自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた 第27章
返答が無いので、界面活性剤でバチルス退治。前スレか前々スレ 780あたり?
帝国の戦争 監督の暴露日記・3
アクスが思考をまとめている間に、返答が帰ってきた。
「我々の望みは、我が国の兵の取扱いについて、新たな関係を貴国と結ぶことです」
つまりは捕虜問題か、とアクスは思った。確かに昼の会議から行けば、極めて妥当な所だった。
だがなぜ明日でも問題のない事を、こんな所で話すのかは分からなかった。
アクスの疑問を見て取ったのか、通訳の男が言葉を繋げる。
「訝しむのもごもっともです。しかし、これにはちょっとした事情があるのです」
男は大臣に話しかけ、大臣が頷くと共に説明に入った。
「我が太陽国防衛軍は全員が民兵で、その管理をしているのは、全大臣の長たる
総理大臣です。つまり国家管理軍なのですが、その為に幾らか問題が生じています」
アクスはほう、と大仰に驚き頷いて見せる。その態度に微笑しながら、男は続けた。
「その問題というのは、ずばり金です。わが軍の兵は全員が国の命令で動いて
いるため、独自の交渉権や資金源が存在しません。まあ有り体に言ってしまえば、
捕虜と交渉しても、身代金は出ないのです」
少し渋い顔をした男に、アクスも驚いた顔で返してみる。
「それは初耳ですな。しかしそれでは、貴国の兵は売られてしまいますぞ?」
「そこで、我々が提案に来たという訳です。兵の管理は国が行っていますから、
交渉権も国の方に存在するのです」
「つまり、貴国の捕虜に関しては国を通せ、ということですな」
「そのとおりです」
男の笑顔に微笑みを返しつつ、アクスは思案していた。捕虜に交渉能力が
存在せず、その権限は国に集中している。それは裏を返せば、帝国軍の捕虜も
交渉権を失ったことを意味している。現地の将軍などと話が付かないからだ。
つまり帝国兵もまた、彼らの国と交渉する必要がある。
「では我が国は、誰にその話を通せば良いのでしょう?」
「その事に関しては、明日の会議でお話ししましょう」
男の返事に、アクスは頷いた。
「しかし太陽国というのは、随分と不思議な国ですな。私のような年寄りには
よく分からない事が随分あるようで」
アクスが口にした言葉は、もちろん嘘というか冗談である。こんな夜中に
交渉をしているのが、何よりの証だ。
政治屋に舌が何枚有ろうと、体は一つしかない。だから今回のように王などが
多数集まる場合、秘密交渉や打ち合わせなどは一人でこなす必要がある。
しかしそれをひとときに行うと、間違いなく時間が足りなくなる。そのため
アクスは昼間から歩き回っていた。世間一般のイメージと違い、談合は夜に
やるべき物と決まっているわけではない。
要は秘匿性が高ければ良いのであって、燭台一つのカビ臭い部屋や、
娼館の隠された一室など、絵本的な所でなくとも問題はないのだ。
そのためアクスは、太陽国との交渉を夜中に回した。そして出来る限りの
情報を収集していたのだった。
ある国には折り目正しい官僚団が送り込まれ、またある国には住民から収奪を
行わない軍隊が送られたとも聞いた。その話から、ある程度国の水準が想像できた。
訳の分からない、しかし侮るべきで無い国、それが今のアクスの認識だった。
昼間の会食でも、彼らだけは服に油じみ一つ付けず、行儀を良く守っていた。
つまり彼らは、にわか仕込みの礼儀しかない三流国ではない。
文明だけでなく文化をも持っている、ならば油断などすべきではなかった。
投下終了。最後の奴の上の行、「そして出来る限りの情報を、先に交渉した
国々から引き出していた」とすべきでした。訂正してお詫びします。
さーて、無敵蝗軍はくたばったかな?
