90式戦車2

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454名無し土方 ◆cDIj6u5gc.
>>298でもちょろっと書いたんだが、とにかく戦車の具体的運用がなんか完全に無視されているんで、リンク先の想定をこっちにも書き込んで、具体的に考えてみようか。
というわけで、まずは状況の想定からいこう。
ちなみに、以下の部隊編成などについては、自衛隊ではない、別の国がモデルになっていると一言書いておく。
どこの国かは、勝手に想像してみておくれ。
何しろ、ここでは実はあまり関係無いことだからね。

君は、ある機械化歩兵大隊の大隊長で、旅団から戦車14両編成の戦車中隊、戦闘工兵中隊を一個づつ配属され、臨時に大隊戦闘団を率いることになった。
指揮下の大隊戦闘団は、大隊本部中隊、APC化歩兵中隊3個、戦車中隊1個、戦闘工兵中隊1個、重火器中隊1個であり、120mm口径の重迫6門と、自走重対戦車ミサイル発射機を9両、携行対空ミサイル発射機9基を保有している。

旅団長からの命令は、ある大都市に通じる幹線道路上北を敵の機械化師団が南下中であり、これの突破を防ぎ大都市を防衛するために、敵の前衛の機械化歩兵旅団の進攻を妨害せよ、というものである。
このため、必要に応じて旅団砲兵の155H大隊が全般火力支援をしてくれることになっており、砲兵観測班が支援に来ている。
旅団にはあと機械化歩兵大隊と戦車大隊が1個づつあるが、機械化歩兵大隊は敵の別働隊の迂回に対する警戒と防衛にあたっており、戦車大隊は旅団の予備として後方に拘置されている。
敵味方の制空権は伯仲しており、航空支援は期待できない、と、旅団長からは伝えられている。

敵は、1個機械化旅団を前衛として我の防衛線を突破した後、後方に拘置してある戦車旅団を投入して一気に南下する意図であると、旅団司令部は判断している。
敵の攻撃発起時刻は、48時間後と見積もられている。
敵機械化師団は、攻撃発起と同時にまず師団偵察大隊(機械化)を南下させ、我が方の抵抗が無い場合2〜4時間以内に大都市外縁に到達するものと考えられる。
455名無し土方 ◆cDIj6u5gc. :02/11/06 03:54 ID:???
このとき敵偵察部隊は、君の大隊戦闘団と接触した場合、我が方の防御体勢と意図を把握するために威力偵察を行い、しかる後に後退し師団主力と合流するものと推測される。
そして敵偵察部隊の師団主力と合流後敵機械化歩兵旅団が南下を開始し、君の大隊戦闘団と敵機械化旅団の前衛が接触するまで、敵偵察部隊撤収後1時間以内と考えられる。
敵は、前衛の機械化歩兵中隊が君の戦闘団と接触後、戦車1個中隊を増派された機械化歩兵大隊(歩兵中隊3個編成)で幹線道路を主攻軸として突破を図ってくるであろう。
このとき、もう1個の機械化歩兵大隊(歩兵2個中隊編成)が、君の戦闘団の翼側に攻撃を行い、支援に当たると考えられる。
そして、敵の機械化大隊が君の戦闘団の構築した戦線を突破に成功したならば、後方に拘置してある戦車大隊(戦車2個中隊と歩兵1個中隊で編成)を投入し、大都市へと突破を図るであろう。

敵師団偵察大隊は、戦車10両前後と、装甲偵察車20両強、少数の重迫と重対戦車ミサイル発射機を保有し、機械化歩兵1個中隊相当の歩兵戦力を保有している。
敵機械化旅団は、戦車50両強装備の戦車大隊1個と、各々機関砲搭載歩兵戦闘車40両弱と重迫6門を装備の機械化歩兵大隊2個を基幹としている。
旅団への支援部隊は、戦闘工兵中隊1個と自走式重対戦車ミサイル発射機12両が配属され、砲兵支援として155H1個大隊を直協支援に充て、師団砲兵旅団の155H1個大隊とMLS1個大隊を全般支援に充てるものと予測される。
456名無し土方 ◆cDIj6u5gc. :02/11/06 03:55 ID:???
天候はしばらく曇りが続き、雨も降る可能性が高いとの報告が、旅団司令部から来ている。
地形は、四車線の幹線道路が南北に伸び、幹線道路と大都市の周辺は雑木林等になっている丘陵地帯であり、丘陵間および丘陵の南北の平地には水田が広がっている。
所々に集落があり、そこの住民は後方の大都市への避難を終了している。
幹線道路は、丘陵を避けて緩やかに蛇行しつつ大都市へと伸びており、視界は直線距離で5km以上見通せる場所は少なく、地平線まで見通しのきく地点は、大都市から北へ10kmほどいった場所に東西に伸びている丘陵の頂上にのみある。
幹線道路は、この東西に伸びている丘陵の真中の比較的傾斜の揺るかな部分を通って大都市に伸びており、坂になっているのはこの丘陵を越える区間のみである。

