機は欽治を一瞥し、まるで哀れむように言った。
『アンタもなんか知んないけど大変ね。』

つづく
56名無し三等兵:04/12/11 07:45:29 ID:???
おつかれさまです。マイペースで書いて下さいね。
57名無し三等兵:04/12/11 19:51:29 ID:iWlfG+qC
ところでレーション伍長はどこへ……
58名無し三等兵:04/12/11 19:55:32 ID:???
拳で物事を解決しようとするアンパンマン、
生物・化学兵器を使用するバイキンマン、


      教育上よろしくないかと・・・・
59名無し三等兵:04/12/13 01:39:41 ID:???
「…おう、こっちは駄目だ。そっちはどうだ。居たか?」
「いや、こっちにもいないようだ。」
所員達はロボット…すなわち欽治達を未だ発見できずにいた。
「やれやれだぜ…一体どこへ逃げたのやら…。
外には誰か行ったのか?」
「知らね。…まあ、あと探してないのは一番下と、外ぐらいだもんな。
…あ、じゃあ俺次は外捜しに行くわ。」
そう言って上に向かおうとする所員をもう一人の所員が引き留める。
「おい待て、…お前サボる気じゃねえだろうな。いや、お前絶対サボる気だよ!ふざけんな!俺も混ぜろ!」
「おう来い来い。一緒にサボるべ。
…大体よ、相手は一応兵器だぜ?抵抗されて殺られたりとかマジ勘弁だし。」
所員の愚痴に、もう一人が小走りで彼に追い付きながら同意した。
「そーだよな。俺等には輝かしい未来があるしな。まだ死ねないよ。
…でもお互いそんな若くないから、その言葉遣いはどうかと思うぞ…。」


その頃欽治は、依然としてうまく場を切り抜ける策を練っていた。
しかし、一向にうまい考えは浮かんでこない。欽治は焦っていた。
(くそう…やはり連中が部屋に入ってくる時に強行突破しかないのか……でも無謀だよな……。)
「ねえー、さっきから何ブツブツ言ってんの?大丈夫ー?」
部屋の椅子に腰掛け、気怠そうな様子で問い掛けてくる二号機。それはまるで他人事のような口調であった。
(くそ…元はといえばお前のせいじゃないか!ホントにドロシーの脳が入ってんのか!?)
欽治は心の中でそう叫んだが、彼女に面と向かって文句を言う事はしなかった。代わりに彼女の考えをきいてみる。
「…ねえ、こっから安全に抜け出すいい方法ない…?」
「知らないわよそんな事。アンタが考えてよ。」
即答だった。欽治は深い溜め息をつく。
その時、廊下の方から数人の足音が聞こえてきた。
同時に響いた所長のものと思しき声が欽治を更に追い詰める。
「もう逃げられんからな!聞こえるか!?無駄な抵抗はしない方が身の為だぞ!」

つづく
60名無し三等兵:04/12/13 02:48:08 ID:???
(くそっ!見つかったか!…こうなりゃ強行突破しかない!!)
欽治は渋る二号機をなんとか椅子から立ち上がらせ、一緒に部屋のドアの横にかがんで機をうかがう。
廊下から響いてくる所長の声は段々はっきりと聞こえてくるようになり、欽治の体に緊張が走った。
「これでもまだ出てこないのか!往生際の悪い機械だ!捕まえたらそのひん曲がった性根を根元から変えてやる!!」
所長が放った「根元から変える」という言葉は、欽治には、捕獲された後に待っている残酷な運命を端的に表しているように受けとめられた。
絶対に捕まるわけにはいかない――
欽治は心の中でそう呟き、ドアを睨んだ。



「ああ〜っ、い〜い天気だ。」
その頃、外に出ていた所員二人は適当に辺りを捜すフリをしつつ、ブラブラと研究所の裏山を歩いていた。
「…あのロボ、もう所内で見つかってたりしてな。」
「ははは。ありうる。」

やがて二人は裏山の頂上まで来てしまっていた。視界が開け、辺りの自然が一望できる。
ふと、所員の一人が空に何かを見つけ、もう一人に問い掛けた。
「おい、ありゃ何だろうな。…なんかこっちに飛んできてるような…?」
問い掛けられた所員も空を見上げた。なるほど空には小さな点がこちらへ向かっているように見える。しかし、それの正体は二人が予想できるような日常的な代物ではなかった。
「うん?…飛行機……か…? いや待て待て待て!!アレまさか!!」

つづく
61名無し三等兵:04/12/13 03:02:56 ID:???
(かなりブーイング来そうですが今夜はここまで…。
最近無駄に忙しくて…泣)
62名無し三等兵:04/12/13 07:50:43 ID:???
乙。
マイペースでどんぞ。
63名無し三等兵:04/12/14 01:34:08 ID:???
「逃げろーーーっ!!」
そう所員の一人が叫ぶや否や、二人は真っ青な顔で転げるように坂を下り始めた。飛来してきたモノの正体を認識したからである。
「それ」はやがて高度を落とし、研究所の背後に位置する山の麓に接触した。
その瞬間、辺りが金色に輝き、ものすごい熱風が嵐のように吹き荒んだ。
必死の形相で坂を下っていた所員二人はその風に身体を持ち上げられ、熱風に肌を焦がしながら巨木に激突し、四肢を砕いた。


研究所の最下層にも大きな異変が起こっていた。突然大きな音がしたかと思うと突然天井が落ちてきたのである。
しかし欽治と二号機は無事だった。
呆気にとられたように目の前の床に散らばる蛍光灯の破片を見つめる欽治。彼は何が起きたのか、皆目見当もつかない状態であった。
「一体何が……。地震……?いや…。」
暫くして我に返った欽治は立ち上がり、ドアに耳をそばだててみた。しかし何の音もしない。彼はドアを開けようと試みるが、それは衝撃で歪んだ為か、ビクともしなかった。
「くそ…!」
苛立ったようにドアを蹴破ろうとする。十回…二十回……。辺りには、欽治がドアを蹴りつける音だけがこだましていた。
やがてひしゃげた鉄の板が、派手な音を立てて廊下に倒れた。ドアがあった穴から、おそるおそる廊下の様子を伺う欽治。
その瞬間、彼は思わず「ひっ」と情けない声を上げそうになり、一歩あとずさった。
廊下は天井が崩れており、落ちてきたコンクリートの塊や鉄骨が散乱していた。そしてその下には、落ちてきた物に頭や胴体を潰された研究所の人間の身体が横たわり、辺りを真っ赤に染めていた。
「あらららら………。」
欽治の後ろから顔を出し、廊下の惨状をのぞき見る二号機。
「ヒドイわねーこれは。でもこれで逃げられるわね!」
彼女は楽しそうに欽治に言った。欽治はそんな彼女の様子に何か寒気立つものを感じつつも、言葉を返す。
「あ、ああ…。でももう逃げる必要は……」
欽治の言葉は廊下からの音で遮られた。見ると、突然瓦礫の下から何かが這い出てくるではないか。
二人は石のように身じろぎ一つせず、瓦礫の下を凝視した。
64名無し三等兵:04/12/14 02:51:24 ID:???
最初に姿をあらわしたのは、血にまみれた人間の手であった。それは傍にあったコンクリートの破片に手を掛け、一気に上体を引き上げた。
血まみれの手の持ち主は、ロボット――すなわち欽治のことを何かとバカにしていた例の所員であった。記憶を取り戻す前の欽治も嫌っていたあの人物である。
彼は呻くように言った。
「おい………助けろ………」
彼はロボットが、今や欽治の意志を持っている事など知らなかった。また彼は、機械が創造主たる人間を助けるのは当然の事と思っていたのである。
しかし欽治は、こんな状況でも命令するような口調で助けを乞う所員に怒りを覚えた。
「おい。随分偉そうな態度をとるようになったじゃねえか。テメェが俺様に命令するなんて勘違いも甚だしいぜ。」
「なっ……!!お前、まさか…。」
欽治の言葉でその所員は、ロボットは今や欽治の意志を持っている事を理解した。
…しかし彼は少しの間俯いていたものの、やがて低い声で笑いだしたのだ。
「……おい……何がおかしいんだ。……何笑ってやがる!!」
欽治は所員を怒鳴りつけた。すると所員は半分瓦礫の下に埋もれたまま、欽治を見上げて叫んだ。
「はははははっ!だっておかしいじゃねえか!人間だった頃も醜かったが、そんな姿になっちまったんだもんなあ!
哀れだぜ欽治よぉ…。まあロボットの彼女ができてよかったじゃねえか。お似合いだぜ?ククククク……」
その言葉に欽治はカッとなり、言い返したが、所員は耳も貸さずに喋り続ける。
「ひひひひ……。そういえばなぁ、お前、その女好きだったんだろ?…叶えてやったぜぇ?お前の死体とその女の死体を…こう、クククククク!笑ったなぁ…アレは………」
無論、それは欽治を怒らせる為の嘘であった。しかし激昂している欽治はそれを聞いてますます頭に血を昇らせる。
「き、貴様ぁーーーー!!」
欽治は所員の頭に振り下ろす為に、手近にあったコンクリートの破片を拾い上げた。
しかし、欽治が所員の顔に視線を戻した時には既に、彼の瞳は光を失い、ただ中空を見つめているのみであった。
「……ちくしょう………。」ポツリと呟き、振り上げた腕を力なく下げる欽治。
欽治は泣きたくなる程くやしかった。怒りに任せて壁を思い切り殴ってみる。
しかし彼の瞳から涙は出ず、壁にめり込んだ拳からも赤い血は滲まなかった。


