【存亡】兵器ガチャピンの報告書第6集【決戦】

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702沖縄より(護衛艦の艦内):04/07/02 20:11 ID:???

「・・・ますか?聞こえ・・・」

頭の周りで声がする。そうか、これは幻聴だ。とうとう私も三途の川を渡ってしまったのか。
まあいいや、妻とはとっくに離婚したし子供もいない。両親も亡くした私を悲しむ者などいる
わけもない。人間いつかは死ぬ。私の場合、それが今だったというわけだ。

「聞こえますか?聞こえますか?」
いや、これは幻聴じゃない。そう思った次の瞬間、まばゆい照明の光が目に飛び込んできた。
「おい、気が付いたぞ!」自分の周囲がが騒々しくなる。どうでも良いが、ここはいったいどこだ。

ん・・・、海自の制服を着ているのがいるな、ということは、私は自衛隊の護衛艦に助けられたと
いうことか。まてよ、そうしたら、海保の人達はいったい・・・。

703532混成旅団:04/07/03 01:37 ID:???
>>702
気が付かれましたか。ここは護衛艦の医務室です。
貴方は巡視船「りゅうきゅう」の中で意識を失っている所を発見されました。
残念ながら、我々が救出に赴いた時には他の海保隊員の方々は既に皆亡くなられていました。
貴方だけが運良く助かったのは、彼らの活躍があってこそなのかもしれませんな・・・・・

御挨拶が遅れました。私は532混成旅団・・・・・名前が無いと不便ですな。私は甘粕一佐。532混成旅団の指揮官を務めています。
現在、我々は海上自衛隊と協力して慶良間列島から脱出したと思われる難民船を捜索しています。
貴方が御存知かどうかは知りませんが、慶良間は既に戦場となっています。恐らく全滅も時間の問題でしょう。
幸い、現地の部隊が迅速な対応を取った為、島民は既に退去したとの報告を受けています。もっとも、それが為に慶良間の部隊は・・・・・

さて、我々は実質的には沖縄救援部隊の先遣隊です。追々、本隊が那覇港に到着するでしょう。
僅かではありますが食料や医療品なども輸送中です。見たところ県庁職員とお見受けするが、県の方でも受け入れ態勢の確立をお願いしたい。

本土の方も決して安全ではありません。大阪にはGが要塞を建設したとの情報もあるし、
味方の筈の米海軍までもが東京港で妖しげな動きを見せています。
この八方塞の状況を打破する為には何より団結が必要です。そちらの持つ情報を出来るだけ詳細にお聞かせ願いたい。
704慶良間通信隊:04/07/03 23:08 ID:???
島民に連絡を行なって二時間もしない間に我々通信隊を除く島の人口の全てが広くも無いこの島唯一の漁港に集まった。
他の島々でも警察の駐在員や地元消防団員による非難誘導が進められている筈だった。非難してきた住民の顔ぶれを見ると
若年層は皆一様に青ざめているのに比べ沖縄戦を経験している老人達は皆一様に落ち着き払っている。
手荷物は一人ひとつのみという条件に腹を立てたり、あくまで島に居残ると固持する一部住民を説得したのも彼らだった
財産が何のことか。おみんしゃんらはまだ若い。身一つあればどうにでもなる。ワシ等もそうしてこの年まで生きてきた。
ワシ等のために命掛けてる御仁になにをいうかと。彼らの言葉が胸を打つ。未だ感情的なしこりが残るこの土地で
正直あまりいい顔をされない我々にそこまで言ってくれる彼らの言葉が我々にどれだけ救いになったことか。
今は亡き祖父が聞いたらなんというだろうか・・・・
705PL08「くだか」:04/07/04 00:17 ID:???
漁協の船と本島とを結ぶ定期貨客船が続々と桟橋を離れていく。さながらサイゴン陥落から逃れるボートピープルのようだ。
本島から急派された我々海上保安庁巡視船PL08「くだか」以下三隻にも島を逃れた住民達が寿司詰め状態で乗せられている。
そのお陰といっては何だがかき集められるだけ集められたこれらの船のお陰で島の住民の全てを収容することができた。
これでこの島に居残っているのは桟橋で我々を見送る彼ら慶良間通信隊だけとなった。
私は彼らに住民を本島で下船させた後、再度戻ってくることを提案したが彼らはそれを固辞した。            
生きているかもわからない兵を救うために貴重な艦を危険にさらすわけには行かない。我々が残ることで少しでも時間が稼げると。
私も頭ではわかっていたが納得できるものではなかった。なおも食い下がる私に部隊の指揮を執っていた士官が存外に穏やかに
告げた。「彼らのこと、お願いします」全てを悟りきったようなその穏やかな表情にわたしは、はい。と返すのが精一杯だった。
桟橋を離れようとする我々を彼らは悲壮な顔色ひとつ浮かべずに、皆見る者を魅了するような笑顔で我々を帽振れで見送っている。
彼らを甲板や艦橋にいた者は皆見とれたように眺めていたがやがて誰からとも無く皆彼らに敬礼で返礼した。
民間人も海保も関係なかった。私は艦橋にいながらこみ上げる熱いものをこらえることができなかった。
彼らの皆見る者を魅了するようなあの笑顔が出撃前の特攻隊員にダブって見えたのは私だけではなかったのだろう。
皆唇をかみ締めすすり泣いていた。島が遠のき豆粒ほどになりやがて見えなくなっても皆敬礼をやめようとはしなかった。
706慶良間通信隊:04/07/04 00:49 ID:???
我々が死守しているのは遂にこの通信棟だけになった。先ほどから連中がドアを破ろうとする
鈍い音が響いている。破られるのも時間の問題だろう。死が迫っているというのに不思議と心残りは無い。
六十余年前に我々と同じくこの島で戦い、戦後民間人を見捨てたと罵られ死んでいった祖父。
私は彼らの汚名を雪ぐことができただろうか?・・・・
すでに送信機能を喪失した通信機からは本島に近づきつつある救援艦隊の難民救出の無線が聞こえる。
指揮を執っているのは防大の同期の甘粕だ。やつならきっとこの国を守ってくれるだろう・・・・
707沖縄より:04/07/04 01:24 ID:???
>>703

私は護衛艦の艦上で、ぼんやりと海を見つめていた。私と一緒にいた海保の職員達の事を聞いても、
自衛官達はあいまいな笑顔を浮かべるばかりだった。言われなくても分かっている。彼らは死んだ。
そしてまた、私だけが生き残ってしまった・・・。俺は死神か?私の指示で出動した者たちは次々と死に、
何故か私は生きている。死ぬべきなのは自分なのに・・・・・・・。

その時、私に声をかけてくる人がいた。「…私は甘粕一佐。532混成旅団の指揮官を務めています…。」
一瞬なんと答えようか悩んだ私は、あとから考えれば随分と間の抜けた返事を返した。「よ、ようこそ
沖縄へ。」つい、この間まで籍を置いていた観光振興課の頃の口癖が、口をついて出てしまった。
彼は一瞬きょとんとした顔をし、そして大声で笑った。つられて、私も笑いがこみ上げてきた。

