【双発雷撃3】九六陸攻・一式陸攻・銀河・四式重爆

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 「それは座席配置の問題であった。双発あるいは4発の攻爆撃機の場合、視界の良い
機首に偵察・爆撃席を設け、前方防御の為ここに銃座を設けるのが普通であったが、九
試中攻では機首に座席も銃座も設けず、操縦席後方に偵察席を設けていた。
 しかし、実用実験中、前方防御と視界の点から偵察席を機首に設けるべきであるとい
う強い意見が出された。原設計の配置を甲案型、機首をガラス張りとし、ここに偵察席と
銃座を設けた配置を丙案型と名付けて実大模型で比較検討したが結論に達しなかった。
 このため7号機(11年3月30日完成)以降は丙案型配置で製作し、実用実験を実施した
ところ、丙案型では操縦員と偵察員の連絡が悪く長時間飛行には不都合なことが判明し
たため、22号機以降は。再び、1〜6号機同様の機首に座席のない甲案型配置に戻され、最
後まで、この配置のままであった。」
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 「この間、発動機も水冷式の九一式600馬力、空冷式の金星2型、同3型がテストされて
おり、生産機は、発動機は空冷の金星3型、座席配置は甲案型ということに落ち着いた。
 このほか、試作中に主翼の強度不足と2号機の空中分解事故の2つのトラブルが発生して
いる。当時、三菱は荷重試験用鉄塔の設備がなかったうえに、試作多忙で人手不足であ
った為、11年(1936)3月25日に川西で外翼の強度試験をを実施したところ、要求強度
5.5に対し4.5で後桁上部縁材結合金具の外方で挫屈するというトラブルが起きた。すでに
生産が開始されており、生産中あるいは生産準備中の機体の数は相当な数に達していた
ため一時は重大問題にとして憂慮されたが、使用を制限して破壊した部分の縁材の板厚
を1mmほど増して、4月22日に再試験を行った所、無事、要求強度を満足しており、この
問題は解決した。
 その直後の5月22日、館山航空隊所属の2号機と5号機が館山−北満間往復飛行の帰途、
吉林省明月溝付近で悪天候に遭遇し、2号機が墜落するという事故が起きた。原因は高空
で発動機の1基が故障を起こしたが、高空であったため片舷飛行が出来ず降下状態に入り
制限速度を超えてしまった時急激な引き起こしを行ない空中分解したものと推定された。
そして破損状況を勘案して、補助翼マスバランスと蝶番取り付け部を改修した。
 こうした問題も解決した11年6月2日、九六式陸上攻撃機(G3M1)として制式採用が決定
した。」
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 「各型変遷           九六式陸攻の各型の名称は、分類や名称が何回
か変更された関係もあり、資料によって異なっている。ここでは、従来、一般に使わ
れている名称によって分類し、改称前の名称を(旧)、海軍の公式文書による名称を
(公)として併記することとする(別項参照)。
◎九試中型陸上攻撃機       社内名カ−15と呼ばれた九試中攻は21号機まで
21機作られているが、発動機、座席配置により大きく分けて、次ぎの3つの形式があっ
た。なお、これらの試作機と増加試作機は制式採用決定後は96式陸上攻撃機と呼ばれた。
○試作機(水冷式発動機、甲案型配置型)    
1,2,5,6,号機の4機。発動機は九一式600馬力で、プロペラは木製4肢固定ピッチ式の
MW161。発動機起動装置はガレリー起動機と手動管制起動機の双方を装備。フラップ無し。
不時放出弁無し。上方銃座は2基とも隠見式銃塔で、後下方銃座は前述のように胴体下面
のハッチを開いて射撃するタイプであった。乗員は5名、胴体長16.45m、高さ2m。
○試作機(空冷式発動機、甲案型配置型)
3,4号機機の2機。3号機は金星2型(公称出力680hp)とMW126木製固定ピッチ式プロペラと
いう組み合わせで、発動機起動装置を手動管制起動機のみとしたほか、燃料管、潤滑管、
発動機管制装置の変更、基準翼外端前縁部に表面冷却式の潤滑冷却器を設置、水平尾翼
と垂直尾翼の大型化、尾輪覆の廃止、機内通風装置の設置、編隊灯の設置などの改修が
実施されていた。
 4号機は最初は金星2型を搭載していたが、のちに金星3型(公称出力790hp)に換装さ
れ、プロペラもハミルトンン・スタンダード金属製3肢可変ピッチ式の6111−0に変更された。そして
発動機覆(カウリング)にはカウルフラップが追加された他発動機起動装置に電動起動装置が追加
されている点が第3号機と異なっていた。両機とも主翼後縁部外板は1,2,5,6号機同様
波板を使用していた。」