以上の状況想定で、大隊戦闘団を指揮して、どういう風に戦闘団を配置し、どういう戦術で敵の攻撃を防ぐか、考えてみて欲しい。
そうすると、装軌車両と装輪車両を装備した時の、取りえる戦術の違いがわかってもらえると思うんだが。
457名無し土方 ◆cDIj6u5gc. :02/11/06 03:55 ID:???
さて、上であげた想定を前提として、大隊長としてどういう風に任務を果たすか、それを考えてみよう。
まず、大隊に与えられた任務は、敵の南下阻止であるということだ。
つまり、敵の進撃を阻止し拘束して、大都市の防衛を行わねばならないということになる。
この任務を達成するためには、敵味方の戦力比を考えるならば、出来る限り地形を活用して遅滞防御を行う必要があるわけだね。

ここで地形利用について考えるわけだが、一番重要なのはいかに高低差を利用し、彼我の視認状態を味方にとって有利にするか、だと俺は思う。
つまり、地形利用でもっとも強力な効果は、敵から味方に対する視認障害だからね。
よってここで重要になるのは、東西に伸びる丘陵の最高点を確保しつづけるという事になる。
ここを確保しつづけることが出来るならば、敵の部隊機動を我が視認し続けることが可能になるわけであり、それだけ効率的な火制が可能になるからだ。

以上の点を押さえて、まず大隊の展開を考えてみよう。

大隊が敵に対して防御戦闘を行うのは、主として東西に走る丘陵地帯で、ということになる。
そして、敵の基本的な進撃路は南北に走っている幹線道路であり、丘陵地帯を通っている箇所が、攻防の争点となるのが明らかだね。
つまり、陣地防御の主眼となるのは、まず丘陵地帯の最高点であり、ここを確保し続けている限りは敵の丘陵地帯の突破を阻止することが可能である、という事になる。
そして、敵が確実に突破を図り、それ故にKZを構築した場合に大きな効果を見込めるのが、この幹線道路の丘陵通過部分という事になるわけだ。
458名無し土方 ◆cDIj6u5gc. :02/11/06 03:57 ID:???
となると大隊長は、指揮下の各中隊に対して次のように初期配置を命令することになる。

戦闘工兵中隊は、砲兵観測班に協力して、丘陵地帯の最高点に砲兵観測陣地を予備陣地を含めて構築する。
歩兵1個中隊は、この砲兵観測陣地の防御陣地を構築し、防御する。
歩兵1個中隊は、幹線道路の丘陵通過部分の入り口から出口にかけて複郭陣地を構築し、敵の突破を阻止する。
歩兵1個中隊は、敵の翼側突破を妨害するための、側防陣地を構築し、側面の防衛にあたる。
戦車中隊は、丘陵の反斜面に射撃陣地を複数構築し、頻繁に陣地変換を行いつつ敵を火制する。
自走重対戦車ミサイル発射機は、幹線道路上を火制地帯にするように丘陵の反斜面に射撃陣地を複数構築し、KZを構築する。
重迫撃砲は、丘陵地帯の南部に射撃陣地を予備陣地も含めて構築し、継続射撃を可能なようにする。
本部管理中隊は、丘陵南部に後方陣地と収容陣地を構築し、適時各戦闘中隊への支援を行い得るようにする。

以上の配置で、主防御陣地での防衛戦闘を戦うことになる。
ただし、出来るならば主防御陣地の構築は24時間以内に終わらせて、前進陣地の構築を行いたいわけだね。
つまり、敵はまず師団偵察大隊を南下させてこちらの部隊規模、配置、火力等を偵察しにくるわけだから、これとの戦闘でこちらの態勢を明らかにしてしまうのは非常に不利になるからだ。
459名無し土方 ◆cDIj6u5gc. :02/11/06 03:57 ID:???
このため、戦闘工兵中隊には、砲兵観測班の観測陣地を構築後、大隊の翼側防御に当たる歩兵中隊と戦車中隊に協力して、丘陵地帯前方に前進陣地の構築を支援するように命令することになる。
ここで前進陣地の構築する際に注意しなくてはならないのは、この前進陣地に対して敵が攻撃を行う際に、味方の重迫撃砲の火制内に収まる位置に構築するという事だ。
重迫撃砲や榴弾砲による火制によって得られる最大の効果は、敵の攻撃際に部隊連携を乱し、各個に火力を集中してこれを撃破する可能性を高められるというところにある。
敵の砲撃中に部隊を機動させようなんて考える指揮官はまずいないし、そういう事をしでかせば大抵は大損害を受けて撃退されることになるからだ。
10の戦力を持つ敵が、10そのままの戦力をぶつけてくるのと、順番に2づつぶつけてくるのでは、防御の成功の確率は段違いに変わってくるわけだね。
なお、敵の斥候排除も、できるなら陣地構築前にやっておいたほうがよいだろうね。

