陸自・将来装輪戦闘車 第2スレッド

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皆様ごきげんよう。
さて、私の質問にお答えくださった>63様に感謝の意を表させていただくと同時に、>65のシナリオについてしばし考えてみると致しましょう。

さて、上記のシナリオに関して>63様のお答えについて少々の考察など。

>今津で戦車をトレーラーに搭載し、装甲車による護衛なしで国道303号線を使って小浜方面に向かうが、

実際に敵が至近に上陸しており、また戦域間移動でもない状況では、トランスポーターを使用しての移動はありえませんね。
例えば、今津から舞鶴まで60km、伊丹まで100kmです。
これだけの距離をわざわざトランスポーターで移動するよりは、自力で機動した方がはるかに推進速度は速いでしょうね。
ちなみに、74式でしたら路上を40km/hでの巡航は当然可能ですし、戦車中隊の行軍長径そのものは2km前後、大隊全力でも第3戦車大隊ならば10kmいかないでしょう。

さて、戦場の実際において戦車が最も活躍するのは、敵の火制下での突撃なわけです。
つまり、戦車を投入するとすれば、それは敵の軽装歩兵旅団に対して打撃を与えることを目的としてでしょう。
少なくとも、普通科の援護無しに敵の制圧下にあると考えられる小浜に向かって前進することはありえませんね。
そして、地図を見ていただければお判りいただけるでしょうが、小浜方面への推進はむしろ第10師団の管轄になるでしょう。
第3師団の任務は、あくまで舞鶴から大阪方面へと南下してくる敵の阻止と撃破にあるのですから。

>戦車の準備に手間取ったため敵に動きを察知され、

さて、部隊出撃の準備ですが、通常は敵が我の領土に不法に侵入する意図をもって活動を開始した時点で始まりますね。
ただし、それはあくまで敵の意図や部隊規模などの確認や、それへの対処計画の立案といった、幕僚見積もりの作成となるでしょう。
実際の部隊の戦闘準備の開始は、最高司令官である内閣総理大臣の準備命令が下るか、敵が我の領土に不法に侵入した時点か、でしょう。
そして、部隊が実際に駐屯地を後にして出撃するのは、内閣総理大臣の防衛出動命令がくだってからとなります。
つまり、部隊は、状況が不穏化した時点で内閣総理大臣の命令が下ると同時に、行動に移せるよう準備を終わらせているというのが、実際のところでしょう。
7963 ◆HEVA7c.IU6 :03/12/23 18:33 ID:???
電車の中で考えて、適当に書いたので、どんどん突っ込んで下さい。
関西出身だから設定は分かりやすかったけど(藁
>78の続きです。

なお現在の計画では、まず警察が不審者に対して対処し、警察の装備と訓練では対処不可能と判定された時点で自衛隊が出動するものとされています。
上記の設定で、自衛隊が出動する時点ですでに若狭湾沿岸の都市が制圧されているというのは、こうした現在の政府の対処計画の不備によるものなのですね。
当然のことながら、敵が駐屯地の部隊に攻撃を仕掛けてきた場合には、急迫不正の生命の危機による正当防衛が成立し、敵に対して実力を持って対処することが可能となります。

>寒風トンネル付近でゲリラの待ち伏せにあい、RPGで撃破。

上記の理由により、戦車大隊が普通科の支援も無しに単独で敵に向かって推進することはありえませんね。
また、敵の攻撃が予想される場面において、前路警戒も行わずに部隊を推進させることもありえないわけです。
戦車大隊といっても、戦車搭乗員しかいないわけではありません。
当然、ほかにも色々な職種の隊員がいるわけであり、臨時に警戒部隊を編成して前路の偵察と警戒に投入されるでしょう。
そして、当然のことですが、トンネルのような障害地形の確保は重要視されますね。

なお、RPGによる待ち伏せ攻撃ですが、まずRPG単体は非常に重量がありますね。
さらに、よほど至近でなければ、移動目標に命中させることは難しいということもあります。
>80の続きです。

例えばチェチェン戦争での戦訓ですが、「戦車はあらゆる手段を尽くして不利な体勢に持ち込んでから攻撃しないと、怖くて相手できない」というものです。
何故か、国内の趣味の軍事雑誌では無視されておりますが、チェチェンの場合、

1:侵入路が限られている(日本でいえば山梨とか群馬県)
2:侵攻するまでに非常に時間か掛かった。
3:ロシアが航空攻撃オプションを事実上凍結した。
4:よって、チェチェン対戦車班は時間的にも空間的にも大きな優位をもって対戦車戦闘に専念できた。