「私は沖縄県緊急災害対策本部の次長を務める屋良(やら)と申します。自衛隊受け入れの準備に
関しては、万事遺漏無く、とまでは申し上げられないが、一応学校、公民館などの公共施設を中心に
宿営して頂く場所は確保してあります。援助物資の件は誠にありがたい話で、県民一同に代わり
感謝申し上げたい。到着したら、至急県民に配分したいと思います。「G」の情報に関しては、我々の
持っている情報はそれほど多くは無いと思いますが、出来る限りの協力はいたしたいと考えます。」

それにしても、慶良間列島か・・・。那覇や糸満にも近い所だ。本島南部は極めて危険な状態にあるな、
と考えざるを得ない。自衛隊は彼らを撃退できるのだろうか?内心、私は不安だった。
708慶良間通信隊:04/07/04 01:30 ID:???
宛 第532混成旅団長甘粕一佐殿
このメールが貴官に届くことを切に願う。貴官も知っているだろうが慶良間諸島に敵が進攻してきた。
我々も全力で抗戦するが勝つ見込みは万に一つもありえない。だから貴官には敵がこの島にいるうちに
手段を講じ連中を殲滅してほしい。幸い本島には那覇基地のF4と海兵隊のハリアー、コブラが温存されている。
彼らに連絡を取りこの島を空爆してほしい。尻拭いを任せるようで悪いが私の最後の我侭だとと思って
聞き入れてくれると嬉しい。防大時代から迷惑を掛けっ放しだったが君という友人と出会えて本当に嬉しかった。
私は君ならこの国を、いや世界を救えると信じている。貴官の武運長久を切に願う。
発 第695慶良間通信隊佐伯二佐 
709532混成旅団:04/07/05 00:03 ID:???
その電文が届いたのは屋良氏との会見の最中だった。
私は屋良氏に非礼を詫びながら、その電文を記したメモを受け取った。
その内容>>708を読み進めていく私は、少なくとも表面上は動揺を見せなかった。
我ながらY氏の時に比べれば成長したと思う。内心、私は泣いていたのだ。それを表に出さなかった、いや出せなかっただけだ。
私はメモを折り畳みポケットにねじ込むと、再度屋良氏に詫びながらその場を後にした。

私はその足でヘリ甲板に向かうと、近くで休憩を取っていた整備員とパイロットにすぐにヘリを飛ばすよう命令した。
慌てて駆け出す彼らを目で追いながら、私はポケットの中にある紙片を握り締めた。
まただ。どうして次々と逝ってしまうのか。なぜ皆私を置いて逝ってしまうのか。
私は別に勇者でも優秀な指揮官でもない。たまたま対G戦争勃発の折に前線勤務を外れていたので生き長らえたに過ぎない。
同期の人間で顔見知りだった連中は東京で、長野で、あるいは欧州でそれぞれ戦い、そのまま帰らなかった。
そして今、佐伯までもが逝こうとしている。しかも眼前の慶良間で。
馬鹿馬鹿しいことに、手を伸ばせばすぐにでも届きそうな慶良間の部隊を助ける術が無いのだ。

それらを全て理解した上で、佐伯二佐は私に慶良間を空爆するよう要請した。
分かっている。注意深く彼は直接的な表現を避けているが、「自分達ごと吹き飛ばせ」と言っているのだ。
軽装備の我々では本格的な上陸があった場合、恐らくは防ぎきれない。
つまり沖縄を守るためには沖縄に敵を侵入させない事が一番なのだ。

だからこそ佐伯二佐はじめ慶良間の部隊は脱出できる能力も時間も有していながらそれを断念した。
囮となって奴らを引き付けるために。沖縄を守る為に。
710532混成旅団:04/07/05 00:57 ID:???
行き先を訪ねるパイロットに私は迷わず航空自衛隊那覇基地に向かうよう告げた。
私は佐伯を助けてやれない。彼が自身を犠牲にして我々を助けてくれたのに、私は彼に何もしてやれない。
のうのうと生き長らえた私ができる事といえば、せめて彼の最後の願いを聞き届けるだけだ。

那覇基地に到着した私はすぐに基地司令に面会を申し込んだ。
屋良氏を中心とする沖縄県側が予め我々の到着を連絡してくれた為だろう。基地司令はすぐに姿を現した。
歓迎の祝辞を述べる基地司令に対し、私は無礼を承知でそれを遮り、ファントムの出動を要請した。
流石に私の尋常ならざる雰囲気を察したのであろう。基地司令は直ちに麾下部隊に出撃準備を命じた。
出撃準備を進めると同時に、司令は攻撃目標を私に尋ねた。それに対し私は努めて冷静に、かつ簡潔に回答する。
「目標は慶良間列島、通信隊基地。一帯を完全に、そしてくまなく破壊して頂きたい」
基地司令の顔色が変わった。当然だろう。我ながら随分な物言いだと思う。
佐伯も嫌な役を押し付けたものだ。そう思いながら私は続けた、
「要するに、その場にある全ての物を吹き飛ばして欲しいのです。沖縄を守る為に」

そこまで聞くと基地司令は瞑目した。彼も状況が飲み込めたのだろう。彼はそのまま目を開くことなく私に尋ねた。
「慶良間の連中は、もう駄目なのかね?」
私は静かに頷いた。
「残念ながら。そして、この爆撃要請は彼らの最後の通信であります」
基地司令は深く頷くと目を開き言った。
「よく分かった。後は我々に任せておけ」
711532混成旅団:04/07/05 01:22 ID:???
30分後、最大限の爆装をしたファントムが次々と滑走路から大空に舞い上がっていく。
孤立し、全ての補給が途絶えていた中でここまでの稼働率を維持した事は奇跡に近い。整備員達の努力には敬意を表するべきだろう。

精密誘導爆弾やクラスター爆弾を撒き散らす亡霊達が慶良間に向かうのを私は無感動に眺めていた。
これで沖縄に迫った危機は一旦回避されるだろう。しかし、そのために我々はまた多くの者を失ってしまった。
いつかは私も彼らの元に逝かねばならないだろう。だが、それは今直ぐにではない。

以前、死を覚悟した突撃を敢行しようとした対G特殊部隊員殿を私は諌めた。
「貴方は生きるべきだ。貴方に未来を託していった人達の為にも」
そういって彼を思い留まらせた私がそう直ぐに諦めて死んでしまって何の面目が有ろう。
恐らくは向こうの世界でも罵られるに違いない。特に佐伯なら口を極めて私を罵倒する筈だ。
「何をしにきた。お前はまだ俺の末期の願いを達成していないぞ!」、と。

しかし、私に世界を救う力があるとも萌えない。無論、この国もだ。私には特別な力など何も無いのだから。
しかし、私は確信もしている。この戦争はいずれ我々の勝利に終わるであろうと。
その時までには、我々はまた多くの者を失うだろう。だが同時に、新たなる力も着々と育ちつつある筈だ。
そしていつかは我々を勝利に導く「決戦存在」が誕生すると思う。

その時を見届けるまで、私は生きようと思う。
友人の死を傍観し、尚且つその屍を踏み越えていこうとも。
712640:04/07/06 00:41 ID:???
那覇に到着した・・・一足遅かったようだがな
とりあえず市民への物資は県庁に持っていくことにする
その後、我々も那覇基地に向かうつもりだが・・・