次回につづく
65名無し三等兵:04/12/14 08:26:24 ID:???
乙!
66名無し三等兵:04/12/16 01:12:43 ID:???
その後もしばらくの間、欽治は黙ったまま瓦礫の散乱する廊下に立ち尽くしていた。その背中を気まずそうに見つめる二号機。
少々傲慢で、場の空気を考えない所の見受けられる彼女ですら、話し掛けるのを躊躇ってしまうような何かが、その時の欽治にはあったのだ。
だが、しびれを切らしたのか、二号機はやがておずおずと欽治の背中に話し掛けた。
「…ねぇ、とりあえず移動しよ?…また崩れてくるかもしれないし……。」
少しの間があったが、やがて欽治は振り向く事なく返事をした。
「…………うん……。」


エレベーターは動かなかった。二人はヒビの入った非常階段を上がって地上を目指す。しかし地上に近づくほど施設の損傷はひどくなり、地下二階でそのルートも閉ざされた。
「もうこっからは階段も無理そうだ。崩れちまってる…。」
欽治はそう言って地下二階の廊下へ出た。二号機もその後に続く。
ふと見ると、廊下の先に淡い日溜まりができていた。
「なんてこった…。地下二階が吹き抜けになっちまってる!」
欽治はそう叫び、日溜まりのある方へ走った。
リノリウムの床に建材と共に散らばった蛍光灯の破片が、弱々しい日光に照らされ微かに光っている。
欽治は空を見上げた。
わずかに曇った空。かすかに風の音が聞こえる。その風にのって、白い砂が舞っていた。
67名無し三等兵:04/12/16 02:29:55 ID:???
「ちょっと!いきなり走んないでよね!」
二号機は文句を言いながら、小走りで欽治に追い付いた。
「ああ、ごめん…。」
欽治はすまなそうに二号機に謝った。その後彼は言葉を続ける。
「ねえ、ここから上に登れそうなんだ。行ってみようか。」
欽治はそう言うと二号機の反応を待たずして、崩れた天井の端に手を掛けた。
二号機はそこからよじ登る事を嫌がったが、欽治がどんどん先に行ってしまうので仕方なく後に続いた。
「まったく…レディーにこんなコト…後で覚えてなさいよ……。」
二人は地下二階の崩れた天井から上にあがり、地下一階の瓦礫を足場にして外に出た。


そこは、まるで欽治の知らぬ世界であるかのようだった。
朝には聞こえていた鳥のさえずりも、今は聞こえない。赤みがかった葉を生い茂らせていた木々も、今はかろうじてその幹のみを保つのが精一杯に見えた。
時折吹く塵まじりの風が二人の頬を撫でる。欽治はこの研究所に…いや、この地に起こった悲劇を直観的に察することができたようだった。
不意に二号機がぽつりと呟く。
「…そういえば、あたしアンタに助けられたのよね…。」
まるで今頃になって気付いたような口振りだった。欽治は力なく笑いつつ、別に、とだけ呟いて遠くを見つめる。
「…アンタの名前、まだ聞いてないわ。…というよりアタシも名乗ってないわね。えーと……」
「君はドロシー=キンバリーだよ……。」
二号機にかつての名を教える欽治。しかし、今の彼女にとってその名は不本意なようだった。
「長い名前ねー。呼びにくいのよ…。
……んもう、『ドキンちゃん』でいいわ!ドロシー=キンなんとか だからドキンちゃん。ねえ、可愛いくないコレ!?」
「はは………可愛い可愛い。ってか何だよそれっ!」
そう言って二人は笑いあった。やがて、「ドキンちゃん」と名乗る事にした彼女はあらためて欽治に尋ねた。
「で、アンタの名前は?」

欽治は少し考え、一人で小さく声を出して笑った後、答えた。

『俺様はな……バイキン…いや、…天才科学者、バイキンマン様だ!!』


次回へつづく
68名無し三等兵:04/12/16 08:39:21 ID:???
バイキンマソ キター!!
69名無し三等兵:04/12/17 22:55:22 ID:???
やがて日は落ち、二人は比較的被害のでなかった研究所の一室で夜を明かした。
翌日、欽治…いやバイキンマンは、研究所をくまなく見回り、施設修復の計画を立て始めた。
いまや自由を手に入れた彼らとはいえ、生きていくのに必要なエネルギーや設備は勿論、何より人目についてはまずいという理由から、どこか別の場所へ移り住む事はできなかったのだ。
バイキンマンの予想通り、施設内に人間の生存者は居なかった。不謹慎だが、これはバイキンマン達にとって幸いな事だったであろう。
当のバイキンマンもそう思ったが、違うのは、彼はそう感じるのを不謹慎だとは露ほども思わなかった事だ。
バイキンマンにとって「人間」は、もはや自分とは違う種族に等しかった。むしろ、憎むべき対象でさえあった。
彼は、生前の研究員達にされた仕打ちに対する怒りを、いまや人類全体に向けはじめていたのである。
(見てろよ……今にあの慢り高ぶった人間どもを全て俺様の足元に跪かせてやるぞ……。)
その考えは甚だ幼稚じみたものだったかもしれない。しかし、時が経つにつれ、それはにわかに現実味を帯びてくる……。
70名無し三等兵:04/12/18 00:09:26 ID:???
死の世界と化したその場所に近づこうとする人間はいなかった。
やがてバイキンマン達が施設を修復したり、自身の構造を研究したりするうちに時は流れ、世界はめまぐるしくその色を変えた。



時は流れ、外界――特にこの極東の島で言うところの新日本暦45年、5月。
その頃にはあの施設はすっかり形を変えられ、研究所と言うよりは「秘密基地」という呼び方がしっくり来るような外観を呈していた。
この半世紀という長い時間をかけて、バイキンマンは、人工知能となる過程でその殆どの潜在能力を引き出された頭脳を使い、様々な兵器を開発していた。
細菌兵器に始まり、果ては巨大ロボット兵器まで……。老いを知らぬ身体と優れた頭脳を持った彼は、もう完全に人類とは異なった種類の何かであった。

午後1時24分―――
やっと目を覚まし、基地のリビングにやってきたドキンちゃんにバイキンマンは告げる。
「おうドキンちゃん!聞いてくれ。やっと今日、全ての準備が整ったんだ!」
彼が何のことを言っているのか分からなかったドキンちゃんは、寝呆けたような声で聞き返す。
「…はあ?何が?」
「だーかーらー!いよいよ今日、俺様は日本…いや世界征服の第一歩を踏み出すんだって話だよ!」
「…ああ!やっとってワケね。まったく…散々待たせてくれちゃって。」
何かと文句を言うドキンちゃんに不満そうな顔をしつつも、バイキンマンは作戦の概要を得意そうに語り始めた。

やがてバイキンマンの話を聞き終えたドキンちゃんは、感心した様子で彼に言った。
「へえー…。アンタもなかなか考えてるわね。じゃあ、頑張ってきたら?」
これまた何かトゲのあるような言い方だったが、そういう彼女の性格をよく知っているバイキンマンはただ苦笑し、じゃあ行ってくる と部屋を後にした。
基地の格納庫にある小型飛空挺(開発者であるバイキンマンがそう名付けたが、その外観はUFOそのものであった)に乗り込み、キーを回し発進させる。
71名無し三等兵:04/12/18 00:12:12 ID:???
起きててよかった!
72名無し三等兵:04/12/18 00:14:46 ID:???
やがてバイキンマンを乗せた小型船は、基地から3キロほどの集落の上空に辿り着いた。
いかにも平和そうな村。前日に偵察した限りでは、自分に対抗できる武器などおよそ持ちあわせていないだろう…。
彼はそんな確信にほくそ笑みながら、ゆっくりと高度を落とす。やがて近くにいた村人が空の異変に気付き、集まってきた。
上空からは豆粒のようにしか見えない村人達に対し、バイキンマンは拡声器を使い陽気に話し掛ける…
否、それはひどく陽気な口調ではあったが、「話し掛ける」とは表現し難い内容の言葉……即ち、彼から村民、いや日本全土への「宣戦通告」に他ならなかった。
『ハローハロー下賤なる人類の諸君!たった今からこの村は俺様ことバイキンマン様の支配下となった!従わない奴はぁ容赦なくブッ殺〜す!!聞こえるか〜?』