訳の分からない日本乙
バッタ共は朝露に弱いので早朝を襲撃しる。翼が濡れて飛べないからな。
夜ならキャンプファイアーすればこれぞ飛んで火にいる夏の虫・・・・。
イナゴというとあれだ、「蒼氓の大地、滅ぶ」
古すぎて誰も知りませんかそうですか。
イナゴというと、あれだ
仮面ライダー
つまり自衛隊員を改造人間にしろと…
175R
米陸軍では兵士の戦闘能力を高めるために特殊な薬剤の開発もやってるから、
当然次にくるのは肉体の改造でしょうね。
まあ、倫理的問題はついて回るし、技術的にもまだまだ概念研究レベルでしょうが。
乙ー。
性懲りもなく分家のほうで小官殿煽ってきたけど「深読み」して「裏の真意」に気付くかなあ(藁
まあ、真意があるとは思えないような書き方だったけど、小官殿が自分で公言しているほど素が冷静でまともな人間じゃなければ怒り狂うぞーっと。
それ以前に、小官はこのスレミテねえだろ。すでに。
上官に処分されたか?
つまり度重なるアク禁を深読みして裏の真意に(ry
テンプレでも相談する?
とりあえず誰か
>>6と
>>7の統合を……
戦訓を鑑みるにループ禁止は必須。
ファンタジー世界の市場規模についての考察 は
・食料の安定確保までに何人餓死するか。
・経済が安定するまでに何人自殺するか。と被り?
資源・エネルギー問題。
・エネルギー問題。「理論的に可能」「技術的に可能」と「実用化可能」を隔てる壁。
在日外国人問題と、異世界人移住問題は別物と考えるので削りました。
・魔法・怪物の設定(最終的には作者に一存という結論)
これは結論がでているから、トップの所に書けば良いと思う。
「設定は作者に一存。考察はよし。でも叩きは禁止(すごかが方針)で」
・喰えるモンスター。 これは食料議論?それともネタ?
あと新規に・巨大昆虫対策〜界面活性剤から核弾頭まで〜を追加されたい。
海洋帝国がある場合、かなりの市場規模を誇っているであろうという意見もあったね。
たしか、全世界を相手にすれば、そこそこ商売になる程度くらいには。とか。
報告ー。 小官殿はもういまさら誰が何を言おうと肯定意見以外は聞く気がない模様。
というわけで今回の弄り倒し終了。
さて、と。 仕事中に天気予報のラジヲ聞いてて思った。
列島が召喚されて気候が変動すれば梅雨の雨や台風が来なくなるかも知れず。
そして、夏場に異常に暑くなれば当然水不足に。 あと電力不足。 これを日本崩壊→内乱のプロセスに少し組み込もうかと思った。
加えて冬場に異常に寒くなったりしたら餓死者に加えて凍死者も増え始めるねえ。
召喚された季節の時期にもよるけど、数ヶ月持たせるくらいじゃ次々と問題が発生し対処できなくなるよ。
根本的に全ての問題を解決し1年生き延びられないと日本崩壊は避けられないねえ…というわけで崩壊を防ぐには1年間国家と国民が壊滅的打撃を受けないように生き延びられる事、か。
投下します。危険ですので黄色い線までお下がりください〜
30回目の投稿
輸送戦記?
112
最初の槍兵による突撃は各種地雷とグレネードランチャーと12.7oで阻止され、2回目の攻撃のゴー
レムを盾にしての攻撃は迫とカール君と105oによって文字通り「吹きとばされた」。
それでも帝國軍はあきらめない。いや、諦めないと言うよりはほとんど面子の問題になってきたので
はないだろうか。
相手は修道院+陣地。篭るは蛮族。兵力比は圧倒的に帝國軍が上。それなのに…未だに修道院の壁に
すら近づけず、兵は大損害を受け、ゴーレムは全て破壊されてしまた。そして帝國軍を馬鹿にする
放送はそのまま続いている。
この先どうするか? もしこれがWW2ドイツ装甲部隊や各国の機甲関係者なら「堅固な陣地?迂回して
しまえ」と回答するのだろうが、あいにくと帝國軍にはそう考える指揮官はいないようだ。それが何
を表すかと言うと…
「帝國軍側に動きがあります。街道の向こう側に展開している部隊の半数がこっちに移動しました」
「帝國側指揮所と思われる所からの声が聞こえてきました。なんだか頭に血が昇っているみたいな喧
騒が聞こえます。内容は不明」
本格的にこっちを落とす事にしたらしい。いくら近代火器で武装しても押し切られたらどうするんだ
ろう。
「帝國軍の先頭に弓兵が出てきました。あとは…ん?弓兵の中に魔法使いを感知」
?弓兵と魔法使い?どっちも遠距離攻撃OKだが、果たして効くか?
