>>698 装輪車輌を、装軌車両に準じた形で使えるかどうか、それではちょと考えてみようか。
まず、装輪車輌の売り物であるところの、装軌車両よりも高い路上機動力と、長距離走破能力、というものを考えてみようか。
車輌の足回りで故障しやすいと言われているのが、トランスミッションと起動輪への動力伝達機構だというのは、有名だね。
つまり、装輪車輌よりも装軌車両の方が起動輪にかかる負担がどうしても大きくなるし、動力の伝達経路も複雑だから故障しやすくなるわけだ。
第二次大戦のティーガーシリーズが戦場間機動を自力でやろうとすると、それこそ30分走っては停止して点検してまた30分走っては点検してを繰り返してなんとか機動していたとか、そういう話も伝わっているね。
ところが現代では、例えば湾岸戦争で60t級のM1戦車が、路外を戦闘機動しつつ240kmを走破してほとんど故障が出なかった、なんて話もある。
つまり現代の戦車の動力機構は、エンジンが発揮する大出力が伝達されまた急激な負荷の変動が加わる動力伝達機構の一つ一つのパーツが、設計能力の向上や、冶金技術や材料工学の進歩によって非常に高い耐久性を持つに至ったわけなんだな。
例えば、ファイナルドライブなんかを例にあげると、パンテルのそれは150kmも走行すれば確実に故障したといわれるけれども、90式のそれはキャタピラの破損の方が頻繁である、というくらいの耐久性を持つに至っているわけだ。
つまり現代の動力伝達機構は、それだけの耐久力の余力を持っているわけで、単純に装軌車両はすぐに壊れるとは言えないわけだね。