752 :
名無し三等兵:
2003年3月17日読売新聞p15
『重要な"自前"の偵察衛星』 江畑 謙介(軍事評論家)
最初の情報収集衛星2基が、28日に打ち上げられる予定である。
状況を知るには上から見るのが一番で、領空権が及ばない宇宙からの
観察は最良の手段であるのは言をまたない。
日本でも1970年代から、自前の偵察衛星を持つ必要性を唱える
声はあったが、技術的問題や、冷戦下で米国から独立するような行動
がとれなかったなどの事情から、計画は具体化しなかった。政府、国
民がこの種の情報収集手段の必要性を本気に考えるようになったのは、
98年8月に北朝鮮がテポドン1を発射した以降である。
753 :
名無し三等兵:03/03/27 22:28 ID:gC8coxi1
99年からは米国のイコノス1をはじめ、高分解能(画像処理能力)
を持つ商業衛星が実用化され、誰でも精密衛星写真が入手できる。し
かし、それは原則的な話であって、その会社がある国の政府が好まし
くないと考える場所の画像は入手できない場合がある。米国防総省は
同時テロ後、2001年10、11月、イコノスを運用しているスペ
ース・イメージング社と、アフガニスタンおよび周辺地域の画像を買
い占める独占契約を結んでいる。
また商業衛星写真の購入で、どこの地域に関心を持っているかが分
かり、日本の外交方針や対外経済戦略などを推測できる。時刻にとっ
て都合が悪ければ干渉や妨害に出るだろう。外交の独自性を保つには、
自分で衛星を持たねばならない。
754 :
名無し三等兵:03/03/27 22:28 ID:gC8coxi1
2基の情報収集衛星の分解能は1メートル。夜でも曇っていても撮
影ができるが、影が映らないため、高さが判定できない合成開口レー
ダー写真衛星のそれは1−3メートルといわれる。
前者の分解能はイコノス1と同じで、商業画像衛星クイックバード
2の70センチよりも低い。でも相当なことは分かる。乗用車とトラ
ックの区別はもとより、トラックの長さや特徴のデータがあれば、会
社や形式の特定もできる。米国の偵察衛星は10−15センチの分解
能を持つとされるが、そのような高い分解能の写真を日本にくれるこ
とはない。見せるだけか、くれるにしても分解能を尾としている。自
前の衛星を持てば、米国の言う話が本当なのか、ある程度の裏づけが
できるようになる。
755 :
名無し三等兵:03/03/27 22:29 ID:gC8coxi1
しかし、日本は情報衛星の開発製造に必要なシステム構成設計や光
学センサーの支持装置、撮影用鏡の駆動装置、画像データの圧縮送信
技術など、かなりの部分と技術を米国に依頼している。そのため日本
は、情報収集衛星の能力と弱点を米国に知られることはもとより、ブ
ラックボックスとされて供給された装置の中身を日本で調べることも
できない。どこで撮影さたかを米国が知る可能性があるし、原因不明
の故障が発生する懸念もある。日米同盟の信頼に関する問題であるか
ら、「それは絶対ないはずだ」というのは、あまりにナイーブな考え
であろう。外交はそれほど甘いものでも理想的なものでもない。
756 :
名無し三等兵:03/03/27 22:29 ID:gC8coxi1
情報収集衛星で北朝鮮のミサイル発射の準備を察知するのは可能だ
が、ミサイルの発射探知はできない。それには早期警戒用の別種の衛
星が必要である。だが、北朝鮮が新しい弾道ミサイル既知を建設して
いる状況は観測できる可能性がある。
それにはデータベースの構築が必要である。以前に同じ場所を写し
た写真がないと新しい変化は分からない。データベースを作るには数
年を要するから、その間に分析要員を養成すればよい。日本は航空写
真の分析では実績と定評がある。2008年には分解能が50センチ
の光景衛星を打ち上げる計画だが、この衛星では極力外国製品や技術
協力を排除すべきだろう。
757 :
名無し三等兵:03/03/27 22:30 ID:gC8coxi1
情報収集衛星は環境保全や農業開発にも利用可能である。日本だけ
でなく、アジアや世界の安定、、開発にも役立てられる。それはどれ
だけ中なんで、開かれた形で運用されるかにかかっている。
以上
2003年3月17日読売新聞p15
『重要な"自前"の偵察衛星』 江畑 謙介(軍事評論家)