自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた 第21章
妙な間が校長室を制圧する。山田は沈黙に耐え切れず、口を開く。始祖皇帝の視線が…正直痛い。
「俺は言ったがね…? 榊 三郎2尉に…。まあ、始めて逢ったのが幹部候補生の曹長で来た時で、
その頃はまだその…なんて言うか弟みたいに接してて、3尉昇進して見習い小隊長の時に、何かと
面倒見て、庇って、そんなこんなで3尉がBOCへ行き…。俺はその間『訓練場』へ志願して…」
「…で、その心はっ?! …山田ッ! 迂遠な事を並べて誤魔化すで無いっ! 」
「…俺の心は壊れてる。期待には応えられないし、そんな趣味も無いと答えたよ…俺はな? 」
「でも、榊2尉は一途だよ? 死体に為った山田を抱き上げて運んだんだから…それでねそれでね」
「そ、それからどうしたんですっ? わ、私興味が抑えきれませんっ! 是非とも聞き…」
山田は右手をヒラヒラさせて話を打ち切る。そして「ワザとらしい」咳払いを一つしてから、口を
開く。正直、背筋の辺りに寒気が出て、肌が粟立つ程の殺気が始祖皇帝より放射されていたのだ。
話を変えるには今しか無い。山田はすぐに決意した。最早この場で殺されても、構わぬ、と。
「俺から質問させて貰うぞ? …何故俺を俺として、山田として甦らせた? コイツと一緒に
為った『里井天威』の俺では、お前は満足出来なかったのか? ベッドで乱暴すぎた…」
山田は右へ跳んだ。しかし、半瞬遅かった。始祖皇帝の右平手が直撃する。頚椎の軋む音が骨を
通じて山田の耳へと届く。山田は始祖皇帝のこの反応が…知りたかった。間違い無い。『まだ』だ。
俺と、『同じ』だ。始祖皇帝が、駆け寄り、抱き起こす。やっと、自らの為した行為に気付いたのだ。
脱線を修正していたら遅くなった。投下終了。済まぬ。
「山田?! 山田! しっかりせい! 済まぬ…! つい…妾は…なんと云う事を…」
「まだ、か…。安心した。娘なんて人の事言えた義理かよ…。…痛かったろ? 」
「ああ、痛い…痛いぞ…。妾の心が…。真に守るべき者を…自らの手で傷付けるなど…」
「それと同じ事をお前は俺にさせようと云うのか? 教え子達を戦場に送れ、と…。
伝承のリイは、有る日突然60名の魔導士と共に現れ…劣勢だった帝国軍を各地で支援
した…。最終的には全滅した。容赦無く、指揮下の者を見捨てて非情な戦略を立て、
王国連合の侵略を耐え抜き、逆侵攻するまでに士気を高め…最終的には死んだ。神罰
とやらを喰らってな…? それが、日本帰還後に残った伝承だ…。そのリイの正体は…」
「…そこの娘と分かたれぬ、『里井天威』のお前じゃ…。お見通しであったか…」
「お前は…俺の知ってる…お前で良いのか? 刻の悪戯が作った2重存在ってオチか? 」
山田は抱き起こされる。首の痛みに耐えて、山田は笑って見せる。これ位は大目に見て貰わないと、
正直割りに合わなかった。詩にはこう、書かれていた。『勇猛果敢はリイ・アメイ。冷徹無比はリイ・
アメイ。魔導を遣う者達を、縦横無尽に躍らせて、狙うは敵陣奥深く、還りし部下は両手に満たぬ』。
…とても自分の出来る事では無い。他人に『死ね』と命令出来る程、山田の心は強く無かった。
『人を殺せ』と誰かに嬉々として命令を下せる程、割り切った男には為れなかった。従う方が楽だ。
そう言う人間だった。嫌な事は引き受ける。他の誰かには、させたくない。山田はそんな、男だ。
伝承の中のリイ・アメイのイメージとは懸け離れた存在であった。通常では気付かないだろう。
今日の部、投下終わり。正直、スマンかった。…道は遠いな…。では、な。