一つ聞きたいのだが沖縄の米軍キャンプもやはり連中に放棄されているのか?
横須賀にもあれほどの物資があったのだから、探らない手は無いと思うのだが
上手くいけばミニッツ級の目的も判明するかもしれん

713対G特殊部隊・生存者:04/07/06 01:03 ID:???
横須賀に到着して3日経ったが、東京湾に駐留する米艦隊に動きはない。

何かを待っているのだろうか。
714第一混成団:04/07/06 02:04 ID:???
>>712
ようこそ那覇駐屯地へ、道中無事で何よりです。
沖縄の防衛を任されておきながら貴官らの手をお借りすることとなり
まことに申し訳ない、本土も大変だというのに・・・・。
米軍キャンプの件ですが現在我が団隷下の第一混成群所属の普通科部隊が
各キャンプを捜索中ですが何分防衛戦力から人員を割いているので人手不足
なのが現状です。武器弾薬については目下名護市の辺野古海兵隊弾薬庫と
嘉手納空の弾薬庫地区を最優先で捜索中です。
双方とも暗い噂の耐えん施設ですがこの際文句は言えませんからな・・・
715沖縄より:04/07/06 22:59 ID:???
「嘉手納ですか・・・。あそこはGたちが撤退して以来、全く無人のはずです。」
私は自衛官達からの質問(と言うよりも、率直に言って尋問に思えたのだが)に答えた。
「あそこは我々県の人間でも何もわからない。正直申し上げて、沖縄の米軍基地の実態を
知っているのは、日本人では政府首脳と自衛隊だけではありませんか?」そう言った時、
相手の表情が一瞬険しくなったのに私は気付いた。いかんいかん、どうも軍人相手には
嫌味の一つも言いたくなってしまうのは、私が親兄弟や教師から、沖縄戦の悲惨さを
さんざん教え込まれてきたせいだろうか。

しかし、だ。
思えば、以前沖縄にGが侵攻して来た時、真っ先に攻撃されたのは嘉手納をはじめとする
米軍基地であった。そして、「米軍及び軍属の家族、アメリカ人は一人残らずステーキにされた。 」
と言う報告を、私はじめ多くの人間が信じたが、今になって冷静に考えれば、それは
たった一人の人間の報告に過ぎなかった。何か裏づけとなる事実が示されたわけではない。
それでもあの時は、Gが人間を襲うのは当たり前だと思っていたから、誰も疑わなかったのだ。

もしかすると、アメリカは相当以前から、Gと何らかの形で手を結んでいたのではないだろうか。
嘉手納攻撃は手の込んだ偽装であって、彼らは実はG達に基地を「譲り渡した」のではないのか?
そう考えれば、今になって米空母が東京湾に姿を現したのも、ある程度説明がつくのではないだろうか?

妄想だ。そんな事は有り得ない。私は精神的に疲れているのだ。
私は、しばらく休ませてほしいと頼んだ。
716海自残存艦隊:04/07/06 23:47 ID:???
報告が遅れたが、後続のDEとフェリーが那覇港に入港した。
まあ640さんが既に上陸しているので既にご存知だとは思うが。
とりあえず一部の艦を除いては何か動きがあるまで那覇港に停泊させておく。

それと、私はこれから佐世保に向かおうと思う。何とか潜水艦二隻を使える状況にしたいのでね。
という訳で、はつゆき一隻とDE三隻は佐世保に向かう。
残りの艦は暫定的に甘粕一佐の指揮下に置くので、非常時には遠慮なくこき使ってくれ。

ではこれより出港する。みんな死に急ぐなよ。
717名無し三等兵:04/07/07 10:00 ID:WnKaHwAV
(ΘдΘ)ウマー
718名無し三等兵:04/07/07 14:53 ID:AI84KF04
第十四号極秘報告  帝都ニテ政変ノ兆シアリ・・・
719第一混成団:04/07/08 02:19 ID:???
>>716
佐世保に向かわれるのなら針尾島の米海軍事前弾薬集積所の調査をお願いします。
おそらくあそこも最近の在日米軍撤退の際のゴタゴタで放棄され手付かずの筈です。
720対G特殊部隊・生存者:04/07/08 02:25 ID:???
>>717-718
何!?横須賀まで来たのは失敗だったか!?
だが既に荒地と化している東京にGが出現したからといって
海の向こうにいる米軍を放置して向かうわけにも行かない…
721640:04/07/09 00:19 ID:???
了解・・・ならば、名護と嘉手納に物資調査の応援を向かわせる
ここの物資を戴いた件で横須賀のあれが動くとも思えんしな

>>717-718
それにしても、クレーターに何を作る気だ?
第一政変も何もそもそもこの日本国には現在政府は存在して無いだろ
俺たちがこんなに好き勝手に行動してるのをほっとくはず無いもんな
722532混成旅団:04/07/09 01:05 ID:???
東京湾にて不審な行動をとり続ける米軍。崩壊した東京に再び現れたG。
偶然にしては少々出来すぎているのも確かだな。
しかし何か行動を起こそうにも現状では余りにも情報が少ない。当分は様子見しかないな。歯痒いが・・・・・

さて、現在嘉手納を捜索中だが、ここは静かだな。いや、静か過ぎるか。
どうやら住人はあらかた避難してそのままのようだな。勿論、米軍人やその家族などは影も形もない。
そして基地施設等には何の被害も認められない。戦闘が行われた形跡はないな。
仮に奇襲を受けたとしても、米軍が全くの無抵抗のまま基地を明渡すとは到底思えない。やはり裏で何かあったのか・・・・?

武器弾薬庫も貯蔵物含めて無傷だったが、ここは元々空軍基地だからな。
残念ながら我々が扱えるものは少ないようだ。那覇の空自部隊に引き渡した方がいいかもしれないな。
海軍施設の探索はまだなので、こちらに今から取り掛かる事にする。
723532混成旅団:04/07/13 23:58 ID:???
海軍施設も空軍のそれと大同小異だった。やはり戦闘などの混乱状態に陥った形跡は微塵もなく、
駐留米軍が整然にして迅速、そして何の妨害も無くこの地を後にした事が窺える。
気掛かりなのは、彼らが慌てて無計画に撤退した訳ではない事だ。
確かに殆どの装備や施設は手付かずで置き去りになっている。
だがしかし、彼らは唯一つにして最も重要なある物だけは余すことなく持ち去っている。そう、「情報」だ。

今まで幾つもの施設を見て廻ったが、情報に関してはあらゆる存在がソフト的にもハード的にも破壊ないし消去されている。
それこそご丁寧にパソコンの中まで真っ白になっている。これだけの作業が一朝一夕に出来たとは思えない。
状況証拠だけだが、米軍の撤退は恐らく「予定された」行動だろう。
つまり、彼らには日米安保を反故にしてまでも得たい「何か」があったのだ。
724532混成旅団:04/07/14 00:55 ID:???
私は閑散としたオフィスで一人溜息を吐いた。
部下達はいまだ基地施設を探索中だが、めぼしい物は何も残っていないだろう。
してやられた。改めてそう思う。これだけの作業を隠密裏に遂行した米軍には正直感嘆する。
もっとも、それ以上に自衛隊、いや、わが国のお人よし振りと情報収集の甘さを猛省しなければならないだろうが。
しかし・・・・米軍いやアメリカは一体何を求めてこの様な行動に及んだのだろう。
少なくとも日米安保はアメリカにとっても意味ある内容の筈だ。Gという未知の敵が現れたとて、それだけで捨てるには惜しいだろう。
つまり余程魅力的な代替物が無い限り、アメリカが日本を捨てる事は有り得ない。