次回につづく
73名無し三等兵:04/12/18 00:23:40 ID:???
>>71さん
(最近は2日に2話のペースで書いてます。遅くてすいません。読んでもらえて嬉しいです。
読者が一人でもいる限りは続けますので、これからもヒマつぶしにご利用ください。
では。)
74名無し三等兵:04/12/18 00:42:26 ID:???
乙!
ついに奴の登場!?
75名無し三等兵:04/12/19 08:21:15 ID:???
(・∀・ )っノシ凵 ⌒☆
76名無し三等兵:04/12/21 22:31:58 ID:???
バイキンマンが村人達に放った第一声から約三十分後――
村の長はベンジャミンとバタ子に、息を切らしながら状況を説明していた。
「ううむ…つまり、空から謎の生命体がやってきて、村を支配すると言ってきたと…そういうわけですか。」
ベンジャミンは、信じられないという面持ちで村長に問い掛ける。村長はいまだに肩で息をしながら何度も頷いた。
「ハァ…ハァ……っ、そうだ…。最初はワシも含め、その場に居た誰一人、信じようとはせんかった。
そのうちな、床屋をやっとる木村さん…ほら、あの井戸の近くに住んどる……」
「ええ、分かります。その木村さんが?」
ベンジャミンは村長の言葉に相づちを打ち、先を促す。
「そう。彼がな、笑いだして空のヤツをバカにしたんだ。…そしたら突然…こう、雷みたいなのがビカビカっと!…まあ、木村さんに怪我は無かったんだが……。
とと、とにかく話し込んでるヒマは無いんだ!早くしないと今度こそ丸焦げにされてしまう!ワシも逃げるから、お二人もグズグズせんでくれよ!」
そこまで言い終えると、村長は二人の反応を待たずに店を飛び出してしまった。

店に残されたベンジャミンとバタ子は顔を見合わせた。どちらの顔も、どんな反応をすればよいのか分からぬ、といった顔であった。
「…あの、どうします?逃げますか?」
やがてバタ子は、困ったような顔でベンジャミンに問い掛けた。
「…どうするかな。大体どこに逃げるっていうんだ。村を一歩出れば何にもない所だぞ…。」
ベンジャミンも困ったような顔で答える。
そんな繰り返しのような二人のやりとりは、店の奥から響いたブザーで中断された。パンが焼けたことを知らせる音である。
「おお!焼けたぞ!」
ベンジャミンはそう叫ぶと、先の村長の言葉など忘れてしまったかのように店の奥へ走った。
「あっ、ちょっと!逃げなくていいんですかー!?」
言いつつ、バタ子もベンジャミンを追い抜く程の勢いでオーブンの方へ駆けた。
二人とも決して村長の言葉を信じていなかったワケではない。
しかし、今の彼らにとって、『地下のロボット』は何より優先されることだったのだ。
科学者としての彼らが持つ、生まれつきではないが決して直らぬ性分であった。
77名無し三等兵:04/12/21 23:20:45 ID:???
キター!!!!
78名無し三等兵:04/12/22 00:08:15 ID:???
オーブンを開けると、こんがりと焼けた大きなあんパンが姿をあらわした。辺りに香ばしいパンの匂いがたちこめる。
「よーし…おいバタ子。そっち持ってくれ。」
焼きたてのあんパンをトレイにのせると、ベンジャミンはバタ子に指示を出す。
言われるままにトレイの端を持ち上げるバタ子。二人はそれを、ロボットが安置されている地下の隠し部屋へと運んだ。

「さて……じゃあ、いくぞ。」
地下の部屋に着くやいなや、はやる気持ちを押さえられぬという様子であんパンをロボットの首にセットしようとするベンジャミン。しかし…
「ふふふ、遂にこの時が……うあちちちっっ!!」
ベンジャミンは、あまりの熱さに掴んだパンを落としてしまった。それを見ていたバタ子が吹き出す。
「あはははは!ダサい!ダサいです博士!焼きたてなんですから、もうちょっと冷まさないと〜。」
笑われたことにムッとしたのか、ベンジャミンはバタ子に反論する。
「そ、そんな悠長な事言ってられんのだ!思い出せ、今この村は侵略されようとしているのだぞ!」
「あ。そういえばそうでしたね。でも………
…ダサいですよ。」
「くどいぞバタ子……」
その時、上からもの凄い音が響いた。
79名無し三等兵:04/12/22 00:11:30 ID:???
「きゃっ、な、何!?」
「しっ!…何か声がするぞ……。」
二人は耳を澄ませた。するとベンジャミンの言うとおり、爆発音に混じって小さく声が聞こえてくる。
《ふはははは………逃げても無駄だぞ〜〜。おとなしく降伏しないとバーベキューにしちゃうもんねー!!……》
それを聞くと、二人はまたも顔を見合わせた。
「攻めこんできたヤツの声ですよねコレ……。何か、えらく陽気な……。」
バタ子は困惑している様子だった。ベンジャミンも眉間にシワを寄せてこたえる。
「…まあ、それはいいとしても、上はけっこう差し迫った事態になっているようだな。ぐずぐずしてられん。早くこれを機動させるぞ。」
そう言うと、ベンジャミンは床に落としたあんパンを拾い上げる。床に熱を奪われたパンはいい塩梅に冷え、もう熱さのあまり落としてしまう心配もなくなっていた。
ふと、バタ子はベンジャミンに問い掛ける。
「あの、…そのロボットが暴走する心配は無いんですか?」
当然の疑問であった。なぜ今まで気が付かなかったのだろうか……バタ子は急に不安になる。

「知らん。」
ベンジャミンの素っ気ない返事に、バタ子の不安は一気に膨れ上がった。
「ちょ、知らん。って!?危険なんじゃないですか!?大体どんな物かも分かってないし……」
しかしベンジャミンは手を止めずに叫んだ。
「動かしてみればわかるだろう!いいか、今はもうコイツに賭けるしか無いんだ!」
そう言ってあんパンをロボットの電極に突き刺す。

その瞬間、ロボットの体が光り輝いた。
「やったぞ!!見ろバタ子!動いた!」
ベンジャミンは悲鳴を上げるように言った。しかし、突然ロボットが光りだしたのを見て、バタ子はひどく慌てた。
「だ、大丈夫なんですかーー!?」
「わはははは!迷わず行けよ!行けばわかるサありがとうー!!」
「言ってる意味が分かりませんー!!」

それぞれ違った意味でテンションの上がる二人の前で、まさに今、謎のベールに包まれていた、亡国の遺産の正体が明らかになろうとしていた。

次回につづく
80名無し三等兵:04/12/22 17:26:02 ID:???
動く。動くぞ…
81名無し三等兵:04/12/24 03:12:50 ID:???
光の幾何学模様が表面を駆け巡るとともに、ロボットの内部からは静かだが重厚な音が響いてくる。
それは幾十年かの時を経て、再び生を授けられた『彼』の命の鼓動であった。
先程までは全く動く気配を見せなかった鋼鉄のボディは、今やその指先にまで力がみなぎっているように見受けられた。…そう、まるで本当に生きているかのように…。

ベンジャミンとバタ子は騒ぐのをやめ、息をのんでその様子を見守った。
やがてロボットの身体を覆っていた光は消え、音もほとんど聞こえなくなった。
不安のよぎったベンジャミンはロボットに近づこうとした。
だが、その瞬間、
ロボットはもの凄い力で自らを戒めていた手足の錠を引きちぎり、ベンジャミンの前に立ちはだかったのだ。
「うわあっ!!」
「博士!!」
突然の事態に思わず声を上げてのけぞるベンジャミン。バタ子も悲鳴に近い声を上げ、ベンジャミンに走り寄ろうとする。
ロボットは暫らくの間、まるでベンジャミンを見下ろすような姿勢を維持したまま動かなかったが、やがて………