弓は射程距離にもよるが、風系統の魔法でそらす事ができる。魔法は、対抗魔法で中和ができる。
その為に姐御とミランタンがいる。2人だけでは不安かもしれないが、反撃は火器に任せて防御のみに徹する
から問題ないらしい。
「弓兵が射撃準備に入りました」
113
「弓兵は射撃を開始!」
おー撃った、が、半分しか届かない軌道を取っている。これなら大丈夫と僕は思ったが、それは大間
違いだった。
「矢はとどか…何ぃ!」
10本の矢だけが他の矢とは違う軌道をとっている。その目標は…ウチだ。鐘楼だ!矢に「青いもやも
や」が見える所からすると魔法がかかっているに違いない。風魔法による防御は…あっさり突破され
た。他の矢への対応で手一杯&魔力で突破しやがったな。だが所詮は10本の矢だから問題は無い。
一応身を隠す。そうして10本の矢は同時に着弾した。
5本は外壁に突き刺さり、5本は窓から内部に入った。なんつー命中精度だ。
そうして矢は「爆発」した。
当然僕たちは爆風に煽られて壁にぶつかった。僕はその後に窓から落ちそうになったがなんとか助か
った。そうしているうちに2射目が来た。
今度は魔力つきの矢に集中でいたのか5本が外れ、5本が外壁で爆発した。
ま、まさかこれって「魔法剣」か?名作で名高い「最後の幻想」がタイトルなRPGに出てくる攻撃方法
で、武器に各種攻撃魔法を宿らせて直接攻撃+魔法攻撃で大ダメージな奴。この場合は矢に爆発系の
魔法を宿らせて射撃。魔力つきだから対抗魔法にも強く、射程も延びる。そして手練が狙う。これは
強力だ。弓兵の中に魔法使いを感知したのはこの為だったのか。
爆発の衝撃の中、倒れたままでそんな事を考える。冷静なのかそうではないのか我ながらよく分から
ない。
3射目が来てまた爆風が荒れ狂った。ああ、貴重な設備が壊れていく。「試製監視システム1型」もダ
メだ。陸自隊員が記録メディアを大慌てで回収している。
射撃は3射目で終わったみたいだ。
ぼんやりしながら僕は窓から外を眺める。狙撃の的になる非常にまずい行動だったが、その時の僕は
ぼんやりしていたからしょうがない。
空からかすかな音が聞こえてきた。
「ん、なんだろう」
114
「それ」はこちらから見て太陽の中を飛んでいた。エンジン音やモーター音が聞こえない。ならば航
空機ではない。では何だろう?
それはどんどん近づいて来た。眩しくてよく見えない。
「不審飛行物体接近中」
ぼんやりしながら無線にそう報告した。その飛行物体はどんどん近づいて来た。そうしてある機動に
入ったのを見て僕は怒鳴った。それが間に合わないと分かっていても。
「敵機直上急降下!」
飛行物体は竜だった。竜と言っても人が1−2人乗れるぐらいの「ワイバーン」に分類されるもので、
知性は犬並みで、炎は吐けないそんな竜だった。その竜は6匹で、全部が何かを抱えていた。スツー
カよろしく奇妙な鳴き声をあげて真田丸への急降下爆撃を開始した。奇跡的に対応が出来た城壁設置
機関銃が火を吐き、1匹を撃墜した。が、残りは真田丸へ何かを叩きつけた。そうして竜は逃走に入
ったが、機関銃により2匹が落とされた。6匹のうち3匹を撃墜だからそれなりの戦果だが、投弾の影響
を考えると小さな戦果だった。
真田丸に投弾されたモノは着弾と同時にかなり大きな炎を吐き出した。真田丸に篭る陸自隊員が消火剤
をかけるが…火勢の方が強くて炎は消えなかった。それが5つ。しかも開口部やその手前に落ちるなど
で戦闘に支障が出ていた。
「うわ、まずいぞ」
思わずそうつぶやいてしまう状況だった。
「草壁、こっちもまずいから逃げるぞ」
「え、何が?」
「鐘楼が崩れかけている。総員退避」
そう言って隊長が総員退避を命令した。鐘楼の責任者である3尉は最後まで踏みとどまり、全員を掌握
して退避を確認後に自分も退避した。
その後すぐに鐘楼が倒壊した。
115
鐘楼が崩れてしまった後、他部署への応援に向かうために駆け足をしていると、この戦闘中だっつーの
に門の所で揉めている馬鹿がいた。その馬鹿はアスという形をしていた。
「そこをどけクラウス副隊長!我らは今から出撃し、敵に打撃を与えてやるのだ」
「何を言っているのですアス隊長。あなたの部下はもはや30騎しかいません。それでは無駄死にです」
「ならばお前の部下をよこせ」
「あなたの誇りだけの為に部下を死地に追いやるのは私の仕事ではありません!」
「うるさい!ここで突撃を行えば敵は混乱するに違いないのだ」
閂がかかった門の前でクラウスちゃんたち10人がアスたち30人を足止めしている。会話から察するに
アスが無断出撃をやらかそうとしているのか?