だが私の思考はここまでだった。結局これらは想像に過ぎない。何か具体的な情報が無い限りこれ以上はどうにも判断しようが無いのだ。
その時、電源を入れっぱなしにしておいた端末が急に動き出した。
勿論私は何の操作もしていない。何者かが外部からネットワークを通じてこの端末を支配しているのだ。
が、その何者かは直接私に向かってコンタクトを取る訳ではなかった。代わりに何かファイルを送信しているようだ。
間もなく送信は終了し端末は再び沈黙した。私は一瞬躊躇したが送りつけられたファイルを開いてみた。
それはありふれたPDFファイルだった。どうやら何かの書類を取り込んだものに見える。
当然ながら全て英文なので少々苦労しながら読み進めていく。どうやら契約書の類のようだ。
と、私の視線は一点に釘付けとなった。
「・・・・USS George H. W. Bush, CVN-77の譲渡に対する当方の対価は以下の通り・・・・」
なんという事だ。これは今だ建造中の筈のニミッツ級最新鋭「ジョージ・H・W・ブッシュ」の譲渡契約書だったのだ。
そしてその受取人の名は「オネェサン」だった・・・・・
725沖縄より:04/07/14 01:58 ID:???
護衛艦は那覇港に錨をおろした。埠頭には既に県の職員達が待っていた。彼らは知事からの
メッセージを携えてきていた。

『今回那覇港沖、ならびに慶良間列島において、尊い犠牲となられた自衛官・海上保安庁職員の
皆さんの御霊に対し、県民を代表して衷心より哀悼の意を表します。』

「本来ならば、知事自らお出迎えすべき所ですが、体調が芳しくないものですから・・・。」職員を
代表するようにそう言ったのは、昔私の部下だった企画課長だ。彼は続けて「それでは、黙祷!」と
一段と声を張り上げ、それを合図に皆が黙祷した。

見ず知らずの他人の為に、仲間達を失った自衛官の心情はいかばかりであろうか。私は県庁へ
向かう道すがら、深く考えた。

「ご無事で何よりでした、次長。」私の思考を遮るように課長が言った。「これから忙しくなります。
次長がいなくなったら、大変な事になっていました。」そうだ、私達にはやらなければならない
仕事がある。その仕事をきちんとやり遂げるのが、生き残った者の務めではないか。

それにしても気になるのは米軍の動きだ。彼らはいったい何を考えているのか?所詮地方公務員の
我々には見当など付くはずも無いが、しかし、世界を滅ぼすような真似をして、何の利益がある?

「課長、県が情報収集の為に色々集めていた、無線交信の傍受記録があるはずだな?あれを自衛隊の
諸君に届けてほしい。」怪訝な顔をする課長に私は続けた。「まあたいした情報など無いと思うが、
我々は情報分析のプロじゃない。当然見落としもあるだろう。ことによると、彼らがテープの中から何かを
見つけ出してくれるかもしれん。」
726名無し三等兵:04/07/14 21:58 ID:???
ttp://moepic.dip.jp/gazo/netaren/src/1088508121836.jpg
これが現実なら、我々に勝ち目は無いな・・・
727640:04/07/15 01:17 ID:???
「オネェサン」か・・・久しぶりに聞いたぜその名前
するとアレか?この前から出現するようになった「子供」はやはり
「オネェサン」の手によって何らかの操作を受けていると言うことか
ほとんどの子供は「オニィサン」によって保護(?)されている筈だが、
逃げ遅れがあったと考えるべきだろうな。

それにしても東京湾のニミッツ級・・・解せねえ
こいつは推測だが、空母ってのは常時発艦、着艦の訓練をしているはずだよな
こちらが手を出せんのは向こうも知ってるはずだから、撃墜を恐れてと言うことじゃないだろう
訓練をしない、する必要が無い。あの中に戦闘機のパイロットは居ない
蒸気カタパルトから発艦するスカイGとM……ただの妄想で済むといいんだがな

更なる情報が必要だな。
個人的には警官がやられたガマ周辺と
G共が沸いた慶良間辺りの調査を行いたいのだが
728名無し三等兵:04/07/15 01:31 ID:???
最近東京湾周辺で未確認の飛行物体が多数確認されているが・・・・・・まさかな。
729対G特殊部隊・生存者:04/07/17 00:14 ID:???
>>728
こちらでも確認した。
おそらくスカイGと…飛行機だな…。
スカイGは…福島での戦いの生き残りなのか…?
とすればあの時の戦闘すらもアメリカ軍に関係が有ったということか…?
>>724での情報からしてもその可能性は高い…か。

残念ながら>>727の考えは大当たりだったみたいだな。
おそらくあの飛行機の中の人などいない…それどころかあれは戦闘機ですらない…

あれは…

紙ひこうきだ…
730532混成旅団:04/07/18 00:56 ID:???
現在我々は県庁の一室で県側から提供してもらった無線傍受記録の検証を進めている。
県の方でも一通り調査はしていたようで、ある程度の分類とテープ起こしがされていたのは有り難かった。
とはいえ、ここ数日の作業の結果は芳しくなかった。簡単に言えば何も出てこなかったのである。
傍受記録の多くはGやオネェサンとは関係無いものであった。それはいい。むしろ当然の事だ。
情報とはそれを取得しただけでは何の意味も無い。
それを調査・分析し篩いにかける事によって不要なものは除かれ「役に立つかもしれない」ものが残る。

我々はそこで躓いていた。確かに正体不明、少なくとも我々のデータには存在しなかった無線は存在した。
我々が普段から採集し解析している各国の無線。具体的には中露韓朝米などの軍用無線のどれとも符合しない謎の通信である。
が、それらはそれらは全く意味不明な内容だった。暗号ですらない、何かの合言葉だろうか。
「お腹がすいた」「あのおもちゃをこっちに」などといった短い通信内容から具体的な何かを読み取る事は不可能だった。
その声質が妙に甲高いのも気にかかる。まさかとは思うが子供が・・・?