山田か…。
うむ、では最後に『娘』と『女』についての解説。
『娘』とは『マダ』の人の事を指し、『女』とは『しちゃった』人の事を指す。
江戸の初期辺りの用法だったろうか…? 確証は無いが。では、お休み。良い夢を。
そろそろ次スレのテンプレなど・・・・。
ハイテク兵器 vs 剣と魔法。しかし、何でもありでは有りません。
縛りはスレタイを見て下さい。出したい兵器が存在する
なら、スレ住人の納得出来る理屈と共に。熱意と知識で捏ねましょう。
・sage厳守で。行くべき所が有りません。軍板の温情に感謝致します。
・書きこむ前にリロードを。マナーとして。
・SS作者は投下前と投下後に開始・終了宣言を。分断防止のため。
・SS投下中の発言は控えてください。
・支援は15レスに1回。
・以上を守らないものはぬるぽと見做し、鉄槌制裁されます。
・品性に欠けるレスはなるべく付けませんよう。Y談等は分家で。
テンプレは
>>2-5あたり
>>・嵐は徹底放置。破ると民主的処断が下ります。
暫定ガイドラインにも同じなのがあるので、外してみましたが、如何?
暫定ガイドライン
1.「自衛隊がファンタジー世界に」とあるように、あくまで「現代日本」が主に関わる話であること。
2.現代日本というからには、自衛隊の組織・装備はあくまで現用もしくは近未来的に配備が予想されるものに限る。
3.核兵器などの日本が配備するにはナンセンスなものは極力避ける。
4.あくまで「ファンタジー世界」の話であり、F世界側の設定は作者が勝手に決めることが出来る。
ただし、「超兵器・超魔法まんせー」な話にならぬよう気をつける。また、無敵キャラは作らないことが望ましい。
5.ファンタジー側の人間もきちんと描写する方が好ましい。自衛官主観という演出などであえて描写しないのはこの限りで無い。
6、戦術、戦略としてありえないものを避ける。たとえば人間の徒歩部隊が一日に100kmすすむとか
7.萌え・色気はあくまで表現手段であり、目的ではない。
安易に狙ったり、しつこく要求するのは本来板違いであり、自粛すべき。
8.嵐は徹底放置。嵐認定を受けた後に、かまった者も同罪とする。
9.SS作者は、抽出がしやすいようにトリップ装着を推奨。
10.感想書き込む人も節度や口調を考えるべし。作品が気に食わないなら透明あぼーんで。
■今までこのスレで討議された議題
・ファンタジー世界の市場規模についての考察
・褌エルフとTバックドワーフ、見たくないのはどっち?
・食料輸入を経たれた日本は自活できるか
・メイドさんの服は黒と青のどちらが望ましいか
・麻薬による世界支配は許されるか
・江戸時代とファンタジー世界の類似性について
・大陸国家VS海洋国家戦略、その長短について
・マッチとメラ、着火手段としてどちらが優れているか
・F世界での日本経済再生と交易について
・二大料理カレーとラーメン、新たなる勢力の台頭はあるのか。
・ドラゴン・・・契約方法と空軍戦力としての有効性を考える
・生首砲台の進歩と改良についての一考察
・自衛隊的ダンジョン攻略法
・対人地雷と魔法の罠。
・資源・エネルギー問題。在日外国人の処置について。
・外交方針について。
参考までに。
保存庫にあるものに関しては外してみましたが、どうでしょう。
>>小官氏
乙。
漏れも文書きたいっす。
知識がないので書かないですけどネタだけは妄想。
今はサラリーマンになっている元自衛官のオサーンたちが、
諜報活動をするなんてのはどうだろう?
結構おもしろそうなのだが…
漏れとかあれば、追加修正などキボン。
面白そう。書いてみてつかあさい!