当然、僕たちを掌握している3尉が介入する。
「雑兵は去れ!我らが神聖なる誇りを汚す行為はゆるさんぞ」
そうどなりつけるアスの眼は完全にイっていた。ヤクの影響が出てやがる。
「出撃命令は出ましたか?それを確認するまでお待ちください」
そう言って3尉は無線で隊長に確認を入れる。
無断出撃の可能性がある以上、当たり前だ。
その間にアスは左右の部下に目配せをした。そうして剣をいきなり抜き放った!
「総員突撃!」
とアスは叫ぼうとしたが最後まで叫べなかった。その理由は…
『私が「総員」の段階でアスを殴り飛ばした』
からである。
大胆不敵な行為にアスも、騎士も、陸自隊員もあっけにとられたが、その状況はスピーカーから流れ
た命令で吹き飛んだ。
「帝國軍の総攻撃が始まった。総員所定の場所へつけ!真田丸は放棄!全員修道院内に撤退しろ!」
投下終了。
長距離狙撃で鐘楼と言う眼をつぶされ
投弾で真田丸という盾をうしたった。
そして帝國軍の総攻撃が始まった!
修道院は最大の危機を迎える!
次回に乞うご期待!
モツカレ
獅子身中の虫がいるという状況はなかなかわくわくするものがありますな。
逼迫している状況が物語を加速させてますねー。面白い!
この状況では馬鹿の掣肘もありありですなw
乙です。ていうか真田丸炎上ですか・・・
アスは騎乗してなかったのですか?それともジャンピングブロー?(笑
さーて修道院攻防戦、天罰が下るのは果たしてどちらか。
>>Cal.50氏
乙であります。
なんとなく疑問に思ったのですが、帝国軍は何キロ先に布陣しているんで?
分家のスレ。
100レス越えしたスレがあったんだねえ………
久々に覗いてみて驚いたよ。
内容はどうでもいい物だったけど。
>875
そりゃまあ、私の書き込みが多いですからな。
それでも、自衛隊の素晴らしき腐れようは散在しているとは思うわけだが。
>Call50さん
自衛隊をどう痛めつけるかの工夫が楽しいです。
そして、やられても返礼を忘れていない所が萌えー♪
次はどう粘るか、拝見させて頂きます。
そうか、もうテスト休みなんだな。
>878
試験明けにはSS投下が増えるのを期待。
試験期間中は勉強に集中して欲しい所。
いや、得てしてこういった時こそ現実逃避のために創作意欲が燃え上がるのですよ。
テストに限らず、何かテンパってる時には色々と関係ない意欲がw
>880>881
確かに(爆)
私も仕事をしながら妄想が膨らんで、謎作業が一段落したらついここを開いてしまったw
ネリュントス上空に進入中、投下準備完了。
FACからの連絡を待つ。
1533 魔法都市ネリュントス地下
「佐久間!しっかりせんか!銃を構えろ!!」
「佐久間陸士長!目を覚ませ!」
江藤二尉と上田三曹が怒鳴るのが聞こえる。
分かっている。異世界人は例え女子供であったとしても、十分な殺傷能力のある魔法を放つ事ができる。
つまり、戦闘区域で見た場合には、遠慮なく銃を向け、少しでも動いたら抵抗したとして射殺してもかまわない。
躊躇していれば、最悪一個小隊がなすすべもなく全滅する可能性もあるため、それは暗黙の了解として不問とする。
一部のマスコミや政府とはそう言う約束になっている。
違う。違うんですよ二尉殿、三曹殿。
上手く言葉にできない。
こいつは、この人は、敵意などない。
ワタワタと振り回す手。必死に何かを伝えようとする口。真面目な表情。
これは、敵ではない。
>883
「前方200m地点を焼き払ってくれ。」
「佐久間!しっかりせんか!銃を構えろ!!」
相手に見とれて動かない佐久間を怒鳴りつけつつ、実は俺も見とれていた。