『初めまして。僕を目覚めさせてくれた事に感謝します。これから貴方の事を何とお呼びしたらよろしいでしょうか。』

「…………え?」
その声は、間違いなくロボットから発せられた声であった。流石にこれには面食らったベンジャミンは、暫らく間を置き、かつ思わず聞き返してしまった。
しかし、ロボットはベンジャミンの態度に何か誤解をしたようだった。彼は紳士的な口調で更に言葉を紡ぎだす。
『ああ、これは失礼しました。僕から名乗るべき所なのでしょうが、僕にはまだ名前が無いのです。』
「…あ、いや、それは構わんのだ!すまんな、ちょっとビックリしてな。
……私はベン…、いや『ジャムおじさん』とでも呼んでくれ。はは…。」
しどろもどろに言うベンジャミン。普通に返事をするだけで精一杯という様子であった。

次回につづく
82名無し三等兵:04/12/24 10:35:28 ID:???
乙乙!
83名無し三等兵:04/12/26 02:00:52 ID:???
地下の一室。ひどく狼狽した二人とは対照的に、ロボットは淀みのない声でベンジャミンに言葉を返した。
『わかりました。では、ジャムおじさん様。命令をお願いします。』
「め、命令?…ちょ、ちょっと待ってくれ、そう、待機だ!待機しててくれ!」
『了解しました。』
そう言うと、ロボットはベンジャミンに言われたとおりに直立不動の構えをとった。
未知のロボットとの会話から解放されたベンジャミンは、駆け寄ってきたバタ子の方へ向き直り、大きく息を吐く。
「ふーーーっ…。驚いた…。まさかいきなり話し掛けてくるとは…。」
「私も驚きました。こ、これからどうするつもりなんです…?」
ベンジャミンは、「待機」の命令を受けピクリとも動かないロボットを尻目に、小声でバタ子に呟き始める。
「…にしてもアレだな。言葉は話すわ力はスゴいわ…。我々の想像を遥かに超えたシロモノだぞ……」
「そ、それより博士。これから一体……」

その時、突然大きな音が室内に響き、堂々巡りになりつつあった二人の会話は中断された。
「きゃっ!な、何!?」
天井には大きな亀裂が走り、コンクリートの破片が降ってくる。
「いかん!!崩れるぞ!!」
そうベンジャミンが叫ぶと同時に天井が崩落した。降り注ぐコンクリートの塊。地下の隠し部屋はたちまち瓦礫で埋め尽くされた。

次回につづく
84名無し三等兵:04/12/26 02:50:36 ID:???
「……ううん…。

…あれ、ココは……え!?」
意識を取り戻したバタ子は、その状況に目を丸くした。
「きゃーーーっ!!な、何がどうなってるのーー!?」
彼女が悲鳴を上げたのも無理はなかった。今まで自分は地下の隠し部屋にいた筈なのに、何故か今は空の上に浮いていたからだ。
よく見ると、隣には気絶しているベンジャミンが居た。そして、自分達を抱えて空中に浮いているロボットの姿が……。
『気がつかれましたか!お怪我はありませんか?…命令を破ってしまって申し訳ありません。しかしあの状況では……』
「あなたが助けてくれたの!?…あ、ありがとう……。」
『いえ。…さて、そろそろ地上に降りようと思うのですが…。』
バタ子はロボットに頷いてみせた。それに応えてロボットは高度を下げ、やがて地上に着地した。

「……ああビックリした…。あなた、空まで飛べるのね…。」
呆然とした様子でバタ子は呟く。やがて、地面に寝かされていたベンジャミンも意識を取り戻した。
「……んん…、ここは…。」
『地上です。申し訳ありません、命令を破って、あの地下から脱出してしまいました。しかし……』
気がついたベンジャミンに対し、バタ子の時と同じように弁明をしようとするロボット。それを見たバタ子は、思わず笑ってしまったのだった。
「プッ、あははっ!アンタ最高ね!いいのよ。むしろ助けてくれてありがとうって、さっき私も言ったじゃない。博士もおんなじよ。」
『そうですか。良かった……。』
ロボットとバタ子のやりとりを見ていたベンジャミンは、何の事か分からぬといった感じに目をぱちくりさせていた。そんな彼にバタ子が状況を説明する。
85名無し三等兵:04/12/26 03:17:55 ID:???
バタ子の言により、状況をのみこんだベンジャミンはロボットに礼を言った。照れ臭そうにするロボット。その仕草は、機械とは思えない程人間くさかった。

ある程度落ち着きを取り戻したベンジャミンが言った。
「さて…そういえばさっきのは…。やはり攻めてきたヤツの仕業か?」
「おそらく…。
…そ、そうだわ! 村はどうなってるの!?」
バタ子は慌てて辺りを見回した。

村はあちこちで火の手が上がっており、村人は一人も見当たらなかった。
愕然とした様子でバタ子が言う。
「なんて事……。許せない…!ねえ博士!彼に攻め込んできたヤツをやっつけてもらいましょうよ!」
「え?……うーむ…。そうできればいいんだが…
しかし相手はかなりの武装をしているようだし…。」
不意をつかれたベンジャミンは返答に詰まり、曖昧な返事をした。そんな様子にイライラしたのか、バタ子はロボットに向き直り、命じた。
「ねえ!この村に侵略してきたヤツがいるの!あなたにはソレの撃退を命じます。…できるかしら?」


…彼は静かに、だがハッキリと答えた。
『命令を復唱します。侵入してきた敵勢力の排除。了解しました。これより任務を遂行します。』


次回につづく
86名無し三等兵:04/12/26 08:36:05 ID:???
アソパソキター!!!
87名無し三等兵:04/12/26 11:19:51 ID:???
キタY⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒(。A。)!!  アンパンチ!!アンパンチ!!
88名無し三等兵:04/12/27 22:05:43 ID:???
一方その頃、バイキンマンは村の家々を上空から攻撃するのをやめ、逃げた住民達を追っていた。
「まったく……。あれ程逃げても無駄だと言ったってのになぁ〜…。バカな奴らだ……お?」
バイキンマンは小型船の速度を落とした。列を成して逃げている村人達を発見したからである。
「ほ〜〜らな?くくく……さて、何人かに見せしめになってもらうかね〜〜。」
そう呟くと、彼は先程と同じように拡声器のスイッチを入れ、逃げ行く村人達に言葉を投げつけた。
《おお〜〜い!ドコに逃げようってんだァ?抵抗したら殺すって言ったよなー!!》

「うわああ!き、来たぞー!」
村人の一人が空を指差して叫んだ。途端に蜘蛛の子を散らしたように逃げ出す彼ら。
《あーあー…。そんじゃーそこのお前!今叫んだヤツ! 被害者第一号にけって〜い!おめ!》
バイキンマンは、必死に逃げている村人の中の一人にレーザーの照準を合わせ、スイッチを押そうとした。しかし………
『待て!!』
《んあ?》
全く予想外の方向から声が響いた。バイキンマンは手を止め、声のした方へ振り向く。
《……なな、なんだお前!?》
そこには、謎の物体が宙に浮いていた。ヒトの形をしているが、人間には見えない。体はどうやら機械のようだが、頭にはヘンテコな丸いモノがくっついている……。
バイキンマンは突然現われた不可思議な物体をしげしげと眺めた。
《……えーと、おたく、何者?》
しかし『それ』―すなわちベンジャミン達が起動させたロボットはバイキンマンの問いには答えず、一気に距離をつめたかと思うとそのまま、バイキンマンの乗っている船に体当たりした。
バランスを失い地上に墜落する小型船。不意を突かれ、かつ予想以上の衝撃にバイキンマンはひどく慌てた。
《うわああああ!くそっっ、墜ちる!》
地面に接触する寸前、やっとの思いで船から脱出したバイキンマンは、パラシュートに揺られながら怒りを露にして叫んだ。
「何だか知らんが邪魔すんなら殺す!!テメェが被害者第一号だ!!」

89名無し三等兵:04/12/27 22:57:17 ID:???
村から少し離れた草原――
地面に激突した小型船はその衝撃で爆発を起こし、黒煙をもうもうと立ち上らせていた。
そのすぐ横で対峙するバイキンマンとロボット。少し離れた所には、逃げるのが遅れた数人の村人が、何が起こっているのかと小声で話しながら様子をうかがっている。