さて、大隊の防御陣地時に注意するべきは、敵の十五榴の直撃に耐えうる退避壕の構築や、戦車砲のHEAT-MPの直撃に耐えうる掩体壕の構築は、時間的に非常に困難である、という事を常に頭に入れておくことだね。
だから、とにかく地形を上手く利用して隠蔽陣地を構築し、敵に対して最初の一発目をいかに有効にかつ効果的に発砲するかを考えるべきなんだね。
隠蔽陣地を、相互に連携して火制できるように構築することが、ここでは非常に大きな効果を持つことになる。
敵がある陣地を正面から攻撃しようとしている時に、その側方から味方が射撃を行えるならば、敵の攻撃は失敗する確率が非常に高くなるわけだ。
特に、歩兵制圧用の機関銃の配置は、敵の進撃路上で火線が斜めに交差するように配置するのが重要だね。

ちなみに、前方陣地構築が終わったならば、戦闘工兵中隊は丘陵の南部に撤収し、大隊の予備兵力として待機することになる。
また、携行SAM発射機は、各中隊に分配され、敵のUAVや、ヘリ、航空機による偵察や攻撃に対する自衛戦闘に充てられることになる。
460名無し土方 ◆cDIj6u5gc. :02/11/06 03:58 ID:???

敵の攻撃発起までに防御陣地の構築が終わったならば、まずは敵の偵察部隊を撃退しなくてはならない。

敵の偵察大隊は、最初幹線道路上を南下してくることになる。
まず、我の防御部隊の存在の有無を確認するために斥候を派遣し、その情報にもとづいて偵察大隊主力が展開し、我の前方陣地に向かって攻撃を行い、情報を収集しようとするであろう。
まずこちらは、敵の斥候を歩兵中隊の火力で撃退し、後に陣地転換を行い、敵の本格的な威力偵察に対処することになる。
重用なのは、最初の接触で、敵の斥候に我の陣地の配置と展開戦力の全容を確認させないことなわけだ。
下手をすると、敵に前方陣地を突破され、砲兵観測班を含めた敵にこちらの主陣地の外郭に取り付かれる、なんていう間抜けな事態になりかねないわけだからね。

敵は、斥候部隊への我の防御射撃から逆算して、戦車と機械化歩兵の混成部隊をこちらの火制外で幹線道路から周囲の平地へ展開して攻撃発起地点へと進めるわけだね。
ここで丘陵地帯の頂上の砲兵観測班が敵の展開を観測可能であるなら、攻撃発起地点に展開する最中に、重迫撃砲によって制圧射撃を行い、これを妨害するという事もできるわけだ。
だが、基本的には砲迫による射撃は、敵の歩戦協同の妨害に充てるのが適切だろうね。
歩戦分離ができるならば、陣地防御に徹している味方は、これを各個に撃破することが可能なるからだ。
この時点で重用なのは、敵に我の主防御陣地の情報を出来る限り与えないことなわけだからね。

さて、敵の歩戦協同部隊が攻撃を発起した際、重迫撃砲による制圧射撃を行い、これを分離し、味方の戦車と協同で敵を撃退することになる。
この時、戦場が水田地帯であるという事から、農道上を進撃してくる敵の戦車や歩兵に対して、こちらは農家や畦、用水路などの地形障害を利用して、火制することになるわけだね。
我は簡易なものとはいえ、隠蔽陣地を構築して敵を待ち構えているわけで、若干の敵の重迫撃砲による制圧射撃も、きちんとした前進観測拠点が存在しない以上、そこまで大きな脅威、すなわち我の歩戦協同の妨害にはなり得ないからだ。
461名無し土方 ◆cDIj6u5gc. :02/11/06 03:59 ID:???
さて、敵の偵察部隊は、こちらが十分な戦力を有し、陣地構築をして防御態勢を整えて待ち構えている事を確認したならば、すぐに撤退して機械化旅団による攻撃にバトンタッチすることになるわけだ。
ここで、敵の偵察部隊が撤収し、敵主力が到着し展開するまでの間に、味方の前進部隊を撤収させ、主防御陣地に収容して再展開させなくてはならなくなるね。
なにしろ、例え隠蔽されていたとしても、敵の主力である機械化旅団とは、戦力比においてあまりにも大きな差が存在するからだ。
しかも、敵は最初の偵察部隊との交戦で、こちらの前方陣地の構成についての情報を得てしまっていると考えるのが妥当だからなんだね。

