>>313 古本屋で本入手。名著。303 =313 が言う部分発見。
以下、引用してみる。
場面は、ロシア海軍提督令嬢アリアズナと広瀬が
ロシアで出版されていた軍艦の写真集を見ながら会話するところ。
(アリアズナが)
> ア・サ・ヒと一音一音くぎりながら発音してみて、ア・サ・ヒとは
> どういう意味ですか? とたずねると、朝のぼる時の太陽のことですよ。
> 日の出のことですよ。朝の太陽のように清らかで、若々しく、力づよいという心を
> こめているのですね。
(略)
406 :
405:04/05/22 18:51 ID:???
> 「私の国はこういう艦(ふね)を六隻ももっているのです」と無心にいいはなって、
> その人はうれしそうに目を輝かした。アサヒ、ヤシマ、シキシマと拍子をつけながら、
> 彼女の耳には詩のルフランのようにきこえる艦の名前をくりかえした。くりかえした。
> アサヒ、ヤシマ、シキシマと、アリアズナは従順な生徒が先生の言葉のあとを
> 追うように、その人の言葉をそのまま鸚鵡返しに辿(たど)った。
> アサヒ、ヤシマ、シキシマ。−−−その人は又不思議な音をくりかえした。
> ハッセ、フジ、ミカサ。−−−ハッセ、フジ、ミカサ。不思議に笑えなかった。
> イタリア語のように母音の多い妙なひびきだけれど。……何でも「ヤシマ」とは
> 日本の古い名前で、「シキシマ」とは日本の別名だそうである。
(略)
407 :
405:04/05/22 18:51 ID:???
> −−−美しい名前でしょう。日本は美しい国だから、日本人はみんな美しいものを
> 愛しています。どんなに堅牢な新式な大軍艦にも、我々は日本人の連想を
> かぎりなく刺激する詩のように美しいひびきをもった名前をあたえるのです。
> 小さな素早い水雷艦艇にでも同じですね。
> 霧が立ちます。雨がふります。夜があけます。春の野に小さな虹が立ちます。
> 鳥がとびます。その名をみんなつけました。
408 :
405:04/05/22 18:54 ID:???
> アサギリ、ユウギリ、ハルサメ、ムラサメ、シノノメ、アケボノ、オボロ、カゲロウ、
> チドリ、カササギ、ハヤブサ、マナヅル−−−
>
> と、また不思議な諧音(かいおん)を、その人は夢見るように口ずさんだ。
>
> −−−いいでしょう。私たちの国では、こういう美しい名前が
> あの力づよい一番新式な軍艦につけられているのです。
> そりゃあロシアにだって、「グロモボイ」(雷いかずち)のように、
> ディヤナ(月の女神)のように、「バヤーン」(中世の詩人)のように、
> 我々外国人がきいても美しいなと感じるものもありますが、
> どっちかというとその数は、あんまり多くないでしょう。
409 :
405:04/05/22 18:56 ID:???
> 帝王とか、偉人とか、勇将とか、古戦場の名前が主ですね。
> それも趣がないわけではありませんが、
> 日本のとは大分(だいぶ)ちがいます。力はつよい。
> しかし心はやさしい。姿はうつくしい。−−−これが我々日本人の理想なんですね。
引用、終わり。