>>946氏
取り合えず、SS投下するのだ。
話はそれからです( ̄ー ̄)ニヤ
あ、、、、。
950踏んでしまった・・・。
次スレ、立ててきますか・・・。
おつかれさん! 軍板最低コテの一人「雪だるま」に早速粘着されてたけど・・・。
暫定ガイドラインを守って行動しませう(苦笑
おっと、言うのを忘れてた・・・・。
小官殿、乙です。
今、休憩して更新した所です…。…お疲れ様。毎度毎度、大変お世話に為ってます。
…小官も頑張りますので、どうかご自愛の程を…って、もう眠いのか何を言ってるのかサッパリ…。
でもこれだけは一つ。感謝しています。以上、お休みなさい…どうか良い夢を…。
暇なので
>>931を解読↓
執筆の参考になるか分からんが、自分は今
眠剤とアルコールの影響を受けている。この状態。
理性はある程度あるが、身体能力が著しく低下する。
身体がフラフラ。
何か有用なネタに発展していただけることを期待する。
cf)希望があれば、ちゃんとした日本語で書きなおす(以下¥マークは不明)
ラリってる。マトモな執行(執筆の意か?)も行動も不可能。勘弁してくれ。
弁明は、後日する。
自分で何言ってるか分からなくなった。
弁明、後でする。
(以上、解読はここまで。)
これは
>>931に対するアドバイスだが、眠剤とアルコールの併用は肝臓に悪いぞ。
まあ、自分にも身に憶えの一つや二つあるけどね。
959 :
958:04/04/22 05:27 ID:???
・・・と、ここまで書いて
>>931は自分の仕業ではないか?と疑ってる。
実は自分は
>>908=913=918なんだが、
>>918の時点で「40度のスピリット250mL相当のアルコール」と
同時に「4mgのフルニトラゼパム」を舌下で摂取していた。薬物については「やくやく大事典」で検索してくれ。
931の投稿時間を見る限り、その時点でぶっ倒れてる筈だけど、もし起きてたとしたら指が回らずに
ああ言う文章になったと思われる。sageは自分がOpenJaneを使ってるから、傍証になりうる。
さらに、>958を投稿しようとしたところ、CapsLockされてた。・・・ちなみに、記憶はない。
もし自分が931だとしたら、スレ汚しスマソ。
960 :
958:04/04/22 06:48 ID:???
さて、食事完了
>931が自分でないと仮定してツッコミ。
cf.は「比較せよ」「・・・を参照」という意味だ。
このケースではP.S.を使うべきだ。
で、これが自分の投稿と仮定してツッコミ。
電 波 だ な 。
このスレはいつからラノベ解禁になったんだ?
多分書いているうちに引っ込み付かなくなって、やりたい事をやれなくなったんだろう。ネタ入れてるのはわかるけど。
で、多分解禁と言うより呆れてだれも言わないんだろう。もう好きにしろって。まあ、気に食わなければあぼーんすれば、
いいんだけどさ。
>>961 風呂敷広げたはいいけど、畳めなくなったようだ。>S氏
ラノベ云々よりも主人公があんな女どもに振り回されて、キャラのもとネタになった戦争映画のバイブルを汚された気がする。
>>964 同感。しかし教育編に入ったら作風も変わるだろうとのヨカーン。ストレスたまりまくってるだろうから。
>963、畳めぬのでは無いと何回言えば解る! 作り込むと凝るだけだ!
>964、小官も同感だ! 今の小官は、糞尿に塗れるよりまだ汚い!
己の聖域を汚して平気な男が居るか! 居る訳が無いだろうが!
節を曲げて続けたが…蛇足だった様だ。ここで第一部完としよう。続きは有るが。
だが、>961と言われたらもう後には引けん。小官の面子に関わる。もう沢山だ。
小官は逃げはせん。ただ…云わせてくれ。水滸伝は、滅びるから美しいと。以上だ。
…投下する。貴重な昼休みなのだが、な…。
「何故お前、世に出てる? さっさと引っ込みゃあ良いのに、未だに権力を保持して…。王国連合には
『神々』が付いてる。均衡状態を維持するために仕方無い。そうだろう? 相変わらずお優しい事だ…。
お前、俺は言ったぞ? 帝国なんぞ倒されてナンボ、瓦解してナンボってな…? 大方の人間はな、
支配に慣れてしまう安逸に逃れ易い生き物なんだぞ…? …誰が真っ当な統治をしろと言った?
