おいお前らこれからは装輪車だろ その2

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645名無し土方 ◆Ij6u5gc.
>>634-636
人事に関してばかりではないけれど、幹部自衛官の友人を飲ませて話させると、非常に面白い話が聞けるだろうね。
曹幹部や一般隊員の自衛官ですら、それはもう面白い話がわんさときけるわけでさ。
元自の人なら、かなりのところまで突っ込んだ話を聞かせてくれるかもね。

「装輪」云々は、嘘かまことかは知らないが、装備体系を決定する立場にある背広や制服が、PANZERやアリアドネの各種書籍くらいしか読まないせいというのは大きいらしいね。
やはり、ある程度歳を取ってくると、英語等の外国語の文献を原語で読むのが億劫になってくるらしい。
まあ、俺も英語はからきし駄目だし、人の事は言えた義理ではないのだけれどもね。
その上で実際に部隊での経験がろくに無いまま情報ばかり詰め込んでしまうと、整備運用の手間が少なく、安価で、装軌車両の95%もの路外機動力を持つ、という雑誌の情報を鵜呑みにしてしまってもしかたが無いのかもしれないけれどね。

ちなみに、M113のようなAPCを大量配備するとして、何に使うのかな?
昔は歩兵の対戦車火力はそれほどでもなく、IFVも大した数が配備されていなかったら、Cal50搭載のAPCでも別によかったわけだ。
ところが、現代では機械化された歩兵の火力は、IFVのおかげもあって非常に向上している。
20mm級の機関砲が当たり前で、さらには分散して隠蔽された歩兵が各種の重たい火器を持って待ち構えているわけだ。

IFVは、本質的には突撃砲であり、MBTが対装甲車両戦闘に特化してしまっているため、対歩兵、対陣地戦闘に投入するにはコストパフォーマンスが悪いために歩兵支援用に開発された兵器なわけだね。
西ドイツのマルダー、ソ連のBMP、ともに第二次大戦東部戦線で戦車や突撃砲や大口径機関砲による歩兵戦闘支援で大きな効果をあげた経験から作られた車両だと俺は考えているよ。
SS第12装甲師団戦史や、第6装甲師団戦史等を読んでみると、歩兵直協用のAFVのありがたさが良く判ると思う。
646名無し土方 ◆Ij6u5gc. :02/10/01 18:33 ID:???
IFVの車内戦闘は、NBC兵器に対して抗堪しつつ戦闘を継続させるための機能と考えるべきではないかな?
なぜか日本の軍ヲタ諸兄は、NBC兵器が敵に行使される状況を想定しようとしないのが、俺には不思議でならないわけなんだがね。
旧ソ連型ドクトリンでは、NBC兵器は必要に応じて使われるものであったし、事実アフガン戦ではBC兵器が使用されたという報告もある。
米軍が湾岸戦争でイラク軍のBC兵器使用に非常に神経を尖らしていたこともあったね。
実際に兵器開発にあたる人間は、最悪の状況を想定せざるを得ない以上、NBC兵器が使用された戦場でも歩兵が火力を行使し続けられる状況を考えるわけだ。

そうした「汚れた」戦場では、一度歩兵を下車させてしまうと、対生物化学戦部隊による兵員や装備の洗浄が終了するまでは、次の戦場に投入するわけにはいかなくなる。
そうした状況下で、指揮官はいつ乗車歩兵に下車戦闘を命令するか、非常に困難な決断を強いられることになるね。
こうした場合、車内から歩兵が射撃を継続可能ならば、指揮官は敵の掃討を決断するまでは歩兵に下車戦闘を下令しなくて済むことになる。
対NBC戦を考えなくて良いなら、歩兵が下車する直前に外部の状況を確認するための視察孔があればそれで済むわけだ。

