ブッシュ米大統領は20日、同政権では初めての「米国家安全保障戦略」を発表した。同文書では、米国と
世界が直面する最大の脅威は、大量破壊兵器の保有を企てる国際テロ組織や「ならず者国家」であると規定。
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さらに、「米国の力を凌駕(りょうが)しようとする敵国の台頭を抑えるため」、圧倒的な軍事力の優位を維持する
決意も示している。文書はブッシュ戦略を初めて体系化したもので、半世紀にわたる戦略概念を抜本的に転換
する“ブッシュ・ドクトリン”とも言える。
同文書では、対テロ戦で先制攻撃が必要となる理由について、〈1〉「ならず者国家」は、自国民を危機にさらす
ことをいとわない〈2〉「ならず者国家」は大量破壊兵器を「最後の手段」でなく、兵器の選択肢の一つとしか考え
ない〈3〉テロリストは破壊が目的で国家を持たない――として、報復の脅しによって敵国の攻撃を思いとどまら
せる「抑止」は機能しないと分析、「我々は、敵が最初に攻撃してくるのを待つことはできない」としている。
米国は国際社会との協調行動を目指すが、「必要であれば、単独で行動することもちゅうちょしない」としている。
一方、テロの温床を生む貧困の問題に関しても、国内改革を行った国に重点援助をする新援助戦略を展開。「10
年間で、世界の最貧国経済の規模を2倍にさせる」目標を設定した。
中国に関しては「建設的な関係を求める」としたが、まだ国の根本的性格が定まっていないとして、今後の展開
次第では米国の脅威となる危険性も示唆している。日本に関しては「共通の利益と価値、防衛・外交協力を通じ、
地域と地球規模の問題で指導的役割を高めていく存在」とした。
http://www.yomiuri.co.jp/top/20020920it12.htm