「…見たカンジじゃあ、機械か…。お前にも人間の脳ミソが積んであんのか?」
バイキンマンはロボットに問うた。しかしロボットは答えない。
「けっ…無視かよ。まあいい。邪魔すんなら死ね!!」
そう叫ぶと、バイキンマンは腰に下げている銃を抜き、ロボットめがけてトリガーを引いた。銃の先端が輝いたかと思うとその瞬間、その小さな銃身からは予想もできない程の厚い光の帯がロボットに襲い掛かった。
しかしロボットはこれを難なくかわし、その勢いでバイキンマンの方へ走る。
標的に当たらなかった青白いレーザーは近くの岩場にぶつかり、その熱と衝撃で粉々になった石片もろとも四散した。
「外したか!!」
バイキンマンは後ろに下がりながら銃を構え直し、距離を詰めてくるロボットに照準を合わせようとした。しかし、ロボットは彼の予想を上回る俊敏さをみせた。
「くそっ!!」
銃を下げ、一旦距離をとろうとするバイキンマン。だが彼の後退は、運の悪いことに、ちょうど真後ろにあった大きな岩に阻まれた。
「!?うっ、ヤベっっ!!」
岩に背中をつけた格好でバイキンマンがうめいた。眼前では距離を詰めたロボットが、ちょうどパンチの予備動作のように腕を引いていた。
「〜〜〜〜〜っ!!」

つづく!
90名無し三等兵:04/12/27 23:55:41 ID:???
アンパンチ?アンパンチ?
91名無し三等兵:04/12/30 00:37:42 ID:???
その瞬間、バイキンマンはとっさに背後の岩を蹴り、ちょうど脚部にタックルするような格好でロボットに突っ込んだ。頭の先に、ロボットが繰り出した腕の空を切るのが感じられる。
地面に突っ伏したバイキンマンの背後で、もの凄い音が響いた。それはさながら爆発音のようであった。
「…くっ、何だ!?」
バイキンマンは横に転がり、そしてすばやく身体を起こした。ロボットがこちらに向き直ろうとしているのを見て、慌てて距離をとる。
再びバイキンマンがロボットの方を向いた時、彼は妙な感じを受けた。
(?…………うっ!!)
違和感の正体はすぐに判明した。…岩が無い。あの、バイキンマンの背後にそびえていた、高さ2メートル程もあった岩山がすっかり無くなっていたのである。
(ただのパンチでアレかよ…。カケラも残ってねえじゃねえか!!)
彼は急に恐ろしくなった。あんなものをくらったら、いくらボディが丈夫な自分でもバラバラになってしまうかもしれない……。
そう思ってるうちにもロボットはこちらに近づいてくる。彼の恐怖は頂点に達した。
(ヤバいヤバいヤバい!!何か無ぇのか何かよー!!…くそ、考えろ……何か弱点は……そういやアレは…)
バイキンマンは必死に策を練りながら…いや、ただ恐怖におののきパニックに陥っていただけかもしれない。とにかく彼は逃げ回った。
しかし、そんな彼の中に一つの疑問がわいた。彼はそれにすがるように、あるコトを試そうとするに至ったのである。

つづく
92名無し三等兵:04/12/30 11:02:22 ID:???
どうなる?どうなるんだ!
93名無し三等兵:04/12/30 22:27:14 ID:???
(最近、少年○ャンプの某連載漫画なみに休載日が多くなってしまいました。今夜は頑張ろう。)
94名無し三等兵:04/12/30 23:06:35 ID:???
一方その頃――

「ううむ……心配だ…一体どうなったんだろうか……。」
「そうですねぇ……。」
ベンジャミンとバタ子は、ロボットを送り出した後もその場にとどまり彼の身を案じていた。
やがてバタ子はベンジャミンにひとつの提案をする。
「ねえ博士。ロボットの様子、見に行きませんか?」
「ん?…そうだなあ…。いや、しかし、危険だぞ。」
その提案に彼は難色を示した。するとバタ子は、怒ったような顔でベンジャミンに詰め寄り、一気にまくしたてる。
「博士!見損ないましたよっ!いいですか、彼は私たちのタメに戦っているんですよ!?なのに博士は自分の身がカワイイんですかそうですか!もういいです!アタシ一人で行きますから!」
村の出口へと歩きだすバタ子。ひとり取り残されたベンジャミンはなにやらモジモジしていたが、バタ子の姿が見えなくなると急に駆け出した。
「お、おいっ!置いてくな!行かんとは言っとらんだろう!」
95名無し三等兵:04/12/30 23:29:20 ID:???
パンチ強力ー!絶対もらいたくないな。さて、どうなるどうなる?!
96名無し三等兵:04/12/30 23:32:06 ID:???
「はあ…はあ……。」
バタ子を追って村を離れたベンジャミン。やがて彼は、草むらで身を屈めている彼女を発見した。
「ふう…やっと追い付いた。私は『行かない』とは一言も言っとらんぞ。早とちりしおって…」
「博士も屈んでっ!アレ見てくださいよ!」
しかしバタ子はベンジャミンの言い訳には耳を貸さずにそう言った。
「おい…聞いとるのか。…ん?」
ベンジャミンはバタ子の視線を追った。その先には、あのロボットと謎の黒づくめの男が、まさに戦闘を繰り広げている最中であった。
慌てて身を低くし、小声で話すベンジャミン。
「おおっ!凄いぞ!ロボットが圧倒的じゃないか。…あの黒いのが攻めてきたヤツか?逃げてばっかりだな…。」
二人は草むらから彼等の戦いを見守る構えをとった。


『…………くっ!』
バイキンマンはかれこれ5分ほど、ロボットの攻撃をかわし続けていた。
(くそっ、もう限界だ……早く、早くアレを試さねえとっ!)
ロボットはなおもスピードを緩めず、彼に殴りかかった。それを紙一重でよけるバイキンマン。
その時、ロボットは勢いのあまり少し前かがみの体勢になってしまった。

ロボットが初めて見せたその一瞬のスキを、バイキンマンは逃さなかった。
(……今だ!!)
97名無し三等兵:04/12/31 00:03:15 ID:???
その瞬間、バイキンマンは突然その場にしゃがみこんだかと思うと、いきなりロボットの足を払った。
バランスを崩して前のめりに倒れこむロボット。その先には何と、泥で茶色く濁っている水溜まりがあったのだ。
ロボットは飛沫を跳ね上げ、水溜まりに頭から突っ込んでしまった。
「よしっっ!!」
バイキンマンはそう叫ぶと、素早く腰から銃を抜いて構え、一気に決着をつけようとする。しかし、ロボットはすぐに起き上がった。
狙いを定めかねたバイキンマンは慌てて2、3歩後ろへ下がる。
「ちくしょう!これもダメかよ!!」
彼はあらためてロボットの方を見た。

平然と立っているロボット。だがよく見ると、その頭部は濡れてふやけ、更に転んだ衝撃で大きく裂け目が入っていた。
「……お?もしや、…作戦成功じゃないコレ?」
相変わらずバイキンマンの方へ突進してくるロボットだったが、そのスピードはさっきまでと比べ、明らかに遅くなっていた。
バイキンマンはロボットの攻撃を難なくよけながら、その頭部を観察した。
やがて彼はすばやく後ろへ下がり、突然笑いだしたのだ。
「くっ……はっはっはー!これで形勢逆転だな!!頭がヤワそうだとは思ったが、まさかそんなモンだったとはなー!笑っちまうぜ…。
さ〜〜〜て今度はコッチの番だ…。
覚悟しやがれ、あんパン野郎!!」

つづく
98名無し三等兵:04/12/31 00:21:20 ID:???
カオハヤクー!!!
99名無し三等兵:04/12/31 00:34:16 ID:???
バイキンマンの言う通り、形勢は逆転した。
さっきまで相手に息もつかせない程の猛攻を見せていたロボットは、バイキンマンの放つレーザーをよけるだけで精一杯といった状況になっていた。そんな彼をバイキンマンは容赦なく攻め続ける。
「ハッハッハー!!どうしたどうした!言っておくが、この銃にタマ切れは無ぇぞ!?」
『くっ………まずいっ!』
「おやおやぁ?せっかく寡黙なナイスガイ気取ってたのに喋っちゃ台無しだぜ〜?ヒャハハハハハ!!」



少し離れたところで状況を見守っていたベンジャミンとバタ子はひどく慌てていた。
「ああ……博士っ!まずいですよ!パックリいっちゃってます!!」
「そんなんは見てりゃ分かるわい!おそらく、泥水で汚れた上に割れたもんで、エネルギー供給が不安定になったんだ!」
そうこうしているうちにも、バイキンマンの攻撃はますます激しくなる。二人は必死に打開策を考えた。
しかし一向にうまい考えは浮かばない。ベンジャミンは立ち上がり、バタ子に告げた。
「仕方ない!私は村に戻って新しいパンを焼いてくるから、バタ子はここで彼を見守っていてくれ!」
いきなりの提案に、バタ子は慌てて返事をする。
「わわわかりました!こ、こがさないように火加減には注意して!あ、あと…できればこしあん希望です!」
混乱のため、彼女はえらくおかしなコトを言ってしまったがベンジャミンもソレに突っ込まない。なぜなら彼もひどく混乱していたからである。
「おう!!あまりの美味さに頬っぺたが落ちちまうぞ!?じゃあ行ってくる!」

