イラク武装勢力日本人拉致その12

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 3人の邦人が人質になった8日の夜、毅然とした態度で“(自衛隊を)撤退する理由はない”
と言ってのけた福田康夫官房長官。この誘拐事件ではすっかり男をあげた形だが、実は、
北朝鮮拉致問題で手柄をさらわれた安倍晋三幹事長に対抗するため、水面下で熾烈なバ
トルを繰り広げているという。

 福田長官の会見は、事件発生後の素早い決断だったということもあってか、自民党内でも
高く評価されていた。
 「会見後、小泉首相の後見人である森喜朗前首相が福田長官に電話を入れて、なかなか
いい会見だったと激賞しているのです」(官邸記者)
 これに気を良くした福田町間。事件を一人で取り仕切り、意欲満々だという。
 「福田長官は、普段は記者との懇談会は嫌いなのに、事件発生後、2日連続でオフレコ
懇談会を開いているのです。記者から“何故3人を乗せたタクシーの運転手にすら未だに
接触できないのか”と質問されると、“じゃあキミは、昨日パチンコ屋ですれ違った人間を探し
出せるかい”と逆に記者を挑発するほど張り切っていましたよ」(政治部デスク)
 そんな福田長官が安倍晋三幹事長に対抗意識を燃やしたのは、例の人質解放の情報が
流れた時だ。
 「11日の午前3時にカタールの衛星テレビ『アルジャジーラ』に犯人から24時間以内に人
質を解放するとの声明文がファックスされた後、安倍幹事長が記者の取材に応じているの
ですが、その時、“(11日の)昼前にも解放はあり得る”と答えているのです。それでそのこと
を福田長官にぶつけると、“誰がそんなことを言っているんだ”と言うので、安倍幹事長だと
答えると、“そんなことはわからない”と、ずいぶん不快感を示していました」(官邸記者)
「ポスト外相」

 2人の“バトル”が始まったのは、北朝鮮問題からだという。
 「拉致問題では、安倍幹事長が主導権を握っていました」
 というのは政治ジャーナリストの山村明義氏である。
 「それで福田長官は、今年2月に外務審議官の田中均氏を平壌に送るなど巻き返しを図っ
ていたのです。結局、田中氏のルートは駄目になり、安倍幹事長が盛り返した形となった。
後がない福田長官は、今度の事件で一気に安倍幹事長を突き放そうというわけです」
 人質事件では、川口外相の存在感が薄かったことが問われているが、
 「2人が狙っているのは次期外務大臣ポストです」
 と説明するのは、先の政治部デスク。
 「今年の夏の参院選後、内閣改造が行われると言われていますが、福田長官はごく親しい
人に、次期外相を匂わせているのです。一方、幹事長を交代すると言われる安倍氏も外相
に意欲を燃やしている。今回の事件は、2人にとってポスト外相を巡る前哨戦です」
 今のところ、福田長官が大きくリードした形だが、事件の進展によっては、逆転もありそうだ。