なんというか、一言で言って美しい。それに尽きる。
金色の髪、すらりと伸びた肢体、控えめでありつつも自己主張を忘れていない胸の膨らみ。
素晴らしい。
美しいという言葉は、まさしく彼女のためにあると言ってもかまわないだろう。
「二尉!江藤二尉!!」
上田の叫び声が耳に入る。
まずい、俺も見とれて動作を行っていなかったようだ。
とはいえ、こいつ・・・この女性に対し攻撃してもいいものなのか?
どうみても、敵には見えない。
「だーから私は敵じゃないってばさ」
まいったわねぇ、いくら言っても攻撃態勢を解いてくれないわ。
っていうか、どうやら言葉が通じてないみたい。
もーしょうがないわね、翻訳の魔法を使うしかないか。
やれやれ、アレは疲れるのに。
あとでご飯でも奢ってもらわないと割に合わないわね。
「えーと・・・知恵を司る神よ、未熟なる我に力を貸し、新たなる知恵を!!!」
見た目には何も起きていないけど、これであいつらの言葉が理解できるようになるはず。
「おい貴様!何者だ!動くなよ?動けば撃つ!!」
「二尉殿、かまう事はありません、ブッコロしましょう!」
あらら、ずいぶんとまずい状況のようね。
「ちょ、ちょっと待って!殺さないで!」
慌てて両手を上げる。
確かこいつらはこうすれば攻撃しないはず。
「よーしそのまま地面に伏せろ。両手は後ろに!早くしろぉ!」
ジドウショウジュウとかいう魔道具を構えたまま相変わらず攻撃態勢を解かない連中。
あーもう、こうなったらストリップでもなんでもやってやるわよ。
「はいはい伏せてやるわよ伏せればいいんでしょうぉー」
どうせもう服は汚れてるしねぇ。
いまさら土ぐらいついてもかまいませんよ。
「いいぞ、そのまま!動くなよ!佐藤一士!」
「はっ!」
「手錠をはめろ、注意しろよ?他の者は周辺警戒!早瀬一尉へ伝令をだせ!」
「はっ!おい!動くなよ!」
「生存者を探せ!これだけいるんだ!どこかにいるはずだ!急げ!」
「永井一士他二名、これより伝令に向かいます!」
なんか忙しそうな連中ね。
まあ、異世界だろう何だろうと、軍隊なんてこんなもんなんだろうけど。
同日1516 魔法都市ネリュントス地下
「なんてことだ」
悔しそうな顔をした早瀬一尉が呟く。
隊員達の持つ懐中電灯によって照らされる周囲には、蜂の巣になった元日本国民の遺体が数多く転がっている。
交戦中に感情に負けてしまった結果なのだろう、所々に苦悶の表情を浮かべた自衛隊員たちの死体もある。
「生存者は皆無。か」
力なく呟いた彼の後ろで何かが動いた。
それに気づいた隊員たちが小銃を構え、ゆっくりと近づいていく。
「・・・けて・・・たすけてぇ・・・」
顔を見合わせ、次の瞬間そこへ駆け出す隊員達。
射殺されたゾンビをどかし、その下に倒れていた女性を助け起こす。
「生存者発見!」「衛生急げ!!」
報告があがると同時に、広瀬一尉は全力で駆け出していた。
「しっかりしてください!」
その女性は見たところ20代前半と思われた。
髪の色は茶色、服のあちこちは破れており、漂ってくる匂いから何をされたのかはおおよその見当がつく。
畜生、異世界人どもめ。皆殺しにしてやる。
暗い怒りに燃えつつ、俺は女性に歩み寄った。
表情をコントロールし、可能な限りの笑みを浮かべる。
「もう大丈夫ですからね。直ぐに本土へお送りいたします」
その言葉に女性はなんとか笑顔らしきものを浮かべる。
「帰れるのね、日本に。ありがとうございます、ありがとうございます」
涙を流しつつ感謝の念を伝えてくる。
