>>218-227 >>578-583の続き。
「おかしいと思うわけだ、近藤が山登りたいなんていうわけねえじゃねえか!!
あの野郎、さては桐野一曹とつるみやがったな!!」
近藤士長への怨嗟の言葉を吐いた後、大和三曹はあの台詞を思い出した。
『お前も(オマエモ)飯食いに(メシクイニ)来い(コイコイコイコイ)・・・』
桐野降下長の声が不気味なエコーがかかって聞こえたのは恐怖のせいか。
すなわちこの飯を食った瞬間、大和三曹は神話のイザナミと同じように
「あちらの住人」にされてしまうというわけだ。
「いやだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
鬼の空挺レンジャーが泣きながら降下するという光景も珍しいだろう。
しかしそれよりも不可思議なものを大和三曹は目にすることになる。
「・・・なんだありゃあ・・・・?」
これから大和三曹が登ることになるであろう富士山、その遥か天空には天使のような
光輪が、つつつと描かれつつあった。先端部分は淡い光を放ちながらかなりの速度で
飛行し、瞬く間に輪は完成する。輪の直径は相当に大きい、裾野のなかばまで
達しているだろう。輪が完成した後も、なおも光は図形のようなものを描きながら
飛行を続ける。
「ユーフォー・・・?」
呆けた顔で大和三曹はつぶやいた。
(ユーフォーだと・・・?)
心中でもう一度唱えてみる。
「ありえん。」