自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた 第28章
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タマラン:
うるせえな、馬鹿野郎。 どこのどいつだ! どこから言ってくるんだ!
[帝国陸上自衛隊の方々は森違いなので、よその森でやって下さい]
前進する隊員たちに向かって何者かが呼びかけて来る。一人ではない、複数の
声が森の中をこだまするかのように響き渡った。隊員は周囲と樹木の枝並みを
何度も見渡すものの、人影ひとつ見つからない。…ちくしょう!馬鹿にしやがって!
「私たちは日本政府を代表してやって参りました。貴方がたの指導者たられる
方にお取次ぎを願いたい!姿を私たちに見せてください!危害は決して加えません!」
先発隊長が拡声器の音量を最大にしてがなり立てた。その声は怒声とも罵声とも
受け取られかねない具合で、言ってる内容に説得力がまるで感じられなかった。隊員さえも。
…先発隊の全員がこの不愉快な森に辟易してきたその時、吸うと気持ちが良くなる煙草に
火を付けた兵士が、自分達を見下ろす人影を発見した。「居たぞー!エルフだぁー!!」
その叫び声を聴いて、だらけていた隊員の全員が目を獣のそれに変えた。即座に戦闘態勢へ
移行した兵たちは指示されるまでもなく扇状に散開し、小山の上に現れた人型に銃を向けた。
「誰か!貴様はエルフか?我々に反抗的な行動を取ると射殺する!!」 ドカッ!
教範どおりのセリフを吐き捨てた若い兵卒を殴り倒し、先発隊長こと椰子曹長が最前へ踊り
出た。「失礼致しました!我々はあなた方と友好と交流を結びたく政府より派遣されて
参った者です!我々を貴方たちのリーダーにお目通りさせて頂けませんか?素敵な贈り物も
沢山もってやって参りました!私たちを貴方がたの村へ案内して下さい!」