私は頭を振ると書類の束を机の上に放り投げ強引に思考を打ち切った。
どうも最近子供という存在を色眼鏡を通して見てしまう。
憶測と思い込みによる行動は悲劇を呼び込む。少し休憩して頭を冷やした方がよいかもしれない。
私はそう判断して部下にその旨を告げた。部下達も室内に閉じこもっているのにいい加減ウンザリしていたのだろう。
彼らはあっという間に姿を消し、ものの三十秒で室内には私だけが取り残されていた。
私は苦笑しながら席を立ち、自分も部屋を後にしようと顔を上げた。と、入り口のドアを塞ぐ様に人影が佇んでいるのが見えた。
なかなか美人の女性だが比較的長身だ。そして何より目を引くのが見事なブロンドの長髪である。
民間人か?しかし米軍と共にその家族も引き上げていたのではなかったか?
731532混成旅団:04/07/18 01:00 ID:???
私は疑問に思ったが、土地柄ハーフがいてもおかしくはないし、旅行者が取り残されたとも考えられる。
余り深く考える事無く私は彼女に近づくと声を掛けた。

「県庁に何か御用ですか?生憎、私はここの人間ではないのでお役には立てないと思いますよ」
その言葉に彼女はニッコリと笑うと口を開いた。
「いえ。用が有るのは貴方に対してでス」
流暢な日本語だったが少々アクセントが不自然だった。やはりネイティブな日本人ではなさそうだ。
「私・・・・・という事は自衛隊にですか?まさか私個人にではないでしょうな」
相手が美人という事で私も少々浮かれていたようだ。僅かな期待も込めての冗談に彼女も口を綻ばせる。
「クスクス・・・・そうですネ。確かに貴方と直接話すのが一番確実かもしれませン。甘粕一佐?」
何故私の名を・・・・・・その疑問を口にする間もなく彼女は言った。
「JSDFの精鋭も、子供相手には苦戦しているようですカラ、少しお手伝いしようかと思っテ」
732532混成旅団:04/07/18 01:00 ID:???
・・・・!
一気に私の神経が緊張していく。Gはともかく、例の「子供」に付いての件は厳重な緘口令を敷いた筈だ。
ガマに残された子供服や玩具についても県民に発表したとは聞いていない。
或いは県庁職員や警察方面から情報が流出した可能性も無いとは言えないが、それにしては彼女の指摘は具体的過ぎた。
私は慎重に彼女から距離を取りながら横目で部屋の隅にある机を確認した。
・・・・遠い。引き出しの中に収められた拳銃を手に入れるには一瞬という訳にはいかない。

自分の置かれた状況を認識した私は肩の力を抜いた。じたばたしてもしょうがない。
それに私を殺す気ならとっくにやっているだろう。情けない事に私は彼女の気配を感じる事も出来なかったのだから。
私が覚悟を決めて動きを停めたのを確認すると彼女は微笑んだ。
「賢明でス。それに私は貴方を殺しに来たのではありませんかラ。」
そう言うと彼女は近くの椅子に腰掛け優雅に足を組んだ。どうやら害意はないと証明したいらしい。その上で私にも掛けるように勧める。
「これはこれは・・・・客人に席を勧められるとは・・・・」
彼女の言を全面的に信用した訳ではなかったが、さりとて他に選択肢も無い。私は半ば自棄になっておどけて見せた。
彼女はそんな私を見て面白そうに笑った。その笑顔から彼女の真意を読み取る事は出来なかった。
733640横須賀分隊:04/07/21 00:27 ID:???
巨大な紙飛行機が空を飛んでいる
様々の物と戦闘を繰り返したがシュールさも個々に極まれりだ。
別に爆装をしているわけでもない。ゆっくりと上空を飛んでいる。
撃墜してやろうかとも考えたが、やめておいた。
余りにも不気味すぎるからである。我ながら臆病なことだ。
スカイGも随伴して飛行しているがこちらなど眼中に無いようだ。
「お前たちなぞ何時でもタベチャウゾ」とでも言いたげですらある。
最近、連中の飛行する場所が北に移っている。
クレーターに何か用でもあるのだろうか?
縫いぐるみの考えることはわからん・・・
734対G特殊部隊・生存者:04/07/21 00:56 ID:???
東京のクレーター付近には何か重要な物でもあっただろうか?
…やはり考えられるのはお台場のフ○テレビ本社か…。
あそこにある何かを狙っているのか…米軍…それともオネェサンか?

735沖縄より:04/07/21 01:11 ID:???

この数日間と言うもの、県庁には久々に多くの職員の姿を見ることが出来た。
自衛隊の運んできた物資を、いかに分配し、かつ離島を含む全県へどのようにして輸送するか、
その計画と実施方法の検討、そして実際の作業と、仕事は山積みであった。
そしてようやく、先島諸島へ向かう貨物船を送り出して、私たちの仕事も一段落というところであった。
昔であれば、ここでビールの一杯でも飲む所であるが・・・。まあそういう贅沢は、やがて平和が再び
訪れてからにしようか。私は何人かの部下と共に県庁へと戻る事にした。

「自衛隊さんから、ガマ周辺と慶良間列島の調査を求める声が出ているそうですが…。」
その話は聞いているが、正直、また犠牲者が出るのではないか、と思うと、おいそれとはOKの返事は
出せない。とは言えそろそろ正式に返事を出さねばならないだろう。悩む所だ。そうこうするうちに
県庁が近づいてくる。

「…ん、あれは誰だろう?あんな人、ウチの職員にいたかなあ…。」課長の声にふと外を見ると、
ブロンドの女性が県庁へと入っていくのが見える。遠目にも美人とわかる。
「そうだねえ、あんな人いたかねぇ。」しかし、県職員などいっぱいいるし、那覇市や周辺市町村の
職員、あるいは一般市民が物資配分などで県に要望に来たとも考えられる。
そんな事を考えているうちに、彼女は建物の奥へと姿を消してしまった。

妙な予感はしたが、私達は今後の県政運営をめぐっての会議が控えていたので、彼女の事は
結局そのままにしてしまったのだった。

736532混成旅団:04/07/23 01:56 ID:???
机を挟み向かい合う戦闘服の男とブロンド美人。今の私と彼女の客観的状況だ。
彼女はジェ○ー・ソ○ーズと名乗った。
どこかで聞いた様な名前だが、何故か追求してはいけないような気がしたので気にしない事にした。
既に私を名指ししている以上、こちらの自己紹介は不要と考えた私は早速彼女に質問を試みた。
「貴女は一体何者か?我々に何の用か?」
このなんとも芸の無い滑り出しにも彼女は微笑を崩すことなくすらすらと答えた。

「私は米国のとある機関に属する者でス。最初にお話したとおリ、貴方達に御力添えする為に赴きましタ」
多分そうだろうとは思っていたが、やはり彼女は米国の手の者だった。
しかし今更手助けとは。米国は日本を捨てたのではなかったのか?
「そうではありませン。何故各地の米軍物資が手付かずのまま残置されたと思いますカ?
私達は日本の壊滅を望んではいないのでス」
確かに膨大な物資は使ってくれと言わんばかりに放置されていた。
が、極秘裏に日本から撤退し、尚且つオネェサンに最新空母を譲渡していたのもまた米軍だ。
ジェ○ー嬢の言をそのまま鵜呑みにするわけにもいかない。
私は正直にそう告げた。が、これは彼女の予想の範囲内だったようであっさりと自分達の非を認めた。
「当然ですネ。確かに我が国は安全保障条約上の義務を遂行したとは言えませン。
ただ、日米安保が想定していない異常状況に置かれた我々の立場も理解してくださイ」
そう言って彼女は私にウィンクした。言葉と裏腹な態度に、私は彼女がこれを建前だと暗に認めていると判断した。
どうも彼女も色々と複雑な立場らしい。向こうさんも意思が統一されてる訳ではないのだろうか?
それ以前に、組織の一員に過ぎない彼女と国家間条約を巡って討論する事が建設的だとも思えず、私はこの話題について打ち切る事にした。
737名無し三等兵:04/07/29 13:43 ID:???
sage
738640横須賀分隊:04/07/30 00:47 ID:???
連中の動きが最近活発になってきた。
空母は東京湾奥にまで入り込み、紙飛行機の出撃が頻繁に行われている。
斥候の情報によると、水没した台場付近をマリンGを中心に熱心に何かを探していたとの事。