という経過があって、あれだけロシア軍は苦戦する羽目になったわけです。
ところが、上記の状況の場合、まず敵は我の戦車がどこに展開しどう進撃してくるのか、それがつかめないわけです。
つまり、作戦上敵は内線作戦を行うことになり、我は外線作戦を行うことになるわけですから、敵はどこか一箇所にヤマを張って防衛線を構築するわけにはいかないのですね。
そして、RPGなどという武器は、防衛戦闘に投入するのでなければ何の役にも立たないわけです。
>81の続きです。

>破壊された車両が道路をふさぎ、通行不能になる。

これは自衛隊の車輌だけの問題ではなく、若狭湾方面から非難しようとする民間車輌の問題でもあります。
つまり、避難民が大挙して自家用車で避難を始め、途中で事故が発生して渋滞が発生したならば、当然に避難民は自家用車を乗り捨てて徒歩で避難をしようとするでしょう。
この状況で、敵はゲリコマを避難民に浸透させて大阪方面への浸透を図ろうとするでしょうし、自衛隊は警察と共同して、一時避難民をどこかに集めて給食と医療や仮住居などの支援を行うことでゲリコマとの分離を図ろうとするでしょうね。
戦車に関して言うならば、こうした任務には当然のごとく不適応ですから、とにかく避難民の占拠していない道路を高速で移動して、普通科連隊との合流を行うでしょう。

>普通科連隊はそれぞれ73式大型トラックや高機動車に分乗して舞鶴自動車道を利用して舞鶴に向かい、
>姫路からはFH70を搭載し、山陽自動車道を経て福知山で合流、今津から来る(はずの)戦車部隊と
>挟撃作戦をとる。しかし道路を封鎖された戦車部隊は来ず、綾部市郊外で敵旅団と交戦する。

さて、普通科連隊は、敵がいるから即それに向かって突進するという事はありえませんね。
まず敵の概要の確認、意図の把握、そしてそれに如何に対処するか計画を立て、それに基づいて部隊を展開させることになるでしょう。
そして、そのための師団偵察隊が存在するわけです。
さて上記の場合、敵の多数のゲリコマが浸透しつつある、という状況が前に来るわけです。
つまり、敵は我の対処能力を飽和させ、その隙に軽装歩兵旅団をもって一気に大阪まで進撃しようと図ると考えるべきなのです。
>82の続きです。

ここで敵にいかに対処するかといえば、まず敵の軽装歩兵旅団の上陸完了と部隊推進準備の妨害となりますね。
つまり、福知山の普通科連隊に与えられる任務は、敵の主力が戦闘態勢を整えて進撃を開始するのを可能な限り妨害する、ということになるのです。
この場合、敵の前進経路は基本的に国道173号、175号、舞鶴自動車道と考えられますので、これらの道路と舞鶴市を視認可能な制高点を先遣中隊で確保し、前進観測所を設置します。
そして、姫路の特科連隊が推進して来るまでは連隊の重迫で敵に対して擾乱射撃を行うなどしてその活動を妨害し、その間に連隊主力は福知山―綾部間に防御陣地線を構築し、敵の主力の南下に対する最初の防衛線を設定するのです。

次に、伊丹の普通科連隊は、敵のゲリコマの浸透を防ぎ可能な限り師団後方の安全な地域の確保と、京都以南の国民の避難のための時間を稼ぎ出すことが要求されるでしょう。
このため伊丹の普通科連隊は、早期に京都北方にまで推進し、国道161号、162号、367号などを封鎖しなくてはなりません。
ここで今津の戦車大隊と合流し、1個中隊をもってRCTを編成、1個中隊を国道9号線沿いに信太山の連隊とともに北上させて経路を確保すると同時に、福知山の普通科連隊と合流させようとするでしょう。
そして、連隊の各普通科中隊は、それぞれ戦車小隊ないし戦車班の配属を受けて戦闘群化させ、それぞれの国道の封鎖と、徒歩で険要地形を踏破し浸透してくる敵ゲリコマへの対処にあたることになります。
>83の続きです。

そして、信太山の普通科連隊は、敵のゲリコマの浸透状況にも拠りますが、師団予備として綾部―亀岡―伊丹間の経路の確保に投入されることになります。
敵の軽歩兵が福知山―綾部の防御戦を突破することは、旅団規模である限り極めて難しいでしょうが、もし少数とはいえ戦車と野砲を持ち込んできたならば、我の態勢未完に乗じて突破に成功する可能性は極めて高くなります。
このため、福知山の連隊は舞鶴自動車道沿いに、信太山の連隊は綾部―亀岡間に主力が展開し、敵に対して遅滞防御に当たることになるのです。