ワザと搾取して、自由を制限して、不公平感を強めて、そして革命起こさせて…勝ち取った権益を
守るために自らの『血』を以て購わさせねば、己が権利に命を張る『気概』が産まれんと…」
「…許せなかった…! 虐げられる民草を…! 我が物顔で振舞う『神々』を…! さっさと死んで
逃げたそなたに言われとうは無いッ! 妾がそなたを何度失うたと思って居るかっ…! 意識を閉じ込め
られ…同じ刻を…ッ!? 」
山田がニヤリと笑う。始祖皇帝は急いで口を押さえたが…一旦口から発声された言葉は、誰にも戻せない。
「…そう言う事か…リイ・アメイが何度も出て来る訳だな? 実は同じ事を繰り返していて、ささやかな
抵抗は、『分岐点』を捜す事、か…。で、俺が出てきたのは何回目だ? 実はそれが聞きたいんだが」
「リイ・アメイは6回…。そなたは初出じゃ…。『神々』とて…今回は予想しえぬと妾は思う…既にもう、
妾の知る展開では無い…。戦乙女がそなたに逢うのも予想は出来なんだし…昼間の生徒も生きておる…」
「…初心者プレイヤーかお前は…? こんなの、最短ルートなんぞ大体解りそうなモンだろ…? 」
右脚を思いっ切り蹴り飛ばされる。『少女』の仕業だ。目に涙を溜めながら、山田を睨んでいる。
痛みは何故か感じなかった。首は相変わらず、痛いのだが。
「解っていてもね…出来ない事って有るんだよ…? ここまで言えば…山田なら…解るでしょう? 」
「…俺が言いたいのはな、本気で『神々』と戦う気が有るんならな、死んで逃げた俺など忘れて、
力を溜めに溜めて、憤怒と共に対峙し、輪廻の鎖を断ち切ると言うのが最善の方法だと…」
「救い様の無い莫迦…! 本気でそんな寝事言ってるのを、解っちゃうのが一番腹が立つ! 」
「…安心した。…これでお前にも隠し事が出来る。読まれて居ないからな? 俺の本心は…」
「? 何よぉ…それぇ…? っ! …そっか…そうなんだ…言えない、よね…それは…」
「言うなよ? 言ったら俺は今度こそ殺されるからな? 多分手加減無しで速攻で! 」
山田は壁時計を見る。2335がもうじき過ぎようとしていた。巡察の時間だ。生徒の自主性に任せる
と言う寝言など、きっと尊敬する『ハートマン軍曹』ならば『ふざけるな! タマ落としたか! 』と
罵倒の元に切って捨てるに違いない。立ち上がる前に言っておかねば為らない事があった。
「…多分な、俺の『復活』で、お前は予想よりも『力』を使い過ぎているだろう。…約束しろ。
今度俺が死んでしまおうとも、もう『ズル』は無しだ。死を舐めた人間には、気迫が無くなる。
俺は腑抜けには為りたく無い。それにお前には『神々』に対抗して貰わなくては為らんからな?
