http://www.mainichi-msn.co.jp/search/html/news/2004/06/16/20040616ddm003070105000c.html ◇姑息なやり方−−軍事アナリストの小川和久さんの話
自衛隊が多国籍軍の一翼を担うべきだと思うが、政府の論理の組み立てはお粗末。
今回は国連安保理決議の「unified command」を「統合された司令部
」と訳したが、言葉で逃げ切ろうとする姑息(こそく)なやり方だ。湾岸戦争の際に
は「参加しない」と表明している。解釈、見解で乗り切ろうとするから議論がおかし
くなる。実際、サマワ駐留の自衛隊の装備を見ても、他国と戦闘できる装備もなく「
専守防衛しかできない部隊」であり、武力行使もできない。多国籍軍の編成も治安維
持を行うのは一部の国に限られ、日本は人道復興支援に専念すればいい。そういうこ
とを客観的に説明すべきだった。
◇実際には難しい−−軍事評論家の江畑謙介さんの話
現実論に立てば日本は自衛隊を派遣した以上、多国籍軍に参加するしかない。ただ、
参加する以上は、統一的な指揮権のもとで活動するのが当然で、国連安保理決議の
「unified command」は、その意味だ。欧米各国もそう理解しているは
ずだ。日本政府が言う「日本独自の指揮権で活動する」のは、実際には難しい話だと思
う。また、イラクで求められているのは治安維持活動であり、自衛隊も非常事態にはこ
れに協力を迫られる可能性もある。したがって「統一された指揮下で、やれる範囲の活
動を行う」として参加し、万が一、憲法などに抵触する事態が起きた場合は、国会など
で精査するしか道はないと思う。
毎日新聞 2004年6月16日 東京朝刊