姫時の特科連隊は、推進経路が、中国自動車道か、山陽自動車道か、国道2号線から舞鶴自動車道を経る事となるでしょう。
そして、福知山南方に展開し、福知山―綾部間の防衛線に敵が接触した時点で、福知山の連隊に対して火力支援を行い、敵の衝力を破砕することとなります。
敵は軽歩兵ですので、徒歩での浸透は得意ですが、いかに応急のものとはいえ防御陣地に対して攻撃をしかける能力はほぼ保有しないと考えてよいでしょうね。
そして、敵が我の砲兵によって制圧された時点で、戦車中隊を主力とした逆襲部隊が異方向から攻撃を行い、その組織的戦闘力を喪失せしめることとなるわけです。
>84の続きです。

>装甲車や戦闘車がないため、火力支援が受けられず被害が増加、

この場合、むしろ必要なのは敵の軽装歩兵の対戦車火器に抗堪しうる防御力と、水田などの路外を高速で機動できる機動力となるでしょう。
また、敵が持ち込むことが確実な軽砲や迫撃砲の阻止射撃に抗堪可能な防御力は、それこそ絶対に必要となるでしょうね。
つまり、敵に対して逆襲を行なうと言う事は、防御陣地の利得を棄てて、敵の射撃に身をさらして攻撃を行うという事なのですから。

>また市街地に近い住宅地であったためFHも使えず敗北する。

そのために、早期に住民を避難させる必要があるわけです。
戦争においては、戦闘地域が宣言された場合、火力発揮についての制限はなくなります。
つまり、場合によっては避難し遅れた人間がいたとしても、砲兵の全力射撃は行われることとなるのです。

>その後、到着した空自の支援戦闘機部隊と攻撃ヘリが空爆を加え、戦車部隊が体制を立て直した後ようやく撃破した。

空自の支援戦闘機は、現状では九州の築城と、東北の三沢にのみ存在しますね。
つまり、支援戦闘機がその地上支援部隊とともに名古屋空港か小松空港に到着するのにかかる時間について、どの程度と見積もれるか、となるのです。
また、対戦車ヘリにせよ、航空機にせよ、気象条件に非常に左右されることになります。
例えば、錯綜する地形の山間部では比較的気象条件の変動が激しく、また、敵の所在を確認することも難しくなります。

空自の支援戦闘機を投入するとすれば、舞鶴港の敵の輸送船なり、後続船団なりであり、地上部隊ではありませんね。
支援戦闘機は、それこそ通り雨的な投入が精一杯ですので、投入するのであれば敵の戦力発揮に対して、最も致命的な部分への一撃に投入しなくてはならないのです。
また、対戦車ヘリを投入するとすれば、それは味方の逆襲と協同して敵主力の後方へとなるでしょう。
対戦車ヘリは、それこそATM4発とロケット弾十数発を搭載しても戦闘行動半径が200km代となりかねないほどの、微妙な兵器です。
その威力は確かに絶大ですが、しかし、ある一定時間、ある戦場に留まって、火力を発揮し続ける能力は保有はしてはいないのです。
>85の続きです。

>一部の部隊は丹波高地の山間部に逃げ込んだため戦車は役に立たず、

戦車は、道路の封鎖に役に立つことは、これまでにも何度も書き込まれてきておりますね。
敵が強奪した自動車などを使用できない場合、路外を移動するとなると、まず重装備の輸送は困難となりますし、継戦能力も無きに等しくなるわけです。
この場合、大型の装輪装甲車であっては、この道路封鎖もおぼつかないわけであり、また敵が路外を踏破しようとした場合、これに追随して敵の反撃に抗堪しつつ制圧する、という能力も持ち合わせていないわけです。
最低でも、敵の軽火器に抗堪しつつ路外も機動可能な装甲車である必要があるでしょう。

>装甲車の支援もない普通科が掃討を行ったが敵の反撃を受け被害が出る。

装甲車の支援ですが、戦車すら入っていけない険要な地形には、装輪装甲車は絶対に入っていけませんし、ヴィーゼルの様な装軌式軽装甲車では、入っていけても対して役には立たないでしょう。
確かに、各種の重火器を輸送することは可能となりますが、しかし峻険な地形で敵と至近距離で遭遇戦を行うことが考えられる状況では、むしろ敵に対して我の居場所を早期に察知されかねない装甲車輌の投入は判断に難しいところとなるわけです。