やはりフ○テレビ跡には何かがあるのだろうか?
隙を見て潜水夫を潜らせる必要がありそうだ。
739532混成旅団:04/07/30 01:03 ID:???
暑い。私はハンカチを取り出し噴出した汗を拭いた。対するジェ○ー嬢は涼しい顔で座ったままだ。
比喩だけではない、実際に彼女は暑さを感じていないようだった。
そもそも、ここは南国沖縄だというのに彼女は暑苦しく上下をスーツで固めている。
沖縄県庁に限らず、県内の殆どの施設では空調など停止して久しい。電力不足のためだ。
当然室温はうなぎ上りだ。温度計を見るのも嫌になる位である。
そんな中で汗一つ浮かべないのは流石に不自然に過ぎる。やはり彼女も人間ではないのかもしれない。

「では、一体米国は何を考えている?なぜオネェサンと手を結んだ?」
私の率直な疑問だった。オネェサンとGの引き起こした惨劇を知らぬ訳はあるまい。
彼女の表情も俄かに曇った。そして僅かな沈黙の後、口を開く。
「・・・・我が国、いや軍は元々第三次世界大戦を戦い勝ち残る積りで組織され、実質それを成し遂げた軍隊でス。
つまりは地球最強の存在と言えるでしョウ。その米軍をして今回の対G戦では凄まじい損害を受けたのデス。
辛うじてGの第一波は撃退したものの、その被害たるや建国以来未曾有のものでス。
軍は恐怖したのでス。WWUでも朝鮮でもベトナムでもイラクでも、この様な体験はした事が無いのですかラ。
そんな時、オネェサンからの接触があったのでス。協力と引き換えにオネェサンの持つ技術の一部を提供するト。
・・・・・この取引に軍は飛びつきましタ」

なんという事だ。アメリカは、米軍はあのおぞましい力を手に入れるべくオネェサンと手を握ったというのか。
ジェ○ー嬢にとってもこれは苦々しい思い出なのだろう。彼女は憤りを隠そうともせずに続けた。
「これは我が国にとって史上最大の汚点でス。オネェサンと手を結んた人々は、【力】と引き換えに人間としての誇りを捨ててしまっタ・・・・」
彼女の言葉の中に次に私が質問すべきキーワードが現れた。
米軍が誇りをかなぐり捨ててまで得ようとした【力】だ。それは一体何なのか。私は次の質問に移った。
740532混成旅団:04/07/30 03:03 ID:???
「その【力】とは一体・・・・・」
その質問に彼女は直接答えず、一見とり止めの無い内容を喋りだした。
「・・・私達はGが何者なのかは知らないし、それ自体に興味はありませン。
勿論、その脅威に対して対抗する術を持つ為に彼らの研究は最優先で行われていまス。
しかし、分かったのは彼らが何らかの遺伝子操作を受けているということダケ・・・・・
全体のレベルではともかく、我が国には日本のような天才科学者は少ないのでス。
今や人類の敵対者であるドクター芹○やドクター中○のような真の天才は。
他にドクター真○やドクター岩○といった人達も把握していますが、皆生死不明のようですネ。
連絡が取れれば是非我が国にスカウトしたいものですケド」

私は苛立ちながら彼女に詰め寄った。
「それがどうした。そんな事は我々も知っている。私が知りたいのはオネェサンとの取引で得たという【力】だ!」
彼女は全く動ぜず、視線すらこちらに向けずに口を開いた。
「Gは人間と比べて遥かに強靭な肉体を持っていまス。そして人間に匹敵する知性モ。
この内、肉体に付いてはG本来の生物的能力ですが、知性は明らかに人為的に植え付けられたモノ・・・・
言うなれば知性化Gはより人間に近付くべく調整されたのデス。
フフフ、まるでモロー博士の目指した完全な生物のようには思いませんカ?」
彼女のどこか自嘲的な呟きが続く。その姿は妙に朧げに見えた。
「知性が同等ならより強い肉体を持つ方が生物としては上位でス。
しかしGは自然の産物ではなイ。神ならぬ創造主の手によるモノ・・・
ならば我々にも同じことが出来るのではないカ?そう思う人間がいても不思議ではないでしョウ」
741532混成旅団:04/07/30 03:04 ID:???
私は漸く彼女の言わんとしている事が飲み込めてきた。
「つまり米軍はGを製造する技術を手に入れたと?」
しかし彼女は首を振った。
「いいエ。オネエサンといえども無から有を生み出した訳ではありませン。
オリジナルGという存在に手を加える事によって様々な変種を生み出しているのでス。
つまり素体が無ければGを生み出す事は出来ませン。そして我々は素体となるGを保有していなイ。
しかし、素体が必ずしもGベースである必要も無い・・・・・・」
私は今度こそ理解した。しかし同時に信じたくも無かった。そんな私に構う事無く彼女は核心部分を明らかにした。

「そう、我々が手に入れたのは【人のG化】を行う技術でス」

私は自らの眼前が闇に包まれたような気がした。
私が手に掛けた子供達は「紛い物」ではなく「本物の」子供だったのが裏付けられたからだ。
「貴方方が外見が子供と酷似した存在と交戦した事は我々も知っていまス。
しかし、それが必ずしもG化処理をされた子供とは限りませン。
我々は人に擬態させた調整Gをドクター芹○が完成させたという情報も得ていますかラ。
ただ、その調整Gは何か問題があったのか完成後も殆ど使用されていないようですケド・・・・」
打ちのめされた私を気遣うようにジェ○ー嬢が補足する。
しかし彼女が最後に口を濁したように、あれが調整Gだとは思えない。あれは間違いなく子供だった。その異常な身体能力を除けば。

