「いくら小澤がうまくやったとしても、レイテの輸送船団が丸裸のはずが無い。
まず所在海上部隊を叩き、それから上陸軍をやっつける。腹は決まっていた。あたりまえだよ」
「艦があるのは制海権を取るためだよ。敵の艦さえ沈めれば陸に上がったものは日干しになって放っておいても心配ない。
いくら陸を叩いても、敵の艦隊が残っていてはまたやってくる。その時こちらの艦が無いというのはこまる」
「電報が来たんだよ。『北に機動部隊がいる』ってね。何のためにここまで来たのだ。多くの艦を引き連れて来て、多くを喪ったのも、レイテで勝つためではないか。
北東三十海里なら必ず捕らえられる。強い方へ向かうのは当然の事と思ったよ。南は雑兵だからね」
「あれ(電報)は三川(軍一)が打ったんだよ。三川からの電報だったので、俺も北に機動部隊がいると思ったんだ。
三川も戦後になって、何故輸送船をやらなかったのか、と書かれたりしてね。海軍の戦争は軍艦の沈め合いだ。輸送船団の相手は陸軍だからねえ」
・・・以上、栗田健男中将が兵学校長時代の教え子に語った証言より。
<おまけ>
比島沖海戦前に、時雨の西野艦長に語られた西村祥治中将の作戦解釈
「今度の戦争は敵の輸送部隊を撃滅するのが主目的だから、小さいフネの一隻や二隻追いかける必要は無い。
こっちを攻撃してきた奴はやっつけてもいいが、追いかける必要は無い」
で、栗田艦隊は・・・