つづく
100名無し三等兵:04/12/31 01:21:33 ID:???
「はっ……はっ……。」
ベンジャミンは村へと急いでいた。途中、よく考えるとバタ子も連れてきた方がよかった と彼は思ったが、今更引き返す事もできずに走り続けた。
「くそ……私が遅れたらっ、バタ子も危険だっ、早く………!」

やがてベンジャミンは村の自分の店に辿り着いたが、それは派手に崩れていた。
「くそーーっ!!…そうだった…。崩れちまってたんだったよ…。ああ……。」
その場に膝をつくベンジャミン。ふと、脳裏にバタ子の笑顔がよぎった。
研究員時代、新型核による、想定以上の悲劇を償う為のスケープゴートにされかかったベンジャミン=オコーナー。
そんな彼を最後までかばい、滅亡後の日本に逃げようと強く勧めてくれたのは彼女だった。
ルーシー=バターソン。彼の唯一の味方。
「彼女を…死なせるわけにはいかんのだ!アイツは…今の私があるのも彼女のおかげなのだから…!」
ベンジャミンは立ち上がると瓦礫を掻き分け、工房のあった方へ進んでいく。固いコンクリートの破片が手の肉を切り裂いたが、彼は気にしなかった。
やがて瓦礫を払い除けると、へこんだオーブンが姿を現した。横の戸にはちゃんと小麦粉が納まっている。
「よし……………!」



その頃、バタ子はさっきと同じように戦いの行方を見守っていた。
(お願い……博士が来るまで持ちこたえてちょうだい…!)
逃げ回るロボット。その横を何本もの青白い光線がかすめる。上手く避けてはいたが、それにもとうとう限界がおとずれた。
足元めがけて放たれたレーザー。とっさにジャンプして回避するロボット。
宙に浮いた彼に、バイキンマンはピタリと銃口を向けた。
「終わりだ!!」
バイキンマンの持つ銃の先端が光り、厚い光の帯がロボットに襲い掛かった。

つづく
101名無し三等兵:04/12/31 01:46:45 ID:???
(つ、つづきはまた今度。)
102名無し三等兵:04/12/31 16:40:58 ID:???
乙!
でもアンパンマンは粒アンだ!
103名無し三等兵:04/12/31 20:04:07 ID:???
ナ ナンダッテーΩΩΩ
104名無し三等兵:05/01/01 00:27:03 ID:???
o・gu・ra!o・gu・ra!
105名無し三等兵:05/01/01 19:16:23 ID:???
くりア〜ン! くりア〜ン!
106名無し三等兵:05/01/03 21:28:53 ID:???
ロボットとバターソン女史の運命や如何に!!!
オコーナー博士はエネルギー供給を可能と為さしめるのか?!
怒濤の展開を見る(?)次回掲載を松!!!!!
107名無し三等兵:05/01/03 23:24:35 ID:???
建物破損によりアンコ缶あぼーん

イチゴジャムで代用

「僕の顔をお食べ!」

どろーり
108  :05/01/08 13:07:08 ID:???
アンアン
109名無し三等兵:05/01/10 18:28:33 ID:???
保守
110名無し国境警備兵:05/01/17 20:17:18 ID:???
防衛
111ゆきだるま ◆mTjw0CyQU6 :05/01/17 20:19:26 ID:PpISTwp3
アソパソマソ
112名無し三等兵:05/01/18 22:08:25 ID:???
生かさぬように、殺さぬように。
113名無し三等兵:05/01/18 23:35:07 ID:???
Sir!
こんなもの見つけました
ttp://science3.2ch.net/test/read.cgi/future/1044948227/l50
Sir!
114名無し三等兵:05/01/26 00:24:12 ID:???
hoshu
115名無し三等兵:05/01/30 22:13:52 ID:???
保守。
116名無し三等兵:05/02/03 12:42:28 ID:???
死守
117名無し三等兵:05/02/03 17:24:06 ID:???
出番おくれよ〜餡が腐っちまうよ〜
118名無し三等兵:05/02/03 21:50:32 ID:???
作者も楽しんで書いてただろうし、これほどの力作を放っぽるのは考えにくい。何か事情があるんでしょう。死守。
119名無し三等兵:05/02/13 21:19:01 ID:???
hosu
120名無し三等兵:05/02/15 14:37:35 ID:ou7Bqiur
[ 小学校上空 9月23日 11時09分]
たすけてー!アンパンマーン!!
その時 私は空中にいた
輸送機の機内から パンの配達を手伝いに町の小学校へ向かおうとしていた
丸顔が来客に向けて吠えている

無茶言うな
健全な少年少女の昼飯運んでんだぜ こっちは

パン工場より配達メンバー
黴菌UFOのコース―
北の山脈 298から302
アンパンマン―
配達中の貴隊しか間に合わない

食パン カレーパン 後ろにつけ
アンパンマン号抜きで糞バイキンを滅菌する
バタコは低空に退避しろ

内装がひっくりかえり
胃が裏返った
121名無し三等兵:05/02/26 06:50:57 ID:???
保守
122名無し三等兵:05/02/26 09:08:29 ID:???
物語的にはもう謎が無いから十分。
123名無し三等兵:05/03/05 00:07:34 ID:AZgJbW7z
「アンパンマン助けてぇ〜」いつものようにお決まりの台詞が聞こえて来る、そしていつも耳にするあの曲アンパンマンがやってきた「止めるんだバイ菌マン!」そしていつもの台詞……続く
124名無し三等兵:05/03/05 00:11:47 ID:AZgJbW7z
いつものように現場に到着するアンパンマンしかし何かがいつもと違う、アンパンマン「あ、あれは!」 そこにはあの子供向けのアニメとは明らかに違うものがいた、アンパンマン「ロングボウアパッチ……なぜ」バイキンマン「はひふへほーアンパンマン今日こそ決着をつけてやる死ねや!」
アンパンマン「ミサイル!かっ……回避!……」 轟音と共にアンパンマンは粉々に吹っ飛んだ………次回「炸裂!120mm滑腔砲!アンパンマン号 VS バイキン戦車隊」
125緑装薬4 ◆3lto9dDpe2 :05/03/05 13:24:15 ID:3pO/0Loi
アンパンマンの飛行における航空法違反の件について
126緑装薬4 ◆3lto9dDpe2 :05/03/05 13:26:07 ID:3pO/0Loi
ジャムおじさんの製造したアンパンを長期間放置した上に人に食わせるという食品衛生法違反の件について
127名無し三等兵:05/03/05 18:14:34 ID:zscB0Qjl
ジャムさんの本名 「ブレッド.パンドミュ−ル」
128名無し三等兵:05/03/06 12:35:58 ID:???
アンパンマン以外のパンはなぜか顔がつぶれたりよごれたりしない件について

次回アンパンマンは

「バイキン城 燃ゆる」
「ドキンちゃんの切腹」

それゆけ あんぱんまーん!
129緑装薬4 ◆3lto9dDpe2 :05/03/07 14:07:12 ID:si7HdhyS
おにぎりマンが、ノリの直まきおにぎりであるのにセロファンで包まれていないという、食品衛生法違反の件について
130緑装薬4 ◆3lto9dDpe2 :05/03/07 14:08:17 ID:si7HdhyS
看板を前後に肩からかけて、街にたたずむ「サンドイッチマン」が存在しない件について
131名無し三等兵:05/03/09 17:25:38 ID:LhXJfMnj
>>125
>>126
>>129
>>130
詳細キボンヌ
132名無し三等兵:05/03/09 21:52:06 ID:???
ナガネキマンとかぶきくん

ロールパンナはばいきんそうでわるいこころをもったのよ
133名無し三等兵:2005/03/22(火) 20:55:50 ID:???
アンパンマンの目はホシブドウなのか、チョコチップなのか。
134名無し三等兵:2005/04/04(月) 13:23:36 ID:???
保守
135名無し三等兵:2005/04/04(月) 20:32:12 ID:???
>>133
小豆
136名無し三等兵:2005/04/09(土) 22:36:24 ID:???
そうか、小豆大か。
137名無し三等兵:2005/04/14(木) 09:40:20 ID:???
アンパンマンは死なない。
ただ食われるのみ。
138名無し三等兵:2005/04/25(月) 10:56:08 ID:???
揚げパン
139名無し三等兵:2005/05/14(土) 22:52:15 ID:???
>>125>>126>>129
久しぶりに激しくワロタwww
140名無し三等兵:2005/05/20(金) 23:36:24 ID:???
こしあーん、くりあーん。
141名無し三等兵:2005/05/23(月) 07:08:32 ID:???
うぐいすあーん
142名無し三等兵:2005/06/08(水) 21:45:39 ID:???
保守
143名無し三等兵:2005/06/19(日) 17:19:21 ID:QNbBj7P7
浮上
144緑装薬4 ◆8R14yKD1/k :2005/06/19(日) 19:42:29 ID:eLGtM3rO
アンパンマンが

