【双発雷撃3】九六陸攻・一式陸攻・銀河・四式重爆

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 「八試特偵の完成   独特の設計   九六陸攻を語るとき、忘れることがで
きないのは八試特殊偵察機(略称八試特偵)である。この機は海軍用の陸上機とし
ては革新的な機体で、この機をベースとして九六式陸攻が生まれた。
 七試大攻の開発に着手した翌年、海軍は八試特種偵察機と名付けた機体の開発を
三菱に命じた。長距離偵察用の陸上機で八試沿岸偵察機(八試沿偵)とも呼ばれた
が、七試特攻より軽快で、さらに高性能な中型陸上機の研究機的性格が強かった。
 このため、海軍は兵装や儀装は二次的とし、極力、速度と航続力の向上を図ると
いう方針をとり、開発にあたり三菱に要求した事項は、乗員3名、巡航速度120kt(
222km/h)以上、航続距離1,800nm(3,334km)以上、自動操縦装置装備など、ごく簡
単なものであった。
 三菱では本庄李朗技師を主務者とし、これに久保富夫技師(強度関係)、日下部
信夫技師(儀装関係)らを配して設計を開始した。当時、三菱の海軍機部門は全金
属製機を設計したことは無かった。陸軍機部門は九三式双発軽爆撃機を手掛けた経
験があったが、これもユンカ−スK37(愛国1号機)を基礎としたものであるので、厳
密に言うと、この八試特偵は三菱で設計する最初の全金属製機であった。」
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 「しかも、非常に長大な航続力を要求されていたため、本庄技師らは軍用機とし
て実用に供することを狙うよりは、研究機的なものを設計するといった気持ちで設
計に取り組むこととした。そして、これまでの経験や資料よりは新しい理論を積極
的に取り入れ、これに忠実に設計を進めた。
 設計にあたっては、空力的に優れたものとすることに重点が置き、胴体はできる
だけ細くするとともに、徹底的に流線化が図られた。
 主翼はテーパー比1/4の直線テーパー翼で、縦横比は8という大きな値を採用し、翼
端に3°の捩り下げをつけた。翼断面型は八九式艦上攻撃機で使用したブラックバーン
B‐9を採用、付け根の最厚部を16%とした。
 操縦舵面は七試艦攻も七試大攻も問題が多かったため、慎重に考慮した結果、補
助翼はユンカ−ス式の二重翼式補助翼を採用し、フラップとしても使用できるように設計
した。
 水平尾翼は、従来の機に比べると、Tailvolume(尾翼容積)をかなり大きくとっ
た。垂直尾翼は双尾翼式を採用し、方向舵も昇降舵補助翼同様、二重式を採用した
が、この二重翼の形式は、操作力が軽く、効きは良好というメリットを持っていた。
 発動機は当時、実用性の点で定評のあった広廠の九一式500馬力発動機(水冷W型
12気筒)を選定し、プロペラは木製の固定ピッチ式4肢ぺラとした。脚は発動機ナセル
内に引き込めるようにしたが、これは日本最初の試みで、操作は人力で行った。こ
のほか、三菱で開発した平山鋲と呼ばれる枕頭鋲の使用、スペリー式自動操縦装置
の標準装備などの新機軸を各所に取り入れていた。
 機体の構造は。ワグナーの薄板張力場応用の構造とユンカ−ス式構造の長所を取り入れ、
重量軽減、工作簡易化などの改良が加えた独特のもので、以後の三菱の基礎となった。」