となると、敵はまず機械化旅団の展開を行う際に、その砲撃支援担当の155H大隊2個でこちらの頭を押さえるべく制圧射撃を行い、しかる後に全般任務のMLS大隊の全力射撃で前方陣地を制圧後、これを占領するべく攻撃を発起すると考えられるわけだ。
当然、我の砲兵観測班の展開している丘陵の最高点への射撃も行ってくるであろうし、前方陣地への火力支援を行い得る陣地が構築されていそうな箇所へも、射撃を行ってくるであろう。
こうした圧倒的な火力による制圧に直接さらされるならば、いかに我が機械化されていようとも、短時間で蹂躙されてしまう可能性が高いことは言うまでも無いわけだ。

さて、ここで敵の機械化旅団による攻撃が発起した際に、我が取るべき手段はそう多くは無い。
そのうちの一つに、事前に重迫撃砲と155H大隊による、前方陣地への事前評定射撃を行っておき、敵が前進陣地へ突入したときに間髪いれずに制圧射撃を行う、というのがある。
これは、二次大戦の東部戦線でドイツ軍がよくやった手で、ソ連軍の歩兵がドイツ軍の放棄した陣地へと突入した時点で、砲兵が全力射撃を行い多大な損害を与えてからおもむろに歩兵で逆襲して陣地を奪回するというものだ。
さすがに敵は機械化旅団である以上、そこまで大きな損害を与えることは出来ないであろうが、これで敵は一度部隊を後退させて再編成し、再度の攻勢準備を行わなくてはならなくなるわけだね。
462名無し土方 ◆cDIj6u5gc. :02/11/06 04:00 ID:???
なお、敵の機械化旅団の前衛が前方陣地を突破して、我の主防衛陣地に接触した場合、戦車と歩兵が陣地を利用してこれを撃退し、場合によっては戦車中隊が丘陵の稜線を越えて敵に向かって陣前逆襲を行うこともありえる。
この場合、陣地からの射撃によって敵が制圧され、身動きが取れなくなるか、後退に移るかした瞬間が攻撃のチャンスとなる。
ここで、重迫撃砲によって煙幕弾射撃などの支援射撃を行いつつ、戦車中隊が敵の側面へ突撃を行い、これを蹂躙することになる。
味方の防御陣地に拘束されている敵は、この我の戦車中隊による陣前逆襲に対して、効果的な反撃に出られるかというと、非常に難しいだろうね。

この敵の偵察部隊、および機械化旅団との交戦で、少なくとも日中の敵の攻勢は頓挫させることが出来ると考えられる。
まず、敵の機械化師団主力の展開している地点から、我の防御陣地に対する攻勢発起地点に部隊が展開するまで、3〜5時間程度はかかるわけだね。
そして、偵察部隊が撤収してから機械化旅団がその情報を元に構成発起地点に展開するまでの時間を考えるならば、早朝日の出と同時に敵が行動を開始したとしても、敵主力の機械化旅団が攻勢発起を行い得るのは、午後に入ってからと考えられるわけだ。
463名無し土方 ◆cDIj6u5gc. :02/11/06 04:01 ID:???
あるとすれば、明日の攻勢のための情報収集を目的とした、威力偵察があるくらいだろう。
これも、師団偵察大隊が再度投入されるかというと、それはなくて、旅団の戦闘大隊から抽出された機械化歩兵中隊に戦車中隊か戦車小隊を配属させた程度の部隊によるものだろう。
師団偵察大隊は、我の主防御陣地の翼側などの、我の旅団の防衛線の側面に対する情報収集に投入されると考えられるからだ。
これへの対処は、さすがにこの大隊戦闘団の手に余るわけで、それは旅団司令部が手当てをすることになるわけだね。

さて、これで敵の最初の攻撃を頓挫させることに成功したならば、少なくとも敵は日中に我の主防衛陣地へ取り付くことはできても、旅団主力をもっての攻撃を行う事はほぼ難しいと考えられることになる。
そして我は、敵の前衛が主防衛陣地に取り付いた場合、可能な限りこれを歩戦協同による陣前逆襲によって撃退し、敵による主防衛陣地突破のとっかかりを作らせ無いようにしないといけない。

敵の機械化旅団主力による、我の主防衛陣地への攻撃は、事前の情報収集の問題もある以上、次の日の日の出以後に開始されると考えて良いと思う。
効果的な攻撃を行うには、事前に旅団指揮下の各部隊間の調整を行い、師団砲兵との火力支援についての調整も行わなければならない以上、夜間に強襲をかけてくる可能性は低いと思われるわけだ。
464名無し土方 ◆cDIj6u5gc. :02/11/06 04:02 ID:???