「愛と勇気だけが友達」

という、非常に危険な精神状態である件について
145緑装薬4 ◆8R14yKD1/k :2005/06/19(日) 19:43:19 ID:eLGtM3rO
アンパンマンの自力救済を放置してる司法当局の見解が出ていない件について
146緑装薬4 ◆8R14yKD1/k :2005/06/19(日) 19:46:26 ID:eLGtM3rO
http://www.ntv.co.jp/anpanman/


SLマンの、軌道法違反に件について
147緑装薬4 ◆8R14yKD1/k :2005/06/19(日) 19:47:27 ID:eLGtM3rO
すずらん姫と、すずらん踊りの相関関係について
148緑装薬4 ◆8R14yKD1/k :2005/06/19(日) 19:48:11 ID:eLGtM3rO
花火マンの、火薬類取締法違反の件について
149AV研究家:2005/06/21(火) 21:53:08 ID:???
梅雨の時期にアンパンマンはどうやってパトロールするんだろう。
150名無し三等兵:2005/06/21(火) 21:56:53 ID:???
>>144
つまり、友達のことを「愛」「勇気」と言い換えてるんだよ。
151名無し三等兵:2005/06/21(火) 21:57:19 ID:???
防水ヘルメットがございます
152緑装薬4 ◆8R14yKD1/k :2005/06/21(火) 21:57:47 ID:HUrk/9GG
>149
わたあめマンがいないのは、そういう理由だったのかあ。

アンパンマンは、全天候型です。
カビてもちぎって(略)
153名無し三等兵:2005/06/21(火) 23:14:03 ID:???
ぬれて力がでないんだー


って貴様みたことないのか!銃殺!
154名無し三等兵:2005/06/22(水) 00:09:13 ID:???
ばいきんまんの生物毒素兵器禁止条約違反について
155名無し三等兵:2005/07/03(日) 03:13:01 ID:???
神SSが止まってもう半年か…
156名無し三等兵:2005/07/06(水) 22:44:20 ID:bZdD0XKn
これほど良スレを放置しておくなんて・・・
作者よ帰って来てくれ!!!
157名無し三等兵:2005/07/20(水) 05:10:01 ID:???
私は待つ、たとえ数十年、数百年が過ぎようとも……
158名無し三等兵:2005/07/22(金) 16:44:06 ID:???
アンパンマンカーの燃料ってなに?
ディーゼル燃料とか?
159名無し三等兵:2005/07/30(土) 15:12:32 ID:???
>>158

核融合推進です
それゆけ!アンパンマン 第392話
「ジャムおじさんとかがくのひみつ」

参照
160名無し三等兵:2005/08/02(火) 18:09:01 ID:???
>>153
ってか、このパン人って、
濡れてダメ! 食われてダメ! カビてダメ!と、
最悪の生体兵器だな。
http://www.geocities.jp/momo_funha/anko.jpg
161名無し三等兵:2005/08/07(日) 05:06:23 ID:???
>>153 に、何故かエロを連想してシマタorz
162名無し三等兵:2005/08/10(水) 04:36:07 ID:???
8 名前: 名無し三等兵 [sage] 投稿日: 03/12/14 14:38 ID:???
 アンパンマン「酷い話だ。戦争狂いに指揮されたパン屋の助手が
         アンパンの俺をパン工場で脅してバイキンと戦わせるんだ。
 バタコ「黙れ!」

9 名前: 名無し三等兵 [sage] 投稿日: 03/12/14 14:49 ID:???
 バタコ、顔もってこい! バタコーーーーー!!!
163名無し三等兵:2005/08/14(日) 19:39:30 ID:???
盆あげ
164名無し三等兵:2005/09/05(月) 11:30:36 ID:E9jogVmV
保守
165名無し三等兵:2005/09/05(月) 12:01:18 ID:???
>>162
初代スレの最初の流れは傑作でしたなw
166名無し三等兵:2005/09/05(月) 20:22:43 ID:???
>>165
まったくだな。2chブラウザでいつでも見れるが、いつみてもワロス。


1 名前: 名無し三等兵 投稿日: 03/12/14 14:17 ID:ntGrOaJd
 バイキンマンがアンパンマン側の補給を断つ話とか
2 名前: 名無し三等兵 [0] 投稿日: 03/12/14 14:21 ID:???
 ひさびさ2だ。
3 名前: 名無し三等兵 [sage] 投稿日: 03/12/14 14:21 ID:???
            |
〜〜〜〜〜〜〜〜|〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
   >( c´_ゝ`)  |
            |
>( c´_ゝ`)     J>>1
     >( c´_ゝ`)



            |
〜〜〜〜〜〜〜〜|〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
            |     >( c´_ゝ`)
            |
            J>>1   >( c´_ゝ`)
                    >( c´_ゝ`)
167名無し三等兵:2005/09/05(月) 22:58:57 ID:???
現在、前スレのおいしい箇所を拾って私小説を執筆中。
168名無し三等兵:2005/09/06(火) 00:12:53 ID:???
4 名前: 名無し三等兵 [sage] 投稿日: 03/12/14 14:24 ID:???