「何のためにこんな技術を?」
私は漸くこれだけを口にした。これは米軍の事を聞いているのではない。
米国はよく言われるように「臆病な大国」だ。自らの持たない力を欲するのはむしろ自然だろう。
私が知りたいのはオネェサンの意図についてだ。しかしジェ○ー嬢もこの点に付いては明確な回答を持たないようだった。
彼女はこれは自分個人の考えだがと断わった上でそれを口にした。
「オネェサンにとって戦力という点では以前のG達で十分だったと思いまス。
つまり、彼女は新たなるGを求めたのではなイ。子供達のG化そのものが目的だったのではないでしょうカ?
子供でありながら圧倒的な力をもつ存在・・・・言わば新人類の誕生を夢想しているのかもしれませン」
742名無し三等兵:04/08/07 01:30 ID:???
ここは旧関東平野、かつては環状線のあった場所
この地域は2度にわたる被爆のため、人間の進入は困難な場所であった
そこにうごめく影、まさしくGである。
「ココニモナイトスルト、ヤハリ旧台場カ・・・」
そう呟き立ち去るG
「ナントシテデモ、アレヲミツケネバ・・・アレサエアレバ・・・ジンルイナゾカマワズトモ、シゼンニ・・・」
743戦闘団ポンキッキーズ:04/08/07 17:16 ID:???
     (,,ΘД)y━~     シバラクミナイウイニミカタモヘッタナァ
    |l ( ソつ ∩_∩       
    |`'⌒⌒⌒⌒'(⌒⌒⌒)  
    | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄ ̄ ̄|
744532混成旅団:04/08/08 23:15 ID:???
「新人類・・・・・だと?」
私はどう評して良いか分からなかった。正直突飛過ぎると思ったからだ。しかし彼女の目は真剣だった。
「はい。私はそう思いまス。オネェサンは子供達だけの世界を作りたいのではないでしょうカ?
もともとGは子供達に愛されるべく創造された。それがある時、強大な戦闘力を持ち人類に挑戦してきましタ。
彼らの「ホロビヨジンルイ!」との発言を見る限り、現在の人類社会を否定している事だけは確かでス。
ならば我々が滅んだ後どうするのでショウ?」
彼女は一旦そこで言葉を切った。そして私の顔を値踏みするように見つめてきた。私の考えを聞きたいということか。
とはいえ私に言うべきことは無かった。ただでさえ予期しない事実を告げられて混乱しているのだ。
私は首を振り、彼女に話を進めるよう促した。少々落胆しながら彼女が再び口を開く。
「・・・・つまり、人類絶滅後、その後釜にオネェサンにより生み出された新人類が座るのではないかということデス。
オネェサンは大きく歪んだ形ながら子供達を愛していまス。それは彼女らの創造物であるGも基本的には同じでしょウ。
しかしオネェサンが幾ら子供を愛そうと、人類社会そのものが崩壊してしまっては子供達が生きていける訳が無イ。
だからオネェサンは子供を作りかえる必要があっタ。文明社会を必要としない、より生物として強力な存在とするためニ」

ジェ○ー嬢は最後にこれはあくまで自分の考えだと念を押した上で押し黙った。私はというと相変わらず沈黙を守っていた。
彼女の言う事が本当かどうかは分からない。ただ、少なくとも彼女が嘘を付いているとは思えなかった。
それだけ彼女の表情は真剣だったのだ。もっとも、訓練された人間なら表情を取り繕う事など造作も無い事だろうが。
私は質問を変えることにした。どうも米国内でもオネェサンに組する者とそうでない者の二派が存在するらしい。
ジェ○ー嬢は当然後者に属するのだろうが、両派の力関係や組織はどうなっているのだろうか。
米軍の不義理な撤退や最新空母の譲渡などを体験している我々としては、最も必要とする情報でもあった。
当然予期していた質問なのだろう。彼女も慎重に言葉を選びながら話し始めた。
745532混成旅団:04/08/09 00:04 ID:???
「残念ながら米国全体から見ればオネェサンとの協力関係を肯定する人が大勢を占めていまス」
やはりそうか。ある意味最悪の回答だったのだが、私はそれほど落胆しなかった。
なぜかと言えばそれを予想していたからに他ならない。

少なくとも指導者レベルで意思統一されてなければ駐留軍の撤退や空母の譲渡など行える訳が無いからだ。
だから私の興味は彼女の次の言葉に向いていた。彼女もそれは分かっているのだろう。そのまま澱みなく話し続ける。
「しかし同時に多くの人がそれに反感を覚えていまス。一時の損得勘定で人類に対して背信行為を働いているのですから当然ですガ。
我々に同調する人は政財官、そして軍とあらゆる所に存在しまス。彼らはネットワークを作り、オネェサン協力派に対抗しようと尽力していまス。
実際の所、確固たる信念を持ってオネェサンを指示している人などいないのでス。いたとしたらそれは狂人の類でしょうネ。
多くはGの戦闘力に恐れをなしたか、オネェサンからもたらされた技術に目を奪われているに過ぎませン。
そんな彼らですから状況次第で簡単に旗を翻すでしょウ。ですから私達はその[状況]を作り出す為に行動しているのでス。
私も含めて、ネ」
746532混成旅団:04/08/09 00:05 ID:???
そう言って彼女は再びウィンクした。なるほど、大体の状況は飲み込めた。
要するに日本を始めとする各国がGに対して有効な反撃を行っているとなれば米国のオネェサン協力者もその旗幟を翻す可能性が有る。
だから彼女ら反対派は我々にテコ入れを行っているという訳だ。当たり前だが善意だけでの行動ではない。
いや見方によっては米国内の政争に我々を利用しているとも言える。だがそれでいいではないかと思う。
得体の知れない無償の善意より、はっきりと利害関係が明らかな方が余程信用できる。

しかし、オネェサンやその協力者達にとってもこんなことは先刻承知の筈だ。
当然有形無形の妨害があって然るべきだろう。私はその旨を彼女に質問した。
「ご明察でス。彼らはあらゆる手段で私達と貴方達の接触を阻もうとしていまス。
通常の通信網やネットワークは全て彼らの監視下にあると見てよいでショウ。
だから確実を記するために多くは直接連絡員を派遣する事になりまス。そう、私のようニ」
しかし、工作員が確実とも言えまい。現にGに関する諜報戦では各国の諜報員が多数命を失っているのだ。
私がその事を指摘すると彼女はどこか寂しげに笑いながら言った。
「当然、連絡員は慎重に選考されまス。どのような状況下にあっても任務を達成できる人材が選ばれるのでス。
私もそうして選ばれた一人でス。それに、私は普通の人間じゃありませんかラ・・・・・・」

その時の私に彼女の発言の真意は分からなかった。が、直ぐにそれを理解させる出来事が起こったのである。
747沖縄より:04/08/09 23:30 ID:???
知事公舎の一室に、県の主だった幹部が集まっていた。
打ち続く難局に体調を崩した知事を慮って、最近は大きな会議はもっぱらここで行われていた。

「・・・と言うわけで、米軍はGと共に日本本土を占領しようとしているものと思われ・・・」
私の報告に対する反応は様々だ。信じられないと言う表情、絶望感をあらわにする者。
いずれにしても共通なのは、ポジティブな反応をした職員は誰もいないと言う事だ。
ざわめきの中で誰かが呟く。「これでは、Gと和平を結ぶしか無いんじゃ・・・」

「嫌な雰囲気ですね、次長。」会議を終えての帰り道、課長がそっと囁いた。
「和平の話か?そんな事有り得んだろ。冷静に考えれば分かるはずだよ。我々はGのエサに
なるわけにはいかん。」
「もちろんそうですが、エサにならない保障が有るとしたら、どうしますか?」私はギョッとして
課長のほうに向き直った。「どういう意味だい?」
「これは県警からの情報ですが、この間のドサクサに紛れて、県の政財界の要人が
何人か姿を消しています。それが、揃いも揃ってみんな『米留組』の人達なんです。」