『余計な事』で消耗するな。『神々』の玩具にされるのはもう沢山だ。…俺がお前に代わって、
戦い、抗ってやる。…舐めた真似しやがって…。『漢』と『自衛隊員』を舐めたらどんな目に
遭うか、きっちり思い知らせてくれる…! 因果応報って奴だ…見てくされ、下衆どもが…! 」
「膝枕されてる事を除けば、凄く格好の良い台詞なんですけれど…。あの…動けますか? 」
「スマン…どうやら…動けんらしい…。神経…逝ったか? 早速だが…頼まれてくれるな? 」
今日2回目の、治癒魔法のお世話になる山田であった。まだ生きているから『ズル』では無いぞと
強弁したのは、言うまでも無い。己の『やるべき事や為すべき事』が、やっと見えて来たのだから。
『人間山田』と『助教里井』としての責任と任務を、果すための戦いが、始まる。 …第一部 END
投下終了。…やはり好きにやるべきだった、と思っている。掌編の方が小官にはお似合いらしい。では、な。
>970
同意。小官殿の醍醐味は3〜4レス程度の奴が一番読み応えがあると思う。
長編にしようとするから無理が出るのであって、同一キャラによる連作短編とかが一番向いてるような気がしますよ。
>>971 無理あったか? 無かったような気がするけど・・・。
>970
小官殿、乙っ。
ふふっ、やっと暇ができて来て見れば、小官殿がUPされているのに大変なことに。
自らの意見を持ちながら、他人の意見を聞かねばならない時って、ストレス溜まりますよね。
その意見を受け入れる、受け入れ無いを別として。
現実の組織の中でも我を張る為には、妥協と折衷を常に繰り返しているんです。
いいじゃないですか。ストレス発散しても、妥協と折衷を忘れても。此処位は。
それに、小官殿はそのあたりの線引きが少々厳しい方の様なので、大丈夫かなと思います。
(人の言う事を端から聴いて無いのと、聴いて尚且つ、己の道を貫き通すのは訳が違うわっ)
 ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄
馬鹿な人達が同席していないと、才子もしばしばお手あげになってしまうだろう。
ラ・ロシュフコー
新機能のテストがてらWikiに魔導士教育隊をうp完了。
次スレあたりで「第二部 怒涛の教育編」を期待してるのは俺だけではあるまい。
#他の作品も時間を見付けてうpせんといかんなぁ。
大人気ないが、小官だ。演じる筈だった『予定』を話そう。
組織について演り、その間に自衛隊の『課』=セクション=Sの解説をする積りだった。
一斑部隊のゲリコマ対処の方法を演るはずだった。警衛隊について話すはずだった。
BOCやAOC、CGSについて解説するつもりだった。連続歩調について話すはずだった。
部隊行動も命令も、なにもかも、作品中で、全て、演るはずだった。作品中でネタを、
ラッパや主張や思想やギミック、背骨を盛り込んだのだが、狙いに気付いてくれただろうか…?
暫く、充電したい。脱力感が、消えない。今はただ、敗北の苦い味が口の中に拡がっている。
何、また直ぐに毒を吐きに来るだろうさ。何故なら、小官はまだ、生きている。また逢おう。
『生きている限り、負けは無い』。この言葉を、貴君等に捧げよう。箴言は、人を小馬鹿に
するのは向いているが、感銘を与えるまでには至らない。…濫用は、慎め? では、な…。また、いつか。
>>978 有難う。迷惑を掛ける。「厨官」名義で少々演っているので…迷惑を掛ける。何日か充電期間を置いて、
またスレに顔を出すよ。保管庫を覗きに行くとしよう…。では、今日はこの辺で。また、な?
