珠玉のコピペ(軍事板) 再起動

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420名無し三等兵
◆◆最初に読もう!軍事速報雑談スレ198◆◆
ttp://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/army/1100844579/
より

929 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:04/11/20 12:58:29 ID:???
海の人はさぁ。地方隊の守神さんさぁ。
とぉーいとぉーいシベリアから渡ってくるロスケンチュを狩って喰ったり、
れんごうかんたいさえありゃいいて言いに来るヤマトンチュを狩って喰ったり、
よく晴れた凪の日にゃーぷーかぷーか浮きながら昼寝ばしとっとぉ、
とぉーくからでもぴーかぴーかしとったさぁ。

938 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:04/11/20 13:14:06 ID:???
村人たちはハァ、海の人を怖れてなあ。
呉を通りかかる時は列車の窓によろい戸を下ろしたし、ましてや盆の時期には、決して漁には出なかったもんさ。
ところがとある浦にな、度胸はそこそこだけんど、ちいと知恵の足りん若けえ衆がおってな。そいつは、
「ハァもう徳川様の時代でもあんめえに、みんないつまで迷信深いこと言ってるべえか。
 人が舟さ出さねえ時に稼ぐのが新世紀ビジネスだっちゃ」
そう悪態さたたいて、みんながとめるのも聞かず、一人で夜中、舟を出したんだと。
ところが…

941 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:04/11/20 13:27:16 ID:???
盆の海、それも真夜中に漕ぎだす奴なんかいねえサ。いつもはちらちら漁り火が輝く沖も、今夜は真っ暗。星も無え。
若え衆の漕ぐ舟だけが、ぎいこぎいこ沖へ進んでいったと。もちろん、迷わねえように浜に火を焚いていったそうな。

しばらく漕ぎ進んで、頃はよしと、若え衆が浜の方を振り返った時だ。
さっきまでひとつだった明かりが三つに増えてんだと。
「はぁ、おかしなこともあるもんだ。誰ぞが浜の火を増やしてくれたんだべか?」

若え衆は首をかしげた。いや、待てよ?盆の夜中に浜まで出てくる物好きはいやしねえ。
自分の舟の漁り火が、波に映っているんでもねえ。
じゃあ、あれはいったい…だんだん薄気味悪くなってきた、ちょうどその時、ふたつの赤い光が、
ぎなぎな輝きながら、こっちさ近づいて来たでねえか!
421名無し三等兵:04/11/20 17:52:09 ID:???
続き
950 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:04/11/20 13:38:45 ID:???
3つの焚き火に見えた、そのうちの2つは、波の下で赤ぁくギナギナ輝く、でっけえ海の人の目だったと。
「あわわ、わ、わわ」
さっきまでの威勢はどこへやら、櫓も何もおっぽり出して、若え衆は舟の中、腰を抜かしちまっただ。
水の中を音もなく、すごい勢いで近づいてきた海の人は、
「な、なんまんだぶなんまんだぶ」
半泣きで念仏を唱える若え衆の声をあざ笑うように、舟の周りを、ぐるぐる回り始めたと。

「ひしゃくをよこせえ、ひしゃくをよこせえ」

960 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:04/11/20 14:14:49 ID:???
>>950
心がけのいい漁師ならば、あらかじめ底を抜いた、ひしゃくを用意してるもんサ。当然サ。
んだども、盆の夜に漕ぎだすような罰当たりだもん、はなっからそんな準備なんかしてねえさ。

「ひしゃくはないかあ、ひしゃくはないかあ」
闇の中に轟く恐ろしい声。若え衆はもう真っ青になって、「勘弁してつかあさい、堪忍してくだせえ」
涙ながらに悲鳴をあげたと。
すると、太いごつごつした指が舟べりを、ぐーっとつかんだかと思うと、荒々しく波をかき分け、
たくましい上腕ニ頭筋を誇示しながら、ざばあっ!と、海の人が身を乗りだしてきたんだと。
そうして、真っ赤に輝くでっかい目で、
若え衆を睨み据えながら、腹に響くような声で、
「この罰当たりめ!本当ならぬしなど、ひと呑みにしてやっとこだぞう。
 今夜のところはお前ん家の「鈴木杏」似の妹コに免じて、勘弁してやろう!いいか!二度と盆に漁などするな!
 忘れないようにこれをくれてやる!」
そう言うやいなや、こつん、と、何か硬い物を、舟の中に投げ込んで、去っていったと。
若え衆が覚えてるのはそこまでだぁ。
翌朝。村の衆が浜辺で、打ち上げられた舟と、髪の毛を一夜で真っ白にして気絶している若え衆、
そうして、「コテハン叩きは最悪板でね♪」と書かれた、でっかい鱗を見つけたそうな。
その鱗は今も、村の神社に大切に祭られているそうな。
ハア、めでたしめでたし。鶴と亀がすてーん。