かつて沖縄がアメリカに支配されていた頃、多くの優秀な若者が海を越えて合衆国へと留学
していった。それが『米留組』であり、彼らは沖縄において政・財・官、さらには左翼・労働組合に
おいても指導的立場についていた事は周知の事実だ。
「で、キミは、彼らがその時のネットワークを生かして、アメリカそしてGと密かに手を結んでいると?
考えすぎだよ。あまりにも馬鹿げてる。」
「でも、その馬鹿げてる事が、現実に次々と起こっているじゃありませんか。例の子供たちといい、
東京の空を飛んでいるという紙飛行機といい・・・」
「もういい。その話はやめよう。」私は強引に話を打ち切った。後には気まずい空気だけが残った。
748532混成旅団:04/08/21 17:15 ID:???
「?」
急にジェ○ー嬢が険しい表情になり押し黙ってしまった。
私は訳が分からず、ただうろたえるばかりであったが、やがて彼女が私の背後、
つまり開け放しにしたままのドア(無用心だがなにぶん閉め切ると暑くて敵わない)越しに廊下側に鋭い視線を向けている事に気付いた。
何気なく後ろを振り返った私の目に、白いYシャツ姿の男が目に入る。恐らくは県庁の職員だろう。
なるほど、ジェ○ー嬢が口を噤んだのはこの所為か。確かに誰にでも聞かせていいような内容ではない。
職員の方も職員の方で、じっとこちらを注視したまま立ち去ろうとしない。
まあ私はともかく、金髪で稀に見る美女のジェ○ー嬢が人の目を引くのはある意味当然だ。
私は苦笑しつつ席を立ち、その職員に近づいた。
「申し訳ありません。今彼女と重要な話をしていますのでお引取り願えませんか?」
慣れない丁寧語で先方に遠慮するようお願いするが、聞こえているのかいないのか。
職員らしき男は無表情にこちらを見たまま無言である。
私がもう少し強い言葉を使おうかと思った時、ジェ○ー嬢が叫んだ。
「一佐、危ない下がっテ!」

「はぁ?」と間抜けな返答をしながら彼女を振り返った私の首にひどく冷たくぬめった感触が発生した。
と、同時に凄まじい力で私の体が持ち上げられた。一瞬状況が分からずパニックになりかける。
必死にもがきながら前に視線を戻した私は信じられないものを見た。
冷たい感触は男の手だった。そして彼はその片腕で私の首を圧迫しつつ全体重を軽々と支え持ち上げていたのである。
私は必死で彼の手を振り払おうとするがまるで万力のようにその手は微動だにしない。
逆にギリギリと頚動脈を圧迫されて意識が飛び掛ける。
と、何時の間にか吊り上げられた私と私を吊り上げる男の脇にジェ○ー嬢が佇んでいた。
その時彼女は全くの無表情だった。この謎の男と同様に。その両者に私は一瞬機械的なモノを感じた。

そして無表情な彼女は無表情に私を吊り上げる腕に手刀を打ち下ろした。
749名無し三等兵:04/08/29 08:33 ID:???
age
750532混成旅団:04/08/31 00:58 ID:???
男の腕が何の音も無く肘の辺りから切断される。まるで名刀で斬られたように。
「GYYYYYYY!」
叩き切られた腕と一緒に床に落下した私の耳に人間とは思えない絶叫が響き渡る。
私は漸く力を失った腕を喉から引き剥がしながら床を這い後退する。
ジェ○ー嬢を脅威と判断したのだろう。謎の男は私を無視して彼女に掴みかかった。
男の動きは素早い。しかしジェ○ー嬢は慌てる事無く、まるでボクサーのように上体だけ反らして
男の腕を避けると、逆に伸びきった腕を捉えて一本背負いの要領で投げ飛ばす。
派手な音を立ててデスクに叩きつけられる男。机はひしゃげたが男の方に特にダメージはない。
私は喉をさすりながら彼女に尋ねた。
「この男は一体・・・・?」
ジェ○ー嬢は男に視線を向けたまま私の問いに答える。
「これは人間じゃありませン。破壊工作用に人間に擬態処理されたG、調整Gと呼ばれるモノの一種でス」
私は驚愕した。これがGだというのか。少なくとも見た目は人間そのものである。私は慄然とした。
もしこんなものが大量生産されたら・・・・様々な可能性が頭の中を駆け巡る。顔色を失った私にジェ○ー嬢が声をかける。
「安心してくださイ。所詮は紛いモノ、一佐が危惧するような事は起こりませン。まあ・・・・」
そう言いながら彼女は起き上がりかけた調整Gに走り寄るとその側頭に回し蹴りを叩き込む。吹き飛び壁に激突する調整G。
「詳しい話はコレを始末した後デ」
そう言って彼女は改めて気持ち腰を低くして構えに入る。一速で必殺の間合いに飛び込む体勢である。
と、再びゆらりと立ち上がった男は、無造作に肘から先の無くなった腕をジェ○ー嬢に向けて突き出した。
751532混成旅団
調整Gの突き出した腕の切断面からずるん、と赤黒い細い触手状の肉塊が顔を覗かせる。
触手は力なく垂れ下がったと思うと、瞬時に硬度を増し、凶悪な「槍」へと姿を変えた。
ジェ○ー嬢も意表を衝かれたのだろう。凄まじい速度で打ち出された「槍」は正確に彼女の体の中心を貫いた。
即死だろう。貫かれたまま微動だにしないジェ○ー嬢から再び触手状となった「槍」を引き抜いた調整Gが私に向き直る。
崩れ落ちるジェ○ー嬢を横目に私は拳銃の置いてある机に駆け寄った。
拳銃を取り出し振り向きざま調整Gに狙いを定める。拳銃など意に介さずにじり寄る調整Gにこちらも迷う事無く引き金を引く。
M-9(これまた横須賀で手に入れたものだ)の銃口から放たれた9ミリ弾は次々とGの胸や頭部にヒットする。
が、調整Gは倒れない。銃弾を浴び続けながら再び「槍」を打ち出す体勢に入る。
為す術を持たない私は死を覚悟した。と、何の前触れもなく調整Gの頭が横にスライドした。
「槍」とはまた別の攻撃かとも思ったが違った。そのまま横に滑り落ち床に転がった頭の転がった先にジェ○ー嬢が立っていた。
駆け寄ろうとした私を彼女はゆっくりと手で制すと、虚ろな目で虚空を睨むGの頭部をおもむろに踏みつけた。
その瞬間、Gの眼球がギョロリと動くと周囲を見渡した。それと連動するかのように停止していたGの体がバタバタともがき始める。
「HA!死んだ振りですカ?まあ私も人の事言えませんケド」
一瞬嘲笑めいた表情を浮かべたジェ○ー嬢がそのまま足に力を込める。「紛い物」は果物のような音と姿で潰れ砕け散った。
それと同時に飛び散った肉片やGの肉体が崩れ出す。そしてGの肉体は液状化していき、最後には人形に広がる白い液体が僅かに残った。
呆然とその光景を見守っていた私に対し、彼女は僅かに微笑むと言った。
「お待たせしましタ。では話を続けましょうカ」
私は彼女の顔と確かに貫通され穴を穿たれた筈の体とを数度に渡って見比べると漸く一言口にした。
「・・・・なるほど、確かに貴女は普通じゃないようだ」
その私の言葉に彼女は笑いながら、しかしどこか憂いを含んだ表情で答えた。
「ふふ、600万$の女と呼んでくだサイ」
頬に返り血を浴びた彼女はとても幻想的で美しく見えた。