自己レスとは情け無い…! >978で上げたレス番を
>>976に訂正。改めて、色々有難う。では、お休み。
残りわずかなので、単発SSでも、投下(´▽`)
「特別機動捜査局」
特別機動捜査局、略して特機はその下に警備部、調査部、需品部、総務部の4部を有する。
警備部とはその名のとおり実働部隊であり、調査部とは新犯罪を防ぐ為に、警察庁や警視庁
及び公安調査庁との連絡、並び新犯罪組織における内偵などを担当する。
需品部とは、隊員への物資の支給、各種装備の整備、及び犯罪に対応する為の装備の開
発研究にあたる部局である。
総務部とはその名のとおり、予算配分、人材配置、広報活動などの細々とした職務を行う
部局だった。
小笠原三佐は、この警備部部長という事になる。
本来なら、特別機動捜査局副長官という事になるのだろうが、三佐という事と自分はその柄で
はないと言い張った為、警備部部長という肩書きを有する事となった。
警備部は。新犯罪が発生した場合において現行犯逮捕を行う1課と、調査部の内
偵や、捜査によって発生する確率が高い場合において、未然に防ぐ為に行動する
2課があった。
特に2課の装備は重装備な事で知られる事となるが、彼ら1課の警備行動にあた
る時の服装は異様ですらあった。
なにせ、体全体を覆い隠すようなその作業衣は威圧感を醸し出してさえいる。
顔には面当てをつけ、頭には軍用ヘルメットを着けている。胴と脚部は、これまた
火炎から身を守れる耐火性のあるもので、更に盾を有している。
全体的に青灰色で統一されていた。
この1課の元に現在1つの大隊が配備されているが、この大隊の隊員を元に全国各地に実働部
隊を新設する事が決まっていた。
いわば教導大隊と言う訳なのだ。
最終的には全国各地に8個の連隊を配備し、東京23区には1個の教導隊と12個の大隊を配備す
る事が決まっている。
ただ、これは現在の計画であり、実際にはこんなにも志願者がくるはずはないだろうとは、小笠
原警備部部長も思ってはいる。
さて、1課の作業衣は、特機では甲種作業衣と呼ばれる。
甲種作業衣があるなら、当然乙種作業衣も存在する。
乙種作業衣は、いわば通常勤務時の作業を行うときに着用する。
この乙種作業衣は、上下とも灰色で動きやすくデザインされたものだった。
何せ、甲種作業衣は対魔法効果を施され、なおかつ通常の攻撃にも堪えられるようにと考慮されて
いた。
営内をランニングする隊員らの姿を見おらす位置にある部屋には小笠原警備部部長の姿が
あった。
部長に面談しているのは、永山需品部部長だった。
「所で、あの件ですが、どうなりました?」
「ああ、内局を通じて、まわして貰うようには言ったがな。果たして陸自が回してくれるかという
訳だ。なにせ、陸自でもようやく装備が決まった奴だしな」
「でも、ようやく決まったと言って、既存のモノに手を加えただけでしょうに?」
永山需品部長の言に、小笠原警備部長は腕を組んだ。
「実際、大陸で手酷い目にあってるからな。喉から手が出るほどに必要という訳だ。それを横
から、俺にもくれって言ってるようなモンだ。いい気はしないと言うものさな」
そう言いつつ、肩をひそめると案の定、永山需品部長は苦いものを噛み潰したかのような表
情になった。
「そんな事を言って・・・。それでは、1課の人間を丸裸で送り出すつもりですか?」
「そんな事をするつもりはないが?ただ、代わりと言っては何だが、設計資料ならその複写をく
れてもいいと言っていたから、有り難く頂戴してきた」
その言葉に需品部長は、やや片目を大きくする
「すると・・・・、自分らで作るなら構わないと、陸自はそう言いたい訳ですか」
「そういう事だな」
協力する気はないが、邪魔をする気もないという態度が見え見えだった陸自の幹部を、小笠原三佐は
思い出した。
これは警察も同じだった。
そんな事を思っていると、需品部長は苦い顔をする。
「設計図をくれても・・・・。大体設計図からして軍機でしょうが。それに、自分らの施設じゃあ、一から作る
なんて、そんな能力もなければ技術もないですよ」
その言葉に、それまで黙っていた大廣総務部長が口を開く。
「そんな施設を作る金なんか、ありませんぞ。組織の立ち上げから、人員の配置に至るまで、予算配分
を行いましたしね。それに、作業衣やらなんやらで、予算を大分食ってるんですよ?」
そう釘を刺された事で、小笠原三佐は眉を思わずしかめたのだった。
「臨時予算を組んでもらえるよう、頭を下げるしかないかな」
「臨時予算を組む事に、財務省が首を縦に振るかという事ですよ」
需品部長が否定的な言葉を出すと、警備部長は降参したように息を掃く。
「自分と長官とで、財務省を説得してみるよ。それでいいだろう?」
そう言うしかなかったのだった。
続く?