 うんこ
5 名前: 名無し三等兵 [sage] 投稿日: 03/12/14 14:26 ID:???
 アンパンマン号に88mm砲を搭載してみる。

 ジャム爺「バカモン! 俺のケツを舐めろ! 交信終了!」
6 名前: 名無し三等兵 [sage] 投稿日: 03/12/14 14:27 ID:???
 状況ガスッ!装面ッ!
7 名前: 2 [0] 投稿日: 03/12/14 14:31 ID:???
 つーかこんないい天気の日曜の昼下がりに
 クソスレたてるな!
 罰として1には、不寝歩哨を命ずる。
 よしと言うまで連隊正門にたっとれ。
169名無し三等兵:2005/10/11(火) 23:44:05 ID:HrGEt5xI
age
170アンパンマン戦記:2005/10/16(日) 07:12:06 ID:kgVS4qJ1
ある日の昼下がり、村長は村長室で一人考え込んでいた。
バイキンマンその他の勢力からこのあたりの町が攻撃を受け始めて早くも2ヶ月になる。
かなりの都市であるライド市(人口10万)は以前から整備していた要塞と軍隊によりそれを撃退していたがこの村と隣接する5つの町村はアンパンマン達によりようやく守られていた。
村長の悩みはライド市から届いた同盟設立の呼び掛けに対する回答であった。同盟を締結すれば村軍を創立する必要があり村民を戦乱に巻き込みたくない村長としては村軍の創立に反対であった。
しかしアンパンマン達にこれ以上の負担をかける訳にはいかない。
彼は設置されたばかりの電話を手にとり交換手に「ジャム副村長へ」と伝えた。
ジャム副村長:「はい。ジャムです。」
村長「君は軍事に関する教育を受けていたね?申し訳ないがパン作りが落ち着いたら村役場まで来てほしい。重要な相談がある。」
ジャム副村長:「分かりました。」
171名無し三等兵:2005/10/16(日) 07:19:32 ID:GV7OtP0o
>>170
第2大隊壊滅す。
まで読んだ。
172名無し三等兵:2005/10/16(日) 18:16:24 ID:???
2時間後、村長室にジャム副村長がやってきた。
ジャム副村長:「何でしょうか?村長。」
村長:「いくつか、伺いたい事があるがまず、最初に鉄道の整備状況について聞きたい。」
ジャム副村長:「周辺の6つの市町村を結ぶ計画のうち線路、駅等の設備の整備は完了しました。後は我が村の受け持ち分である、機関車3両、客車15両、貨車40両の受領のみです。
乗務員の養成も終了しています。車両についても鉄道準備室長のSLマンが既に製造元へ受領のため向かっています。開通は1ヵ月後ですね。」
村長:「予定をかなり短縮したようだが大丈夫かね?」
ジャム副村長:「毎週のように襲撃を受けるこの切羽詰まった状況では、悠長な事は言っていられません。何しろ鉄道が完成すれば村民の避難が今より遥かに早く正確に行えるのですから。」
村長:「やむを得ないな。ところで本題なんだがハイド市から同盟への加盟呼び掛けと村軍設置の要望が来た。君はどう思う?」
173名無し三等兵:2005/10/16(日) 19:38:44 ID:???
ジャム副村長:「これからの事を考えればやむを得ないでしょう。我が村の人口1900人から考えて動員は1100人が限界でしょうから1個大隊程度の部隊は編制できます。」
村長:「わかった。不本意ではあるが軍を設置する。準備は君に一任する。必要な武器があったら教えてくれ。ハイド市が供給してくれるそうだから。」
174名無し三等兵:2005/10/16(日) 21:22:02 ID:kgVS4qJ1
翌日からジャム副村長は部隊の編制について検討を開始した。
以下がその案である。
第1中隊(300名)指揮官アンパンマン中佐
歩兵小隊×3、軽装甲小隊×1、防空小隊×1対戦車小隊×1、列車砲小隊×1
主な装備品:75mm野砲×6、15cm列車砲×3、37mm対戦車砲×3、機関銃×9、75mm対空砲×2、20mm対空機関砲×3、装甲車×10、乗用車×8、トラック×12)
第2中隊(300名)
歩兵小隊×4、防空小隊×1、対戦車小隊×1
主な装備品:75mm野砲×3、機関銃×12、37mm対戦車砲×3、75mm対空砲×2、20mm対空機関砲×3、乗用車×8、トラック×15
第3中隊(300名)
保安小隊×5、防空小隊×1
主な装備品:機関銃×5、75mm対空砲×2、20mm対空機関砲×3、乗用車×5、トラック×8
本部付隊及び後方支援部隊(200名)
本部直衛小隊(防空隊含む)、医療小隊、通信小隊、整備小隊
主な装備品:機関銃×4、対空砲×1、対空機関砲×2、乗用車×15、トラック×30
175T-34:2005/10/16(日) 22:10:17 ID:Lou2vzdj
ココってほんとに軍事版?
176名無し三等兵:2005/10/16(日) 22:26:38 ID:???
人口1900人に動員1000は、どー考えてもミリでは?
177名無し三等兵:2005/10/16(日) 22:33:27 ID:???
幼児・老人の区別すらしない根こそぎ動員という言葉を思い出してしまいましたが‥
178名無し三等兵:2005/10/16(日) 22:33:28 ID:???
>>176動員する人間の対象年齢を13歳から75歳位にすれば良いんじゃない?
179名無し三等兵:2005/10/16(日) 22:48:12 ID:???
編制を見ると第3中隊は市街地に張り付けるしかないな。老人・子供はこの部隊に組み込まれる悪寒。
180名無し三等兵:2005/10/16(日) 22:51:36 ID:???
常備軍じゃないとしても、これだけやったら生業はどうなるのやら。
都市へ食料品を供給するのが周辺村落の経済構造じゃないのか?
181名無し三等兵:2005/10/16(日) 22:54:58 ID:???
つーか昔の神SSと比べると玉と瓦くらいの差があるよ、これ
つまんね
182名無し三等兵:2005/10/16(日) 22:57:14 ID:???
さすがにアンパンマン達や役場の職員以外は非常勤の人間だけだろう。
襲撃の情報を受けてから動員だろうね。
183名無し三等兵:2005/10/16(日) 23:05:25 ID:???
>>180
そもそも装備を買いそろえられないし、天からふってきたとしても整備維持もできん。
無論、装備の操作に習熟するための時間と燃料弾薬などひねり出せず、運用となると
考える方が無駄。兵隊下士官士官、そろって素人ばかり。
実戦にだした日には、悲喜劇的な情景の量産が予想される。
184名無し三等兵:2005/10/16(日) 23:30:28 ID:kgVS4qJ1
完成した編制案を村長の所に持って行くため、工場を出ようとするとアンパンマンが降り立って来た。
アンパンマン:「空襲です!村の北西からUFOが約10機接近しています。」
ジャム:「直ちに飛び立ってくれ。ショクパンマンが村の中心部にに居たはずだ。彼にも支援を要請するんだ。私はバタコ君と車庫からアンパンマン号と機関銃を引っ張り出してくる。」
アンパンマン「分かりました!」
彼の無事を祈りながらジャムは地下の車庫に向かった。
185名無し三等兵:2005/10/16(日) 23:50:42 ID:???
>178
よしんば数だけは動員出来たとしても、内地の経済がガタガタに・・・
186名無し三等兵:2005/10/16(日) 23:57:40 ID:???
>>185襲撃を察知してからの応召なら経済への影響は少ないのでは?訓練も月2〜3日に限定して参加者も分ければ良いと思われ。
187名無し三等兵:2005/10/17(月) 00:06:25 ID:???
めろめろぱんち!
188名無し三等兵:2005/10/17(月) 00:31:40 ID:???
>>186
それだと襲撃を察知するために相応の縦深をもった監視網を常設する必要があるのではないか。

それをやってもゲリラ的な(あるいは野伏的な)不正規戦には対応できないが。
189名無し三等兵:2005/10/17(月) 01:12:21 ID:???
>>188そのためのアンパンマン達なのだよ。
190名無し三等兵:2005/10/17(月) 01:14:08 ID:???
はいはい、ワロスワロス
191名無し三等兵:2005/10/17(月) 01:21:35 ID:???
>>188
召集して命令系統を確立し、最小限の再訓練を施し、装備を整備点検し、(中略)
所定の地帯に出動して防御陣地を設営し(以下略)
まあおおまけに負けて‥3日というあたりか。3日分の縦深かぁ。大変やな。
192名無し三等兵:2005/10/17(月) 04:21:16 ID:fctT0AfK
車庫の出口を開けアンパンマン号をバタコに回送させ、自分は地下2階の秘密の倉庫に向かった。
ここには彼の過去を語る様々な品が置かれている。
ジャム:「あった。弾薬もかなり残っているな。」
彼の目の前にはルイス機関銃があった。
彼はそれらを手に取り上へ上がる。
ジャム:「バタコ君!発進できますか?」
バタコ「すぐ行けます!」
ジャムはアンパンマンの上部の銃架に機関銃を取り付け、村に向かい発進するよう命じた。
しばらく進むと彼はゴーグル越しに双眼鏡を覗き様子を見てみた。
いくつかの建物から出火している様だ。
ジャム:「くそ。やられてるな。到着予定は?」
バタコ「5分後です。」
バタコが言い終わった直後、爆発音が響いた。
アンパンマンがUFOを撃墜した様だ。
193名無しと言う名の名無し:2005/10/17(月) 16:22:13 ID:U8wgroGP
     ___
    /     \     ________
   /   ∧ ∧ \  /
  |     ・ ・   | < 氏ねよおめーら
  |     )●(  |  \________
  \     ー   ノ
    \____/
194名無し三等兵:2005/10/23(日) 15:49:04 ID:bRv33ik8
ジャム「アンパンマンは善戦している様だ。私達も急ごう。」
建物がはっきりと見えてきた。かなり破壊されている。ショクパンマンの姿を発見した。ジャム「大丈夫かい?ショクパンマン。」
ショクパンマン「大丈夫です。警察・消防の支援もあって大半の村民を防空壕に誘導できました。死傷者は10名です。ただ警察は署を破壊されたため指揮系統が崩壊しています。」
ジャム「最低限の被害に抑えられたな。君は臨時に警察を指揮して陸上からの侵攻に備えてくれ。」
ショクパンマン「わかりました。」
ショクパンマンに指示を出しジャムは役場へ急いだ。
瓦礫を避けながら役場に到着する。窓硝子は割れ、村旗の掲揚台も破壊され配備されたばかりの救急車が横付けされていた。怪我をしている様だが村長の姿も見えた。
ジャム「村長!大丈夫ですか?応援に参りました。」
村長「ありがとう。私は大丈夫だ。アンパンマンやショクパンマンも協力してくれている。職員も自前の銃で迎撃している撃退できるだろう。だが、収入役が亡くなった。助役も重傷だ。」
ジャム「それは残念です。私も対空戦闘に参加します。」
195名無し三等兵:2005/10/23(日) 15:54:39 ID:???
     ___
    /     \     ________
   /   ∧ ∧ \  /
  |     ・ ・   | < 氏ねよおめーら
  |     )●(  |  \________
  \     ー   ノ
    \____/
196名無し三等兵:2005/11/01(火) 20:40:03 ID:???
ドキンちゃんは史上最強の慰安婦
197名無し三等兵:2005/11/03(木) 01:37:34 ID:???
     ___
    /     \     ________
   /   ∧ ∧ \  /
  |     ・ ・   | <  俺様もウリナラ認定かよw
  |     )●(  |  \________
  \     ー   ノ
    \____/
198名無し三等兵:2005/11/18(金) 14:30:00 ID:jWXgrgfA
アンパンマン達が早期警戒して襲撃されたら動員すれば間に合うだろ。
199名無し三等兵
上げ