>最終的に100名以上を射殺もしくは捕獲したが、潜伏して行方不明の敵も数十人に及んだ。

以上の数値は、いかなる見積もりと判断の計算の元出たのか判りませんので、個人的にはコメントは避けたいかと思います。


>今津の戦車部隊は滋賀・福井県境に配置して封鎖に専念し、検問を行い、ゲリコマの浸透を防ぐ。

敵の徒歩歩兵の浸透を防ぐことが可能なのは、同じく徒歩歩兵のみですね。
少なくとも、歩兵の支援を受けていない戦車部隊では、敵の徒歩歩兵の浸透を防ぐのは不可能でしょう。
>86の続きです。

>普通科部隊は装輪装甲車、戦闘車に分乗、使用可能な一般道路を利用して時速100km近い高速で上陸地点に向かう。

上記の通りの各連隊の展開状況を考えますと、敵に長射程大火力の野砲が存在しないのであるならば、逆に装甲輸送車輌の必要性は低くなるわけです。
敵のゲリコマが、移動中の戦闘部隊に対して攻撃を仕掛けることはまずありえません。
あったとしたならば、逆に敵を捕捉し撃滅するまたとない機会を与えることとなるのですから。

>福知山盆地でいち早く敵と遭遇、戦闘車の105mm低圧砲、機関砲や自動擲弾の支援を受けて敵部隊を撃破。

福知山盆地で敵と遭遇戦を行うとの事ですが、遭遇戦となると彼我ともに暴露状態で接近戦闘を行うこととなるわけです。
この場合、敵の軽対戦車火器に対して抗堪が不可能な装輪装甲車輌であっては、逆に路外で機動を妨害されたところを火制され、大きな被害を受けかねないでしょう。
また、機動打撃の主力となる戦車が、この場合1個中隊しかおりませんし、敵の暴露歩兵を制圧し、その機動を阻害するべき野砲が、わずか1個大隊しか存在しませんので、敵による近接戦闘の強制を排除することは極めて困難になるかと考えられます。
そして、遭遇戦の上、近接戦闘となったらば、まさしくものを言うのは兵隊の頭数ですので、例え敵が軽装歩兵であっても数に福知山の連隊が押し切られる可能性は極めて高くなるのです。

また、上でも書きましたが、避難民が乗り捨てていくであろう自動車などの路上障害に対して、戦車であればドーザーを搭載してこれを路辺へと排除することも不可能ではありません。
しかし、装輪車輌では、当然このような放置車輌を始めとする路上障害の排除は不可能なわけです。
まして、自ら自力で障害を乗り越えていくなど、タイヤという移動形式の限界からまず不可能でしょう。
そして、路上障害に部隊機動が阻害され、計画のタイムスケジュールが狂った場合、敵を阻止するための緊要地形の確保と防御陣地の構築が間に合わず、不利な態勢で敵との交戦を強要されかねないわけです。
>87の続きです。

>山間部に逃げ込んだ敵も戦闘車・装甲車の支援を受けた普通科部隊が迅速に撃破多数を捕獲した。

装輪車輌は、その移動方式の限界から、平坦で堅固な路上以外での戦闘機動はほぼ不可能とみなすべきですね。
少なくとも、一々タイヤにチェーンを巻き、5km/hで移動する装輪装甲車は、対戦車火器の良い的でしかありません。
そして、撃破されるなり、例えば水田の泥濘に足を取られて放棄された装甲車は、文字通りの障害物でしかないのです。
当然、水田などの路外地形の踏破する難しいのに、山間部への装輪装甲車の乗り入れは、文字通り不可能と考えてよいでしょう。

ちなみに、装輪車輌は事実上空気タイヤという空気バネによって支えられているようなものですので、105mm砲は連続射撃が不可能ですね。
また、口径が30mmを超えれば、機関砲であっても連続射撃はほぼ不可能となるでしょう。

>この戦いは歩兵部隊にとってIFV、APCがいかに重要かをあらためて示す結果となった。

この結論につきましては、完全に同意させていただきます。
しかし、その前提として、敵の火力に抗堪しつつ突進可能な戦車と、敵を火制し地面に釘付けにする野砲の支援がまずあってのことですが。

十分な数の戦車と野砲があって、火力戦を敵に強要できる状況においてでしたら、私は装輪装甲車の配備には反対はいたしません。
ちなみに、8輪装甲車はそれが戦闘車タイプになりますと、同じ規模の装軌車両と整備所要はほぼ変わらないとの事です。
つまり、維持費用が安いのであって、整備所要そのものは、実は装軌式とそう変わるものでもないのだそうです。