陸戦の主力を、AFVにおいてしまうと、歩兵とAFVの同時突撃の意味が理解しづらくなると俺は思うよ。
重要なのは、いかに歩兵を無傷で元気一杯な状態で敵に接触させるか、なんだね。
だから、敵の陣地に砲迫で砲弾を降らせて敵の歩兵の頭を下げさせるわけだし、戦車やIFVで敵の陣地の特火点を制圧したりするわけだ。
遭遇戦ならば、戦車やIFVは地形を利用すれば即席の特火点にもなってくれるし、歩兵の盾となって敵の火力をひきつけてくれもする。
重要なのは、いかに味方の歩兵が敵の歩兵を駆逐するかであり、戦車もIFVもその支援のための兵器に過ぎないと言う事なわけだ。
647名無し土方 ◆Ij6u5gc. :02/10/01 18:34 ID:???
敵が待ち構えているところに、歩兵だけでのこのこと突撃するのは、非常に損害が大きくなる。
このときIFVが搭載している機関砲で敵の頭を抑えてくれるなら、敵は効果的な火制網を構築しづらくなり、歩兵の攻撃はかなり成功しやすくなる。
さらに、戦車がその搭載している主砲で、敵のAFVを撃破し、特火点を吹き飛ばしてくれるなら、一層攻撃の成功確率はあがることになるね。
さらに、戦車砲で黄燐発煙弾を撃ちこんで敵の視界を奪って混乱させてくれるたなら、なお一層完璧なわけだ。

こうした最前線での歩兵の運用をどうするか、を考えずして、歩兵用装甲車両のことは語れないわけだね。
ちなみに、上の話では地形については一切オミットしたが、実戦では地形の利用は極めて重要な意味を持ってくる。
例えば、反斜面陣地によって、路上を移動している敵を攻撃する場合を考えてみよう。
このとき装輪車両は、斜面に隠れた状態で適時砲塔を丘陵部の頂上からのぞかせて射撃をし、すぐに斜面の裏側に隠れて別の位置に斜面を横に移動してまた砲塔だけをのぞかせて射撃をする、という芸当ができるかな?
装軌車両はそれができる、というより、得意なのは、第四次中東戦争でのゴラン高原でのIDF機甲部隊が一個大隊でシリア軍の戦車師団を撃退した事例からも明らかだね。
あるセンチュリオン中隊は、たった10両でシリア軍の戦車旅団をほぼ壊滅に追い込んだことすらした。
戦争においては、戦場間機動力のみならず、戦場機動力についても考察しないといけないわけだよ。
648名無し土方 ◆Ij6u5gc. :02/10/01 18:34 ID:???
日本での事例を考えるなら、裏山の斜面で装輪車両が適時必要な機動を出来るかどうか、想像してみることから始めよう。
もしくは、裏の田畑で、双方の戦車やIFVが、用水路や堤防の盛り上がりを使って、砲塔だけ出して射撃しあったりする場面をイメージしてみよう。
せいぜい2車線しかない道路、それも乗り捨てられた民間車両が転がっている道路で、どう部隊が機動するのか、それを考えてみよう。
雨が降れば、ゴムタイヤはアスファルトの道路ではスリップしやすくなる。
用水路に車輪を突っ込んでスタックして、ではそれを引き出さないといけなくなったとして、僚車が装輪車両でそいつを引きずり出せるのか。
引きずり出せないなら、道路から除けて部隊機動の邪魔にならない様にしないといけないが、装輪車両でそれができるのか。
こうした具体的な事例を、自分の身近なところか、一つ一つイメージしていくことが重要になると俺は思うよ。

これは、別に自衛隊での訓練が必要って内容じゃない。
自分の身近なところにある生活空間で、そこで戦闘を自分が主宰するとしたときに、どういう問題が出てくるのかイメージすることが出来るか、というイマジネーションの問題なわけだ。
そして、そのイマジネーションの元になるのは、本から得た知識と、その知識を実生活での経験をすりあわせていくことができるかどうか、ただそれだけなんだよ。
649名無し三等兵:02/10/01 18:47 ID:???
なるほろ。
ロシア軍が未だにIFVのガンポートに拘ってる理由がよくわかった。
そしてJ隊がそういう連中と今も対峙し続けてるということも。