自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた 第28章

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26タマラン
イギリスに帝国陸上自衛隊が上陸を果たし、英国陸軍を一方的に撃破していた。
自衛隊員の損耗率も35%と高かったが、その内訳の20%あまりは、森林地帯
においてゲリラ戦を展開したエルフたちによるものであった。100人のエルフに
千人の隊員が殺傷される程の戦闘も珍しくなかったのだ。〜大英帝国の落日〜より。

先発隊が三鷹の森に突入して30分が経過した。主に対エルフ戦闘の経験者が集め
られた50名の部隊は訓練通りのV字型隊形で広く散開して前進する。…しかし、
この森はおかしい。演習場のそれとも、今までのどの戦場の森とも違う。

「…この忌々しい匂い、何が匂っているんだ…、鼻にハッカを詰めてるみたいだ。」
「目もしょぼしょぼしてたまらないよ。瞬きが止められない。どんどんひどくなる。」
「それよりも耳だ、中の石がシャラシャラこすれ合って気がおかしくなる。虫の鳴き声も
風の音も地面を踏む音も…心底むしゃくしゃしてきたぜ。帰りたいぞ。…」

これらの何よりもひどかったこと、それは「嫌な予感」がどんどん強くなっていく
ことだった。実戦で悲惨な目に何度か会ってる兵士なら大体が感じられる。
それを先発隊の全員が感じていたのだ。…背中がぐっしょりと汗をかくほどに。