が、不意に表情を強張らせると、いきなり俺の腕を掴んできた。
「友達が、友達がこの先に。お願いです。助けてあげてください。お願いします。私の友達も」
この先?まずいな。それはまずい。
負傷者もずいぶん出たし、弾薬もこのままでは怪しい。
第一、生存しているという保障が・・・
笑顔で相槌を打ちつつもこんなに考えられる自分に嫌気が差すな。
「ご安心下さい。お友達もすぐに救出します」
その言葉に女性は安堵の表情を浮かべる。
「よかった。私、単位が危ないの」
「そうなんですか」
相槌を打ちつつ、俺は彼女がもう助からない事をわかっていた。
その目は俺ではない何かを見ていたし、顔色は埃と垢に塗れていても青ざめているのがわかるからだ。
「帰ったら、教授におねが、いにいかな、いと。ああ、はやくかえ、ら、ないと・・・・・・」
俺の腕を掴んでいた手が力なく地面に落ちる。
ようやく現れた衛生兵が瞳孔を調べ、次に脈と呼吸の有無を調べる。
そして、右手で開いていた瞳を閉じると「ご臨終です」と告げる。
「ご苦労。負傷者の治療に戻ってくれ」
「はっ」
畜生、異世界人どもめ。
奴らにも同じ気持ちを味合わせてやる。
絶対にだ。覚えていろ。絶対に復讐してやる。皆殺しにしてやる。
「広瀬一尉!」
後ろから大声がする。
振り返ると、江藤二尉と十数名の隊員がこちらに向けて敬礼をしていた。
「地下への先遣隊の編成完了しました。ご命令を!」
「・・・・・・撤収準備だ。生存者の捜索が終わり次第この施設から撤退する」
「一尉!?」
江藤が掴みかかってくる。
「理解しろ二尉!もうどうしようもないんだ!ここまで減少した戦力で何ができる!」
「ですが!」
「我々には隊員達を本土へ帰還させる義務がある!忘れたわけではあるまい!?」
その言葉に江藤の手から力が抜ける。
だが、続いて上田が口を開いた。
「お言葉ですが一尉殿。我々は自分達の意思でこの任務に志願しました。
江藤二尉殿以下我々12名は、こちらのシルフィー殿と共に探索を続行し、生存者の発見、救出に全力を注ぐ予定であります」
真っ直ぐな目でこちらを見てくる。
なんだなんだ、どいつもこいつも綺麗な目をしおって。
そういう目をするな!・・・・ええぃ。
「無反動砲も持っていけ。地下で使う機会があるとは思えんがな」
「では!?」
顔を輝かせた江藤の胸に人差し指を突きつける。
「言っておくが江藤二等陸尉。一人でも部下が減っていたらお前をぶっ飛ばす。俺たちはいつまで待てるかわからん。場合によってはお前達を置いて撤退する。それでもいい
な?」
「はっ!了解しました!」
「よろしい、直ちに行方不明の邦人救出にかかれ。以上だ」
同日1525 魔法都市ネリュントス地下
「これより移動を開始する!各員十分に注意せよ!前進!!」
江藤二尉殿の号令と共に部隊は前進を開始した。
総勢13+1名。重火器を持ち、魔法使いを伴っているとはいえ、その数は一個戦闘班。
しかし、その戦意は旺盛、実戦経験もうんざりするほど積んでいる。
そしてこの二人。
魔弾の射手『上田三等陸曹』
接近戦の神『江藤二等陸尉』
共にこの世界に来てから頭角を現し、各地で畏怖を持って語られる生きた伝説。
それがいるのだ。
そうそう簡単に負けはしないだろう。
おまけにここは狭いトンネル。壁は固めた土と石材、所々に補強用の木材。
無反動砲は使えないものの、自動小銃で戦う場所としては理想的だ。
「ねえエトー」
「なんだ異世界人」
途端に頭をはたかれる。
景気のいい音が響き、ヘルメットがずれる。
華奢な外見してやがるのに、どっからこんな馬鹿力涌いてくるんだ?