敵の機械化旅団による攻撃は、まず師団砲兵による我の主防衛陣地への制圧射撃と、それに続く機械化歩兵による最高点の確保のための攻撃から始まるだろう。
真っ正直に敵が幹線道路を突破するとは考えられないし、もしそういう真似をしでかしてくれたならば、我の自走式重対戦車ミサイル発射機が、反斜面陣地を利用した幹線道路上のKZで敵に大きな損害を与えることになるだけだね。
それに対して我は、事前に構築しておいた反斜面の隠蔽陣地を利用しつつ、戦車中隊による射撃を行い、敵の戦車や歩兵戦闘車を無力化し、我の歩兵の陣地防御を支援させるわけだ。
敵は、優勢な砲兵火力によって我の陣地に対して制圧射撃を行い、重迫撃砲による煙幕弾などによる視認妨害を行いつつ、主力の増強機械化歩兵大隊を、最高点の制圧に投入してくるだろう。
そして、もう一個の機械化歩兵大隊を、この攻撃主力の大隊の翼側防御に投入し、我の陣前逆襲に備えさせることになるだろうね。

特に留意するべきは、我の防御陣地の構造が敵に完全に明らかになり、敵がMLSの射撃を行ってくることなわけだ。
敵MLSの射撃によって我の防御陣地が火制され、敵に近接戦闘を強要されるようなことになると、あえて無理して陣前逆襲を行い、敵を防御陣地から叩き出さないといけなくなる。
こうなると、彼我の消耗戦になるわけで、最終的に兵力で劣る我が撃退されることになるわけだね。
これに対して、我は頻繁に陣地変換を行って、敵に我の主力を捕捉され火制され無いようにしないといけない。
そして、各火点ごとに連携した火制網を構築して、敵の歩戦協同を妨害し、敵の歩兵による陣地への突入を阻止し続けなければならない。

ここで重要なのは、旅団砲兵大隊の155Hはあくまで全般支援に当たっている以上、我の砲撃要請に対して即座に対処してくれるわけではないという事だ。
だから、我が防御戦闘で直接支援火力として頼れるのは、あくまで大隊指揮下の重迫撃砲だけであると考えるべきなんだね。
だから、事前に十分な数の予備射撃陣地を構築しておき、重迫撃砲を適時頻繁に陣地変換させて敵に捕捉され無いように気をつけないといけない。
重迫撃砲による火力支援が途切れたなららば、我の陣前逆襲への火力支援や、敵の機動への妨害による連携の阻害などが出来なくなってしまうわけだからね。
465名無し土方 ◆cDIj6u5gc. :02/11/06 04:02 ID:???

さて、上であげた戦闘の推移から考えると、我の戦車中隊がどういう風に運用されるかが明らかになるね。

まず、水田等の段差のある障害物の多い地域で、地形の高低差を利用して機動し、敵の戦車や装甲車輌を撃破できないといけない。
ここで敵の前方陣地突破を許したならば、我の前衛部隊は孤立し、かつ主防衛陣地に敵が取り付くことになって、爾後の防衛戦闘に多大な支障が発生することになる。

次に、稜線から砲塔だけ出して敵に対して短時間内に効果的な射撃を行い、斜面を横に移動してまた別の稜線から砲塔を出して射撃する、という行動が取れないといけない。
さらに、敵の攻撃が停滞するか頓挫するかした場合、稜線を超えて敵の側面へと機動し、斜面を横や斜めへと機動しつつ行進間射撃を行い、敵を蹂躙してまた稜線の向こう側へと機動する、という能力も要求されるね。

特に日本では、こうした戦闘機動を行う場合、段差が大きかったり、傾斜部がきつかったりするから、足回りに要求される能力がどうしても厳しくならざるを得なくなる。
74式や90式の油圧サスペンションによる姿勢制御機能が、車体を水平に保つこと以上に、こうした段差の乗り越えや、傾斜部を横方向へと機動することを重視して採用されたと考えると、色々と見えてくるもが有るわけだね。