「シルフィーよ、シ・ル・フィー!あなただって『日本人』って名前じゃないんでしょ?ちゃんと名前で呼んでよ!なんなのよさっきから異世界人異世界人って失礼ね!」
MINIMIのような勢いでまくし立ててくる。
まったくうるさいな。
「わかった。わかりました。それでシルフィー殿」「シルフィー」
腰に手を当て、こちらを睨んでくる。
なんだよ、わかったよ。
「それでシルフィー。どうした?」
「うん、よろしい」
途端に笑顔になって頷く。
どうして女ってのはこうコロコロと表情が変わるのかねぇ?
「でねでねっ。あなたの祖国の事なんだけど」
「ああ、それがどうかしたか?」
「いろいろ教えて欲しいの!」
両手を組んで可愛らしい声を出してくる。
上目遣いの仕草とあいまって、その破壊力は絶大だ。
「・・・いや、12・3の女の子ならともかくとして、いい年をしてそれ・・・は、いいんじゃないですか?自分は好みであります」
途中で殺気を感じたときには遅かった。
慌てて最後は言いなしたものの、俺の喉元にはいつのまにかシルフィーが取り出した鋭いナイフが鈍く光っており、困った事に周囲の仲間達はそれを故意に無視しているようだった。
「でしょでしょ?でさーどんな所なの?」
俺の首筋に突きつけていたナイフをしまい、再び笑顔になるシルフィー。
はぁ、もうどうにでもしてくれ。
「あの、江藤二尉殿」
振り返ると、呆れた表情の上田、ニヤニヤしつつ見てくる一士たち、そして同じくニヤニヤしている佐久間が視界に入る。
「早いところ任務を片付けてしまいましょう。シルフィーさんもいいですね?」
「はーい♪」
もう、どうにでもしてくれ。
諦めてそう思ったとき、不意に今の状態が気になった。
「なあ」
「なーに?」
小首をかしげてこちらを見てくるシルフィー。
金髪がかすかに動き、とがった耳の端が見える。
畜生!可愛すぎるぅ!!
「あぁ、えーと、ゴホン。どうして君は同行を申し出たんだ?」
俺はさきほどの出来事を思い出しつつそう尋ねた。
「そこをどけっ!江藤!聞こえんのかぁ!?」
俺の眼前に89式小銃の銃口がある。いくつも。
その先には鬼のような表情を浮かべた陸士たち。そして、短銃を抜いてこちらにしっかりと照準している広瀬一尉。
原因は簡単だった。俺が射線に立ちはだかっているからだ。
俺の後ろには怯えているシルフィーが・・・
「なによーあんたたち!アタシはちゃんと降伏したわよ!」
おびえている・・・
「そもそも降伏以前にアタシあんたたちと戦ってないし!異世界兵は民間人を殺す気ぃ!?」
おび・・・
「いーわよいーわよ。殺したいなら殺しなさいよー!こちとら伊達に冒険者名乗ってるんじゃないんだからねー!」
お・・・・
「どうしたのよ!?さあやりなさいよ!化けて出てやる!呪ってやるぅ!祟ってやるぅ!」
「うるさい!少し静かにしていろ!」
少しは怯えろよ。交渉しづらいじゃないか。
なんかキリが悪いものの、ひとまずここまで。
ちゃんと前回の投稿と繋がっているのかかすかに不安。
ではでは
エルフの姐さんキター!シルフィーの「協力」が小隊を
崩壊させるのだろうか?それとも救うのか・・・。
…なんだかんだでもう900か。早いものだ。
時に唐突に氏、しばらく見ないうちにだいぶ作風が変わりましたな。
追伸
分家を見てみたところ、どう見てもSの方がGよりまともに見えるんだが…。
>>901 二人がいなくなった途端スレが平和になったからね